トップ :: A 生活必需品 :: A41 衣類

【発明の名称】 インナーベルト付き下衣
【発明者】 【氏名】三宅 武夫

【要約】 【課題】肥満体型の人や、スキーなど激しい運動を行う際においても、ずり落ちない下衣を提供すること。

【解決手段】サイズ調節可能な固定手段42a,42bを備えた略帯状のインナーベルト4が腰裏3に装着されてなる下衣において、インナーベルト4を、尻側の腰裏3を基端として左右方向に下降傾斜するよう形成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 両端付近にサイズ調節可能な固定手段を備えた略帯状のインナーベルトが腰裏に装着されてなる下衣において、インナーベルトを、尻側の腰裏を基端として左右方向に下降傾斜するよう形成してなるインナーベルト付き下衣。
【請求項2】 インナーベルトが、左右2本に分割されたものであって、各々前後身頃の脇縫目にまたがった位置付近を基端として装着されたものである請求項1記載のインナーベルト付き下衣。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ズボンやスラックス、スカートやパンツなどの一般衣料としての下衣をはじめ、スキーパンツなどの運動用特殊衣料としての下衣の改良に関し、より詳しくは、ずり落ち防止のためのインナーベルトを備えた下衣に関する。
【0002】
【従来の技術】ズボンなどの下衣は、既製品であればウエストサイズが3cm間隔で設定されているのが通例であり、個々の着用者に丁度合ったウエストサイズの下衣を選択するのは困難である。また、購入時には程良いウエストサイズであったズボンも、着用者の体型の変化によってサイズが合わなくなってしまうことも多い。しかるに、着用者の動きによって下衣が徐々にずり落ちてしまうことを防止するべく、腰ベルトやサスペンダーが汎用されている。ところが、腰ベルトでは、サイズ調節用孔の穿設間隔の制約から締め具合の微調整ができないという欠点があったし、サスペンダーは肩凝りの一因となる欠点があったので、いずれも十分とは言い難かった。
【0003】そこで、例えば実用新案登録第3057881号「ズリ落ち防止ズボン」では、下衣内側のウエスト部分に相当する腰裏に、伸縮性の素材からなるインナーベルトを新設したズボンが提案されている。このズボンは、帯状をしたインナーベルトの両端部において雌雄の面ファスナーが各々対応するように固着されており、インナーベルトを十分に引き締めて雌雄の面ファスナーを貼着固定することによって、ウエスト部分でズボンを完全に保持させる、というものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記考案に係るズボンでは、伸縮性のあるインナーベルトが腹部にフィットするように締め付けられるので、肥満体型の人や腹部の出た人であってもズボンのずり落ちが防止できるとされているが、実際には、いくら伸縮性のあるインナーベルトによって身体を締め付けても、腹部より細くなった腰骨位置近くまでズボンがずり落ちてしまうことは避けられなかった。太い腹部より胸側で締め付けるならともかく、太い腹部の頂部で締め付けても、着用者の動き等によって、より細い腰骨位置近くまで忽ち落下してしまうのが常であったのである。
【0005】そこで、本発明では、肥満体型の人や、スキーなど激しい運動を行う人が着用した場合においても、ずり落ちない下衣の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、両端付近にサイズ調節可能な固定手段を備えた略帯状のインナーベルトが腰裏に装着されてなる下衣において、インナーベルトを、尻側の腰裏を基端として左右方向に下降傾斜するよう形成することによって、前記所期の課題解決を図った。
【0007】すなわち、尻側から前側にかけて下降傾斜させた状態でインナーベルトを締め付けて固定することによって、あたかも相撲力士の回しのように、背中側腰部から下腹部をインナーベルトで吊り上げて保持することができる結果、ズボンなど着用した下衣がずり落ちることを確実に防止できるようになったのである。
