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【発明の名称】 作業用手袋およびその製造方法
【発明者】 【氏名】百瀬育治

【要約】 【課題】作業中において、機器や工具を掴み易くして密着性を向上させるとともに、操作スイッチの操作性を向上させる。

【解決手段】掌側の布地2と、甲側の布地3と、前記両布地間に挟まれた中間布地4と、掌側の布地と中間布地の間に固定された複数の防振材または断熱材5とを備え、前記防振材または断熱材は、各指および掌部の関節や節を避けるように配置されると共に、人差し指6に配置される防振材5′または断熱材の厚みを、他の箇所に配置される防振材5または断熱材の厚みの半分以下にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】掌側の布地と、甲側の布地と、前記両布地間に挟まれた中間布地と、掌側の布地と中間布地の間に固定された複数の防振材または断熱材とを備え、前記防振材または断熱材は、各指および掌部の関節や節を避けるように配置されると共に、人差し指に配置される防振材または断熱材の厚みを、他の箇所に配置される防振材または断熱材の厚みの半分以下にしたことを特徴とする作業用手袋。
【請求項2】掌部に配置された防振材または断熱材により略星型形状の凹部を形成することを特徴とする請求項1記載の作業用手袋。
【請求項3】前記掌側の布地の表面に滑り止め加工が施されていることを特徴とする請求項1または2記載の作業用手袋。
【請求項4】請求項1〜3記載の作業用手袋をインナー手袋とし、該インナー手袋に装着するアウター手袋の人差し指の先端部を細くしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の作業用手袋。
【請求項5】手袋金型に手袋を挿入、セットし、手袋の親指部を外側方向に回転させて親指部の腹が正面を向くようにした後、各指および掌部の関節や節を避けるように防振材または断熱材を配置させ、このとき、人差し指の根元部を除く先端部に配置される防振材または断熱材の厚みを、他の箇所に配置される防振材または断熱材の厚みの半分以下にし、次にその上から中間布地を加熱接着し、最後に、手袋金型から手袋を取り外し、手袋の指を引きだして裏返しにすることを特徴とする作業用手袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉱業、農林水産業、土木建設業、製造業等の現場において使用される作業用手袋およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉱業、農林水産業、土木建設業、製造業等の現場においては、削岩機、チッピングハンマー、コンクリートブレーカー等のピストンによる打撃機構を備える振動機器、チェーンソー、エンジンカッター等の内燃機関を内蔵する振動機器が多数用いられている。これらの手持ちの振動機器を用いる場合、作業者に対する関節障害や神経性障害などの影響を防止するために、振動機器のハンドルから作業者の手へ伝搬する振動を軽減するために、皮、ゴムまたはビニール製の手袋の内側に防振材を一体化させた厚手の作業用手袋が通常、用いられている。
【0003】しかしながら、これらの作業用手袋は、内部に厚い防振材が存在するため、手にフィットさせるように多くのサイズを揃えることはコストアップを招き、また、手の感触がなくなり機器を微妙に操作することが困難になるという問題を有している。また、この種の手袋は、汗で汚れることが多いが、内部に厚い防振材があるため、裏返しにすることができず洗濯がしずらいという問題を有している。さらに、材質が、皮、ゴムまたはビニール製のため、振動機器や工具を掴む場合に滑りやすいとともに、通気性に乏しいので不快な悪臭が発生してしまうという問題を有している。
【0004】この問題を解決するために、本発明者は、特開平10−53908号公報において、手の形状をした3層の布地からなり、そのうちの2層の布地の間に、手が曲がり易いように関節や節を避けるように複数の防振材を配置させた作業用手袋を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の作業用手袋で例えば削岩機等の振動機器を操作する場合、人差し指を内側に曲げて操作スイッチを押す必要がある。しかしながら、上記特開平10−53908号公報の作業用手袋においては、人差し指にある防振材の厚みで人差し指が曲げ難くなり、スイッチの位置の確認やその操作がしづらいという問題を有している。特に、この作業用手袋をインナー手袋としその上からアウター手袋をはめる場合には、この問題がさらに大きくなっている。なお、この問題は、内部に断熱材が入った厚めの防寒用手袋においても同様である。
【0006】本発明は、上記従来の問題を解決するものであって、作業中において機器や工具を掴み易くして密着性を向上させるとともに、操作スイッチの操作性を向上させることができる作業用手袋およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の作業用手袋は、掌側の布地2と、甲側の布地3と、前記両布地間に挟まれた中間布地4と、掌側の布地と中間布地の間に固定された複数の防振材または断熱材5とを備え、前記防振材または断熱材は、各指および掌部の関節や節を避けるように配置されると共に、人差し指6に配置される防振材5′または断熱材の厚みを、他の箇所に配置される防振材5または断熱材の厚みの半分以下にしたことを特徴とする。
