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【発明の名称】 車輌用着衣
【発明者】 【氏名】増田 光則

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくとも前身頃と後身頃を有し、後身頃側に、一端が前身頃または後身頃に固定され、中途において後身頃の腰部に設けられた腰ガイド部材を通過し、他端が腰部の下を廻って前身頃の腰部に着脱可能に固定する通しベルトが配置され、腰ガイド部材の上の後身頃と通しベルトとの間にシートベルトの通過余地が与えられていることを特徴とする車輌用着衣【請求項2】前記後身頃に、前身頃または後身頃の左右の脇部で固定された横ベルトが通しベルトに交差して設けられ、その交差部分に通しベルトを保持する交差ガイド部材が設けられていることを特徴とする請求項1の車輌用着衣【請求項3】前記後身頃に、通しベルトの外側に位置し、且つ通しベルト間より幅広のカバー部材が設けられていることを特徴とする請求項1の車輌用着衣【請求項4】前記通しベルトが、前身頃の腰部に設けられた変向ガイド部材によりその方向が前身頃の腰部の中央方向に変向され、双方の通しベルトの端部が一所で着脱可能に固定されていることを特徴とする請求項1の車輌用着衣【請求項5】前記腰ガイド部材が、紐体またはベルト体により後身頃の腰部と連結され、所定の範囲を自由に移動できることを特徴とする請求項1の車輌用着衣
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車輌に備えられてる忌めシートベルトと共に使用して、事故の衝撃から身体を保護する車輌用着衣に関するものである。
【0002】
【従来技術と問題点】現在、車輌に乗車する6歳以下の子供は、チャイルドシートや車輌用着衣等によって乗車中の安全が確保されている。それらの中では、安全性に優れ、且つ安価に購入することができる車輌用着衣がより多く使用されており、その車輌用着衣も、着衣の後身頃に背ベルトや重ね身頃を設けて、後身頃と背ベルトまたは重ね身頃の間に車輌に備えるシートベルトを挿通させて着衣と共に着用者をホールドするタイプの車輌用着衣が多く用いられ、それらには、着衣の前身頃と後身頃の腰部下方の間に、着用者の股部を通る股ベルトを設けて、着用者が、着衣から脱出できないようにホールド性を向上させている。
【0003】この股ベルトが設けられている車輌用着衣は、前身頃と背ベルトまたは重ね身頃が設けられた後身頃とからなるベストまたはチョッキの形態を有しており、その着衣の前身頃と後身頃の腰部下方の間に股ベルトが設けられ、その股ベルトの一端が着衣の腰部を周回する腰ベルトの前身頃側に着脱可能に固定され、他端がその腰ベルトの後身頃側に固定されている。そして、着用者の前方飛び出しが、この股ベルトが設けられた車輌用着衣により阻止される時、衝突により前方に飛び出した着用者の上半身は着衣の前身頃で保持され、下半身すなわち脚部は股ベルトによって保持される。
【0004】その上半身の飛び出しを支える部分は、シートベルトにより支持される着衣の背ベルトであり、すなわちその支点となる部位は、背ベルトを固定している後身頃の肩部と腰部である。また、下半身の飛び出しを支える部分は、股ベルトを固定している後身頃の腰部である。しかし、着用者の前方飛び出しが阻止される時、着衣に多少の遊びがある上半身の部分は、飛び出しを止める力が瞬時に肩部と腰部にかかることはないが、下半身の部分は、脚部と股ベルトとの遊びが殆どない状態であるため、飛び出しを止める力が即座に脚部にかかってしまうのであった。乳幼児の大腿部はまだ弱く、このショックによっては将来大腿部障害を発生させる危険をはらむものである。
【0005】さらに、着衣の後身頃の腰部には背ベルトの固定部分と股ベルトの固定部分の2箇所があることから、その腰部の支点にかかる力は相当なものであって、その力によって背ベルトまた股ベルトの縫製部分に捩れ等が生じ、その縫製部分さらには後身頃の布地にほつれや破れが発生することもあった。また、このことから背ベルトの固定部分と股ベルトの固定部分とを同一位置とした場合は、縫製部分の捩れはある程度解消されるのであるが、股ベルトにより阻止される飛び出しの力は、即座に、且つストレートに脚部にかかってしまい脚部へのショックが増大してしまうのである。
【0006】
【目的】本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、着衣の優れた装着性を低下させることなく脚部に対するショックを低減することができ、且つ飛び出しの力を着衣全体にバランスよく分散することができる車輌用着衣を提供することを目的とするものである。
【0007】
【問題を解決するための手段】本発明の要旨とするところは、少なくとも前身頃と後身頃を有し、後身頃側に、一端が前身頃または後身頃に固定され、中途において後身頃の腰部に設けられた腰ガイド部材を通過し、他端が腰部の下を廻って前身頃の腰部に着脱可能に固定する通しベルトが配置され、腰ガイド部材の上の後身頃と通しベルトとの間にシートベルトの通過余地が与えられていることを特徴とする車輌用着衣である。