【0008】本発明のインナーベルトは、伸縮性の素材で形成してもよいが、非伸縮性の素材で形成してもよい。伸縮性の素材で形成した場合は装着時に適度なフィット感が得られる利点があるし、非伸縮性の素材で形成した場合は不必要に伸びないのでより確実な吊り上げ効果が得られる利点がある。
【0009】サイズ調節可能な固定手段としては、面ファスナーや各種釦が挙げられるが、とりわけ一端に雌型、他端に雄型の面ファスナーを用いた場合には、微妙な位置調節が可能となり、かつ、ワンタッチで素早い脱着ができる利点が得られる。なお、これらの固定手段は、略帯状をしたインナーベルトの左右両端付近に設けられるのが通例である。
【0010】インナーベルトは、尻側の腰裏を基端として設けられるが、左右後身頃の縫着線である尻縫目上を基端とする場合に限定されるものではなく、該尻縫目より左右の脇腹寄りを基端としてもよい。また、略帯状をした1本のインナーベルトとするほか、左右2本に分割して、各々が前後身頃の脇縫目にまたがった位置付近を基端として装着してもよい。要するに、下衣を着用した際に、インナーベルトが着用者の左右の腰骨上で保持され、かつ、腰骨位置の延長線よりも下側で腹部を支えていれば、ずり落ち防止効果を発揮しうるのである。インナーベルトが下降傾斜する角度としては、該インナーベルトの基端の設定位置にもよるが、約5°〜30°、好ましくは10°〜20°、より好ましくは約15°前後である。あまり傾斜角度が小さいと十分なずり落ち防止効果が得られない反面、あまり傾斜角度が大きいと基端と固定部分との落差が大きくなり過ぎて下衣内に収まらなくなるからである。
【0011】また、インナーベルトは、例えば4cm幅程度の帯状体に形成されるが、左右に連続した1本のインナーベルトとする場合には尻側のみを幅広に形成して腰部のコルセット的効果をもたせてもよい。さらには、面ファスナーやスライドファスナー、各種釦等を介してインナーベルト自体を下衣と脱着可能に形成しておくと、インナーベルトが不必要な場合には取り外すことができる利点が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、前述のように、男性用か女性用か、ズボンかスカートか、一般衣料が運動用特殊衣料か、といった相違を問わず様々な下衣を対象としうるのであるが、典型例としてズボンを例として説明する。
【0013】図1は本発明に係るインナーベルト付きズボンの一例を示した展開正面図である。一般に、ズボン1は、左右の前身頃1a,1bと左右の後身頃2a,2bを縫着してなり、上端ウエスト部分に腰裏3が設けられる。この腰裏3は上部腰裏と下部腰裏の上下2段に形成されることもあるが、図1では腰裏3が腰芯を内包した1段のみからなるズボンの場合を示している。実際には、脇縫目11a,11bで谷折りされて、右前身頃1aの側縁と右後身頃2aの側縁が縫着され、左前身頃1bの側縁と左後身頃2bの側縁が縫着されることによって、ズボンとして完成する。
【0014】本例のインナーベルト4は、略帯状をした伸縮性のある弾性布地を長尺方向ほぼ中央において湾曲形成し、湾曲させた中央部分が尻縫目21の上に位置するよう装着している。非伸縮性の素材を用いた場合は、略帯状をした布地を中央部分で屈曲形成するとよい。その際、屈曲部分は、下側を略三角形状に摘んで縫着してもよいし、切り込みを入れて再縫着してもよい。あるいは、単に屈曲状態でズボン1に直接縫着してもよい。また、本例では、腰裏3に対する左右2本のベルト本体41a,41bの傾斜角度を約15°程度に設定しているが、前述の範囲で傾斜角度は任意に設定可能である。なお、屈曲部分を境にした左右2本のベルト本体41a,41bの各先端付近には、両者の固定手段42a,42bが設けられており、例えば固定手段として面ファスナーを用いる場合には、一方に雄部材を、他方に雌部材を、それぞれ縫着することになる。
