| 【発明の名称】 |
カップ付き女性用衣類 |
| 【発明者】 |
【氏名】堀井 克子
【氏名】小宮 大典
【氏名】小林 三津江
|
| 【要約】 |
【課題】カップ部がバストの動きに好適に追随するようにした婦人用水着等を提供する【解決手段】 カップ内蔵型の婦人用水着(従来タイプ)を着用した女性が挙手すると、腕の動きに伴いバストは大きく上下に動くが、カップ4はバストの動きに追随し難く、特に下方向の追随性が充分でないと安定しない。そこで、前身頃1に左右一対のカップ4が添えられたカップ付き女性用衣類において、カップ4の上部と前身頃1を連結する伸縮性のカップ吊り部材11,12と、カップ4の下部と前身頃1の脇部分および前中心部分を連結する伸縮性のカップ引き部材13,14とを備える。着用状態において左右のカップ4に作用する二方向の引っ張り力の合力が下方向に働くことになるので、カップ4に対する引き下げ力と引上げ力とがバランスする。
【解決手段】カップ内蔵型の婦人用水着(従来タイプ)を着用した女性が挙手すると、腕の動きに伴いバストは大きく上下に動くが、カップ4はバストの動きに追随し難く、特に下方向の追随性が充分でないと安定しない。そこで、前身頃1に左右一対のカップ4が添えられたカップ付き女性用衣類において、カップ4の上部と前身頃1を連結する伸縮性のカップ吊り部材11,12と、カップ4の下部と前身頃1の脇部分および前中心部分を連結する伸縮性のカップ引き部材13,14とを備える。着用状態において左右のカップ4に作用する二方向の引っ張り力の合力が下方向に働くことになるので、カップ4に対する引き下げ力と引上げ力とがバランスする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前身頃に左右一対のカップ部が添えられたカップ付き女性用衣類において、前記カップ部の上部と前記前身頃を連結する伸縮性素材で構成され、前記カップ部を前記前身頃から吊り下げるカップ吊り部材と、前記カップ部の下部と前記前身頃の脇部分および前中心部分を連結する伸縮性素材で構成され、着用状態において左右それぞれの前記カップ部に対し、左右の脇側に向う斜め下方向の引っ張り力を生じさせると共に、前中心側に向う斜め下方向の引っ張り力を生じさせるカップ引き部材と、を備えることを特徴とするカップ付き女性用衣類。 【請求項2】 前身頃に左右一対のカップ部が添えられたカップ付き女性用衣類において、前記カップ部の上部と前記前身頃を連結する伸縮性素材で構成され、前記カップ部を前記前身頃から吊り下げるカップ吊り部材と、前記カップ部の下部と前記前身頃の脇部分を連結する伸縮性素材で構成され、着用状態において左右それぞれの前記カップ部に対し、左右の脇側に向う斜め下方向の引っ張り力を生じさせると共に、左右の前記カップ部の下部を互いに引き寄せる方向の引っ張り力を生じさせるカップ引き部材と、を備えることを特徴とするカップ付き女性用衣類。 【請求項3】 前記カップ部は、下部を底辺とし上部を頂点とする略三角形状をなしていることを特徴とする請求項1または2記載のカップ付き女性用衣類。 【請求項4】 前記カップ吊り部材は、前記カップ部の上部と前記前身頃の首側縁部または腕側縁部を連結する吊り紐を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のカップ付き女性用衣類。 【請求項5】 前記カップ吊り部材は、前記カップ部の脇側縁部または前中心側縁部の少なくともいずれか一方と前記前身頃を連結する土台布を含み、この土台布は伸縮性を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のカップ付き女性用衣類。 【請求項6】 前記カップ引き部材は、前記カップ部の下側縁部と前記前身頃を連結する紐材、テープ材または土台布を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のカップ付き女性用衣類。 