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【発明の名称】 給油作業用手袋
【発明者】 【氏名】渡邊 新司

【要約】 【課題】手に油を付着させずに暖房機器用灯油タンクの蓋を取り外すことや、自動車の整備作業等に使用することができ汎用性に優れ、油の滴を床等に落してしまっても素早く拭き取ることができ作業性と安全性に優れ、手に付着した油特有の臭いのない快適性に優れる給油作業用手袋を提供すること。

【解決手段】本発明の給油作業用手袋1は、少なくとも手のひら側の一部又は全部に少なくとも1枚以上配設された親油性繊維を有する吸油シート2と、親油性シートに内設された耐油性及び防油性を有する油遮断シート3と、を備えた構成とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも手のひら側の一部又は全部に少なくとも1枚以上配設された親油性繊維を有する吸油シートと、前記吸油シートに内設された耐油性及び防油性を有する油遮断シートと、を備えていることを特徴とする給油作業用手袋。
【請求項2】 前記吸油シートと前記油遮断シートがラミネート加工で積層されていることを特徴とする請求項1に記載の給油作業用手袋。
【請求項3】 前記油遮断シートに親水性繊維を有する親水性シートが内設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の給油作業用手袋。
【請求項4】 前記吸油シートが一滴吸油時間20秒以下、好ましくは5秒以下の不織布で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の給油作業用手袋。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油ストーブ等に灯油を給油する吸油作業や自動車の整備作業等で使用される給油作業用手袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、石油ストーブ等の灯油を燃料として暖をとる暖房機器が家庭や事業所に普及している。このような暖房機器は、灯油タンクに充填された灯油を燃料とするものなので、定期的に灯油タンクに灯油を補充する給油作業を行わなければならない。給油作業は、一般に、灯油タンクを暖房機器から引き出し、灯油タンクの上下を逆さまにした後に灯油タンクの蓋を取り外し、灯油を灯油の入った容器から簡易ポンプを使って灯油タンクに供給し、再び蓋をして暖房機器に装着することにより行われる。従来の給油作業において、灯油タンクの蓋を取り外すには、ティッシュペーパーやタオルなどを介して蓋を手でつかんで取り外したり、蓋に専用の治具を嵌着しその治具を手でつかんで取り外したりする方法が用いられていた。また、自動車のエンジンオイル等の吸油作業では、作業用ゴム手袋等を要していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来の給油作業においては、以下のような課題を有していた。
(1)ティッシュペーパーやタオルなどを介して灯油タンクの蓋を手でつかんで取り外すと、ティッシュペーパーやタオルなどにしみ込んだ灯油が手に付着し、洗っても灯油特有の臭いがなかなか取れずに、いやな気分になることがあるという課題を有していた。
(2)灯油タンクを暖房機器から引き出したり灯油タンクに給油したりする際に、灯油の滴等が床等に落ちることがあり、拭き取るものが近くにないため不便を感じるとともに、引火の危険があり安全性に欠けることがあるという課題を有していた。
(3)灯油の滴等が床等に落ちた場合は、蓋に嵌着される専用の治具は役に立たず、ティッシュペーパーやタオルなどで拭き取ることになるため、ティッシュペーパーやタオルなどにしみ込んだ灯油が手に付着し、洗っても灯油特有の臭いがなかなか取れずにいやな気分になることがあるという課題を有していた。
(4)大きさや形状の異なる複数の暖房機器用灯油タンクが同一家庭内や事業所内に存在する場合は、大きさや形状の異なる複数の蓋に嵌着される複数の専用の治具が必要になり、治具の管理が煩雑であるという課題を有していた。
(5)自動車のエンジンオイル等の吸油作業では、作業時に軍手やゴム手袋等をはめていたが、軍手にしみ込んだ油が手に付着して油特有の臭いがなかなか取れずにいやな気分になることがあるという課題や、専用のゴム手袋等を要し不経済であるという課題を有していた。
