| 【発明の名称】 |
上半身用衣服 |
| 【発明者】 |
【氏名】菅原 正隆
【氏名】浅井 初美
|
| 【要約】 |
【課題】身体の自由のきかない老人等の肌に対して、かぶれ等の異常を引き起こすおそれがなく、しかも、老人等が、両手を上方に上げる動作をせずに、着衣及び脱衣を容易に行なうことのできる上半身用衣服を提供する。
【解決手段】上半身用衣服11は、所定の輪郭を有するとともに略中央に首用の開口部6を設けた、縫い目のない1枚の布地1に対して、袖の下側の部分9,9’、及び、袖の下側の部分9,9’から連続的に形成された前身頃と後身頃の境界部分8,8’を縫い合わせてなる。首用の開口部6は、使用者が、首用の開口部6を身体(胴体)に沿って上下方向に移動させて着衣または脱衣することのできる程度に、高い伸縮性を有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定の輪郭を有するとともに略中央に首用の開口部を設けた、縫い目のない1枚の布地に対して、袖の下側の部分、及び、該袖の下側の部分から連続的に形成された前身頃と後身頃の境界部分を縫い合わせてなることを特徴とする上半身用衣服。 【請求項2】 使用者が、上記首用の開口部を身体に沿って上下方向に移動させて着衣または脱衣することのできる程度に、上記首用の開口部を形成する素材が、高い伸縮性を有する請求項1に記載の上半身用衣服。 【請求項3】 上記首用の開口部が、肩幅方向の開口寸法よりも大きな上下方向の開口寸法を有するように形成されている請求項1又は2に記載の上半身用衣服。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、上半身用衣服、特に、老人、長期療養者、身体障害者等に好適に用いられる上半身用衣服(下着、寝間着、シャツ等)に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、上半身用の下着は、前身頃の部分、後身頃の部分、右側の袖の部分、左側の袖の部分からなる4つの独立した部分を縫い合わせて製造している。しかし、老人等の肌の弱い者にとっては、肌が下着の縫い目と擦れることによって、肌の異常(かぶれや床擦れ等)が生じ易いという問題があった。 【0003】一方、身体の自由のきかない老人等にとって、前開きのない上半身用の衣服を使用するには、衣服の着脱の際に、両手を上方に上げる必要があり、肉体的負担を強いていた。そのため、従来、両手を上方に上げる等の動作をしなくても済む要介護者用の衣服が、いくつか提案されている。例えば、特開平8−158121号公報には、スライドファスナー等を付けた開放継目を設けて、衣服の着脱を容易にすることが提案されている。しかし、ファスナーやボタン等の付属物を付けて、前開き等を可能にした場合、肌がファスナー等の付属物に当たり、肌の異常(かぶれや床擦れ等)が生じ易くなるという問題がある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて、老人、長期療養者、身体障害者等の要介護者の肌に対して、かぶれ等の異常を引き起こすおそれがなく、しかも、これらの要介護者が、両手を上方に上げる動作をせずに、着衣及び脱衣を容易に行なうことのできる上半身用衣服を提供せんとする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、縫い目の部分を極力少なくすれば、肌が縫い目と擦れることによる悪影響を低減できること、及び、首用の開口部(襟ぐりで囲まれた部分)を形成する素材に高い伸縮性を付与すれば、首用の開口部を下方から上方に移動させて着衣したり、あるいは、上方から下方に移動させて脱衣できること等に想到し、本発明を完成した。 【0006】すなわち、本願請求項1に記載の上半身用衣服は、所定の輪郭(具体的には、前身頃の側の輪郭と、後身頃の側の輪郭とからなる。ここで、前身頃の側の輪郭は、開口部を形成することとなる裾部と、後身頃の側の部分と縫い合わされることとなる胴体部と、後身頃の側の部分と縫い合わされることとなる袖部と、開口部を形成することとなる袖口部とからなる。後身頃の側の輪郭は、例えば、前身頃の側の輪郭と対称に形成される。)