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【発明の名称】 防護服のカバー及び作業時の身体防護方法
【発明者】 【氏名】山根 悟

【氏名】黒田 衛

【氏名】市川 一敏

【要約】 【課題】防護服の狭溢部等の汚染を防止する。

【解決手段】汚染物質から身体を防護する防護服2の上に被せて使用する、透視可能な軟質シートからなる防護服のカバー5。汚染された設備を洗浄又は解体する作業に際し、防護服2を着用し、該防護服2の上に、透視可能な軟質シートからなるカバー5を被る作業時の身体防護方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 汚染物質から身体を防護する防護服の上に被せて使用する透視可能な軟質シートからなる防護服のカバー。
【請求項2】 汚染された設備を洗浄又は解体する作業に際し、防護服を着用し、該防護服の上に、透視可能な軟質シートからなるカバーを被ることを特徴とする作業時の身体防護方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防護服のカバー及び作業時の身体防護方法に係り、特に、ごみ焼却炉の解体等に当たり、焼却炉内に付着した汚染物質を高圧水で洗浄除去する際に、汚染物質から身体を防護するために着用する防護服の上に被せて使用するカバーと、このようなカバーを被せることで作業時に身体を確実に防護する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ごみ焼却炉等の焼却炉においては、燃焼中に、フェノール、ベンゼン、アセチレン等の有機化合物、クロロフェノール、クロロベンゼン等の塩素系芳香族化合物や塩素系アルキル化合物等のダイオキシン類前駆体が発生する。これらのダイオキシン類前駆体は、飛灰が共存するとその触媒作用でポリ塩化−p−ジベンゾダイオキシン類(PCDD),ポリ塩化ジベンゾフラン類(PCDF),コプラナーポリクロロビフェニル等の有機塩素化合物(以下、これらを併せて「ダイオキシン類」と称する。)を生成する。
【0003】生成したダイオキシン類は、ごみ焼却運転中に添加されるダイオキシン類分解剤や吸着剤により除去されたり、焼却灰中に含有されて焼却炉から排出され、その後分解処理されたりするが、一部は、炉壁、煙道等に付着して残留する。また、ダイオキシン類の一部は、焼却炉中に残留した灰等に付着して焼却炉内に残留する。
【0004】ところで、ごみ焼却炉等の廃棄物焼却炉設備が老朽化した場合、或いは、広域化のために統合される場合、更には周辺設備を更新する場合等においては、既存の焼却炉を解体することが必要となる。この解体に当たっては、焼却炉やその関連施設(排水処理設備、煙道、集塵器等)内に残留するダイオキシン類等の汚染物質のために作業環境が著しく損なわれることから、作業の安全性を確保するべく、解体工事に先立ち、作業者がエアーラインマスクと化学防護服を装着して、焼却炉や煙道等の内部に入り、高圧水洗浄法により焼却灰等を除去する汚染除去作業が実施される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この高圧水洗浄では、洗浄水を高圧で噴射するため、焼却炉等の壁面に付着していた焼却灰等の汚染物質を含む洗浄水の飛散があり、作業者がダイオキシン類等を含む汚染水を浴びることになる。
【0006】作業終了後には、作業で使用したエアーラインマスクや化学防護服等は、清浄な水で洗浄して再使用されているが、エアーラインマスクの前面は緊急用のフィルタや送気用のホース接続部等が設けられ、構造が複雑な部分を有し、また、化学防護服の顔面部は、マスクと密着させるためにゴムがヒダ状になっている。このような構造が複雑な狭溢部は、洗浄を行っても十分に清浄化することはできず、長期間使用している間に汚染物質が蓄積することから、再装着時の2次汚染の可能性があった。特に、エアーラインマスクの汚染は、直接呼吸系から汚染物質が体内に取り込まれることも考えられ、微量でも健康に影響を及ぼす恐れがある。一方で、このようなエアーラインマスクを含め、防護服の洗浄による清浄度を確認する手段はなく、このような狭溢部の汚染は大きな問題となっていた。
【0007】本発明は上記従来の問題点を解決し、防護服の狭溢部等の汚染を防止する防護服のカバーと、このカバーを用いた作業時の身体防護方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の防護服のカバーは、汚染物質から身体を防護する防護服の上に被せて使用するカバーであって、透視可能な軟質シートからなることを特徴とする。
【0009】本発明の作業時の身体防護方法は、汚染された設備を洗浄又は解体する作業に際し、防護服を着用し、該防護服の上に、透視可能な軟質シートからなるカバーを被ることを特徴とする。
【0010】本発明では、作業者が防護服を着用した後、その上からカバーを被ることで、エアーラインマスクの構造が複雑な部分や化学防護服のヒダ状部のような狭溢部が、汚染物質を含む洗浄水等と直接接触することを、このカバーで防止することができる。このカバーは透視可能であるから、作業者の視界を妨げることはなく、しかも軟質であることから、作業性に影響を及ぼすことはない。
【0011】なお、本発明において、防護服とは、化学防護服等の作業員の顔面や頭部以外の身体部分を覆うもののみならず、顔面や頭部を覆うマスクないし面体、帽子、靴等を含み、本発明においては、汚染物質から身体を防護するために作業員が着用するすべてのものを防護服と称す。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】図1は、本発明における防護服とカバーの装着方法の手順を示す正面図であり、図2は、本発明の防護服のカバーの実施の形態を示す正面図である。
