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【発明の名称】 ブラジャーとその製造方法
【発明者】 【氏名】川島 保惠

【要約】 【課題】バストに着用感がなく快適にフィットし、ラインの目立たないブラジャー。

【解決手段】ブラジャーの左右のバック1を、主編地4と主編地よりも大きな締付パワーをもつ帯状上縁ヘム部分2および帯状下縁ヘム部分3とが同時、一体に編成された伸縮性編地により縫製する。従来のブラジャーのように、主編地の上縁ヘム部分および下縁ヘム部分に後からテープ状伸縮性編地を縫い付けたり、主編地を折り返したりする必要はない。主編地4中に、主編地4よりも大きく上縁及び下縁ヘム部分2,3よりも小さな、または同じ大きさの締付パワーを有する締付パワー補強編地8を、長手方向帯状に主編地4と一体に編成して均一かつソフトな締付パワーを付与することもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】左右のバック(1)に伸縮性編地を用いたブラジャーであって、バックの上縁ヘム部分(2)及び下縁ヘム部分(3)が、中間の主編地(4)よりも大きな締付パワーをもった帯状のパワー強化編地(5)として主編地と同時、一体に編成されたものであることを特徴とするブラジャー。
【請求項2】バックの一端を所要の幅に狭めて連結具(6)を取り付け、他端にカップ部(7)に取り付けたことを特徴とする請求項1記載のブラジャー。
【請求項3】上縁、下縁ヘム部分のうち、少なくとも一方の締付パワーが主編地の締付パワーに対し2〜4倍であることを特徴とする、請求項1または2記載のブラジャー。
【請求項4】主編地中に、主編地よりも大きく上縁及び下縁ヘム部分よりも小さな締付パワーを有する締付パワー補強編地(8)が、長手方向帯状に主編地と一体に編成されていることを特徴とする請求項1、2または3記載のブラジャー。
【請求項5】バックの伸縮性編地が、合成繊維マルチフィラメントおよび/または天然糸により編成した地編に弾性糸を挿入して連続、一体に編成されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のブラジャー。
【請求項6】バックの伸縮性編地が、合成繊維マルチフィラメントおよび/または天然糸と弾性糸とによる交編編地に弾性糸を挿入して連続、一体に編成されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のブラジャー。
【請求項7】合成繊維マルチフィラメントおよび/または天然糸を用いた地編みに弾性糸を挿入して、主編地と主編地よりも締付パワーを強化したパワー強化編地とを所要の幅で交互縞状に、かつ、主編地と主編地との間に挟まれるパワー強化編地には抜き糸と抜き糸の両側に耳環糸とを編み込むとともに、双方の耳環糸にそれぞれの側から弾性糸を挿入してその一部に抜き糸を絡めた編地を連続一体に編成し、編成した編地から抜き糸を除去して両縁部がパワー強化編地、中間部が主編地からなる複数の帯状伸縮性編地に分割し、得られた帯状伸縮性編地を所要の長さごとに切断して帯状伸縮性編地片とし、両縁部のパワー強化編地をそれぞれ上縁ヘム部分および下縁ヘム部分として左右のバックに用い、カップ部分に取り付けて縫製することを特徴とするブラジャー製造方法。
【請求項8】合成繊維マルチフィラメントおよび/または天然糸と弾性糸とを用いて編成した地編みに弾性糸を挿入して、主編地と主編地よりも締付パワーを強化したパワー強化編地とを所要の幅で交互縞状に、かつ、主編地と主編地との間に挟まれるパワー強化編地には抜き糸と抜き糸の両側に耳環糸とを編み込むとともに、双方の耳環糸にそれぞれの側から弾性糸を挿入してその一部に抜き糸を絡めた編地を連続一体に編成し、編成した編地から抜き糸を除去して両縁部がパワー強化編地、中間部が主編地からなる複数の帯状伸縮性編地に分割し、得られた帯状伸縮性編地を所要の長さごとに切断して帯状伸縮性編地片とし、両縁部のパワー強化編地をそれぞれ上縁ヘム部分および下縁ヘム部分として左右のバックに用い、カップ部分に取り付けて縫製することを特徴とするブラジャー製造方法。
【請求項9】主編地中に、主編地よりも大きくパワー強化編地を超えない締付パワーを有するパワー補強編地を編み込むことを特徴とする請求項7または8記載のブラジャー製造方法。
