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【発明の名称】 介護服
【発明者】 【氏名】横内 知子

【要約】 【課題】介護服において、患者を動かす際にも十分な強度を有することができ、患者に寒さや痛み等の不快感を与えずにおむつ等の交換作業を容易に行うこと。

【解決手段】排泄物の処理を自ら行うことが困難な患者が着用する介護服であって、少なくともズボン部10を有し、前記ズボン部は、股上部11又は尻部12の少なくとも一方が着脱可能になっており、前記股上部及び前記尻部を取り外した部分に、窓部13が形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 排泄物の処理を自ら行うことが困難な患者が着用する介護服であって、少なくともズボン部を有し、前記ズボン部は、股上部又は尻部の少なくとも一方が着脱可能になっており、前記股上部及び前記尻部を取り外した部分に、窓部が形成されることを特徴とする介護服。
【請求項2】 請求項1に記載の介護服において、前記股上部と前記尻部とは、股下部で連結されて一体になっていることを特徴とする介護服。
【請求項3】 請求項1又は2に記載の介護服において、前記股上部又は前記尻部の少なくとも一方には、消臭性又は吸湿性の少なくとも一方が備えられていることを特徴とする介護服。
【請求項4】 請求項1から3のいずれかに記載の介護服において、少なくとも前記股上部を覆うように上部から下げられた覆い部を備えていることを特徴とする介護服。
【請求項5】 請求項4に記載の介護服において、前記覆い部は、着脱可能に取り付けられていることを特徴とする介護服。
【請求項6】 請求項1から5のいずれかに記載の介護服において、前記股上部及び前記尻部は、マジックテープ(登録商標)で取り付けられていることを特徴とする介護服。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆる寝たきり老人や肢体不自由者等の患者、すなわち排泄物の処理を自ら行うことが困難な患者が着用する介護服に関する。
【0002】
【従来の技術】アルツハイマー病や脳梗塞等の患者、寝たきり老人又は肢体不自由者等の患者の場合、自ら排泄物の汚物等を処理することが困難なことから、一般に、患者はおむつ等を着用し、介護者がこれを交換している。患者は、おむつ等をした状態で寝間着又は通常のズボン等を着用するが、介護者がおむつ等を交換する際に、これらのズボン等を脱衣させる共に、交換後に再び着用させる必要がある。
【0003】しかしながら、患者は肢体不自由な場合が多く、介護者によるズボン等の脱衣及び着用が困難であり、介護者の負担が多大であった。そこで、従来、このような患者のための介護服として、例えば、図5に示すように、ズボン1がファスナー2によって分割できるようになっているものが提案されている。このズボン1は、その両足部分のウエスト(腰)部分から裾部分まで設けられたファスナー2を開けることにより、ズボン1の中間部分3が取り外しできるようになっており、この中間部分3を取り外すことにより、ズボン1全体を脱衣させることなく、患者の肌着やおむつ等の交換を可能にするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の介護服では、次のような課題が残されている。すなわち、介護の際に患者の身体の向きを変えたり移動させたりする場合、介護者が患者のズボン1の脇やウエスト部分の後ろ側等を持って行うことが多いが、従来の介護服のように、分割される継ぎ目(境界)部分、すなわちファスナー部分がウエスト部分から裾部分まで通して設けられている場合は、継ぎ目部分の強度が弱く、特に、大人の患者の場合は、体重が重いため、中間部分3が剥がれたり、ファスナー2が壊れる等の問題があった。また、おむつ等の交換の際に中間部分3を取り外してしまうと、患者の下半身が不必要に全体的に露出し、寒くなってしまうと共に恥ずかしい思いをさせてしまうという不都合があった。さらに、継ぎ目部分が裾部分まで延びているため、患者の足を動かす際にこの部分が当たって患者に不快感を与えてしまい、特にファスナーのような硬い部材を使用していると、痛みを与える場合があった。
【0005】本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、患者を動かす際にも十分な強度を有することができ、患者に寒さや痛み等の不快感を与えずにおむつ等の交換作業を容易に行うことができる介護服を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明の介護服は、排泄物の処理を自ら行うことが困難な患者が着用する介護服であって、少なくともズボン部を有し、前記ズボン部は、股上部又は尻部の少なくとも一方が着脱可能になっており、前記股上部及び前記尻部を取り外した部分に、窓部が形成されることを特徴とする。
