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【発明の名称】 レジャーウェア
【発明者】 【氏名】東條 良子

【要約】 【課題】強度・軽量性・耐滑脱性・張りにおいて満足できるレジャーウェアを提供する。

【解決手段】このウェア本体1及びポケット2を構成するナイロン製の生地10は、タフタ(Taffeta)織の表地15とトリコット(Tricot)編の裏地16とを積層した2層構造の生地である。このタフタ織の表地15は、ナイロン繊維を織り込んだ織物生地であり、甲斐絹のような細い横うねのある平織物である。一方のトリコット網の裏地16はナイロン繊維を編み込んだ編み地であり、伸縮性に富むメリアスア編みの編み地である。そして、このタフタ織りの表地15とトリコット編の裏地16とは接着剤で接着されて積層されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】魚釣り等のレジャーにおいて着用されるレジャーウェアであって、織物の表地に編物の裏地を積層した生地からなるウェア本体を備えたレジャーウェア。
【請求項2】前記表地はタフタ織の織物であり、前記裏地はトリコット編の編物である、請求項1に記載のレジャーウェア。
【請求項3】前記ウェア本体に縫合されるポケット部をさらに備えた、請求項1または2に記載のレジャーウェア。
【請求項4】前記タフタ織の表地とトリコット網の裏地とは接着剤で接着されて積層されている、請求項1〜3の何れかに記載のレジャーウェア。
【請求項5】前記表地と裏地とはそれぞれナイロン,ポリエステル,アクリル繊維からなる群より選択された繊維から構成されている、請求項1〜4の何れかに記載のレジャーウェア。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、魚釣り等のレジャーの際に着用されるレジャーウェアに関する。
【0002】
【従来の技術】魚釣り等のアウトドアレジャーの際に種々のレジャーウェアが着用されている。
【0003】この種のレジャーウェアは、例えば、ベスト型のレジャーウェアであれば、ウェア本体と、ウェア本体の表前面に張り出して設けられた様々な小道具を収納できるポケットとを有している。そして、このレジャーウェアの着用時には、ポケットに様々な小道具(例えば、魚釣りであれば、ハサミや針ケース・錘など)を収納することになる。
【0004】このような従来のレジャーウェアでは、強度,柔軟性に基づく着心地,意匠性等を向上させるために、ウェアを構成する生地として撥水処理が施されたナイロン繊維等からなる織生地、特に、タッサー織と呼ばれる織生地が用いられている。このタッサー織生地は縦糸に比べて比較的太めの横糸を編み込むことで、その強度を向上させると共に柔らかさも維持している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】レジャーの際に着用されるレジャーウェアには強度,着心地に加えて軽量性も要求される。このように軽量化のために生地の厚みを薄くするとその強度が低下しすることになるので、軽量化を図りつつ強度を維持するという相反する要請を満足させる必要がある。
【0006】また、レジャーウェアに関わらずウェア一般に関する問題として「着崩れ」という問題がある。特に、活発に動き回りながら着用するレジャーウェアでは「着崩れ」を防止する為の対策が必要となり、いわゆる生地の「張り」が重要である。特に、レジャーウェアは嗜好品であり、意匠性・さわり心地等の要素も重要であり、この「張り」はこれらの要素にも大きく関連する。
【0007】さらに、ポケット等に小道具を収納することが多いレジャーウェアではウェア生地の縫合部分に大きな負荷がかかり、「滑脱」と呼ばれる現象が起こりやすい。このため、この「滑脱」現象を防止することも要請される。
【0008】従来のレジャーウェアはこれらの要請を十分に満足しているものではなく、さらにその改良が求められていた。本発明の課題は、このような従来からの要請を満足できるレジャーウェアを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点を鑑み誠意の研究の結果、織生地と編生地とを組み合わせて積層させた生地を用いることにより、これらの問題点を解決した良好なレジャーウェアを得られることを知見した。本発明は、特に、タフタ織の表地にトリコット編の裏地を積層した生地からなるウェア本体を備える、魚釣り等のレジャーにおいて着用されるレジャーウェアを骨子とするものである。
【0010】レジャーウェアではポケットに小物等を収納しここから小物を出し入れすることが多く、ポケット部に大きな負荷がかかることも多いが、この生地を用いることで「滑脱」現象も十分に抑えられる。
【0011】この織物の表地と編物の裏地とは接着剤で接着されて積層してもよい。接着方法は、特に限定されず、積層面全体に接着剤を塗布する面接着方法でも、複数の点に接着剤を塗布して接着する点接着方法を採用してもよい。
【0012】また、これらの表地と裏地とはそれぞれナイロン繊維等から構成し、撥水処理を施した繊維を用いてもよい。または、所定の表地と裏地とを積層した後にそれぞれの表面に撥水表面処理を所定の方法によって施してもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本発明の一実施形態を採用したレジャーウェアは、魚釣用の際に着用するフィッシングベストである。図1に示すように、ベスト型のウェア本体1と、このウェア本体1の前側表面に縫着された複数のポケット2とを有している。
【0014】ウェア本体1は、外側を構成する撥水処理を施されたナイロン製の生地10と、その内側に縫合されまたは脱着自在に装着されるポリエステル製のメッシュ地11とからなる。このウェア本体1の前面は中央より左右に分かれており、ファスナ3によって開閉される。また、このウェア本体1の肩乃至首周り部分には別途スポンジ生地からなるパット部5が貼り付けられている。
【0015】また、ポケット2はウェア本体1と同様にナイロン製の生地10からなり、ウェア本体1の表面より張り出して立体的に形成されている。そして、その上側乃至側部分には開閉部が形成されており、ファスナ4によって開閉される。また、このポケット2はそれぞれウェア本体1に対して縫合されている。
【0016】図2に模式的に示すように、このようなウェア本体1及びポケット2を構成するナイロン製の生地10は、タフタ(Taffeta)織の表地15とトリコット(Tricot)編の裏地16とを積層した2層構造の生地である。このタフタ織の表地15は、ナイロン繊維を織り込んだ織物生地であり、甲斐絹のような細い横うねのある平織物である。ナイロン繊維に代えてポリエステル・アクリル繊維等から構成してもよい。一方のトリコット網の裏地16はナイロン繊維を編み込んだ編み地であり、伸縮性に富むメリアス編みの編み地である。そして、このタフタ織りの表地15とトリコット編の裏地16とは接着剤で接着されて積層されている。これら各層の厚さやデニール等は任意に設定可能であるが、一例として挙げれば、タフタ織りの表地15はその厚さが10〜20μm、トリコット編の裏地16は厚さ10〜20μm程度となる。
【0017】このようなナイロン製の生地10を構成するタフタ織りの表地15は、従来の生地、例えば、タッサー織り地に比べて強度に優れており、より薄く・軽くウェアを構成可能である。また、織り地として「張り」に優れており「型くずれ」を防止でき、意匠性にも優れる。もっとも、このようにタフタ織りの表地15のみで衣服生地として用いるのに必要程度の厚みを持たせると、柔軟性が大きく低下してしまう。そこで、柔軟性に優れるトリコット編みの裏地16を積層して必要な厚みをもたせることで、軽く、張りにもすぐれ、柔軟性にも優れるレジャーウェアを提供できる。
【0018】また、後述の実施例においても説明するように、このナイロン製の生地10からなるウェア本体1にポケット2を縫合すると、ポケット2に小物を収納して荷重がかかった場合にも縫合部分で「滑脱」現象が生じにくい。
【0019】
【実施例】以下本発明について、実施例を示しつつ説明する。
[滑脱テスト]
(実施例1)タフタ織地(織り密度:110×74,デニール:70d×140d,目付122g/m2,厚さ:約19μm)にトリコット編地(デニール:20d,ゲージ:28G,厚さ:約14μm)を点接着によって積層した生地を用意した(積層後の厚さ:約33μm)。そして、この生地を折り曲げて折り目より1cmの位置を折り目に沿って縫合糸によって縫合してサンプルを作成した。
【0020】(比較例1)タッサー織地(織り密度:153×48,デニール:70d×140d,目付120g/m2,厚さ:約31μ)からなる生地を用意した。そして、この生地を実施例1と同様に折り曲げて折り目より1cmの位置を折り目に沿って縫合糸によって縫合してサンプルを作成した。
【0021】これら実施例1及び比較例1のサンプルに対して折り目を引き延ばす方向に力を加えていった際の、サンプル両端の変位と荷重とをプロットしたものを表1に示す。
【0022】
【表1】

