| 【発明の名称】 |
ニット衣料品及び該ニット衣料品の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】加藤 伸一
|
| 【要約】 |
【課題】友禅染を施した新たなニット衣料品の提供及びその製造方法を提供する。
【解決手段】先ず、ニット衣料品(10)の各ニットピース(20)をニット成形する。続いて、各ニットピース(20)の外周縁を所定幅の布地台(30)に縫着して該各ニットピース(20)を布地台(30)に仮縫い付けする。その際、布地台(30)における各ニットピース(20)の裏側に対応する裏地部分(31〜34)を取り除く。加えて、各ニットピース(20)を仮縫い付けした布地台(30)に伸子張りを施し、上記各ニットピース(20)に友禅染を行って該各ニットピース(20)に染色を施す。更に、染色後の各ニットピース(20)を布地台(30)より取り外し、該各ニットピース(20)を縫い付けてユニット衣料品(10)に仕上げる。つまり、ニット地の各ニットピース(20)を布地台(30)に仮縫い付けし、伸子張りを施して友禅染を行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ニット地の各ニットピース(20)の外周縁を所定幅の布地台(30)に縫着して該各ニットピース(20)を布地台(30)に仮縫い付けし、上記ニットピース(20)と共に布地台(30)に伸子張りを施して各ニットピース(20)に友禅染を行い、上記各ニットピース(20)を布地台(30)より取り外して該各ニットピース(20)を縫い付けて仕上げられたことを特徴とするニット衣料品。 【請求項2】 ニット衣料品(10)の各ニットピース(20)をニット成形する前工程と、上記各ニットピース(20)の外周縁を所定幅の布地台(30)に縫着して該各ニットピース(20)を布地台(30)に仮縫い付けする仮縫い付け工程と、上記ニットピース(20)を仮縫い付けした布地台(30)に伸子張りを施し、上記各ニットピース(20)に友禅染を行って該各ニットピース(20)に染色を施す染色工程と、上記染色後の各ニットピース(20)を布地台(30)より取り外し、該各ニットピース(20)を縫い付けてユニット衣料品(10)に仕上げる仕上げ工程とを備えていることを特徴とするニット衣料品の製造方法。 【請求項3】 請求項2において、各ニットピース(20)の周囲には、仮縫い付けを施す捨て編み(2a)が形成されていることを特徴とするニット衣料品の製造方法。 【請求項4】 請求項2において、仮縫い付け工程は、布地台(30)に各ニットピース(20)の縫合位置を示すクロスマークA〜Jを付することを特徴とするニット衣料品の製造方法。 【請求項5】 請求項2において、仮縫い付け工程は、布地台(30)における各ニットピース(20)の裏側に対応する裏地部分(31〜34)を取り除く工程を備えていることを特徴とするニット衣料品の製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ニット衣料品及び該ニット衣料品の製造方法に関し、特に、手編みニット衣料品の友禅染対策に係るものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、織物などの各種の衣料品の染色には、プリント加工の他、友禅染など各種のものがある。 【0003】この染色の1つである友禅染は、糊置防染法の染めで、色彩豊かな精巧な模様染めの1つであり、宮崎友禅による花鳥や風月の染め模様が代表される。広義の友禅染では、生地を張手の伸子で張り広げ地入と乾燥の工程を経た後、水刷毛と染料とを含ませた刷毛を用いて次第にぼかしていく引き染めによるぼかし染めも含まれる。糊置防染法による写実的作品結果は、宮崎友禅斎以降の友禅染模様の典型であり、友禅染をもって狭義とすることは難しい。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上述した友禅染は、反物などのように織物にあっては、伸子張りを施すことができることから、容易に行うことができる。 【0005】しかしながら、手編みニット衣料品においては、伸縮性が大きいことから、ニット地に直接に伸子張りを用いることができなかった。つまり、カーブ状に形成した手編みニット衣料品の各ニットピースに直接に伸子張りを施すと、各部分の伸張性に差が生じることになる。