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【発明の名称】 ゴム製手袋の製造方法
【発明者】 【氏名】上林 貢

【氏名】寺脇 延宏

【氏名】竹内 泰平

【要約】 【課題】ゴム製手袋の外面と内面の双方に非粘着性で滑性のある樹脂皮膜を形成して装脱着性が良好で、かつ手袋外面相互がブロッキングすることのないゴム製手袋の製造方法を提供する。

【解決手段】表面に凝固剤の付着とともに第1合成樹脂皮膜を形成した手型を用い、この第1合成樹脂皮膜上にラテックス膜よりなる手袋基体を形成したのち、手袋基体の表面に第2合成樹脂皮膜を形成してから反転脱型することにより、外面と内面の双方に非粘着性で滑性のある樹脂皮膜を形成したゴム製手袋を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 手型を凝固剤を分散した第1の合成樹脂エマルジョン液に浸漬し、乾燥して該手型表面に凝固剤の付着とともに第1樹脂皮膜を形成する工程、上記表面に第1樹脂皮膜を形成した手型をゴムラテックスに浸漬し、引き上げ乾燥して、上記手型の皮膜上にゲル状のラテックス膜からなるゴム製手袋基体を形成する工程、上記ゴム製手袋基体を表面に形成した手型を第2の合成樹脂エマルジョン液に浸漬したのち、引き上げ加熱乾燥して上記手袋基体表面に第2樹脂皮膜を形成する工程、および上記第2樹脂皮膜を形成した手型を反転脱型させる工程、とからなり、手袋基体の外面と内面の双方に樹脂皮膜を形成することを特徴とするゴム製手袋の製造方法。
【請求項2】 第1および第2の合成樹脂エマルジョン液がポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂あるいはポリエステル樹脂を皮膜形成成分とするエマルジョン液であることを特徴とする請求項1に記載のゴム製手袋の製造方法。
【請求項3】 凝固剤が硝酸カルシウム水溶液あるいは塩化カルシウム水溶液であることを特徴とする請求項1に記載のゴム製手袋の製造方法。
【請求項4】 ゴムラテックスが天然ゴムラテックスあるいは合成ゴムラテックスであることを特徴とする請求項1に記載のゴム製手袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ゴム製手袋の製造方法に関し、詳しくは手袋の外面と手指を嵌める内面の双方に皮膜を有し、滑性にすぐれていて装着性がよく、かつ手触りの感触のよい家庭用並びに電子精密部品や、医療分野における作業用手袋として使用するに適した粉末フリーのゴム製手袋を効率よく連続生産にて得ることができる製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、家庭用あるいは作業用手袋として塩化ビニル樹脂製の手袋が広く使用されている。しかし、塩化ビニル樹脂製手袋は石油類、溶剤等に触れると、塩化ビニル中の可塑剤が溶出してしまって硬化し、亀裂が生じやすくなるため、長時間の使用には耐えられないという問題があった。
【0003】このようなことから、塩化ビニル樹脂製手袋に代わって、天然ゴムあるいはアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)のような合成ゴムを基材とするゴム製の手袋が製造され、使用されている。これらのゴム製手袋は、加硫剤を含む天然ゴムあるいはNBRのラテックスに凝固剤を表面に付着させた手型を浸漬し、表面にゲル状ラテックス層を形成させ、加熱乾燥によって伸縮性に富む硬化ゴムフィルムとしたのち、反転脱型することで得られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ゴム表面は滑性に乏しいため、上記脱型の際に反転したゴム表面が互いにくっつき合って脱型が困難であるという問題や、得られた手袋は、ゴム特有の粘着性が大きいために装脱着時に手指にくっついてしまって着脱がスムースに行えないという問題があった。また、シボ等の模様が表面に施されている手型を用いた場合、反転脱型して得た手袋の外表面にはそのシボ模様が形成されることから、使用するゴムラテックスの種類によっては手袋相互の密着が緩和されることもあるが、不十分である。
