| 【発明の名称】 |
防護衣料またはスポーツ衣料 |
| 【発明者】 |
【氏名】波多野 武
【氏名】小菅 一彦
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】白色系高強力繊維と耐熱高機能繊維とを複合した防護衣料またはスポーツ衣料。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 耐熱高機能繊維と白色系高強力繊維とを複合した防護衣料またはスポーツ衣料。 【請求項2】 耐熱高機能繊維が、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維およびポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種類の繊維であることを特徴とする請求項1に記載の防護衣料またはスポーツ衣料。 【請求項3】 パラ系アラミド繊維が、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維である請求項2に記載の防護衣料またはスポーツ衣料。 【請求項4】 白色系高強力繊維が、ポリビニルアルコール系繊維または/および超高分子量ポリエチレン繊維である請求項1〜3に記載の防護衣料またはスポーツ衣料。 【請求項5】 耐熱高機能繊維の含有割合が、繊維成分全体に対して0〜80重量%であることを特徴とする請求項1〜4に記載の防護衣料またはスポーツ衣料。 【請求項6】 手袋であることを特徴とする請求項1〜5に記載の防護衣料。 【請求項7】 白色系高強力繊維からなる防護衣料またはスポーツ衣料。 【請求項8】 さらに、弾性繊維が複合されていることを特徴とする請求項1〜7に記載の防護衣料またはスポーツ衣料。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱高機能繊維と白色系高強力繊維とが複合された防護衣料またはスポーツ衣料に関する。 【0002】 【従来の技術】ナイロンやポリエステル繊維等の汎用熱可塑性合成繊維は約250℃前後で溶融するのに対して、アラミド繊維(全芳香族ポリアミド繊維ともいう。)、全芳香族ポリエステル繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維等の耐熱高機能繊維の分解温度は500℃前後と高温である。また、前記非耐熱性の汎用繊維であるナイロンやポリエステルの限界酸素指数は20前後であり、空気中でよく燃焼するのに対して、上述の耐熱高機能繊維の限界酸素指数は25以上であって、空気中では熱源である炎を近づけることによって燃焼するが、炎を遠ざけると燃焼を続けることができない。このように、耐熱高機能繊維は耐熱性および難燃性に優れた素材である。例えばアラミド繊維は炎や高熱に曝される危険の大きい場面での衣料製品、例えば消防服、自動車レース用のレーシングスーツ、製鉄用もしくは溶接用作業服等に用いられている。特に、パラ系アラミド繊維は引裂強さを要するスポーツ衣料や作業服などはもちろんのこと、また刃物によって切れにくいことから作業用手袋などにも利用されている。 【0003】これら耐熱高機能繊維のほとんどは、繊維自体が既に比較的濃い色を有している。例えば、上市されている耐熱高機能繊維のうち、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維であるケブラー(商品名 東レ・デュポン株式会社製)は黄色、全芳香族ポリエステル繊維であるベクトラン(商品名、株式会社クラレ製)は淡褐色、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維であるザイロン(商品名、東洋紡株式会社製)は茶色である。このような耐熱高機能繊維のみからなる作業服または作業用手袋などの防護衣料は、汚れを認識しにくく、それゆえに不衛生になりやすいという欠点がある。また、該防護衣料は清潔感を与えくいという欠点もある。とくに、食品や医薬品の製造における作業服または作業用手袋においては、かかる欠点がより問題となる。また、上記耐熱高機能繊維のみからなるアウトドア用ウエアやスキーウエアなどのスポーツ衣料は、ファッション性に乏しく、需要者の購買意欲をそそりにくいという問題点があった。 【0004】そこで、上記問題点を解決すべく、従来より汎用されている木綿、ナイロンまたはポリエステルなどの白色系の繊維と、上記耐熱高機能繊維を複合した糸または布帛などを用いて防護衣料やスポーツ衣料を製造することが考えられる。しかし、木綿の強度は約3.5cN/dtex程度、衣料用ナイロンステープルの強度は約5.3cN/dtex程度、衣料用ポリエステルステープルの強度は約5cN/dtex程度であるため、かかる汎用の白色系繊維と上記耐熱高機能繊とを複合した糸または布帛などは強度において劣り、ゆえに該糸または布帛などを用いた場合は、使用目的に要求される耐熱性と、引裂強さや引張強さなどの強度を満たした防護衣料やスポーツ衣料が得られ難い。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、使用目的に要求される耐熱性と、引裂強さや引張強さなどの強度を備え、くり返しの洗濯によっても品質の劣化が実質的になく、かつ、清潔感を与え、汚れを認識しやすいという外観上の利点をも有する防護衣料またはスポーツ衣料を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、耐熱高機能繊維と白色系高強力繊維とを複合することにより、上記従来の問題点を一挙に解決できることを知見した。