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【発明の名称】 警戒用発色機構を持った保護具
【発明者】 【氏名】石川 浩子

【要約】 【課題】手袋、靴、メガネ、白衣等の保護具に酸やアルカ等の人体に有害な危険な材料が付着した個所や、保護具や保護服に傷が発生した個所や貫通した個所を認識できるようにすること。

【解決手段】手袋、靴、メガネ、白衣等の保護具、保護服の素材に酸やアルカリが接触した時に、付着したことを示すように酸やアルカリに対して蛍光を発したり、変色する色素を樹脂で保護具の表面に固定する。また傷や貫通穴の発生個所を示すようにするために、保護具の素材の中に使用雰囲気のガスや液に対して反応し蛍光を発する、変色する色素を分散させたり、傷や貫通穴が発生した時に保護具の素材中に含まれる材料が反応し蛍光を発したり、変色することで傷や貫通穴が発生した時に確認できるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】人体に有害な危険な材料が接触した際に警戒表示として付着した個所を知らせるために発色、変色や蛍光を発する機構を持ったことを特徴とする保護具。
【請求項2】人体に有害な危険な材料が接触した際に警戒表示として付着した個所を知らせるために発色、変色や蛍光を発するメカニズムとして、酸やアルカリ等酸性度により起こすことを特徴とする方法。
【請求項3】人体に有害な危険な材料が接触した際に警戒表示として付着した個所を知らせるために発色、変色や蛍光を発するメカニズムとして、危険物に含まれる金属イオンにより起こすことを特徴とする方法。
【請求項4】人体に有害な危険な材料が接触した際に警戒表示として付着した個所を知らせるために発色、変色や蛍光を発するメカニズムとして、危険物に含まれる有機化合物により変色を起こすことを特徴とする方法。
【請求項5】人体に有害な危険な材料が接触した際に警戒表示として付着した個所を知らせるために発色、変色や蛍光を発するメカニズムとして、危険物に含まれる放射性元素により変色を起こすことを特徴とする方法。
【請求項6】製品に傷が発生した時に警戒表示として傷を受けた個所を知らせるために発色、変色や蛍光を発することを特徴とする保護具。
【請求項7】製品に貫通傷が発生した時に警戒表示として貫通した個所のみを知らせるために発色、変色や蛍光を発することを特徴とする保護具。
【請求項8】製品に発生した傷の深さにより発色や変色の度合いが違うことを特徴とする保護具。
【請求項9】該発色、蛍光が布や膜等の製品の表面に形成された1種類以上の化合物で発色や蛍光を発する材料より構成されることを特徴とする。
【請求項10】該発色が布や膜等の製品の中に含まれる1種類以上の化合物で発色や蛍光を発する材料により構成されることを特徴とする。
【請求項11】該発色が布や膜等の製品の中に含まれる化合物と布や膜の表面に形成された化合物により発色や蛍光を発する材料で構成されることを特徴とする。
【請求項12】発色が酸やアルカリに触れて発色する色素と、発色材を発色させる酸やアルカリを別けた状態で分散固定化した組織を持つことを特徴とする。
【請求項13】樹脂中に発色させる材料を添加させる量として、0.1wt%以上を含ませたものであることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルカリや酸、危険な廃棄物、有毒ガス、放射性物質等を扱う際に使用する保護具の安全に関する技術。
【0002】
【従来の技術】従来から、アルカリや酸を扱う際に保護具や保護服を着用してきたが、酸やアルカリが飛び散ってもどこに付いているか分からない問題があった。また、付着以外に保護具には疲労や劣化による亀裂の発生や金属線やガラス等により保護具に穴があくことがあり、この際アルカリの場合には保護服や保護具を貫通して皮膚に接触しても痛みなどの感覚がないために大きな問題があった。