【請求項10】前記帯状伸縮性編地片の一端を所要の幅に狭めて連結具を取り付け、他端をカップ部に取り付け縫製することを特徴とする請求項7、8または9記載のブラジャー製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、左右のバック部分に伸縮性編地を用いたブラジャーとその製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から使用されているブラジャーの多くは、図2に例示されるようにカップ部7をバストの適正位置に保持するために、バック1に伸縮性編地を用い、さらに上縁ヘム部分および下縁ヘム部分の内側に主編地部分よりも強い伸縮パワーを有するテープ状伸縮性編地9を縫い付けて、必要な締付パワーを付与していた。しかし、テープ状伸縮編地9を縫い付けたことによって、たとえば着用者に違和感を与え、着用後にも肌にテープ跡が残ったり、Tシャツなどの表面にブラジャーバックのラインが浮き上がって外観を損なうといった問題があった。これらの問題を解決する手段として、特開平9−302505号公報には、バックの上、中、下における締付パワー比率を変え、かつ下縁ヘム部内側における凹凸をなくするために締付用テープを外側貼付けたり、ヘムを外側に二つ折りにしたり、ヘムパワーネットの使用などが提案されている。また、実用新案第3052217号には、上縁を従来通りとし下縁に編地の耳を位置させてほつれを防止したブラジャーが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、バストに着用感がなく快適にフィットし、かつラインが外側に目立たない優れたバックのブラジャーおよびその合理的、効率的な製造方法の提供を目的に完成されたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を解決するために、左右のバック1に伸縮性編地を用いたブラジャーであって、バックの上縁ヘム部分2及び下縁ヘム部分3が、中間の主編地4よりも大きな締付パワーをもった帯状のパワー強化編地5として主編地と同時、一体に編成されたものであることを特徴とするブラジャーを提供する。バックの一端を所要の幅に狭めて連結具6を取り付け、他端をカップ部7に取り付けることもできる。上記ブラジャーにおいて、上縁、下縁ヘム部分のうち、少なくとも一方の締付パワーを主編地の締付パワーに対し2〜4倍にしておくことが好ましい。さらに、本発明ブラジャーのバックには、主編地4中に、主編地4よりも大きく上縁及び下縁ヘム部分2,3を超えない大きさの締付パワーを有する締付パワー補強編地8を、長手方向帯状に主編地4と一体に編成して均一かつソフトな締付パワーを付与することもできる。
【0005】前記伸縮性編地には、合成繊維マルチフィラメントおよび/または天然糸により編成した地編に弾性糸を挿入して連続、一体に編成されたもの、あるいは、合成繊維マルチフィラメントおよび/または天然糸と弾性糸とによる交編編地に弾性糸を挿入して連続、一体に編成されたものを使用するとよい。
【0006】さらに本発明は、合成繊維マルチフィラメントおよび/または天然糸を用いた地編みに弾性糸を挿入し、または合成繊維マルチフィラメントおよび/または天然糸と弾性糸とを用いて編成した地編みに弾性糸を挿入して、主編地と主編地よりも締付パワーを強化したパワー強化編地とを所要の幅で交互縞状に、かつ、主編地と主編地との間に挟まれるパワー強化編地には抜き糸と抜き糸の両側に耳環糸とを編み込むとともに、双方の耳環糸にそれぞれの側から弾性糸を挿入してその一部に抜き糸を絡めた編地を連続一体に編成し、編成した編地から抜き糸を除去して両縁部がパワー強化編地、中間部が主編地からなる複数の帯状伸縮性編地に分割し、得られた帯状伸縮性編地を所要の長さごとに切断して帯状伸縮性編地片とし、両縁部のパワー強化編地をそれぞれ上縁ヘム部分および下縁ヘム部分として左右のバックに用い、カップ部分に取り付けて縫製することを特徴とするブラジャー製造方法を提供する。
【0007】上記のブラジャー製造方法においては、主編地中に、主編地よりも大きくパワー強化編地を超えない締付パワーを有するパワー補強編地を編み込むこともできる。そして、前記帯状伸縮性編地片の一端を所要の幅に狭めて連結具を取り付け、他端をカップ部に取り付けてブラジャーを製造することも容易である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明のブラジャーとその製造方法とについて、実施形態を例示しつつ具体的に説明する。図1は本発明ブラジャーの外観図であり、図2は従来タイプのブラジャー外観図である。これらの図はいずれも発明の理解を助けるために実施形態の一例をあげたものである。
