トップ :: A 生活必需品 :: A41 衣類

【発明の名称】 握力補助具および握力補助手袋
【発明者】 【氏名】茂木 正俊

【氏名】土屋 和博

【要約】 【課題】簡単に、かつ長時間に渡って関節を所定の角度に維持できる握力補助具および握力補助手袋を提供すること。

【解決手段】本発明に係る握力補助手袋1は、使用者の手に装着される本体10と、この本体10が手に装着された際に、本体10をその本体10が装着された手の指が曲げられている状態に維持する形状記憶板20とを備える。手に本体10を装着するだけで、形状記憶板20によって指が曲げられた状態を維持でき、握力の補助となる。このため、鞄等の取っ手を握って持ち運ぶ際には、指に装着するだけで指を曲げることを強く意識しなくても、簡単に、かつ長時間に渡って、取っ手をつかんだまま鞄等を持ち運びできる。特に、高齢者や女性、子供等は、青年男性等に比べて一般的に握力が弱いので、より一層鞄を持ち運ぶ際の負担を軽減できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 使用者の所定の関節部分に装着される本体と、この本体が前記所定の関節部分に装着された際に、その関節が所定の角度となるように前記本体を所定形状に変形させてその形状に維持する形状維持手段と、を備えることを特徴とする握力補助具。
【請求項2】 請求項1に記載の握力補助具において、前記本体は手に装着され、前記形状維持手段は、指の関節が所定の角度となるように前記本体を所定形状に変形させてその形状に維持することを特徴とする握力補助具。
【請求項3】 請求項2に記載の握力補助具において、前記形状維持手段は、前記使用者の体温による熱が加えられることにより、前記本体をその本体が装着された指が曲げられている状態に維持することを特徴とする握力補助具。
【請求項4】 請求項2または請求項3に記載の握力補助具において、前記形状維持手段は、電熱線を流れる電気によって発生させられる熱が加えられることにより、指の関節が所定の角度となるように前記本体を所定形状に変形させてその形状に維持することを特徴とする握力補助具。
【請求項5】 請求項2〜4のいずれかに記載の握力補助具において、前記形状維持手段は、形状記憶合金で構成されていることを特徴とする握力補助具。
【請求項6】 請求項2〜4のいずれかに記載の握力補助具において、前記形状維持手段は、バイメタルで構成されていることを特徴とする握力補助具。
【請求項7】 請求項2〜4のいずれかに記載の握力補助具において、前記形状維持手段は、周囲温度の変化により固体および液体の一方から他方へ相変化し、この相変化により体積が変化する相変化物質と、この相変化物質が収納される容器と、相変化物質の体積変化に応じて所定の方向に伸縮可能な可動部と、を有するサーモエレメントで構成されていることを特徴とする握力補助具。
【請求項8】 請求項2に記載の握力補助具において、前記形状維持手段は、流体と、この流体が圧入される流体圧入部とを備え、前記流体圧入部は、前記圧入される流体からの圧力を受けて、自身が所定の方向に伸張することにより、前記本体をその本体が装着された指が曲げられている状態または伸ばされている状態に維持することを特徴とする握力補助具。
【請求項9】 請求項8に記載の握力補助具において、前記流体は、空気であることを特徴とする握力補助具。
【請求項10】 請求項2〜9のいずれかに記載の握力補助具において、前記形状維持手段は、前記本体における前記使用者の手のひら側に配置されることを特徴とする握力補助具。
【請求項11】 請求項2〜9のいずれかに記載の握力補助具において、前記形状維持手段は、前記本体における前記使用者の手の甲側に配置されることを特徴とする握力補助具。
【請求項12】 請求項2〜11のいずれかに記載の握力補助具において、前記本体は、前記使用者の各指に対応して、これらの各指ごとに分かれた形状を有し、前記形状維持手段は、前記各指の少なくとも1本以上の指部分にそれぞれ配置されることを特徴とする握力補助具。
【請求項13】 請求項12に記載の握力補助具において、前記形状維持手段が配置された指は、中指、薬指および小指であることを特徴とする握力補助具。
【請求項14】 請求項2〜13のいずれかに記載の握力補助具を備えて構成され、かつ前記本体は手が挿入されて装着されるものであることを特徴とする握力補助手袋。
【請求項15】 請求項14に記載の握力補助手袋において、前記本体は、前記手が挿入されて装着されるものであり、この本体の前記手の甲側には、前記使用者の手に合わせて装着状態を調整可能な調整手段を備えることを特徴とする握力補助手袋。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、握力補助具および握力補助手袋に関する。
【0002】
【背景技術】従来、握力を補助する器具や手袋としては、ゴルフクラブを握る際の握力を補助する手袋や、びんの蓋を開ける際に、この蓋を掴む力を補助する器具等が開発されている(特開2000−271260号公報および特開2000−281185号公報参照)。しかしながら、このような器具や手袋は、ゴルフクラブやびんの蓋等の特定の道具にしか使えないものであった。一方、日常生活では、ゴルフクラブを握ったり、びんの蓋を開ける以外においても、握力の補助を必要とする場面がある。例えば、日常生活において外出の際には、荷物の入った鞄や、外出先で購入した商品等を収納するビニール袋や紙袋等を持ったまま、比較的長時間に渡って歩行することがある。このため、ある程度継続した時間、鞄等の取っ手を握りつづけるための握力が必要であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述のような高齢者たちは筋肉の衰えにより握力が低下している場合が多く、鞄等の持ち運びが非常に苦痛であった。このことは、比較的握力の弱い女性や子供にとっても同様であった。そこで、このような苦痛をやわらげるために、例えば、鞄の場合には、肩から提げるためのストラップが設けられたものや、両肩や背中等を用いて荷物を運べるリュックサック等が使用されている。しかしながら、意匠性等の観点から、取っ手を握るタイプの鞄も多用されている。一方、ショッピング後に商品等を収納するビニール袋や紙袋においては、肩から提げることができるようなものは、ほとんど使われていなかった。なお、筋力の低下は指や手の部分だけに限らず、その他の筋肉においても同様に生じており、指や手以外の関節を曲げたまま維持することも苦痛であった。
