トップ :: A 生活必需品 :: A41 衣類




【発明の名称】 葬儀用装束
【発明者】 【氏名】山沢 文子

【要約】 【課題】紳士の葬儀用の装束として、正装として最高の衣装であるモーニングコートと呼ばれる衣装に着目し、これを装束に適用可能に工夫する。

【解決手段】本発明葬儀用装束は、モーニングコート10であって、(a)後身頃の縫い合わせ目となる後ろ中心縫い目12’を縫い合わせることなく開放し、(b)その後ろ中心の縫い目から上に伸びた襟ぐり部14の一部を切断し、そこに絡合片等を配して左右に分かれた両襟ぐり部14a,14bを着脱自在とし、(c)両袖部の外側縫い目と内側縫い目のうち、内側縫い目13a’、13b’を袖口部に至るまで縫い合わせることなく開放し、該袖口部には絡合片を付設して袖口部の開閉を自在とする。これに、シャツ20及びズボン30が一体化されて構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 モーニングコートであって、(a)後身頃の縫い合わせ目となる後ろ中心縫い目を縫い合わせることなく開放し、(b)その後ろ中心の縫い目から上に伸びた襟ぐり部の一部を切断し、そこに絡合片等を配して左右に分かれた両襟ぐり部を着脱自在とし、(c)両袖部の外側縫い目と内側縫い目のうち、内側縫い目を袖口部に至るまで縫い合わせることなく開放し、該袖口部には絡合片を付設して袖口部の開閉を自在としたことを特徴とする葬儀用装束。
【請求項2】 モーニングコートであって、(a)後身頃の縫い合わせ目となる後ろ中心縫い目を縫い合わせることなく開放し、(b)該後ろ中心の縫い目から上に伸びた襟ぐり部の一部を切断し、そこに絡合片等を配して左右に分かれた両襟ぐり部を着脱自在とし、(c)両袖部の外側縫い目と内側縫い目のうち、内側縫い目を袖口部に至るまで縫い合わせることなく開放し、該袖口部には絡合片を付設して袖口部の開閉を自在とし、シャツであって、(a)後身頃の後ろ中心位置を切断して開放し、(b)該後ろ中心の縫い目から上に伸びた襟ぐり部の一部を切断し、(c)両袖部は、袖口から切除して、シャツの袖口先端部のみを上記モーニングコートの袖口部に固定させて置くことを特徴とする葬儀用装束。
【請求項3】 モーニングコートであって、(a)後身頃の縫い合わせ目となる後ろ中心縫い目を縫い合わせることなく開放し、(b)該後ろ中心の縫い目から上に伸びた襟ぐり部の一部を切断し、そこに絡合片等を配して左右に分かれた両襟ぐり部を着脱自在とし、(c)両袖部の外側縫い目と内側縫い目のうち、内側縫い目を袖口部に至るまで縫い合わせることなく開放し、該袖口部には絡合片を付設して袖口部の開閉を自在とし、シャツであって、(a)後身頃の後ろ中心位置を切断して開放し、(b)該後ろ中心の縫い目から上に伸びた襟ぐり部の一部を切断し、(c)両袖部は、袖口から切除して、シャツの袖口先端部のみを上記モーニングコートの袖口部に固定させて置き、 ズボンであって、足の長さを覆う縦長の長方形の布の中央を縦長に谷折りに折って縫合し、ズボンの前中央の折り目の位置に山折りにして下側を縫合して襞状の折り目を左右に施し、上記モーニングコートの襟ぐり部の一部にシャツの襟ぐり部の一部を縫合し、モーニングコート前身頃とテール部との縫い目の裏側部にズボンの上端部を縫合させて、モーニングコートとシャツ及びズボンを一体化させたことを特徴とする葬儀用装束。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、葬儀の際に故人を弔う為の装束に関し、更に詳細には社会的貢献をなした紳士達を弔うに適した装束に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、葬儀に際して故人が着用すべき装束に対しては、特段の伝統的慣習や定めがなく、白装束といって、白無垢の着物(経帷子)を着せて、弔いの装束とするが一般的である。しかし、一生懸命に働いて、多くの社会的貢献をなした紳士達の旅立ちとしては、生前の故人の尊厳と、人間味を保った姿で、参列してくれた方々との最後の別れをさせてあげられないものかと、本発明者は感じていた。そこで、紳士の正装として最高の衣装であるモーニングコートと呼ばれる衣装に着目し、これを装束に応用するなら紳士の弔いの装束として満足できるであろうことに思い至った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、装束として故人に衣装を纏わせるには、(a)袖部、テール部等を備えたモーニングコートは、着衣が大変であり、(b)これにシャツやズボンを加えると、種類が増えて更に着せるのが困難となり、(c)加えて死後数時間を経て硬直が始まると、身体全体に纏わせることができ難い等多くの難点が存するものであった。