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【発明の名称】 ヒータを組み込んだベスト状の着衣
【発明者】 【氏名】坂北 千恵

【要約】 【課題】使用していることが外観上他人に分からないとともに、本人にとっての異物感も伴わず、しかも、ヒータユニットの部分のみを取り外して任意の身体部位に当てて独立にも使用できるようにしたヒータを組み込んだベスト状の着衣を提供する。

【解決手段】ヒータを組み込んだベスト状の着衣は、背中側に対応する背布21と、この背布に少なくとも両肩部分で接続し、胸側に対応する一対の前布22,22と、背布21の外側または内側に着脱自在に取り付ける可撓性のヒータユニット10とを備える。そして、ヒータユニット12は、面状に形成し、背布21側から両脇部を経由して前布22,22側で着脱自在に連結する少なくとも一対の帯紐13,13を備える。また、ヒータユニット10は、バッテリパックを装填した携帯用のコントローラ12を介して温度設定可能にコントロールするとともに、これを背布21から取り外し、所望の身体部位に当てて独立使用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 背中側に対応する背布と、該背布に少なくとも両肩部分で接続し、胸側に対応する一対の前布と、前記背布の外側または内側に着脱自在に取り付ける可撓性のヒータユニットとを備え、前記ヒータユニットは、面状に形成し、バッテリパックを装填した携帯用のコントローラを介して温度設定可能にコントロールするとともに、前記背布側から両脇部を経由して前記前布側で着脱自在に連結する少なくとも一対の帯紐を備え、前記背布から取り外して独立使用可能としたことを特徴とするヒータを組み込んだベスト状の着衣。
【請求項2】 前記コントローラは、前記ヒータユニットを通電時間設定可能にコントロールすることを特徴とする請求項1記載のヒータを組み込んだベスト状の着衣。
【請求項3】 前記コントローラは、充電器を兼ねる交流直流変換器を備え、該交流直流変換器を介して商用電源で前記ヒータユニットを駆動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒータを組み込んだベスト状の着衣。
【請求項4】 前記ヒータユニットは、前記背布を兼ね、該背布を兼ねるヒータユニットと前記一対の前布とは、着脱自在に接続することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のヒータを組み込んだベスト状の着衣。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乾式のバッテリの高性能化に着目し、携帯可能なバッテリを主な電源とするヒータを組み込んだベスト状の着衣に関する。
【0002】
【従来の技術】必用な身体活動をしながら暖をとる一般的な手段としてのカイロが普及している。カイロは、金属粉が酸化する際に発生する酸化熱を熱源とし、この熱を人体に対して適当な温度に維持するとともに、発熱持続時間を延長するために、金属粉の他に蓄熱材料、酸化促進材料等を含む固形の混合物からなり、一回使用分毎に適度な寸法の不織布製の袋に分包した状態で提供され、使い捨て使用される。また、カイロの一回使用分の分量は、通常、子供の握りこぶし大程度である。
【0003】このようなカイロは、包装袋ごとよく揉み解し、快適と感じる身体部位に当てて用いられる。この際、カイロを所望の身体部位に位置決めする方法としての定型的な方法はなく、利用者側の工夫に委ねられている。例えば、腰部にカイロを当てたい時は、使い古しのストッキングの中間部にカイロを装填し、これを腰部に当てた上、ストッキングの端部を身体の前に回して結わえる等である。また、このような不便を解決するために、包装袋の片方の面に粘着剤を塗布したカイロが提供されている。このカイロは、粘着剤を利用して衣服に貼着することによって、身体の随意の位置にカイロを位置決め保持することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、使い捨てカイロの問題点の一つは、カイロを所望の身体部位に位置決めすることがその構成上難しいということである。そして、この問題を粘着剤を利用して解決しようとする技術には、カイロが使い捨て使用される物品であるという観点からして、粘着剤中に何らかの環境汚染物質が含まれるおそれがあるのではないかという別の問題が生じる。また、別に、カイロには、一回使用分量が子供の握りこぶし大程度の分量であることから、使用上、異物感を伴い、さらに、どのような方法で使用したとしても、カイロを使用している身体部位が膨出した形態となることを避けることが出来ない。このため、職場での使用やスマートな服装での使用がはばかられるという問題がある。また、年寄り扱いされるのではないかという心理的な抵抗感もある。