【0004】本発明の目的は、簡単に、かつ長時間に渡って関節を所定の角度に維持できる握力補助具および握力補助手袋を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の握力補助具は、使用者の所定の関節部分に装着される本体と、この本体が前記所定の関節部分に装着された際に、その関節が所定の角度となるように前記本体を所定形状に変形させてその形状に維持する形状維持手段とを備えることを特徴とするものである。本発明によれば、使用者の所定の関節部分、例えば、肘や膝、手の指等に本体を装着するだけで、形状維持手段によって関節が所定の角度を維持でき、所定の関節部分の周辺の筋力を補助することとなる。ここで、所定の角度とは、関節部分が曲げられた状態や伸ばされた状態等における関節の角度を示すものであり、例えば、指の曲げ角度を示すものである。このため、例えば、関節を所定の角度に維持することを強く意識しなくても簡単に、かつ長時間に渡って所定の角度に関節を維持したまま生活できる。特に、高齢者や女性、子供等は、青年男性等に比べて一般的に筋力が弱いので、その負担を軽減できる。
【0006】前記本体は手に装着され、前記形状維持手段は、指の関節が所定の角度となるように前記本体を所定形状に変形させてその形状に維持することが好ましい。このようにすれば、使用者の手に本体を装着するだけで、形状維持手段によって指の関節が所定の角度となる状態を維持でき、握力の補助となる。このため、鞄等の取っ手を握って持ち運ぶ際には、指に装着するだけで指を曲げることを強く意識しなくても、簡単に、かつ長時間に渡って、取っ手をつかんだまま鞄等を持ち運びできる。特に、高齢者や女性、子供等は、青年男性等に比べて一般的に握力が弱いので、より一層鞄を持ち運ぶ際の負担を軽減できる。
【0007】前記形状維持手段は、前記使用者の体温による熱が加えられることにより、前記本体をその本体が装着された指が曲げられている状態に維持することが好ましい。このような場合には、握力補助具を指に装着して使用することを考慮すれば、指や手等の温度による熱を常に利用できるので、特別に熱を発生させるような熱源を用意する必要がないから、携帯性を向上でき、ランニングコストを抑えることができる。
【0008】また、前記形状維持手段は、電熱線を流れる電気によって発生させられる熱が加えられることにより、指の関節が所定の角度となるように前記本体を所定形状に変形させてその形状に維持することが好ましい。このような場合においては、例えば、電熱線を流れる電気を電池によって確保し、このような電流を発生させるかどうかをスイッチ等で調整すれば、携帯性を確保したうえで、本体の形状を電流のオン、オフで選択できる。このため、自分の意志で、指を曲げたり伸ばしたりした状態を選択できるから扱いやすい。また、体の熱を利用する場合に比べて、電熱線はすぐに高熱を発生させるので、その熱がすぐに形状維持手段に伝わるから、本体を迅速に、かつ確実に変形でき、本体の使い勝手を向上できる。具体的には、電流が発生している場合に、本体の形状が指を曲げた形状となるように設定したり、逆に、電流が発生しない場合に、本体の形状が指を曲げた形状となるように設定したりできる。ただし、電流が発生していない時に、指が曲げられた状態となるように設定した場合の方が、電流発生時に指が曲げられた状態となる場合に比べて、本体の着脱の時だけ電熱線に電気を流せばよいから、省エネルギ化を図ることができる。
【0009】前記形状維持手段は、形状記憶合金で構成されていることが好ましい。このようにすれば、形状維持手段を手や指の形状に合わせた板状やワイヤ状に形成できる。このため、装着時の違和感を抑えて快適に使用できる。
【0010】また、前記形状維持手段は、バイメタルで構成されてもよい。このようにすれば、形状維持手段が板状となるから、指や手の形状に合わせることができ、装着時の違和感を抑えて快適に使用できる。
【0011】さらに、前記形状維持手段は、周囲温度の変化により固体および液体の一方から他方へ相変化し、この相変化により体積が変化する相変化物質と、この相変化物質が収納される容器と、相変化物質の体積変化に応じて所定の方向に伸縮可能な可動部と、を有するサーモエレメントであってもよい。このような場合において、例えば、温度上昇に応じて体積が増加する相変化物質を使用すると、相変化物質を加熱することによって、可動部を所定の方向に伸長できる。このため、このようなサーモエレメントを、指の付け根から指先へと向かう方向に可動部が伸長するように設定し、本体の手の甲側に配置すれば、指や手の甲、電熱線等からの加熱により、本体を指が曲げられている状態に維持できる。逆に、温度上昇に応じて体積が減少する相変化物質を利用する場合には、サーモエレメントを、指の付け根から指先へと向かう方向に可動部が収縮するように設定し、本体の手のひら側に配置すれば、指等からの加熱によって、本体を指が曲げられている状態に維持できる。
【0012】また、前記形状維持手段は、流体と、この流体が圧入される流体圧入部とを備え、前記流体圧入部は、前記圧入される流体からの圧力を受けて、自身が所定の方向に伸張することにより、前記本体をその本体が装着された指が曲げられている状態に維持してもよい。このようにすれば、熱によって本体の形状を維持する場合に比べて、外気の温度に左右されないから、確実に本体の形状を維持できる。また、流体の圧力に応じて本体の形状が変化するので、この圧力を制御することで本体の形状を細かく設定できる。このため、鞄等の取っ手の形状に合わせることができ、使い易くできる。また、適宜形状を設定できるので、着脱が容易である。なお、流体の圧入には、所定のポンプ等が利用されればよい。
【0013】前記流体は、空気であることが好ましい。このようにすれば、特別に流体を用意する必要がないから、低コストおよび携帯性の向上を達成できる。
