| 【発明の名称】 |
上 着 |
| 【発明者】 |
【氏名】高田 友喜
|
| 【要約】 |
【課題】携帯用端末等の重量品が収納でき、且つ衣服に変形を及ぼさないような内ポケットを有する上着を提供する。
【解決手段】身返し2が肩および袖ぐりまで拡がっており、上着を着用した際に肋骨の最も突出した部分の下方のくぼみに対応する位置で下前側の身返しにマチ31付きのパッチポケット3が設けられ、下前側身返しはネックポイント51と前記ポケットの幅方向の中央を結ぶ線23およびその延長線23上で切替えられている。切替え箇所の縁部24にはその上端からポケット位置まで延びて補強テープ46が設けられる。ポケットにはフラップ32が設けられ、ポケット口側に面ファスナーの半体33aが横長に、フラップ側に面ファスナーの半体33bが縦長に取着されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 身返しが肩および袖ぐりまで拡がっており、上着を着用した際に肋骨の最も突出した部分の下方のくぼみに対応する位置で下前側の身返しにパッチポケットが設けられ、前記下前側身返しはネックポイントと前記ポケットの幅方向の中央を結ぶ線およびその延長線上で切替えられていることを特徴とする上着。 【請求項2】 切替え箇所の縁部にはその上端からポケット位置まで延びている補強テープが設けられていることを特徴とする請求項1記載の上着。 【請求項3】 前記補強テープが両面接着テープであり、補強テープの片面は切替え箇所で身返しに接着し、補強テープの他面は胸増芯に接着し、前記補強テープは切替え箇所の縁部および胸増芯に縫着されていることを特徴とする請求項2記載の上着。 【請求項4】 前記パッチポケットがマチ付きのものであり、ポケット口を覆うフラップが設けられ、ポケット口とフラップとに面ファスナーの半体がそれぞれ取着されており、ポケット口側の面ファスナーは横長に、フラップ側の面ファスナーは縦長に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の上着。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、重量のある品物を収納できるポケットを有する上着に関するものである。 【0002】 【従来の技術】最近では携帯電話などの他に携帯情報端末などのように比較的重量があり、硬い品物を持ち歩くようになってきている。携帯情報端末は最近では小型化され重量も軽くなってきているが、それでもその重量は130g以上あり、洋服の重量に対してはかなり重いものである。また、携帯情報端末は画面を見るため、および操作性のボタンなどの関係から、ある程度までしか小さくすることができない。このような状態であるので、携帯情報端末は鞄などに入れて持ち歩くことが多い。しかし、衣服にそのまま入れて持ち運べれば鞄などを必要とせず便利であるし、使用時の取出しも容易になる。 【0003】しかしながら、従来の衣服においては、コートやアウター用ブルゾンのように衣服の外側に大きなポケットが設けられているものでは、このような携帯情報端末を収納することも可能であるが、背広などのテーラードカラータイプの上着においてはポケットが、通常、切りポケットであるので、携帯情報端末を収納することができないか或いは収納に不適当である。また、衣服の外側のポケットに携帯情報端末などを収納すると、その部分が膨らんで目立ってしまい、型くずれもして、格好の悪いものとなってしまう。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述した従来の問題点を解決し、携帯用端末等の重量品が収納でき、且つ衣服に変形を及ぼさないような内ポケットを有する上着を提供することを目的とする。特に、本発明は、背広やテーラードカラーを有する上着に適し、携帯用端末等の重量品が収納できる内ポケットを有する上着を提供する。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を、身返しが肩および袖ぐりまで拡がっており、上着を着用した際に肋骨の最も突出した部分の下方のくぼみに対応する位置で下前側の身返しにパッチポケットが設けられ、前記下前側身返しはネックポイントと前記ポケットの幅方向の中央を結ぶ線およびその延長線上で切替えられていることを特徴とする上着により達成した。 