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【発明の名称】 裾ずれ防止構造付きズボン
【発明者】 【氏名】沢田 順次

【要約】 【課題】用便時における裾ずれの問題を抑制し得る、新規な裾ずれ防止構造をズボンに付与すること。

【解決手段】ズボンPの膝下部位の内壁面P1に、管状部1を上部接続部2によって、着用者の足が該管状部内を通過できるように吊り下げる。該管状部は、着用者の膝下部分に弾性的に適合し得るものである。該管状部には下部接続部3の上端が接続され、その接続部位よりも下方において、該下部接続部3の下端部が前記内壁面P1に接続する。これによって、ズボンのベルト部を腰から下げても裾部が下がることが抑制される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ズボンの膝下部位の内壁面に、管状部が上部接続部によって吊り下げられ、該管状部は、着用者の膝下部分に弾性的に適合し得るものであり、かつ着用者の足が該管状部内を通過できるように吊り下げられており、該管状部には下部接続部の一端が接続され、その接続部位よりも下方において、該下部接続部の他端部が前記内壁面に接続されていることを特徴とする、裾ずれ防止構造付きズボン。
【請求項2】 ズボンの膝下部位が管状部に引っ張られて内径方向に収縮することがないように、上部接続部および下部接続部が、管状部と上記内壁面との間に介在している、請求項1記載の裾ずれ防止構造付きズボン。
【請求項3】 上部接続部が、逆円錐台状で管状の部材であり、その上端部がズボンの膝下部位の内壁面と接続され、その下端部が管状部の上端部と接続され、下部接続部が、円錐台状で管状の部材であり、その上端部が管状部の下端部と接続され、その下端部がズボンの膝下部位の内壁面と接続されている、請求項1記載の裾ずれ防止構造付きズボン。
【請求項4】 当該裾ずれ防止構造付きズボンが、作業服のズボンであるか、または作業用上着と一体化されたつなぎ型作業服の下肢部分である請求項1記載の裾ずれ防止構造付きズボン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ズボンに関するものであり、特に、衛生的であることを求める着用者にとって有用な着衣となり、また、衛生的であることを求められる工場においては有用な作業服ズボンとなり得るものに関する。
【0002】
【従来の技術】食品、医薬品、衛生的であるべき器具等を製造する工場では、設備だけでなく、作業者の身体や、着用している作業服に対しても衛生管理が強く求められる。作業服については、定期的にまた必要に応じて洗濯・洗浄が行なわれ、常に清潔に保たれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明者が、上記のような工場での作業服の衛生管理をさらに詳しく検討したところ、次の問題が存在することを新たに見出した。その問題は、作業者の用便時に生じる問題である。即ち、ズボンを下げる場合、作業者は、ズボンの裾が下がって床に接触しないよう、裾をたくし上げる等の処置を施さねばならない。狭い場所において、足首の付近にそのような処置を施すことは困難である。また、作業者の不注意によっては、ズボンの裾が下がって床に接触し、裾部分が不潔になってしまうこともあり得る。
【0004】作業服のズボンの一種として、防塵型のものが知られている。これは、作業者の体表面から発せられる塵埃を室内に放出させない目的で、例えば図4(a)に示したA部のように、ズボンの裾を締め付け可能な構造とし、足首にフィットさせるものである。
【0005】このように裾自体が絞られた型の防塵用のズボンであれば、裾がずれることはなく、上記のような用便時の問題は生じない。しかし、衛生的であることを求められるだけの工場において、半導体素子の生産に対応するような密閉的な防塵服を使用することは、作業者にとっては苦痛である。また、ズボンの外観上の問題も重要であって、衛生的であることを求められるだけならば、図4(b)に示したB部のように、一般的なスタイルであるストレート型の裾が要望される場合が多い。しかし、そのようなストレート型の裾では、上記のような用便時の問題を回避できない。
【0006】本発明の課題は上記問題を解決し、上記のような用便時の裾ずれの問題を抑制し得る、新規な裾ずれ防止構造をズボンに付与することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の特徴を有するものである。
(1)ズボンの膝下部位の内壁面に、管状部が上部接続部によって吊り下げられ、該管状部は、着用者の膝下部分に弾性的に適合し得るものであり、かつ着用者の足が該管状部内を通過できるように吊り下げられており、該管状部には下部接続部の一端が接続され、その接続部位よりも下方において、該下部接続部の他端部が前記内壁面に接続されていることを特徴とする、裾ずれ防止構造付きズボン。
【0008】(2)ズボンの膝下部位が管状部に引っ張られて内径方向に収縮することがないように、上部接続部および下部接続部が、管状部と上記内壁面との間に介在している、上記(1)記載の裾ずれ防止構造付きズボン。