【0004】本発明は上記従来の課題を解決するもので、専用の治具や道具を使わなくても手に油を付着させずに多様な大きさや形状の暖房機器用灯油タンクの蓋を取り外すことや、自動車の整備作業等に使用することができ汎用性に優れるとともに、油の滴を床等に落してしまっても手に油を付着させずに素早く拭き取ることができ作業性と安全性に優れ、手に付着した油特有の臭いがなかなか取れないといういやな気分になることのない快適性に優れる給油作業用手袋を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記従来の課題を解決するために本発明の給油作業用手袋は、少なくとも手のひら側の一部又は全部に少なくとも1枚以上配設された親油性繊維を有する吸油シートと、吸油シートに内設された耐油性及び防油性を有する油遮断シートと、を備えた構成を有している。この構成により、専用の治具や道具を使わなくても手に油を付着させずに多様な大きさや形状の暖房機器用灯油タンクの蓋を取り外すことや、自動車の整備作業等に使用することができ汎用性に優れるとともに、油の滴を床等に落してしまっても手に油を付着させずに素早く拭き取ることができ作業性と安全性に優れ、手に付着した油特有の臭いがなかなか取れないといういやな気分になることのない快適性に優れる給油作業用手袋を提供することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の給油作業用手袋は、少なくとも手のひら側の一部又は全部に少なくとも1枚以上配設された親油性繊維を有する吸油シートと、吸油シートに内設された耐油性及び防油性を有する油遮断シートと、を備えた構成を有している。この構成により、以下のような作用を有する。
(1)手袋の外表面に親油性繊維を有する吸油シートが配設されているので、灯油の付着した灯油タンクの下部を給油作業用手袋で受けることで、滴として床等に落下してしまう灯油を吸い取ることができるとともに、作業中に油の滴が床等に落ちても、給油作業用手袋ですぐに拭き取ることができ作業性と安全性に優れる。
(2)親油性繊維を有する吸油シートに内設されている油遮断シートは防油性を有するので、油を拭き取ったり吸い取ったりして油が吸油シートにしみ込んでも、油は油遮断シートに遮られて手には付着せず、油特有の臭いが手に付着することがなく快適性に優れる。
(3)親油性繊維を有する吸油シートに内設されている油遮断シートは耐油性を有するので、油を拭き取ったり吸い取ったりして油が吸油シートにしみ込んでも、油によって油遮断シートが劣化しないので、繰り返し使用しても油が油遮断シートを通過して手に付着することがなく耐久性に優れる。
(4)大きさや形状の異なる複数の灯油タンクや自動車のオイルタンク等があっても、それぞれの蓋に嵌着される複数の専用の治具や自動車の整備作業用の道具は不要なので、煩雑な治具や道具の管理が不要で合理性と汎用性に優れる。
(5)給油作業用手袋がシート製なので肉厚が薄く、蓋の開閉等の作業時に指の力がそのまま伝わり作業しやすく、作業性に優れる。
【0007】ここで、給油作業用手袋は、親指から小指までをそろえて入れるタイプ、親指と人差し指から小指までを別に入れるミトンと呼ばれる2本指タイプ、親指から小指までを別々に入れる5本指タイプ等が用いられるが、灯油タンクや自動車のオイルタンク等の蓋の開閉を行う際に力を入れやすい2本指タイプ又は5本指タイプが好ましく用いられる。
【0008】また、親油性繊維としては、耐油性のあるポリエチレン,ポリプロピレン,ポリアクリロニトリル,ポリアクリル酸誘導体,ポリメタクリル誘導体,ポリアミド,ポリエーテル,ポリエステル等を材料としたものが用いられる。これらは単独で用いても良く、混合しても良い。また、親水性を有するパルプやレーヨン等を混合して用いても良い。親油性繊維の形状としては、断面がC字形状やL字形状等の異型にしたもの、微細な孔を多数もたせて比表面積を増大させて油の拡散性を高めたもの、表面から中空部まで貫通した連通微細孔を多数形成して毛細管現象による吸油性能をもたせたもの等も用いられる。これにより吸油速度が速く吸油量が大きいので、吸油性を高めるとともに吸油した油の保持性に優れる。吸油シートとしては、これらの繊維を織物や編物にしたものや不織布等が用いられる。不織布は生産速度が大きく製造工程が少ないため、シートの生産コストを低くできるとともに、油の吸収能力の高い多孔性や吸収性に富むシートを製造できるので好ましく用いられる。
【0009】ここで、吸油シートに使用される不織布としては、耐油性のあるポリエチレン,ポリプロピレン,ポリアクリロニトリル,ポリアクリル酸誘導体,ポリメタクリル誘導体,ポリアミド,ポリエーテル,ポリエステル等を材料として、スパンボンド法,ニードルパンチ法,メルトブロー法,水流交絡法等で製造されたものが用いられる。これらの材料は単独で使用しても、混合して使用しても良い。なかでもポリエチレン,ポリプロピレンが、親油性に優れるため好適に使用される。また、親水性を有するパルプやレーヨン等を混合して用いても良い。