本発明は、斯かる難点を解消しようとして成されたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の葬儀用装束は、モーニングコートにおいて、(a)後身頃の縫い合わせ目となる後ろ中心縫い目を縫い合わせることなく開放し、(b)その後ろ中心の縫い目から上に伸びた襟ぐり部の一部を切断し、そこに絡合片等を配して左右に分かれた両襟ぐり部を着脱自在とし、(c)両袖部の外側縫い目と内側縫い目のうち、内側縫い目を袖口部に至るまで縫い合わせることなく開放し、該袖口部には絡合片を付設して袖口部の開閉を自在としたことを特徴として構成される。
【0005】請求項2に記載の葬儀用装束は、モーニングコートにおいて、(a)後身頃の縫い合わせ目となる後ろ中心縫い目を縫い合わせることなく開放し、(b)該後ろ中心の縫い目から上に伸びた襟ぐり部の一部を切断し、そこに絡合片等を配して左右に分かれた両襟ぐり部を着脱自在とし、(c)両袖部の外側縫い目と内側縫い目のうち、内側縫い目を袖口部に至るまで縫い合わせることなく開放し、該袖口部には絡合片を付設して袖口部の開閉を自在とし、シャツにおいて、(a)後身頃の後ろ中心位置を切断して開放し、(b)該後ろ中心の縫い目から上に伸びた襟ぐり部の一部を切断し、(c)両袖部は、袖口から切除して、シャツの袖口先端部のみを上記モーニングコートの袖口部に固定させて置くことを特徴として構成される。
【0006】請求項3記載の葬儀用装束は、モーニングコートにおいて、(a)後身頃の縫い合わせ目となる後ろ中心縫い目を縫い合わせることなく開放し、(b)該後ろ中心の縫い目から上に伸びた襟ぐり部の一部を切断し、そこに絡合片等を配して左右に分かれた両襟ぐり部を着脱自在とし、(c)両袖部の外側縫い目と内側縫い目のうち、内側縫い目を袖口部に至るまで縫い合わせることなく開放し、該袖口部には絡合片を付設して袖口部の開閉を自在とし、シャツにおいて、(a)後身頃の後ろ中心位置を切断して開放し、(b)該後ろ中心の縫い目から上に伸びた襟ぐり部の一部を切断し、(c)両袖部は、袖口から切除して、シャツの袖口先端部のみを上記モーニングコートの袖口部に固定させて置き、ズボンにおいて、足の長さを覆う縦長の長方形の布の中央を縦長に谷折りに折って縫合し、ズボンの前中央の折り目の位置に山折りにして下側を縫合して襞状の折り目を左右に施し、上記モーニングコートの襟ぐり部の一部にシャツの襟ぐり部の一部を縫合し、モーニングコート前身頃とテール部との縫い目の裏側部にズボンの上端部を縫合させて、モーニングコートとシャツとズボンを一体化させたことを特徴として構成される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明装束は、モーニングコート10と、シャツ20と、ズボン30とから成る。そして、本発明の対象とするモーニングコート10とは、紳士の礼服としての装いを指し、本来のモーニングコートの他に、燕尾服と呼ばれる燕尾に当たるテール部を備えたフォーマルウエアを広く含む意であるが、代表させてモーニングコートと呼ぶ。斯かる礼装によって、故人の尊厳を保つに適うものであるからである。
【0008】該モーニングコート10にあっては、前身頃11a,11bと、後身頃12a,12bと、左右の両袖部13a,13bと、襟ぐり部14、テール部15a,15b・・等から成り、これは従来のモーニングコートと変わりない。本発明のモーニングコート10にあっては、図1,図2に示す如く、先ず、(a)後身頃12a,12bの縫い合わせ目となる後ろ中心縫い目12’を縫い合わせることなく開放する。(b)そして、その後ろ中心の縫い目12’から上に伸びた襟ぐり部14の一部を切断14’し、そこに絡合片14c,14d等を配して左右に分かれた両襟ぐり部14a,14bを着脱自在とする。このとき、後身頃12a,12bは、そのまま残しても良いが、肩部の一部を残して、後は切除しても良い。又、絡合片は、ホック、ボタン等の他の着脱手段であっても良い。斯かる構成は、モーニングコートを着せるという発想を転換させて、モーニングコートを被せる状態で着衣させることで目的を達成しようとするもので、後ろ中心縫い目12’を開放させて故人が仰臥している寝姿のままで着衣を可能にしようとするものである。襟ぐり部14の切断も同様の発想を延長させたもので、但し、襟ぐり部は着衣の支点となる箇所であるから、絡合片14c,14d等で着脱性を持たせたものである。