【0005】本発明は、このような実情に鑑み、使用していることが外観上他人に分からないとともに、本人にとっての異物感も伴わず、しかも、ヒータユニットの部分のみを取り外して任意の身体部位に当てて独立にも使用できるようにしたヒータを組み込んだベスト状の着衣を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するための手段として本発明は、次のような構成を採用する。
【0007】ヒータを組み込んだベスト状の着衣は、背中側に対応する背布と、この背布に少なくとも両肩部分で接続し、胸側に対応する一対の前布と、背布の外側または内側に着脱自在に取り付ける可撓性のヒータユニットとを備え、このヒータユニットは、面状に形成し、バッテリパックを装填した携帯用のコントローラを介して温度設定可能にコントロールするとともに、背布側から両脇部を経由して前布側で着脱自在に連結する少なくとも一対の帯紐を備え、背布から取り外して独立に使用可能としたことを特徴とする。
【0008】この構成によれば、着衣全体は、ベスト状に形成されているので、上着としても下着としても手軽に利用することができる。この際、背布に取り付けられたヒータユニットは、面状に形成され、しかも、可撓性を有するので、利用者に異物感を与えないとともに、ヒータユニットを取り付けることによる厚みの増加を最小限に抑えることができる。ヒータユニットは、携帯用のコントローラに装填されているバッテリパックから給電することによって、ベスト状の着衣を着用したときにヒータユニットに面する身体部位を暖めることができる。なお、この際のヒータユニットの温度は、自由に設定可能であり、利用者は、使用状況に合わせて最適な温度を選択することができる。さらに、ヒータユニットは、背布から取り外して独立に使用することができる。そして、独立使用に際しては、取り外したヒータユニットを随意の身体部位、例えば、腰部に当てるとともに、ヒータユニットに取り付けられた一対の帯紐を身体の前側に回して連結することによって位置決めすることができる。
【0009】ヒータを組み込んだベスト状の着衣におけるヒータユニットのコントローラは、ヒータユニットを通電時間設定可能にコントロールする構成とすることができる。
【0010】この構成によれば、例えば、就寝時に利用する際に、通電時間を事前に設定することによって、身体を暖めながら快適に睡眠状態に入り、寝入った以後のバッテリの消耗を抑制することができる。
【0011】ヒータを組み込んだベスト状の着衣におけるヒータユニットのコントローラは、充電器を兼ねる交流直流変換器を備え、交流直流変換器を介して商用電源でヒータユニットを駆動する構成とすることができる。
【0012】この構成によれば、バッテリが消耗した時には、充電器としての交流直流変換器によって充電しての反復利用が可能であり、また、身体の動きを伴わないデスクワークや就寝時の使用に際しては、バッテリを利用することなく商用電源を利用してヒータユニットを駆動し、バッテリの消耗を防止することができる。
【0013】ヒータを組み込んだベスト状の着衣におけるヒータユニットは、着衣の背布を兼ね、この背布を兼ねるヒータユニットと一対の前布とを着脱自在に接続する構成とすることができる。
【0014】この構成によれば、ベスト状の着衣は、背布としてのヒータユニットと一対の前布とから構成され、独立の背布を省略することができるので、コストを切り下げることができる。また、ヒータユニットは、着脱自在である一対の前布を取り外すことによって独立に使用することもできる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を引用しながら本発明の実施の形態例を説明する。
【0016】ヒータを組み込んだベスト状の着衣(以下、単に「着衣」という)は、背布21と、一対の前布22,22と、ヒータユニット10とを主要部材としてなり、ヒータユニット10には、バッテリパックを装填したコントローラ12が付属する(図1(A),(B))。
【0017】背布21は、着衣状態において身体の背中側に対応する布地であり、これに対し、一対の前布22,22は、身体の胸側に対応する布地である。背布21と一対の前布22,22とは、両肩に対応する左右の肩線L1,L1と、両脇に対応する左右の脇線L2,L2とにおいて縫合され、着衣は、全体として、首明きH1と左右の腕明きH2,H2とを有するベスト状に形成されている。なお、一対の前布22,22の合わせ部分には、務歯を列設してなる一対のファスナf3,f4が縫着され、着衣の前を開閉することができるようになっている。
【0018】ヒータユニット10は、表裏の布地の間に可撓性の面状ヒータ11を挟み込み、全体として背布21と同じ形状に形成したものである。このヒータユニット10は、首下部と左右の肩部に面ファスナf1,f1…を備え、背布21の対応する位置に取り付ける面ファスナf2,f2…に貼り合わせることによって、背布21の内側に着脱自在に取り付けられている。