【0008】なお、掌部に配置された防振材または断熱材により略星型形状の凹部7を形成するようにしてもよい。また、掌側の布地2の表面に滑り止め加工を施してもよい。また、請求項1記載の作業用手袋をインナー手袋とし、該インナー手袋に装着するアウター手袋9の人差し指9aの先端部を細くするようにしてもよい。
【0009】また、本発明の作業用手袋の製造方法は、手袋金型7に手袋を挿入、セットし、手袋の親指部を外側方向に回転させて親指部の腹が正面を向くようにした後、各指および掌部の関節や節を避けるように防振材または断熱材を配置させ、このとき、人差し指の根元部を除く先端部に配置される防振材または断熱材の厚みを、他の箇所に配置される防振材または断熱材の厚みの半分以下にし、次にその上から中間布地を加熱接着し、最後に、手袋金型から手袋を取り外し、手袋の指を引きだして裏返しにすることを特徴とする。なお、上記構成に付加した番号は、本発明の理解を容易にするために図面と対比させるもので、これにより本発明の構成が何ら限定されるものではない。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1および図2は、本発明の作業用手袋の1実施形態を示し、図1(A)は手袋の左手掌側を示す平面図、図1(B)は図1(A)の一部断面図、図1(C)は防振材の断面図である。
【0011】作業用手袋1は、綿や合成繊維の生地を縫製したものや、綿や合成繊維をメリヤス編みした手にフィット感のある柔らかい手袋である。メリヤス製手袋の場合は、綿、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、ポリプロピレン、或いはこれらの混紡糸が使用される。なお、丸編み方式のメリヤス製手袋の代わりに横編み方式の軍手を用いてもよく、軍手の場合には縫製がないのでコストがさらに低減される。
【0012】作業用手袋1は、掌側の布地2と甲側の布地3の内、掌側の布地2には、滑り止め加工が施されている。すなわち、掌側の掌部の上半分から指部にかけて、ゴム系または樹脂系の塗料を薄層のすべり止め模様を形成するようにスクリーン印刷する。通常のスクリーン印刷の網目の粗さは100メッシュ以上であるが、すべり止め加工には80メッシュ以下の網目の粗いものが好適であり、厚みを0.3〜0.6mm程度とすることにより、柔らかさを維持し且つすべり止め効果を得らことができる。また、塗料を機械的発泡、化学的発泡により発泡させることにより、すべり止め模様をよりソフトなものにすることができる。
【0013】図2は、すべり止め模様の例を示し、図2(A)は、波形模様の例であり、図2(B)は桝目模様の例であり、図2(C)は菱形模様の例であり、図2(D)は粒状模様の例である。なお、図2(D)の粒状模様は、多孔板の型を用いて印刷する。
【0014】そして、両布地2、3の間には中間布地4を有し、掌側の布地2と中間布地4の間に、図1(A)で点線ハッチングで示す防振材5が設けられている。防振材5は、各指の関節を避けるように、親指に2個、中指と薬指にそれぞれ3個配置している。また、小指には先端部を除いて2個配置し、これにより機器等を握り易くしている。なお、防振材5は、単体で構成してもよいが、図1(C)に示すように、異なる振動数を吸収する弾性部材5a、5bを貼り合わせるようにすれば、これにより種々の振動を吸収することができる。
【0015】また、手の平側の掌部には関節や節を避けるように、すなわち中央に略星形形状の凹部7が形成されるように4個(一体でもよい)の防振材5を配置している。この凹部7が手の相に現れるラインに沿って、折り曲げる時の力が分散、吸収されて、ゴワゴワ感をなくし工具や物を掴み易く、疲れない手袋にしている。
【0016】そして、人差し指部6には、防振材5′を、各指の関節を避けるように、3個配置しているが、防振材5′の厚みを他の箇所に配置される防振材5の厚みの半分以下にすることにより、人差し指6を折り曲げやすくし、操作スイッチの操作性を向上させるようにしている。なお、人差し指6を折り曲げる時は、人差し指6の第1関節から折り曲げるため、掌部につながる関節と次の関節までの間の根元部6aは、他の箇所の防振材5と同等の厚みにしてもよい。
【0017】図3は、図1(A)の凹部7の詳細形状を示し、図3(A)は凹部7と掌部の関節との関係を示す図、図3(B)は凹部7の形状を説明するための図である。
【0018】図3(A)において、凹部7は、略X字状で星型形状をなしており、凹部7の4つの星片7a〜7d内に、手の裳部の略縦方向に延びる2本の関節2a、2bと、略斜め下方に延びる2本の関節2c、2dが通過するように形成されている。詳述すれば、縦方向の星片7a、7cの対称軸は、2本の関節2a、2bを含むように、図3(B)に示すように、略同一線状にあればよく、横方向の星片7b、7dの対称軸は、2本の関節2c、2dが斜め下方に延びている関係で、離間するように形成している。本実施形態によれば、より関節の動きに沿って曲げやすくなり、工具や物等を掴み易くすることができる。なお、上記実施形態においては凹部7を略星型形状にしているが、多角形状、楕円状、或いはこれらの形状に近似する不規則形状でもよい。
