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【発明の名称】 背側閉じ合わせ型の使い捨て手術用外衣
【発明者】 【氏名】藤川 美智代

【氏名】斎藤 明子

【要約】 【課題】着用時に第1および第2後身頃を互いに離間させるように胴周り方向へ展開させる必要はなく、それら後身頃の外面に対する着用者の衣服や肌の接触を防ぐことができる背側閉じ合わせ型の使い捨て手術用外衣を提供する。

【解決手段】外衣1Aでは、第1および第2後身頃6a,6bが胴周り方向へ展開されるとともに前身頃5の側へ向かって折り返され、それら後身頃6a,6bの自由縁部14a,14bが前身頃5の外面の側に位置し、自由縁部14a,14bどうしをつなぐテープ部材15が、自由縁部14a,14bの縦方向中央域に位置して胴周り方向へ延び、テープ部材15の両側部15a,15bが、自由縁部14a,14bに固着され、テープ部材15を胴周り方向へ分離させることが可能なミシン線16が、両側部15a,15bの間を縦方向へ延びている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前身頃と胴周り方向へ分かれる第1および第2後身頃とを備えた身頃本体と、前記身頃本体の両肩に連結された両袖とからなる背側閉じ合わせ型の使い捨て手術用外衣において、前記外衣では、前記第1および第2後身頃が互いに離間するように前記胴周り方向へ展開されるとともに前記前身頃の側へ向かって折り返され、それら後身頃の縦方向へ延びる自由縁部が前記前身頃の外面の側に位置し、前記自由縁部どうしをつなぐテープ部材が、該自由縁部の縦方向中央域に位置して前記胴周り方向へ延び、前記テープ部材の両側部が、前記自由縁部に固着され、前記テープ部材を前記胴周り方向へ分離させることが可能なミシン線が、前記両側部の間を前記縦方向へ延びていることを特徴とする前記手術用外衣。
【請求項2】 前記テープ部材が、前記両側部の間を前記胴周り方向へ延びる中央部を有し、前記中央部を前記両側部から切り取ることが可能な2条の前記ミシン線が、前記中央部の両側に延びている請求項1記載の手術用外衣。
【請求項3】 前記外衣が、前記第1および第2後身頃の閉じ合わせを維持するための互いに係脱可能な被係合部材と係合部材とを備え、前記被係合部材が、前記身頃本体の縦方向中央域における所要の部位に取り付けられ、前記係合部材が、前記テープ部材の両側部の一方に取り付けられている請求項1または請求項2に記載の手術用外衣。
【請求項4】 前記被係合部材が、メカニカルファスナのうちのフック部材とループ部材とのいずれか一方であり、前記係合部材が、それらの他方である請求項1ないし請求項3いずれかに記載の手術用外衣。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、背側閉じ合わせ型の使い捨て手術用外衣に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平6−207301号公報は、前身頃と胴周り方向へ分かれる第1および第2後身頃とを備えた身頃本体と、身頃本体の両肩に取り付けられた両袖とから形成され、第1および第2後身頃の閉じ合わせを維持するための第1および第2帯片を有する背側閉じ合わせ型の使い捨て手術用外衣を開示している。この外衣では、左右いずれか一方の胴横から背側にかけての範囲に第1および第2帯片の一端が連結され、左右いずれか他方の胴横から背側にかけての範囲に第1帯片を挿通可能な帯通しが形成されている。第1および第2後身頃の襟刳りには、互いに係脱可能なフック部材とループ部材とが取り付けられている。この外衣は、医師や看護婦等の着用者が手術時に着用する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記外衣を着用するには、着用者が第1および第2後身頃を互いに離間させるように胴周り方向へ展開させて身頃本体の背側を開き、両腕を外衣の両袖に通した後、第1および第2後身頃を重ね合わせて背側を閉じる。着用者は、第1帯片を帯通しに通した後、第1帯片と第2帯片との自由端部を結び、フック部材とループ部材とを係合させて襟刳りを閉じる。この外衣では、両腕を両袖に通すときに、第1および第2後身頃を胴周り方向へ展開しなければならず、その分、手間を要する。また、この外衣では、第1および第2後身頃を展開させるときに、滅菌されていない着用者の衣服や肌がそれら後身頃の外面に接触し、外衣の外面に雑菌が付着してしまう場合がある。