を有するとともに略中央に首用の開口部(襟ぐりで囲まれた穴)を設けた、縫い目(継目)のない1枚の布地に対して、袖の下側の部分(使用者にとって、腋から手先に向かう部分)、及び、該袖の下側の部分から連続的に形成された前身頃と後身頃の境界部分(使用者にとって、左右の横腹に対応する部分)を縫い合わせてなることを特徴とする。このように構成すれば、身頃と袖の境界に位置する縫い目や、肩の部分の縫い目がなくなるので、使用者の肌に対する縫い目の悪影響が軽減される。 【0007】上記の上半身用衣服は、使用者(上半身用衣服の着用者)が、上記首用の開口部を身体に沿って上下方向に移動させて着衣または脱衣することのできる程度に、上記首用の開口部を形成する素材(例えば、ポリエステル、綿、混合化繊等)が高い伸縮性を有するのが好ましい(請求項2)。このように構成すれば、使用者(着用者)は、衣服の着脱の際に両手を上方に上げなくてもよいので、肉体的負担が軽減される。また、使用者(着用者)が寝たきり又は身体の自由のきかない要介護者(老人等)である場合、介護者は、要介護者に対して、手を動かす等の動作を強制することなく、要介護者の姿勢をそのまま保持したままで、衣服を着脱することができる。 【0008】上記の上半身用衣服は、上記首用の開口部が、肩幅方向の開口寸法よりも大きな上下方向の開口寸法を有するように形成されていることが好ましい(請求項3)。このように構成すれば、首用の開口部は、着用時に使用者の肩から外れることがなく、脱衣時には大きく拡張することが可能になる。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の一例を説明する。図1は、本発明の上半身用衣服を作製するための布地の一例を示す表面図、図2は、本発明の上半身用衣服の一例を示す正面図、図3は、使用者が、本発明の上半身用衣服を上方に移動させている状態を示す図、図4は、使用者が、首用の開口部を拡張させている状態を示す図、図5は、使用者が、本発明の上半身用衣服を着用している状態を示す図である。 【0010】本発明の上半身用衣服を作製するには、図1に示すように、縫い目のない1枚の布地1を用いる。布地1は、前身頃の部分2と、後身頃の部分3と、左側の袖の部分4と、右側の袖の部分5とからなり、略中央には、首用の開口部6が設けられている。布地1の輪郭は、図1中の点線A−Aを境目として、上方の部分が、後身頃の側の輪郭であり、下方の部分が、前身頃の側の輪郭である。 【0011】前身頃の側の輪郭は、裾部7と、後身頃の側の胴体部8’,8’と縫い合わされる胴体部8,8と、後身頃の側の袖部9’,9’と縫い合わされる袖部9,9と、袖口部10,10とからなる。後身頃の側の輪郭は、前身頃の側の輪郭と対称に形成されており、裾部7’と、前身頃の側の胴体部8,8と縫い合わされる胴体部8’,8’と、前身頃の側の袖部9,9と縫い合わされる袖部9’,9’と、袖口部10’,10’とからなる。なお、首用の開口部6については、前身頃の側と後身頃の側とが対照にならなくてもよい。すなわち、前身頃の側の開口部分を大きくし、後身頃の側の開口部分を小さくしてもよい。 【0012】図1中、点線A−Aを折り目として、裾部7,7’を紙面の裏側の方向に向かって回転させて、前身頃の部分2と後身頃の部分3を重ね合わせ、更に、前身頃の側の胴体部8,8と後身頃の側の胴体部8’,8’、及び、前身頃の側の袖部9,9と後身頃の側の袖部9’,9’とを縫い合わせ、また、首用の開口部6と、裾部7,7’と、袖口部10,10,10’,10’の各々に対し、縁部を外側に折り返して縫えば、図2に示すような上半身用衣服11が完成する。 【0013】図2中、上半身用衣服11は、袖の下側の部分(前身頃の側の袖部9と後身頃の側の袖部9’とを縫い合わせた部分)、及び、袖の下側の部分から下方に連続的に形成された前身頃と後身頃の境界部分(前身頃の側の胴体部8と後身頃の側の胴体部8’とを縫い合わせた部分)のみに、布地の継ぎ合わせ箇所を有する。したがって、上半身用衣服11は、身頃と袖の境界部分のような従来の衣服に存在する継ぎ合わせ部分がなく、肌に対する刺激が少ない。更に、縫い代(縫い目を有する縫込みの部分)は、肌に当たらない外側に位置しているので、肌に対する刺激が軽微である。 【0014】図2中、上記首用の開口部6は、肩幅方向の開口寸法よりも大きな上下方向の開口寸法を有するように形成されている。特に、首用の開口部6の肩幅方向の開口寸法は、通常の丸首状の上半身用下着と同程度かあるいはそれよりも小さくなるように定めるのが好ましい。