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【発明の名称】 エプロン
【発明者】 【氏名】森岡 万冶

【要約】 【課題】片手でワンタッチに脱着可能なのエプロンを提供する。

【解決手段】首掛け部材2は、エプロン本体1の前側上部に配設されるばね付きヒンジ4と、該ばね付きヒンジ4のヒンジ板6a・6bから人体の首周り方向に伸びて、人体の首部に掛け止めされる左右一対の半円弧状の保持腕5・5とからなる。ばね8の付勢力に抗して左右のヒンジ板6a・6bを回動させると、保持腕5・5の先端部が互いに離れる方向に展開するので、これら先端部の間に人体の首部を挿入して、エプロンを装着できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エプロン本体1と、人体の首部に掛け止めされる首掛け部材2とからなるエプロンであって、首掛け部材2は、エプロン本体1の前側上端部に取り付けられていて、ヒンジピン7を中心にして回動自在に連結される左右一対のヒンジ板6a・6bと、各ヒンジ板6a・6bから人体の首周り方向に伸びて、人体の首部に掛け止めされる左右一対の半円弧状の保持腕5・5と、両ヒンジ板6a・6bの間に配置されていて、保持腕5・5の自由端部5a・5aが互いに近づく方向に左右のヒンジ板6a・6bを付勢するばね8とからなり、ばね8の付勢力に抗して左右のヒンジ板6a・6bを回動させると、保持腕5・5の自由先端部5a・5aが互いに離れる方向に展開して、これら自由先端部5a・5aの間に人体の首部を挿入することができるようになっているエプロン。
【請求項2】 各ヒンジ板6a・6bに、該ヒンジ板6a・6bを回動操作するための操作片16・17が、前方向に向かって突設してある請求項1記載のエプロン。
【請求項3】 エプロン本体1は、人体の前部を保護する前掛け部20と、人体の背部を保護する左右一対の後掛け部21・21とからなり、後掛け部21・21の上方端部が保持腕5・5の自由先端部5a・5aに連結されている請求項1又は2記載のエプロン。
【請求項4】 エプロン本体1は、人体の腕部を通す袖部22を備えており、袖部22の先端に水滴ストッパー用の腕輪26が装着されている請求項1又は2又は3記載のエプロン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、首掛け型のエプロンに関する。このエプロンは、家庭用のエプロンだけでなく、介護用のエプロンや歯科用のエプロンに適用できる。
【0002】
【従来の技術】首掛け用の紐を備えたエプロンは広く公知である。また、割烹着のように人体頭部を通すための挿入孔を備えるエプロンもある。しかし、前者のエプロンでは、装着の際に紐を結ぶ煩わしさがある。後述のエプロンでは、頭部を挿入穴に通す際に髪型が崩れるなどの不具合がある。かかる煩わしさや不具合を解消するものとして、可撓性を有するパイプを首掛け部材として備えるエプロンがある。例えば特開昭53−19244号公報には、リング状のパイプを首掛け部材とするエプロンが開示されている。また、特開2000−27011公報には、ハート形のパイプを首掛け部材とするエプロンが開示されている。これら公報に記載のエプロンでは、パイプの自由先端部を外拡変位させて、それらの間に人体の首部を通すことにより、パイプが首周りに受け止められるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報に記載のエプロンを脱着するためには、両手でパイプの先端部を掴んで、それらを外拡変位させなければならず、片手のみでの脱着は不可能であった。
【0004】また、ベッドに寝ている被介護人や歯科の患者等に紐付きエプロンを装着する際には、頭部を持ち上げてやる必要があり、これは被介護人や患者等だけでなく、介護人等にとって大きな負担となっていた。上記公報記載のエプロンにおいても、パイプの先端を掴んで、それを首のうしろまで運ぶ必要があり、寝かした状態での装着は、簡単であるとは言えない。
