| 【発明の名称】 |
シャツの衿地 |
| 【発明者】 |
【氏名】青木 賢司
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| 【要約】 |
【課題】容易、確実に折り目を生じさせることができ、効率の良い編み工程で製造することが可能なシャツの衿地を提供するとともに、衿部の内側にネクタイを確実に収めることができ、上着を着た場合、衿部が上着の中に入り込んでしまうことはないニット製シャツを提供すること。
【解決手段】衿地の折り目線13におけるバック編み目5を綿糸7よりも細い折り目線用ポリエステル糸2を用いて編む。これによって、折り衿部11は裏側に向けて折れやすくなる。また、折り目線13の編み組織は、折り衿部11及び台衿部12の編み組織と同じであるため、効率の良い編み工程で製造することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】衿部、基部、及び当該衿部と当該基部とを接続する折り返し部、から構成されるシャツの衿地であって、衿部を構成するために第1糸が用いられており、基部を構成するために第2糸が用いられており、折り返し部は、第1糸及び第2糸よりも細い第3糸を備えて構成されている、ことを特徴とするシャツの衿地。 【請求項2】請求項1のシャツの衿地において、折り返し部の糸の編み目の組織は、衿部及び基部の糸の編み目の組織と同じである、ことを特徴とするシャツの衿地。 【請求項3】請求項1又は請求項2のシャツの衿地において、シャツの衿地は前側組織及び後側組織を接合させて構成されており、折り返し部の第3糸は、折り返し側となる後側組織のみに配置されており、第3糸は伸縮性を有している、ことを特徴とするシャツの衿地。 【請求項4】請求項1、請求項2又は請求項3のシャツの衿地を備えたニット製シャツであって、基部は身ごろ部に接続されており、基部によって衿部は身ごろ部から起立している、ことを特徴とするニット製シャツ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、シャツの衿地に関し、特に容易、確実に衿の折り目を生じさせることができるシャツの衿地に関する。 【0002】 【従来の技術】(1)第1の従来技術シャツの衿地の第1の従来技術として、特開平11-269710号公報に開示されているものを掲げる。この第1の従来技術における衿地100を図5A、Bに示す。図5Aに示すように、衿地100の中間部分には、衿を折り易くするための折り目線104が施されている。この折り目線104は、該当部分の編み目の組織を変化させて形成されている。 【0003】すなわち、図5Bに示すように、編み糸101と編み糸103との間の列の編み糸102を編む際に、編み針が所定の区間だけ編み糸102を受けずに、編み糸101の編み目を保ったまま新たな編み目を作らないで編み込む(浮き編み)。これによって、その所定区間の編み糸102は編み地の裏側には現れず、表側に浮いて現れる。こうして、衿地100は折り目線104を境にして裏面側に折れやすくなる。 【0004】(2)第2の従来技術次に、シャツの衿地の第2の従来技術として図6、図7に示すものを掲げる。図7Eは、ポロシャツの衿地200を示している。台部202はシャツの身ごろ部に縫いつけられ、折り衿部201が直接的に身ごろ部に接続される。 【0005】このシャツの衿地200も、上記第1の従来技術と同様、衿部201を折れ易くするために折り目線203の編み目の組織を変化させている。図6は、折り目線203近傍の編み目の組織を表す分解拡大図である。 【0006】ポロシャツ等の衿地は、フロント編み目204とバック編み目205との重ね編みによって形成されている。図7A、B、Cは、フロント側針208とバック側針209による編み工程を模式的に表している。 【0007】まず、図7Aに示す1コース目でフロント側針208、バック側針209の全針でポリエステル糸206を用いてタック編みを行い、図6に示すフロント編み目204とバック編み目205とをつなぐ編み組織を形成する。次に、図7Bに示す2コース目では、バック側針209を休止させ、フロント側針208のみで綿糸207を用いてニット編みを行い、フロント編み目204を形成する。