すなわち、白色系高強力繊維と耐熱高機能繊維とを複合させることによって、耐熱高機能繊維のほとんどが有する比較的濃い色を淡くすることができ、それにより清潔感を与え、また汚れを認識しやすく、かつ切創抵抗の高い防護衣料またはスポーツ衣料を製造できる。また、木綿、ナイロンまたはポリエステルなどの汎用の白色系繊維と耐熱高機能繊維とを複合した糸や布帛などに比べて、白色系高強力繊維と耐熱高機能繊維とを複合した糸や布帛などは、強度に優れており、ゆえに該糸や布帛から作られる防護衣料やスポーツ衣料は使用目的に要求される強度を備えている。 【0007】本発明者らは、さらに検討を加えた結果、白色系高強力繊維のみからなる布帛はくり返し洗濯すると生地が硬くなるなどの品質の劣化が見られるが、白色系高強力繊維と耐熱高機能繊維とを複合させると、くり返し洗濯しても生地が硬くなるなどの品質の劣化が実質的に見られないという思いがけない知見を得た。衣料は一般にくり返し洗濯して使用されるものであり、特に防護衣料やスポーツ衣料は頻繁に洗濯されるものも多いことから、くり返しの洗濯にも耐えられるような防護衣料やスポーツ衣料は非常に有用である。また、耐熱高機能繊維がメタ系アラミド繊維の場合は、該繊維が白色であるので、白色系高強力繊維との組み合わせにより上述のような外観の改善という利点はないが、かかる組み合わせにより白色系高強力繊維が有するくり返し洗濯による品質の劣化を実質的になくすことができるので、本発明における耐熱高機能繊維として好適に用いられる。 【0008】すなわち、本発明は、(1)耐熱高機能繊維と白色系高強力繊維とを複合した防護衣料またはスポーツ衣料、(2)耐熱高機能繊維がパラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維およびポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種類の繊維であることを特徴とする前記(1)に記載の防護衣料またはスポーツ衣料、(3)パラ系アラミド繊維が、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維である前記(2)に記載の防護衣料またはスポーツ衣料、(4)白色系高強力繊維が、ポリビニルアルコール系繊維または/および超高分子量ポリエチレン繊維である前記(1)〜(3)に記載の防護衣料またはスポーツ衣料、(5)耐熱高機能繊維の含有割合が、繊維成分全体に対して0〜80重量%であることを特徴とする前記(1)〜(4)に記載の防護衣料またはスポーツ衣料、(6)手袋であることを特徴とする前記(1)〜(5)に記載の防護衣料、および、(7)白色系高強力繊維からなる防護衣料またはスポーツ衣料、(8)さらに、弾性繊維が複合されていることを特徴とする前記(1)〜(7)に記載の防護衣料またはスポーツ衣料、に関する。 【0009】 【発明の実施の形態】本発明にかかる耐熱高機能繊維としては、限界酸素指数が約25以上の難燃性と示差走査熱量測定法による熱分解温度が約400℃以上の耐熱性とを有する繊維が好ましい。その例としては、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維(例えば株式会社クラレ製、商品名ベクトラン)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(例えば東洋紡株式会社製、商品名ザイロン)、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリアミドイミド繊維(例えばローヌプーラン社製、商品名ケルメル)、ポリイミド繊維などが挙げられる。アラミド繊維にはメタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維がある。メタ系アラミド繊維としては、例えば、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(デュポン社製、商品名ノーメックス)などのメタ系全芳香族ポリアミド繊維が挙げられる。パラ系アラミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名ケブラー)およびコポリパラフェニレン−3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維(帝人株式会社製、商品名テクノーラ)などのパラ系全芳香族ポリアミド繊維が挙げられる。なかでも、本発明に係る耐熱性高機能繊維としては、高強度の繊維が好ましい。具体的には、本発明に係る耐熱性高機能繊維の引張弾性率が約300cN/dtex以上、好ましくは約400cN/dtex以上で、かつ引張強度が約9cN/dtex程度以上、より好ましくは約11cN/dtex程度以上であることが、引裂強さや切創抵抗の面でより好ましい。