【0005】本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、片手でワンタッチに脱着可能なエプロンを提供するにある。本発明の目的は、ベッドに寝ている被介護人や患者等に対するエプロンの装着を、寝かした状態のままで、片手でワンタッチに行うことができるエプロンを提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、図1および図2に示すように、エプロン本体1と、人体の首部に掛け止めされる首掛け部材2とからなるエプロンを対象とする。首掛け部材2は、エプロン本体1の前側上端部に取り付けられていて、ヒンジピン7を中心にして回動自在に連結される左右一対のヒンジ板6a・6bと、各ヒンジ板6a・6bから人体の首周り方向に伸びて、人体の首部に掛け止めされる左右一対の半円弧状の保持腕5・5と、両ヒンジ板6a・6bの間に配置されていて、保持腕5・5の自由端部5a・5aが互いに近づく方向に左右のヒンジ板6a・6bを付勢するばね8とからなる。そして、図3に示すように、ばね8の付勢力に抗して左右のヒンジ板6a・6bを回動させると、保持腕5・5の自由先端部5a・5aが互いに離れる方向に展開して、これら自由先端部5a・5aの間に人体の首部を挿入することができるようにしてある。
【0007】図7に示すように、各ヒンジ板6a・6bに、該ヒンジ板6a・6bを回動操作するための操作片16・17を、前方向に向かって突設させることができる。
【0008】図8および図9に示すように、エプロン本体1は、人体の前部を保護する前掛け部20と、人体の背部を保護する左右一対の後掛け部21とからなるものとすることができる。この場合には、保持腕5・5の自由先端部5a・5aに、後掛け部21の上方端部を連結させることが好ましい。
【0009】エプロン本体1が、人体の腕部を通す袖部22を備えるものであってもよい。この場合には、図10に示すように、袖部22の先端に水滴ストッパー用の腕輪26を装着することが好ましい。
【0010】
【発明の作用効果】本発明に係るエプロンによれば、ヒンジ板6a・6bを回動操作すれば、保持腕5・5の自由先端部5a・5aが互いに離れる方向に展開するので、図4および図5に示すように、両手を使わずとも片手だけで保持腕5・5を展開操作することができる。従って、エプロンの装着作業が片手でワンタッチに容易に行え、必要に応じて逆の手順でエプロンを取り外すことができる。また、保持腕5・5の自由先端部5a・5aの間に人体の首部を挿入してから、ヒンジ板5a・5aへの回動操作力を解くと、ばね8の付勢力により、自動的に自由先端部5a・5aが互いに近づく方向に動いて保持腕5・5が首周りに掛止されるので、エプロンがズレ落ちることもない。
【0011】加えて、エプロン本体1の前側上端部に取り付けられたヒンジ板6a・6bを回動操作するだけで、保持腕5・5を展開させてエプロンを脱着できるので、歯科の患者や被介護人などのように、ベッドに横たわった人に対するエプロンの脱着作業をベッドに横たわったままで容易に行うことができ、従来の紐付きエプロンのように、頭部を持ち上げる煩わしさがない点でも有利である。
【0012】図7に示すように、各ヒンジ板6a・6bから前方向に向かって、該ヒンジ板6a・6bを回動操作するための操作片16・17が突設されていると、洗濯バサミを摘むように、指先で操作片16・17の先端部が互いに近づく方向に操作するだけで、ヒンジ板6a・6bを回動させ、保持腕5・5の自由先端部5a・5aを互いに離れる方向に展開させることができるので、エプロンの脱着作業はより簡単となる。
【0013】本発明に係るエプロンは、図8および図9に示すようなエプロン本体1が人体の前部を保護する前掛け部20と、人体の背部を保護する後掛け部21とからなる割烹着タイプのエプロンであってもよい。このとき、後掛け部21の上方端部を保持腕5・5の自由先端部5a・5aに連結させておけば、保持腕5・5の展開動作に伴って、後掛け部21の上端部が左右に大きく開くので、この状態から人体の首部を自由先端部5a・5aの間に挿入できる。従って、従来の割烹着のように、挿通孔に頭部を通す際に髪型が崩れるなどの不具合が生じることがない。
【0014】また、袖部22の先端に、図10に示すような水滴ストッパー用の腕輪26が装着されていると、洗顔動作や水仕事などのように、手で水を扱う作業をする場合に、手先から腕方向に水が流れて、袖部22が濡れるのを防ぐことができる。従って、袖部22が濡れないように気を使う必要がなくなり、作業効率が向上する。
【0015】
【発明の実施の形態】(第1実施例) 以下、本発明の第1実施例に係る首掛けエプロンについて、図面を参照して説明する。図1において、符号1は人体の前部を保護する前垂れ状のエプロン本体を、符号2は人体の首部に掛け止めされる首掛け部材を示す。エプロン本体1は、撥水性、防水性を有する布や合成樹脂シート等を素材とする。襟部3等の縁部は、折り返し又は他の生地を合わせて、所謂縁取り処理が施されている。