そして、図7Cの3コース目でフロント側針208を休止させ、バック側針209のみで綿糸207を用いてニット編みを行い、バック編み目205を形成する。 【0008】この1コース目から3コース目までを繰り返し、折り衿部201を編む。なお、図6においてポリエステル糸206は1列のみが図示されているが、折り衿部201の全ての列でポリエステル糸206は編み込まれ、フロント編み目204とバック編み目205とを全体に渡って接合させる。 【0009】折り衿部201を形成した後、 折り目線203の部分では編み組織を変化させる。すなわち、図7Dに示すように、フロント側針208、バック側針209の全針で綿糸207を用いてニット編み(ゴム編み)を行い、フロント編み目204とバック編み目205とを同時に編み上げる。 【0010】なお、図6では、折り目線203の範囲において、フロント編み目204とバック編み目205との間の綿糸207は1列のみが図示されているが、折り目線203の全ての列にフロント編み目204とバック編み目205との間の綿糸207は位置する。 【0011】折り目線203が編まれた後、台部202の部分では、折り衿部201と同様の編み組織(図7A、B、C)が施される。以上のように折り目線203部分の編み組織が変化していることによって、衿地200は折り目線203を境にして折れやすくなる。 【0012】(3)第3の従来技術第3の従来技術として実公平3-39450号公報に開示されているものを掲げる。この第3の従来技術における衿地を図8に示す。この第3の従来技術はポロシャツの衿全体を裏方向に凹に湾曲させ、衿が外方向にはね上がることを防止して、すっきりした上品な外観を得ることを目的としている。 【0013】このため、図8Aの第1コース目で、フロント側針308、バック側針309の全針でニット編み(ゴム編み)を行い、図8Bの第2コース目で、フロント側針308を休止させ、バック側針309のみでニット編みを行う。 【0014】(4)第4の従来技術第4の従来技術として実公平4-17530号公報に開示されているものを掲げる。この第4の従来技術における衿地を図9に示す。この第4の従来技術も上記第3の従来技術と同様、ポロシャツの衿全体を裏方向に凹に湾曲させ、衿が外方向にはね上がることを防止して、すっきりした上品な外観を得ることを目的としている。 【0015】そして第4の従来技術においては、図9Aの第1コース目で、フロント側針408、バック側針409の全針でニット編み(ゴム編み)を行い、図9Bの第2コース目で、フロント側針408でニット編みを行い、バック側針409でタック編みを行う。 【0016】 【発明が解決しようとする課題】上記各従来技術には次のような問題があった。まず、第1の従来技術では、編み組織を変化させている折り目線104を形成しているが、編み組織の変化では確実に衿を折り易くすることはできない。 【0017】すなわち、編み組織の変化の内容や折り目線104以外の編み目との関係で、折れ易さの度合いも異なる。このため、容易かつ確実に衿を折り易くすることが難しいという問題があった。 【0018】また、第1の従来技術では、折り目線104部分の編み組織を変化させるため、衿地の編み工程において、折り目線104に該当する部分について異なる編み処理を施す必要がある。このため、編み工程における作業効率が低下してしまうという問題もある。 【0019】次に、第2の従来技術についても、折り目線203の編み目の組織を変化させているため、上記第1の従来技術と同様の問題が生じる。すなわち、容易かつ確実に衿を折り易くすることが難しく、また、折り目線203に該当する部分について異なる編み処理を施すため、編み工程における作業効率が低下してしまう。 【0020】第3の従来技術及び第4の従来技術は、衿全体を内側に湾曲させるための技術であり、衿を折り目線に沿って折り易くするための技術ではない。しかし、衿を内側に湾曲させるための編み工程(図8、図9)を折り目線にのみ適用して、衿を折り易くすることも考えられる。 【0021】ところが、第3の従来技術及び第4の従来技術を折り目線にのみ適用した場合、折り目線部分についてのみ異なる編み処理を施すことになる。このため、上記第1の従来技術と同様、容易かつ確実に衿を折り易くすることが難しく、また、編み工程における作業効率が低下してしまうという問題が生じる。 