なお、表1において示すように、実施例1については同様の実験を3回試行している。この表1から明らかなように、実施例1においては、荷重と変位とがほぼ比例して上昇しており、滑脱が起こっていないことが認識できる(図3参照)。そして、荷重が一定に達すると滑脱が始まる前にサンプルの縫合糸が破断している。一方、比較例1では、荷重をかけると徐々に荷重と変位との比例関係が崩れ、縫合部分で滑脱現象が生じてしまっている(図4参照)。
【0023】このように、実施例1では滑脱現象が十分に防止されている。
[張りテスト]
(実施例2)実施例1と同様のタフタ織地にトリコット編地を点接着によって積層した生地を用意した。そして、この生地を四つ織りにしてサンプルを作成した。
【0024】(比較例2)比較例1と同様のタッサー織地からなる生地を用意した。そして、この生地を四つ織りにしてサンプルを作成した。
【0025】これら実施例2及び比較例2のサンプルにそれぞれ荷重をかけつつ1cmへこむまでの必要な力を5回に渡って測定した。その結果を表2に示す。
【0026】
【表2】

表2から明らかなように、実施例2の生地では比較例2に比べて必要な荷重が大きくなっており、生地の厚さはほぼ一致しているにもかかわらず、生地自体の「張り」が十分に向上していることがわかる。
【0027】[引き裂き強度テスト]
(実施例3)実施例1と同様のタフタ織地にトリコット編地を点接着によって積層した生地を用意した。
【0028】(比較例3)比較例1と同様のタッサー織地からなる生地を用意した。これら実施例3及び比較例3のサンプルに対してサンプルの水平方向に力を加えて行き、サンプルが引き裂かれて破損するまでに要する力の大きさを測定した。その結果を表3に示す。
【0029】
【表3】

表3からも明らかなように、両者において引っ張り強度に大きな相違はなく、実施例3がレジャーウェア用生地として十分な引っ張り強度を有していることがわかる。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、軽量で「張り」もあり、滑脱も防止できるレジャーウェアを提供できる。
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【出願日】 平成13年1月29日(2001.1.29)
【代理人】 【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男 (外1名)
【公開番号】 特開2002−227011(P2002−227011A)
【公開日】 平成14年8月14日(2002.8.14)
【出願番号】 特願2001−20503(P2001−20503)