【0005】このため、天然ゴムあるいはNBRのラテックスに浸漬する前の手型の表面に凝固剤を付着させる時に、剥離剤を加えた凝固剤を用いる方法や、脱型した手袋を粉体を含有する合成樹脂エマルジョンで処理する方法などが行われている。
【0006】さらに、手型表面にゲル状ラテックス層を形成したのちに、滑剤を含んだ合成樹脂エマルジョン液に浸漬し、加熱硬化して滑性を有する樹脂皮膜を表面に形成したり、ラテックス層表面に粉体を付着させて滑性を施した後に脱型する方法も実施されている。
【0007】しかしながら、脱型する前であっても、後であっても滑性を与える手段として粉体を用いる方法により得られた手袋は、装着使用する際に脱落する粉体が悪影響を及ぼすことが懸念されるため、精密電子部品を取り扱う分野や医療分野では使用されない。また、上記した脱型後の手袋表面に処理を施すことは、製造工程が煩雑になるだけでなく経済的な見地からも好ましくない。
【0008】この発明はゴム製手袋における上記した種々の問題点を解消するものであり、粉体等を用いることなく、ゴム製手袋の外面の粘着の除去と、手指を嵌める内面の滑性付与の双方を満足させることができる製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、手型を凝固剤を分散した第1の合成樹脂エマルジョン液に浸漬し、乾燥して該手型表面に凝固剤の付着とともに第1樹脂皮膜を形成する工程、上記表面に第1樹脂皮膜を形成した手型をゴムラテックスに浸漬し、引き上げ乾燥して、上記手型の皮膜上にゲル状のラテックス膜からなるゴム製手袋基体を形成する工程、上記ゴム製手袋基体を表面に形成した手型を第2の合成樹脂エマルジョン液に浸漬したのち、引き上げ加熱乾燥して上記手袋基体表面に第2樹脂皮膜を形成する工程、および上記第2樹脂皮膜を形成した手型を反転脱型させる工程、とからなり、手袋基体の外面と内面の双方に樹脂皮膜を形成するゴム製手袋の製造方法を特徴とする。
【0010】上記請求項1に記載の発明において、第1および第2の合成樹脂エマルジョン液がポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂あるいはポリエステル樹脂のエマルジョン液であること(請求項2)、また凝固剤が硝酸カルシウムあるいは塩化カルシウムであること(請求項3)、さらにゴムラテックスが天然ゴムラテックスあるいは合成ゴムラテックスであること(請求項4)を特徴とするものである。
【0011】請求項1に記載した発明によれば、金属製あるいは陶磁器製の手型を天然ゴムラテックスあるいは合成ゴムラテックスに浸漬し、乾燥してラテックス層からなる手袋基体を得る前に、凝固剤を分散した第1の合成樹脂エマルジョン液に手型を浸漬して該手型表面に凝固剤を付着せしめるとともに第1樹脂皮膜を形成すること、該第1樹脂皮膜を形成した手型を天然ゴムラテックスあるいは合成ゴムラテックスに浸漬し、乾燥してラテックス層からなる手袋基体を得ること、さらに、手袋基体を形成した手型の表面に第2の合成樹脂皮膜を形成すること、により、反転脱型して外面と内面の双方に樹脂皮膜を有する手袋を得るものであり、内面の滑性のある樹脂皮膜によって手指の装脱着がスムースに行えるとともに、外面の樹脂皮膜によって手袋同志の粘着を防止することができるのである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明を詳細に説明する。この発明は、手型をゴムラテックスに浸漬して手袋基体を形成するに先立って、凝固剤を分散せしめた第1の合成樹脂エマルジョン液に浸漬し、乾燥して手型表面に凝固剤の付着とともに第1樹脂皮膜を形成させるものであるが、この第1合成樹脂エマルジョン液としては、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂あるいはポリエステル樹脂等、エマルジョン液中に凝固剤を分散させたときに凝固あるいは凝集せず安定な液状態を保つものが望ましく、ノニオン性のエマルジョン液が好ましい。
