| 【発明の名称】 |
手型およびそれを用いた手袋の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】白水 利通
【氏名】宮本 芳明
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| 【要約】 |
【課題】手袋の部位に応じて皮膜の厚みを適宜調節することができ、しかもかかる調節を簡易な方法で実現することのできるディップ成形用の手袋の型と手袋の製造方法とを提供する。
【解決手段】本発明の手型10は、ゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンを用いたディップ成形による手袋の製造に用いるものであって、当該手型10の表面に比熱容量の異なる複数の領域を設けたことを特徴とする。手型10の表面は、当該表面に形成されるゴムまたは樹脂皮膜の厚肉部に相当する領域30における比熱容量が、他の領域よりも高いのが好ましく、具体的には比熱容量の差が150J/(kg・K) 以上であるのがより好ましい。本発明の手袋の製造方法は、上記本発明の手型10をゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンに浸漬し、手型10の表面にゴムまたは樹脂の皮膜を形成することを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】ゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンを用いた感熱法による手袋の製造に用いる手型であって、当該手型の表面に比熱容量の異なる複数の領域を設けたことを特徴とする手型。 【請求項2】前記手型の表面のうち、当該手型の表面に形成されるゴムまたは樹脂皮膜の厚肉部に相当する領域における比熱容量が、他の領域よりも高い請求項1記載の手型。 【請求項3】比熱容量の差が150 J/(kg・K) 以上である請求項1または2記載の手型。 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の手型をゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンに浸漬し、当該手型の表面にゴムまたは樹脂の皮膜を形成することを特徴とする手袋の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンを用いた感熱法によるノンサポート型手袋の製造に用いる手型に関する。 【0002】 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来、ディップ成形による手袋の製造方法としては、(1) 手袋の型に凝固液を塗布した上で、これをゴムラテックスや樹脂エマルジョンに浸漬する方法(凝固液法)、(2) 手袋の型を浸漬するゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンの粘度をあらかじめ高くしておき、当該ラテックス等の粘性を利用して皮膜を形成する方法(粘度ピックアップ法)、または(3) ゴムラテックスまたは樹脂エマルジョン中に感熱化剤を添加した上で、予熱した手袋の型を浸漬して熱凝固させる方法(感熱法)が知られている。 【0003】これらの方法による手袋の製造方法において、例えば袖部分等の一部分を肉厚にするには、上記(1) 〜(3) の方法によって手袋の型に皮膜を形成した後、膜厚を大きくする部分(例えば袖部分)にのみゴムラテックスや樹脂エマルジョンをスプレーする方法が知られている。しかし、この方法はゴムラテックスや樹脂エマルジョンのロスが多く、しかも皮膜を形成するための工程数が多くなるという問題や、膜厚を大きくする効果に限度があるという問題がある。 【0004】一方、あらかじめ2種類の凝固液または濃度の異なる凝固液を用意しておき、膜厚を多くする部分にのみ皮膜形成能の高い凝固液や濃度の高い凝固液を付着させたり、あるいは膜厚を多くする部分にのみ異なる凝固液を二度漬けして、凝固液の付着量を多くさせたりする方法も知られている。しかしながら、これらの方法では皮膜を形成するための工程数が多くなり、生産効率や製造コストの面で問題がある。 【0005】そこで本発明の目的は、手袋の部位に応じて皮膜の厚みを適宜調節することができ、しかもかかる調節を簡易な方法で実現することのできる手袋成形用の手型と、当該手型を用いた手袋の製造方法とを提供することである。 【0006】 【課題を解決するための手段および発明の効果】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、表面に材質の異なる領域を設けた手袋用の手型を用いて感熱法によるゴムまたは樹脂皮膜の形成を行ったときは、前記手型表面の材質間での比熱容量の違いに起因して形成される皮膜の厚みに違いが生じることを見出し、かかる現象を利用することによって、部分的に厚みの異なる皮膜を備えた手袋を1回の浸漬で製造することができるという新たな事実を見出し、本発明の手型を完成するに至った。 