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【発明の名称】 要介護者用衣服
【発明者】 【氏名】今井 英輝

【要約】 【課題】要介護者の体重を安定した状態で支承し、臀部等の生地の破損を防止すると共に、車椅子等のフレームに衣服の一部が引っ掛かる事故を一掃し、更には臀部の滑り落ちを体裁良く、要介護者に不快感を与えることなく防止する。

【解決手段】ズボン状に形成すると共に、股上の箇所1に、補強用の帯片2を腰部3の前側の左右位置から股4を介して着用者5の臀部5aを内包する状態に外側に湾曲させて腰部3の後側の左右位置にわたって設ける。腰部3の後側の左右位置に、介護者7が手指を差し入れて腰部3を掴むための手指差し入れ口8を切れ目状に形成する。又腰部3の後側にベルト通し9を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ズボン状に形成されると共に、股上の箇所に、補強用の帯片が腰部の前側の左右位置から股を介して着用者の臀部を内包する状態に外側に湾曲されて腰部の後側の左右位置にわたって設けられ、腰部の後側の左右位置に、介護者が手指を差し入れて腰部を掴むための手指差し入れ口が切れ目状に形成され、又腰部の後側にベルト通しが設けられたことを特徴とする要介護者用衣服。
【請求項2】 請求項1記載の要介護者用衣服であって、ズボン状に形成されるのに代え、上下続きの作業着状に形成されたことを特徴とする要介護者用衣服。
【請求項3】 請求項1又は2記載の要介護者用衣服であって、補強用の帯片が、股上の箇所の内面に縫い付けられて設けられたことを特徴とする要介護者用衣服。
【請求項4】 請求項3記載の要介護者用衣服であって、ベルト通しが、腰部の後側の左右位置に、且つ補強用の帯片が外側に折返されて設けられたことを特徴とする要介護者用衣服。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、要介護者用衣服に関し、更に詳しくは例えば車椅子等からの立ち上がりや移乗動作等の介護時に使用する要介護者用衣服に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来この種の衣服としては、例えば肩や脇の下、或いは腰回り等に、ループ状の把手を取り付けたものがある(例えば特許第3043677号公報参照)。
【0003】又従来、この種の専用の衣服を用いない場合は、要介護者の腰に例えば帯紐を結び付け、介護者がその一部を把持して介護したり、或いは要介護者の着衣を直接把持して介護するのが通例であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところでこの種の衣服は、要介護者を腰掛けや車椅子等から立ち上がらせるとき、介護者が衣服の腰の箇所を持って引き起こすと、要介護者は自分で体重を支えることができないため、衣服の臀部に要介護者の体重がかかってこの箇所の生地が傷み易くなる。従ってこの種の衣服は、要介護者の体重を確実に、且つ安定した状態で支えることができるよう形成されているのが望ましい。
【0005】又この種の衣服は、要介護者を車椅子等から立ち上がらせたり移乗させるとき、把手等が車椅子のフレーム等に引っ掛かることなく、円滑に介護できるよう形成されているのが望ましい。
【0006】しかるに従来品は、上記の通り、肩や脇の下等に介護用の把手が設けられているのみであったから、従来品によると、体重を十分に支え切れず、強度が不足して生地が破れ、介護時に危険を伴う惧れがあった。又従来品は、介護用の把手がループ状であったから、従来品を使用すると、介護時に車椅子のフレーム等に把手が引っ掛かり易く、介護に支障を来し易い、という問題点があった。
【0007】而して老人や身障者等の要介護者は、通常、自分で座り姿勢を直す力がないため、車椅子等の座面から臀部が前方に位置ずれし易いものである。そのため従来は、紐やベルト等を、要介護者の腰に回して車椅子等に縛り付けることが行なわれていた。
【0008】従って従来は、要介護者に精神的な苦痛を与え、体裁が悪く、要介護者の手によって紐やベルトが外されてしまう場合があったから、この種の衣服は車椅子等の座面から要介護者がずれ落ちることを、体裁良く、且つ要介護者に不快感等を与えることなく防止できるよう形成されているのが望ましい。
【0009】又従来、腰紐や着衣を把持して介護する場合は、要介護者の体重を十分に支えきれない場合が多かった。従って腰紐等による場合は、介護時に転倒等の危険を伴っただけではなく、介護者に与える肉体的負担が大きかったものである。
【0010】本発明は、このような従来の実情に鑑み、提案されたものである。
【0011】従って本発明の技術的課題は、要介護者の体重を安定した状態で支承し、臀部等の生地の破損を防止でき、又車椅子等のフレームに衣服の一部が引っ掛かることを一掃でき、更には臀部の滑り落ち事故を体裁良く、要介護者に不快感を与えることなく防止できるよう形成した要介護者用衣服を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を解決するために、次のような技術的手段を採る。
【0013】即ち本発明は、図1に示されるように、ズボン状に形成されると共に、股上の箇所1に、補強用の帯片2が腰部3の前側の左右位置から股4を介して着用者5の臀部5aを内包する状態に外側に湾曲されて腰部3の後側の左右位置にわたって設けられ、腰部3の後側の左右位置に、介護者7が手指を差し入れて腰部3を掴むための手指差し入れ口8が切れ目状に形成され、又腰部3の後側にベルト通し9が設けられたことを特徴とする(請求項1)。