【0022】なお、ポロシャツなどのニット製シャツは、図10に示すように、身ごろ地501に直接、折り衿部502が接続されている。このため、たとえばポロシャツにネクタイを着用する場合、折り衿部502の内側にネクタイを確実に収めることができない。また、折り衿部502が身ごろ地501に直接、接続されているため、上着を着た場合、折り衿部502が上着の中に入り込んでしまう。 【0023】そこで本発明は、容易、確実に折り目を生じさせることができ、効率の良い編み工程で製造することが可能なシャツの衿地を提供するとともに、折り衿部の内側にネクタイを確実に収めることができ、上着を着た場合、折り衿部が上着の中に入り込んでしまうことはないニット製シャツを提供することを目的とする。 【0024】 【課題を解決するための手段及び発明の効果】(1)請求項1に係るシャツの衿地においては、衿部を構成するために第1糸が用いられており、基部を構成するために第2糸が用いられている。そして、折り返し部は、第1糸及び第2糸よりも細い第3糸を備えて構成されている。 【0025】このように、折り返し部が細い第3糸を備えて構成されているため、折り返し部において容易、確実に衿の折り目を生じさせることができる。また、洗濯等を繰り返しても、折り目が損なわれることなく、長期に渡って衿の折り目を保つことができる。 【0026】(2)請求項2に係るシャツの衿地においては、折り返し部の糸の編み目の組織は、衿部及び基部の糸の編み目の組織と同じである。 【0027】したがって、衿地の編み工程において、折り返し部にのみ異なる編み処理を行う必要がなく、糸の種類を第3糸に換えるだけでよい。このため、効率の良い編み工程で製造できるシャツの衿地を提供することができる。 【0028】(3)請求項3に係るシャツの衿地においては、シャツの衿地は前側組織及び後側組織を接合させて構成されており、折り返し部の第3糸は、折り返し側となる後側組織のみに配置されている。そして、第3糸は伸縮性を有している。 【0029】したがって、第3糸によって編まれた部分には縮みが発生し、衿部は自然に折り返し側に倒され、さらに容易、確実に衿の折り目を生じさせることができる。 【0030】(4)請求項4に係るニット製シャツにおいては、基部は身ごろ部に接続されており、基部によって衿部は身ごろ部から起立している。 【0031】このため、衿部が起立したニット製シャツを提供することができ、たとえばネクタイを着用した場合、起立した衿部の内側にネクタイを確実に収めることができる。また、衿部が起立しているため、上着を着た場合、衿部が上着の中に入り込んでしまうことはない。さらに、上述のように、衿の折り返し部には容易、確実に折り目が生じるため、ネクタイを衿部の内側に確実に収めることができ、また衿部が上着の中に入り込むことを確実に回避することができる。 【0032】(5)用語の説明特許請求の範囲に記載されている各用語を説明し、各用語と実施形態における各部との対応を示す。なお、実施形態における各部は例示であり、これによって特許請求の範囲に記載されている各用語の概念、範囲が限定されるものではない。 【0033】「衿部」とは、衿地の一部分であって、シャツの首を覆う箇所から外側に突出している部分を意味しており、実施形態における折り衿部11がこれに対応する。 【0034】「基部」とは、衿部と連続的に構成されている衿地の一部分であって、折り返し部を境に衿部と対向して位置する部分を意味しており、実施形態における台衿部12がこれに対応する。 【0035】「折り返し部」とは、衿部と基部との境界部分を意味しており、実施形態における折り目線13がこれに対応する。なお、実施形態における折り返し部は、図3に示すように衿地10の横方向における左右対称に湾曲して形成されているが、直線状に折り返し部を形成することもできる。 【0036】「第1糸」とは、衿部を構成する少なくとも一要素として採用されている糸を意味しており、実施形態における折り衿部11に相当する部分のフロント編み目4及びバック編み目5の綿糸7がこれに対応する。これらの糸は衿部を構成する主要な糸(衿部主要構成糸)である。 【0037】また、実施形態では綿糸が例示されているが、他種の糸、たとえばアクリル糸、ポリエステル糸、ナイロン糸、絹糸、混紡糸などを用いることもできる。さらに、第1糸として短繊維(多数の微少な繊維を連続させて構成した繊維)を対応させることもできる。