【0007】すなわち、本発明に係る手型は、ゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンを用いた感熱法による手袋の製造に用いるものであって、当該手型の表面に比熱容量の異なる複数の領域を設けたことを特徴とする。従来、感熱法による手袋の製造には、陶器、ガラスまたはアルミニウムからなる、全体の材質がほぼ均一な型が用いられている。これに対し、本発明に係る手型は、部分的に表面の材質が異なり、さらにかかる材質の相違に伴って、表面の比熱容量が異なっていることを特徴とする。 【0008】かかる手型を用いて感熱法によりゴムまたは樹脂皮膜を形成したときは、例えば2種類の凝固液または濃度の異なる凝固液をあらかじめ用意しておき、膜厚を大きくする部分にのみ皮膜形成能の高い凝固液や濃度の高い凝固液を付着させたり(凝固液法)、あるいは膜厚を大きくする部分にのみ凝固液を二度漬けして、凝固液の付着量を多くさせたりする(凝固液法、粘度ピックアップ法、従来の感熱法)といった、作業の手間やコストのかかる方法を経る必要がなく、浸漬操作を1回だけ施すことによって部分的に膜厚の異なるゴムまたは樹脂手袋を製造することができる。 【0009】従って、上記本発明の手型によれば、繊維製の手袋体を備えていない、いわゆるノンサポートタイプの手袋を感熱法によって製造する際に、その膜厚を部分的に異なったものにするという処理を極めて簡易な方法で達成することができる。上記本発明の手型においては、その表面のうち、当該手型の表面に形成されるゴムまたは樹脂皮膜の厚肉部に相当する領域における比熱容量が、他の領域よりも高いものとなるように設定すればよい。これにより、任意の部位を補強した手袋を簡易に提供することができる。 【0010】また、比熱容量の異なる領域環での当該比熱容量の差は、150 J/(kg・K) 以上であるのが好ましい。本発明に係る手袋の製造方法は、上記本発明に係る手型をゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンに浸漬し、当該手型の表面にゴムまたは樹脂の皮膜を形成することを特徴とする。本発明の手袋の製造方法によれば、前述のように、例えば2種類の凝固液または濃度の異なる凝固液をあらかじめ用意しておき、膜厚を大きくする部分にのみ皮膜形成能の高い凝固液や濃度の高い凝固液を付着させたり、あるいは膜厚を大きくする部分にのみ凝固液を二度漬けして、凝固液の付着量を多くさせたりするといった、作業の手間やコストのかかる方法を経る必要がなく、たった1回の浸漬操作を施すことによって部分的に膜厚の異なるゴムまたは樹脂手袋を感熱法により製造することができる。 【0011】 【発明の実施の形態】次に、本発明に係る手型およびそれを用いた手袋の製造方法について詳細に説明する。本発明に係る手型は、ゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンを用いた感熱法により、いわゆるノンサポート型手袋を製造するのに用いられるものであって、図1および図2に示す手型10,11はその一実施形態である。 【0012】本発明の手型は、その表面の材質を任意の領域で異ならせること、より詳しくは、任意の領域で手型の比熱容量を異ならせること、を特徴としており、これによって、当該任意の領域において形成されるゴムまたは樹脂皮膜の膜厚と、他の領域において形成される皮膜の膜厚とを異ならせることができる。表面の材質(より詳しくは、比熱容量)を異ならせる領域(以下、「任意領域」という。)を手型のどの部位に設定するかについて、あるいは、任意領域と他の領域との比熱容量の差をどの程度とするかについては、手型の表面に形成される皮膜、すなわちノンサポート型手袋の用途等に応じて適宜設定される。 【0013】任意領域での材質を他の領域での材質よりも比熱容量の高いものとした場合には、任意領域に形成されるゴムまたは樹脂皮膜の厚みを大きくすることができ、当該任意領域における皮膜の補強を図ることができる。手型表面の部位としては、これに限定されるものではないが、例えば袖部20、手首部21、甲部22、掌部23、指部24、又部25等が挙げられる(図1参照)。また、指部24は、例えば甲部26側と掌側27とに分けて表面の材質を異ならせてもよく、あるいは指部の先端(指先)に限って表面の材質を異ならせてもよい。 【0014】図1に示す手型10においては、その袖部20と手首部21とからなる領域(任意領域30)の材質と、他の領域(甲部22、掌部23、指部24、又部25等)の材質とを異なるものとしている。