【0014】前記形状維持手段は、前記手袋本体における前記使用者の手のひら側に配置されることが好ましい。このようにすれば、例えば、取っ手が細い紙袋等を持ち運ぶ場合には、その取っ手が形状維持手段に当たって、直接手に食い込むことがないため、より一層快適に使用できる。また、指や手等の体の熱を利用する場合において、外気の温度が体温よりも低い場合には、この外気の影響が小さくなるので、本体の形状を確実に維持できる。
【0015】前記形状維持手段は、前記手袋本体における前記使用者の手の甲側に配置されてもよい。このようにすれば、形状維持手段として比較的かさばるものとなる流体圧入部も使用できる。また、手のひら側に配置する場合に比べて、鞄等の取っ手を握っている感覚が阻害されず、確実に鞄等を保持できる。
【0016】また、前記本体は、前記使用者の各指に対応して、これらの各指ごとに分かれた形状を有し、前記形状維持手段は、前記各指に対応する部分にそれぞれ配置されることが好ましい。このように各指毎に分かれた形状としたので、より一層手になじんだものとなるから、使用感を向上できる。また、各指毎に形状維持手段を設けたので、例えば、形状維持手段として形状記憶合金を使用する場合には、この形状記憶合金に、手を握っている際の各指の曲げ具合に対応する形状を記憶させることで、握った際の形状がより一層自然となり、取っ手を握り易くできる。
【0017】その際、前記各指は、中指、薬指および小指であることが好ましい。このように中指、薬指、小指の3本の指に対応するように分けて形成したので、物をしっかり握るためには、これらの3本の指にしっかりと力を入れる必要があることを考慮すれば、十分に握力を補助して握る力を発揮しやすくできる。また、5本の指全部に対応するように形成する場合に比べて、携帯性を向上でき、さらに、コストを抑えることができる。
【0018】本発明に係る握力補助手袋は、請求項2〜13のいずれかに記載の握力補助具を備え、前記本体は手が挿入されて装着されるものであることを特徴とするものである。このようにすれば、手を挿入するだけで、または、手を抜き出すだけで、簡単に脱着でき、使いやすい。
【0019】このような握力補助手袋において、前記本体は、手が挿入されて装着されるものであり、この本体の前記手の甲側には、前記使用者の手に合わせて装着状態を調整可能な調整手段を備えることが好ましい。このように手の甲側に調整手段を設けたので、手が握られている状態にある場合でも、簡単に装着状態を調整できる。このため、手が握られている状態でこの握力補助手袋を取り外す場合でも、簡単に取り外すことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]図1は、本発明に係る第1実施形態の握力補助手袋を示す模式図である。本発明の第1実施形態に係る握力補助手袋1は、図1に示すように、使用者の手が挿入されて装着される手袋本体10と、この手袋本体10の手のひら側に貼付される形状維持手段である形状記憶合金製の形状記憶板20とを備えて構成される。
【0021】手袋本体10は、図2にも示すように、一般的な手袋と同様の素材および形状からなり、使用者の5本の指に対応して各指に分かれた形状を有する。さらに、図3および図4にも示すように、手袋本体10は、使用者の手の甲(手の表)側を覆う表被覆部11と、使用者の手のひら(手の裏)側を覆う裏被覆部12とを備える。このような手袋本体10は、このような表被覆部11および裏被覆部12を重ね合わせた後に、各被覆部11,12同士を、手が挿入される挿入口13となる部分以外の端部を縫い合わせて形成される。
【0022】表被覆部11および裏被覆部12は、手袋において一般的に使用される素材からなり、各種織布や不織布、皮革等を使用できる。表被覆部11には、手の甲の位置に開口部14が形成され、挿入口13の近傍には、この開口部14を跨ぐように、舌状に突出する固定部15が形成されている。固定部15は、その先端に面ファスナ16Aが設けられ、表被覆部11に設けられた面ファスナ16Bと着脱可能である。
【0023】そして、開口部14、固定部15、面ファスナ16A,16Bによって、面ファスナ16Bに対する面ファスナ16Aの取り付け位置を変えて、挿入口13の大きさを変更し、装着具合を調整する調整手段が構成されている。なお、面ファスナ16Bに対する面ファスナ16Aの取り付け位置を変えても、開口部14においてその歪みを吸収でき、このため装着性を確保できる。
【0024】一方、形状記憶板20は、手形状つまり各指および手のひらに対応する部分を有する形状であり、裏被覆部12の外面側(手に接触しない側)に貼付される。
【0025】また、この形状記憶板20は、図3および図4に示すように、特定の温度を境にしてその形状が変化するものであり、各温度範囲における形状に合わせて手袋本体10の形状を変化させる。
【0026】具体的には、形状記憶板20は、その温度が35℃以下の場合には、図3に示すように、指部分が真っ直ぐに伸びたような形状、つまり、手を開いたような形状となるように設定されている。一方、その温度が35℃よりも高い場合には、図4に示すように、指部分が曲げられた形状、つまり、手が握られているような形状となるように設定されている。
【0027】このような握力補助手袋1を用いて、図示していない鞄もしくは紙袋を運搬する方法について以下に説明する。図3に示すように、室温(25℃)における握力補助手袋1は、指が伸びて手を開いたような形状となっており、指および手が挿入しやすくなっている。まず、固定部15の先端に設けられた面ファスナ16Aと、表被覆部11の面ファスナ16Bとの係合を解除して、挿入口13を広く開けておき、手袋本体10に手を挿入して装着する。
【0028】すると、手のひら側に配置された形状記憶板20に手の熱が伝わる。この際、一般に使用者の体温は36℃以上であり35℃を越えているので、形状記憶板20は、図4に示すように、手が握られているような形状に変化する。
【0029】そして、握力補助手袋1が手から抜け落ちないように、手にしっかりフィットさせ、固定部15先端の面ファスナ16Aを、表被覆部11の面ファスナ16Bに係合させる。このようにして、握力補助手袋1を手に装着する。