【請求項7】 前記カップ引き部材は、前記カップ部の下側縁部と前記前身頃の脇部分を連結する第1の紐材、テープ材または土台布を含むと共に、前記カップ部の下側縁部と前記前身頃の前中心部分を連結する第2の紐材、テープ材または土台布を含むことを特徴とする請求項1、3〜6のいずれか記載のカップ付き女性用衣類。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はカップ付き女性用衣類に関し、特に運動機能性が必要とされるカップ付き女性用運動衣類(例えば婦人用水着)に好適に応用される。 【0002】 【従来の技術】いわゆるカップ内蔵タイプの婦人用水着の従来例として、実開平6−54716号公報や登録実用新案第3065952号公報の技術が知られている。このような従来例では、左右一対のカップ部を前身頃に沿わせて設けると共に、その上部と前身頃を伸縮性の紐やテープで連結することが行われている。そして、カップ部の下部は土台布を介して前身頃に縫着等することが行われている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記のようなカップ内蔵タイプの婦人用水着では、カップはバストの動きに追随し難く、着崩れしやすい欠点があった。また、下垂気味のバストや豊満なバストでは、カップがバストに載った状態でバスト下部がカップからはみ出してしまったり、カップ上部が浮き上がることがあった。そして、カップ部がバストから摩り上がったらそのまま止まり、バストラインが崩れて着用者に不快感を与える等の欠点があった。 【0004】そこで本発明は、カップ部がバストの動きに好適に追随するようにしたカップ付き女性用衣類(特に婦人用水着のようなカップ付き女性用運動衣類)を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、本発明者はカップ内蔵型の婦人用水着(従来タイプ)を着用した女性に挙手等の上半身の運動をさせ、その時のカップ部とバストの動きを調べた。その結果、挙手等の腕の動きに伴いバストは大きく上下に動くが、内蔵タイプのカップ部はバストの動きに追随し難く、特に下方向の追随性が充分でないと安定しないことが判明した。 【0006】そこで本発明の第1態様は、前身頃に左右一対のカップ部が添えられたカップ付き女性用衣類において、カップ部の上部と前身頃を連結する伸縮性素材で構成され、カップ部を前身頃から吊り下げるカップ吊り部材と、カップ部の下部と前身頃の脇部分および前中心部分を連結する伸縮性素材で構成され、着用状態において左右それぞれのカップ部に対し、左右の脇側に向う斜め下方向の引っ張り力を生じさせると共に、前中心側に向う斜め下方向の引っ張り力を生じさせるカップ引き部材と、を備えることを特徴とする。 【0007】本発明によれば、着用状態において左右それぞれのカップ部に独立(個別)に作用する二方向の引っ張り力(左右の脇側に向う斜め下方向と、前中心側に向う斜め下方向の引っ張り力)の合力が下方向に働くことになるので、カップ引き部材による下方向の引き下げ力とカップ吊り部材による上方向の引上げ力とがバランスし、カップ部をバストの動きに追随させることとなる。 【0008】また、本発明の第2態様は、前身頃に左右一対のカップ部が添えられたカップ付き女性用衣類において、カップ部の上部と前身頃を連結する伸縮性素材で構成され、カップ部を前身頃から吊り下げるカップ吊り部材と、カップ部の下部と前身頃の脇部分を連結する伸縮性素材で構成され、着用状態において左右それぞれのカップ部に対し、左右の脇側に向う斜め下方向の引っ張り力を生じさせると共に、左右のカップ部の下部を互いに引き寄せる方向の引っ張り力を生じさせるカップ引き部材と、を備えることを特徴とする。 【0009】本発明によれば、着用状態において左右のカップ部の下部には互いに引き寄せ合う方向の引っ張り力が加わった状態で、左のカップ部には左の脇側斜め下方向に引っ張る力が働き、右のカップ部には右の脇側斜め下方向に引っ張る力が働くので、これらの合力は下方向に働く。