本発明の上半身用衣服は、伸縮性の大きな素材からなるため、肩幅方向の開口寸法が大き過ぎると、着用時に使用者の肩が衣服の外に露出してしまうおそれがある。 【0015】また、首用の開口部6の上下方向の開口寸法は、通常のU首状の上半身用下着と同程度かあるいはそれよりも大きくなるように定めるのが好ましい。上下方向の開口寸法を大きくすることによって、後述のように、首用の開口部6を拡張させ、本発明の衣服を着脱する動作を容易に行なえるようになる。 【0016】本発明の上半身用衣服は、少なくとも首用の開口部6を含む部分が、高い伸縮性を有する素材によって構成される。それによって、使用者は、首用の開口部6を大きく拡張させて、この拡張させた首用の開口部6を身体(肩、胴体等)に対して上下方向に移動させることができる。 【0017】素材としては、所望の高い伸縮性を有するものであればよいが、特には、通称スパンデックスと呼ばれるポリウレタン繊維を混合したものが好ましい。ポリウレタン繊維は、伸度450〜800%で、屈曲強度、引張強度が高く(0.6〜1.2g/d)、軽い(比重1.0〜1.3)という特性を有する。例えば、スパンデックス54%、ポリエステル40%、綿6%、又、スパンデックス10%、ポリエステル42%、綿48%という混合率を有するものを用いることができるが、スパンデックスは4%以上混合するのが好ましい。又、ナイロン、レイヨン、アセテート、アクリル、ウール等を混合してもよい。 【0018】次に、本発明の上半身用衣服の使用方法について説明する。着衣時について説明すると、使用者は、まず、図3に示すように、首用の開口部6を大きく外側に伸張して拡張させたまま、下方(足元)から上方に向かって上半身用衣服11を移動させ、一方の腕を袖に通しながら、更に上半身用衣服11を上方に移動させていく。そして、図4に示すように、袖の中に一方の腕を通し終わるとともに、肩の上に上半身用衣服11の肩部分を載置した状態とした後、他方の腕を袖に通しながら、首用の開口部6を上方に持ち上げていく。すると、図5に示すように、首用の開口部6は、拡張された状態から自然に元の状態に戻り、使用者の首の周囲に位置することとなる。 【0019】又、従来と同様に、上半身用衣服11の裾部7,7’を使用者が頭に被り、上半身用衣服11を下方(足元)に向かって移動させ、頭を首用の開口部6から出し、両腕を袖の部分4,5に通すことによって着衣することもできる。この場合にあっても、上半身用衣服11が高い伸縮性を有する素材からなるので、両腕をそれ程上方に挙げなくとも、容易に両腕を袖の部分4,5に通すことができる。 【0020】一方、脱衣時は着衣時と逆の動作を行なえばよく、本発明の上半身用衣服11によれば、上半身用衣服11を下方(足元)に向かって移動させ、足から脱衣することができるという特色を有する。 【0021】本発明の上半身用衣服は、図1〜図5に示すような長袖に限定されず、半袖であってもよい。また、本発明の上半身用衣服は、下着や寝間着のような肌に直接接触する衣服に限定されず、Tシャツ、ポロシャツ、セーター等の上着にも適用することができる。 【0022】 【発明の効果】本発明の上半身用衣服は、縫い目の箇所が少なく、しかも縫い目が、肌に直接接触しない外側に位置するため、老人等の使用者の肌に対して、かぶれや床擦れ等を生じさせるおそれがなく、また、使用者が両手を上方に上げずに着衣や脱衣が可能なため、使用者に対して肉体的負担を与えない。したがって、本発明の上半身用衣服は、身体の自由のきかない老人等が極めて好適に用い得るものである。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】500152267 【氏名又は名称】丸八株式会社 【識別番号】500422551 【氏名又は名称】フクイテキスタル株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年9月8日(2000.9.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100103399 【弁理士】 【氏名又は名称】橋本 清
|
| 【公開番号】 |
特開2002−88526(P2002−88526A) |
| 【公開日】 |
平成14年3月27日(2002.3.27) |
| 【出願番号】 |
特願2000−274211(P2000−274211) |
|