【0007】この介護服では、ズボン部における股上部又は尻部の少なくとも一方が着脱可能になっており、股上部及び尻部を取り外した部分に、窓部が形成されるので、排泄物の処理、すなわちおむつ等の交換を行う際に、股上部又は尻部の少なくとも一方を取り外すことにより、取り外し部分に窓部が形成されて、容易におむつ等を交換することができる。また、ウエスト部分、ズボンの脇及び足部に継ぎ目(境界)部分等がないため、強度の低下や不快感の発生を抑えることができる。さらに、股上部及び尻部は、汚れやすい部分であり、この部分が容易に取り替え可能であるため、介護服全体を取り替える必要が無く、介護者のストレスを軽減することができる。なお、取り替え後は、新しい又は清潔な取り替え用の股上部又は尻部を使用する。
【0008】また、本発明の介護服は、前記股上部と前記尻部とが、股下部で連結されて一体になっていることが好ましい。すなわち、この介護服では、股下部と尻部とが股下部で連結されて一体となっているので、股上部及び尻部の両方が同時に着脱可能になり、おむつ等の交換がより容易になると共に、股下部に継ぎ目(境界)部分がなく、患者に不快感を与えない。
【0009】また、本発明の介護服は、前記股上部又は前記尻部の少なくとも一方に、消臭性又は吸湿性の少なくとも一方が備えられていることが好ましい。すなわち、この介護服では、消臭性又は吸湿性を備えた股上部や尻部を有しているので、消臭性を備えた場合は、排泄物等の臭い等を消臭して不快感を無くし、吸湿性を備えた場合は、おむつ等による蒸れ等を抑制することができる。
【0010】また、本発明の介護服は、少なくとも前記股上部を覆うように上部から下げられた覆い部を備えていることが好ましい。すなわち、この介護服では、前掛け、ジャンバ又はスカート等の覆い部が股上部を覆うように腰部から下げられるので、着脱可能で境界部分が目立ってしまう股上部を隠すことができると共に、覆い部をめくるだけで容易に股上部の着脱ができる。
【0011】さらに、本発明の介護服は、前記覆い部が、着脱可能に取り付けられていることが好ましい。すなわち、この介護服では、覆い部が着脱可能であるので、必要に応じて覆い部を取り付けることができる。
【0012】また、本発明の介護服は、前記股上部及び前記尻部が、マジックテープで取り付けられていることが好ましい。すなわち、この介護服では、股上部及び尻部がマジックテープで本体に取り付けられているので、容易に着脱可能になると共に、ファスナーに比べて着用時の肌触りが良く、不快感がない。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る介護服の一実施形態を、図1から図4を参照しながら説明する。なお、これらの図中、符号10はズボン、11は股上部、12は尻部、13は窓部を示している。
【0014】本実施形態の介護服は、排泄物の処理を自ら行うことが困難な患者、例えば脳梗塞患者や寝たきり老人等が着用する寝間着等のズボン(ズボン部)10であって、図1に示すように、股上部11及び尻部12が着脱可能になっており、股上部11及び尻部12を取り外した部分に、窓部13が形成されるようになっている。この股上部11と尻部12とは、図2に示すように、股下部14で連結されて一体になっている。
【0015】例えば、この介護服は、股上部11及び尻部12だけが綿100%の生地で作成されていると共に、他の部分(本体)がポリエステル50%綿50%の生地で作成されている。なお、股上部11及び尻部12は、消臭性又は吸湿性の少なくとも一方を有する生地及び構成を備えていることが好ましく、例えば、股上部11及び尻部12の内側又は内部等に、吸湿性の高いメッシュ状の生地や消臭効果のある生地(例えば、活性炭入り生地)を重ねて多層構造としても構わない。また、股上部11及び尻部12は、複数のマジックテープMで取り付けられている。
【0016】本実施形態の介護服は、股上部11及び尻部12が着脱可能になっており、股上部11及び尻部12を取り外した部分に、窓部13が形成されるので、おむつ等の交換を行う際に、股上部11及び尻部12を取り外すことにより、取り外し部分に窓部13が形成されて、容易におむつ等を交換することができる。すなわち、必要最低限の部分だけ窓部13が形成され、患者を動かす際に持つウエスト部分やズボンの脇に継ぎ目(境界)部分等がないため、これらの部分の強度を低下させずに済む。例えば、介護者が寝ている患者を立ち上がらせる際などに、ズボンの腰の部分を持って引き上げるのだが、腰の部分は、一連のものになっているので、引っ張られる力に充分耐えられることができる。また、足の部分にも継ぎ目部分等がなく、足を動かす際に不快感を生じることがない。
【0017】また、股下部14と尻部12とが股下部14で連結されて一体となっているので、股上部11及び尻部12の両方が同時に着脱可能になり、おむつ等の交換がより容易になると共に、股下部14に継ぎ目部分がなく、患者に不快感を与えない。さらに、股上部11及び尻部12に上述した消臭性及び吸湿性を備えることにより、排泄物等の臭い等を消臭して不快感を無くし、おむつ等による蒸れ等を抑制することができる。