この結果、所望の染色を施すことができず、今日まで手編みニット衣料品には、友禅染が行われていなかった。 【0006】つまり、従来から多くの要望があるにも拘わらず、友禅染を施したニット衣料品が出現せず、新たな友禅染のニット衣料品の出現が叫ばれていた。 【0007】本発明は、斯かる点に鑑みて成されたもので、友禅染を施した新たなニット衣料品の提供及びその製造方法を提供することを目的とするものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】第1の発明は、ニット衣料品に関する発明であって、ニット地の各ニットピース(20)の外周縁を所定幅の布地台(30)に縫着して該各ニットピース(20)を布地台(30)に仮縫い付けし、上記ニットピース(20)と共に布地台(30)に伸子張りを施して各ニットピース(20)に友禅染を行い、上記各ニットピース(20)を布地台(30)より取り外して該各ニットピース(20)を縫い付けて仕上げられている。 【0009】また、第2の発明は、ニット衣料品の製造方法に関する発明であって、先ず、ニット衣料品(10)の各ニットピース(20)をニット成形する前工程を備えている。続いて、上記各ニットピース(20)の外周縁を所定幅の布地台(30)に縫着して該各ニットピース(20)を布地台(30)に仮縫い付けする仮縫い付け工程を備えている。加えて、上記ニットピース(20)を仮縫い付けした布地台(30)に伸子張りを施し、上記各ニットピース(20)に友禅染を行って該各ニットピース(20)に染色を施す染色工程を備えている。更に、上記染色後の各ニットピース(20)を布地台(30)より取り外し、該各ニットピース(20)を縫い付けてユニット衣料品(10)に仕上げる仕上げ工程を備えている。 【0010】また、第3の発明は、上記第2の発明において、各ニットピース(20)の周囲には、仮縫い付けを施す捨て編み(2a)が形成された構成としている。 【0011】また、第4の発明は、上記第2の発明において、仮縫い付け工程は、布地台(30)に各ニットピース(20)の縫合位置を示すクロスマークA〜Jを付する構成としている。 【0012】また、第5の発明は、上記第2の発明において、仮縫い付け工程は、布地台(30)における各ニットピース(20)の裏側に対応する裏地部分(31〜34)を取り除く工程を備えている。 【0013】すなわち、本発明では、ニット地の各ニットピース(20)を布地台(30)に仮縫い付けし、伸子張りを施して友禅染を行うものである。 【0014】 【発明の効果】したがって、本発明によれば、カーブ状に形成した手編みのニット衣料品(10)に友禅染を行うことにより、手編み独自の柔らかな風合いに友禅染の軽快でぼかした表現の友禅模様(40)を加えることができる。 【0015】つまり、ニット製品の伸張性を布地台(30)によって抑制することができるので、友禅染に必要な伸子張りを施すことができる。この結果、ニット衣料品(10)の各ニットピース(20)に友禅染の染色を行うことができる。 【0016】また、上記各ニットピース(20)の周囲に仮縫い付けを施す捨て編み(2a)を形成するようにすると、該捨て編み(2a)を染色後に編みほどいた後、上記捨て編み(2a)の糸をプリントヤーンとして細編み等の最終仕上げに利用することができる。この結果、形成編みであることによる裁断ロスを少なくすることができ、省資源化を図り、地球環境にも優しく、極めて合理的なものとすることができる。 【0017】また、上記各ニットピース(20)の縫合位置を示すクロスマークA〜Jを付するようにすると、最終縫製時に各ニットピース(20)の間の友禅模様(40)の連続性を確実に保つことができる。 【0018】また、上記布地台(30)における各ニットピース(20)の裏側に対応する裏地部分(31〜34)を取り除くようにすると、各ニットピース(20)の裏にも確実に友禅模様(40)を施すことができる。 【0019】 【発明の実施の形態1】以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて詳細に説明する。 【0020】図1〜図4に示すように、本実施形態のニット衣料品(10)は、例えば、婦人用のツーピース、セーター又はアンサンブルの手編みニット製品である。この手編みのニット衣料品(10)は、ニット地の複数のニットピース(20)より構成されている。