かかる高強度タイプの耐熱性高機能繊維としては、例えばポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維やコポリパラフェニレン−3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維などのパラ系アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維またはポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維などが挙げられる。本発明にかかる耐熱高機能繊維としては、上記のような繊維の1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 【0010】本発明において用いる白色系高強力繊維としては、白色であって、引張強度が好ましくは約9cN/dtex程度以上、より好ましくは約11cN/dtex程度以上、さらに好ましくは約13〜40cN/dtex程度の繊維が好適である。ここで、白色とは、明るさを表すL値が約80程度以上のものが好ましい。なお、L値は、例えば、SMカラーコンピューターMODEL−SM4(スガ試験機株式会社製)など自体公知の測定機を用いて、JIS Z 8729に示される表示方法L*a*b*表現系として測定できる。また、引張弾性率が、好ましくは約150〜3000cN/dtex程度、より好ましくは約200〜2000cN/dtex程度、さらに好ましくは約300〜1500cN/dtex程度である白色系高強力繊維が好適に用いられる。一般に耐熱性高機能繊維の引張弾性率は高く、約350〜2000cN/dtex程度であることが多い。混紡または交撚などにより異種繊維を複合する場合、両繊維の引張弾性率が甚だしくかけ離れていると、混紡糸やそれからなる織物に加えられる応力が両繊維に均一に分散されないので、混紡糸やそれらからなる織物の強度は、両繊維の強度の加算された強度とならず両者を複合する利点が減少する。したがって、耐熱性高機能繊維と、混紡または交織などにより複合させる白色系高強力繊維の強度を十分利用するために、白色系高強力繊維の引張弾性率は前記範囲が望ましい。 【0011】本発明において用いる白色系高強力繊維として、具体的には、超高分子量ポリエチレン繊維またはポリビニルアルコール(以下、PVAと略称する)系繊維が挙げられる。本発明にかかる白色系高強力繊維として超高分子量ポリエチレン繊維を用いた場合は、強度のほかに弾性率にも優れた防護衣料またはスポーツ衣料が得られるという利点がある。防護衣料またはスポーツ衣料の一部または全部に異方性を持たせることも可能である。ここで、異方性とは、一方向には大きな弾性率を有するが、それと直角な方向には弾性率が低いという性質のことである。また、本発明にかかる白色系の高強力繊維としてPVA系繊維を用いた場合は、強度のほかに耐熱性にも優れた防護衣料またはスポーツ衣料が得られるという利点がある。構成繊維が耐熱性に優れていれば、防護衣料やスポーツ衣料が比較的高温にされされても繊維が溶けないので、やけどをしにくいという利点を生じる。本発明にかかる白色系高強力繊維としては、上記のような繊維の1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 【0012】本発明において用いる超高分子量ポリエチレン繊維は、例えば特開昭55−5228または特開昭55−107506などに開示されている自体公知の製造方法に従って容易に製造することができる。具体的には、例えば、まずエチレンを遷移金属元素化合物とアルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属水素化合物または有機金属化合物等の触媒の存在下に、有機溶媒中でスラリー重合させることにより超高分子量ポリエチレン重合体を得、ついで、該超高分子量エチレン重合体を例えば希釈剤を配合し、または常温のワックス類を混合して溶融押出し成形し、次いで延伸(例えば約5〜80倍程度の倍率で)するという製造方法が挙げられる。上記超高分子量ポリエチレン重合体は、分子量が約50万程度以上、好ましくは約100万程度以上を有することが好適であり、ホモポリマーの他、炭素原子数3〜10程度の低級α−オレフィン類、例えばプロピレン、ブテン、ペンテンもしくはヘキセン等との共重合体であってもよい。該超高分子量ポリエチレン重合体がエチレンとα−オレフィンとの共重合体の場合、α−オレフィンの割合は炭素数1000個当たり平均0.1〜20個程度、好ましくは平均0.5〜10個程度であるような共重合体が好ましい。また、本発明においては、市販の超高分子量ポリエチレン繊維を適宜用いることもできる。かかる市販の繊維としては、例えば、ダイニーマ(商品名 東洋紡績株式会社製)等が挙げられる。 【0013】本発明において用いるPVA系繊維は、自体公知の製造方法に従って容易に製造することができる。具体的には、例えば、重合度1500程度以上のPVA系重合体を溶媒であるジメチルスルフォキシド(以下「DMSO」という)に溶解して紡出原液を得、得られた原液を口金吐出孔から押出してメタノールからなる凝固浴中に乾湿式紡糸した後、連続してメタノール液中で洗浄、浴延伸、乾燥を行い、有効全延伸倍率が約15倍程度以上となるように加熱延伸後、繊維束温度が約40℃〜70℃程度になるように温水予熱した後、特定された捲縮特性を有するように捲縮機で捲縮を付与し、約80℃程度以下で実質的な熱固定を行うという製造方法(特公平06−033523号公報)、さらに、通常のスフ紡績法により紡績糸を得るという製造方法(特公平06−033536号公報)などが挙げられる。 