【0003】同様に体に有毒な有機溶剤、有毒なガス、鉛や水銀等を含んだ廃液が、例えばゴム手袋を貫通してもゴム手袋の中に浸入したことが分からないことも非常に大きな問題となっていた。
【0004】また、グローブボックス等の完全密閉容器にゴム製の手袋等が使われている。グローブホックスで危険な細菌を取り扱うことも多く外部に細菌を漏らさないようにしている。また、グローブホックス内の雰囲気を不活性ガス制御を行い危険な薬品を取り扱う場合があり、外気雰囲気の混入を防ぐ必要がある時がある。
【0005】このようにグローブボックスでの作業では用いる手袋に貫通傷が発生した場合には身命にも及ぶこともあるが、手袋に貫通傷や傷が発生した時に、それらの場所を探すことがなかなか難しく気がつかない問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】保護具や保護服で酸やアルカ等の危険な材料が付着した個所や、保護具や保護服に傷が発生した個所や貫通した個所を認識できるようにすること。
【0007】
【課題を解決するための手段】保護具や保護服で酸やアルカリ等危険な材料が付着した個所や、損傷等で傷が発生した個所や貫通した個所が発色することにより視覚で認識でくるようにする。
【0008】
【発明の実施の形態】アルカリや酸が服や保護具等に触れた時に警戒用に視覚で確認できるようにする方法としては、反応することにより発色する色素や変色する色素、蛍光体等を熱硬化性や紫外線硬化性の樹脂に混ぜ合わせ、これを服や保護メガネや靴、手袋等の製品の表面にコートし、硬化させて発色色素や蛍光体を固定化するものである。この際、発色色素や変色する色素、蛍光体を硬化性の樹脂のモノマーやポリマーの末端基に結合させ分散性をよくすることや、色素、蛍光体をあらかじめ、スプレードライヤー等で造粒し、その上にコートする素材と親和性の高い分子膜や、皮膜層を形成した粒子にして、これを発色剤として添加しても同様な効果が得られる。
【0009】硬化性樹脂を用いなくても、服や保護具と同じ素材の樹脂、プラスチックを融点で溶融させて、もしくは有機溶媒に溶かし、そこに添加して、それを服や保護具にコートすることでも同じ効果が得られる。次に服や保護具、更に真空用部品、バイオ等の試験に用いたり、雰囲気制御が必要な試験に用いるグローブボックスのゴム手袋等に傷や貫通傷が発生した時にその場所を確認する方法としては、これらの構成材料を上記のような製品を作る時に、厚み方向で多層膜を形成して、一層目が貫通し二層目に傷が及んだ時に、一層目の添加物と二層目の添加物が反応して発色させるようにする方法である。
【0010】この際に予め製品を通常の仕方で製造し、その表面にコートして多層膜を形成する方法と、あらかじめ製品を製造する工程で原料を溶融して鋳型やロールプレス等で成形する時に、例えば薄いプラスチックフィルムの構成物に1つの添加物として混練して混ぜておき、それを圧延で膜化して、もうひとつの添加物をそのフィルムの上にコートして固定化すること方法や、もうひとつの添加物のフィルムを張り合わせることも同じ効果が得られる。
【0011】アルカリや酸等が関係しない状況で、傷が発生した時と貫通傷の違いを確認する方法としては、ふたつの化合物が接触した時に発色や蛍光を発生する材料を用いて、例えばゴム手袋のようなものの表面に単独では発色や蛍光を発しない材料をコートして固定し、ゴム手袋の素材の中に表面にコートした材料と触れると反応する添加物を分散させておくと、ゴム手袋に傷が発生した時に表面層の材料と中の素材が反応して、傷を受けたところだけが発色や、蛍光を発することができる。
【0012】または、ふたつの化合物が接触した時に発色や蛍光を発生する材料を別々にカプセル化してゴム手袋の素材の中に分散して、傷が発生した時に、各々のカプセル化した材料が触れ合うことで発色や蛍光を発することでも出きる。
【0013】その他にふたつの化合物が触れ合う時に発色や蛍光を発生する材料をそれぞれ、別々に含んだ層を多層膜として重ねておき、傷が発生した時に、それぞれの膜の中にある材料が漏洩し、発色や蛍光を発することでも同様な結果が得られる。