【0019】図4は、上記作業用手袋の製造方法を説明するためのフロー図である。先ず、ステップS1で、手袋金型にメリヤス製手袋または軍手からなる手袋を挿入、セットする。次にステップS2で、セットした手袋の親指部を、外側方向に回転させて親指部の腹が正面を向くようにする。次にステップS3で、図2で説明した滑り止め加工を施す。次にステップS4で手袋金型から手袋を取り外し、手袋の指を引きだして裏返しにした後、ステップS5で再び手袋金型に挿入、セットする。次にステップS6で、同様にセットした手袋の親指部を外側方向に回転させて親指部の腹が正面を向くようにする。次にステップS7で、防振材5、5′を図1(A)に示すように配置し、その上から中間布地4を加熱接着する。最後に、ステップS8で、手袋金型から手袋を取り外し、手袋の指を引きだして裏返しにして完成となる。
【0020】手袋金型の親指部は、他の指部が正面を向いているときに内側に向いている(人間の手と同様)ために、滑り止め加工や防振材5の配置時に親指の腹に加工がしにくい。この場合、金型の方を変えるのはコスト増になるため、本発明においては、手袋の親指部を外側方向に回転させて親指部の腹が正面を向くようにし、簡単な方法で滑り止め加工と、防振材5の装着を可能にしている。
【0021】本発明は、前述した作業用手袋1を単独で使用可能であるが、これをインナー手袋としその上からアウター手袋を装着すれば、防振性をさらに向上させることができ、また、防寒性を向上させることができ、さらに、高価なインナー手袋の寿命を延ばすことができる。
【0022】図5は、本発明に係わるアウター手袋の1例を示し、図5(A)は左手掌側の平面図、図5(B)は左手甲側の平面図、図5(C)は製造方法を説明するための図である。
【0023】アウター手袋9は、メリヤス製の手袋または横編み式の軍手10等の表面に、手の平側から手の甲側の周辺部にかけて防水・滑り止め層11(ハッチング部)が形成されており、手の甲側は通気性が確保されている。なお、通気性が必要のない場合には、全面にコーティングする。この防水・滑り止め層11は、手袋10を手の形状をした治具にはめて、浸漬法や塗布、スプレー法、オーバーフロー法によって形成した後、熱風乾燥機にて熱処理する。このとき、図5(C)に示すように、治具12は、人差し指部の根元部12aに対して先端部12bを細くしておき、手袋10をはめて防水・滑り止め層11を形成すれば、図5(A)に示すように、アウター手袋9の人差し指9aの先端部を細くさせることができる。これにより、インナー手袋1の人差し指部6における防振材が無い先端部とアウター手袋9の人差し指部9aの密着感を向上させ、機器の操作性を向上させることができる。また、インナー手袋1の掌側には滑り止め加工が施されているので、アウター手袋9との密着感を向上させることができる。
【0024】なお、アウター手袋は上記の例に限定されるものではなく、例えば、アウター手袋の材質を変えることにより、あらゆる防振の作業内容に多面的に応えられる。例えば、水、油などの液体を伴わない作業であれば、通気性の良い皮革製の手袋をアウター手袋として使えばより快適な作業性が得られる。また、油を使う防振作業の場合には、耐油性のあるアウター手袋をはめればよく、溶剤を使う作業の場合には、耐溶剤性のアウター手袋を、単なる液体の防振作業であれば、作業性の良い天然ゴム製のアウター手袋を使用すれば作業性もまた最近注目を浴びている環境問題に対しても環境に優しい選択になる。このように、アウター手袋を選択することにより、あらゆる場面の作業に対応できることになり、従来に無かった対応ができる。
【0025】以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、内部に防振材を設けた作業用手袋について説明したが、内部に断熱材を設けた防寒用手袋にも適用可能であり、この場合には、前記防振材5を断熱材に置き換えるものとする。
【0026】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の作業用手袋によれば、作業中において機器や工具を掴み易くして密着性を向上させるとともに、操作スイッチの操作性を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】596113971
【氏名又は名称】中部物産貿易株式会社
【出願日】 平成12年11月27日(2000.11.27)
【代理人】 【識別番号】100092509
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 博樹 (外7名)
【公開番号】 特開2002−13014(P2002−13014A)
【公開日】 平成14年1月18日(2002.1.18)
【出願番号】 特願2000−359215(P2000−359215)