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【発明の名称】 使い捨ての手術用外衣
【発明者】 【氏名】佐伯 達也

【氏名】藤川 美智代

【氏名】島川 泰治

【要約】 【課題】付着した血液が背側へまわり込むことがなく、血液の背側への流動を防ぐことができる使い捨ての手術用外衣を提供する。

【解決手段】使い捨ての手術用外衣1では、身頃2が上身頃3と下身頃4とから形成され、両袖6が上身頃3の袖刳り5に一連につながっており、上身頃3の胴周り方向へ延びる下端部8が下身頃4の胴周り方向へ延びる上端部11の外側に重なり、下端部9と上端部11とが固着され、かつ、両袖6の袖下17が水密に固着されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上下方向へ長い身頃と、前記身頃の袖刳りから横方向外方へ延びる両袖とを備えた使い捨ての手術用外衣において、前記身頃が、前記両袖を有して身頃上部を画成する上身頃と、前記上身頃の下方に位置して身頃下部を画成する下身頃とから形成され、前記両袖が、前記上身頃の袖刳りに一連につながっており、前記外衣では、前記両袖の下方を胴周り方向へ延びる前記上身頃の下端部が前記下身頃の胴周り方向へ延びる上端部の外側に重なり、前記下端部と前記上端部とが水密に固着されてそれら上下身頃が一体となり、かつ、前記上身頃の下端部近傍から横方向外方へ延びる前記両袖の袖下が水密に固着されていることを特徴とする前記手術用外衣。
【請求項2】 上下方向へ延びる背明きが、前記上身頃と前記下身頃とに形成され、前記上身頃と前記下身頃との背側が、胴周り方向へ分割されている請求項1記載の手術用外衣。
【請求項3】 前記下身頃の胴周り方向の寸法が、前記両袖を除いた前記上身頃の胴周り方向の寸法よりも大きく、前記下身頃の背側が、前記背明きにおいて胴周り方向へ重なり合っている請求項2記載の手術用外衣。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、使い捨ての手術用外衣に関する。
【0002】
【従来の技術】特開2000−170011号公報は、襟刳りと裾とを有する上下方向へ長い身頃と、身頃の袖刳りに取り付けられて横方向外方へ延びる両袖とを備えた使い捨て外衣を開示している。この外衣は、繊維不織布からなる前身頃および後身頃と両袖との各部材から形成されている。身頃では、後身頃に上下方向へ延びる背明きが形成され、後身頃が胴周り方向へ分割されている。前身頃と後身頃とは、それら身頃の肩部と両側部とが固着されている。前後身頃と両袖とは、それら身頃の袖刳り周縁部と両袖の袖付け周縁部とが固着されている。この外衣は、主に医師や看護婦等の着用者が手術時に着用する手術用外衣として使用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】同号公報に開示の外衣では、前後身頃の袖刳り周縁部と両袖の袖付け周縁部とを外衣の内側へ向かって折り曲げた状態でそれら周縁部を固着しているので、外衣の両肩部に袖刳り周りへ延びる溝状の継目が形成される。この外衣では、その着用中に前身頃上部に多量の血液が付着すると、それが継目を伝わって前身頃から後身頃の側へまわり込み、後身頃に流動した血液が後身頃の背明きから着用者の下着や肌に付着してしまう場合がある。
【0004】本発明の課題は、付着した血液が背側へまわり込むことがなく、血液の背側への流動を防ぐことができる使い捨ての手術用外衣を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するための本発明は、上下方向へ長い身頃と、前記身頃の両肩から横方向外方へ延びる両袖とを備えた使い捨ての手術用外衣を改良することにある。
【0006】改良にかかる本発明の特徴としては、前記身頃が、前記両袖を有して身頃上部を画成する上身頃と、前記上身頃の下方に位置して身頃下部を画成する下身頃とから形成され、前記両袖が、前記上身頃の両肩に一連につながっており、前記外衣では、前記両袖の下方を胴周り方向へ延びる前記上身頃の下端部が前記下身頃の胴周り方向へ延びる上端部の外側に重なり、前記下端部と前記上端部とが水密に固着されてそれら上下身頃が一体となり、かつ、前記上身頃の下端部近傍から横方向外方へ延びる前記両袖の袖下が水密に固着されていることにある。