【0030】このように握力補助手袋1を装着した手で、鞄等の取っ手を握って鞄等を運搬する。この際、形状記憶板20は、手の熱が伝えられている限り、常に指が曲げられている状態、つまり手が握られている状態に保たれるので、鞄の取っ手は握られたままとなる。
【0031】このような鞄等の運搬を終えて、手から握力補助手袋1を取り外す際には、固定部15の先端に設けられている面ファスナ16Aと、表被覆部11の面ファスナ16Bとの係合を解除して、挿入口13を広く開けておき、手袋本体10から手を取り出す。なお、形状記憶板20を外部から冷やせば、握力補助手袋1が手を開いたような形状に変化するので、より一層取り外し作業が簡単となる。以上のようにして、鞄等を運搬する。
【0032】以上のような第1実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)手袋本体10に手を挿入するだけで、形状記憶板20によって指が曲げられた状態を維持でき、握力の補助となる。このため、手を握ることを強く意識しなくても、簡単に、かつ長時間に渡って、取っ手をつかんだまま鞄等を持ち運ぶことができる。特に、高齢者や女性、子供等は、青年男性等に比べて一般的に握力が弱いので、より一層鞄等を持ち運ぶ際の負担を減少できる。
【0033】(2)手の熱を利用して、握力補助手袋1の形状を手が握られている形状に維持できるので、特別に熱を発生させるような熱源を用意する必要がないから、携帯性を向上でき、ランニングコストを抑えることができる。
【0034】(3)形状記憶合金を採用したので、板状等の任意の形状に形成でき、手や指の形状に合わせることができる。
【0035】(4)形状維持手段を板状としたので、形状記憶板20自体が嵩高くなることがないから、装着時の違和感を抑えて快適に使用できる。
【0036】(5)手袋本体10の手のひら側に形状記憶板20を配置したので、取っ手の部分が細い紙袋等を持ち運ぶ場合に、その取っ手は形状記憶板20に当たり、直接手へと食い込むがないため、より一層快適に使用できる。
【0037】(6)手袋本体10の手のひら側に形状記憶板20を配置したので、外気の冷気等の影響が小さくなるから、確実に体の熱を形状記憶板20に伝えることができ、手袋本体10の形状を確実に維持できる。
【0038】(7)各指毎に形状記憶板20を設けたので、各指毎に手が握られている際の曲げ具合を設定でき、握った際の形状をより一層手に馴染んだものとすることができる。このため、鞄等の取っ手を握り易くできる。
【0039】(8)調整手段を設けたので、手袋本体10における手の挿入口13の大きさを調整できる。このため、手への着脱が簡単である。
【0040】(9)調整手段を手の甲側に設けたので、手が握られている状態にある場合でも、簡単に装着状態を調整できる。このため、手が握られている状態で握力補助手袋1を取り外す場合でも、簡単に取り外すことができる。
【0041】(10)手袋本体10を各指毎に分かれた形状としたので、より一層手になじんだものとなり使用感を向上できる。また、手全体を覆う手袋としたので、煩わしい取付け作業を必要とせず、手を挿入するだけで簡単に取付けることができる。
【0042】[第2実施形態]次に本発明に係る第2実施形態について、図5を参照して説明する。なお、前記第1実施形態と同一または相当構成品には同じ符号を付し、説明を省略または簡略する。本発明に係る第2実施形態の握力補助手袋2は、図5に示すように、手袋本体110と、前記第1実施形態と同じ形状記憶板20とを備えて構成される。手袋本体110は、前記第1実施形態と同様に各指に分かれた形状を有し、第1実施形態と同じ構成の表被覆部11と、裏被覆部112とを備える。このような握力補助手袋2は、第1実施形態の握力補助手袋1に比べて、裏被覆部112の構成において異なっている。
【0043】具体的には、この手袋本体110の手のひら側である裏被覆部112は、挿入された手に接触する接触部113と、この接触部113との間に形状記憶板20を挟み、かつ形状記憶板20が表面に露出しないように覆うカバー部114とを備える。つまり、接触部113とカバー部114とによって袋状に形成され、その袋の内部側に形状記憶板20が配置されていることになる。
【0044】接触部113は、メッシュ素材等の薄い素材で形成され、手の熱が形状記憶板20に伝わりやすくなっている。なお、メッシュ素材としては、各種製法による織布や不織布等の所定のものを利用できる。一方、カバー部114は、所定の断熱性素材で形成され、外気が形状記憶板20に伝わり難くなっている。
【0045】なお、形状記憶板20は、前記第1実施形態と同じなので、説明を省略する。また、このような握力補助手袋2の使用方法についても、前記第1実施形態と同じなので、説明を省略する。
【0046】以上のような第2実施形態によれば、前記第1実施形態の(1)〜(10)と同様の効果に加えて、以下のような効果がある。
(11)接触部113をメッシュ素材により形成したので、断熱性の高い素材で形成する場合に比べて、手の熱が形状記憶板20に伝わりやすくなるから、手が握られている形状に素早く変形できる。
【0047】(12)カバー部114を断熱性素材により形成したので、外気が形状記憶板20に伝わり難くなるから、手が握られている形状を確実に維持できる。
【0048】[第3実施形態]次に本発明に係る第3実施形態について、図6,7を参照して説明する。なお、前記各実施形態と同一または相当構成品には同じ符号を付し、説明を省略または簡略する。本発明に係る第3実施形態の握力補助手袋3は、図6および図7に示すように、手袋本体210と、この手袋本体210の手のひら側に配置される形状維持手段としての形状記憶ワイヤ220とを備えて構成される。
【0049】手袋本体210は、前記第1実施形態と略同様に、各指に分かれた形状を有し、前記各実施形態と同じ表被覆部11と、裏被覆部212とを備えて構成される。つまり、前記各実施形態の握力補助手袋に比べて、形状維持手段と裏被覆部212の構成が異なっている。なお、前記各実施形態と同様に手の甲側には、前記調整手段が設けられている。