【0013】上記のなかでも伸びや弾性を有するポリウレタン樹脂のノニオン性エマルジョン液が好適であり、その上に形成される手袋基体としての天然ゴムやNBRからなる膜の伸びに追従し得ることが必要であることから、500〜1000%の伸びが得られる樹脂皮膜を形成することが好ましい。この第1合成樹脂エマルジョン液により形成される第1樹脂皮膜は得られた手袋の外表面を構成するものであり、該外表面相互の付着を防止するためには、第1合成樹脂エマルジョン液の濃度は2〜10重量%(好ましくは3〜5重量%)が適当である。これは、エマルジョン液の濃度が2重量%以下では充分な付着防止が果たせず、また10重量%以上の濃度の液を用いても樹脂皮膜が厚くなるだけで付着防止の効果は同じであるので不経済である。
【0014】上記第1合成樹脂エマルジョン液に分散せしめる凝固剤としては、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸ナトリウムなどの無機金属塩で天然ゴムラテックスやNBRなどの合成ゴムラテックスを凝固させ得るものが用いられ、中でも硝酸カルシウム、塩化カルシウムの水溶液あるいはアルコール溶液が好ましく用いられる。硝酸カルシウム水溶液あるいはアルコール溶液を用いる時の濃度は、ゴムラテックス層の厚みを調整するためにその浸漬時間とともに決められるものであるが、この濃度が5重量%以下では浸漬時間を長くしなければならず不経済であり、また30重量%以上になると溶解性の点から低温時に結晶が析出するので5〜30重量%(好ましくは10〜25重量%)が適当である。
【0015】硝酸カルシウム水溶液が上記の範囲内の濃度であっても、その使用量が多い場合には、第1合成樹脂エマルジョン液の安定性を保つために界面活性剤、特にポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルあるいはソルビタン脂肪酸エステルなどのノニオン性の界面活性剤を用いることが好ましい。
【0016】この第1合成樹脂エマルジョン液には、樹脂皮膜の硬化と耐水性を目的としてメラミン樹脂やブロックイソシアネートなどの架橋剤を添加したり、スリップ防止に粒径30〜80μmのマイカやシリカなどの無機粉体、ポリメチルメタクリレートのような有機粉体を用いることができ、このほか分散剤、湿潤剤、消泡剤、増粘剤、防腐剤などの各種添加剤を必要に応じて適宜添加することができる。
【0017】第1樹脂皮膜を表面に形成した手型は、次いでゴムラテックスに浸漬され、第1樹脂皮膜上に手袋基体を構成するラテックス層が形成されるが、ゴムラテックスとしてはNBRラテックス、天然ゴムラテックスが用いられる。
【0018】ゴムラテックス層からなる手袋基体を形成した手型の該手袋基体表面に第2樹脂皮膜を形成するに使用する第2合成樹脂エマルジョン液の主成分としては、上述の第1合成樹脂エマルジョン液の場合と同様にポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂あるいはポリエステル樹脂などが用いられるが、なかでも伸びや弾性を有するポリウレタン樹脂エマルジョン液が好適である。そのようなポリウレタン樹脂としては、有機ジイソシアネートと反応させるポリオールがポリエステルポリオールでもポリエーテルポリオールでもよいが、得られたエマルジョン液を用いて上記ゴムラテックス層からなる手袋基体上に形成した第2樹脂膜が手袋基体であるゴムラテックス層の膜の伸びに追従し得ることが必要であることから、500〜1000%の伸びを有する樹脂皮膜が形成できるものが好ましい。