【0016】図1および図2に示すように、首掛け部材2は、エプロン本体1の前側上端部の中央部、すなわち襟部3の中央部に配設されたばね付きヒンジ4と、ばね付きヒンジ4から首周り方向に伸びて、人体の首部に掛け止めされる左右一対の保持腕5・5とからなる。ばね付きヒンジ4は、エプロン本体1の襟部3にリベット10によりかしめ固定される左右一対のヒンジ板6a・6bと、両ヒンジ板6a・6bを相対回動自在に連結するヒンジピン7と、保持腕5・5の自由先端部5a・5aが互いに接近する方向(以下、閉方向と記す)に、両ヒンジ板6a・6bを回動付勢する捻りコイル形のばね8とからなる。
【0017】ヒンジ板6a・6bは、その内側縁の上下二箇所にヒンジピン7を軸支する短筒上のボス部9a・9bが一体に折り曲げ形成されたプレス成形品である。各ヒンジ板6a・6bには、リベット10用の挿通孔がそれぞれ二つずつ設けられている。なお、リベット10用の挿通孔は一つであってもよい。
【0018】ばね8は、コイル部の上端および下端のそれぞれからばね腕13・14を接線状に連出して形成してあり、これら一対のばね腕13・14が互いに離れる向きに張力を発揮する拡閉型の捻りコイルばねである。
【0019】右側のヒンジ板6bの上下のボス部9b・9bの間に左側のヒンジ板6aのボス9a・9aを差し込み、さらに後者のボス部9a・9aの間にばね8のコイル部を差し込んだ状態で、各ボス部9a・9bと、ばね8のコイル部とにヒンジピン7を挿通し、上下端に位置するボス部9b・9bをかしめ処理することにより、両ヒンジ板6a・6bは相対回動自在に連結されている。もっとも各ヒンジ板6a・6bの内側縁15が、他方のヒンジ板6a・6bの内面に当接するので、両ヒンジ板6a・6bの内角度が90°以下になることはない(図6参照)。
【0020】それぞれのヒンジ板6a・6bの外側縁には、半円弧状の保持腕5・5が斜め後ろ上方に向かって溶接固定されている。これら保持腕5・5はステンレス鋼等を素材とする。人体首部を傷つけることがないように、保持腕5の自由先端部5aには研磨処理を施して、角を取ってある。なお、この自由先端部5aにゴム製のキャップを被せてもよい。
【0021】一切の操作力を加えない状態では、図2に示すように、両保持腕5・5の自由先端部5a・5aは交差している。そして、ばね8の付勢力に抗して、図3に示すように、両ヒンジ板6a・6bが直線的となるようにヒンジ板6a・6bを回動操作すると、保持腕5・5の自由先端部5a・5aが互いに離れる方向(以下、開方向と記す)に展開する。これにより、自由先端部5a・5aの間から人体の首部を挿入することができる。そしてヒンジ板6a・6bに対する回動操作力を解除すると、ばね8の付勢力によりヒンジ板6a・6bが回動して、自由先端部5a・5aが閉方向に動くので、保持腕5・5は首周りに受け止められ、エプロンは人体の首部に掛け止めされる。
【0022】幼児などにエプロンを装着するときには、例えば図4に示すごとく、ボス部9a・9bに親指を当てながら、ヒンジ板6a・6bの内面に人差し指と中指を当てて、これら人差し指と中指でヒンジ板6a・6bを回動させて、保持腕5・5を開方向に展開させればよい。従って、第三者へのエプロン装着作業が片手でワンタッチに容易に行え、同様の手順で容易に取り外すことができる。また、使用者自身がエプロンを脱着するときには、例えば図5に示すごとく、ヒンジ板6a・6bの内面に親指を当てて、該親指でヒンジ板6a・6bを回動させればよく、この場合もエプロンの脱着作業を片手でワンタッチに行うことができる。
【0023】本実施例に係るエプロンは、家庭用のエプロンとしてだけでなく、例えば、被介護人用のエプロンや歯科現場における患者用のエプロンにも適用できる。この場合には、被介護人や患者をベッドに寝かしたままで、片手でワンタッチにエプロンを掛けることができる点が特に有利である。
【0024】(第2実施例) 本発明のエプロンの第2実施例を図7に示す。そこでは、各ヒンジ板6a・6bにL字型の金具を溶接固定し、それをヒンジ板6a・6bを回動操作するための操作片16・17としている。これによれば、洗濯ばさみを摘むように両操作片16・17が近づく方向に操作すると、ヒンジ板6a・6bを回動させて、保持腕5・5を開方向に展開させることができる。従って、ヒンジ板6a・6bの回動操作はより容易となる。
【0025】(第3実施例) 本発明の首掛けエプロンの第3実施例を図8および図9に示す。そこでは、エプロン本体1を所謂割烹着のような形状としている。具体的には、エプロン本体1は、人体前部を保護する前掛け部20と、人体背部を保護する左右一対の後掛け部21・21とからなる。前掛け部20の上部の左右には、腕を通すための袖部22・22を設けてある。後掛け部21・21は、人体肩部から下方に向かって垂れており、背中部分は大きく開いている。エプロン本体1は、撥水性、防水性を有する布や合成樹脂シート等を素材とする。