【0006】前記切替え箇所の縁部にその上端からポケット位置まで延びている補強テープが設けられていると補強効果があり好ましい。この補強テープが両面接着テープであり、補強テープの片面は切替え箇所で身返しに接着し、補強テープの他面は胸増芯に接着し、前記補強テープが切替え箇所の縁部および胸増芯に縫着されていると、ポケット内の収納物の重量を分散して支えられるので、より好ましい。また、前記パッチポケットがマチ付きのものであり、ポケット口を覆うフラップが設けられ、ポケット口とフラップとに面ファスナーの半体がそれぞれ取着されており、ポケット口側の面ファスナーは横長に、フラップ側の面ファスナーは縦長に設けられていることが好ましい。 【0007】本発明においては、ポケットに収納する品物は、携帯情報端末に限られず、その他の比較的重量がある品物であって、上着の内ポケットに収納しておくことが取扱い上便利なものが含まれる。 【0008】 【実施例】以下、図面に示した実施例に基いて本発明を詳細に説明する。図1は本発明の上着の一実施例の正面図であり、テーラードカラーを有する上着であり、下前となる右前身頃を開いた状態を示している。図2は図1に示した上着を展開して、上着の内側から見た図であり、衿の部分は一部しか示されていない。図3は図2に示したIII−III線に沿った断面図である。図4はポケットの正面図であり、フラップを開いた状態で図示している。 【0009】図1において、前身頃は右前身頃11と左前身頃12とからなり、本実施例では符号11で示す右前身頃が下前側の前身頃となっている。符号13は後身頃を示している。符号14は衿腰、符号15は上衿、符号54(図2参照)は衿の返り線を示している。 【0010】本発明においては、図1に示すように、下前側の右前身頃11の内側の身返し2の箇所に、携帯情報端末などの重量物を収納するのに適した大きさのポケット3が設けられている。 【0011】このポケット3はパッチポケットであり、携帯情報端末60(図4参照)などの厚みのある物を収納できるように両側面および底面にマチ31がある。また、収納物60の飛び出し防止および収納物60がポケット3に入っていない際にポケット3を薄い状態に保持する役目をするフラップ32をポケット口の上方に備えている。 【0012】通常の背広にあっては、身返しは幅が狭く、胸ポケットのポケット口は身返し(表地)と前裏(裏地)とにまたがって形成されている。しかし、本発明においては重量物を収納するために、図2に示すように、身返し2を前端から肩および袖ぐりまで拡がっているものとし、この身返し2の箇所にポケット3の全体を貼付ける。この身返し2は表地で構成されているので、裏地よりも強度があり、保形性がある。 【0013】ポケット3は携帯情報端末のような硬いものを入れてもよいように、通常の胸ポケットを設ける位置よりも下方に下がった位置に配置する。すなわち、本実施例ではポケット3は、下前身頃(右前身頃)11の裏の身返し2上であって、着用者が上着を着た際に、肋骨の最も突出した部分の下方にあるくぼみ(みぞおちおよび肋骨の下方付近)に対応する位置に、配置される。このような位置とすることにより、着用時に胸骨や肋骨に当る違和感を軽減でき、例えば携帯情報端末をポケット3に入れたまま、満員電車に乗って押された場合などでも、携帯情報端末のように硬い物品であっても、骨にぶつからないので、痛い思いをしない。なお、通常、衣服は自分の体型に合ったサイズのものを選んで、着用する。すなわち、サイズによって着用者の体型(体格)が決まっているので、前述したポケット3を配置する位置も決められる。 【0014】ポケット3に重量物を入れても上着の保形性を維持できるように、図1、図2に示すように、身返し2はポケット3を通る箇所で切替えられ、縫合されている。特に、衿元付近の着崩れを防ぐために、図2に示すように、ネックポイント51(肩線52と衿ぐり線53がぶつかる箇所)を通って、ポケット3の幅方向の中央を通り、下端まで延びるような線上で身返し2が切替えられている。この切替え線23は直線または緩やかなカーブを描く線である。 【0015】図2に示した実施例では、衿ぐり線53(衿腰14と縫い合す箇所)を延長した状態でポケット3まで延び、そしてそこからほぼ真っ直ぐ下端まで延長する線23上で身返し2が切替えられている。