【0050】具体的には、裏被覆部212は、挿入された手に接触する接触部213と、この接触部213との間にあって、各指の腹部分の左右側に配置される2本の形状記憶ワイヤ220を挟み、かつ形状記憶ワイヤ220が表面に露出しないように覆うカバー部214とを備える。つまり、接触部213とカバー部214とによって袋状の部分が形成され、その袋の内部側に形状記憶ワイヤ220が配置されることになる。なお、接触部213は、前記第2実施形態と同様のメッシュ素材で形成され、カバー部214も、前記断熱性素材で形成される。
【0051】従って、手袋本体3は、このような表被覆部11および裏被覆部212を重ね合わせ、各被覆部11,212同士を、挿入口13となる部分以外の端部および2本の形状記憶ワイヤ220間の指の腹の部分において、縫い合わせることで形成される。
【0052】一方、形状記憶ワイヤ220は、形状記憶合金製のワイヤであり、装着される手の手のひら側に配置される。この形状記憶ワイヤ220は、図7に示すように、手袋本体210の各指210A〜210Eに対応してそれぞれ配置される。具体的には、中指210C、薬指210D、小指210Eにおいては、これらの各指210C〜210Eの両側に1本ずつ、形状記憶ワイヤ220が配置される。一方、人差し指210Bにおいては、その中指210C側に形状記憶ワイヤ220が1本配置される。また、親指210Aにおいては、その端側(人差し指側とは反対側)に形状記憶ワイヤ220が1本配置される。また、親指210Aにおける人差し指210B側と、人差し指210Bにおける親指210A側とに渡って、1本の形状記憶ワイヤ220が配置される。
【0053】各形状記憶ワイヤ220は、前記各実施形態の形状記憶板20と同じ性質を有しており、特定の温度を境にしてその形状が変化する。このような各温度範囲における形状に応じて、手袋本体210の形状を変化させる。
【0054】具体的には、形状記憶ワイヤ220は、その温度が35℃以下である場合には、前記各実施形態と同様に、指部分が真っ直ぐに伸びたような形状、つまり手を開いたような形状となるように設定される。一方、その温度が35℃よりも高い場合には、指部分が曲げられた形状、つまり手が握られているような形状となるように設定される。このような設定は、各指210A〜210E毎に行われ、使用者の指の伸ばし具合や曲げ具合に合わせて、より一層手袋本体210の形状が自然なものとなるように行われる。
【0055】なお、このような握力補助手袋3の使用方法は、前記各実施形態と同じなので、説明を省略する。
【0056】以上のような第3実施形態によれば、前記各実施形態の(1),(2),(3),(5)〜(12)と同様の効果に加えて、以下のような効果がある。
(13)形状維持手段としてワイヤ状の形状記憶ワイヤ220を採用したので、板状のものに比べて、比較的形状記憶合金の使用量を減少できるから、コストを抑えることができる。
【0057】(14)各指の両側のみに形状記憶ワイヤ220を配置したので、指の腹の部分には形状記憶ワイヤ220が位置しない。このため、鞄等の取っ手を掴む感覚を阻害しないから、確実に鞄等を保持して運搬できる。
【0058】[第4実施形態]次に本発明に係る第4実施形態について、図8を参照して説明する。なお、前記各実施形態と同一または相当構成品には同じ符号を付し、説明を省略または簡略する。本発明に係る第4実施形態の握力補助手袋4は、図8に示すように、手袋本体310と、この手袋本体310の手の甲側に配置される形状維持手段としてのサーモエレメント320とを備えて構成される。
【0059】手袋本体310は、前記各実施形態と略同様に各指に分かれた形状を有し、この各指先の手の甲側にはそれぞれ取付部311が設けられる。そして、各取付部311には、後述するサーモエレメント320の可動部323の一端がそれぞれ取り付けられる。なお、前記各実施形態と同様に手の甲側には、前記調整手段が形成される。
【0060】一方、サーモエレメント320は、特定の温度を越えた際に固体から液体へと相変化し、この相変化により体積が増加するワックス321と、このワックス321が収納される容器322と、ワックス321の体積増加に応じて所定の方向に伸長する可動部323とを備える。なお、可動部323は、ワックス321の体積が減少すると自動的に縮むように構成されている。従って、特定の温度よりも低下させた場合には、同様の作用により、所定の方向に収縮する。
【0061】ワックス321は、35℃を境にして相変化が発生する。つまり、35℃未満の場合には固体であり、35℃以上の場合には、固体の場合よりも体積の大きい液体となっている。このようなワックス321としては、n−パラフィン系のワックス等を使用できる。なお、このようなワックスに対して各種添加剤等が加えられてもよい。
【0062】容器322および可動部323は、直線状に連結され、その内部側において繋がっている。そして、その内部側にはワックス321が封入されている。容器322は、箱状に形成され、手袋本体310における手の甲側の各指の付け根部分に、接着剤等によって固定されている。
【0063】一方、可動部323は、連結した直線方向に伸縮する蛇腹状のものであって、その先端部分が取付部311に固定されている。そして、この可動部323は、伸縮可能な方向が、各指の付け根から指先へと向かう方向となるように、各指にそれぞれ配置される。
【0064】このような握力補助手袋4の使用方法について説明する。まず、手袋本体310に手を挿入して装着すると、手の温度が容器322内のワックス321に伝わって、ワックス321が固体から液体へと相変化する。すると、ワックス321の体積増加に応じて、可動部323が指の付け根から指先へと向かう方向に伸長する。
【0065】このため、この可動部323の伸長によって、取付部311に対して付け根側から指先側へと力がかかり、手袋本体310の各指は曲げられた状態となる。つまり、手が握られている状態となる。この際、手が手袋本体310に挿入されている間は、常に手の熱がワックス321へと伝わっているので、指は常に曲げられた状態となっている。このようにして、手袋4は使用される。なお、手袋本体310において、容器322に接触する接触部310Aは、熱伝導しやすいように前述のメッシュ素材等を使用してもよい。また、金属パイプ等のようなヒートパイプを用いて、手の甲側に比べて高い熱を有する場合が多い手のひら側の熱を、容器322に伝導させてもよい。このようにすれば、容器322にすぐに熱が伝わって、素早く手袋本体310を変形できる。