【0009】まず、本発明伸縮性たて編地の締付パワーの測定方法を説明しておく。測定用サンプルには、たて方向2.5cm×よこ方向17cmの編地を使用した。このサンプルを定速伸長形引張試験機(デジタル表示)に引張間隔を10cmにして取り付け測定した。伸度は荷重2.25kgfを付与したときの伸長率を用いた。締付パワーの測定は、伸張率が0%から80%になるまで300mm/minの速度で伸長と回復とを3回繰り返し、3回目における伸長率30%時の伸張時及び回復時の応力を読み取って平均を求め、締付パワーとした。
【0010】さて、本発明ブラジャーの左右のバック1は、主編地4と主編地よりも大きな締付パワーをもつ帯状上縁ヘム部分2および帯状下縁ヘム部分3とが同時、一体に編成された伸縮性編地を用いて縫製されている。従来のブラジャーのように、主編地の上縁ヘム部分および下縁ヘム部分に後からテープ状伸縮性編地を縫い付けたり、主編地を折り返したりする必要はない。
【0011】本発明ブラジャーのバックに使用する伸縮性編地は、合成繊維マルチフィラメントや天然糸からなる地編みに弾性糸を挿入し、あるいは合成繊維マルチフィラメントや天然糸と弾性糸とを交編した地編みに弾性糸を挿入して編成する。合成繊維マルチフィラメントには、一般にポリエステル糸、ナイロン糸、レーヨン糸など合成繊維のマルチフィラメントを用いる。なかでも吸水性に富むナイロン糸やレーヨン糸が好ましく用いられる。綿糸などの天然繊維を単独で、あるいは混紡や合撚して用いてもよい。弾性糸としては、通常、ポリウレタン糸や被覆ポリウレタン糸を用いる。使用する合成繊維マルチフィラメントの繊度は、総繊度20〜120dtex、単繊維繊度0.5〜5dtexの範囲、綿糸を使用する場合は60〜120番手の範囲が好適である。弾性糸繊度は、総繊度33〜940dtex、単繊度2〜130dtexが好適である。
【0012】編地組織は付与する締付パワーの程度やデザインなどによって適宜に選択できる。なかでも合成繊維マルチフィラメント等の非弾性糸と弾性糸とを編糸にして4コースアトラスや6コースアトラスを交編し、弾性糸を挿入糸とした編地が、薄く軽く強い編地として好まれる。非弾性糸及び弾性糸を編糸する4コースアトラス編地組織(地編)の一例を図3に示す。4コースサテン、6コースサテンも一般的である。また、トリコネット等の3バーの編地組織や、パワーネット、ハーフネット、メッシュ等の4バーの編地組織を利用してもよい。
【0013】本発明に使用する伸縮性編地は、主編地と主編地の長手方向両縁ヘム部分に主編地より締付パワーを強化した帯状パワー強化編地とを一体に編成する。編地の両縁ヘム部分はバックの上縁ヘム部分および下縁ヘム部分として利用する。上縁ヘム部分と下縁ヘム部分とに付与する締付パワーは同一である必要はなく、それぞれに要求される締付パワーに従って所要の値になるように編成する。
【0014】バックの上、下縁のうち少なくともいずれか一方のヘム部分には、主編地の2〜4倍の締付パワーを付与することが好ましい。従って、パワー強化編地では、締付パワーを150〜500(g)、経方向の伸長率を130〜200(%)、緯方向の伸長率を100〜200(%)程度に調整して編成するとよい。締付パワーの強弱や伸長性は、挿入する弾性糸の本数や繊度により、パワー強化編地と主編地とでそれぞれ適宜に調節することができる。
【0015】パワー強化編地を編成する編糸および弾性糸のランナーは、主編地を編成する編糸および弾性糸のランナーよりも大きくする。パワー強化部分のランナーを大きくすることにより、締付パワー差により生ずる編地の波打ちや湾曲を防止し、編地全体を平滑に仕上げることができる。具体的には編組織、編糸、編機のゲージなどにより異なるものの、通常、主編地を構成する糸条のランナーに対し、パワー強化部分を編成する糸条のランナーは、合成繊維マルチフィラメントについて1.1〜1.5倍、綿糸について1.1〜1.5倍、弾性糸について1.1〜2.5倍の範囲に調整することが好ましい。編成条件にもよるが、パワー強化部分を編成する合成繊維マルチフィラメントおよび綿糸のランナーを20〜240cmに調整するとよい。挿入糸として編成する弾性糸のランナーは5〜30cmの、編糸として編成する弾性糸のランナーは80〜130cmの範囲に調整しておくとよい。