【0014】貫通傷のみを確認する方法としては、例えば服や保護具、手袋の内側、つまり肌に接触する方に単独では発色や蛍光を発しない材料を固定化しておき、服や保護具、手袋の素材中に、もしくは素材表面に内側に固定化したものと触れた時に発色する材料を添加する方法である。
【0015】この方法では、例えば、作業する内容がアルカリや酸であれば、保護具、作業服、手袋の内側に単独では発色しないが、酸やアルカリに触れると変色や、発色、蛍光を発する材料を単独に固定化するだけでも良い。
【0016】有機溶剤等を扱う際に貫通傷が発生したことを視覚化する方法としては、例えば手袋の内側に、ふたつの化合物が触れ合う時に発色や蛍光を発生する材料を各々カプセル化して固定し、有機溶剤が浸入した時にカプセル素材を溶かして、ふたつの化合物が触れ合い発色や蛍光を発することでできる。
【0017】具体的な材料としては、酸やアルカリが付着した時に変色するものとしては分子構造にアミノ基や水酸基を持つものがあげられる。フタレイン系、スルホフタレイン系、アゾ系、トリフェニルメタン系、ベンゼイン系、ニトロ系がある。例えば、代表的にメチルオレンジ、フェノールフタレインがある。他にはブロモフェノールブルー、ブロモクレゾールブルー、ブロモクレゾールパープル、チモールブルー等もある。蛍光を発するものとしては、エオシンや1−アミノナフタレン−5−スルホンアミド等がある。
【0018】二つの化合物を別々に造粒して、それを膜化して傷や貫通穴が形成されたときに発色、変色させる方法としては例えば錯塩形成によることも可能で、エチレンジアミンテトラ酢酸ニナトリウムと硝酸カルシウムの溶液を混ぜると青色を発生させることができる。このような材料には、ムレキシド、スルホサリチル酸などがある。
【0019】また、酸化剤や還元剤で蛍光を発するものとして、ローダミンBやホスフィン等があり、変色するものとしてはサフラニンT、インジゴスルホン酸、メチレンブルー、フェロイン、ニュートラルレッド、ジフェニルアミン、o−フェナントロリン鉄錯塩などがある。ジオキセタンのような熱分解によって発光するものも、場合によっては用いることも可能である。
【0020】上記以外に雰囲気のガス、例えば空気に触れることにより変色するような材料として、酸化されると変色する有機色素を用いても良い。
【0021】また、手袋の表面に特殊な菌や材料が製品に付着した場合や傷、貫通孔に浸入した場合に、それらが発色、もしくは蛍光を発するようにすることも同様な考え方でできるのは当然である。
【0022】また、有毒なガス成分が保護手袋を貫通した際に、それらの有毒なガスに対して反応し発色や蛍光を発するようにすることも同様に考えられる。更に、保護具や服の表面等にガスや水が吸着しやすいように多孔質化して、それらを媒介にして発色や蛍光を発しやすくする手段で改善することもできる。
【0023】
【実施例】
【実施例1】炭酸アンモニウムの粉を粉砕して10μm以下の径にした後、この粉を熱硬化性のアクリル樹脂に混ぜこみ、ゴム手袋の表面に100μmの厚さで塗り、熱を加えて硬化させた。この手袋の表面に硫酸銅の1mol溶液を浸したが、発色はしなかったが、この手袋の表面に傷をつけたとき、アンモニアと銅イオンが銅のアンモニア錯体を形成し、傷をつけたところが青くなった。
【0024】
【実施例2】硫酸銅の乾燥粉を粉砕し、0.5μm程度の大きさにした後、紫外線硬化性の樹脂に混ぜこみ、ゴム手袋の表面に10μm程度に塗り、紫外線を加えて硬化させた。更にこの上に紫外線硬化樹脂を5μmの厚みで塗り紫外線で硬化させた。この手袋の表面に1Nのアンモニア溶液をに浸したが、発色はしなかったが、この手袋の表面に傷をつけたとき、アンモニアと銅イオンが銅のアンモニア錯体を形成し、傷をつけたところが青くなって傷口が確認できた。
【0025】
【実施例3】UVランプにより赤色に蛍光を発するZnS粉を0.5μm程度の大きさに粉砕した後、これを熱硬化性のアクリル樹脂に50wt%混ぜこみ、ゴム手袋の表面に100μm程度に塗り硬化させた。この手袋の表面にUVランプを当てるとやや赤色に発した。この手袋の表面に傷をつけたとき、UVランプを当てると傷口が鮮やかに赤色に蛍光を発していることが確認できた。
