| 【発明の名称】 |
生分解性手袋 |
| 【発明者】 |
【氏名】赤崎 久仁夫
【氏名】四宮 守
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| 【要約】 |
【課題】手指にしっかりとフィットして作業性がよく、手袋自体からの糸屑や埃の発生もなく、しかも自然に分解する性質を有していて廃棄時に環境に負荷を与えない手袋を提供する。
【解決手段】生分解性繊維からなる長繊維糸条で形成された編地を用いてなる手袋であって、上記長繊維糸条のうちの50質量%以上がポリ乳酸繊維からなるマルチフィラメント捲縮糸であることを特徴とする手袋。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 生分解性繊維からなる長繊維糸条で形成された編地を用いてなる手袋であって、上記長繊維糸条のうちの50質量%以上がポリ乳酸繊維からなるマルチフィラメント捲縮糸であることを特徴とする手袋。 【請求項2】 ポリ乳酸繊維からなるマルチフィラメント捲縮糸が非旋回性又は弱旋回性であることを特徴とする請求項1に記載の手袋。 【請求項3】 ポリ乳酸からなるマルチフィラメント捲縮糸が、ニット・デニット加工によって捲縮を付与されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の手袋。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性機能を有するとともに、発塵性が少なく、フィット性に優れた生分解性手袋に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、半導体産業等におけるクリーンルーム内での作業には手袋が用いられているが、そのような手袋としては、手袋自体から糸屑や埃が発生しない、いわゆる発塵性の少ないものが求められ、ポリエステルやナイロン等の合成繊維マルチフィラメント糸を利用した編地製の手袋や、ポリエチレン、ナイロン、ポリウレタン等のフィルムからなる使い捨てタイプの手袋が数多く上市されている。 【0003】上記の従来品のうち、前者の合成繊維マルチフィラメント糸を利用した編地製の手袋は、手指へのフィット性に優れ作業性が良好であるが、廃棄する際には自然に分解することはなく、また、焼却処理する場合でも燃焼熱が高いため、廃棄における環境への負荷が問題となる。一方、後者のフィルムからなる使い捨てタイプの手袋は、大量生産が容易で安価な反面、立体的形状を有さずストレッチ性にも乏しいため、手指へのフィット性が非常に劣り作業性が悪く、廃棄においても前者と同様に問題を有している。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したような従来のクリーンルーム内での作業に用いられる手袋の欠点に鑑み、手指にしっかりとフィットして作業性がよく、手袋自体からの糸屑や埃の発生もなく、しかも自然に分解する性質を有していて廃棄時に環境に負荷を与えない手袋を提供することを課題とする。 【0005】 【課題を解決する手段】本発明は、上記の課題を解決するものであり、第一に、生分解性繊維からなる長繊維糸条で形成された編地を用いてなる手袋であって、上記長繊維糸条のうちの50質量%以上がポリ乳酸繊維からなるマルチフィラメント捲縮糸であることを特徴とする手袋を要旨とする。第二に、ポリ乳酸繊維からなるマルチフィラメント捲縮糸が非旋回性又は弱旋回性であることを特徴とする上記の手袋を要旨とする。第三に、ポリ乳酸からなるマルチフィラメント捲縮糸が、ニット・デニット加工によって捲縮を付与されたものであることを特徴とする上記いずれかの手袋を要旨とする。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。本発明の手袋は、使用後の廃棄の観点から、生分解性繊維を用いてなることが必要であり、さらに、糸屑や埃を発生させない点から、生分解性繊維からなる長繊維糸条(以下、生分解性長繊維糸条と略記することがある)を用いてなることが必要である。生分解性繊維としては、絹や天然ゴム等からなる天然の長繊維、レーヨンやアセテート等のセルロース系の長繊維及びポリ乳酸等の生分解性熱可塑性樹脂からなる長繊維を用いることができる。