このため、カップ引き部材による下方向の引き下げ力とカップ吊り部材による上方向の引上げ力とがバランスし、カップ部をバストの動きに追随させることとなる。 【0010】本発明に係るカップ付き女性用衣類において、カップ部は、下部を底辺とし上部を頂点とする略三角形状をなしていることを特徴としても良く、このようにすればカップ引き部材を好適にカップ部に取り付けることが出来る。 【0011】本発明に係るカップ付き女性用衣類において、カップ吊り部材は、カップ部の上部と前身頃の首側縁部または腕側縁部を連結する吊り紐を含むことを特徴としても良く、またカップ吊り部材は、カップ部の脇側縁部または前中心側縁部の少なくともいずれか一方と前身頃を連結する土台布を含み、この土台布は伸縮性を有することを特徴としても良く、このようにすればカップ部を好適に前身頃に連結し得る。 【0012】本発明に係るカップ付き女性用衣類において、カップ引き部材は、カップ部の下側縁部と前身頃を連結する紐材、テープ材または土台布を含むことを特徴としても良く、またカップ引き部材は、カップ部の下側縁部と前身頃の脇部分を連結する第1の紐材、テープ材または土台布を含むと共に、カップ部の下側縁部と前身頃の前中心部分を連結する第2の紐材を含むことを特徴としても良い。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。 【0014】図1は、本発明の第1態様に係る婦人用水着(カップ付き女性用運動衣類の一種)の胸部近傍を肌側から見た平面図、図2は、図1に示す婦人用水着の全体構成を示す斜視図である。図2に示す通り、婦人用ワンピース水着は前身頃1と後身頃2で構成され、前身頃1の接ぎライン9に沿う胸部の前中心にはフロントファスナー3が設けられて着脱時に開閉可能となっている。 【0015】図1に示す通り、前身頃1の内側(肌側)には左右一対のカップ4が添えられており、これは下部を底辺とし上部を頂点とする略三角形状をなしている。そして、三角形の各辺(底辺、脇側斜辺および前側斜辺)に沿うように3本のカップ縁紐41〜43が添えられ、これを介して縫着された4枚の土台布11〜14により前身頃1に連結されている。 【0016】すなわち、カップ4の脇側斜辺に沿うように脇側カップ縁紐41が設けられ、この脇側カップ縁紐41には脇上土台布11が縫着されている。そして、脇側カップ縁紐41はカップ4の頂点から更に前中心の上側方向に伸び、前身頃1の首側縁部17に縫着されている。同様に、カップ4の前側斜辺に沿うように前側カップ縁紐42が設けられ、この前側カップ縁紐42には前上土台布12が縫着されている。そして、前側カップ縁紐42はカップ4の頂点から更に脇の上側方向に伸び、前身頃1の腕側縁部18に縫着されている。 【0017】この時、前上土台布12の縁部に縫着された前側カップ縁紐42は、脇上土台布11及び脇側カップ縁紐41の肌側に重なるように添えられており、相互に縫着等されることなく自由に動き得る。そして、カップ4の頂点から更に上方へ延びる2本のカップ縁紐41、42と、カップ4の左右の斜辺に縫着された2枚の土台布11、12は、いずれも伸縮性に富む素材で形成されている。このため、着用者が腕を大きく上げた(挙手した)時には、これらが協働してカップ4に対してバランスの良い引上げ力を与えることとなる。 【0018】一方、脇下土台布13と前下土台布14は概ね台形状をなし、略三角形のカップ4の底辺に沿うように設けられた下側カップ縁紐43を介してカップ4に縫着されており、脇下土台布13と前下土台布14の縁辺(概ね台形状の短辺)はカップ4の下部(若干の前中心寄り)で相互に縫着されている。そして、脇下土台布13の脇側末端部と前下土台布14の前中心側末端部(概ね台形状の長辺)は、それぞれ前身頃1に縫着等で連結されている。 