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【発明の名称】 使い捨て下着
【発明者】 【氏名】斎藤 明子

【氏名】藤川 美智代

【要約】 【課題】普段使用している下着に近い形状にすることで、手術前の患者の不快感、不安感を低減し、かつ看護婦や医者が容易に脱がすことができるようにした使い捨て下着を提供すること。

【解決手段】前身頃と後身頃とを重ね合わせ、左右両側縁の少なくとも一方に接合部を設けて、脚開口部と胴回り開口部とを形成する。また、胴回り開口部付近に締め付け部材を備える。更に、締め付け部材と接合部の間に、前後身頃の非接合領域を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】前身頃と後身頃とを重ね合わせ、左右両側縁の少なくとも一方に接合部を設け、前記前身頃及び後身頃によって、着用者の脚部が延出する脚開口部と、胴回り開口部とを形成し、前記胴回り開口部付近に、着用者の胴回りを締め付ける締め付け部材を備え、前記締め付け部材と前記接合部の間に、前記前後身頃が接合しない非接合領域を形成することを特徴とする使い捨て下着。
【請求項2】前記前後身頃の左右両側縁に前記接合部を形成することを特徴とする請求項1に記載の使い捨て下着。
【請求項3】前記脚開口部の中央付近において、前記前後身頃を接合することを特徴とする請求項1又は2に記載の使い捨て下着。
【請求項4】前記接合部の接合強力が0.5〜30Nの範囲にあることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の使い捨て下着。
【請求項5】前記締め付け部材は前記前後身頃と一体に成形されており、前記接合部側の上側縁部から略水平方向に各々延びるひも状部材であり、前記前後身頃の対向するひも状部材を結ぶことによって前記胴回り開口の締め付けを行うことを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の使い捨て下着。
【請求項6】前記前後身頃の胴回り上縁を折返して接合することで鞘状にし、該鞘に紐を通すことによって前記締め付け部材を構成することを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の使い捨て下着。
【請求項7】前記前後身頃は、目付が40〜100g/mの不織布から構成されることを特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6に記載の使い捨て下着。
【請求項8】前記前後身頃は、全光線透過率が60%以下の不織布から構成されることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6又は7に記載の使い捨て下着。
【請求項9】前記接合部は、前記前後身頃の側縁から内側に向かって5〜30mmの位置に形成することを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8に記載の使い捨て下着。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、病院などで手術をする前の患者が着用する下着に関し、特に、下半身に着用する使い捨て下着に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、手術などの医療処置を行う患者が着用する使い捨て下着としては、T字帯と呼ばれる褌状の下着がある。このT字帯は、両側端に細い紐を有しており、この紐を結んで着用し、手術前に看護婦や医者が結び目をほどいて手術を行うようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のようなT字帯では、見栄えが下着というよりは褌又はおむつのような形状しているため、患者へ不快感や不安感を与える。また、看護婦や医者が手術前に紐の結び目をほどくのに手間がかかるという問題点があった。
【0004】本発明は上記のような状況に鑑みて成されたものであり、普段使用している下着に近い形状にすることで、手術前の患者の不快感、不安感を低減し、かつ看護婦や医者が容易に脱がすことができるようにした使い捨て下着を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る使い捨て下着においては、前身頃と後身頃とを重ね合わせ、左右両側縁の少なくとも一方に接合部を設けて、脚開口部と胴回り開口部とを形成する。また、胴回り開口部付近に締め付け部材を備える。更に、締め付け部材と接合部の間に、前後身頃の非接合領域を形成する。
【0006】上記のような構成の本発明においては、全体の形状が普段使用している下着に近い形状となるため、手術前の患者の不快感、不安感を低減できるというメリットがある。また、手術直前に看護婦や医者が下着を脱がす時に、非接合領域に指を挿入して簡単に破ることができるため、脱がせる手間を軽減できる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、病院などで手術をする前の患者が着用する下着を実施例として説明する。図1及び図2は、本発明の第1実施例に係る使い捨てパンツの構造を示す斜視図であり、各々前方及び後方から見た様子を示す。また、図3は、図1及び図2に示す使い捨てパンツの接着線の位置を示す平面図(正面図)である。更に、図4は、同使い捨てパンツの要部の構成を示す説明図である。