【0004】本発明の課題は、着用時に第1および第2後身頃を互いに離間させるように胴周り方向へ展開させる必要はなく、それら後身頃の外面に対する着用者の衣服や肌の接触を防ぐことができる背側閉じ合わせ型の使い捨て手術用外衣を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するための本発明の前提は、前身頃と胴周り方向へ分かれる第1および第2後身頃とを備えた身頃本体と、前記身頃本体の両肩に連結された両袖とからなる背側閉じ合わせ型の使い捨て手術用外衣である。
【0006】かかる前提における本発明の特徴として、前記外衣では、前記第1および第2後身頃が互いに離間するように前記胴周り方向へ展開されるとともに前記前身頃の側へ向かって折り返され、それら後身頃の縦方向へ延びる自由縁部が前記前身頃の外面の側に位置し、前記自由縁部どうしをつなぐテープ部材が、該自由縁部の縦方向中央域に位置して前記胴周り方向へ延び、前記テープ部材の両側部が、前記自由縁部に固着され、前記テープ部材を前記胴周り方向へ分離させることが可能なミシン線が、前記両側部の間を前記縦方向へ延びていることにある。
【0007】本発明の実施の態様の一例としては、前記テープ部材が、前記両側部の間を前記胴周り方向へ延びる中央部を有し、前記中央部を前記両側部から切り取ることが可能な2条の前記ミシン線が、前記中央部の両側に延びている。
【0008】本発明の実施の態様の他の一例としては、前記外衣が、前記第1および第2後身頃の閉じ合わせを維持するための互いに係脱可能な被係合部材と係合部材とを備え、前記被係合部材が、前記身頃本体の縦方向中央域における所要の部位に取り付けられ、前記係合部材が、前記テープ部材の両側部の一方に取り付けられている。
【0009】本発明の実施の態様の他の一例としては、前記被係合部材が、メカニカルファスナのうちのフック部材とループ部材とのいずれか一方であり、前記係合部材が、それらの他方である。
【0010】
【発明の実施の形態】添付の図面を参照し、本発明に係る背側閉じ合わせ型の使い捨て手術用外衣の詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0011】図1,2は、前身頃5の側から示す手術用外衣1Aの斜視図と、背側から示す外衣1Aの斜視図とであり、図3は、図1のA−A線端面図である。図1,2では、胴周り方向を矢印Xで示し、縦方向を矢印Yで示す。なお、前身頃5や第1および第2後身頃6a,6bにおける内面とは、外衣1Aを着用した着用者の肌に対向する面をいい、それら身頃5,6a,6bの外面とは、着用者の肌に非対向の面をいう。外衣1Aは、医師や看護婦等の着用者が手術時に着用する。
【0012】外衣1Aは、縦方向へ長い身頃本体2と、身頃本体2の両肩3に取り付けられた両袖4とから構成されている。身頃本体2は、前身頃5と、胴周り方向へ分かれる第1および第2後身頃6a,6bとを有する。
【0013】身頃本体2では、縦方向へ延びる前身頃5の両側部7a,7bと縦方向へ延びる第1および第2後身頃6a,6bの固定側部8a,8bとが固着され、前身頃5と第1および第2後身頃6a,6bとが一体になっている。身頃本体2の両肩3の間には、襟刳り9が形成されている。
【0014】両袖4は、袖付け11から袖口10へ向かって先細りのものであり、袖付け11の周縁部が身頃本体2の袖刳り12の周縁部に固着されている。袖口10には、その周り方向へ伸縮するカフス13が取り付けられている。
【0015】外衣1Aでは、第1および第2後身頃6a,6bが互いに離間するように胴周り方向へ展開されるとともに、前身頃5の側へ向かって折り返されている。外衣1Aでは、それら後身頃6a,6bの縦方向へ延びる自由縁部14a,14bが前身頃5の外面の側に位置している。