生分解性熱可塑性樹脂としては、加水分解を経て生分解される脂肪族系ポリエステル樹脂が好ましく、中でも、ジオール成分とジカルボン酸成分から合成される脂肪族系のポリマーが特に適しており、ポリ乳酸、ポリアルキレンアルカノエート、ポリβヒドロキシアルカノエート及びこれらの共重合物等が挙げられ、具体的にはポリ乳酸が最も好ましく用いられる。なお、ポリ乳酸もしくは他の生分解性繊維からなる長繊維糸条の繊維横断面形状としては、特に限定されるものではなく、丸断面、多葉断面、偏平断面、中空断面等いずれの断面形状でもよく、異なる断面形状のものを複数種類混用してもよい。 【0007】本発明の手袋は生分解性長繊維糸条で形成された編地を用いてなるものである。その編地を形成する生分解性長繊維糸条としては、ポリ乳酸繊維からなるマルチフィラメント捲縮糸を50質量%以上含むことが必要であり、60質量%以上含むことがより好ましい。ポリ乳酸は融点が120℃以上の熱可塑性樹脂であるため、熱加工において強い賦形性を有していることから、ポリ乳酸繊維からなる糸条には仮撚加工等によって強い捲縮を付与することができ、そうして得られる捲縮糸を用いて編地を形成することにより、伸縮性に優れた作業性の良い手袋とすることができる。ポリ乳酸繊維からなるマルチフィラメント捲縮糸の含有率が50質量%未満では、当該捲縮糸を用いることによる効果が得られない。なお、上記のポリ乳酸繊維からなるマルチフィラメント捲縮糸と他の生分解性長繊維糸条とを混用することにより、各糸条の特性が付加されて、フィット性や肌触りといった使用上の性能を向上させたり、生分解性を変化させたりすることができる。 【0008】また、ポリ乳酸繊維からなるマルチフィラメント捲縮糸としては、非旋回性又は弱旋回性であることが好ましい。旋回性の糸条を用いて編地を形成した場合、斜行変形を生じて手袋の形状が崩れるおそれがあるが、非旋回性又は弱旋回性であれば、編地に斜行変形を生じることがない。なお、本発明における非旋回性又は弱旋回性とは、以下のように定義されるものである。すなわち、図1に示す如く、約1メートル長の糸を2つに折り畳んで端部を閉じたループ1とし、ループに所定の質量(糸のデシテックス数×0.1g)の錘2を引っ掛けて自然に吊り下げ、このときに生じた50cmあたりの撚り数(図1の場合、撚り数は2である)を旋回指数とする。そして、旋回指数が0のものを非旋回性、1〜15のものを弱旋回性という。旋回指数が15を超えると旋回性という。 【0009】非旋回性のクリンプは、後述するニット・デニット加工により得られるが、繊維の種類によっては、このような加工を施してもクリンプが生じないか、たとえクリンプが生じても、外力等により簡単にクリンプが消失してしまう場合が多く、また、融点が低いために加工することができなかったりすることもある。本発明者らは、種々の繊維を検討した結果、熱可塑性で120℃以上の融点を有しているポリ乳酸繊維が、生分解性繊維の中でもニット・デニット加工により持続的な非旋回性のクリンプを付与させるのに最も適した繊維であることを見出した。 【0010】本発明に使用されるポリ乳酸繊維は、生分解性を有するものであるが、ポリエステルの一種であることから加水分解する性質を有しており、その分解挙動としては、ある程度加水分解が進んでからの方が、微生物による生分解が加速され、最終的には水と二酸化炭素に変化するという特徴を有している。すなわち、好ましくは温度55℃以上、湿度65%以上の環境下で加水分解を進行させることにより、生分解が効率的に行われるのである。したがって、ポリ乳酸繊維を50質量%以上含んでいる本発明の手袋は、高温多湿の環境下に置かれることにより、ポリ乳酸の加水分解が始まり、一定期間経過後に微生物による生分解が経時的に進行する。なお、生分解をさせる際には、バクテリア等の繁殖する堆肥中や土壌中に放置すればよいが、温度や湿度を設定できるコンポスト機を利用することにより、効率的な処理が可能になる。 【0011】次に、本発明の手袋を製造する好ましい方法について説明する。まず、ポリ乳酸繊維からなるマルチフィラメント糸条を常法により得た後、捲縮を付与する。捲縮を付与する方法としては、非旋回性の捲縮を付与できる点から、ニット・デニット加工が好ましく採用される。すなわち、ポリ乳酸繊維からなるマルチフィラメント糸条の延伸糸を連続して筒状に製編し、この筒状編地を約100℃の熱水で処理した後、乾燥させてから解編を行うことにより、非旋回性の捲縮が付与された糸条(以下、ニット・デニット加工糸と略記する)となって得られる。