【0014】また、重合度が3500程度以上のPVA系重合体をDMSOに溶解して紡糸ドープを作製し、この紡糸ドープを空中走行距離を約2〜20mm程度としてメタノール、エタノール、アセトンおよびこれらとDMSOとの混合溶媒のいずれかからなる凝固浴中へ乾・湿式紡糸し、得られた乾・湿式紡糸出の未延伸糸条を約200〜250℃程度の乾熱延伸によりその有効全延伸倍率を少なくとも約25倍程度、好ましくは約30倍程度になるごとく延伸するという方法(特公平6−11927号公報)も挙げられる。上記製造方法により得られるPVA系繊維は、耐熱性のほか、耐候性、結節強度、表面平滑性などにおいても優れている。 【0015】本発明に係る防護衣料またはスポーツ衣料は、上記耐熱高機能繊維と白色系高強力繊維とが複合されていることを特長とし、かかる特長を有していればどのような形態をとってもよい。具体的には、例えば、(a)耐熱高機能繊維と白色系高強力繊維との混紡糸、混繊糸、交撚糸もしくは引き揃え糸、または該糸を含む布帛を用いた防護衣料またはスポーツ衣料、(b)耐熱高機能繊維からなる糸と白色系高強力繊維からなる糸とを交織した布帛を用いた防護衣料またはスポーツ衣料、または(c)耐熱高機能繊維と白色系高強力繊維とを含むウェブ、もしくはそれから得られる不織布を用いた防護衣料またはスポーツ衣料などの態様が挙げられる。 【0016】上記混紡糸は、通常は白色系高強力繊維と耐熱高機能繊維とを混合して紡績された糸である。上記混繊糸は、通常は白色系高強力繊維からなるフィラメントと耐熱高機能繊維からなるフィラメントとを均一混合して作られた糸である。上記交撚糸とは、通常は白色系高強力繊維からなる糸と耐熱高機能繊維からなる糸とを撚り合わせて作られた糸である。上記引き揃え糸は、通常は白色系高強力繊維からなる糸と耐熱高機能繊維からなる糸とを、2〜10本程度、好ましくは2〜5本程度揃え、撚りをかけずに用いる糸である。ここで、白色系高強力繊維からなる糸または耐熱高機能繊維からなる糸は、紡績糸、フィラメントまたは撚り糸などいずれの形態の糸であってもよい。 【0017】混紡、混繊または交撚の方法としては、自体公知の方法を用いてよい。例えば、混紡の方法としては、(a)紡績工程の最初に機械で混合する方法、(b)前紡工程で繊維ごとに単独でスライバーをつくった後、混紡する方法、(c)パシフィックコンバーターを使用する方法、すなわち、トゥの切断・分離・ドラフト・スライバーの形成、捲縮などを連続的に行う装置によって、スライバー混紡または繊維の状態で混紡して1本のスライバーとし、ついで、ピントラプタに通し、粗紡・精紡などの工程を経て、所望の番手の混紡糸を作る方法などが挙げられる。 【0018】また、混繊の方法としては、例えば、乱流を起こすように設計したノズルに圧空管から空気を吹き込み、ノズルの一方から同時に2種類以上の糸条またはあらかじめ混繊する繊維を引き揃えた糸条を導入して乱流によって糸条をミックスし、他方から送り出される糸条を巻き取るというエアー混繊などが挙げられる。交撚の方法としては、例えば、耐熱高機能繊維からなるフィラメントもしくは紡績糸と、白色系高強力繊維からなるフィラメントもしくは紡績糸とを、それぞれ1本以上、合計2本以上引き揃えて、リング撚糸機、ダブルツイスターまたはイタリー式撚糸機など自体公知の撚糸機を用いて撚りをかける方法などが挙げられる。 【0019】上記交織とは、耐熱高機能繊維からなる糸と白色系高強力繊維からなる糸とを用いて織成して、織物などの布帛をつくることを通常はいう。ここで、白色系高強力繊維からなる糸または耐熱高機能繊維からなる糸は、紡績糸、フィラメントまたは撚り糸などいずれの形態の糸であってもよい。織成の方法(織り方)としては、例えば、平織、朱子織、綾織、横縞織、からみ織または斜こ織などが挙げられ、本発明においてはいずれの織り方を用いてもよい。交織は、例えばジェット織機(エアージェット織機、ウォータージェット織機)、スルザー織機またはレピヤー織機などの自体公知の織機を用いるなど、自体公知の方法に従って容易に行うことができる。 【0020】上記ウェブとは、耐熱高機能繊維と白色系高強力繊維とを集合させてできている連続的な薄膜状物を通常はいう。上記不織布とは、該ウェブを織ったり編んだりしないで、ウェブの繊維同士を化学的、物理的もしくは熱によって接着または絡ませて作られたシート状の構造体を通常はいう。該不織布の製造方法として、例えば、湿式法、乾式法または直接法など自体公知の方法を用いることができる。 【0021】本発明に係る防護衣料またはスポーツ衣料は、高い伸縮性をもつ弾性繊維を含んでいてもよい。弾性繊維としては公知のものを用いてよいが、ポリウレタン系弾性繊維が伸縮性の面において好ましい。このように、本発明に係る防護衣料またはスポーツ衣料に高い伸縮性をもつ弾性繊維を複合することにより、伸縮性があって身体に良くなじみ、かつ動きやすく、作業性の良い防護衣料や活動しやすいスポーツ衣料が得られる。弾性繊維を複合する方法としては、特に限定されないが、例えば弾性繊維と本発明に係る耐熱性繊維と白色系繊維の複合糸を同時に編み機に供給することによって、より高い伸縮性をもったニット地が得られる。また、例えば、弾性繊維を芯糸とし、本発明に係る耐熱性繊維と白色系繊維の複合糸を鞘糸としたカバリング糸となし、これを織物やニット地に加工するという方法も挙げられる。前記カバリング糸は、芯糸の周りを鞘糸が捲回することによる公知の方法によって得られ、例えばリング撚糸機を応用したカバリング機が公知である。