【0066】以上のような第4実施形態によれば、前記各実施形態の(1),(2),(7),(8),(9),(10)と同様の効果に加えて、以下のような効果がある。
(15)接触部310Aをメッシュ素材により形成した場合には、断熱性の高い素材で形成する場合に比べて、手の熱が容器322ひいてはワックス321に伝わりやすくなるから、手が握られている形状を確実に維持できる。また、ヒートパイプを用いて、手のひら側の熱を容器322に伝えるようにした場合には、手のひら側の熱が、手の甲側よりも温度が高い場合が多いので、容器322にすぐに熱が伝わって、素早く手袋本体310を変形できる。
【0067】(16)サーモエレメント320を手の甲側に配置したので、サーモエレメント320が比較的かさばるものとなることを考慮すれば、手のひら側に配置する場合に比べて、鞄等の取っ手を握っている感覚が阻害されず、確実に鞄等を保持できる。
【0068】[第5実施形態]次に本発明に係る第5実施形態について、図9を参照して説明する。なお、前記各実施形態と同一または相当構成品には同じ符号を付し、説明を省略または簡略する。本発明に係る第5実施形態の握力補助手袋5は、図9に示すように、手袋本体410と、この手袋本体410の手の甲側に形成される形状維持手段としての加圧器具420とを備えて構成される。
【0069】手袋本体410は、一般的な手袋と同様に、使用者の5本の指に対応して各指に分かれた形状を有し、前記各実施形態と同様に手の甲側に前記調整手段を備える。一方、加圧器具420は、手袋本体410における親指以外の各指の手の甲側に配置されており、一般的に使われる酸素ガスや窒素ガス等の流体421と、この流体421が圧入される流体圧入部422と、流体421の量を調節するバルブ423とを備える。
【0070】流体421は、チューブ424およびバルブ423を介して、図示しない所定のボンベから供給される。なお、このようなボンベは、腰部等の身体の一部に取り付けられている。流体圧入部422は、気体を通過させないゴム等の素材からなり、圧入された流体421からの圧力を受けて所定の方向に伸張し、手袋本体410の親指以外の各指を曲げている状態に維持する。より具体的には、流体圧入部422は、その手の甲側は繊維が編み込まれたスリーブ425に覆われており、指の付け根から指先にむかう方向へと、ラバチュエータのように流体421の圧力に応じて伸縮するように設定されている。
【0071】以上のような第5実施形態によれば、前記各実施形態の(1),(8),(9),(10)と同様の効果に加えて、以下のような効果がある。
(17)熱によって手袋本体410の形状を維持する場合に比べて、外気の温度に左右されないから、確実に手袋本体410の形状を維持できる。
【0072】(18)流体421の圧力に応じて手袋本体410の形状が変化するので、この圧力を制御することで手袋本体410の形状を細かく設定できる。このため、鞄等の取っ手の形状に合わせることができ、使い易くできる。また、適宜形状を設定できるので、着脱が容易である。
【0073】(19)加圧器具420を手の甲側に配置したので、加圧器具420が比較的かさばるものとなることを考慮すれば、手のひら側に配置する場合に比べて、鞄等の取っ手を握っている感覚が阻害されず、確実に鞄等を保持できる。また、このように流体が圧入された流体圧入部422が断熱層となって、手袋本来の機能である手の保温性を向上できる。
【0074】[第6実施形態]次に本発明に係る第6実施形態について、図10を参照して説明する。なお、前記各実施形態と同一または相当構成品には同じ符号を付し、説明を省略または簡略する。本発明に係る第6実施形態の握力補助手袋6は、図10に示すように、手袋本体510と、この手袋本体510の手の甲側に配置される形状維持手段としての加圧器具620とを備えて構成される。
【0075】手袋本体510は、一般的な手袋と同様に、使用者の5本の指に対応して各指に分かれた形状を有し、図示しないが、前記各実施形態と同様に手の甲側に前記調整手段を備える。一方、加圧器具520は、手袋本体410における中指210C、薬指210D、小指210Eの3本の各指の手の甲側に配置されており、流体としての空気521と、この空気521が圧入される空気圧入部522と、空気521を圧入するポンプ523とを備える。
【0076】空気圧入部522は、対応する指が中指210C、薬指210D、小指210Eである以外は、前記第6実施形態の流体圧入部422と同様のものが用いられる。
【0077】以上のような第6実施形態によれば、前記各実施形態の(1),(8),(9),(10),(17),(18),(19)と同様の効果に加えて、以下のような効果がある。
(20)流体として空気521を用いたので、特別に流体を用意する必要がないから、低コストおよび携帯性の向上を達成できる。
【0078】(21)中指、薬指、小指の3本の指に対応するように分けて形成したので、物をしっかり握るためには、これらの3本の指にしっかりと力を入れる必要があることを考慮すれば、十分に握力を補助して握る力を発揮しやすくできる。また、5本の指全部に対応するように形成する場合に比べて、携帯性を向上でき、さらに、コストを抑えることができる。
【0079】[第7実施形態]本発明に係る第7実施形態について、図11,12を参照して説明する。なお、前記各実施形態と同一または相当構成品には同じ符号を付し、説明を省略または簡略する。本発明に係る第7実施形態の握力補助手袋7は、図11に示すように、手袋本体710と、この手袋本体710の手のひら側に配置される形状維持手段としての形状記憶板720と、この形状記憶板720を加熱する加熱器具730とを備えて構成される。
【0080】手袋本体710の手のひら側には、前記第2実施形態と同様に、挿入された手に接触する接触部713と、この接触部713との間に形状記憶板720および加熱器具730を挟み、かつ形状記憶板720および加熱器具730を表面に露出しないように覆うカバー部714とを備える。接触部713は、断熱性およびクッション性を有する所定の材料で形成され、一方、カバー部714は、断熱性を有する所定の材料で形成される。