【0010】なお、不織布で形成される吸油シートの見かけ密度は0.01〜0.20g/cm3が好ましいとされる。見かけ密度が0.01g/cm3よりも小さくなるにつれ油をシート内に保持しておくことが困難になる傾向がみられ、0.20g/cm3よりも大きくなるにつれ不織布内部への油の浸透が十分でなくなり吸油速度が遅くなる傾向がみられるため好ましくない。また、不織布で形成される吸油シートの目付は20〜80g/m2が好ましいとされる。目付が20g/m2よりも小さくなるにつれ油をシート内に保持しておくことが困難になる傾向がみられ、80g/m2よりも大きくなるにつれ柔軟性が失われ作業性が低下する傾向がみられるため好ましくない。さらに、不織布で形成される吸油シートの厚みは0.2〜5mmが好ましいとされる。厚みが0.2mmよりも小さくなるにつれ油をシート内に保持できる量が少なくなる傾向がみられ、5mmよりも大きくなるにつれ手指の動きが給油作業用手袋に伝わり難くなる傾向がみられるため好ましくない。
【0011】また、耐油性及び防油性を有する油遮断シートとしては、灯油が接触しても溶けない耐油性を有し、灯油がシートを通過しない防油性を有する塩化ビニル樹脂,ポリアミド,ポリエチレンテレフタネート,高密度ポリエチレン等からなるフィルムやシートが用いられる。
【0012】さらに、吸油シートと油遮断シートは、熱エンボスや超音波溶融等により溶融接着する方法,低融点パウダー等の熱可塑性樹脂を介して熱融着する方法,接着剤等により樹脂接着する方法,ミシン縫製等により縫い合わせる方法,油遮断シートの表面に吸油シートの組成物をスプレーや含浸等によってコーティングする方法,吸油シートの表面に油遮断シートの組成物をスプレーや含浸等によってコーティングする方法等によって固着され、あるいは吸油シートと油遮断シートが固着されずに重ね合わされた後、給油作業用手袋の内層側となる油遮断シート同士を合わせて袋状にされ、手を出し入れする開口部を除く手袋周縁部が溶着,融着,接着,縫着等されて給油作業用手袋として形成される。縫着されたミシン目には、必要に応じてミシン目から油が滲入しないようにミシン目を塞ぐシール加工をする。なお、接着剤としては、耐水性、耐油性、柔軟性を有するアクリル系接着剤,ポリエチレン等の熱可塑性接着剤や、ポリクロロプレン,ニトリルゴム等のエラストマー接着剤等を使用することが好ましい。
【0013】また、親油性を有する吸油シートは、少なくとも手のひら側の一部又は全部に配設されるが、全部に配設すると油の付着を気にしないで作業がはかどるため好ましい。さらに、手のひら側だけでなく手の甲側にも用いることができ、この場合、油を吸い取ることができるシートの面積が大きくなり多量の油を吸い取ることができるので、より好ましい。さらに、親油性を有する吸油シートを2枚以上の複数枚重ねて用いると、油を吸い取ることができるシートが厚くなり多量の油を吸い取ることができるのでより好ましい。
【0014】本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の給油作業用手袋であって、吸油シートと油遮断シートがラミネート加工で積層された構成を有している。この構成によって、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)ミシン縫製を行うとシートに穴を開けてしまうため、ミシン目から油が滲入しないようにミシン目を塞ぐシール加工をする必要があるが、ラミネート加工の場合はその必要がなく低原価で量産可能な生産性に優れる。
(2)吸油シートと油遮断シートが一体化しているので、装着感が良く快適性に優れるとともに手指の動きが手袋に直接伝わるため作業性に優れる。
(3)吸油シートを油遮断シートが補強するので、強度が高く耐久性に優れるシートを得ることができるとともに、吸油シートは機械的強度よりも親油性や吸油性に優れるものを選択することができるため、灯油の吸収能力に優れるとともに耐久性に優れる。
【0015】ここで、ラミネート加工としては、熱エンボスや超音波溶融等により溶融接着する方法、低融点パウダー等の熱可塑性樹脂を介して熱融着する方法、接着剤等により樹脂接着する方法等が用いられる。