【0008】第1の実施例に係る使い捨てパンツは、不織布からなる前身頃及び後身頃10、12と、胴回りに配置される締め付け用の紐14とを備えている。前身頃10及び後身頃12は、同一形状の不織布であり、重ね合わせた後に側縁接合部26R,26Lと、股中央接合部30によって互いに接合される。なお、前身頃と後身頃を連続した1枚のシート(不織布)で構成し、中央で折り曲げて、縁部同士を接合するような構成とすることができる。この場合には、側縁接合部は1つとなる。
【0009】接合部30は逆U字状に形成され、その内側には切り欠き24が形成されている。側縁接合部26R,26Lは、前後身頃の側縁の中央付近にのみ形成されている。すなわち、接合部26R,26Lの上方から前後身頃10,12の上端部の間は、互いに接合されることのない、非接合部22R,22Lが形成されている。非接合部22R,22Lには、手術前に接合部26R,26Lを破断する(剥がす)際に指を挿入できるようになっている。
【0010】前後身頃10,12の上端は外側に折り曲げることにより鞘(折り返し部)20が形成されている。この鞘20の中に紐14を通すようになっている。鞘20の前身頃10側の中央付近には紐14の左右両端が垂れ出るための開口部21が形成されている。また、鞘20の後身頃12側の中央付近には紐14を後身頃12に接合するための開口部34が形成されており、その開口部34を横切る紐14が後身頃に接合されて、接合部32が形成される。
【0011】前後身頃10,12の上端は、外側に折り曲げられており鞘(折り返し部)20が形成されている。この鞘20の中に紐14を通すようになっている。鞘20の前身頃10側の中央付近には紐14の左右両端が垂れ出るための開口部21が形成されている。また、鞘20の後身頃12側の中央付近には紐14を後身頃12に接合するための開口部34が形成されており、その開口部34を横切る紐14が後身頃12に接合されて、接合部32が形成される。なお、後身頃12が鞘20を有さず、後身頃12の上端側縁から紐14が延出し、前身頃10の鞘20に紐14を通すような構成とすることもできる(図示せず)。
【0012】接合部26R,26L,30は、前身頃10と後身頃12とを上下に重ねて接合し、あるいは合掌型に重ねて接合することもできる。これらの接合部26R,26L,30を形成する際には、例えば、熱シール、超音波によるソニックシール等の溶融接合を採用することができる。また、ホットメルト接着剤を用いた接着剤による接合とすることもできる。接合部26R,26L,30の接合パターンとしては、連続又は不連続のいずれを採用することもできる。
【0013】接合部26R,26L,30を溶融接合によって形成する場合には、接合線の幅は0.1〜15mmの範囲が好ましく、より好ましくは、0.5〜10mmの範囲とする。接合線の幅が0.1mm以下の場合には、シートの流れ方向に直角な方向の線圧が高くなり、溶融接合部分が破断することがある。一方、接合線の幅を15mm以上とした場合には、着用者が違和感を生じることになる。これは、接合部が非接合部に比べて剛性が高いためである。接合部のパターンとしては、線状、波状、ジグザグ状、格子状などを採用することができる。また、シートの流れ方向に直角な方向の線圧を調整するために、ドット状のパターンを組み合わせて使用してもよい。
【0014】接着剤を用いて接合部26R,26L,30を形成する場合には、ホットメルト接着剤による接合が好ましい。ホットメルトを塗布する手段としては、コーターダイによるベタパターンやストライプパターン、グラビアコーターによる網状パターンやドットパターン、さらにビード塗工による線状パターンやエアーで調整するスパイラルパターンや波状パターン、ジグザグパターン等を採用することができる。
【0015】接着剤による接合の場合には、接合部の幅は1〜15mmが好ましい。接合部の幅が1mm以下の場合には、シート(10,12)を接合する接合強度が低下し、使用中に剥がれてしまう恐れがある。
【0016】接合部26R,26L,30における接合強力は、下着の上下方向の剥離力で表した場合に、0.5N以上で、30N以下であることが好ましい。剥離力が0.5N以下の場合には、使用中に剥がれてしまうおそれがあり、30N以上の場合には剥がし難くなる。本発明においては、手術前の通常の使用では容易に剥がれることが無い反面、手術直前に看護婦が脱がす場合には、比較的容易に剥がせる設定とする。
【0017】図4(A)に示すように、接合部26R,26Lの位置は、両側端から横方向内側に向かう距離Dが、0.5〜30mm程度とし、より好ましくは、1〜20mmとする。距離Dが0.5mm以下の場合には、上下身頃10,12を剥がし難くなったり、身頃両側端が肌に当たり違和感を覚えることがある。一方、距離Dが30mm以上の場合には、下着としての美観を損なう。接合部26R,26Lを更に剥がし易くするために、図4(B)に示すように、別途つまみしろ38を設けてもよい。
【0018】胴回り部の締め付け手段としては、紐14の他に、メカニカルファスナ等を使用することもできる。