【0019】この第2合成樹脂エマルジョン液には上述した主成分としてのポリウレタン樹脂エマルジョンのほか、ポリエチレンワックスエマルジョン、シリコーン樹脂エマルジョン、ステアリン酸あるいはステアリン酸の金属塩エマルジョンなどが用いられる。
【0020】ポリエチレンワックスエマルジョンは、70〜80℃の熱い手型から反転脱型させて手袋を得るときに、表面に滑性を保持させるために用いるものであり、ポリエチレンの軟化点が80〜160℃(好ましくは140〜150℃)の範囲のものが適当である。その濃度は0.01〜1.0重量%(好ましくは0.04〜0.4重量%)が適当である。これは0.01重量%以下の濃度では充分な滑性が期待できず、また1.0重量%以上では表面に光沢が生じて好ましくないためである。
【0021】シリコーン樹脂エマルジョンは、脱型後の手袋表面に滑性を付与するために用いるが、移行して手に付着することを防止するために、分子量が10万以上を有するシリコーン樹脂が好ましい。このシリコーン樹脂エマルジョンの濃度は0.01重量%以下では手袋表面の滑性が不足し、0.2重量%以上では移行して手に付着することがあるので、0.01〜0.2重量%(好ましくは0.05〜0.1重量%)が適当である。また、ステアリン酸あるいはステアリン酸の金属塩エマルジョンも同じような目的をもって用いるが、分散粒子のできるだけ小さい、例えば1.0μm以下が好ましく、また、ステアリン酸よりも融点の高いステアリン酸亜鉛やステアリン酸カルシウムのエマルジョンが適当である。
【0022】上記したような組成からなる第2合成樹脂エマルジョン液の濃度は、均一な表面層ならびに表面層に滑性を付与するために2〜15重量%(好ましくは3〜5重量%)が適当である。
【0023】この第2合成樹脂エマルジョン液には、上記したほかに樹脂皮膜の硬化と耐水性を目的としてメラミン樹脂やブロックイソシアネートなどの架橋剤を添加したり、マイカやシリカなどの無機粉体、ポリメチルメタクリレートのような有機粉体、このほか分散剤、湿潤剤、消泡剤、増粘剤、防腐剤などの各種添加剤を必要に応じて適宜添加することができる。
【0024】次に、この発明のゴム手袋の製造方法の一例を工程順に説明すると、(1)陶磁器あるいは金属製手型を30〜90℃に予備加熱する、(2)予備加熱した手型を凝固剤を分散した第1の合成樹脂エマルジョン液に浸漬したのち、70〜150℃で乾燥する、(3)表面に凝固剤の付着とともに第1樹脂皮膜を形成した手型を、配合された20〜30℃のゴムラテックスに浸漬し、70〜120℃で予備乾燥する、(4)第1樹脂皮膜上にラテックス層を形成した手型を40〜90℃の温水中に浸漬して残留する凝固剤を抽出除去させたのち、70〜120℃に加熱してラテックス膜からなるゴム製手袋基体を形成する、(5)ゴム製手袋基体を表面に形成した手型を第2の合成樹脂エマルジョン液に浸漬したのち、90〜150℃で15〜90分加熱乾燥して手袋基体表面に第2樹脂皮膜を形成する、(6)第2樹脂皮膜を形成したゴム製手袋基体を反転脱型させる、以上の工程を経て表面と内面の双方に樹脂皮膜を形成したゴム製手袋が得られるのである。
【0025】
【実施例】以下、この発明を実施例により詳細に説明するが、この発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例中の部および%はそれぞれ重量部、重量%である。
【0026】製造例1(ポリウレタン樹脂エマルジョン液(A)の調製)
水593部に分散剤(ヘンケルKGa社製、ハイドロパラート535)9.1部を加えて撹拌しながら、有機粉体として粒径4〜8μmのポリメチルメタクリレート(綜研化学社製、MR−2G)15部、ポリエチレンワックスエマルジョン37.5部、シリカ微粉末(デグッサヒュルズ社製、TS−100)15.0部を順次加えて分散させた。続いて、撹拌しながらトリエチルアミン1.0部、ポリウレタン樹脂エマルジョン(第一工業製薬社製、スーパーフレックスE4500、固形分45%)177部、湿潤剤(ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、花王社製、ペレックスOT−P)7.79部、ノニオン界面活性剤3.6部、シリコーン樹脂エマルジョン(信越化学工業社製、KP−361)25.4部、メラミン樹脂(架橋剤、住友化学工業社製)6.8部、増粘型ウレタンエマルジョン(大日本インキ化学工業社製、ボンコート3750)105部を順次加え、充分に撹拌して固形分18%で、粘度1000mPa・s/30℃(B型回転粘度計、ローターNo.3、60回転)を有するポリウレタン樹脂エマルジョン液(A)を得た。