【0008】本発明の車輌用着衣をさらに詳しく説明すると、少なくとも前身頃と後身頃を有するものであり、具体的には、前身頃と後身頃からなる前開きするチョッキ、または、前開きしないベストの形態である。このようなチョッキまたはベストに応用して実施するのが望ましいが、袖身頃の付いたブルゾンや、更に脚部が付設されたつなぎ服などに応用してもよい。
【0009】後身頃には、2本の通しベルトが設けられており、この通しベルトの一端は、前身頃または後身頃または両身頃にかけての肩部に固定されている。肩部も背中または胸部にまで廻りこんだ範囲をも含むものである。固定手段も特に限定するものではなく、縫製またリベット等により適宜固定すればよい。ただし、長さ調節が可能なように長さ調節具を付設することが望ましい。通しベルトを肩部から連続して前身頃側に廻り込ませて固定する具体的な位置としては、胸部また腰部まで延長して固定するのがよい。また、通しベルトを後身頃側に固定する場合は、後身頃の略中央の背中部中に固定するのがよい。
【0010】通しベルトは、更に、中途において後身頃の腰部に設けられた腰ガイド部材を通過している。この腰ガイド部材と前記固定された一端との後身頃と通しベルトとの間にシートベルトの通過余地が与えられている。この腰ガイド部材は、断面トンネル状に形成し、ショック時に通しベルトが後身頃から離開するのを防止するものである。トンネル部分も一部または全部どちらでもよい。また、腰ガイド部材は、紐体またはベルト体等の自由動可能な部材により後身頃の腰部と連結し、ショック時に通しベルトが所定の範囲を自由に移動できるようにしてもよい。
【0011】通しベルトの他端は、後身頃の腰部を通り、更に腰部の下に延長されて前身頃の腰部に着脱可能に固定されている。その他端は、それぞれが前身頃の腰部に着脱可能に固定してもよいが、前身頃の腰部に変向ガイド部材を設けて、その変向ガイド部材によって通しベルトの方向をほぼ直角に前身頃の腰部の中央方向に変向し、双方の通しベルトの端部を腰部の略中央で一つにまとめて着脱可能に前身頃の腰部に固定してもよい。そして、適宜部材によりベルトが着脱可能に固定される時、普通その部位にはベルトの長さを調節する調節具が設けられる。この腰ガイド部材は、断面トンネル状に形成し、通しベルトの方向を変向することができればよい。トンネル部分も一部または全部どちらでもよい。
【0012】また、他端に設けられる着脱可能な固定具は特に限定するものではなく、オス/メスからなるバックルや緊締具等を利用すればよい。固定具の固定も特に限定するものではなく、縫製またリベット等によって適宜固定すればよいが、その固定する位置は、前身頃および後身頃を通る腰ベルト上にするのがよい。この腰ベルトは、前身頃および後身頃の布地の表側または裏側あるいは端部の折り返しの中に縫製により縫い付けられている補強用のベルトである。そして、後身頃の腰部の下に延長される通しベルトの長さは、着用者の股部をと通過可能な長さであればよく、また、普通股部にかかるベルトの一部または全部には、帯状のパッド部材等が設けられている。
【0013】後身頃に、前身頃または後身頃の左右の脇部で固定した横ベルトを、通しベルトに交差して設け、その交差部分に通しベルトを保持する交差ガイド部材を設けてもよい。この交差ガイド部材も、断面トンネル状に形成し、ショック時に通しベルトと横ベルトとの離開を防止するものである。トンネル部分も一部または全部どちらでもよい。横ベルトの脇部での固定手段も特に限定するものではなく、縫製またリベット等により適宜固定すればよい。また、固定する部位は脇部のみでなく後身頃に位置する部位までを固定してもよい。さらに、横ベルトは脇部から連続して前身頃側に廻りこませて、胸部を周回するようにしてもよい。そして、シートベルトの通過可能な余地は、この交差ガイド部材と腰ガイド部材の間の通しベルトと後身頃との間となる。
【0014】2本の通しベルトの間は、単なるスペースとしておいてもよいが、その間に布を張設して重ね身頃としてもよい。また、通しベルトの外側に位置すると共に、2本の通しベルトの間より幅広のカバー部材を設けてもよい。カバー部材は、その上端を前身頃または後身頃の肩部に固定し、下端は特に固定しない自由端としたり、また通しベルトの腰部に位置する部位に固定してもよい。また、通しベルトのみに縫い付けてもよい。さらに、カバー部材を袋状にし、本車輌用着衣の収納袋としてもよい。そして、通しベルトや横ベルトの固定部、また通しベルトや横ベルトの前身頃側に廻りこんでいるベルト部、さらに前身頃と後身頃の腰部に廻された腰ベルトは着衣の布地に縫い付けられているのが普通である。
【0015】
【作用】本発明の車輌用着衣は以上のように構成されているので、車輌乗車に際し本車輌用着衣を着用後、通しベルトの長さを適宜調節し、着用者を車輌のシートに着座させる。次に、着衣の腰部の腰ガイド部材の上の後身頃と通しベルトとの間にシートベルトを通し、シートベルトのスライド可能に保持された係止金具を、シートまたは車輌本体に固定されたメス金具に止着する。これにより、着用者は車輌用着衣に支持されると共に、シートベルトにより車輌のシートにセットされる。