複合する弾性繊維の割合は、着用感の良好な伸縮性を得るために、本発明に係る防護衣料またはスポーツ衣料を構成する生地単体の3〜30重量%程度が望ましい。 【0022】本発明に係る防護衣料またはスポーツ衣料においては、耐熱高機能繊維および白色系高強力繊維の含有割合は特に限定されないが、耐熱高機能繊維の含有割合が、繊維成分全体に対し約0〜80重量%程度が好ましく、より好ましくは約10〜60重量%程度、さらに好ましくは約20〜50重量%程度である。また、本発明に係る防護衣料またはスポーツ衣料は、耐熱高機能繊維を含まず、白色系高強力繊維のみからなるものであってもよい。また、本発明に係る防護衣料またはスポーツ衣料は、耐熱高機能繊維および白色系高強力繊維以外の繊維を含んでいてもよい。そのような繊維としては、自体公知の繊維を用いてよいが、具体的には、例えば、レーヨンなどの再生繊維;アセテートなどの半合成繊維;ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリアクリロニトリル系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリウレタン系もしくはフェノール系などの合成繊維などが挙げられる。耐熱高機能繊維および白色系高強力繊維以外の繊維の割合は、繊維成分の全重量の約1/2程度以下が好ましい。 【0023】本発明に係る防護衣料としては、身体を保護する目的で使用される衣料であれば特に限定されないが、例えば手袋、特に作業用手袋、消防服、または作業服、特に製鉄用もしくは溶接用作業服等が挙げられる。また、近年独居老人などが料理などの最中に、特に袖口などに炎が移ってやけどする事故が多く起こっており、このような事故を防止するための衣料、例えばエプロンや割烹着なども本発明に係る防護衣料に含まれる。また、本発明に係るスポーツ衣料としては、強度(例えば引張強さや切れにくさ)や耐熱性(熱によって溶けない)・難燃性(燃えにくい)を要する衣料が好ましく、具体的には、例えば自動車レース用のレーシングスーツや、スキーウエア、アウトドアウエアなどが挙げられる。アウトドアウエアとしては、例えば、キャンプなどの野外活動においてたき火や炊事の際に使用する手袋や衣類などが挙げられる。ただし、本発明に係るスポーツ衣料は、これに限定されるものではない。 【0024】本発明に係る防護衣料またはスポーツ衣料は、該衣料の使用目的に要求される強度を有することが特長である。具体的には、本発明に係る防護衣料またはスポーツ衣料を構成する繊維の引張強度が、好ましくは約9cN/dtex程度以上、より好ましくは約12cN/dtex程度以上、さらに好ましくは約14〜40cN/dtex程度であることが好適である。繊維の引張強度は、JIS L1095:1999 化学繊維ステープル試験方法7.7、またはJIS L1013:1999 化学繊維フィラメント糸試験方法8.5.1などに従って容易に測定することができる。また、本発明に係る防護衣料またはスポーツ衣料を構成する布帛は、汎用織物である木綿織物と比較したときに、引張強さ指数が約2程度以上、引裂強さ指数が約5程度以上、切創抵抗指数が約1.5程度以上であることが好ましい。なお、引張強さ指数、引裂強さ指数および切創抵抗指数は、実施例に記載の方法に従って容易に測定することができる。 【0025】本発明に係る防護衣料やスポーツ衣料は、くり返しの洗濯によっても品質の劣化が実質的にないことも特長である。例えば、くり返しの洗濯による品質の劣化としては、防護衣料やスポーツ衣料の生地が硬くなるなどの風合いの低下、防護衣料やスポーツ衣料を構成する繊維の強度の低下、毛羽の発生、または色あせもしくは色落ちの発生などが挙げられる。より具体的には、5回洗濯したときの生地の剛軟度が未洗濯時の約3程度以下、好ましくは2倍以下である防護衣料やスポーツ衣料が好ましい。ここで、前記洗濯は、詳細には、JIS L 1042織物の収縮率測定法 6.7.2に規定する電気洗濯機による洗濯を行った後、JIS L 1042 6.9.2(2)I−2(高温タンブール法)に規定する方法に従って、80℃で乾燥する。剛軟度は、生地の柔軟性を示し、JIS L 1096 6.20.1で測定できる。 【0026】 【実施例】本発明の実施例では次の繊維素材を使用した。耐熱高機能繊維として、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維ケブラー(商品名 東レ・デュポン株式会社製)およびポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維ザイロン(商品名 東洋紡株式会社製)を使用した。白色系高強力繊維として、特公平6−33523に記載の方法で製造した高強力PVA繊維(以下HT−PVAと略す)ステープルを用いた。すなわち、重合度3500の完全ケン化型PVAを溶媒であるDMSOに溶解した紡出原液をメタノール中に押出して乾湿式紡糸し、連続して洗浄、浴延伸、乾燥を行い、雰囲気温度240℃で有効全延伸倍率20.0倍の乾熱延伸した後、合糸して12万Dの繊維束とした。次いで該繊維束を50℃に温水加熱した後、押込み捲縮機により捲縮を付与し,乾熱ヒートセッタにより70℃で5分間熱固定した。その後、仕上油剤を付与し、該繊維束を定長カッティング法により切断して原綿繊度2.8dtex、繊維長51mmの上記ステープルを得た。