【0015】インナーベルト4の長さ、すなわち右側ベルト本体41aと左側ベルト本体41bの長さは、装着されるズボン1のウエストサイズに合わせて設定されるが、図示されるように両方を同じ長さにしてもよいし、一方を他方より長くして、いずれか一方の脇腹近くで固定することとしてもよい。
【0016】図2は図1の例のインナーベルトの背面図、図3は同インナーベルトを取り外した状態の展開正面図である。これらの図に示されるように、インナーベルト4は、ズボン1と脱着可能に形成してもよい。両者の脱着手段としては、ズボン1側のスライドファスナー31とこれに対応するインナーベルト4側のスライドファスナー43が挙げられるほか、雌雄面ファスナーや各種釦を用いることが例示される。なお、本例におけるズボン1側のスライドファスナー31は、腰芯を内包した腰裏3の下端部分に縫着されている。腰裏3の下端部分であれば縫製加工が容易であるほか、とくにインナーベルト4を取り外した際において、剥き出しになったスライドファスナー31が着用者のウエストに強く押しつけられることによる異物感や痛みを防止するためでもある。
【0017】インナーベルト4を脱着可能にする場合、あるいは完全に固定する場合のいずれの場合においても、下衣の左右前身頃1a,1bにかかる位置、つまり脇縫目11a,11bより前側位置においてインナーベルト4を固定する。例えば、図3に示されるように、スライドファスナー31を用いてインナーベルト4を脱着可能に装着した場合には、スライドファスナー31の左右端が脇縫目11a,11bより前身頃1a,1b側に位置するようにする。しかして、インナーベルト4を締めた際に、インナーベルト4によって前身頃1a,1bもが引き締められる結果、ずり落ち防止効果が得られるのである。
【0018】図4は、インナーベルトの他の例を示した展開正面図である。先の例のインナーベルト4は1本の略帯状体を屈曲形成したものであったが、本例のインナーベルトは、右側ベルト本体41aと左側ベルト本体41bとに完全に二分割し、各々の基端部分を腰裏3の下辺で左右脇腹寄りに固定することによって形成している。腰芯を内包した腰裏3への直接縫着も可能ではあるが、縫合糸が外部に露出したり、作業効率の低下を防止するには、腰裏3の下端部分に固定するのが望ましい。
【0019】インナーベルト4の固定位置は、各ベルト本体41a,41bの基端が前後身頃の脇縫目11a,11bにまたがった位置付近とする。各ベルト本体41a,41bの基端が脇縫目11a,11bより尻側寄りの位置になると、左右の前身頃がずり落ちてしまい易くなって本来の目的を達成できないし、各ベルト本体41a,41bの基端が脇縫目11a,11bより前寄りの位置になると締め付け効果が得られにくくなるからである。また、各基端部は縫着により完全固着するほか、釦等を用いて脱着可能に固定してもよい。
【0020】
【発明の効果】本発明に係るインナーベルト付き下衣によれば、背中側腰部から下腹部をインナーベルトで吊り上げるように保持することができるので、着用した下衣がずり落ちることを確実に防止することができる。また、インナーベルトを伸縮素材で形成した場合は装着時に適度なフィット感が得られるし、非伸縮性素材で形成した場合は不必要に伸びないのでより確実な吊り上げ効果が得られる。
【0021】さらに、インナーベルトは外部から見えないので、外観上は一般の下衣と変わらないし、下衣と脱着可能に形成することによって、インナーベルトが不必要な場合の取り外しや洗濯の便宜が図られる。
【出願人】 【識別番号】599015755
【氏名又は名称】三宅 武夫
【出願日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【代理人】 【識別番号】100075960
【弁理士】
【氏名又は名称】森 廣三郎 (外1名)
【公開番号】 特開2002−4120(P2002−4120A)
【公開日】 平成14年1月9日(2002.1.9)
【出願番号】 特願2000−189130(P2000−189130)