ここで、任意領域30の材質を、他の領域の材質よりも比熱容量の高いものとした場合には、袖部20と手首部21における皮膜の厚みが大きく、当該部分において皮膜が補強されたゴムまたは樹脂手袋を製造することができる。袖部20と手首部21のみを補強することにより、甲部22、掌部23、指部24、又部25等における皮膜の柔軟性を保持しつつ、手袋の装着・脱着性の向上を図ることができる。 【0015】図2に示す手型11においては、その手首部21および甲部22の一部において、筋状の任意領域31が設けられている。ここで、任意領域31の材質を、他の領域の材質よりも比熱容量の高いものとした場合には、手首部21および甲部22の一部における筋状の部分のみ強度が大きくなり、袖部の垂れ(ずり落ち)を防止することができる。手型の材質としては、例えば陶器、ガラス、アルミニウム等の、従来公知の種々のものが挙げられる。これらの材質は、手型表面に求められる比熱容量の程度に応じて適宜組み合わせて用いられる。 【0016】一般に、比熱容量を小さく抑えるには、上記材質のうち陶器、ガラス等を用いるのが好ましく、比熱容量を大きくするには、上記材質のうちアルミニウム等の金属を用いるのが好ましい。従って、手型の表面を形成する材質の組み合わせとしては、例えば、手型表面に形成されるゴムまたは樹脂皮膜を厚くしたい部分にアルミニウムを使用し、ゴムまたは樹脂皮膜を薄くしたい部分に陶器またはガラスを使用するという組み合わせが挙げられる。 【0017】比熱容量の差は特に限定されるものではないが、形成されるゴムまたは樹脂膜の厚みに優位な差を生じさせるには、その差が150 J/(kg・K) 以上であるのが好ましく、200J/(kg・K) 以上であるのがより好ましい。なお、一般に、アルミニウムと陶器、またはアルミニウムとガラスは、比熱容量で150 J/(kg・K) 以上の差を有している。本発明の手型は、図1および図2に示すものに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計することができる。また、曲がり指形のものに限定されるものではなく、製造される手袋の用途等に応じて直指形のものであってもよい。 【0018】本発明に係る手袋の製造方法は、上記本発明に係る手型を予熱しておき、これをゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンに浸漬して、当該手型の表面にゴムまたは樹脂の皮膜を形成することを特徴とするものである。すなわち、本発明の手袋の製造方法は、本発明に係る手型を用いて、従来公知の感熱法によりゴムまたは樹脂手袋を成形するものである。感熱法によるゴムまたは樹脂皮膜の形成条件、とりわけ手型の予熱についての温度条件等については特に限定されるものではなく、常法に従って設定すればよい。 【0019】手袋の製造に用いるゴムラテックスおよび樹脂エマルジョンとしては、従来、感熱法に用いられている種々のものを使用することができる。前記ゴムラテックスとしては、例えば天然ゴム(NR)ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)ラテックス、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)ラテックス、メタクリル酸エチルグラフト(MG)ラテックス等の、従来公知の種々のゴムラテックスが挙げられる。これらのゴムラテックスには、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤等を適宜配合することができる。 【0020】一方、前記樹脂エマルジョンとしては、例えば塩化ビニル樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン等が挙げられる。これらの樹脂エマルジョンには、樹脂の架橋性を十分なものとし、手袋の強度を向上させることを目的として、架橋剤を配合することができる。 【0021】 【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を説明する。 実施例1(感熱性ラテックスの調製)天然ゴムラテックス〔NRラテックス、固形分濃度(TSC)60%〕を5時間攪拌し、さらにpHを10.0に調整した後、当該ラテックスのゴム固形分100重量部に対して亜鉛華(ZnO)1重量部、加硫促進剤〔ジブチルカルバミン酸亜鉛(Bz)〕1重量部および硫黄1重量部を添加して、50℃に加温した状態を5時間保持させることにより、前加硫を行った。 【0022】前加硫後、ラテックスにホルマリンを添加してそのpHを9.2に調整し、当該ラテックスのゴム固形分100重量部に対して感熱凝固剤としてのポリビニルメチルエーテル(バイエル社製の商品名「ルトナール」)2重量部を添加した。さらに、TSCが30%となるように蒸留水を添加して、これを感熱凝固用ラテックスとした。 (ゴム手袋の製造)手袋製造用の手型として、甲部22、掌部23および指部24を、比熱容量が0.16cal/(g・℃)〔約670J/(kg・K)〕である陶磁器にて形成し、袖部20と手首部21とを、比熱容量が0.21cal/(g・℃)〔約879J/(kg・K)〕であるアルミニウムにて形成したものを用いた(図1参照)。両者の比熱容量の差は0.05cal/(g・℃)〔約209J/(kg・K)〕であった。 【0023】上記手型10を100℃のオーブンで15分間に予熱して、これを上記感熱凝固用ラテックスに浸漬することにより(すなわち、感熱法に従って)、当該手型の表面にゴム皮膜を形成した。さらに、形成されたゴム皮膜を100℃のオーブンで40分間加硫、乾燥させ、脱型することによってゴム手袋を得た。得られたゴム手袋は、指部24での厚みが0.32mm、甲部22の厚みが0.30mm、袖部20および手首部21(手型10表面が比熱容量の高いアルミニウムからなる領域に相当する部分)の厚みが0.50mmであった。 【0024】このように、ゴムラテックス中に手型を1回浸漬するという簡易な工程を経るだけで、部分的に厚みの異なる手袋を製造することができた。また、かかる手袋は袖部の厚みのみが他の部分よりも大きく、指部、甲部、掌部等での柔軟性を維持しつつ、手首部および袖部の強度を十分に補強することができた。 比較例1実施例1で使用したのと同じ感熱凝固用ラテックスに、全体が陶磁器〔比熱容量0.16cal/(g・℃)〕からなる手型(100℃のオーブンで15分間予熱したもの)を浸漬し、当該手型の表面にゴム皮膜を形成した。さらに、形成されたゴム皮膜を100℃のオーブンで40分間加硫、乾燥させ、脱型することによってゴム手袋を得た。 【0025】得られたゴム手袋は、指部の厚みが0.34mm、袖部の厚みが0.27mmであった。なお、感熱法による成形時において、手型は、その指先側を下にしてゴムラテックス中に浸漬され、かつ、指先側がゴムラテックスから最後に引き上げられることから、指先での厚みが袖部よりも大きくなった。しかし、手型の材質が均一であることから、ラテックスへの浸漬時間が長くなる指先側において膜厚が多少大きくなったほかは、全体として膜厚がほぼ均一なゴム手袋が得られた。 【0026】比較例2NRラテックス〔固形分濃度(TSC)60%〕を5時間攪拌し、さらにpHを10.0に調整した後、当該ラテックスのゴム固形分100重量部に対して亜鉛華(ZnO)1重量部、加硫促進剤〔ジブチルカルバミン酸亜鉛(Bz)〕1重量部および硫黄1重量部を添加して、50℃に加温した状態を5時間保持させることにより、前加硫を行った。 【0027】前加硫されたNRラテックスに対して、あらかじめ20%硝酸カルシウム水溶液に浸して乾燥させておいた手型を浸漬した。ここで、前記手型は、全体が陶磁器〔比熱容量0.16cal/(g・℃)〕からなるものを用いた。次いで、ゴム皮膜が形成された手型を回転させながら、手型表面の手首部および袖部にのみ、前記前加硫ラテックスをスプレーで塗布した。得られたゴム手袋は、指部の厚みが0.30mm、袖部の厚みが0.35mmであった。すなわち、スプレーでの塗布によって袖部の厚みを大きくすることができたものの、手袋の製造に手間と時間がかかるという問題があった。 【0028】比較例3比較例2で使用したのと同じ手型の全体を20%硝酸カルシウム水溶液に浸して乾燥させた後、その袖部を10%硝酸カルシウム水溶液に再度浸して、乾燥させた。次いで、この手型を比較例2で使用したのと同じ前加硫されたNRラテックスに浸漬することにより、手袋を製造した。 【0029】得られたゴム手袋は、指部の厚みが0.25mm、袖部の厚みが0.30mmであって、凝固液の二度漬けにより袖部の厚みを大きくすることができたものの、手袋の製造に手間と時間がかかるという問題があった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000183233 【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年12月27日(2000.12.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075155 【弁理士】 【氏名又は名称】亀井 弘勝 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−201517(P2002−201517A) |
| 【公開日】 |
平成14年7月19日(2002.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−398701(P2000−398701) |
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