具体的に、上記ニット衣料品(10)は、例えば、前身頃(21)、2つの袖(22,23)及び後身頃(24)の4つのニットピース(20)より構成されている。 【0021】尚、手編みニットとは、棒針、鈎針又はレース針を利用して糸をループ状に編み繋いで服等を形成する技法による衣料であり、家庭機による場合の手編みニットと、手動機による場合のフルファッションによる工業ニットに区別されている。 【0022】上記ニット衣料品(10)は、友禅染による染色が行われて友禅模様(40)が施されている。 【0023】そこで、上記ニット衣料品(10)における友禅染を適用した製造方法について説明する。 【0024】先ず、前工程として、図1に示すように、ニット衣料品(10)の4つのニット地のニットピース(20)を成形する。つまり、前身頃(21)、2つの袖(22,23)及び後身頃(24)をそれぞれ個別に編んで成形する。 【0025】この前工程の後、ニットピース(20)の仮縫い付け工程に移る。つまり、図1に示すように、4つの個別の各ニットピース(20)を別の所定幅の布地台(30)に配置し、図2に示すように、各ニットピース(20)を布地台(30)に仮縫い付けする。 【0026】具体的に、上記布地台(30)は、友禅染を行う際の伸子張りを施す場合、この伸子張り独自のテンションがカーブ状のニットピース(20)に不均等に作用しないようにするために用いるものである。上記布地台(30)は、織物など、所定以下の伸縮量のものであればよく、糸材質等は問われるものではない。 【0027】一方、上記ニットピース(20)は、外周縁を上記布地台(30)にミシン等を用い、縫い糸(50)で縫い付ける。したがって、上記ニットピース(20)の周囲には、ミシン等の縫い糸(50)が染色の妨げとならないように、鉤針で捨て編み(2a)を施すことが好ましく、この捨て編み(2a)の部分を布地台(30)に縫製することが望ましい。更に、上記縫い糸(50)は、染色後にほどくことから、糸端(51)の始末を行うことなく、長めに残すことが好ましい。 【0028】また、上記ニットピース(20)は、布地台(30)に表にし且つ同一方向にて仮縫い付けし、ブラウスや上着の場合、バストライン(L)で揃えることが好ましい。 【0029】また、上記ニットピース(20)は、例えば、7cmの間隔(M)を設けることが好ましく、バストダーツ部(2b)がある場合、このバストダーツ部(2b)を前下がりに仮縫い付けすることが好ましい。 【0030】また、図2に示すように、上記布地台(30)には、各ニットピース(20)の縫合位置を示すクロスマークA〜Jを付する。つまり、手染めによる刷毛の勢いを考慮し、各ニットピース(20)の間の友禅模様(40)の柄の連続性を示すようにしている。尚、上記クロスマークA〜Jは、各種の糸で付され、各ニットピース(20)の捨て編み(2a)の部分に付してもよいが、染色の妨げとならないように布地台(30)に付することが好ましい。 【0031】また、上記仮縫い付け工程においては、布地台(30)における各ニットピース(20)の裏側に対応する裏地部分(31〜34)を取り除く工程を備えている。 【0032】つまり、図3に示すように、布地台(30)の裏地部分(31〜34)は、ミシン目である縫い糸(50)の内側を該縫い糸(50)に沿って裁断し、取り除く。 【0033】上記仮縫い付け工程の後に染色工程に移り、図4に示すように、上記ニットピース(20)を仮縫い付けした布地台(30)に伸子張りを行う。その後、上記各ニットピース(20)に染色を施して該各ニットピース(20)に友禅染を行い、各ニットピース(20)に友禅模様(40)を施す。 【0034】その後、仕上げ工程に移り、上記各ニットピース(20)を縫い糸(50)をほどき、布地台(30)から取り外す。そして、上記各位ニットピース(20)を互いに縫製し、ニット衣料品(10)に仕上げる。その際、上記クロスマークA〜Jを参考に各ニットピース(20)の縫い合わせる。 【0035】更にその際、上記捨て編み(2a)を編みほどいた後、捨て編み(2a)の糸をプリントヤーンとしてを細編み等の最終仕上げに利用する。したがって、形成編みであることによる裁断ロスを少なくすることができる。 