【0018】また、股上部11及び尻部12がマジックテープMで取り付けられているので、容易に着脱可能になると共に、ファスナーに比べて着用時の肌触りが良く、不快感がない。さらに、本実施形態では、マジックテープMが股上部11及び尻部12の周縁部に互いに間隔を空けて複数設けられているため、通風性が良く、蒸れやジョクソウ等の予防になる。なお、おむつ等のズレを防止するために、おむつ等と接する股上部11及び尻部12の内側中央部等にマジックテープMの小型のものを取り付けておいても構わない。
【0019】次に、本実施形態の他の例を、図3及び図4を参照して説明する。
【0020】この他の例における介護服は、図3及び図4に示すように、腰部15から股上部11を覆うように下げられたエプロン等の前掛け部(覆い部)16又は巻きスカート等のスカート部(覆い部)17を備えている。そして、これらの前掛け部16又はスカート部17は、これらの上部に複数設けられたマジックテープMにより着脱可能に取り付けられている。
【0021】すなわち、この介護服では、前掛け部16又はスカート部17が股上部11を覆うように腰部15から下げられるので、境界部分が目立ってしまう股上部11又は尻部12を隠すことができる。例えば、おむつ等を着用した際の腰部15の特に前部(股上部11)の異様な膨らみを目立たなくすることができ、着用者である患者のストレスを軽減することができる。
【0022】また、前掛け部16又はスカート部17をめくるだけで容易に股上部11又は尻部12の着脱ができる。なお、股上部11又は尻部12を取り外しておむつ等を交換するとき等に、前掛け部16又はスカート部17を全てめくらずとも作業を行うことができ、この場合、他人の目からその作業を隠すことも可能である。さらに、前掛け部16又はスカート部17が着脱可能であるので、必要に応じて前掛け部16又はスカート部17を取り付けることができる。例えば、外見上の美観の点から、散歩等の外出時にはこれらを取付け、病室内やベッドでの就寝時にはこれらを取り外すことができる。
【0023】なお、本発明は、次のような実施形態をも含むものである。例えば、上記実施形態では、ズボンのみの介護服であるが、上着とズボンとが上下対になったものやつなぎ服等の介護服でも構わない。また、生地の柄等は、自由に選択できるが、特に着脱可能な前掛け部16やスカート部17については、ズボン側の柄に合わせても構わないと共に他の柄にしてもよく、様々な組み合わせが可能となる利点がある。
【0024】また、上記実施形態のように、股上部11、尻部12、前掛け部16及びスカート部17はマジックテープMで取り付けられることが好ましいが、他の着脱可能な手段で取り付けても構わない。この場合、患者の肌触り等を考慮してファスナーやフック等の固い部材でないことが好ましい。
【0025】また、上記実施形態では、股上部11を覆うように下げられた前掛け部16又はスカート部17を備えているが、股上部を覆うように下げられているものであれば他のものでも構わない。例えば、丈の長いチョッキ様のもの、腰巻き様のもの又はスリットの入ったスカート様のもので覆っていても構わない。また、スカート部を、弄便等を防止するために(汚物いじりの防止)、股の下でとめるロンパース型にしてもよい。
【0026】また、本実施形態の介護服は、寝間着に適用したが、外出用の服に適用しても構わない。例えば、上着とズボンとの組み合わせで、外出用の布地で作製しても構わない。さらに、身体に傷害がある者が気軽に外出するために、寝間着と外出着とを併用することができる服でもよく、冬用として毛織り又はキルティング等のものを使用してもよい。なお、本実施形態の介護服を着用する患者には、上述した者以外にも、例えば産後の女性、術後の人や尿漏れのある人、他の障害者等が含まれるものである。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、以下の効果を奏する。本発明の介護服によれば、ズボン部における股上部又は尻部の少なくとも一方が着脱可能になっており、股上部及び尻部を取り外した部分に、窓部が形成されるので、おむつ等の交換を行う際に、股上部又は尻部の少なくとも一方を取り外すことにより、取り外し部分に窓部が形成されて、容易におむつ等を交換作業を行うことができる。また、ウエスト部分、ズボンの脇及び足部に継ぎ目部分等がないため、患者を動かす際にも十分な強度を有することができると共に、患者に寒さや痛み等の不快感を与えない。さらに、汚れやすい部分の股上部及び尻部が容易に取り替え可能であるため、介護者のストレスを軽減することができる。したがって、家庭内、病院や老人ホーム等における要介護者(患者)の介護や診断・診察において、介護者の負担及び患者のストレス等を軽減することができる。
【出願人】 【識別番号】500314555
【氏名又は名称】横内 知子
【出願日】 平成12年7月3日(2000.7.3)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外6名)
【公開番号】 特開2002−20910(P2002−20910A)
【公開日】 平成14年1月23日(2002.1.23)
【出願番号】 特願2000−201507(P2000−201507)