【0016】第1および第2後身頃6a,6bの自由縁部14a,14bの間には、自由縁部14a,14b14どうしをつなぐテープ部材15が胴周り方向へ延びている。テープ部材15は、第1および第2後身頃6a,6bの自由縁部14a,14bの縦方向中央域に位置し、一方の側部15aの一部が第1後身頃6aの自由縁部14aに固着され、他方の側部15bの一部が第2後身頃6b自由縁部14に固着されている。
【0017】テープ部材15の両側部15a,15bの間には、テープ部材15を胴周り方向へ分離させることが可能なミシン線16が縦方向へ延びている。外衣1Aでは、第1および第2後身頃6a,6bを前身頃5の側へ折り返した状態(身頃本体2の背側を胴周り方向へ開いた状態)がテープ部材15によって維持されている。
【0018】テープ部材15の側部15bには、メカニカルファスナのうちのフック部材17が取り付けられている。前身頃5の側部7aにおける縦方向中央域には、フック部材17を係脱可能に係合させるループ部材18が取り付けられている。第1後身頃6aの上部には、フック部材19が取り付けられている。第2後身頃6bの上部には、フック部材19を係脱可能に係合させるループ部材20が取り付けられている。
【0019】図4,5,6は、図1の外衣1Aの着用手順の説明図である。外衣1Aを着用するには、着用者がその両腕を外衣1Aの両袖4に通した後、図4に示すように、テープ部材15の両側部15a,15bを指で摘持してテープ部材15をミシン線16において切り離し、それを胴周り方向へ分離させる。
【0020】着用者は、図5に示すように、テープ部材15の両側部15a,15bを摘持しつつ、第1および第2後身頃6a,6bを前身頃5の側から背側へ回す。着用者は、図6に示すように、テープ部材15の側部15bを摘持しつつ、背側において第2後身頃6bの自由縁部14bを第1後身頃6aの自由縁部14aの外側に重ね合わせ、フック部材17とループ部材18とを係合させて背側を閉じる。その後、着用者は、フック部材19とループ部材20とを係合させて襟刳り9を閉じる。
【0021】図7,8は、前身頃5の側から示す他の実施の形態の手術用外衣1Bの斜視図と、図7のB−B線断面図とである。図7に示す外衣が図1のそれと異なる点は、以下のとおりである。
【0022】この外衣1Bにおける身頃本体2は、前身頃5と第1および第2後身頃6a,6bとが一連につながったものである。外衣1Bでは、テープ部材15が第1および第2後身頃6a,6bの自由縁部14a,14bの縦方向中央域に位置し、自由縁部14a,14bの間を胴周り方向へ延びている。
【0023】テープ部材15は、第1および第2後身頃6a,6bの自由縁部14a,14bの側に延びる両側部15a,15bと、両側部15a,15bの間に延びる中央部15cとを有する。両側部15a,15bは、その一部が自由縁部14a,14bに固着されている。中央部15cの両側には、両側部15a,15bから中央部15cを切り取ることが可能な2条のミシン線16a,16bが縦方向へ延びている。
【0024】図9,10,11,12は、図7の外衣1bの着用手順の説明図である。外衣1Bを着用するには、着用者がその両腕を外衣1Bの両袖4に通した後、図9に示すように、着用者がテープ部材15の側部15aと中央部15cとを指で摘持し、一方のミシン線16aにおいて側部15aと中央部15cとを切り離す。着用者は、図10に示すように、テープ部材15の両側部15a,15bを摘持しつつ、第1および第2後身頃6a,6bを前身頃5の側から背側へ回す。
【0025】着用者は、図11に示すように、切り離されたテープ部材15の中央部15cを介助者に渡す。介助者は、テープ部材15の中央部15cを指で摘持しつつ、第2後身頃6bを着用者の背側へ回した後、中央部15cにつながる側部15bを着用者に摘持させる。着用者と介助者とは、彼らが摘持する側部15bと中央部15cとを他方のミシン線16bにおいて切り離す。
【0026】着用者は、図12に示すように、テープ部材15の側部15bを摘持しつつ、背側において第2後身頃6bの自由縁部14bを第1後身頃6aの自由縁部14aの外側に重ね合わせ、フック部材17とループ部材18とを係合させて背側を閉じる。その後、介助者は、フック部材19とループ部材20とを係合させて襟刳り9を閉じる。両側部15a,15bから切り離されたテープ部材15の中央部15cは、介助者によってそのまま廃棄される。