【0019】前後身頃10,12に使用するシートとしては、熱可塑性繊維で形成したスパンボンド、スパンレース、ニードルパンチ、メルトブローン、サーマルボンド、ケミカルボンド等の不織布等を使用することができる。不織布の構成繊維としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系の各繊維、ポリエチレン/ポリプロピレンまたはポリエステルからなるシックアンドシン型またはサイドバイサイド型等の複合繊維を使用することができる。
【0020】なお、不織布に吸汗性を持たせるために、吸収性繊維を混綿してもよい。吸収性繊維としては、パルプ、レーヨン、コットン、アセテート等があげられる。接合部を溶融接合するためには、10〜70%の吸収性繊維と30〜90%の熱可塑性繊維とで構成することが好ましい。吸収性繊維が10%以下では吸汗性が低下し、70%以上であるとシール性が低下する。
【0021】また不織布としては、当該下着を着用した時に肌や陰部が透けることを防止するため、青や緑色等の彩度の低い色に着色することが好ましい。また、不織布の目付としては、例えば40〜100g/mの範囲が好ましい。目付が40g/m以下の場合には、着色を施した不織布であっても、透けて見えることがある。一方、目付が100g/m以上の場合には、風合いが低下し、着用感が悪くなる。結局のところ、全光線透過率が60%以下、より好ましくは40%以下となるような設定とする。
【0022】本実施例に係る使い捨て下着を着用する際には、胴回り開口18から両足を入れて脚部開口16から出す。次に、前身頃19側に延出した紐14の端部を結んで、腰回りを締め付ける。手術台の上にのった後は、例えば、看護婦が非接合部22R,22Lに手を入れて、接合部26R、26Lを剥がす。更に、接合部30を剥がして、前身頃10と後身頃12との接合を解いた後、非接合部22R、22Lから紐14をつかんで外に引き出す。これにより、手術台上の患者から前身頃10が完全に取り外される。なお、紐14をほどく動作と接合部26R,26Lを剥がす動作を逆に行うことも可能である。
【0023】図5は、本発明の第2実施例に係る使い捨てパンツの構造を示す分解正面図である。本実施例の使い捨てパンツは、同一形状の前後身頃40,42を重ね合わせることによって構成される。なお、前後身頃40,42の材質(不織布)については、上記第1の実施例と同様のものを適用できるため、重複した説明は省略する。前身頃40の上端部の左右側縁部からは、胴回り締め付けようの紐状部44R,44Lが延びている。同様に、後身頃42の上端部の左右側縁部からは、胴回り締め付けようの紐状部48R,48Lが延びている。
【0024】前身頃40,後身頃42とを重ね合わせた後に側縁接合部56R,56Lと、股中央接合部50によって互いに接合される。なお、前身頃と後身頃を連続した1枚のシート(不織布)で構成し、中央で折り曲げて、縁部同士を接合するような構成とすることができる。この場合には、側縁接合部は1つとなる。
【0025】接合部50は逆U字状に形成され、その内側には切り欠き54が形成されている。側縁接合部56R,56Lは、前後身頃の側縁の一部(下方)にのみ形成されている。すなわち、接合部56R,56Lの上方から紐状部44R,44L(48R,48L)との間は、非接合部52R,52Lが形成されている。非接合部52R,52Lには、手術直前に接合部56R,56Lを剥がす(破る)際に指を挿入できるようになっている。
【0026】本実施例に係る使い捨て下着を着用する際には、胴回り開口48から両足を入れて脚部開口46から出す。次に、前身頃40の右縁部から延びる紐状部44Rと後身頃42の右縁部から延びる紐状部48Rとを結ぶ。同様に、前身頃40の右縁部から延びる紐状部44Rと後身頃42の右縁部から延びる紐状部48Rとを結ぶ。手術台の上に載った後は、例えば、看護婦が非接合部52R,52Lに手を入れて、接合部56R、56Lを剥がす。更に、接合部50を剥がして、前身頃40と後身頃42との接合を解いた後、紐状部44Rと48Rとの結び目と紐状部44Lと48Lとの結び目をほどく。これにより、手術台上の患者から前身頃40が完全に取り外される。なお、紐状部をほどく動作と接合部56R,56Lを剥がす動作の順序を逆にすることも可能である。
【0027】以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内で適宜設計変更可能であることは言うまでもない。
【0028】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明によれば、普段使用している下着に近い形状であるため、手術前の患者の不快感、不安感を低減することができる。また、手術直前に看護婦や医者が下着を脱がす時に、非接合領域に指を挿入して簡単に破ることができるため、脱がせる手間を軽減できるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
【出願日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【代理人】 【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
【公開番号】 特開2002−220714(P2002−220714A)
【公開日】 平成14年8月9日(2002.8.9)
【出願番号】 特願2001−11893(P2001−11893)