また、白色系高強力繊維として、超高分子量ポリエチレン繊維(以下、UHMW−PEと略す)であるダイニーマ(商品名 東洋紡績株式会社製)も使用した。比較としての汎用繊維には、晒した木綿繊維、及びポリエステルステープル(東レ株式会社製)を用いた。 【0027】これら繊維の物性を表1に示す。なお、該物性は以下のように測定した。 (a)引張強度、伸度、引張弾性率、繊度:JIS L 1015 化学繊維ステープル試験方法、およびJIS L 1018 化学繊維フィラメント試験方法により測定した。なお、前記試験方法による初期引張抵抗度を、本発明では機能繊維で使われる呼称の引張弾性率とした。また、繊維の太さは、JIS L0101 テックス方式に示される補助単位デシテックス(dtex)で表示した。 (b)色の表示:JIS Z 8729に規定されるL*、a*、b*を、SMカラーコンピューターMODEL−SM4(スガ試験器株式会社製)で測定した。 【0028】 【表1】
【0029】上記表中、L*、a*、b*はそれぞれの繊維の色を表示し、L*は明度を表し、L*値が大きいほど明るく白に近いことを示す。a*は、+が赤みを表し、−が緑味を表す。b*は、+が黄味を表し、−が青みを表す。L*、a*、b*の測定結果から、耐熱高機能繊維は、白色系高強力繊維および汎用繊維に比べL*値が小さく、a*、b*の絶対値が大きいので白色からかけ離れた色であることがわかる。なお、その他の耐熱高機能繊維であるコポリパラフェニレン−3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維テクノーラ(商品名 帝人株式会社製)及びパラ系全芳香族ポリエステル繊維ベクトラン(商品名 株式会社クラレ製)も白色とはかけ離れた色合いであり、そのL*、a*、b*の測定結果を表2に示す。 【0030】 【表2】
【0031】上記繊維のうち、UHMW−PEはフィラメントであるので、それ以外の繊維のステープルを、常法により混打綿、カード、練条、粗紡、リング精紡の各工程を通して、混紡糸の場合は表3および表4に示す混紡率となるように、綿番手20/1(292dtex相当)の紡績糸を作成した。このように作成した紡績糸と、UHMW−PEからなるフィラメント糸を、以下の実施例において使用した。 【0032】〔実施例1〕白色系高強度繊維HT−PVAの綿番手20/1(292dtex相当)の紡績糸を合撚して綿番手20/2(292dtex×2相当)の双糸とし、次の構造の織物を製織した。 糸使い ;綿番手20/2(292dtex×2相当) 糸密度・たて×よこ;55x45(本/25.4mm) 織物組織 ;2/1綾織り単位面積あたりの質量;240(g/m2) 【0033】〔実施例2〜4〕HT−PVAの代わりに、白色系高強度繊維HT−PVAと耐熱高機能繊維ケブラーの混紡糸を用いた以外は、実施例1と同様にして織物を製織した。なお、混紡糸における混紡率は、表3のようにした。 【0034】〔実施例5〕HT−PVAの代わりに、白色系高強度繊維HT−PVAと耐熱高機能繊維ザイロンの混紡糸を用いた以外は、実施例1と同様にして織物を製織した。なお、混紡糸における混紡率は、表3のようにした。 【0035】〔比較例1〜6〕HT−PVAの代わりに、比較例1ではケブラー紡績糸を、比較例2では晒木綿を、比較例3では晒木綿とケブラーの混紡糸(混紡率は50:50)を、比較例4ではザイロン紡績糸を、比較例5ではポリエステル紡績糸を、比較例6ではポリエステルとケブラーの混紡糸(混紡率は50:50)を用いた以外は、実施例1と同様にして織物を製織した。 【0036】〔試験例1 織物の物性〕得られた織物の物性を表3および表4に示す。なお、この織物構造の織物厚さは、繊維素材によってやや異なるが約0.45mmである。また、織物の物性は、以下のようにして測定した。 (a)織物の引張強さ:JIS L 1096 一般織物試験法6.12.1により測定した。なお、同目付の木綿織物の引張強さに対する比率を引張強さ指数として表した。 (数式1)引張強さ指数=対象の織物の引張強さ/木綿織物の引張強さ(b)織物の引裂強さ:JIS L 1096 一般織物試験法6.15.1シングルタング法により測定した。なお、同目付の木綿織物の引裂強さに対する比率を引裂強さ指数として表した。 (数式2)引裂指数=対象の織物の引裂強さ/木綿織物の引裂強さ(c)耐熱性:下部の電熱装置によって所定の温度に加熱され、長さ方向を垂直に配置した直径8mmの円柱状金属製加熱体の円形で平らな先端に、6cmx6cmの試験片をのせて、熱によって試験片に穴が空くまでの時間を測定する。加熱体の温度を550℃に設定して測定した。 (d)切創抵抗(切れにくさ):ASTM F1790−97により、規定の刃(American Safety Razor Co.,品番No.88-0121)を用いて測定した。測定値はN(=ニュートン)で示し、規定の試料台上に測定試料を置き、規定の刃を25.4mm(1インチ)動かしたとき刃がサンプルを貫通するために必要な荷重を示し、数値が大きいほど切れにくいことを示す。なお、同目付の木綿織物の切創抵抗に対する比率を切創抵抗指数として表した。 (数式3)切創抵抗指数=対象の織物の切創抵抗/木綿織物の切創抵抗(e)柔軟性:JIS L 1096 6.20.1 A法(ガーレ法)で剛軟度を測定した。 (f)色の表示:JIS Z 8729に規定されるL*、a*、b*を、SMカラーコンピューターMODEL−SM4(スガ試験器株式会社製)で測定した。 【0037】 【表3】