【0009】(3)上部接続部が、逆円錐台状で管状の部材であり、その上端部がズボンの膝下部位の内壁面と接続され、その下端部が管状部の上端部と接続され、下部接続部が、円錐台状で管状の部材であり、その上端部が管状部の下端部と接続され、その下端部がズボンの膝下部位の内壁面と接続されている、上記(1)記載の裾ずれ防止構造付きズボン。
【0010】(4)当該裾ずれ防止構造付きズボンが、作業服のズボンであるか、または作業用上着と一体化されたつなぎ型作業服の下肢部分である上記(1)記載の裾ずれ防止構造付きズボン。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して具体例を示しながら、本発明をより詳細に説明する。本発明による裾ずれ防止構造付きズボン(以下、「当該ズボン」とも呼ぶ)においては、図1に一例を示すように、ズボンPの膝下部位の内壁面P1に、管状部1が上部接続部2によって吊り下げられている。この管状部1は、着用者がその管内に足を入れ膝下部分まで通したとき、膝下部分を取り巻いて弾性的に適合(フィット)するものである。この弾性的なフィットは、ズボンの膝下部分の自重が掛かっても、ずれ落ちない締め付け力で該膝下部分に留まることができるフィットであればよい。この管状部1は、着用者の足が該管状部内を通過できるように、好ましくは、ズボンPと同軸状となるように姿勢が保たれている。また、該管状部1には、下部接続部3の一端部が接続され、その接続部位(図1では部位13)よりも下方において(図1では部位14)、該下部接続部3の他端部が前記内壁面P1に接続されている。
【0012】上記の構成とすることによって、管状部1は、上部接続部2によって、ズボンPの所定位置の内壁面P1に適正な姿勢で吊り下げられ、着用者は、該管状部内に容易に足を通すことができる。着用者が該管状部内に足を入れ、図2(a)に示すように、膝下部分まで通して着用状態になると、管状部1は、着用者の膝下部分にフィットして留まる。このとき、ズボンPの裾部P2は、下部接続部3によって管状部1から吊り下げられている状態となっている。よって、図2(b)に示すように、ズボンのベルト部分が腰から下に降ろされたとしても、上部接続部2は垂れ下がるが、管状部1は着用者の膝下部分に留まったままであり、そこから吊り下げられた裾部P2が下がることは無い。しかも、上部接続部、下部接続部の介在によって、管状部がズボンを収縮させることがなく、通常のストレート型など、ズボンの種々の外観ラインを自由にデザインすることができる。
【0013】上記の作用効果は、上部接続部2、管状部1、下部接続部3の3点の要件が揃うことによって好ましく達成される。例えば、下部接続部3が欠落した構成では、図3(a)に示すように、ズボンPの上方部が下げられると、上部接続部2が垂れ下るので、それと共に裾部も下がり、床に接触してしまう。また、上部接続部2が欠落した構成では、管状部はズボンの内壁面の所定位置に保持されず、着用の際に、図3(b)に示すように、管状部1と下部接続部3とが完全に反転して、ズボンの裾から外へとび出ることになる。これを内側に再反転させて、管状部を膝下部分にセットすることは困難な作業であって、実使用上、好ましくない。
【0014】管状部は、着用者の足を通すことができ、膝下部分に弾性的に適合し得るものであればよく、自然状態での内径、外径は限定されない。管状部の径は、均一である必要はなく、人間の膝下部分の外形の変化に合わせたテーパーであってもよい。また、管状部の全長も限定されず、外観的には管というより、むしろリングと認識されるような短い全長であってもよい。
【0015】着用前の自然状態における管状部の内径は、該管状部の弾性にもよるが、着用者の膝下部分の外径を考慮すると、60mm〜140mm程度、特に80mm〜120mm程度が好ましい。また、管状部が着用された状態で示す収縮力は、着用者が不快感を感じない程度であって、かつズボンの裾部分の重量を吊り下げながらも留まっていられる程度が好ましい。また、管状部の全長は、50mm〜150mm程度、特に60mm〜100mm程度が好ましい。
【0016】管状部は、ゴム管のようにゴムそのものだけからなるものや、ゴム紐をリング状に通した布製のものであってもよいが、着用者の膝下部分に適度にフィットし、着心地が良いという点では、例えば、靴下の入り口部分に見られるような伸縮可能に環状にゴム編みされた管状物が好ましい。このようなものとしては、天竺、フライス、スムース、トリコット、ラッセル等が例示される。
【0017】上部接続部は、管状部をズボン内部の膝下部分に吊り下げるように機能する態様を少なくとも有すればよい。例えば、管状部の上端とズボンの内壁面とを結ぶ複数の糸状物であってもよい。しかし、当該ズボンを履く際に、足先を管状部の内側へと好ましく誘い込むためには、図1に示すように、布製の逆円錐台状の部材とし、その上端部とズボンの内壁面とを部位11で接続し、その下端部と管状部の上端部とを部位12で接続する態様が好ましい。また、上部接続部を逆円錐台状とする態様は、素材の選択によっては、ズボン内部と外部とを遮断する隔壁ともなるので、体表面から脱落した毛髪や、衣服内部の塵を裾から外界に出さないという作用をも示し、防塵の要求に対応することも可能である。