【0007】本発明の実施の態様の一例としては、上下方向へ延びる背明きが、前記上身頃と前記下身頃とに形成され、前記上身頃と前記下身頃との背側が、胴周り方向へ分割されている。
【0008】本発明の実施の態様の他の一例としては、前記下身頃の胴周り方向の寸法が、前記両袖を除いた前記上身頃の胴周り方向の寸法よりも大きく、前記下身頃の背側が、前記背明きにおいて胴周り方向へ重なり合っている。
【0009】
【発明の実施の形態】添付の図面を参照し、本発明に係る使い捨ての手術用外衣の詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0010】図1,2は、前方から見た手術用外衣1の斜視図と、後方から見た手術用外衣1の斜視図とであり、図3,4は、外衣1の分解斜視図と、図2のA−A線断面図とである。図1,2では、横方向を矢印X、上下方向を矢印Y、胴周り方向を矢印Zで示す。なお、上身頃3や下身頃4、両袖5における内面とは、着用者の肌に対向する面をいい、それらの外面とは、着用者の肌に非対向の面をいう。外衣1は、医師や看護婦等の着用者が手術時に着用し、使用後に廃棄される。
【0011】外衣1は、上下方向へ長い身頃2と、身頃2の袖刳り5から横方向外方へ延びる両袖6とを備えている。身頃2は、両袖6を有して身頃上部を画成する上身頃3と、上身頃3の下方に位置して身頃下部を画成する下身頃4とから形成されている。
【0012】上身頃3は、両肩7および両肩7の間に位置する襟刳り8と、両袖6の下方を胴周り方向へ延びる下端部9とを有する。上身頃3では、その袖刳り5に両袖6が一連につながっている。両袖6は、上身頃3の袖刳り5から袖口10へ向い先細りの筒状を呈する。上身頃3の背側には、上下に延びる背明き12が形成され、背側が胴周り方向へ分割されている。
【0013】下身頃4は、胴周り方向へ延びる上端部11と裾13とを有する。下身頃4の胴周り方向の寸法L1は、両袖5を除いた上身頃3の胴周り方向の寸法L2よりも大きい。下身頃4の背側には、上下に延びる背明き14が形成され、背側が胴周り方向へ分割されている。下身頃4では、その背側が背明き14において胴周り方向へ重なり合っている。
【0014】下身頃4の背側には、背明き14の閉じ合わせを保持するためのフック部材15とループ部材16とが取り付けられている。フック部材15は、背明き14近傍における下身頃4の内面に取り付けられている。ループ部材16は、背明き14近傍における下身頃4の外面に取り付けられている。
【0015】外衣1では、上身頃3の下端部9が下身頃4の上端部11の外側に重なり、下端部9と上端部11とが水密に固着されて上下身頃3,4が一体となっている。外衣1では、それら身頃3,4の下端部9と上端部11とにおいて、上身頃3の内面が下身頃4の外面に重なっている。外衣1では、上身頃3の下端部9から横方向外方へ延びる両袖6の袖下17の内面が合掌状に重なり合い、両袖6が袖下17において水密に固着されている。
【0016】外衣1を着用するには、身頃2の背側を胴周り方向へ開いて着用者がその両腕を外衣1の両袖6に通した後、身頃2の背側を閉じ、下身頃4の背側を重ね合わせてフック部材15とループ部材16とを係合させる。
【0017】外衣1では、両袖6が上身頃3の袖刳り5に一連につながっているので、身頃2の袖刳り周りに従来技術のような溝状の継目が形成されることはなく、外衣1の着用中に上身頃3に多量の血液が付着したとしても、それが継目を伝って身頃2の背側へまわり込むことがない。
【0018】外衣1では、上身頃3の下端部9を下身頃4の上端部11の内側に重ね、下端部9と上端部11とを固着すると、上端部11の縁が上身頃3の外面の側に位置する。この場合では、外衣1の着用中に上身頃3に付着した血液の下身頃4への円滑な流動が上端部11の縁に妨げられるとともに、血液が上端部11の縁を伝わって胴周り方向へ流れ、それが上下身頃3,4の背側へまわり込んでしまう場合がある。
【0019】この外衣1では、上身頃3の下端部9を下身頃4の上端部11の外側に重ねてそれら端部9,11を固着しているので、上端部9の縁が上身頃3の内面の側に位置している。ゆえに、この外衣1では、上身頃3から下身頃4への血液の円滑な流動が上端部9の縁に妨げられることはなく、血液が上身頃3から下身頃4へ向かって流れ落ち、それが身頃3,4の背側へまわり込むことはない。