【0038】 【表4】
【0039】実施例2〜4で得られた白色系高強度繊維HT−PVAと耐熱高機能繊維ケブラーの混紡織物のL*値は80以上であり、比較例1の耐熱高機能繊維ケブラー100%織物のL*値=77に比べ高くなっていることから、ケブラーからなる織物の明度が白色系高機能繊維の混紡によって改善されることがわかる。実施例1で得られた織物の耐熱性は穴あきまでに10秒を要し、比較例5のポリエステル繊維織物と比較すると、5倍の耐熱性がある。さらに、白色系高強度繊維HT−PVAにケブラーが混紡された実施例2〜4の織物は、550℃の加熱体に30秒以上接しても穴が空かず優れた耐熱性を示した。実施例1〜4で得られた織物の引張強さ指数は2以上、引裂強さ指数は5以上、切創抵抗指数は1.5以上であった。いずれも汎用織物である木綿織物より高い数値であり、本発明の防護衣料やスポーツ衣料として十分な特性を有す。このように、異種の繊維を混紡する場合、引張弾性率が近いほど両者の繊維への応力負荷が均一になるので紡績糸及び織物としての強さは、両者を加えあわせた強さが実現する。白色系高強度繊維と耐熱性高機能繊維は引張弾性率が等しく高いので、両者の混紡は、織物の引張強さ、及び引張強さの寄与する引裂強さの面からも好ましいことがわかった。 【0040】実施例5で得られる耐熱高機能繊維のザイロンと白色系高強力繊維の混紡織物はL*値が80であって、比較例4に示すザイロン100%の織物のL値*=48と比較すると、白色系高強力繊維の混紡の効果がわかる。また、引張強さ指数は2以上、引裂強さ指数は5以上、切創抵抗指数1.5以上であって本発明の防護衣料やスポーツ衣料として十分な特性を有する。 【0041】比較例3で得られる晒木綿とケブラーの混紡織物のL*値は81で、比較例1のケブラー100%織物のL*値77より高く、晒木綿の混紡によってケブラーからなる織物の明度が改善される。しかし、表1から分かる通りケブラーと木綿の引張弾性率は約7倍の差があり、織物に加わる応力が両繊維に対して不均一な負荷となるため両繊維の強度が加算された強度とならず、また木綿繊維の引張強度はケブラーの1/6でその引張強度が低いこととあいまって、比較例3は高い引張強さ及び高い引裂強さを実現していない。 【0042】比較例5の汎用繊維のポリエステル100%織物は、耐熱性試験において2秒で穴が空き、顕著な溶融痕があったことから、溶融したポリマーによって着用者がやけどをするおそれがある。また、引張強さ指数は2以下、引裂強さ指数は5以下、切創抵抗指数は1.5以下で低いレベルにある。比較例6で得られる耐熱高機能繊維ケブラーと汎用繊維ポリエステルの混紡織物のL*値は81で、ケブラー100%のL*値77よりも明度は改善されており、また切創抵抗指数1.5以上であるが、引裂強さ指数は2以下、引張強さ指数は5以下であるため、本発明の防護衣料またはスポーツ衣料として十分ではない。また、耐熱性試験では、耐熱性の高いケブラーが混紡されているので穴あきは無かったが、ポリエステルが溶融してケブラー繊維にしみこんだ顕著な溶融痕が見られた。表1からわかる通り、両繊維素材の引張弾性率の差は約12倍であり、従って織物に加わる応力が両繊維に対して不均一となるため、混紡率が50:50である比較例6の織物は、高強度であるケブラー繊維の混紡織物であっても高い引張強さ及び高い引裂強さが実現せず、本発明の防護衣料およびスポーツ衣料に要求される物性を十分に満たしているとはいえない。 【0043】〔試験例2 耐洗濯性〕実施例1、実施例3および比較例1で得られた織物それぞれを、JIS L1042織物の収縮率測定法 6.7.2に規定する電気洗濯機による洗濯を行った後、JIS L 1042 6.9.2(2)I−2(高温タンブール法)に規定する方法に従って、80℃で乾燥した。これを洗濯1回として、洗濯を5回繰り返した。洗濯前後の柔軟性をガーレ法による剛軟度を測定して評価した。その結果を表5に示す。 【表5】
【0044】実施例1で得られた白色系高強度繊維HT−PVA100%織物は、洗濯−加熱乾燥を繰り返すことにより硬くなり、比較例1のケブラー100%織物に比べ剛軟度が約2.9倍であった。実施例3で得られた織物は、比較例1のケブラー100%織物に比べ剛軟度が約1.5倍以下であり、HT−PVAにケブラーを混紡することにより洗濯による硬化が少ないことがわかる。白色系高強度繊維の一種であるHT−PVAは、熱収縮性があるため洗濯−加熱乾燥を繰り返すことにより乾燥時の熱によって繊維が収縮し、織物の硬さが硬い方向へ変化したのである。一般にケブラーなどの耐熱高機能繊維は分解温度より100℃以下、すなわち300℃以下の環境下では熱収縮は少ない。例えば、耐熱高機能繊維として代表的なケブラーの場合は、160℃下で30分間の乾熱加熱による熱収縮率は0.2%以下であり、これは防護衣料やスポーツ衣料などの布帛の分野では実質的に熱収縮率0に等しい。したがって、例えば白色系高強度繊維の一種であるHT−PVAのように熱収縮性のある繊維に熱収縮性の非常に少ない耐熱高機能繊繊維を混紡することにより、乾燥機付きの家庭用洗濯機や工業用洗濯において洗濯−加熱乾燥を繰り返しても硬くなりにくい織物等の布帛が得られるのである。