このとき、ニット・デニット加工糸の沸水収縮率を低いものとしたければ、筒状に製編する際の編密度を粗くして、熱水処理時の収縮を大きくして行えばよい。 【0012】次いで、上記のニット・デニット加工糸と、必要に応じて他の糸条とを用いて、公知の方法で手袋の形状に編地を製編することにより、本発明の手袋が得られる。なお、本発明の手袋を染色する方法としては、ポリ乳酸繊維100%使用の場合には、分散染料を用いて温度90〜110℃で染色することができ、他の生分解性繊維を含んでいる場合には、その繊維に適した染料を併用して、1浴又は複数浴の染色を行えばよい。 【0013】 【実施例】次に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。 実施例1ポリ−L乳酸を99.3%含有するポリ乳酸(融点172℃、重量平均分子量14万)を常法によって溶融紡糸し、続いて延伸加工を行うことにより、ポリ乳酸からなるマルチフィラメント糸(84デシテックス/36フィラメント)を得た。このマルチフィラメント糸を用いて、筒編機(シリンダー直径10.16cm、針本数280本)により連続した筒状編地を製編した。次いで、この編地を95℃の熱水中で30分間熱水処理し、乾燥した後に解編捲取りを行うことにより、ニット・デニット加工糸を得た。そして、自動手袋編み機を用い、上記のニット・デニット加工糸2本を表糸、アセテートマルチフィラメント糸(84デシテックス/21フィラメント)1本を裏糸となるように給糸して、リバーシブル天竺編み組織にて、ポリ乳酸マルチフィラメント捲縮糸を66.7質量%含む本発明の手袋を製造した。 【0014】実施例2自動手袋編み機に給糸する裏糸を、表糸と同じニット・デニット加工糸1本とする以外は、実施例1と同様にして、ポリ乳酸マルチフィラメント捲縮糸のみからなる本発明の手袋を製造した。 【0015】上記の実施例で製造した手袋をクリーンルーム内の作業で着用したところ、いずれの手袋も手にぴったりとフィットして、作業性が良好であった。特に実施例1の手袋は、肌触りと柔軟性がより優れていた結果、作業性もより優れていた。また、いずれの手袋も、手袋自体からの糸屑や埃の発生は認められなかった。また、使用後の手袋を、土壌菌を利用したコンポスト機内(設定温度58℃、設定湿度70%)に投入したところ、いずれも10日間で残存質量が5%未満となる程度に分解消滅していた。 【0016】比較例自動手袋編み機に給糸する表糸を実施例1で得られたニット・デニット加工糸1本とし、裏糸をナイロンマルチフィラメント仮撚加工糸2本とする以外は、実施例1と同様にして、ポリ乳酸マルチフィラメント捲縮糸を35質量%含む比較用の手袋を製造した。この比較用の手袋は、手にぴったりとフィットして、作業性が良好であり、手袋自体からの糸屑や埃の発生も認められなかったが、編地の斜行変形による形状の変化が若干見られた。また、実施例の手袋の場合と同条件でコンポスト機内に投入したところ、10日経過した時点でも、ナイロンマルチフィラメントの部分が全く分解せずに残存していた。 【0017】 【発明の効果】本発明の手袋は、手にぴったりとフィットして、しかも柔軟であるため、作業性が非常に良好である。また、手袋自体から糸屑や埃が発生することがないので、クリーンルーム内の作業用に好適である。さらに、使用後に廃棄する際には、土中やコンポスト機中で短期間に無害な物質に分解され、あるいは焼却処理を行う場合でも、発熱量が小さく、有害ガスをほとんど発生しないので、環境への負荷を極めて小さくすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】399065497 【氏名又は名称】ユニチカファイバー株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年12月26日(2000.12.26) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−201514(P2002−201514A) |
| 【公開日】 |
平成14年7月19日(2002.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−395325(P2000−395325) |
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