実施形態では短繊維の綿糸が用いられているが、これ以外にたとえば、アクリル短繊維糸、ポリエステル短繊維糸、ナイロン短繊維糸、絹短繊維糸、綿とアクリルとの混紡の短繊維糸などがある。 【0038】「第2糸」とは、基部を構成する少なくとも一要素として採用されている糸を意味しており、実施形態における台衿部12がこれに対応する。これらの糸は基部を構成する主要な糸(基部主要構成糸)である。 【0039】また、実施形態では綿糸が例示されているが、他種の糸、たとえばアクリル糸、ポリエステル糸、ナイロン糸、絹糸、混紡糸などを用いることもできる。さらに、第2糸として短繊維(多数の微少な繊維を連続させて構成した繊維)を対応させることもできる。実施形態では短繊維の綿糸が用いられているが、これ以外にたとえば、アクリル短繊維糸、ポリエステル短繊維糸、ナイロン短繊維糸、絹短繊維糸、綿とアクリルとの混紡の短繊維糸などがある。短繊維は長繊維に比べて吸湿性等に優れており、基部に用いるのに有用である。 【0040】「第3糸」とは、折り返し部を構成する少なくとも一要素として作用されている糸を意味しており、実施形態における折り目用ポリエステル糸2がこれに対応する。また、実施形態ではポリエステル糸が例示されているが、他種の糸、たとえばアクリル糸、ナイロン糸、絹糸、混紡糸、綿糸などを用いることもできる。 【0041】さらに、第3糸として長繊維(全長に渡って均一な性質の繊維)を対応させることもできる。実施形態では長繊維のポリエステル糸が用いられているが、これ以外にたとえば、ナイロン長繊維糸などがある。長繊維糸は、短繊維糸に比べて強度性に優れているため、伸縮性を持たせるのに適しており、折り返し部に用いて衿部を折れやすくするのに有用である。 【0042】また、第3糸としてFTY糸(弾性繊維に長繊維糸を巻き付けて構成した糸)や、CSY糸(弾性繊維に綿糸等の短繊維糸を巻き付けて構成した糸)を対応させることもできる。 【0043】「前側組織」とは、衿地の一方側の編み組織を意味しており、実施形態におけるフロント編み目4がこれに対応する。 【0044】「後側組織」とは、衿地の他方側の編み組織を意味しており、実施形態におけるバック編み目5がこれに対応する。 【0045】「身ごろ部」とは、シャツの胴の部分を意味しており、実施形態における身ごろ地15がこれに対応する。 【0046】「ニット製シャツ」とは、ニット編みによって製造されたシャツを意味しており、伸縮性を有するシャツを含む概念である。実施形態において図4に示されるポロシャツがこれに対応する。 【0047】 【発明の実施の形態】本発明に係るシャツの衿地及びニット製シャツの実施形態を図面に基づいて説明する。 【0048】(1)本実施形態で参照する図面の説明図1は本実施形態を示す衿地10の折り目線13近傍の編み組織を表す分解拡大図である。また、図2は図1に示す衿地10の編み工程を示す模式図であり、図2Aは折り衿部11及び台衿部12の編み工程の1コース目を表す模式図、図2Bは2コース目を表す模式図、図2Cは3コース目を表す模式図であり、図2Dは折り目線13の編み工程の1コース目を表す模式図、図2Eは2コース目を表す模式図、図2Fは3コース目を表す模式図である。 【0049】さらに、図3は衿地10の全体を示す図であり、図4は図1ないし図3に示す衿地10を用いて製造されたポロシャツを示す正面図である。 【0050】(2)衿地10全体の説明衿地10は編み工程において長尺状に編み上げられ、個々に分断されて図3に示すような形状に構成される。本実施形態の衿地10には湾曲した折り目線13が形成され、この折り目線13にほぼ平行な切断線14に沿って切断される。そして、切断端部がシャツの身ごろに取り付けられる。 【0051】折り目線13が湾曲して形成されていることによって、折り衿部11の背部中央の長さL1よりも衿先の長さL2を長く確保することができる。なお、折り目線13を湾曲させて形成するのではなく、直線状に形成した衿地に本発明を適用することもできる。 【0052】(3)衿地10の編み組織の説明本実施形態における衿地10は、図1に示すようにフロント編み目4とバック編み目5重ね編みによって構成されている。図1ではフロント編み目4とバック編み目5とが分解されて図示されているが、両者はポリエステル糸6によって密着して(接合して)一体的に編み上げられる。