【0036】〈実施形態1の効果〉以上のように、本実施形態によれば、カーブ状に形成した手編みのニット衣料品(10)に友禅染を行うことにより、手編み独自の柔らかな風合いに友禅染の軽快でぼかした表現の友禅模様(40)を加えることができる。 【0037】つまり、ニット製品の伸張性を布地台(30)によって抑制することができるので、友禅染に必要な伸子張りを施すことができる。この結果、ニット衣料品(10)の各ニットピース(20)に友禅染の染色を行うことができる。 【0038】また、上記各ニットピース(20)における捨て編み(2a)を染色後に編みほどいた後、捨て編み(2a)の糸をプリントヤーンとして細編み等の最終仕上げに利用することができる。この結果、形成編みであることによる裁断ロスを少なくすることができ、省資源化を図り、地球環境にも優しく、極めて合理的なものとすることができる。 【0039】また、上記各ニットピース(20)の縫合位置を示すクロスマークA〜Jを付するので、最終縫製時に各ニットピース(20)の間の友禅模様(40)の連続性を確実に保つことができる。 【0040】また、上記布地台(30)における各ニットピース(20)の裏側に対応する裏地部分(31〜34)を取り除くので、各ニットピース(20)の裏にも確実に友禅模様(40)を施すことができる。 【0041】 【発明の実施の形態2】図5〜図8は、本発明の実施形態2を示し、本実施形態2は、前開きのニット衣料品(10)の一部を示している。例えば、前開きの上着の前身頃は、右側前身頃(25)と左側前身頃(26)の2つのニットピース(20)となる。 【0042】前開きのニット衣料品(10)の場合、トリミングの幅、及びボタンホールの最終位置を考慮し、布地台(30)に対するニットピース(20)の配置が重要となる。 【0043】前開きの後加工トリムは、多くの場合、手編みによって各ニットピース(20)に付属的に編み足されるので、この後加工トリムを想定して各ニットピース(20)が編まれている。 【0044】図5に示すように、トリム仕上げの場合、前開き端(25a,26a)を一致させて布地台(30)に仮止めする。この結果、友禅模様(40)の整合が図れることになる。 【0045】一方、図6に示すように、トリムが前立てとなる場合、ボタンホールがトリミングの中央に位置するため、捨て編みの部分を除いて前立てに対応する隙間(S)を設ける。つまり、右側前身頃(25)と左側前身頃(26)は、前開き端(25a,26a)の間に所定の隙間(S)が生ずるように布地台(30)に仮止めする。この結果、友禅模様(40)の整合が図れることになる。 【0046】上記図5及び図6に示すように各ニットピース(20)が配置された布地台(30)に伸子張りを施し、図7及び図8に示すように、友禅染を行い、友禅模様(40)を施す。この結果、右側前身頃(25)と左側前身頃(26)の間において、友禅模様(40)の連続性が保たれることになる。 【0047】 【発明の他の実施の形態】上記実施形態においては、婦人服のツーピースなどの手編みユニット衣料品(10)について説明したが、本発明は、これらの衣料に限られず、各種の手編みユニット衣料品(10)に適用できることは勿論である。 【0048】また、仮縫い付け工程では、布地台(30)におけるニットピース(20)の裏地部分(31〜34)を切除する工程を含むようにしたが、ニットピース(20)の裏に友禅模様(40)を施さない場合、必ずしも布地台(30)におけるニットピース(20)の裏地部分(31〜34)を切除する必要はない。 【0049】また、上記各実施形態は、手編みのニット衣料品(10)について説明したが、本発明は、所定の伸張性を有するニット衣料品(10)であればよい。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】501080653 【氏名又は名称】株式会社シンサイカトー
|
| 【出願日】 |
平成13年2月27日(2001.2.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077931 【弁理士】 【氏名又は名称】前田 弘 (外7名)
|
| 【公開番号】 |
特開2002−249902(P2002−249902A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月6日(2002.9.6) |
| 【出願番号】 |
特願2001−52139(P2001−52139) |
|