この切替えによって身返し2は前側身返し部21と脇側身返し部22とから構成されることになる。 【0016】このように、身返し2は前側身返し部21と脇側身返し部22とからなるが、何れも従来と同様に表地で構成されるので、生地自体が裏地に比べてしっかりしており、収納物を入れても型くずれし難いものである。図2に示すように、上前側の身返しを下前側の身返しと同じ形状とし、左右の身返しを同じように切替えておくことがデザイン上好ましい。 【0017】脇側身返し部22には前裏41に縫合わされている。符号42は細腹裏を示し、符号43は背裏を示している。これらの前裏41、細腹裏42および背裏43は裏地から構成される。 【0018】ポケット3に収納される重量物による影響を軽減させるために、図2および図3に示すように、切替え線23の部分には身返し2の裏側に補強テープ46(図2では二点鎖線で示した)が設けられている。補強テープ46は図2に示すように、衿腰14の下端からポケット3のほぼ中央まで延びている。図3は図2に示したIII−III線に沿った断面図であり、補強テープ46の取付け方法を詳細に示している。図3に示すように、前身頃11には接着芯44が接着され、一方、両身返し部分21および22にもそれぞれ接着芯25が接着されている。補強テープ46は両面接着テープであり、熱をかけると接着性を発揮する接着剤が使用されている。 【0019】図3に示した実施例では補強テープ46が2枚のテープ46aおよび46bからなり、ミシン目47によって一体とされており、それぞれ外側に向いた面が接着性を有する面となっている。ミシン目47は伸び止めの役目をする。 【0020】補強テープ46は図3の実施例では次のようにして取付けられる。まず、前側身返し部21と脇側身返し部22とを縫合わせる。次いで、脇側身返し部22に切替え線23に沿ってハンドステッチ(Pポイントステッチ)26をかける。ステッチ26は切替え線23の箇所における縫目の伸びを防止する効果がある。前側身返し21の切替え縁部24に補強テープ46の一方の縁をルイスミシンによりルイス絡げ48して縫着し、次いで中間プレスで補強テープ46を切替え縁部24および胸増芯45に接着させる。 【0021】補強テープ46をプレスにより胸増芯45に接着した後、補強テープ46の他方の縁をルイスミシンによりルイス絡げ49で胸増芯45および脇側身返し22の切替え縁部24に縫着する。これによりテープの伸びを防止できる。 【0022】このように補強テープ46を胸増芯45に縫着することにより、補強テープ46と胸増芯45とによりポケット3に収納された物品60(図4)の重量が支えられ、収納物の重みによる裏のダレ感を軽減し、保形性を高めている。 【0023】ポケット3の大きさは幅方向および深さ方向はその中に収納する、例えば、携帯情報端末の大きさなどに適した大きさとする。例えば幅は約6〜10cm程度であり、深さは約10〜14cm程度である。またマチ31の厚みも収納物に合わせたものとすればよく、約1〜2.5cm程度である。 【0024】ポケット3の口の脇側には、図2に示すように、短冊布34が身返し2の裏側から当てられている。短冊布34はポケット3を縫付けるときに一緒に縫付けられる。また、この短冊布34は身返し2と胸増芯45との間に入れられたものであり、縫目35により胸増芯45にも縫付けられている。短冊布34が胸増芯45に縫付けられているため、ポケット3に掛る力を胸増芯45によっても支えることができる。このように収納物60の重さを分散して支持するので、保形性が向上する。なお、縫目35は短冊布34と胸増芯45とを縫着するものであり、身返し2に覆われて、外からは見えない。 【0025】図4はフラップ32を上げた状態のポケット3を示しており、ポケット3のポケット口には面ファスナーの片方、例えば、オス側のファスナー33aが設けられている。フラップ32の方には面ファスナーの半体(例えばメス側)33bが設けられている。また、フラップ32は全体を同じ生地としてもよし、異なった生地を組合せて形成してもよい。例えば、図4に示すように、フラップ32の自由端部分を合皮部32aとし、身返し2に縫付ける側の部分32bを表地とする。このように合皮などをフラップ32の自由端側に使用すると、フラップ32をポケット3に被せた際に、フラップ32がペラペラした感じが少なく、浮き上がらない。