【0009】次いで、(c)両袖部13a,13bの外側縫い目と内側縫い目のうち、内側縫い目13a’,13b’を袖口部13c,13dに至るまで縫い合わせることなく開放し、袖口部13c,13dには絡合片13e,13fを付設して袖口部13c,13dの開閉を自在とする。このとき、後述するシャツ20との関係で、袖口部13c,13dにはシャツ20の袖口先端部24a,24bを袖口から若干だけはみ出す態様で縫い付けて置くことが望ましい。更に、望ましくは、その袖の内側縫い目13a’,13b’の開放を、前身頃11a,11bと後身頃12a,12bの袖口部13c,13dの下側での縫い目17a,17b(脇腹部が存在する場合はその脇腹部と前見頃の縫い目)にも延長させ、袖の脇下部からテール部に向かって非縫合(又は切断)として、開放することが望ましい。斯かる構成は、上記と同様にモーニングコートを被せる状態で着衣させようとする発想に基づくのもので、特に、左右の両袖13a,13bは両腕を狭い袖内に通さないと着衣が困難となるウイークポイントとなる箇所であり、両袖部13a,13bの内側縫い目13a’,13b’の開放で、袖内に腕を通すことなく着衣を可能とし、袖口の絡合片13e,13fの着脱で袖口を整然と閉じた状態とし得る。
【0010】シャツ20は、モーニングコート10のシャツとして着用できるフォーマルシャツなら広く含めることができ、例えば、ウイングカラー、レギュラーカラー、デタッチャブルカラー等のシャツを含み、その色、素材等も限定されない。該シャツ20にあっても、上記モーニングコート同様前身頃21a,21bと、後身頃22と、襟ぐり部23・・等から成ることは、従来のシャツと変わりない。そして、本発明シャツ20にあっては、図3、図4に示す如く、(a)後身頃22の後ろ中心位置を切断22’して開放する。(b)そして、その後ろ中心の切断22’から上に伸びた襟ぐり部23の一部を切断23’する。(c)更に、両袖部は、袖口から切除して、不要なものとし、代わって、前述した通り、袖口部13c,13dにシャツ20の袖口先端部24a,24bをモーニングコート袖口部13c,13d先端から若干だけはみ出す態様で縫い付けて置く。そして、シャツの前のボタン25は予め止めておき、且つ、蝶ネクタイ等のネクタイ26もカラーに合わせて選択した後、それを縫い合わせておくことが望ましい。後身頃22は、そのまま残しても良いが、モーニングコートと同様、肩部の一部を残して、後は切除しても良い。又、モーニングコート10と同様、脇腹部を非縫合又は切断して開放しても良いが、肩部の一部を残して切除した場合は不要であり、それ以外でもシャツの生地は薄手なのでそのままで充分である。このシャツ20は、上記モーニングコート10と分離させて着衣させても良いが、その一部を上記モーニングコート10の一部に縫合させて置くのが望ましい。例えば、モーニングコート10の襟ぐり部14a,14bと、シャツ20の襟ぐり部23a,23bとの一部を縫い合わせておく。何故なら、互いを縫い合わせて一体化させると、着せるのに容易であると同時に、モーニングコート10とシャツ20との相互の位置がズレることがなくなり、着崩れ感を防止できるからである。
【0011】ズボン30は、図5、図6及び図7に示す如く、足の長さを覆う縦長の長方形の布31を裁断し、その中央を縦長に谷折りに折って縫い目32を施し、更にそのズボンの前中央の折り目の位置に、山折りにして下側を縫合した襞状の折り目33a,33bを施す。中央の谷折りの縫い目32は、ズボンの左右の境界を表し、左右の襞状の折り目33a,33bは、ズボンの足の折り目を模して象徴的に表現したものである。ズボンそれ自身は、縫製が複雑であり、且つ、上半身となるモーニングコート10自身と比較すると、納棺された状態では注目される度合いは少ないので、ズボンであることを象徴的に表現すれば良いからである。該ズボン30を構成する布31は、モーニングコート10とは分離させて、上端部を紐等で身体に巻き付けても良いが、望ましくは、布31の上端を、モーニングコート10の前身頃11a,11bとテール部15a,15bとの縫い目15a’,15b’を利用して、丁度その縫合目の裏側に当たる部分に縫いつけるのが好ましい。上記シャツと同様、互いを縫い合わせて一体化させると、着せるのに容易であると同時に、モーニングコート10とズボン30との相互の位置がズレることがなくなり、着崩れ感を防止できるからである。
