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【発明の名称】 運動用被服
【発明者】 【氏名】松野 陽

【氏名】島 栄治

【氏名】竹内 弘二

【要約】 【課題】裾部が身体表面に沿って平らにフィットし、身体に対する位置ずれを抑える運動用被服を提供する。

【解決手段】伸縮性を有した編み物により形成され、体表面に密着して着用され、裾部18,22の編み地に耳組織20,24が設けられ、耳組織20,24の身体側面には滑り止め用の凹凸21,25が形成されている。編み物は、経編組織で設けられ、凹凸はジャガード組織の地編表面に柄糸の振り量を変化させて、編組織を切り替えて形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 編み物により形成され体表面に密着して着用される運動用被服において、上記運動用被服の端縁部の編み地に耳組織が設けられ、上記耳組織の身体側面には滑り止め用の凹凸が形成されていることを特徴とする運動用被服。
【請求項2】 上記編み物は、経編組織で設けられ、上記凹凸はジャガード組織の地編表面に柄糸の振り量を変化させて編組織を切り替えて形成されていることを特徴とする請求項1記載の運動用被服。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各種の運動競技やそれに準じる運動等をするために着用される運動用被服に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、運動用被服には、アクアビクス用等の水着や、エアロビクス用のタイツ等、着用者の身体に密着して着用され、裾部が着用者の太ももの途中に位置しているものがあった。このような水着には、図3に示すセパレートタイプの水着1や、図4に示すオールインワンタイプの水着6もあった。図3の水着1は、上半身の胴体を覆うベスト部2と、太ももの途中までの長さのタイツ部3が設けられている。ベスト部2の裾部4とタイツ部3の裾部5は、生地の端部が折り返されて生地を2枚重ね合わせた状態で縫製されている。これにより裾部4,5のほつれや伸びきりを防止している。また、図4に示すオールインワンタイプの水着6は、水着6の本体7の裾部8で生地の端部が折り返され、生地を2枚あわせた状態で縫製されている。
【0003】また、運動中に裾5,8が太ももに沿ってずり上がってくることを防止するため、裾5,8に滑り止めゴムを挟み込んだものや、ゴムを取り付けたものもあった。また、この裾部4,5は、重ね合わせ部に熱と圧力をかけて中のゴムと接着したものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術の水着1の場合、裾部4,5は折り返して縫製されているため、縫製糸や折り返しの影響で他の部分よりも生地の伸縮性が悪くなり、着用者の胴体や太ももにくい込みやすいものであった。このため胴体や太ももの露出している部分と水着1の間に段差が生じ、動きにくくなったり、外観が悪く敬遠されたりする傾向がある。また、裾部4,5にゴムを挟み込んだものは、さらに身体のへのくい込みが大きく、露出している部分との段差が大きくなるという問題があった。そして、裾部4,5が身体にくい込んでいると、運動中に裾部4,5がずり上がってきたときには元の位置に戻りにくく、皺ができて外観が良くなく、着用感が良好でなかった。また、図4に示すオールインワンタイプの水着6も同様に、太ももの裾部8が身体にくい込み、段差ができるものであった。
【0005】この発明は上記従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、裾部が身体表面に沿って平らにフィットし、身体に対する位置ずれを抑える運動用被服を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、伸縮性を有した編み物により形成され、体表面に密着して着用される運動用被服であり、上記運動用被服の裾等の端縁部の編み地に耳組織が設けられ、上記耳組織の身体側面には滑り止め用の凹凸が形成されている運動用被服である。
【0007】上記編み物は、経編組織で設けられ、上記凹凸はジャガード組織の地編表面に柄糸の振り量を変化させて編組織を切り替えて形成されているこの発明の運動用被服は、裾部に耳組織が設けられているためほつれが発生せず、しかも折り返しや縫製が不要であり裾部の伸縮性が他の部分の生地とほぼ同じとなる。このため裾部が身体にくい込むことなく身体表面に沿って平らにフィットする。そして、この耳組織の身体側の凹凸により身体との間に摩擦が大きくなり、裾部の位置ずれ、特にずり上がりを防ぐ。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態の運動用被服は、水泳やアクアビクス等を行う水着10であり、経編み組織により形成された伸縮性を有する生地で作られ、身体に密着して着用される。水着10はセパレートタイプで、上半身の胴体を覆うベスト部12とウエストから太ももの途中までを覆うタイツ部14が設けられている。