【0014】ここで、着用者5の臀部5aを内包する状態に外側に湾曲されて、とは、帯片2が着用者5の体重を安定した状態で確実に支承するよう設けられている、ということを意味し、具体的には股上の箇所1の後丈(後側中央の縦ライン)を介して外側に凸湾曲状に形成されることで達成される。この場合、帯片2の湾曲状態は、衣服のサイズによって適宜選定される。又帯片2の幅や材質は、任意である。
【0015】又本発明は、ズボン状に形成されるのに代え、図10に示されるように、上下続きの作業着状に形成されるのでも良い(請求項2)。
【0016】この場合は、上下続きであるため、ズボン状に形成される場合に比べ、着用者5が勝手に脱ぎ捨てることを防止できる。
【0017】又本発明は、補強用の帯片2が、股上の箇所1の内面に縫い付けられて設けられるのが好ましい(請求項3)。
【0018】なぜならこの場合は、帯片2の露出を防止できるため体裁が良くなり、そのまま外出着として使用することができるからである。又この場合は、帯片2の取り付けが縫製加工のため、衣服の製造工程において帯片2の取り付けを効率良くできることからである。
【0019】更に本発明は、ベルト通し9が、腰部3の後側の左右位置に、且つ補強用の帯片2が外側に折返されて設けられるのが好ましい(請求項4)。
【0020】なぜならこの場合は、ベルト通し9が左右位置に設けられているため、車椅子11(図6等参照)の座面から前方に位置ずれすることを確実に防止でき、又ベルト通し9が帯片2を利用して帯片2と連続状に形成されているため、ベルト通し9の強度を増大できるからである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に従って説明する。
【0022】本発明品は、図1等に示されるように、ズボン状に形成され、股上の箇所1に、補強用の帯片2が腰部3の前側の左右位置から股4を介して着用者5の臀部5aを内包する状態に外側に湾曲されて腰部3の後側の左右位置にわたって設けられている。6は、腰部3に通されたゴム紐である。
【0023】本発明の衣服自体と補強用の帯片2は、この実施形態ではデニムで形成されている。又補強用の帯片2は、この実施形態では股上の箇所1の前側は左右に一本づつ縫い付けられ、後側は強度を高め、且つ着用者5の臀部5aを幅広く確実に支承できるよう、左右位置に二本づつ平行状に縫い付けられている。又帯片2は、この実施形態では股上の箇所1の内面に縫い付けられている。
【0024】又本発明品は、腰部3の後側の左右位置に、介護者7(図7等参照)が手指を差し入れて腰部3を掴むための手指差し入れ口8が切れ目状に形成されている。
【0025】9は、腰部3の後側に設けられたベルト通しである。このベルト通し9は、この実施形態では腰部3の後側の左右位置に、且つ上記の帯片2が外側に折返されて設けられている。10(図5等参照)は、このベルト通し9に通されたベルトである。着用者5としての要介護者を、車椅子11(図6等参照)に腰掛けさせるときは、座部11aの前方に位置ずれすることを防止するため、このベルト10の両端を後側に返してバックル10a(図5参照)で連結し、車椅子11に固定する。
【0026】次に本発明の使用例を説明する。
【0027】着用者5としての要介護者が、車椅子11を利用する場合(図6参照)は、前方への位置ずれを防止するため、先ず介護者7はベルト10をベルト通し9に通し、バックル10aを連結して車椅子11のフレームに要介護者を固定する。この場合ベルト10は、要介護者の身体の後側に配置されるため、前方から目に触れることがない。
【0028】次にこの状態から要介護者を立たせる場合は、先ずベルト10のバックル10aの連結状態を解き、次に介護者7は、図7、図8に示されるように、要介護者の前側から、手指を手指差し入れ口8に差し入れて腰部3を掴み、手前に抱きかかえるようにして引き起こす。この場合本発明品は、手指差し入れ口8が切れ目状であるから、車椅子11等のフレームに引っ掛かることなく引き起こすことができる。なお本発明品の場合、手指差し入れ口8は、図9に示されるように、着用者5としての要介護者の歩行動作を介助するときにも、腰部3を掴むために使用する。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、股上の箇所に、臀部を包み込むように補強用の帯片を設けたものである。従ってこれによれば、要介護者を車椅子等から引き起こす際、臀部に力を効率良く加えることができ、要介護者を安定した状態で引き起こすことができる。又この場合は、要介護者の体重が最もかかる股上の箇所を補強できるから、生地の破損を防止できる。
【0030】又本発明の場合は、手指差し入れ口が切れ目状に形成されているから、要介護者を車椅子等から立たせるとき、腰部を掴み易くなり、安定した状態で、且つ楽に介助できる。又手指差し入れ口が、切れ目状であるから、車椅子等のフレームに把手を引っ掛けることなく円滑に介助できる。
【0031】更に本発明の場合は、腰部の後側に設けたベルト通しにより、要介護者を車椅子等のフレームに、ベルトが目に付かない状態で抑制(縛り付け)できるから、これによれば臀部の位置ずれや転倒等の事故を、体裁良く且つ確実に防止できる。
【出願人】 【識別番号】500472383
【氏名又は名称】今井 英輝
【出願日】 平成12年10月10日(2000.10.10)
【代理人】 【識別番号】100084571
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 玄陽
【公開番号】 特開2002−115108(P2002−115108A)
【公開日】 平成14年4月19日(2002.4.19)
【出願番号】 特願2000−309945(P2000−309945)