【0019】なお、ヒータユニット10における面状ヒータ11は、ヒータユニット10の全体に及ぶものではなく、所要電力を抑える観点から、首下から両肩部および背筋方向に伸びる略T字形に形成され、部分的に挟み込まれている。また、ヒータユニット10の一方の肩部には、表裏の布地の間に配線した内部配線を介して面状ヒータ11に接続するスナップボタン方式のコネクタ11b,11bが配設され、両脇部には、先端部に面ファスナf1,f1を貼着した一対の帯紐13,13が取り付けられている。この帯紐13,13は、例えば、衣類用ゴムバンドのように適度の伸縮性を有し、一対の前布22,22に形成した紐通し22h,22h内に収納されている。
【0020】また、一方の前布22の肩部の裏面および下縁寄りの前面には、それぞれ、一対のコネクタ11c,11c、11e,11eが取り付けられ、上下の対応するコネクタ11c,11c、11e,11e間は、内部配線11d,11dによって通電可能に接続されている。上位置のコネクタ11c,11cは、ヒータユニット10のコネクタ11b,11bと嵌め合せて接続するためのものであり、下位置のコネクタ11e,11eは、コントローラ12に接続するために設けられている。すなわち、ヒータユニット10のコネクタ11b,11bは、面ファスナf1,f1,f2,f2を介してヒータユニット10を背布21の内側に取り付ける際に、前布22の上位置のコネクタ11c,11cに嵌め込んで電気的に接続される。
【0021】ここで、コントローラ12について説明すると(図1,図2)、コントローラ12は、樹脂製のケースの内部に所定の電圧になるように接続した複数単位の水素ニッケル電池からなる充電式のバッテリパックと、充電器を兼ねる交流直流変換器を備え、ケースの前面には、電源スイッチを兼ねるオフタイマスイッチ12aと温度設定器12bとが設けられている。また、ケースの側面には、2ピンのソケット12cが設けられている。
【0022】ケースの裏面には、ヒータユニット10のコネクタ11b,11bまたは前布22のコネクタ11e,11eに接続可能な一対のコネクタ12e,12eが設けられるとともに、コントローラ12を携帯する際に衣服のポケット等に掛ける目的の掛け金具12dと、コントローラ12を衣服の任意の箇所に粘着固定するための感圧性の粘着テープ12fが付設されている。そして、コントローラ12は、コネクタ12e,12eを前布22のコネクタ11e,11eに差し込むことによって、前布22の前面に固定されている。すなわち、コネクタ12e,12eは、コントローラ12の取付け部材を兼ねているのである。
【0023】なお、コントローラ12には、両端に2ピンのソケット12cに接続可能なプラグP2と電源プラグP1とを備えたAC電源コード12Gと、両端にコントローラ12側のコネクタ12e,12eとヒータユニット10側のコネクタ11b,11bに接続可能な二対のコネクタ12n,12n,12m,12mとを備える延長コード12Hが付属している。また、2ピンのソケット12cは、コントローラ12内部の交流直流変換器の入力用のものである。
【0024】次いで、他の実施の形態について順次に説明する。
【0025】ヒータユニット10の形状、寸法は、背布21と異なるものとすることができる(図3(A),(B))。面状ヒータ11を挟み込んでなるヒータユニット10の背丈S1は、着衣の背布21の背丈の半分程度とし、ヒータユニット10を独立使用する際の便宜性を高めた。これによって、ヒータユニット10の帯紐13,13の位置は、腕明きH2の中間位置となるが、着用上の支障はない。また、帯紐13,13を収納する前布22,22の紐通し22h,22hは、帯紐13,13の位置に合わせて変更した。なお、前布22,22の紐通し22h,22hは、必ずしも必用ではなく、紐通し22h,22hを省略して帯紐13,13を前布22,22の前面で連結するようにしてもよい。
【0026】着衣における背布21と前布22,22とは、左右の肩線L1,L1のみで縫合し、ヒータユニット10の帯紐13,13…は、左右各2本とした(図4(A),(B))。したがって、着衣の腕明きH2は、脇明きに連続する形態となり、前布22,22の紐通し22h,22h…は、それぞれ、上下2箇所に設けられている。そして、一方の前布22の前面には、コントローラ12取り付けるためのコネクタ11e,11eが設けられ、このコネクタ11e,11eは、内部配線11d,11dと肩部のコネクタ11b,11bを経由して面状ヒータ11に接続されている。また、面状ヒータ11は、首回りから両肩および背筋に伸びる形状としてある。着衣は、一対の前布22,22の紐通し22h,22h…に帯紐13,13…を挿通して左右の帯紐13,13…の端部を連結して着用するので、前布22,22が不安定になることはない。なお、帯紐13,13…は、伸縮性を有するものに限らず、結わえて連結することを前提に、例えば、単なる布紐や装飾組み紐等を用いてもよい。