フラップ32全体を合皮とすると折曲げ難くなるので、身返し2に縫付ける側32bを表地とすると折曲げ易くなる。 【0026】面ファスナーはポケット側を横長とし、フラップの側を縦長として設けることが好ましい。このようにすると収納物を入れた場合と入れない場合によって、係合位置を調整することができる。物品を収納していないときは、マチ31を折畳んで薄い状態にして、フラップ32で押さえると、ポケット口を平らな状態に維持できる。また、収納物を入れてポケット3が膨らんだ場合も、フラップ側の面ファスナー33bを縦長に設けているので、収納物の厚みに合わせてポケット側の面ファスナー33aとしっかりと係合させることができる。 【0027】 【発明の効果】本発明においては、上着の身返しが肩および袖ぐりまで拡がっており、上着を着用した際に肋骨の最も突出した部分の下方のくぼみに対応する位置で下前側の身返しにパッチポケットが設けられ、この下前側身返しはネックポイントと前記ポケットの幅方向の中央を結ぶ線およびその延長線上で切替えられている。 【0028】従って、本発明によれば、身返しの箇所にポケットの全体が貼付けられおり、身返しは表地であるので、裏地よりも強度があり、保形性がある。 【0029】また、本発明によれば、身返しを切替えて、縫合わせているので、切替え箇所には身返しと切替え縁部とが存在しており、ポケットに収納された物品の重量を支え易くなる。しかも、切替えがネックポイントとポケットの幅方向の中央を結ぶ線上であるので、ポケットに収納された物品の重量がネックポイントに対して掛かる状態となり、そのため着用時の衣服の変形が極めて少ない。すなわち、仮に身返しが肩線の中程で切り替えられていたとすると、肩にショルダーバッグをかけたような重量の掛かり方となるので、衿元が開いてしまったりするが、本発明ではネックポイントに向かって重量が掛かるので衿元が崩れない。 【0030】また、本発明によれば、ポケットに収納するものが硬い物であっても、通常の胸ポケットよりもずっと下方の、着用時には肋骨に当たらない位置に、パッチポケットを設けているので、収納物が骨に当る違和感がない。 【0031】更に、本発明では、身返しの切替え部分に補強テープを設け、補強テープを身返し部分および胸増芯の両方に縫着したことにより、胸増芯側でもポケット内の物品の重量を支えることになり、重量の支え部を分散化できる。そのためポケットに重い物を入れても裏側のダレが殆ど生じない。 【0032】本発明によれば、下前側の身返しにマチのあるパッチポケットを設けている。通常、ワイシャツ等には上前側に胸ポケットがあるため、物を入れると膨らみが生じているが、本発明によれば、下前側に厚みのある物を入れるようにしたので上着のシルエットに影響が少ない。 【0033】本発明によれば、携帯情報端末をポケットに収納したときの厚みなども考慮したマチ付きのポケットとしたため、取出し易く、収納性も高い。またポケットに厚みのあるものを入れていなくても、マチ付きのため、薄く平たく収まり、着用時にも違和感がない。 【0034】また、ポケット口とフラップとに面ファスナーを取付け、その面ファスナーはフラップ側に縦方向、パッチポケット側に横方向に縫付けてあるので、アジャスト機能があり、ポケットの中の収納物が薄い場合でも、或いは厚みのあるものを収納しても、何れの場合もぴったりと膨らみ過ぎずに収納することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】593085417 【氏名又は名称】株式会社オンワード樫山
|
| 【出願日】 |
平成13年2月22日(2001.2.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077654 【弁理士】 【氏名又は名称】三中 菊枝 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2002−249903(P2002−249903A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月6日(2002.9.6) |
| 【出願番号】 |
特願2001−46816(P2001−46816) |
|