なお、衿地10は、バック編み目5の側が衿の裏側となるようにシャツの身ごろ地に接続される。 【0053】また、図1においては一部のポリエステル糸6のみが図示されているが、ポリエステル糸6は、衿地10(折り衿部11、折り目線13及び台衿部12)の全列で編み込まれ、フロント編み目4とバック編み目5とを全体に渡って密着させるフロント編み目4は綿糸7によって構成されており、この綿糸7は本実施形態では30番手の綿糸を4本を引き揃えて形成されている。本実施形態において、この綿糸7は短繊維(多数の微少な繊維を連続させて構成した繊維)の綿糸である。 【0054】また、フロント編み目4とバック編み目5とを密着させるポリエステル糸6は、本実施形態では75デニールのポリエステル糸1本によって構成されている。本実施形態において、このポリエステル糸6は長繊維(全長に渡って均一な性質の繊維)のポリエステル糸である。 【0055】バック編み目5の折り衿部11、台衿部12に相当する部分は、フロント編み目4と同様に、綿糸7によって構成されており、この綿糸7も30番手の綿糸を4本を引き揃えて形成されている。本実施形態において、この綿糸7は短繊維(多数の微少な繊維を連続させて構成した繊維)の綿糸である。 【0056】そして、バック編み目5における折り目線13に相当する部分については、折り目線用ポリエステル糸2が用いられている。この折り目線用ポリエステル糸2は、75デニールのポリエステル糸を2本引き揃えて形成されており、これらは微細なバネ状にねじられている。このため、折り目線用ポリエステル糸2は伸縮性を有している。本実施形態において、この折り目線用ポリエステル糸2は長繊維(全長に渡って均一な性質の繊維)のポリエステル糸である。 【0057】なお、折り衿部11が本実施形態における衿部であり、台衿部12が本実施形態における基部であり、折り目線13が本実施形態における折り返し部である。また、フロント編み目4が本実施形態における前側組織であり、バック編み目が本実施形態における後側組織である。 【0058】さらに、折り衿部11に相当する部分におけるフロント編み目4及びバック編み目5の綿糸7が本実施形態における第1糸であり、台衿部12に相当する部分におけるフロント編み目4及びバック編み目5の綿糸7が本実施形態における第2糸である。また、折り目線用ポリエステル糸2が本実施形態における第3糸である。 【0059】上述のように、折り目線用ポリエステル糸2が綿糸7よりも細い糸として構成されているため、折り目線3には容易、確実に折り目が生じる。すなわち、台衿部12に対して、折り衿部11を折り目線3を境に容易かつ確実に裏側に折ることができる。 【0060】また、折り目線用ポリエステル糸2が綿糸7よりも細い糸として構成されているため、洗濯等を繰り返しても、折り目が損なわれることなく、長期に渡って折り目を保つことができる。 【0061】折り衿部11の折れ易さの要因の1つとして、折り目線用ポリエステル糸2と綿糸7との太さの比率が挙げられる。出願人は種々の実験を繰り返し、上述のように綿糸7として30番手の綿糸を4本、引き揃えた太さのもの、折り目線用ポリエステル糸2として75デニールのポリエステル糸を2本、引き揃えた太さのものを用いると折り衿部11が折れ易いという結果を得た。 【0062】また、多くの実験例から、折り衿部11の折れ易さを得るためには、上記の太さのものに限定されるものではなく、綿糸7の太さと折り目線用ポリエステル糸2の太さとが、約10対1の比率であれば良いことが判った。両糸の太さの関係が比率約10対2を超えて近づくと折れ易さが悪くなるため、両糸の太さの比率は約10対2の範囲内であることが望ましい。 【0063】さらに、本実施形態においては折り目線13に長繊維(全長に渡って均一な性質の繊維)の一種であるポリエステル糸を採用しているため、折り目線13が破れにくく耐久性に優れているという効果を得ることができる。 【0064】すなわち、短繊維(多数の微少な繊維を連続させて構成した繊維)の一種である綿糸は、本来微少な繊維の集合体であるため、洗濯等の繰り返しや、過度の引っ張り力が加わった場合、切断が生じるおそれがあり耐久性が低い。折り目線13は生地の折り返し部分であるため劣化が激しく、折り目線13を綿糸のみで構成している各従来技術(図6ないし図9)は耐久性が低いという問題がある。 