【0009】ベスト部12には、身体の前中心に着脱用のファスナー16が設けられている。そしてベスト部12の裾部18は腹部付近に位置し、腹部を一周して中央部とは異なる耳組織20が設けられている。耳組織20はジャガード編で設けられ、ほつれ止め機能を有している。そして、耳組織20の身体側の面には、ジャガード編からなる地編の表面に凹凸21が設けられている。凹凸21は、地編の表面に柄糸の振り量を変化させて編組織を切り替え、この組織の変化により形成されている。そして凹凸21は、地編表面に任意の形状に設けられ、模様が形成されるもので、ジャガード編の柄糸の振り量を調整して設定する。例えば、1針、2針、3針の3種類または2針、3針、4針の3種類の針動きを適宜操作して自由に設定される。具体的には、柄糸の振り量の変化を、編み機のフランチンの動きを操作して行う。
【0010】タイツ14の裾部22には、太ももの途中に位置し、各々太ももを一周して耳組織24が設けられている。耳組織24もジャガード編で設けられ、ほつれ止め機能を有している。そして、耳組織24の身体側の面には、ジャガード編からなる地編表面に凹凸25が設けられている。凹凸25は、地編の表面に柄糸の振り量を変化させて編組織を切り替え、この組織の変化により形成されている。そして凹凸52は地編表面に任意の形状に設けられ、模様が形成されている。
【0011】この実施形態の水着10によれば、裾部18,22に各々ほつれの生じない耳組織20,24が設けられているため、裾部18,22を折り返したり、折り返しに沿って縫製する必要がなく、水着10の他の部分とほぼ同様の伸縮性が保たれている。このため着用時に裾部18,22が身体表面に沿って平らにフィットし、外観が良好である。そして耳組織20,24には、身体側の面に凹凸21,24が作られ、身体との間に摩擦が生じるため、運動中にずり上がることが少ない。この点からも外観が良好で、また着心地が良好である。
【0012】次にこの発明の第二実施形態について図2に基づいて説明する。この実施形態の水着26はオールインワンタイプであり、肩から太ももの途中までを覆う本体28が設けられ、本体28の前中心には、襟部29から腹部の途中まで、着脱用のファスナー30が設けられている。
【0013】そして本体28の裾部32は太ももの途中に位置し、各々太ももを一周して耳組織34が設けられている。耳組織34はジャガード編で設けられ、ほつれ止め機能を有している。そして、耳組織34の身体側の面には、ジャガード編からなる地編の表面に凹凸35が設けられている。凹凸35は、地編の表面に柄糸の振り量を変化させて編組織を切り替え、この組織の変化により形成されている。そして凹凸35は地編表面に任意の形状に設けられ、模様が形成されている。
【0014】この実施形態の水着26によれば、上記実施の形態と同様の効果を有するものである。
【0015】なお、この発明の運動用被服は、耳組織が袖口やウエスト等、裾部以外の部分に設けられても良い。そして運動用被服の、耳組織以外の生地もジャガード織りで設けられていても良い。また、耳組織の編組織は自由に設定可能である。そしてこの発明の運動用被服は、水着やタイツに限らず、種々の運動用被服に応用することができる。
【0016】
【実施例】次に、この発明の運動用被服のタイツについて、タイツ裾のずり上がりテストを行い、その結果を表1に示す。このテストに使用したタイツは、伸縮性を有する生地で作られ、そしてウエストから太ももの途中までを覆うものである。このタイツの裾部にはジャガード編による耳組織が設けられ、耳組織の身体側面には組織の変化により形成された凹凸が形成されている。このテストの方法は、被験者にこのタイツを着用させ、まずタイツの裾部にあたる部分(太もも部)に印を付ける。そして足の屈伸を10回行い、その後タイツの裾部の上がり分を測定する。被験者は、Lサイズの男性である。また、比較のためこのタイツと同素材で同寸法に作られた上記従来の技術による従来品についても同様の測定を行った。従来品は、裾部が端から12mmにて折り返し、平2本針にて縫製されている。
【0017】
【表1】

この結果、従来品のずり上がり分が10mmであったのに対し、この発明品は5mmであり、従来品の半分の値であった。このことから、この発明品にはずり上がりを抑える効果が認められた。
【0018】
【発明の効果】この発明の運動用被服は、裾部に設けられた耳組織が運動用被服のその他の部分とほぼ同じ伸縮性が保たれているため、裾部が身体にくい込むことがなく、身体表面に沿って平らにフィットし外観が良好である。そしてこの運動用被服の裾部は身体に対して摩擦を生じ移動を抑える機能があり、運動中に裾部がずり上がることが少ない。この点からも、外観が良好で着心地が良好である。
【出願人】 【識別番号】500004427
【氏名又は名称】株式会社ジー・アール・ディ
【識別番号】594030340
【氏名又は名称】福井編織株式会社
【出願日】 平成13年1月24日(2001.1.24)
【代理人】 【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
【公開番号】 特開2002−220709(P2002−220709A)
【公開日】 平成14年8月9日(2002.8.9)
【出願番号】 特願2001−15828(P2001−15828)