【0081】形状記憶板720は、室温においては各指が曲げられたような形状であり、加熱器具730からの加熱によって、各指が真っ直ぐに伸ばされて手を開いたような形状に変形する形状記憶合金製の板である。
【0082】図12にも示すように、加熱器具730は、形状記憶板720の両面と接触するように配置され、ニクロム線731と、このニクロム線731に電気を供給する電池732と、電流のオン、オフを行うスイッチ733とを備える。
【0083】このような握力補助手袋7の使用方法について以下に説明する。手袋本体710は、室温において、手が握られたような形状となっており、まずスイッチ733をオンにして、ニクロム線731に電池732を介して、電気を流す。このように発生した電流によって、ニクロム線731が発熱し、形状記憶板720は、この熱を受けて、指が真っ直ぐに伸びて手を開いたような形状へと変化する。このようにして、手袋本体710は手が開かれたような状態に変形する。
【0084】この状態で、手袋本体710に手を挿入し、スイッチ733をオフにすると、ニクロム線731が発熱しなくなり、形状記憶板720は冷えて指を曲げて手が握られた形状に変化する。このような手が握られた状態で、鞄等の取っ手を握って鞄等を運ぶ。
【0085】以上のような第7実施形態によれば、前記各実施形態の(1)〜(7),(10),(12)と同様の効果に加えて、以下のような効果がある。
(22)ニクロム線731に電気を流した際の発熱を利用して、形状記憶板720ひいては手袋本体710を変形させるようにしたので、ニクロム線731が比較的高熱を発生させることができるから、比較的変形温度が高い形状記憶合金も利用でき、形状記憶板720の材料の選択性を広げることができる。さらに、ニクロム線731はすぐに高熱を発生させるので、例えば体の熱を利用する場合に比べて、その熱がすぐに形状記憶板720に伝わるから、手袋本体710を迅速に、かつ確実に変形でき、握力補助手袋7の使い勝手を向上できる。
【0086】(23)スイッチ733により、電流を発生させるかどうかを切り替えるようにしたので、本体の形状を電流のオン、オフで選択できる。このため、所望するタイミングで自由に形状を変えることができ、着脱を容易にできる。
【0087】(24)形状記憶板720が冷えた状態の時には、指が曲げられて手が握られた状態となるようにしたので、形状記憶板720を加熱した時に、指が曲げられて手が握られた状態となるような場合に比べて、手袋本体710の着脱の時だけニクロム線731に電気を流せばよいから、省エネルギ化を図ることができる。
【0088】[第8実施形態]本発明に係る第8実施形態について、図13,14を参照して説明する。なお、前記各実施形態と同一または相当構成品には同じ符号を付し、説明を省略または簡略する。本発明に係る第8実施形態の握力補助具8は、図13に示すように、各指に装着される本体810と、この本体810の指のひら側に配置される形状維持手段としてのサーモエレメント820とを備えて構成される。
【0089】本体810は、各指が装着される指装着部811と、この指装着部811の手のひら側に設けられ、かつ内部にサーモエレメント820が収納される収納部812とを備える。この指装着部811と収納部812とを仕切っている仕切部813は、前述のメッシュ素材からなり、各指の腹からの熱がサーモエレメント820に伝わり易くなっている。なお、収納部812は、圧力によって伸ばされやすいゴム製である。
【0090】一方、サーモエレメント820は、図14に示すように、35℃を越えた際に固体から液体へと相変化し、この相変化により体積が変化するワックス821と、このワックス821が収納される容器822と、ワックス821の体積変化に応じて所定の方向に進退する可動部823とを備える。
【0091】ワックス821は、前述のワックスと同様のものが使用され、35℃を超えると固体から液体へと変化するものであり、液体の時の方が固体の時よりも体積が大きくなる。可動部823は、ワックス821の体積変化に応じて進退するピストン823Aと、ワックス821が冷えて収縮した際に、ワックス821の体積減少に合わせてピストン823Aを元の位置に戻すばね823Bとを備える。
【0092】このようなサーモエレメント820は、5本の指に、指の付け根から指先へと向かう方向に対して直角で、しかも指の腹に沿う方向に可動部823が進退するように、収納部812の内部にそれぞれ配置される。
【0093】このような握力補助具8の使用方法について以下に説明する。まず、5本の指のそれぞれに、指装着部811を装着する。すると、仕切部813を介して、各指の熱がサーモエレメント820のワックス821に伝えられて、可動部823のピストン823Aが伸長する。
【0094】これにより、収納部812は、図13中に示す矢印831の方向に引っ張られる。このため、収納部812は、ポアソン比から、図13中に示す矢印832,833の方向に収縮する。従って、指装着部811は、手のひら側に湾曲し、5本の指が曲げられた状態へと変形する。この状態で、鞄等の取っ手を握って鞄等を持ち運ぶ。
【0095】以上のような第8実施形態によれば、前記各実施形態の(1),(2),(6),(7),(15)と同様の効果に加えて、以下のような効果がある。
(25)握力補助具8を指に取付けるようにしたので、手袋として手全体を覆う場合に比べて、部材の使用量を少なくでき、コストを抑えることができる。
【0096】なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。前記第1実施形態〜第7実施形態においては、本発明に係る握力補助手袋として、手を挿入して装着される手袋本体を備えていたが、これに限らず、例えば、手を挿入せずに各指に装着されるような握力補助具としてもよい。このような握力補助具の場合にも、前記握力補助手袋と同様の効果を奏することができる。
【0097】各実施形態においては、手や指に装着するように構成したが、これに限らず、所定の関節として、首や膝、肘、肩、腰、手首、足首等に装着して使用できる。また、所定の角度としては、装着される関節の機能および用途等に応じて、設定すればよい。例えば、腰などを伸ばした状態に維持することが難しい場合等において、腰を伸ばす補助としてもよい。