【0026】
【実施例4】金属錯体を形成することにより蛍光発光を起こすカルセイン粉末をポリウレタン樹脂中に10wt%を分散させた。この樹脂を熱間プレスで伸ばして手袋の形に張り合わせた。この手袋を用いて100mLの水に硝酸カルシウム100gを溶かした濃度の溶液に入れたが何も変化はなかった。液中で手袋に傷をつけたところ、傷口から黄緑色の発光が見られた。
【0027】カルセイン粉末の添加量を0〜80wt%の範囲で変えて試作をしたところ、傷を付けて同様な試験をした結果、少なくとも0.1wt%以上の添加しないと確認が難しかった。
【0028】
【実施例5】溶液のpHにより色が変色するフェノールフタレイン粉末をポリビニールアルコールを溶かした水溶液に10wt%加えて攪拌し、この液を白衣に染みこませた。白衣を乾燥した後に、この白衣に水酸化ナトリウム1Nのアルカリ溶液を掛けた時、アルカリ液が付いたところが赤くなり、アルカリが付いたところが分かった。フェノールフタレインをフェノールレッドに変えても同様な効果が確認できた。
【0029】
【実施例6】100mLの水に150gの硝酸銅を溶かした溶液を界面活性剤と共に油の中に高速攪拌して10μm以下の径に分散させ、低温にして凝固させた後濾過して、この粉体を紫外線硬化性のアクリル樹脂に混ぜこみ、ゴム手袋の表面に100μmの厚さで塗り、紫外線を加えて硬化させた。この手袋の表面にアンモニアガスを触れさせても発色はしなかった。この手袋に穴をあけたとき、アンモニアガスにより銅イオンが銅のアンモニア錯体を形成し、傷をつけたところが青くなり、穴の位置が確認できた。
【0030】
【実施例7】比表面積1000m2/g以上の超微粉のシリカに過マンガン酸カリウムの粉を10wt%添加して混合し、この粉に水を10wt%したものを作製し、この粉を紫外線硬化性のアクリル樹脂に10wt%の量で混ぜこみ、この後、この樹脂にメチレンブルーの色素を10wt%添加して混ぜた。この樹脂をゴム手袋の表面に100μmの厚さで塗り、紫外線を加えて硬化させた。この手袋にカッターで傷をつけた時、カッターの傷口が青緑に見えて確認できた。
【0031】
【実施例8】ゴム手袋の上にフェノールフタレインの粉末を50wt%添加して混ぜた熱硬化性樹脂を塗り硬化させた後、比表面積100m2/g以上の超微粉のシリカに5Nの水酸化ナトリウム水溶液を10wt%含浸させた後、これを紫外線硬化性のアクリル樹脂に10wt%の量で混ぜこみ、この樹脂を50μm程度の厚みで、熱硬化性樹脂の表面に塗って紫外線で硬化させた。この手袋にカッターで傷をつけた時、カッターの傷口が赤色に変色して確認できた。
【0032】
【実施例9】ゴム手袋と保護服の間を密接に接着させる際に瞬間接着剤の中にフェノールフタレインの粉末を50wt%添加して混ぜて硬化させた。この継ぎ目に水酸化ナトリウム溶液1Nのアルカリ液を付着させてもやや赤色に帯びる程度であったが、カッターで傷をつけた時、アルカリ液がカッターの傷口に付着すると赤色に変色して確認できた。
【0033】
【発明の効果】本発明の警戒用に傷や貫通口の発生等に対して発色もしくは蛍光を発するようにした靴や服、手袋、メガネ等の保護具にすることにより、従来、視覚や触覚では分からなかった傷や貫通孔の有無と位置が確認でき、また、アルカリや酸、及び有害な液、ガス等の付着、貫通孔からの通過に対しても、付着や貫通孔の有無及び位置が視覚化できるので、安全な作業ができる。
【出願人】 【識別番号】501229908
【氏名又は名称】石川 浩子
【出願日】 平成13年5月1日(2001.5.1)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−327317(P2002−327317A)
【公開日】 平成14年11月15日(2002.11.15)
【出願番号】 特願2001−173209(P2001−173209)