【0016】そして、車輌に事故等の衝撃があった時、着用者は前方に飛び出そうとするが、シートベルトの繰り出しがロックされ、そのシートベルトによって着衣が支持されて着用者の前方飛び出しが止められる。その時の着衣がシートベルトにより支えられる点は、通しベルト一端部が固定されている所定の部分と、通しベルトの腰部が固定されている後身頃の腰部と、脚部に廻る通しベルトの頂点部の3箇所となる。すなわち、支点を着衣の3箇所に分散することができ、着衣を安定よく支持することができる。また、後身頃の腰部での衝撃力の受け止めは、腰ガイド部材と後身頃の腰部とが紐体またはベルト体によって連結されているため、腰ガイド部材が所定の範囲を自由に動くことができることにより、脚部にかかるショックを徐々に増加させることができる。
【0017】
【実施例】本発明の車輌用着衣を以下図面に従って説明すると、図1は、車輌用着衣の後面図であり、1は車輌用着衣、3は車輌用着衣1の後身頃で、後身頃3には通しベルト7が設けられており、その通しベルト7は肩部4に一端がされ、他端が腰部5の腰ガイド9に案内されて前身頃2の腰部5にバックル71により着脱可能に固定される。6は車輌用着衣1の脇部、72は通しベルト7の股部に位置する部位に設けられたパッド、10は前身頃2および後身頃3に周回される補強用の腰ベルトである。
【0018】図2は、車輌用着衣の前面図であり、前身頃2側に廻った通しベルト7は腰部5にバックル71によって着脱可能に固定される。73は通しベルト7の長さを調整するための長さ調節具である。図3は、後身頃の腰部の拡大縦断面図であり、通しベルト7を案内する後身頃3の腰部5に有する腰ガイド9は、その腰ガイド9と腰部5または腰ベルト10とが連結ベルト91によって接続される。
【0019】図4は、通しベルトの他の固定形態を示す着衣の前面図であり、通しベルト7は、前身頃2側に廻った腰部5で変向ガイド92よりその方向がほぼ直角に変えられて、前身頃2の腰部5の中央で双方の通しベルト7が合わされバックル71によって着脱可能に固定される。73は通しベルト7の長さを調整するための長さ調節具であり、2本の通しベルト7の長さ調整を1箇所で行うことが可能となる。
【0020】図5は、横ベルトを有する着衣の後面図であり、後身頃3の略中央を横断状態に補強のための横ベルト8が設けられている。その横ベルト8と通しベルト7との交差部分には交差ガイド81が設けられており、通しベルト7の横開きを防止している。図6は、通しベルトおよび横ベルトの他の固定形態を示す着衣の前面図であり、通しベルト7は肩部4から更に前身頃2側に廻り込み、また、横ベルト8は脇部6から更に前身頃2側に廻り込んで、通しベルト7の一端が横ベルト8に固定される。この図では、双方の通しベルト7の他端を前身頃2の腰部5の中央で合わせている。
【0021】図7は、図1および図2の着衣の側面図である。図8は、図5および図6の着衣の側面図である。図9は、シートベルトの装着状態を示す側面図である。図10は、シートベルトの装着状態を示す後面図である。
【0022】
【効果】本発明の車輌用着衣は以上のように構成されているので、着衣の優れた装着性を変えることなく、衝撃の力を通しベルトを介して着衣全体に分散して伝達させることができ、これにより、従来のように衝撃の力が脚部へ集中することもなく、そして、その衝撃の力が着衣全体に分散することにより、身体が受けるショックを低減することができる。
【0023】また、タイムラグなしに、シートベルトからのショックは上下に連続する1本の通しベルトに負荷されるので、頭または脚部のいずれかがその慣性モーメントにより、前方に突っ込むという弊害が阻止され、身体全体が均一に着衣で保持される。さらに、後身頃の腰部に有する腰ガイド部材が所定の範囲を自由に動くことができるため、負荷が急激に脚部すなわち大腿部にかかることがない。
【0024】そして、後身頃の肩部から腰部を通り前身頃の腰部までが、上下1本のベルトすなわち通しベルトで結ばれているため、着衣とベルトとの縫製部分に捩れ等が発生することもなく、従って、その縫製部分さらには着衣の布地にほつれや破れが発生することがない。双方の通しベルトの前身頃側の端部が、腰部の中央に一つにまとめられているものは、その一箇所でベルトの長さ調節を行うことができ、また、それぞれが前身頃の腰部で固定されるものも調節箇所は2箇所で済む。
【出願人】 【識別番号】596067733
【氏名又は名称】増田 光則
【識別番号】399014864
【氏名又は名称】全国防災事業協業組合
【出願日】 平成12年7月14日(2000.7.14)
【代理人】 【識別番号】100071238
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恒久
【公開番号】 特開2002−30501(P2002−30501A)
【公開日】 平成14年1月31日(2002.1.31)
【出願番号】 特願2000−213634(P2000−213634)