以上から、白色系高強度繊維に耐熱高機能繊繊維を複合することは、洗濯・乾燥を繰り返しても硬くなりにくく、本発明においてより好ましい態様であることがわかった。 【0045】〔実施例6〕綿番手20/2(292dtex×2相当)の白色系高強力繊維HT−PVA紡績糸を5本引きそろえてシームレスグローブ編み機7ゲージタイプ(島精機株式会社製)に供給して編み、本発明に係る防護衣料やスポーツ衣料の一種である手袋を作成した。 【0046】〔実施例7、比較例7,8〕白色系高強力繊維HT−PVAの代わりに、実施例7ではケブラーと白色系高強力繊維HT−PVAの混紡糸を、比較例7ではケブラーの紡績糸を、比較例8では木綿の紡績糸を用いた以外は実施例6と同様にして手袋を作成した。 【0047】〔実施例8〕綿番手20/1(292dtex相当)のケブラー紡績糸と白色系高強力糸UHMW−PEフィラメント275dtexを合撚して合撚糸とし、さらにそれを5本引き揃えて、実施例6において用いたグローブ編み機で編み、本発明に係る防護衣料やスポーツ衣料の一種である手袋を作成した。 【0048】〔試験例3 手袋の評価〕実施例6〜8、または比較例7、8で得られた手袋の評価結果を表6に示す。実施例6と7及び8の切創抵抗指数は1.5以上であり、比較例9の木綿100%の手袋より高く、またL*値は比較例8のケブラー100%の手袋より高いので、本発明の防護衣料やスポーツ衣料の一種である手袋として申し分のないものである。 【表6】
【0049】〔実施例9〕ウレタン系弾性繊維(商品名ライクラ 東レ・デュポン株式会社製)33dtexを芯糸とし、実施例3で用いたケブラーとHT−PVAの混紡糸(混紡率50:50)、綿番手20/1(292dtex相当)を鞘糸として、カバリング糸を作製した。このカバリング糸を用いて、18ゲージの丸編み機で編み組織リブステッチ(lib stitch)のニット地を編み上げた。この生地で競艇選手用のアンダータイツを縫製した。ケブラーのみからなるアンダータイツは黄色系統の色をしているのに比べ、得られたアンダータイツは白色系統の色をしているので下着として違和感がなく、さらに、ウレタン系弾性繊維を含み伸縮性が高いのでレース中の激しい動きが損なわれず運動性能の高いアンダーウェアであった。また、競艇選手は落水時にスクリューから身体を守るために耐切創性の高いケブラー織物製などのオーバーパンツを着用しているが、前記アンダータイツはそのオーバーパンツの、防護目的である耐切創性性能をさらに補強するものである。 【0050】〔実施例10〕実施例9で作製したカバリング糸を4本引き揃え、10ゲージタイプのシームレスグローブ編み機(島精機株式会社製)に供給して手袋を作製した。これを90℃の温水で処理して、充分収縮させた。このようにして得られた防護手袋は嵩張らず輸送や保管に便利で、着用時には充分に伸張して着用者の手になじみ、かつ耐切創性に優れており、また白色系統で違和感がないので、登山やハイキング用の防護手袋として有用である。また、伸縮性が高いので手に良くなじむことから、精密作業用防護手袋など作業用手袋としても有用である。 【0051】 【発明の効果】本発明において、白色系高強力繊維と耐熱高機能繊維とを複合することにより、耐熱高機能繊維のほとんどが有する比較的濃い色を淡くすることができる。したがって、本発明に係る防護衣料またはスポーツ衣料は清潔感を与え、またファッション性も有している。また、汚れを認識しやすく、ゆえに洗濯を頻繁に行うので衣料を清潔に保つことができる。 【0052】また、本発明によれば、上記のような外観上の利点を奏するために、木綿、ナイロンまたはポリエステルなどの汎用の白色系繊維と耐熱高機能繊維とを複合させる場合に比べて、強度に優れた防護衣料またはスポーツ衣料が得られる。本発明に係る防護衣料またはスポーツ衣料が有する強度は、該衣料の使用目的に要求される強度を十分に満たすものである。特に、白色系高強力繊維として、超高分子量ポリエチレンを用いれば、弾力性にも優れた防護衣料またはスポーツ衣料を提供でき、また、PVA系繊維を用いれば、耐熱性にも優れた防護衣料またはスポーツ衣料を提供できる。 【0053】さらに、本発明に係る防護衣料またはスポーツ衣料は、頻繁に洗濯しても品質の劣化が実質的にないという利点がある。このような利点は、上述のように汚れがつきやすく、頻繁に洗濯することの多い防護衣料またはスポーツ衣料にとっては有用である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000219266 【氏名又は名称】東レ・デュポン株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年12月26日(2001.12.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077012 【弁理士】 【氏名又は名称】岩谷 龍
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| 【公開番号】 |
特開2002−266118(P2002−266118A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月18日(2002.9.18) |
| 【出願番号】 |
特願2001−395129(P2001−395129) |
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