【0065】出願人は折り目線13にポリエステル糸を用いた場合の耐久性を確認するために、財団法人日本紡績検査協会に発明の秘密性を保持することを確約させた上、物性試験(縫い合わせ部の強力に関する試験)の実施を依頼し、試験結果を得ている(2000年6月28日試験番号005569-01)。 【0066】実験は本実施形態に係る衿地10と、図6、図7に示す第2の従来技術に係る衿地200とを比較して実施された。この結果、第2の従来技術における折り目線203(実験においては、綿糸207として、本実施形態と同様、30番手の綿糸を4本、引き揃えた糸を用いた)の強力は434N(44.3kgf)という結果を得た。 【0067】これに対して、本実施形態における折り目線13の強力は525N(53.5kgf)であり、従来の折り目線に比べて強度は著しく高くなっている。実験においては、上記のように、綿糸7として30番手の綿糸を4本、引き揃えた糸を用い、折り目線用ポリエステル糸2として75デニールのポリエステル糸を2本、引き揃えた糸を用いた。 【0068】また、折り目線用ポリエステル糸2は上述のように伸縮性を有しているため、折り目線用ポリエステル糸2には自然に縮みが生じることになる。そして、この折り目線用ポリエステル糸2がバック編み目5の折り目線13にのみ用いられていることから、折り目線用ポリエステル糸2の縮みに起因して、折り衿部11は自然と裏側に引っ張られて倒され、容易かつ確実に折り目が発生する。 【0069】(4)衿地10の編み工程の説明次に、図2に基づいて衿地10の編み工程を説明する。図2Aないし図2Fは、フロント側針8とバック側針9による編み工程を模式的に表している。 【0070】まず、図2Aに示す1コース目でフロント側針8、バック側針9の全針でポリエステル糸6を用いてタック編みを行い、図1に示すフロント編み目4とバック編み目5とをつなぐ編み組織を形成する。 【0071】次に、図2Bに示す2コース目では、バック側針9を休止させ、フロント側針8のみで綿糸7を用いてニット編みを行い、フロント編み目4を形成する。そして、図2Cの3コース目でフロント側針8を休止させ、バック側針9のみで綿糸7を用いてニット編みを行い、バック編み目5を形成する。この1コース目から3コース目までを繰り返し、折り衿部11の各列を編み上げる。 【0072】こうして折り衿部11を形成した後、続いて折り目線13を形成する。まず、図2Dに示す1コース目でフロント側針8、バック側針9の全針でポリエステル糸6を用いてタック編みを行い、図1に示すフロント編み目4とバック編み目5とをつなぐ編み組織を形成する(図1では図示が省略されているが、折り目線13の範囲においてもポリエステル糸6は編み込まれる)。 【0073】次に、図2Eに示す2コース目では、バック側針9を休止させ、フロント側針8のみで綿糸7を用いてニット編みを行い、フロント編み目4を形成する。そして、図2Fの3コース目でフロント側針8を休止させ、バック側針9のみで本実施形態の特徴である折り目線用ポリエステル糸2を用いてニット編みを行い、バック編み目5を形成する。 【0074】この場合、各バック側針9の間で折り目線用ポリエステル糸2にやや張力が加わるようにして編み込み、上述のように折り目線13に縮みが生じるようにする。この1コース目から3コース目まで(図2D、E、F)を繰り返し、折り目線13の各列を編み上げる。 【0075】本実施形態では4列の編み目によって折り目線13を形成しているが、3列以下又は5列以上によって形成してもよい。折り目線13を形成した後、折り衿部11と同様の編み組織(図2A、B、C)が施され、台衿部12が形成される。 【0076】以上のように、折り目線13の糸の編み目の組織(図2D、E、F)は、折り衿部11及び台衿部12の糸の編み目の組織(図2A、B、C)と同じである。したがって、衿地10の編み工程において、折り目線13にのみ異なる編み処理を行う必要がなく、3コース目(図2F)で用いる糸の種類を折り目線用ポリエステル糸2に換えるだけでよい。このため、衿地10を効率の良い編み工程で製造できる。 【0077】また、従来のように折り目線に相当する部分について、編み組織を変化させるとすると、図3に示すような湾曲した折り目線13を形成するためには特殊な編み工程が必要となり容易に形成することができない。