【0027】そして、この形態の着衣においても、ヒータユニット10の形状等は、背布21の範囲内で自由にデザインすることができる(図5(A),(B))。ヒータユニット10は、背布21の首回りと両肩部分に対応する小サイズのものとしてある(図5(A))。ヒータユニット10独立使用に際して、より目立たなくする趣旨である。
【0028】ヒータユニット10は、楕円形の小サイズのものとしてある(図5(B))。ヒータユニット10の独立使用に際して、ヒータユニット10を一対の帯紐13,13で随意の身体部位に固定し易い形状とする趣旨である。
【0029】さらに、ヒータユニット10は、背布21を兼ねるものとすることができる(図6)。この形態における背布21を兼ねるヒータユニット10と一対の前布22,22とは、ヒータユニット10の独立使用を可能とするために、着脱自在としてある。すなわち、一方の前布22とヒータユニット10とは、肩線L1位置において、ヒータユニット10のコネクタ11b,11bと前布22のコネクタ11c,11cとをボタン代わりにして接続してあり、他方の前布22とヒータユニット10とは、肩線L1部分に設ける面ファスナf1を介して接続してある。したがって、嵌合しているコネクタ11b,11b,11c,11cを抜くとともに、面ファスナf1を剥がすとヒータユニット10が独立することとなる。この際、ヒータユニット10に対する給電は、コネクタ11b,11bに延長コード12Hを介してコントローラ12を接続することによって可能となる。
【0030】上記いずれの実施の形態においても、着衣の使用方法は、共通である。すなわち、着衣は、ベスト状に形成されているので、上着として他の衣類の上から羽織るようにして着用してもよく、下着、中着として着用してもよい(図7)。次いで、オフタイマスイッチ12aを操作して、電源を入れ、通電時間を設定する。また、通電時間内における面状ヒータ11の温度は、使用環境に応じて温度設定器12bを操作することによって任意に設定することができる。このときヒータユニット10の面状ヒータ11は、対応する身体部位を暖めることができる。また、異なる身体部位を暖めたいときは、背布21からヒータユニット10を取外し、コネクタ11b,11bに延長コード12Hを介してコントローラ12を接続して用いる。
【0031】例えば、腰に適用したいときは、ヒータユニット10を腰にあてて帯紐13,13を前に回して接続すればよい(図8)。また、腹部が冷えた時は、そのままヒータユニット10を腹部側に回せば足りる。この際、コントローラ12は、衣類のポケットに収納してもよく、ケース裏面の掛け金具12dを利用してポケットにかけてもよい。また、ケースは、ヒータユニット10を使用する姿勢において邪魔にならない位置に移動させた上、感圧性の粘着テープ12fを利用して任意の位置に固定することができる。
【0032】なお、着衣は、その全体として利用する場合にも、ヒータユニットを独立させて利用する場合にも、冬季等において就寝時に睡眠を促す用途にも使用することもできる。この場合には、オフタイマスイッチ12aによって通電時間を設定するとともに、温度設定器12bによって温度を自由に設定することにより、無意識中における低温やけどや、過熱事故等を未然に防止することができるので、安全である。
【0033】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のヒータを組み込んだベスト状の着衣は、ベスト状の形態に形成されているので、上着としても下着としても簡単に着用することができるとともに、ヒータユニットに通電することによって対応する身体部位を暖めることができるので、身体の特定部位の冷えによる様々な不快症状を緩和することができる。この際、ヒータユニットが可撓性を有する面状に形成されているので、使用していることが外観上他人に分からないとともに、本人にとっての異物感も回避される。しかも、ヒータユニットは、少なくとも一対の帯紐を備え、ヒータユニットの部分のみを取り外して任意の身体部位に当てて独立にも使用できるので、冷える身体部位の個人差にも簡単に対応するとができる。なお、背布に取り付けたヒータユニットは、携帯用のコントローラのバッテリを電源としているので、日常活動を阻害することなく使用可能であり、室内使用に限らず、夜釣り、冬山登山、キャンプ等のアウトドア活動におけるウオーマとして広く活用することができる。
【0034】
【出願人】 【識別番号】300088496
【氏名又は名称】坂北 千恵
【出願日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−294505(P2002−294505A)
【公開日】 平成14年10月9日(2002.10.9)
【出願番号】 特願2001−100893(P2001−100893)