【0019】ここで特徴的なことは、脇下土台布13と前下土台布14のそれぞれの下辺が、相互の縫着位置から両側(脇側と前中心側)に向って斜めに下がっている(傾斜している)ことである。そして、この土台布13、14の斜めの下辺に沿って、充分な引っ張り力が生じる伸縮性の素材(端部始末不要なヘムパワーネット等)が用いられていることである。このため、着用状態においてカップ4に対し、脇下土台布13は脇側に向う斜め下方向の引っ張り力を生じさせる一方、前下土台布14前中心側に向う斜め下方向の引っ張り力を生じさせる。 【0020】ここで、脇下土台布13と前下土台布14の構造をより詳細に説明するために、図1に点線で示したように、脇下土台布13の脇側末端と前下土台布14の前下側末端の距離(当接される前身頃のわたり長さ、とも言う。)をa、前下土台布14の下辺の長さをb、脇下土台布13の下辺の長さをcと定義する。図1の例では、(b+c)<aとなるような寸法設定がなされており、前下土台布14と脇下土台布13の下縁となるbとcは、縫着前の布の状態では短いものを用い、縫着の際に引き伸ばして元の布の寸法より長くして縫着している。こうすることで、前下土台布14と脇下土台布13の下縁により大きなパワーがかかる構造になっている。 【0021】その程度については、Mサイズにおいてa=15cm、b+c=14cmであり、b+cはaの約93%である。なお、b+cはaの85〜95%にできるが、90〜93%が好適である。 【0022】実施形態に係る婦人用水着の各パーツの素材を略説すると、脇上土台布11及び前上土台布12にはパワーネット、ツーウェイトリコット、丸編布地等を用いることができ、脇下土台布13及び前下土台布14には端部始末不要なヘムパワーネット、パワーネット、ストレッチレース、ツーウェイトリコット(これらの布を二つに折り返して、折り返し部分を前下土台布14と脇下土台布13の下方端部としても良い。)、ストレッチテープ等を用いることができる。カップ4にはウレタン成型品、不織布成型品、樹脂成型品の他に、縫製による成型品(不織布、ダブルラッセル、ウレタン等の樹脂シートを芯材にして縫製したもの。)を適用できる。 【0023】次に、図1,2に示す婦人用水着の作用を、図3〜図6を参照して説明する。図3は婦人用水着の胸部近傍を見た時の概念図、図4はカップ4を上下方向に切断したときの概念図、図5は図3の状態(実線の状態)から着用者が腕を振り上げた時の動きを破線で示した概念図、図6は腕を振り上げた状態(図5の破線の状態)から腕を降ろした時の動きを破線で示した概念図である。 【0024】図3に示す通り、カップ4の上部に対しては、脇上土台布11によって脇側斜辺に沿う方向の引っ張り力F1が働き、前上土台布12によって前側斜辺に沿う方向の引っ張り力F2が働く。このため、着用者が腕を振り上げると、これに連れてバストも上方に移動するが、カップ4も引っ張り力F1,2の合力により引き上げられ、バストの動きに追随することとなる。 【0025】また、カップ4の下部に対しては、脇下土台布13によって脇下に向う斜め下方向の引っ張り力F3が働き、前下土台布14によって前中心の下方に向う斜め下方向の引っ張り力F4が働く。この引っ張り力F3,F4は幾つかの優れた作用をもたらす。 【0026】例えば、脇上土台布11、前上土台布12、吊り紐等によりカップ4が上方に引かれると、脇下土台布13と前下土台布14によって斜め下方向に引っ張られる力が拮抗して、カップ4が定位置に固定され、大きくズレたりすることがない。また、脇上土台布11、前上土台布12、脇下土台布13、前下土台布14や吊り紐は伸縮性素材で構成されていることから、運動追随性が有るので腕の振りのような運動に伴う皮膚伸展にカップ4が追随しながらも元に戻ろうとする力が働く。このため、運動時にもカップ4がズリ上がる等の着崩れが生じることがない。 【0027】この場合、従来のカップ構造では上方へ吊る構造のものもあるが、下方に引くような構造のものは存在しなかった。