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【発明の名称】 二部式着物
【発明者】 【氏名】吉岡 正善

【要約】 【課題】従来の二部式着物の利点を損なうことなく、より自然な日本古来の着物姿の外観を可能とする二部式着物を提供する。

【解決手段】上衣と下衣2を一組とする従来の二部式の女性用和服であって、巻スカート状の当該下衣2において、腰部に縫着された複数の腰紐通し21のうちの一方の端にある腰紐通し21aを、他よりも下方となる位置に縫着する。着用者に下衣2を巻き付け、紐通し21に腰紐23を通して腰部を締める際に、他の紐通しより下方に縫着された紐通し21aが、図2(b)における矢印22aの方向に腰部まで引き上げられる。これに伴い、上前衽22の裾部(褄)24がやや引き上げられ、上前衽22の端の線が美しく垂直に延びると共に、その裾(褄)も不格好に下がることなく、キリッとした美しい外観を呈するようになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上衣と下衣を一組とする二部式の女性用和服であって、巻スカート状の当該下衣において、腰部に縫着された複数の腰紐通しのうちの一方の端にある腰紐通しが、他よりも下方位置に縫着されてなることを特徴とする二部式着物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、女性用和服の二部式着物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、着物の着付けは高度な技術が要求され、多くの小物を使用することもあって、一般的に、初心者等が独自に着付けを行うことは難しい。そこで、簡易かつ容易な着用を目的として、長着を上衣と巻スカート状の下衣とに分離し、各々に縫着した締紐により着用する二部式着物が提案された。これにより初心者等は手軽に和服を利用することができることとなった。
【0003】二部式着物は上記の利点を有するものの、その外観において長着を使用した状態、すなわち日本古来の着物姿を呈するとはいえない点に改善の余地が残されている。具体的には、お端折や後衿(襟)の形成を挙げることができるが、これについては実公昭57−2409号公報、実公昭63−2406号公報等で解決方法が示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、個別的にお端折や後衿(襟)の形成が可能となったとしても、全体としての着物姿が不自然に感じられることがある。和服の着付けにおいては、図3(a)に示される前姿では後衿(襟)から衿元への曲線31、上前身頃の衿元からお端折への曲線32、お端折から上前身頃の衽(おくみ)線にかけての縫着線33を、また図3(b)に示される後姿では後衿(襟)から腰部にかけての背中中心縫着線34、腰部から裾にかけての中心縫着線35を、着用者の直立姿勢に沿ってきれいに形成することが要求される。これは、長着においても技術を要求される点であるが、簡易とされる二部式着物においても、美しい和服姿に対する要請として達成されなければならない。すなわち、上衣、下衣の各々において、後衿(襟)若しくはお端折又は裾の適切な処理が可能となっても、上半身から下半身にかけて縫い目に沿った一連の曲線がきれいに描かれていなければ、美しく端麗な着物姿とはならない。例えば、お端折部において32aのようなズレが生じると、非常に不自然な着物姿となる。
【0005】上衣と下衣とが分離した二部式着物では、前姿ではこのようなお端折部のズレ32aや裾部の線のゆがみ33a、33b、後姿では背中の中心線34と裾部の中心線35が一致しない場合等は、着崩れと呼ばれ、見苦しく均整のとれない外観となる。これは二部式着物であるために、一層容易に又顕著に生じ得る状態である。