【0016】本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の給油作業用手袋であって、油遮断シートに親水性繊維を有する親水性シートが内設された構成を有している。この構成により、請求項1又は2の作用に加え、親水性繊維を有する親水性シートが手の汗や湿り気を吸収するために、給油作業用手袋の脱着が容易であるとともに装着感が良く、快適性に優れるという作用を有する。
【0017】ここで、親水性繊維を有する親水性シートとしては、例えば、綿やレーヨン等の織物や編物からなるシート、ポリエステル,ナイロン,アクリル等を材料として、断面形状がC字形状やL字形状等の異型にした繊維の織物や編物からなるシート、微細な孔を多数もたせて比表面積を増大させて油の拡散性を高めた繊維の織物や編物からなるシート、その表面から中空部まで貫通した連通微細孔を多数形成して毛細管現象による吸油性能をもたせた中空断面繊維の織物や編物からなるシート、綿,レーヨン,ポリエステル,ナイロン,アクリル等を材料として、スパンボンド法,ニードルパンチ法,メルトブロー法,水流交絡法等で製造される不織布からなるシート等が用いられる。なお、これらの繊維は単独で使用しても良く、混合したものでも良い。
【0018】本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1に記載の給油作業用手袋であって、吸油シートが一滴吸油時間20秒以下、好ましくは5秒以下の不織布で形成された構成を有している。この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)吸油シートの油吸収保持能力が高いので、油がシートに素早く吸収され保持され作業性に優れる。
(2)不織布は生産速度が大きく製造工程が少ないため、低原価で量産可能な生産性に優れる。
【0019】ここで、一滴吸油時間とは、温度25℃、湿度65%の恒温室中に試験体及び器具を24時間以上保管した後、上記恒温室中で、直径10cmのシャーレに蒸留純水を入れ、界面に空気が入らないようにして5cm角のシートである試験体を水面に浮かべ、10秒後に試験体表面の上方約1cmの高さからサラダ油(原材料が食用なたね油,食用大豆油の日清製油株式会社製)をピペットで1滴落下させ、油が完全に試験体に吸収されるまでの時間を5回測定した後、他面を上にして水面に浮かべて5回測定し、合計10回の平均値を求めたものをいう。ここで、油の滴下には、出口直径1.9mmの駒込ピペットを使用する。なお、一滴吸油時間としては、20秒以下、好ましくは5秒以下とされる。一滴吸油時間は短ければ短いほど油の吸収が早く作業性に優れるため好ましいが、一滴吸油時間が5秒よりも長くなるにつれ吸油シートの種類にもよるが油の拭き取り作業に時間がかかり作業性が低下する傾向がみられ、20秒よりも長くなるとこの傾向が著しいため、好ましくない。
【0020】以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)図1は本実施の形態1における給油作業用手袋の斜視図であり、図2は図1のA−A線における要部断面図である。図中、1は本実施の形態1の給油作業用手袋で、左手の親指と人差し指から小指までを別々に入れるミトンと呼ばれる2本指タイプのものである。2は給油作業用手袋1の表層側で、材質がポリプロピレンからなりスパンボンド法によって形成された不織布からなる親油性繊維を有する吸油シート、3は給油作業用手袋1の内層部で、材質が塩化ビニルからなる耐油性と防油性を有する油遮断シートである。ここで、本実施の形態の給油作業用手袋1における吸油シート2は0.2〜5mmの厚みに形成され、油遮断シート3は0.2mmの厚みに形成されている。また、吸油シート2と油遮断シート3は超音波溶融によるラミネート加工によって積層されている。さらに、吸油シート2の一滴吸油時間は、17.1秒であった。
【0021】以上のように構成された本実施の形態1の給油作業用手袋について、以下その動作を説明する。給油作業を行うときには、二本指タイプの給油作業用手袋1を吸油シート2が外側になるように手に装着し、油が付着している灯油タンクや自動車のオイルタンク等の蓋を外したり、床等にこぼれた油の滴等を拭き取ったりする。蓋や床等に付着した油は、吸油シート2が親油性繊維を有する不織布からなるので吸収されるが、耐油性と防油性を有する油遮断シート3は通過できないので吸油シート2に留まる。
【0022】以上のように、本実施の形態1における給油作業用手袋は構成されているので、以下のような作用を有する。