【0098】前記第1実施形態〜第3実施形態、第7実施形態および第8実施形態においては、形状維持手段を手のひら側に配置するようにしたが、手の甲側に配置されてもよい。一方、前記第4実施形態〜第6実施形態においては、形状維持手段を手の甲側に配置するようにしたが、手のひら側に配置されてもよい。
【0099】また、前記第1実施形態、第2実施形態および第7実施形態においては、形状記憶板20を手の形状に応じて、指部分と手のひら部分とを備える形状としたが、指部分のみの形状であってもよい。さらに、前記第1実施形態、第2実施形態および第7実施形態においては、形状維持手段を形状記憶合金製で板状の形状記憶板20としたが、熱膨張率の異なる2枚の金属板を貼り合わせて形成された金属板であるバイメタルであってもよい。
【0100】また、前記各実施形態においては、手袋本体10を表被覆部11と裏被覆部12との端部同士を縫い合わせて形成したが、このような製法には特に限定されない。
【0101】さらに、前記第1実施形態〜第6実施形態においては、調整手段として面ファスナー16A,16Bを用いたが、これに限らず、ファスナやボタン、スナップ、ホック、磁石なども利用でき、係合できればよい。
【0102】また、前記第1実施形態〜第6実施形態においては、手袋本体の手の甲側に調整手段を設けたが、着脱がしやすい上にフィット感が満足いくものであれば、特になくてもよい。なお、逆に前記第7実施形態および第8実施形態においても、このような調整手段が形成されてもよい。
【0103】さらに、前記第1実施形態においては、手袋本体10に対して、形状記憶板20を着脱可能とすれば、一般的な手袋の手のひら側に形状記憶板20を貼付するだけで、簡単に本発明に係る手袋を形成して使用できる利点がある。
【0104】前記第3実施形態において、形状記憶ワイヤ220を各指に2本ずつ配置したが、これに限らず、指の腹の中央部分等に1本配置したり3本以上配置してもよい。
【0105】前記第5実施形態および第6実施形態において、流体として空気や酸素ガス等の気体を利用したが、その他の気体や、水などの液体を利用してもよい。また、前記第5実施形態においては、バルブ423を採用したが、特になくてもよい。さらに、前記第5実施形態においては、ボンベを腰部等に取付けて、チューブ424を介して流体を圧入していたが、ボンベを手袋自体に取付けてもよく、その際には、チューブ424はなくてもよい。なお、ボンベは前記第6実施形態のようなポンプでもよく、つまりは流体を圧入可能なものであればよい。
【0106】また、前記第5実施形態および第6実施形態においては、加圧器具420,520を手袋本体410,510の手の甲側に配置したが、手のひら側に配置されていてもよく、その際には、指の付け根から指先に向かう方向と直交する方向であって指の腹に沿う方向に、加圧器具420,520からの圧力がかかるように設定すればよい。
【0107】前記第6実施形態においては、形状維持手段を中指、薬指、小指の3本の指のみに設け、その他の第1実施形態〜第5実施形態、第7実施形態および第8実施形態においては、形状維持手段を5本の指に対応するように設けたが、本発明において、どの指に対応するように設けるかは任意であり、2本の指や4本の指等等に適宜変更してよい。また、前記各実施形態では、各指毎にそれぞれに対応する形状維持手段を設けたが、例えば、ミトンのように人差し指、中指、薬指および小指の4本の指と親指とで二股となった手袋を利用するような場合には、手袋の形状に合わせて、これら4本の指を一つの形状維持手段で補助するように形成してもよい。さらには、中指、薬指および小指の3本の指を一つの形状維持手段で補助するように形成したり、人差し指と中指を一つの形状維持手段で補助し、かつ薬指と小指とを一つの形状維持手段で補助するように形成したもの等も採用できる。つまり、複数本の指を一つの形状維持手段で補助するように形成してもよい。このような場合には、各指毎に形状維持手段を設ける場合に比べて、形状維持手段が比較的単純な形状となるから、製造コストを抑えることができる。
【0108】前記第7実施形態においては、加熱器具としてニクロム線を利用して発熱させたが、例えば、使い捨てカイロのように鉄の酸化反応により発生する熱等の所定の加熱器具を利用できる。また、電池としては乾電池や太陽電池、水銀電池等の各種電池を利用できる。このような加熱器具は、前記第1実施形態〜第4実施形態においても利用できる。さらに、前記第7実施形態においては、形状記憶板720や加熱器具730を手のひら側に配置したが、手の甲側に配置してもよい。
【0109】なお、形状維持手段としては、前記各実施形態以外に、ばねやゴム等の弾性体も利用することができ、この場合には、これら弾性体の復元力により指が曲げられた状態を維持するように設定されればよい。
【0110】また、加えられる熱は、体の熱や電熱線による発熱を利用したが、これに限らず、例えば、使い捨てカイロのような鉄の酸化反応により発生する熱を利用してもよい。なお、本発明に係る握力補助手袋は、一般的な手袋のように防寒具としても利用できる。
【0111】
【発明の効果】本発明の握力補助具によれば、使用者の所定の関節部分、例えば、肘や膝、手の指等に本体を装着するだけで、形状維持手段によって関節が所定の角度を維持でき、所定の関節部分の周辺の筋力を補助することとなる。このため、例えば、関節を所定の角度に維持することを強く意識しなくても簡単に、かつ長時間に渡って所定の角度に関節を維持したまま生活できる。特に、高齢者や女性、子供等は、青年男性等に比べて一般的に筋力が弱いので、その負担を軽減できる。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【出願日】 平成13年1月30日(2001.1.30)
【代理人】 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉 (外1名)
【公開番号】 特開2002−227015(P2002−227015A)
【公開日】 平成14年8月14日(2002.8.14)
【出願番号】 特願2001−21907(P2001−21907)