【0012】又、ズボン30の別態様を示すと、ズボンの左右の前身頃のみ(後身頃は切除)を股ぐりまで縫合し、その股ぐりから左右に別れる足部を上記と同様襞状の折り目を施した前身頃で覆う態様としても良い。
【0013】上記構成に基づく装束を故人に着衣させる方法について説明する。先ず、モーニングコート10とシャツ20及びズボン30とを互いに縫いつけて一体化させた場合から説明すると、棺桶内に仰臥させた状態の故人の身体に沿って、本発明装束を大まかに被せる。このとき、モーニングコート10及びシャツ20の切断した襟ぐり部14a,14bの絡合片14c,14d及び袖口部13c,13dの先端に施した絡合片13e,13fは、すべて外した状態として置く。すると、後ろ中心縫い目、襟ぐり及び袖部の内側縫い目等を開放した上記構成に基づくモーニングコート10、シャツ20及びズボン30は、恰も一枚の布のように広げることができ、仰臥したままの故人の身体の表面をそのまま覆うことができる。
【0014】そして、先ず、モーニングコート10及びシャツ20を切断した襟ぐり部14a,14bの先端を故人の首の裏側に回し、該絡合片14c,14dを裏側で止める。これでモーニングコート10の襟ぐりが首に固定されると同時に、シャツ20の襟ぐりも固定される。同時に、シャツ20のボタン25は予め止められ、且つ、ネクタイ26もシャツの一部に縫いつけられているので、そのままで乱れのない着衣状態とすることができる。
【0015】次いで、内側縫い目13a’,13b’の開放された両袖部13a,13bで故人の両腕を覆い、袖口部13c,13dの布を回して絡合片13e,13fを止めた後、内側縫い目13a’,13b’が腕の裏側にくるように腕に沿って布を整えて、両袖部13a,13bが皺のない状態で腕に固定されるようにする。これで、狭い両袖部13a,13bも腕を通すという厄介な作業を要することなく、難なく整然とした着衣状態とすることができる。ズボン30は、左右両足の中央に境界を象徴する谷折りの縫い目32を合わせ、更にそのズボンの前中央の折り目の位置に襞状の折り目33a,33bを合わせて、下側を引っ張って皺のない状態に整える。このとき、ズボンの下端部は布団又は花等で覆われるからその布団又は花の下に布を潜り込ませる状態とすれば良い。斯くして、モーニングコート10とシャツ20とを、故人の身体に被せる状態で覆った後、支点となる襟ぐり14の絡合片14c,14d及び袖口部の絡合片13e,13fを絡合させるだけで、モーニングコート、シャツ及びズボンから成る礼服を整然とした状態で着衣させることができる。且つ、相互が縫いつけられて一体化されているから、互いの位置のズレがなく、着崩れ感がまったくない。
【0016】次に、モーニングコート10、シャツ20及びズボン30をそれぞれ分離させた場合には、着衣の順序を下側となるシャツ20又はズボン30から先行させ、その後に表側となるモーニングコート10を着衣させる順番となり、各部を逐一身体に固定させる面倒さと、相互のズレで着崩れ感がでる恐れがあるが、それ以外は上記一体型と同様に扱うことができる。
【0017】
【発明の効果】以上の如き構成及び作用に基づく本発明葬儀用装束は、紳士の正装として最高の衣装であるモーニングコートを旅立ちの装束として着衣させることができるので、多くの働きをなした紳士達を生前の尊厳と、人間味を保った姿で送ることができ、紳士の弔いの装束として最高の満足度の得られるものとなった。
【0018】その際、各部を広げて一枚の布のように被せ、狭い袖も難なく覆せて、故人を仰臥させた状態のままで簡便に着衣させることができ、且つ、着崩れ感のない整然とした着衣状態とすることができるものとなった。
【0019】且つ、縫製も比較的容易な構成となったから経済性にも合致する等の優れた効果を奏する有利な発明である。
【出願人】 【識別番号】501208475
【氏名又は名称】山沢 文子
【出願日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【代理人】 【識別番号】100095739
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 俊夫
【公開番号】 特開2002−348705(P2002−348705A)
【公開日】 平成14年12月4日(2002.12.4)
【出願番号】 特願2001−156823(P2001−156823)