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【発明の名称】 運動用被服とその製造方法
【発明者】 【氏名】金田 次弘

【氏名】島 栄治

【氏名】竹内 弘二

【要約】 【課題】運動性や着用感が良好で、身体の各部位に適した形状で適切な強さでサポートすることのできる運動用被服とその製造方法を提供する。

【解決手段】体表面に密着して着用され伸縮性素材によって構成され、経編のジャガード編により形成され高い伸縮性を有する編み地で形成されている伸縮部12と、伸縮部12とは異なる素材構成又は異なる素材構成を有しかつ伸縮部12より緊締力が高く伸縮性を有する編み地で形成されている緊締部16とを備えている。緊締部16の内側には、通気性が高い編み地等で作られた隙間部17が設けられている。緊締部16は、緊締力の強弱の必要性に応じて緊締力や伸縮性が異なる区分に分けられ、身体の所望の部位に当接しサポートする所定の形状に形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 体表面に密着して着用され伸縮性素材によって構成されている運動用被服において、経編のジャガード編により構成され高い伸縮性を有する編み地で形成されている伸縮部と、上記伸縮部とは異なる素材構成又は異なる素材構成を有しかつ上記伸縮部より緊締力が高く伸縮性を有する編み地で形成されている緊締部とが設けられ、上記緊締部内には隙間部が形成され、上記隙間部により上記緊締部が、緊締力の強弱の必要性に応じて緊締力や伸縮性が異なる区分に分けられて設けられ、身体の所望の部位に当接しサポートする形状に形成されたことを特徴とする運動用被服。
【請求項2】 上記緊締部は帯状で、人体の大臀筋と中臀筋の上方に沿って上方に湾曲する円弧状に形成され、この円弧状の両端部は大転子部分に達し、各大転子部分と両脚の内側のつけね付近から各々一対の上記緊締部が、大腿部中央に向かって内側広筋と外側広筋に沿って斜めに延出し膝蓋部上方付近で互いに交差し、膝蓋部の両脇を通って膝蓋部靱帯部分で交差し、腓腹筋に沿って下腿部の両側に達し、各大転子部分から別の緊締部が大腿部の長手方向に沿って延出し膝蓋部の外側側方に達し、両足の内側のつけね付近からは、別の緊締部が大腿部の長手方向に沿って延出し、膝蓋部の内側側方に達していることを特徴とする請求項1記載の運動用被服。
【請求項3】 上記緊締部の内側に設けられた上記隙間部は、伸縮性が高く緊締力が低い編み地で形成され、上記緊締部は上記隙間部との面積比により緊締力が任意に設定され、上記隙間部は線状パターンの組み合わせで形成され、その線の方向や長さを、身体の部位毎に適切に設定することにより緊締力や方向性を任意に設定可能としたことを特徴とする請求項1又は2記載の運動用被服。
【請求項4】 上記隙間部は、上記緊締部の他の部分よりも通気性が良いことを特徴とする請求項1,2又は3記載の運動用被服。
【請求項5】 上記隙間部は上記緊締部に散在し、上記隙間部の大きさや間隔を部位毎に適切に設定することにより上記緊締部の緊締力を任意に設定可能としたことを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の運動用被服。
【請求項6】 体表面に密着して着用される伸縮性素材によって構成されている運動用被服の製造方法において、経編のジャガード編からなる地編が非弾性糸で編まれ、さらに弾性糸が挿入されるか又は弾性糸が編こまれてなる経編地からなる伸縮部と、上記伸縮部とは異なる素材構成を有しかつ上記伸縮部より緊締力が高く伸縮性を有するような経編地からなる緊締部と、上記緊締部内に設けられ通気性が高い経編地からなる隙間部とを、連続して一体に編み、上記緊締部が身体の所望の部位に当接しサポートする形状に編むことを特徴とする運動用被服の製造方法。