【0027】それら図示例の外衣1A,1Bでは、身頃本体2の背側があらかじめ胴周り方向へ開かれているので、着用者がその両腕を外衣1A,1Bの両袖4に通すときに、第1および第2後身頃6a,6bを互いに離間させるように胴周り方向へ展開させる必要はなく、その分、手間を省くことができる。
【0028】また、それら外衣1A,1Bでは、図1,7に示すように、第1および第2後身頃6a,6bが前身頃5の側へ向かって折り返されており、外衣1A,1Bの着用中とは逆に、前身頃5とそれら後身頃6a,6bとの外面が互いに対向し、前身頃5とそれら後身頃6a,6bとの内面が外衣1A,1Bの外側に向いている。ゆえに、外衣1A,1Bでは、その着用時に、前身頃5や第1および第2後身頃6a,6bの外面に対する着用者の衣服や肌の接触を防ぐことができる。
【0029】それら外衣1A,1Bには、熱可塑性合成樹脂繊維からなる疎水性繊維不織布、疎水性繊維不織布を重ね合わせた2層の不織布、または、可撓性かつ通気不透液性の熱可塑性合成樹脂フィルムを疎水性繊維不織布で挟んだ複合シートを使用することができる。
【0030】不織布としては、スパンレース、ニードルパンチ、メルトブローン、サーマルボンド、スパンポンド、ケミカルボンド等の各製法により製造されたものを使用することができる。不織布には、高い耐水性を有するメルトブローン不織布を高い強度を有しかつ柔軟性に富んだスパンボンド不織布で挟んだ複合不織布を使用することもできる。
【0031】不織布の構成繊維としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、の各繊維、ポリエチレン/ポリプロピレンやポリエチレン/ポリエステルからなる芯鞘型複合繊維またはサイドバイサイド型複合繊維を使用することができる。不織布には、開繊パルプやレーヨン、アセテート等のセルロース系繊維が混合されていてもよい。
【0032】テープ部材15としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル等から形成された可撓性のプラスチックシートを使用することができる。
【0033】前身頃5と第1および第2後身頃6a,6bとの固着、テープ部材15の固着、フック部材17,19やループ部材18,20の取り付けには、ホットメルト接着剤、または、ヒートシールや超音波接合等の熱による固定手段を利用することができる。
【0034】外衣1A,1Bは、着用者の体型を考慮してあらかじめS、M、L、LL等のサイズのものが用意され、滅菌袋に収納された後、エチレンオキシド等の有機気化薬品による滅菌処理、または、電子線や放射線による滅菌処理が行われる。
【0035】
【発明の効果】本発明に係る使い捨て手術用外衣によれば、第1および第2後身頃を前身頃の側へ折り返した状態(身頃本体2の背側を胴周り方向へ開いた状態)がテープ部材によって維持され、外衣の着用時に、着用者が第1および第2後身頃を互いに離間させるように胴周り方向へ展開させる必要はなく、その分、手間を省くことができる。
【0036】また、外衣では、第1および第2後身頃が前身頃の側へ向かって折り返されており、外衣の着用中とは逆に、前身頃とそれら後身頃との内面が外衣の外側に向いているので、外衣の着用時に、前身頃や第1および第2後身頃の外面に対する着用者の衣服や肌の接触を防ぐことができ、外衣の外面が雑菌によって汚染されることを防ぐことができる。
【出願人】 【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
【出願日】 平成13年1月25日(2001.1.25)
【代理人】 【識別番号】100066267
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 吉治 (外1名)
【公開番号】 特開2002−220713(P2002−220713A)
【公開日】 平成14年8月9日(2002.8.9)
【出願番号】 特願2001−16895(P2001−16895)