【0026】図9に示すように、保持腕5の自由先端部5aは左右下方向にU字状に折り返されており、この折り返し部23に後掛け部21の上端が縫着により連結されている。それ以外の首掛け部材2の構成は、上述の第1実施例と何ら変わるところはないので、その説明は省略する。
【0027】図10に示すように、袖部22の袖口25にはゴム等の伸縮材を入れて、袖口25を絞っている。袖口25には水滴ストッパー用の腕輪26が付けられている。この腕輪26は、中央に手首を通すことができる程の貫通孔27を備えて縮拡径自在な円筒部28と、該円筒部28よりも大径の鍔部29とからなる。円筒部28は、伸縮性および弾性を有するポリウレタンフォーム等を素材とする。鍔部29は軟質の合成樹脂やゴム等を素材とする。このように袖口25に水滴ストッパー用の腕輪26を設けておけば、洗顔や水仕事のときに、水が逆流して袖口25を濡らすのを防ぐことができる。なお、上記腕輪26は、図11に示すように、円筒状の腕輪本体30に、上向き開放状の水受部31を有するものであってもよい。
【0028】前掛け部20には、袋部33を形成してある。この袋部33には、調理具等の各種小物を入れることができる。また、前掛け部に付着して下方に落ちる水は、袋33で受け止められるので、洗顔時等において、床が水浸しになることもない。
【0029】前掛け部20の右脇部には、バンド部材35が取り付けられており、このバンド部材35の先端部36には係合部材が設けられている。また、前掛け部20の左脇部には、前述の係合部材と係合する被係合部材37が設けられている。つまり、一方にマジックテープ(登録商標)の鉤型或いはキノコ型の小片が設けられ、他方にオスホックが設けられている。バンド部材35を身体の後に回して、その先端部36の係合部と被係合部37とを係合させれば、エプロン本体1を身体に沿って安定的にフィットさせることができる。従って、洗顔動作のような前屈み姿勢をとったときにも、前掛け部20が身体から大きく離れることがない。
【0030】上記構成からなるエプロンを装着するには、まず、袖部22に人体腕部を通して、袖口25から手首を出す。次に、ばね8の付勢力に抗して両ヒンジ板6a・6bを回動操作して、保持腕5・5を開方向に展開させ、後掛け部21・21を左右に開く。この状態から、自由先端部5a・5aの間に人体の首部を挿入する。最後にバンド部材35の先端部36を被係合部37に係合させて、エプロン本体1を身体に沿ってフィットさせる。エプロンを脱ぐには、逆の手順をとればよい。
【0031】上述のヒンジ板6a・6bの回動操作も、図5に示したごとく、ヒンジ板6a・6bの内面に親指を当てて片手でワンタッチで行うことができる。図7のように、ヒンジ板6a・6bに操作片16・17が設けられている場合には、これら操作片16・17を摘んで、ヒンジ板6a・6bを回動操作すればよい。
【0032】以上のように、本実施例に係る首掛けエプロンによれば、保持腕5・5の自由先端部5a・5aに後掛け部21・21の上端を連結したので、保持腕5・5の開き動作に伴って、後掛け部の上端が左右に大きく開くことができ、従って、従来の割烹着のように、頭部を挿通孔に通す際に髪型が乱れるなどの不具合は生じない。また、保持腕5・5の開閉操作を片手でワンタッチで行うことができるので、エプロンの脱着も極めて容易である。水滴ストッパー26が袖口25に設けられているので、洗顔や水仕事のときに、袖口25が濡れることがない。前掛け部20に袋部33が設けられているので、水仕事をした際に床が水浸しになることもない。
【0033】上記1ないし3の実施例においては、ヒンジ板6a・6bはエプロン本体1に固定されていたが、凹型と凸型のスナップのような係脱自在な部材により、ヒンジ板6a・6bをエプロン本体1に取り付けて、必要に応じてエプロン本体1と首掛け部材2とを分離できるようにしてもよい。これによれば、エプロン本体1のみの洗濯が可能となる。
【出願人】 【識別番号】593059175
【氏名又は名称】三晃工業株式会社
【出願日】 平成13年4月24日(2001.4.24)
【代理人】 【識別番号】100077920
【弁理士】
【氏名又は名称】折寄 武士
【公開番号】 特開2002−317317(P2002−317317A)
【公開日】 平成14年10月31日(2002.10.31)
【出願番号】 特願2001−125490(P2001−125490)