【請求項7】 上記編み地の編み密度の調整、編み組織の変化、編み糸本数の変更、または編み糸種類の変更を適切に設定して、所望の位置で緊締力を所定の値に設定されるように編むことを特徴とする請求項6記載の運動用被服の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各種の運動競技やそれに準じる運動等をするために着用される運動用被服とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】運動等で障害を受けた関節は障害の完治後も、運動等により同じ障害を再発する場合がある。そこで、一般には粘着テープを障害を受けた部分に巻き、保護、補強することによって障害の再発を防止するテーピング手法が用いられている。このようにテーピングは障害を受けた関節の再発予防に有効なものであるが、テーピングは、本来解剖学原理に基づいて靱帯や腱の走行に沿ってテープを張ることによって靱帯や腱を補強することを基本としているため、テーピング方法は身体の筋肉の形状、方向に密接に関わっており、より大きな効果を得るためにはできるだけ必要な部位、方向に適切な張力を得るのが理想である。特に運動時には障害のない部分まで、筋肉の運動を制限するのは筋肉に不要な負担をかけ、また運動能力の低下を招き好ましくない。このため実際にこれを行うには身体に関する専門的な知識が必要となり、容易ではなかった。また、テーピングを施す部位によっては、テーピング時に他の者の補助を必要とする場合もあった。
【0003】そこでこの問題を解決するため、伸縮性を有し体表面に密着して着用される下半身用被服で、サポート機能を持たせたものがあった。このような下半身用被服は、サポート機能を持たせるために、緊締力を大きくしたい部分に適宜の当て布を取り付けたり切り替えたり、また弾力性のある合成樹脂液を塗布する方法も提案されている。
【0004】また近年は、下半身用被服を丸編や経編のジャガード編で設け、緊締力を大きくしたい部分の編組織を変化させて緊締力を大きくし、サポート機能を持たせる試みが提案されている。このような下半身用被服としては、特開2000−8203号公報に開示されている体型補正機能又は筋肉サポート機能を有する衣類があった。これは、身体に密着して着用される衣類であり、この衣類は経編のジャガード編機により編まれた伸縮性を有する経編地に、緊締力を大きくしたい部分の編組織を変化させて緊締力を大きくし、サポート機能を持たせている。そして、緊締力が強い部分はパターン状に設けられ、このパターンは、帯状やカーブした連続パターンである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術の場合、当て布や切り替えをして緊締力が強い部分を作る場合は、縫製を行うことにより縫い目部分が伸縮性を制限するため、人体の動きを妨げるという問題があった。また、縫い代が多いため縫い代が体を圧迫するため着用感が損なわれるものであった。また、合成樹脂液を塗布する方法は、編み地の編み目をふさいでしまうため、通気性が低下し蒸れやすいという問題があった。
【0006】そして、丸編を用いる方法は、伝線しやすく耐久性に問題がある。また経編のジャガード編を用いる方法は、緊締力の大きい部分は、編み目が密であるため通気性が低下して蒸れやすいため、着用感が良くなかった。そして帯状に設けられた緊締力の大きい部分は緊締力が均一であり、必要な部位に適切な緊締力を与えることが難しく、人体の動きが制限されるという問題がある。
【0007】この発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、運動性や着用感が良好で、身体の各部位に適した形状で適切な強さでサポートすることのできる運動用被服とその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の運動用被服は、体表面に密着して着用され伸縮性素材によって構成されている運動用被服であり、経編のジャガード編により形成され高い伸縮性を有する編み地で形成されている伸縮部と、上記伸縮部とは異なる素材構成又は異なる素材構成を有しかつ上記伸縮部より緊締力が高く伸縮性を有する編み地で形成されている緊締部とを備えている。上記緊締部の内側には、通気性が高い編み地等で作られた隙間部が設けられ、上記緊締部は、緊締力の強弱の必要性に応じて緊締力や伸縮性が異なる区分に分けられて設けられ、身体の所望の部位に当接しサポートする所定の形状に設けられている。そして、上記隙間部の編み地は上記伸縮部の編み地と同じでも良い。