【0006】本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、従来の二部式着物の利点を生かしながら、より自然な日本古来の着物姿の外観を可能とする二部式着物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために成された本発明に係る二部式着物は、上衣と下衣を一組とする二部式の女性用和服であって、巻スカート状の当該下衣において、腰部に縫着された複数の腰紐通しのうちの一方の端にある腰紐通しが、他よりも下方位置に縫着されてなることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態及び発明の効果】この発明に係る下衣2は、図2で示されるように巻スカート状であって、その両端には着用のための腰紐23、腰部には複数の腰紐通し21が縫着されている。着用者に下衣2を巻き付け、紐通し21に腰紐23を通して腰部を締める際に、他の紐通しより下方に縫着された紐通し21aが、図2(b)における矢印22aの方向に腰部まで引き上げられる。これに伴い、上前衽22の裾部(褄)24がやや引き上げられ、上前衽22の端の線が美しく垂直に延びると共に、その裾(褄)も不格好に下がることなく、キリッとした美しい外観を呈するようになる。なお、この端の紐通し21aの位置を適宜変更することにより、裾の上がり具合を任意に設定することができる。また、紐通し21aの位置を変えるのではなく、着付けの際に紐通し21aの上げ下げの具合を適宜調節することによっても、多少の調整も可能である。
【0009】
【実施例】本発明に係る二部式着物の実施例を図を参照して説明する。図1において、上衣1は上前身頃11、下前身頃12、後身頃13、衿14及び袖15を有する。身頃11〜13は、身丈をお端折に相当する寸法分だけ長くして裾部16とし、特に上前身頃11は脇部から衿部に向かって身丈を超えて傾斜した裾部17とする。
【0010】両衿14には締紐18a、18bの一端を縫着する。上前身頃11に縫着された締紐18aはそのまま、下前身頃12に縫着された締紐18bは身八ッ口19に通して、それぞれ後ろに回して前まで一周し、前で両締紐18a、18bを締める。これにより、上衣1の着付け及び形の調整が容易となり、着崩れが防止される。また、この締紐18a、18bを使用することにより、本来使用すべき何本かの腰紐をすべて省略することができる。
【0011】前身頃11、12の体への巻き締め時に、女性の胸部において上前身頃11は持ち上げられ、身頃裾部17が身体に対し略水平に保持される。これが下前身頃12、後身頃13と共にお端折部を形成する。
【0012】上衣1の後身頃13には腰部より上方の背部中心線上に締紐18a、18bを通すための紐通し20が設けられている。この紐通し20は、帯に隠れる位置に縫着され、外部に露呈しない。上衣1の着用時にはこの紐通し20に締紐18a、18bを通し、身体へ巻き締めるが、図1(c)に示される様に後衿(襟)14aが矢印14bの方向へ引っ張られ、後衿(襟)14aが開く。この状態は「衣紋がぬける」と表現され、和服姿として良好な外観をなす。
【0013】また図3(b)に示されるように、後姿において矢印34から矢印35にかけて上衣1と下衣2の縫い目を合わせることが必要であるが、本件発明に係る二部式着物では、上衣1、下衣2のそれぞれを任意に左右に動かせるため、後衿(襟)14aに注意を払いつつ背中中心線を合わせることも容易である。
【0014】図2に示すように、巻スカート状の下衣2の上端には複数の腰紐通し21が縫着されているが、その内の上前衽22にある腰紐通し21aは他に比べて10cmほど下方に設けられている。従って、締紐23を腰紐通し21、21aに通し、腰部で締めると、下方に位置する腰紐通し21aが上方に引き上げられる。これにより上前衽22の裾部(褄)24がやや上に上がり、良好な外観を呈する。
【0015】以上の構成により、図3に示すように、前姿(a)では後衿(襟)から胸元までの衿線31、胸元の衿からお端折への線32、そしてお端折から下衣衽線までの線33、のそれぞれ流麗な曲線が得られる。また後姿(b)では、背中から裾までの流麗な1本の曲線の形成が容易となる。全身にわたって着用者の直立姿勢に沿った調和のとれた曲線は、本件発明に係る二部式着物によって表現され、自然な和服姿の外観を呈することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】300047699
【氏名又は名称】石勘株式会社
【出願日】 平成12年6月21日(2000.6.21)
【代理人】 【識別番号】100095670
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良平 (外1名)
【公開番号】 特開2002−4111(P2002−4111A)
【公開日】 平成14年1月9日(2002.1.9)
【出願番号】 特願2000−186849(P2000−186849)