(1)手袋の表層側に親油性繊維を有する吸油シートが配設されているので、灯油の付着した灯油タンクの下部を手袋で受けることで、滴として床等に落下してしまう灯油を吸い取ることができるとともに、作業中に油の滴が床等に落ちても、給油作業用手袋ですぐに拭き取ることができ作業性と安全性に優れる。
(2)親油性繊維を有する吸油シートに内設されている油遮断シートは防油性を有するので、油を拭き取ったり吸い取ったりして油が吸油シートにしみ込んでも、油は油遮断シートに遮られて手には付着せず、油特有の臭いが手に付着することがなく快適性に優れる。
(3)親油性繊維を有する吸油シートに内設されている油遮断シートは耐油性を有するので、油を拭き取ったり吸い取ったりして灯油が吸油シートにしみ込んでも、油によって油遮断シートが劣化しないので、繰り返し使用しても油が油遮断シートを通過して手に付着することがなく耐久性に優れる。
(4)吸油シートと油遮断シートがラミネート加工によって積層され一体化されているので、装着感に優れるとともに手指の動きが手袋に直接伝わるため作業性に優れる。
(5)給油作業用手袋がシート製なので肉厚が薄く、蓋の開閉等の作業時に指の力がそのまま伝わり作業しやすく、作業性に優れる。
(6)吸油シートは多孔性や吸収性に富む親油性の不織布で形成されているため、油の吸収保持能力に優れる。
(7)吸油シートの一滴吸油時間が20秒以下なので、吸油速度が速く素早く吸油し作業性に優れる。
【0023】(実施の形態2)図3は本実施の形態2における給油作業用手袋の斜視図であり、図4は図3のB−B線における要部断面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同一の符号を付して説明は省略する。図中、1aは本実施の形態2の給油作業用手袋で、左手の親指から小指までを別々に入れる5本指タイプのものである。4は材質が綿の織物からなる親水性を有する親水性シートで、手のひら側及び手の甲側の油遮断シート3の内側に配設されている。ここで、本実施の形態の給油作業用手袋1aにおける吸油シート2、油遮断シート3及び親水性を有する親水性シート4は、アクリル系接着剤等の接着剤によって積層されている。
【0024】以上のように構成された本実施の形態2の給油作業用手袋について、以下その動作を説明する。給油作業を行うときには、5本指タイプの給油作業用手袋1aを吸油シート2が外側になるように手に装着し、油が付着している灯油タンクや自動車のオイルタンク等の蓋を外したり、床等にこぼれた油の滴等を拭き取ったりする。蓋や床等に付着した油は、吸油シート2が親油性繊維を有する不織布で形成されているので吸収されるが、耐油性と防油性を有する油遮断シート3は通過できないので吸油シート2に留まる。また、手の汗や湿り気は耐油性と防油性を有する油遮断シート3に内設された親水性を有する親水性シート4に吸い取られる。
【0025】以上のように、本実施の形態2における給油作業用手袋は構成されているので、実施の形態1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)給油作業用手袋が5本指タイプなので、指先の一本一本にも力を入れることができ、細かな作業ができ作業性に優れる。
(2)親水性繊維からなる親水性シートが給油作業用手袋の最内層に配設されているので、親水性繊維からなる親水性シートに手の汗や湿り気が吸収され、給油作業用手袋の脱着が容易になるとともに装着感が良く快適性に優れる。
【0026】
【実施例】ここで、本発明の給油作業用手袋を構成する吸油シートにおける一滴吸油時間について、以下実施例を用いて、その測定結果を説明する。
(実施例1)ポリプロピレン100%を材質とし水流交絡法によって、見かけ密度0.08g/cm3、目付50g/m3、厚み0.6mmの不織布を得た。得られた不織布を5cm角のシートに切断して試験体とし、温度25℃、湿度65%の恒温室中に試験体及び器具を24時間以上保管した後、上記恒温室中で、直径10cmのシャーレに蒸留純水を入れ、界面に空気が入らないようにして試験体を水面に浮かべ、10秒後に試験体表面の上方約1cmの高さからサラダ油(原材料が食用なたね油,食用大豆油の日清製油株式会社製)を出口直径1.9mmの駒込ピペットピペットを使って1滴落下させ、油が完全に試験体に吸収されるまでの時間を5回測定した後、試験体の他面を上にして水面に浮かべて5回測定し、合計10回の平均値である一滴吸油時間を求めた。本第1実施例における測定結果を(表1)に示す。本第1実施例における不織布の一滴吸油時間は2.3秒であった。
【表1】