このため、従来の問題であったカップがズリ上がるという欠点を克服できるばかりか、カップ4の下縁を肌に密着させ得るので、バストアップ等の乳房を綺麗に造型する効果も生じる。 【0028】これらの作用・効果を見方を変えて言えば、図4,5に示すようなバストアップ作用とかカップ引き下げ作用が含まれる。 【0029】参考までに、バストアップ作用を図示すると、図4のようになる。カップ4の下部に伸縮性の優れた布材(脇下土台布13及び前下土台布14)を表地である前身頃1より短くして角度を付けて取り付ければ、これら脇下土台布13及び前下土台布14は着用者のバスト下部(アンダー付近)に密着する。この密着させる力(バストを押し付ける力)はバストに近い脇下土台布13及び前下土台布14の上部ほど小さく(図4において、F5<F6)、したがってバストを上方に押し上げる力F7を生じさせる。そして、これがバストアップ効果をもたらすこととなる。 【0030】次に、カップ引き下げ作用を図示すると、図5及び図6のようになる。腕を上げない通常の状態では、水着は図5の実線のようになっているが、腕を上げると点線の状態にシフトする。すなわち、脇上土台布11と前上土台布12による引っ張り力F2でカップ4は上方に引き上げられ、これにより脇下土台布13と前下土台布14も引き上げられる。このため、脇下土台布13の下辺と前下土台布14の下辺との交叉角が小さく(鋭角に)なり、引っ張り力F1,2による引上げ力と引っ張り力F3,4による引き下げ力がバランスした状態で、カップ4はバストの位置に保持される。 【0031】腕を上げた状態から腕を下げると、図6の実線から破線のようにシフトする。すなわち、脇上土台布11と前上土台布12による引っ張り力が小さくなるので、脇下土台布13と前下土台布14による引き下げ力(引っ張り力F3と引っ張り力F4の合力)によりカップ4は下方に引き下げられる。このため、脇下土台布13の下辺と前下土台布14の下辺との交叉角が大きく(鈍角に)なり、引っ張り力F1,2による引上げ力と引っ張り力F3,4による引き下げ力がバランスした状態で、カップ4はバストの位置に保持される。 【0032】実施形態に係る婦人用水着は、折れ曲がった状態の伸縮性部材(脇下土台布13と前下土台布14の下辺に相当)を長手方向に引っ張れば、なるべく直線に近い形状になろうとする(もとに戻ろうとする)性質を利用したものであり、ゴムの応力を利用してカップを元の位置に安定させるものと言い得る。これによれば、バストの動きにカップを好適に追随し得るだけでなく、バストアップ効果も期待できる。 【0033】ちなみに、実施形態に係る婦人用水着を開発するにあたって、本発明者はカップ内蔵型の従来タイプのワンピース水着を着用した女性に、大きく片手を振り上げる挙手等の運動(上半身の運動)をさせ、その時のカップ部とバストの動きを調べた。その結果、挙手等の腕の動きに伴い、主として挙手した方のバストは大きく上下に動くが、内蔵タイプのカップはバストの動きに追随して上下に動き難く、特に下方向の追随性が充分でない場合には、カップからバストがはみ出したりするなど安定しないことが判明した。 【0034】しかし、実施形態に係る婦人用水着の場合には、脇下土台布13および前下土台布14(カップ引き部材)による下方向の引き下げ力と、脇上土台布11および前上土台布12(カップ吊り部材)による上方向の引上げ力とがバランスし、カップ4をバストの動きに追随させることが可能となった。また、下垂気味のバストや豊満なバストであっても、また激しい上半身の運動を伴う場合でも、カップ4がバストに載った状態でバスト下部がカップ4からはみ出してしまったり、カップ4の上部が浮き上がるような不具合は生じなかった。そして、バストラインが崩れて着用者に不快感を与える、というような従来品の欠点も克服でき、併せてバストアップ効果も望めることが判明した。更に付言すると、運動時のバストの揺れ防止に効果があり、サイズの融通性も高まることが判明した。 