【0020】図5は、他の実施の形態を示す後方から見た手術用外衣1の斜視図である。この外衣1が図1のそれと異なる点は、以下のとおりである。外衣1では、上身頃3と下身頃4との背側に胴周り方向へ所与寸法離間する背明き14が形成されている。身頃2の背側には、上下方向へ長い矩形の可撓性のシート部材18が取り付けられ、上身頃3と下身頃4との背明き14を覆っている。
【0021】身頃2の背側では、シート部材18の一側縁部19が上身頃3と下身頃4との外面に固着されている。シート部材18の他側縁部20の内面には、フック部材15が取り付けられている。背明き14近傍における下身頃4の内面には、ループ部材16が取り付けられている。
【0022】それら外衣1では、下身頃4の胴周り方向の寸法L1を上身頃3の胴周り方向のそれにかかわらず自由に設定することができるので、下身頃4の背側の背明き13における重ね合わせ寸法を大きくしたり小さくしたりすることができる。
【0023】それら外衣1とシート部材18とには、熱可塑性合成樹脂繊維からなる疎水性繊維不織布、疎水性繊維不織布を重ね合わせた2層の不織布、または、可撓性かつ通気不透液性の熱可塑性合成樹脂フィルムを疎水性繊維不織布で挟んだ複合シートを使用することができる。
【0024】不織布としては、スパンレース、ニードルパンチ、メルトブローン、サーマルボンド、スパンポンド、ケミカルボンド等の各製法により製造されたものを使用することができる。不織布には、高い耐水性を有するメルトブローン不織布を高い強度を有しかつ柔軟性に富んだスパンボンド不織布で挟んだ複合不織布を使用することもできる。
【0025】不織布の構成繊維としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、の各繊維、ポリエチレン/ポリプロピレンやポリエチレン/ポリエステルからなる芯鞘型複合繊維またはサイドバイサイド型複合繊維を使用することができる。不織布には、開繊パルプやレーヨン、アセテート等のセルロース系繊維が混合されていてもよい。
【0026】合成樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル等から形成されたプラスチックフィルムを使用することができる。
【0027】上身頃3の下端部9と下身頃4の上端部11との固着、上下身頃3,4に対するシート部材18の固着、両袖6の袖下17の固着、フック部材15やループ部材16の取り付けには、ホットメルト接着剤、または、ヒートシールや超音波接合等の熱による固定手段を利用することができる。
【0028】外衣1は、着用者の体型を考慮してあらかじめS、M、L、LL等のサイズのものが用意され、滅菌袋に収納された後、エチレンオキシド等の有機気化薬品による滅菌処理、または、電子線や放射線による滅菌処理が行われる。
【0029】
【発明の効果】本発明に係る使い捨ての手術用外衣によれば、それが身頃上部を画成する上身頃と身頃下部を画成する下身頃とから構成され、両袖が上身頃の袖刳りに一連につながっているので、上身頃の袖刳り周りに継目が形成されることはなく、外衣の着用中に上身頃に多量の血液が付着したとしても、それが継目を伝わって身頃の背側へまわり込むことがない。外衣では、身頃の背側への血液の流動を防ぐことができる外衣では、上身頃の下端部を下身頃の上端部の外側に重ねてそれら端部を固着しているので、外衣の着用中に上身頃に付着した血液の下身頃への円滑な流動が下身頃の上端部の縁に妨げられることはなく、血液が上身頃から下身頃へ向かって流れ落ち、それが身頃の背側へまわり込むことはない。
【0030】外衣では、下身頃の胴周り方向の寸法を上身頃の胴周り方向のそれにかかわらず自由に設定することができ、下身頃の背側の背明きにおける重ね合わせ寸法の調節が可能である。
【出願人】 【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
【出願日】 平成13年1月25日(2001.1.25)
【代理人】 【識別番号】100066267
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 吉治 (外1名)
【公開番号】 特開2002−220715(P2002−220715A)
【公開日】 平成14年8月9日(2002.8.9)
【出願番号】 特願2001−16896(P2001−16896)