【0027】製造例2(ポリウレタン樹脂エマルジョン液(B)の調製)
水56.2部に分散剤(ヘンケルKGa社製、ハイドロパラート535)2部、ポリエチレンワックスエマルジョン16.7部、ステアリン酸亜鉛エマルジョン15.8部、ポリウレタン樹脂エマルジョン178部、トリエチルアミン1.0部、湿潤剤2部、ノニオン界面活性剤11.3部、シリコーン樹脂エマルジョン33.3部、を順次撹拌しながら加えて固形分34%、粘度4000mPa・s/30℃を有するポリウレタン樹脂エマルジョン液(B)を得た。
【0028】実施例1上記製造例1によって得た固形分18%のポリウレタン樹脂エマルジョン液(A)16.7部に、凝固剤として固形分35%の硝酸カルシウム水溶液28.6部、水54.7部を加えて樹脂固形分を3%に調整した第1合成樹脂エマルジョン液を得、このエマルジョン液に予め80℃で予備加熱した陶磁器製の手型を30℃で浸漬して、手型表面に凝固剤と樹脂液を付着させた。次いでこの手型を80℃で10分乾燥して約1〜2μmの第1樹脂膜を形成した。
【0029】続いて、上記第1樹脂膜を付与した手型を、表1に示す配合組成からなるNBRラテックス中に20秒間浸漬したのち、80℃で2分間乾燥してNBRラテックスをゲル化させ、次いでこの手型を40℃の温水中に15分間浸けて残留凝固剤を浸出させたのち、80℃で1分間乾燥して手型表面に約0.4mm厚さのNBR膜からなるゴム手袋基体を得た。その後、表面にNBR膜からなる手袋基体を形成した手型を、上記製造例2で得たポリウレタン樹脂エマルジョン液(B)を水希釈して固形分4.5%に調整した第2合成樹脂エマルジョン液に30℃で約1分浸漬したのち取り出し、120℃で30分間加熱して手袋基体表面に約2μmの第2樹脂皮膜を形成した。次いで、手型の温度を70℃にして反転脱型させて外面に第1樹脂膜、内面に第2樹脂膜とゴム手袋基体の両面に樹脂皮膜を形成したNBR手袋を得た。
【0030】
【表1】

【0031】なお、上記の表1において、NBRラテックスとしては、商品名ニポールLX−550(日本ゼオン社製、固形分45%)を使用した。また、ZnBDCは、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛である。
【0032】実施例2第1合成樹脂エマルジョン液として、上記製造例1によって得た固形分18%のポリウレタン樹脂エマルジョン液(A)25部、凝固剤として固形分35%の硝酸カルシウム水溶液70部、ノニオン界面活性剤0.25部、水4.75部を加えて樹脂固形分を4.5%に調整したものを用いた以外は全て実施例1と同じ処理を行ってNBR製手袋を得た。
【0033】実施例3実施例1において手袋基体を得るに用いたNBRラテックスを表2の配合組成の天然ゴムラテックスに変えるとともに、この天然ゴムラテックスに20秒間浸漬したのちの加熱硬化を100℃で30分に変えた以外は実施例1と同じ処理を行って天然ゴム製手袋を得た。
【0034】実施例4実施例2において手袋基体を得るに用いたNBRラテックスを表2の配合組成の天然ゴムラテックスに変えるとともに、この天然ゴムラテックスに20秒間浸漬したのちの加熱硬化を100℃で30分に変えた以外は実施例2と同じ処理を行って天然ゴム製手袋を得た。
【0035】
【表2】