【0035】図7は、本発明の第2態様に係る婦人用水着(カップ付き女性用運動衣類の一種)の胸部近傍を肌側から見た平面図、図8は、図7に示す婦人用水着の全体構成を示す斜視図である。図8に示す通り、婦人用ワンピース水着は前身頃1と後身頃2で構成されているが、図2とは異なり前身頃1に接ぎラインはなく、フロントファスナーも設けられていない。 【0036】図7に示す通り、前身頃1の内側(肌側)には左右一対のカップ4が添えられており、これは下部を底辺とし上部を頂点とする略三角形状をなしている。そして、三角形の各辺(底辺、脇側斜辺および前側斜辺)に沿うように3本のカップ縁紐41〜43が添えられ、これを介して縫着された4枚の土台布11〜14により前身頃1に連結されている。 【0037】ここで、図1の構成と異なる点は、第1に前上土台布12が左右別体ではなく一体となっていること、第2に前下土台布14も左右別体ではなく一体となって前中心部で前身頃1には縫着されていないこと、第3に前下土台布14の下辺が前中心の下方向に斜めではなく水平になっていること、の3点である。 【0038】この実施形態の場合にも、伸縮性素材からなる前上土台布12及び前側カップ縁紐42と、同じく伸縮性素材からなる脇上土台布11及び脇側カップ縁紐41とは、カップ4の頂点より上方では相互に縫着等されることなく自由に動き得る。したがって、着用者が腕を大きく上げた(挙手した)時には、これらが協働してカップ4に対してバランスの良い引上げ力を与えることとなる。一方、脇下土台布13は概ね台形状をなし、略三角形のカップ4の底辺に沿うように設けられた下側カップ縁紐43を介してカップ4の脇側下部に縫着されており、前中心側で前下土台布14の両端部にそれぞれ縫着されている。そして、左右の脇下土台布13の脇側末端部は、それそれ前身頃1の左右の脇側に縫着等で連結されている。 【0039】ここで特徴的なことは、脇下土台布13の下辺が前下土台布14との縫着位置から脇側に向って斜めに下がっており、この脇下土台布13の斜めの下辺と前下土台布14の水平方向の下辺に沿って、充分な引っ張り力が生じる伸縮性の素材(端部始末不要なヘムパワーネット等)が用いられていることである。このため、着用状態においてカップ4に対し、左右の脇下土台布13は脇側に向う斜め下方向の引っ張り力を生じさせる一方、前下土台布14は左右一対の脇下土台布13を相互に引き寄せる引っ張り力を生じさせる。 【0040】このため、図7,8の婦人用水着の場合には、左右の脇側に向う斜め下方向の引っ張り力(左右の脇下土台布13による引っ張り力)が、左右のカップ4を一体として下方に引き下げる作用をするので、着用状態では、左右の脇下土台布13(カップ引き部材)による下方向の引き下げ力と、脇上土台布11および前上土台布12(カップ吊り部材)による上方向の引上げ力とがバランスし、カップ4をバストの動きに追随させることが可能となる。 【0041】本発明は上記の実施形態に限定されず、図9〜図16に示すような種々の変形が可能である。いずれの場合にも、図1〜図8の実施形態と同様の作用・効果を奏する。 【0042】図9の変形例では、カップ4に引上げ力を与える伸縮性の土台布10が脇側と前中心側で一枚となっている。また、カップ4の下側縁部に縫着された脇下土台布13と前下土台布14は、それぞれ略三角形状をなして底辺は前身頃1の前中心と脇部に縫着される。そして、土台布13,14の上側の斜辺がカップ4及び土台布10の下縁に縫着されており、これらはカップ4の下方で互いに縫着されることなく、交叉するように重ねて設けられている。 【0043】図10の変形例では、カップ4の脇側縁部には伸縮性の土台布10が設けられているが、前中心側縁部には土台布は設けられていない。その代わりに、カップ4の前中心側端部には左右のカップ4を連結するテープ材100が縫着されている。そして、カップ4の底辺には二本のテープ材103,104が縫着されている。すなわち、テープ材103の一端は前中心の前身頃1に縫着され、他端はカップ4の下側縁部の脇寄りに縫着されている。