【0009】また、上記緊締部は帯状で、人体の大臀筋と中臀筋の上方に沿って上方に湾曲する円弧状に形成され、この円弧状の両端部は大転子部分に達し、各大転子部分と両脚の内側のつけね付近から各々一対の上記緊締部が、大腿部中央に向かって内側広筋と外側広筋に沿って斜めに延出し膝蓋部上方付近で互いに交差し、膝蓋部の両脇を通って膝蓋靱帯部分で交差し、腓腹筋に沿って下腿部の両側に達し、各大転子部分からは別の緊締部が大腿部の長手方向に沿って延出し膝蓋部の外側側方に達し、両足の内側の付け根付近からも別の緊締部が大腿部の長手方向に沿って延出し、膝蓋部の内側側方に達している。
【0010】また、上記緊締部の内側に設けられた上記隙間部は、伸縮性が高く緊締力が低い編み地で設けられ、上記緊締部は上記隙間部との面積比により緊締力が任意に設定され、上記隙間部は、線状パターンの組み合わせで形成され、その線の方向、長さを、身体の部位毎に適切に設定することにより緊締力、方向性を任意に設定する。
【0011】また、上記隙間部は水玉状等で散在して設けられ、上記水玉等の大きさや間隔を部位毎に適切に設定することにより上記緊締部の緊締力を任意に設定する。
【0012】またこの発明の運動用被服の製造方法は、体表面に密着して着用される伸縮性素材によって構成されている運動用被服の製造方法において、経編のジャガード編からなる地編が非弾性糸で編まれ、さらに弾性糸が挿入されてなる経編のジャガード編からなる高い伸縮性を有する伸縮部と、上記伸縮部とは異なる素材構成又は異なる素材構成を有しかつ上記伸縮部より緊締力が高く伸縮性を有するような経編のジャガード編からなる緊締部と、上記緊締部の内側に設けられ通気性が高い経編のジャガード編からなる隙間部とを、連続して一体に編み、上記緊締部が身体の所望の部位に当接しサポートする形状に編む。そして、上記編み地の編み密度の調整、編み組織の変化、編み糸本数の変更、または編み糸種類の変更を適切に設定して、所望の位置で緊締力を所定の値に設定されるように編む。
【0013】この発明の運動用被服は、緊締部の内側に通気性が高い編み地で作られた隙間部が形成され、この隙間部により汗や熱が発散され、快適に着用される。また、隙間部は伸縮性が高く緊締力が低い編み地で作られ、隙間部を任意のパターンで設けることにより緊締部の緊締力や、緊締力が働く方向を調節する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1、図2はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態の運動用被服は、ウエストラインから踝に達するスパッツ10である。スパッツ10の表面で一番広い面積を占め、高い伸縮性を有する編み地で形成されている伸縮部12は、組織Aで形成されている。組織Aは薄地であり、一単位区画当たりに非弾性糸2本で編まれた地編に弾性糸4本が編み込まれ、高い伸縮性と適度な通気性を有している。そして、伸縮部12以外の部分は、その他の編組織B,C,D,Eで形成された緊締部として設けられ、以下にこの各緊締部について説明する。
【0015】まず、スパッツ10の臀部11には、大殿筋と中臀筋の上方に沿って上方に湾曲する円弧状に、臀部緊締部14が形成されている。臀部緊締部14は、組織Bで形成されている。組織Bは、一単位区画当たりに非弾性糸2本で編まれた地編に弾性糸6本が編み込まれた厚地をベースとし、この厚地に伸縮部12の組織Aと同じ薄地が細かい水玉状に散在して配置された隙間部13が形成されている。組織Bは、厚地を広く使用することで高い緊締力を有し、そして水玉状の隙間部13から汗や熱を発散させる。
【0016】そして臀部緊締部14の両端部は大殿骨と股関節の結合部である大転子付近に延出し、矩形の大転子緊締部16が各一個形成されている。大転子緊締部16は組織Cで形成されている。組織Cは組織Bと同じ厚地をベースとしこの厚地に組織Aと同じ薄地が放射線状に入れられた隙間部17が形成されている。大転子緊締部16は、腰の位置を保つために厚地の部分を設け、編み地のストレッチの方向をコントロールする。そして隙間部17は放射状の直線で設けられているため、大転子緊締部16が固くならず身体にフィットする。