【0018】下部接続部は、着用時に、ズボンの裾部を管状部から吊り下げるように機能する態様であればよい。上部接続部で述べたと同様の、複数の糸状物であってもよいが、ズボンに対して裾ずれ防止構造を取り付ける際の加工の容易性を考慮すると、図1に示すように、布製の円錐台状とし、その上端部と管状部の下端部とを部位13で接続し、その下端部とズボンの裾部とを部位14で接続する態様が好ましい。この逆円錐台状の態様は、上部接続部の場合と同様に、素材の選択によっては、ズボン内部と外部とを遮断する隔壁ともなるので、防塵の要求に対応することも可能である。
【0019】上部接続部および下部接続部は、共に、ズボンの外観をストレート型に維持するように、即ち、ズボンの膝下部位が管状部に引っ張られて内径方向に収縮することがないように、管状部と上記内壁面との間に、適度な余裕をもって介在させるのが好ましい。この点からも、上部接続部を逆円錐台状とし、下部接続部を円錐台状とする態様は、管状部の伸縮をテーパー角度の変化によって吸収する好ましい態様である。
【0020】上部接続部および下部接続部を、それぞれ、逆円錐台状や円錐台状等の管状の部材とする場合、管状部に対するこれらの接続端部が、管状部の伸縮を阻害することのないようにすべきである。例えば、管状部に対するこれらの接続端部の口径を、管状部の最大拡張時の口径に合わせておき適当なたるみを持たせる態様や、これらの部材のテーパー角度が変化し得るように伸縮性素材で形成する態様等、管状部の伸縮に追従し得る態様が挙げられる。
【0021】本明細書でいう「布」とは、織物、編物、不織布だけでなく、網、フィルム素材、衣料品に使用可能な全てのシート状素材・ネット状素材を含む。ネット状素材(所謂メッシュを含む)は、織物、編物、不織布、フィルム素材等にも含まれ、織り方や編み方の設定、パンチングプレスの設定、フィルム成形型の設定等によって、いずれの素材もメッシュやネット状物となり得る。織物、編物、不織布等に用いる繊維も、衣料品に使用可能な全てのものを用いてよく、天然繊維、再生繊維、合成繊維、これらの混合物などが挙げられる。
【0022】上部接続部・下部接続部を布で形成する場合、どのような素材を用いるかは限定されないが、軽さや通気性を与える点では、メッシュやネット状物が好ましく、その他、防塵性、保温性、防寒性を与えるために、目的に合致した種々の防塵素材、断熱素材を用いてよい。また、上記のとおり、管状部の伸縮に追従し得るよう、伸縮性を有する素材を用いてもよい。このような素材として、例えば、ナイロンのトリコットなどが例示される。各種素材の特性は、必要に応じてどのように組み合せてもよい。
【0023】上部接続部、管状部、下部接続部は、それぞれ独立した部材として形成した後に接続してもよいが、同一の素材によって、一体的かつ連続的に形成してもよい。例えば、伸縮自在にゴム編みされた管状素材の径を、■上部接続部に対応する部分は、ズボン内径から管状部の径へとテーパー状に変化させて逆円錐台状とし、■管状部に対応する部分は、均一径として直管状とし、■下部接続部に対応する部分は、管状部の径からズボン内径へとテーパー状に変化させて円錐台状とする等の態様である。
【0024】上部接続部、管状部、下部接続部を互いに接合する方法、および、これらとズボン内壁面とを互いに接合する方法は、限定されず、縫製、接着など、如何なる方法であってもよい。また、スナップやファスナーによって、着脱自在としてもよい。
【0025】ズボンの本体は、どのような素材、どのような形であってもよく、上着と一体化されたつなぎ型であってもよい。本発明による裾ずれ防止構造付きズボンは、食品工場など、衛生的であることを求められる工場の作業服ズボン、またはつなぎ型作業服の下肢部分として、その有用性が最も顕著となるが、用途はこれに限定されず、衛生的であることを求める全ての使用者にとって有用な着衣となる。
【0026】
【発明の効果】当該ズボンは、上記説明のとおり、上部接続部、管状部、下部接続部による独特のずれ防止構造を有しているから、ズボンの上方部が下げられたとしても、裾部が下がることは無い。しかも、上部接続部または下部接続部の形態、素材を選択することによって、この部分が内外の隔壁となって、脱落した毛髪や表皮、下着の塵など、衣服内部の塵を外部に出さない防塵構造としても作用し得る。さらに、管状部が収縮して足にフィットしても、上部接続部、下部接続部の介在によって、ズボンに収縮が伝わることがなく、外観上は、ズボンのストレートなラインがそのまま維持され得る。当該ズボンによって、本発明者が見出した上記課題は解決され、使用者は、新規な裾ずれ防止構造を有するズボンを選択することが可能となった。
【出願人】 【識別番号】591145483
【氏名又は名称】原田産業株式会社
【出願日】 平成13年1月10日(2001.1.10)
【代理人】 【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
【公開番号】 特開2002−212807(P2002−212807A)
【公開日】 平成14年7月31日(2002.7.31)
【出願番号】 特願2001−2938(P2001−2938)