また、テープ材104の一端は脇側の前身頃1に縫着され、他端はカップ4の下側縁部の前中心寄りに縫着されている。 【0044】図11の変形例では、カップ引上げ部材としての土台布はなく、代わりに吊り紐105が設けられている。吊り紐105の下端はカップ4の上端に縫着され、上端は肩ストラップ兼用の腕側縁部紐19と首側縁部17の交差点付近で前身頃1に縫着されている。また、カップ4の下縁部には伸縮性の土台布10が縫着され、その下辺にはカップの下縁部中心に向って湾曲する形状の伸縮性テープ材106が縫着されている。なお、吊り紐105としては、織物や編み物による細幅のテープ材や組み紐等を用いることが可能で、あまり伸びない方が好ましいが、多少の伸縮性があることが運動追随性の点で好ましい。 【0045】図12,13は、図11の吊り紐105の別の取り付け態様を示しており、図12では吊り紐105は前身頃1の腕側縁部18に縫着され、図13では吊り紐105は前身頃1の首側縁部17に縫着されている。なお、カップ4の下縁部の伸縮性土台布10や下辺の伸縮性テープ材106については、図11の変形例と異なる点がない。 【0046】図14の変形例では、土台布10は折り畳まれて(又は、二重にされて)袋状になっており、この袋の内部にカップ4が入れられて縫着等で固定されている。袋状土台布10の上側縁部は前身頃1の首側縁部17や腕側縁部18に縫着され、下側縁部には伸縮性のテープ材107が縫い付けられて中間部(図中の矢印Aの位置)で摘ままれて屈折させられている。 【0047】本発明は、婦人用水着やフィットネスウエアのようなカップ付き女性用運動衣類に限らず、通常の女性用衣類としてのブラジャーやカップ付きドレス、カップ付きTシャツ、ショートトップ、カップ付きランジェリー等にも適用できる。 【0048】例えばブラジャーとしては、図15のようなカップ4が前身頃1の肌側に添えられるインナーカップタイプのブラジャーの他、図16のようにカップ4が前身頃1の前側(外側)に添えられるトップスタイプのブラジャーにも適用できる。図15において、カップ4の下側縁部には図1の実施形態と同様の脇下土台布13と前下土台布14が縫着されており、これらは前身頃1の肌側なので前側から見ることは出来ない。図16において、カップ4の下側縁部には図7の実施形態と同様の脇下土台布13と前下土台布14が縫着されている。そして、カップ引上げ部材は腕側縁部18で前身頃1に縫着された吊り紐105で構成されている。 【0049】 【発明の効果】本発明のカップ付き女性用衣類によれば、着用状態において左右のカップ部に作用する二方向の引っ張り力の合力が下方向に働くことになるので、カップ引き部材による下方向の引き下げ力とカップ吊り部材による上方向の引上げ力とがバランスし、カップ部をバストの動きに追随させることとなる。このため、激しい上半身の運動を伴う場合はもちろん、下垂気味のバストや豊満なバストでも、バストラインが崩れて着用者に不快感を与える、というような不具合を克服でき、併せてバストアップ効果も望める効果がある。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000139399 【氏名又は名称】株式会社ワコール
|
| 【出願日】 |
平成13年5月2日(2001.5.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088155 【弁理士】 【氏名又は名称】長谷川 芳樹 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2002−327314(P2002−327314A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月15日(2002.11.15) |
| 【出願番号】 |
特願2001−135332(P2001−135332) |
|