【0036】比較例1凝固剤としての固形分35%の硝酸カルシウム水溶液に予め80℃で予備加熱した陶磁器製の手型を30℃で浸漬したのち、乾燥して表面に凝固剤を付着させた手型を、表1の配合組成からなるNBRラテックス中に20秒間浸漬し、80℃で2分間乾燥してNBRラテックスをゲル化させ、次いでこの手型を40℃の温水中に15分間浸けて残留凝固剤を浸出させたのち、80℃で1分間乾燥して手型表面に約0.4mm厚さのNBR膜からなるゴム手袋基体を得た。その後、表面にNBR膜からなる手袋基体を形成した手型を、上記製造例2で得たポリウレタン樹脂エマルジョン液(B)を水希釈して固形分4.5%に調整した第2合成樹脂エマルジョン液に30℃で約1分浸漬したのち取り出し、120℃で30分間加熱して手袋基体表面に約2μmの樹脂皮膜を形成した。次いで、手型の温度を70℃にして反転脱型させて内面に樹脂皮膜を形成したNBR手袋を得た。
【0037】比較例2上記比較例1においてゴム手袋基体を得るに用いたNBRラテックスを表2の配合組成の天然ゴムラテックスに変えた以外は比較例1と同様に処理して内面に樹脂皮膜を形成した天然ゴム製手袋を得た。
【0038】上記実施例1〜4および比較例1、2で脱型して得られたゴム製手袋の表面特性として、手袋外面の耐粘着性および手袋内面の滑性についてテストしたところ、表3のような結果が得られ、この発明の方法により得られた手袋は、内面側に樹脂皮膜の存在しない比較例の手袋に比べて、装脱着性にすぐれ、かつ手袋の外面を重ね合わせても異常のないことが認められた。
【0039】なお、耐粘着性および滑性の評価は以下のようにして行った。
外面の耐粘着性:それぞれの手袋の平滑な部分から60×60mmの2枚の試験片を作り、水で濡らしたのち外面同志を重ね合わせ、3kgの荷重をかけて60℃で2時間放置したのち、荷重をはずして室温に2時間放置してから2枚の試験片を剥離するときの状態を、剥離し易い−−−○、やや剥離しにくい−−−△、密着して剥離不能−−−×、として判定した。
内面の滑性:それぞれの手袋の平滑な部分から30×60mmの試験片を作り、内面皮膜を上にして水平板面上に置き、径30mmの円形の200gのおもりを皮膜上に載せる。そして、水平な板の一方を徐々に傾斜させていき、円形のおもりが皮膜面を滑り始めるときの角度を測定した。この測定角度が小さいほど皮膜表面の滑性が良好であることを示している。
【0040】
【表3】

【0041】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載した発明によれば、金属製あるいは陶磁器製の手型を天然ゴムあるいは合成ゴムラテックスに浸漬し、乾燥してラテックス層からなる手袋基体を得る前に、凝固剤を分散した第1の合成樹脂エマルジョン液に手型を浸漬して該手型表面に凝固剤を付着せしめるとともに第1樹脂皮膜を形成すること、第1樹脂皮膜を形成した手型を天然ゴムあるいは合成ゴムラテックスに浸漬し、乾燥してラテックス層からなる手袋基体を得ること、さらに、手袋基体を形成した手型の表面に第2の合成樹脂皮膜を形成すること、により、反転脱型した手袋の外面と内面の双方に樹脂皮膜を有する手袋を得ることができる。そして、内面側に形成した滑性のある第2樹脂皮膜によって装脱着がスムースに行えるとともに、外面側に形成した第1の樹脂皮膜によって手袋同志の貼着を防止することができるのである。
【0042】以上のようにして得られるこの発明の手袋は、使用時に粉体が脱落するおそれもなく、従って家庭用だけでなく、電子精密部品の分野や医療の分野においても使用することができる。
【出願人】 【識別番号】000107952
【氏名又は名称】セイコー化成株式会社
【出願日】 平成13年3月27日(2001.3.27)
【代理人】 【識別番号】100062993
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 浩 (外1名)
【公開番号】 特開2002−285414(P2002−285414A)
【公開日】 平成14年10月3日(2002.10.3)
【出願番号】 特願2001−90022(P2001−90022)