本実施形態では、折り目線13部分についても折り衿部11及び台衿部12部分と同じ編み組織を適用するため、湾曲した折り目線13を容易に形成することが可能である。 【0078】(5)衿地10を用いたポロシャツの説明次に、図4に基づいて衿地10を用いたポロシャツを説明する。上述したように、衿地10は図3に示す切断線14で切断される。そして、この切断端部がポロシャツの身ごろ地15に縫いつけられる。 【0079】このため、図4に示すように、台衿部12によって折り衿部11は身ごろ地15から起立した状態で取り付けられ、折り衿部11が起立したポロシャツを提供することができる。 【0080】これによって、たとえばポロシャツにネクタイを着用した場合、起立した折り衿部11の内側にネクタイを確実に収めることができる。また、折り衿部11が起立しているため、上着を着た場合、折り衿部11が上着の中に入り込んでしまうことはない。 【0081】さらに、上述のように、折り目線13には容易、確実に折り目が生じるため、ネクタイを折り衿部11の内側により確実に収めることができ、また、折り衿部11が上着の中に入り込むことをより確実に回避できる。 【0082】従来のポロシャツは身ごろ地に直接、折り衿部が接続されているため(図10参照)、たとえばポロシャツにネクタイを着用する場合、折り衿部の内側にネクタイを確実に収めることができない。また、折り衿部が身ごろ地に直接、接続されているため、上着を着た場合、折り衿部が上着の中に入り込んでしまう。 【0083】これに対して、本実施形態におけるポロシャツでは、起立した折り衿部11の内側にネクタイを確実に収めることができ、また折り衿部11が上着の中に入り込むことを回避できるため、ポロシャツの着こなしのバリエーションを広げることが可能となる。 【0084】(6)その他の実施形態本発明に係るシャツの衿地、ニット製シャツは、上記実施形態において例示したものに限定されない。たとえば、上記実施形態では、折り目線13におけるバック編み目5にのみ折り目線用ポリエステル糸2(第3糸)を用いたが、折り目線13におけるフロント編み目4、バック編み目5の双方に第3糸を用いてもよい。 【0085】また、上記実施形態では、第1糸及び第2糸として綿糸7を例示したが、綿糸7以外の糸、たとえばアクリル糸、ポリエステル糸、ナイロン糸、絹糸、混紡糸などを用いることもできる。 【0086】また、第1糸及び第2糸として短繊維の糸を用いることもできる。短繊維とは、多数の微少な繊維を連続させて構成した繊維である。短繊維の糸としては、たとえばアクリル短繊維糸、ポリエステル短繊維糸、ナイロン短繊維糸、絹短繊維糸、綿とアクリルとの混紡の短繊維糸などがある。 【0087】さらに、上記実施形態では第3糸として折り目線用ポリエステル糸2を例示したが、ポリエステル糸以外の糸、たとえばアクリル糸、ナイロン糸、絹糸、綿とアクリルとの混紡糸などを用いることもできる。また、FTY糸やCSY糸を用いることもできる。FTY糸とは弾性繊維に長繊維糸を巻き付けて構成した糸である。CSY糸とは弾性繊維に綿糸等の短繊維糸を巻き付けて構成した糸である。 【0088】また、第3糸として、長繊維の糸を用いることもできる。長繊維とは全長に渡って均一な性質の繊維であり、ポリエステル長繊維糸以外の長繊維の糸としては、たとえばナイロン長繊維糸などがある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】500410189 【氏名又は名称】株式会社賢青木
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| 【出願日】 |
平成12年9月1日(2000.9.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092956 【弁理士】 【氏名又は名称】古谷 栄男 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−69729(P2002−69729A) |
| 【公開日】 |
平成14年3月8日(2002.3.8) |
| 【出願番号】 |
特願2000−265183(P2000−265183) |
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