【0017】そして、一対の大転子緊締部16から、膝蓋部15の上方に達する外側広筋緊締部18と、膝蓋部15の下方に達する腸脛靱帯緊締部20が形成されている。外側広筋緊締部18と腸脛靱帯緊締部20は、いずれも組織Dで形成されている。組織Dは組織Bと同じ厚地を帯状に形成し、この帯状の長手方向に対してほぼ直角に組織Aと同じ薄地で作られた線状の隙間部21が設けられ、縞模様を形成している。組織Dは、図3に示すように隙間部21の幅や間隔を変えることで伸縮性と緊締力を変化させることができる。また、隙間部21対して直角方向に伸びやすくなるため、隙間部21の角度を変えることにより伸縮方向を変えることが出来る。
【0018】まず外側広筋緊締部18は、大転子緊締部16に近づくにつれて隙間部21の幅が狭くなり、緊締力が強いものとなる。そして大腿部19の中程のところでは隙間部21の幅が広くなり緊締力は少し低くなり、膝蓋部15に近づくにつれて再び隙間部21の幅が狭くなり、緊締力が強いものとなる。これにより外側広筋緊締部18の中央付近は伸縮性が向上し、伸びへの対応力が向上し、運動動作時のずれが減少する。
【0019】そして腸脛靱帯緊締部20は、大転子緊締部16近傍で、線状の隙間部21が、図1において腸脛靱帯緊締部20の長手方向に対して右上がりに傾斜して設けられている。これにより、腸脛靱帯緊締部20の大転子緊締部16近傍は、身体の上下方向に強い緊締力が生じ、身体の前後方向に弱い緊締力が生じ、運動追従性が良好となる。そして、膝蓋部15の近傍では隙間部21の幅が狭くなり、緊締力が強いものとなる。
【0020】そして、大腿部の内股23側には、脚のつけねから膝蓋部15の上方に達する長内転筋緊締部22と、脚のつけねから膝蓋部15の下方に達する内側広筋緊締部24が形成されている。長内転筋緊締部22と内側広筋緊締部24は、いずれも組織Dで形成されている。
【0021】まず、長内転筋緊締部22は、足の付け根に近づくにつれて隙間部21は図1において右上がりに垂直に近い角度に傾斜して設けられて身体の上下方向の緊締力がより強くなっている。そして内股23の中程で、隙間部21は長内転筋緊締部22の長手方向に対してほぼ直角に設けられ、そして隙間部21の幅が広くなり、緊締力は低くなる。そして、膝蓋部15に近づくにつれて隙間部21の幅が狭くなり、再び緊締力が強くなっている。
【0022】そして内側広筋緊締部24は、足のつけね側で緊締力が弱く、内股23の中程で緊締力がわずかに強くなり、膝蓋部15までほとんど均一な緊締力となる。
【0023】ここで、外側広筋緊締部18は大腿部19の中間広筋と縫工筋をサポートし、腸脛靱帯緊締部20は大腿部19の下方外側の外側広筋をサポートしている。長内転筋緊締部22は内股23の長内転筋と内側広筋をサポートし、内側広筋緊締部24は薄筋をサポートしている。これにより外側広筋と内側広筋は、外側広筋緊締部18と長内転筋緊締部22にX状にサポートされ、筋肉を下から持ち上げX字状に交差した方向に引き上げられている。
【0024】次に、外側広筋緊締部18と長内転筋緊締部22は膝蓋部15の上方の大腿四頭筋(膝上)で交差し、外側広筋緊締部18と長内転筋緊締部22の交差部分は大腿四頭筋緊締部26となっている。大腿四頭筋緊締部26は、組織Bで形成され強いサポート力を有し、大腿直筋で運動時に局部的に力のかかる大腿四頭筋を局部的にサポートし、腱のダメージを防いでいる。そして大腿四頭筋緊締部26には互いに交差した一対の線状の隙間部27が形成され、適度な伸縮性を有している。このため着用時に容易に立体的となり、各動きに対応することができる。
【0025】外側広筋緊締部18と長内転筋緊締部22は、各々大腿四頭筋緊締部26の下方に延出し、膝蓋部15の両側を通り膝蓋部15の下方に沿って半円状にサポートする膝下緊締部28となる。そして膝下緊締部28の下端部は、膝の両側から下方に三角形状に延出する一対の下腿緊締部28aが形成されている。
【0026】膝下緊締部28の膝蓋部15に隣接する部分と下腿緊締部28aは、臀部緊締部14と同じ組織Bで設けられている。組織Bは、強いサポート力を有し、固定に近い状態となる。そして、膝下緊締部28には膝蓋部15を中心として左右対称に複数の線状の隙間部29が形成され、適度な伸縮性を有している。このため、着用時に容易に立体的となり、各動きに対応することができる。また、膝蓋部15は固定しないため、伸縮部12となっている。そして膝下緊締部28は、膝蓋腱を局部的に強くサポートすることにより、互いに連続する膝上の大腿四頭筋と膝下の膝蓋腱を保護し、膝蓋部15の炎症と大腿直筋の肉離れを防いでいる。そして、膝下緊締部28の下方に延出する下腿緊締部28aは、腓腹筋、ヒラメ筋、前脛骨筋の上部にかけてサポートする。