【0014】作業者1はまずフード付き化学防護服2とエアーラインマスク3を着用し、安全帽4を被る(図1(a),(b))。従来は、この状態で作業に取りかかるが、本発明では、このように防護服(2,3,4)を着用した上から、透明軟質カバー5を被る(図1(c))。カバー5を被った後、エアーラインマスク3の面体3Aの部分にカバー5のしわがよらないように、作業者1の背中部分でカバー5の余分な部分をあつめてゴム6等で縛り(図1(d))、装着を完了する(図1(e))。
【0015】なお、作業者1の背中の部分でカバー5をゴム6等で縛るのは、面体3Aの部分にカバー5のしわができないようにして、鮮明な視界を確保するためであり、何らこれに限定されず、粘着テープで留め付けるなどの方法であっても良い。また、その箇所も何ら背中部分に限定されない。
【0016】この透明軟質カバー5は、透明な軟質シートで構成され、作業者1の視界を妨げることはない。
【0017】また、このカバー5は、薄く軽く、かつ軟質であり、作業者1の頭部から被って、作業者1の肩口ないし二の腕あたりまでを覆う長さであるため、作業者1が作業する際の動きを妨げることもない。
【0018】また、このカバー5は図2(a)に示すように長方形の袋状であり、容易に着脱することができる。
【0019】このようなカバー5を防護服の上から被ることにより、前述の高圧水洗浄作業時において、飛散汚染水が直接エアーラインマスク3や化学防護服2の顔面部分等に付着するのを確実に防止することができる。また、このカバー5は安価に製造可能であることから、使い捨てとし、作業終了後はその都度廃棄し、次回作業時には新品を用いれば良い。
【0020】このカバー5を構成する軟質シートの材質としては、透明で軟質なものであれば良く、特に制限はないが、焼却処分時の有害物質の発生を防止する観点から、塩素を含まないポリエチレンやポリプロピレン等で構成され、透明度の高いものが好ましい。
【0021】また、この軟質シートの厚さには特に制限はないが、作業中に破れることがない程度の十分な強度を得ることができる厚さ以上であって、視界にゆがみを生じさせない程度に薄いことが好ましく、その材質によっても異なるが、0.05〜0.2mm程度の厚さであることが好ましい。
【0022】また、カバー5の大きさは、作業者1が自由に腕を動かすことができるように、作業者1が頭部から被った際に、作業者1の肩口から二の腕までを覆う程度の長さで良く、一般的には、図2(a)において、aは500〜1500mm、例えば1000mm程度、bは500〜1500mm、例えば800mm程度とされる。
【0023】即ち、このカバー5は、作業員1が容易に着脱可能である幅であって、エアーラインマスク3や化学防護服2の顔面部分を十分に覆える程度の長さであれば良く、長さについては過度に長くすると作業性を損なうため、上記範囲とするのが好ましい。
【0024】図1では、長方形の袋状の透明軟質カバー5を示したが、カバーを面体にフィットさせて面体部分にしわができないようにすることが鮮明な視界を確保する上で好ましく、製造コストを過度に高くしない範囲で、ある程度人体の体型に倣う形状となるように、例えば、図2(b)に示す如く、頭部7Aに対して肩及び胸部7Bの幅を大きく成形した透明軟質カバー7としても良い。
【0025】また、図1,2では、作業者1が頭部から胸部にかけて被るカバーを示したが、本発明のカバーは、防護服の上から足、腰等のその他の部分を覆うものであっても良く、カバーは頭から(即ち上方から)被るものに限定されず、横からあるいは下から装着するものであってもよい。
【0026】このような本発明の防護服のカバー及び作業時の身体防護方法は、特に、ごみ焼却炉の解体等に当たり、焼却炉内に付着した汚染物質を高圧水で洗浄除去する作業に好適に適用されるが、本発明は何らこのような焼却炉の高圧水洗浄作業に限らず、汚染物質から身体を保護するために防護服を着用して行うあらゆる作業に有効である。
【0027】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、防護服を、更にカバーで覆うことにより、次のような効果が奏される。
【0028】汚染物質が付着した場合にこれを洗浄除去し難い防護服の狭溢部等の汚染を防止することができ、防護服の繰り返し使用による汚染物質の蓄積を防止して、2次汚染の問題を解消することができる。
【0029】しかも、本発明で用いるカバーは使い捨て可能で、安価に提供されるため、カバーを用いることによる経済的な負担は殆どない。
【0030】また、エアーラインマスクと顔面との密着部などに、万が一わずかな隙間ができた場合も、汚染物質が侵入することが完全に防止され、身体を確実に防護することができる。
【出願人】 【識別番号】390027188
【氏名又は名称】栗田エンジニアリング株式会社
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
【出願日】 平成13年2月8日(2001.2.8)
【代理人】 【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
【公開番号】 特開2002−235218(P2002−235218A)
【公開日】 平成14年8月23日(2002.8.23)
【出願番号】 特願2001−32542(P2001−32542)