(実施例2)ポリプロピレン80%、レーヨン20%を材質とし水流交絡法によって、見かけ密度0.12g/cm3、目付47g/m3、厚み0.4mmの不織布を得た。得られた不織布の一滴吸油時間を第1実施例と同様の方法で求めた。本第2実施例における測定結果を(表2)に示す。本第2実施例における不織布の一滴吸油時間は9.9秒であった。
【表2】

(実施例3)ポリプロピレン100%を材質としスパンボンド法によって、見かけ密度0.12g/cm3、目付50g/m3、厚み0.9mmの不織布を得た。得られた不織布の一滴吸油時間を第1実施例と同様の方法で求めた。本第3実施例における測定結果を(表3)に示す。本第3実施例における不織布の一滴吸油時間は17.1秒であった。
【表3】

以上の各表から明らかなように、本実施の形態の吸油シートは吸油時間が極めて短いことがわかる。
【0027】
【発明の効果】以上のように、本発明の給油作業用手袋によれば、以下のような有利な効果が得られる。請求項1に記載の発明によれば、(1)手袋の外表面に親油性繊維を有する吸油シートが配設されているので、灯油の付着した灯油タンクの下部を給油作業用手袋で受けることで、滴として床等に落下してしまう灯油を吸い取ることができるとともに、作業中に油の滴が床等に落ちても、給油作業用手袋ですぐに拭き取ることができ作業性と安全性に優れる給油作業用手袋を提供することができる。
(2)親油性繊維を有する吸油シートに内設されている油遮断シートは防油性を有するので、油を拭き取ったり吸い取ったりして油が吸油シートにしみ込んでも、油は油遮断シートに遮られて手には付着せず、油特有の臭いが手に付着することがなく快適性に優れる給油作業用手袋を提供することができる。
(3)親油性繊維を有する吸油シートに内設されている油遮断シートは耐油性を有するので、油を拭き取ったり吸い取ったりして油が吸油シートにしみ込んでも、油によって油遮断シートが劣化しないので、繰り返し使用しても油が油遮断シートを通過して手に付着することがなく耐久性に優れる給油作業用手袋を提供することができる。
(4)大きさや形状の異なる複数の灯油タンクや自動車のオイルタンク等があっても、それぞれの蓋に嵌着される複数の専用の治具や自動車の整備作業用の道具は不要なので、煩雑な治具や道具の管理が不要で合理性と汎用性に優れる給油作業用手袋を提供することができる。
(5)給油作業用手袋がシート製なので肉厚が薄く、蓋の開閉等の作業時に指の力がそのまま伝わり作業しやすく、作業性に優れる給油作業用手袋を提供することができる。
【0028】請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、(1)ミシン縫製を行うとシートに穴を開けてしまうため、ミシン目から油が滲入しないようにミシン目を塞ぐシール加工をする必要があるが、ラミネート加工の場合はその必要がなく低原価で量産可能な生産性に優れる給油作業用手袋を提供することができる。
(2)吸油シートと油遮断シートが一体化しているので、装着感が良く快適性に優れるとともに手指の動きが手袋に直接伝わるため作業性に優れる給油作業用手袋を提供することができる。
(3)吸油シートを油遮断シートが補強するので、強度が高く耐久性に優れるシートを得ることができるとともに、吸油シートは機械的強度よりも親油性や吸油性に優れるものを選択することができるため、灯油の吸収能力に優れるとともに耐久性に優れる給油作業用手袋を提供することができる。
【0029】請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、親水性繊維を有する親水性シートが手の汗や湿り気を吸収するために、給油作業用手袋の脱着が容易であるとともに装着感が良く、快適性に優れる給油作業用手袋を提供することができる。
【0030】請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1の効果に加え、(1)吸油シートの油吸収保持能力が高いので、油がシートに素早く吸収され保持され作業性に優れる給油作業用手袋を提供することができる。
(2)不織布は生産速度が大きく製造工程が少ないため、低原価で量産可能な生産性に優れる給油作業用手袋を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】591014879
【氏名又は名称】株式会社アーランド
【出願日】 平成12年7月6日(2000.7.6)
【代理人】 【識別番号】100095603
【弁理士】
【氏名又は名称】榎本 一郎
【公開番号】 特開2002−20914(P2002−20914A)
【公開日】 平成14年1月23日(2002.1.23)
【出願番号】 特願2000−204894(P2000−204894)