【0027】また、膝下緊締部28の、膝蓋部15よりも少し下側の両脇の側縁部28bは、組織Eで形成されている。組織Eは、組織Bと同じ厚地をベースとし、この厚地に上記実施形態の組織Aと同じ薄地が水玉状に配置された隙間部29が形成されている。水玉状の隙間部29の大きさは、膝下緊締部28に使われている組織Eの隙間部13よりも大きく形成され、緊締力は組織Eに比べてやや劣るが汗や熱の発散がより効率よく行われる。
【0028】この実施形態の運動用被服の作り方は、スパッツ10の伸縮部12を作る経編のジャガード編機により、組織Aの薄地と組織Bの厚地が所定パターンに配置されるように設定して、スパッツの編み地を自動に各緊締部と一体に編み上げる。編組織は、経編のジャガード編からなる非弾性糸2本で編まれた地編に、編み込む弾性糸の振り量を変化させて一単位区画当たりの弾性糸の本数を変化させ、この組織の変化により編み地の厚さ、伸縮性、緊締力を変える。そして、このように編み上げられた編み地を所定の手順で両脚分つなぐように縫製し、スパッツ10を作る。
【0029】この実施形態の運動用被服によれば、薄地の伸縮部12に連続して厚地の変化組織を設けて継ぎ目なく各緊締部を形成し、着用するだけで人体の所望の部分をサポートすることができる。これにより、運動、動作に伴う局部的な圧迫や、抵抗を大幅に減らすことができる。また、各緊締部は経編のジャガード編機に所定のパターンを設定するだけで、緊締力と伸縮方向、通気性が異なる経編のジャガード編みによる組織B、C、Dを簡単に短時間で形成し、任意の部位に適切な緊締力を与えることができる。経編のジャガード編により厚地の部分を形成すると各緊締部の編み組織が密となり通気性が悪くなるが、隙間部21を設けることで通気性を確保し、汗や熱を発散し快適に運動することができる。また隙間部21により各緊締部に適度な柔軟性を与えることができ、身体にフィットし運動追従性が向上する。
【0030】臀部緊締部14と大腿四頭筋緊締部26、膝下緊締部28は組織B、組織Eで設けられ、強い緊締力を有し、また汗や熱の発散を効率よく行うことができ、着用感が良好である。組織B、組織Eは、水玉状の隙間部13、29の大きさや間隔を変えることにより、緊締力や通気性を任意に設定することができる。
【0031】外側広筋緊締部18、長内転筋緊締部22、内側広筋緊締部24は、組織Dと高緊締部32が組み合わされて設けられ、適度な柔軟性を有するため運動追従性が良好で、なおかつ高緊締部が確実に身体をサポートする。また、組織Dは隙間部21が縞模様を形成して設けられているため、隙間部21の幅や角度を変えることにより緊締力を微調整し、伸縮しやすい方向を任意に設定することができる。
【0032】さらに、この運動用被服は、障害の発生を防止するとともに、長時間の連続的な運動、例えば登山のような活動時間のほとんどを連続的に運動を繰り返すものについても疲労軽減に効果を有する。また、血流促進(静脈環流促進)にも効果があり、長時間の着用においても快適さを維持できる。
【0033】次に、この発明の第二実施形態について、図4に基づいて説明する。ここで、上述の実施の形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略する。この実施形態の運動用被服は、ウエストラインから踝に達するスパッツ30である。
【0034】臀部緊締部14に連続する大転子緊締部16は、組織Cで設けられている。組識Cは、組織Bと同じ厚地をベースとしこの厚地に組織Aと同じ薄地が放射線状に入れられて隙間部17が形成されている。
【0035】そして一対の大転子緊締部16から膝蓋部15の上方に達する外側広筋緊締部18は、組織Dで形成され、隙間部21により線状に形成された厚地部分の幅は、大転子緊締部16に近づくにつれて広くなり、緊締力が強いものとなる。そして外側広筋緊締部18には、図4において左側の側縁部に、外側広筋緊締部18の長手方向に沿って厚地部分が互いに連結して帯状となる高緊締部32が形成されている。高緊締部32は、大転子緊締部16に近づくにつれて外側広筋緊締部18の長手方向に対して直角方向が長くなっている。このように、組織Dの端部に高緊締部32が設けられる場合、図5、図6に示すように、伸縮方向が均一ではなく高緊締部32側へ湾曲する。これを利用し、外側広筋緊締部18は脚を前に上げたり屈伸したりすることが容易でなおかつ強い緊締力を維持する。
【0036】また、一対の大転子緊締部16から膝蓋部15の下方に達する腸脛靱帯緊締部20は、組織Dで形成されている。
【0037】そして大腿部19の内股23側に設けられ、脚のつけねから膝蓋部15の上方に達する長内転筋緊締部22と、脚のつけねから膝蓋部15の下方に達する内側広筋緊締部24は、組織Dで形成されている。そして、長内転筋緊締部22と内側広筋緊締部24には、図4において右側の側縁部に、各緊締部の長手方向に沿って高緊締部34、36が設けられている。高緊締部34、36は、膝蓋部15に近づくにつれて幅広に形成されている。
【0038】この実施形態のスパッツ30の作り方は、上記実施の形態と同様であり、同様の効果を有するものである。そして、外側広筋緊締部18、長内転筋緊締部22、内側広筋緊締部24は、組織Dと高緊締部32が組み合わされて設けられ、適度な柔軟性を有するため運動追従性が良好で、なおかつ高緊締部が確実に身体をサポートする。また、組織Dは隙間部21が縞模様を形成して設けられているため、隙間部21の幅や角度を変えることにより緊締力を微調整し、伸縮しやすい方向を任意に設定することができる。
【0039】なお、この発明の運動用被服とその製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば緊締力を調整する方法は、編み方や編み糸の本数を変更する以外に、編み糸の種類(太さ、断面形状、組成、伸縮加工、弾性等)を編成途中で変更しても良い。そして、組織Dにより設けられた緊締部の伸縮方向を変化させる方法として、図7、図8に示すように緊締部38の長手方向に沿って中心を貫通して線状の高緊締部40が設けられても良い。そして、各緊締部の厚地に設けられる隙間部のパターンは上記各実施形態の各組織に限定されるものではない。例えば、図9に示す緊締部42ように緊締部42を三角形のドットに切り残すジグザグ線の隙間部44や、図10に示す緊締部46ような枝状の隙間部48、図11に示す緊締部50ように緊締部50の長手方向に対して傾斜した縞模様の隙間部52等、自由に変更可能である。
【0040】また、運動用被服の各緊締部の配置は、適した部位に設けられていれば良く、図12に示すように脚の外側側面に緊締部54が設けられ、緊締部54は上下方向に伸びる高緊締部54aと、高緊締部54aに沿って前側に取り付けられた組織Dからなる低緊締部54bから成るものでも良い。この場合は膝蓋部15の屈伸により内側調と外側長に著しい差が生じるが、緊締力を保ちつつ屈伸運動を抑制しないものである。また、図13に示すように脛部25に緊締部56が設けられ、緊締部56は脛部25の前中心を上下方向に伸びる高緊締部56aと、高緊締部56aを挟んで左右に取り付けられた組織Dからなる低緊締部56bを設けても良い。さらに、この緊締部56は、ふくらはぎ部に設けても良い。
【0041】
【発明の効果】この発明の運動用被服は、経編のジャガード編により短時間に効率よく作ることができ、着用するだけで人体の各部分を最適な状態でサポートするテーピング機能が得られ、スポーツ障害を防ぐものである。そして、緊締部には通気性と柔軟性を有する隙間部が設けられ、着心地と密着性、通気性が良好で運動性能が向上する。また、隙間部の形状や面積比を細かく設定することにより、緊締部の緊締力を調整することができる。
【出願人】 【識別番号】500004427
【氏名又は名称】株式会社ジー・アール・ディ
【識別番号】594030340
【氏名又は名称】福井編織株式会社
【出願日】 平成13年1月25日(2001.1.25)
【代理人】 【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
【公開番号】 特開2002−220708(P2002−220708A)
【公開日】 平成14年8月9日(2002.8.9)
【出願番号】 特願2001−17135(P2001−17135)