【0016】本発明ブラジャーのバックに使用する伸縮性編地は、合成繊維マルチフィラメントおよび/または天然糸を用いた地編みに弾性糸を挿入し、または合成繊維マルチフィラメントおよび/または天然糸と弾性糸とを用いて編成した地編みに弾性糸を挿入し、主編地とパワー強化編地とを所要の幅で交互縞状に一体編成した後、分割することによって合理的、効率的に製造することができる。図4にその伸縮性編地製造手順を模式的に示した。すなわち、(a)主編地4中及び両縁のたて方向に主編地4よりも締付パワーの大きなパワー強化編地5を所要の間隔で縞状に編成した後、(b)編地を主編地間に挟まれるパワー強化部分5において分割し、両側ヘム部分がパワー強化編地5で構成される帯状伸縮性編地とし、(c)この帯状伸縮性編地を所要の長さごとに切断して個々のバック用伸縮性編地を製造するものである。
【0017】分割を容易にするには抜き糸を利用するとよい。実施形態として、合成繊維マルチフィラメント等の非弾性糸と弾性糸とを用いて編成した前記4コースアトラス(図3)を例に、伸縮性編地製造工程において抜き糸を挿入する際の抜き糸周り編組織を図5に示した。また、非弾性糸13を用いて編成した6コースサテンの地編に弾性糸12を挿入した伸縮性編地における抜き糸周り編組織を図6に示した。そして、主編地4とパワー強化編地5とを縞状に編成し、主編地と主編地との間に挟まれるパワー強化編地5に抜き糸10を、抜き糸の両側に耳環糸11を編み込むとともに、双方の耳環糸にそれぞれの側から弾性糸12を挿入してその一部に抜き糸10を絡めておく。前記編地の編成にはラッシェル編機を利用するとよい。トリコット編機は締付パワーを調整する際の編糸の張力調整に限界があるが、目的によっては好ましく使用することができる。
【0018】前記抜き糸を編み込んだ編地から抜き糸10を除去すると、抜き糸に絡めた弾性糸12が収縮するとともに編成した編地は複数に分割され、両縁がパワー強化部分5、中間部が主編地4からなる所要の幅のブラジャー用伸縮性編地を能率よく製造することができる。上縁ヘム部と下縁ヘム部とにおいて締付パワーを変える場合には、強化部分に付与するパワーを交互に変更することになる。弾性糸12の収縮によりヘム部の端はほつれにくく、見た目も良好である。
【0019】得られた帯状伸縮性編地を所要の長さごとに切断して帯状伸縮性編地片とし、両縁のパワー強化編地を上縁ヘム部分および下縁ヘム部分とする左、右のバックに用い、カップ部分に取り付けて本発明ブラジャーに縫製することができる。抜き糸は、積極的糸送り装置を用いることによって、引抜抵抗を10gf以下に抑え、引抜きを容易にすることができる。
【0020】ブラジャーバックは、カップ側7を幅広に、連結部側を幅狭にして縫製することが多い。本発明において連結部6側を幅狭にするには、前記の伸縮性編地をカップ側の幅に併せて編成し、たとえば、図7に模式的に示したように連結具側端にV字形の切り込み14をいれてその部分を掛接ぎ15をすると、編地に凹凸を生じることなく好ましい。その具体的な実施態様例を図8に示す。幅を狭めると編地は、通常緩やかに湾曲するのでバックが身体に密着しやすくなる。
【0021】さらに、本発明のブラジャーバックでは、図9に示したように、主編地4中に、主編地4よりも大きく上縁及び下縁ヘム部分2,3よりも小さい締付パワーを有する締付パワー補強編地8、または上縁及び下縁ヘム部分2,3と同じ締付パワーを有する締付パワー補強編地8とをスリーラインズとして、長手方向帯状に主編地と一体に編成しておくことにより、より滑らかなフィット性を発揮させることができる。パワー補強編地8を編み込んだ場合について連結具端を狭めるのにギャザ16を利用する例を併せて前記図9に、その具体的な実施態様例を図10に示した。ギャザ16あるいはタックを利用しても好ましく幅を狭めることができる。
【0022】
【発明の効果】本発明のブラジャーは、バックがヘム部分を含めて一枚の伸縮性編地によって編成され、編地の重ね合わせによる凹凸がないので、内外面ともに滑らかで着用感がなく、快適にフィットし、かつブラジャーのラインが目立つことはない。主編地中に、主編地よりも大きく上縁及び下縁ヘム部分よりも小さな、または同じ大きさの締付パワーを有する締付パワー補強編地を、長手方向帯状に主編地と一体に編成して均一かつソフトな締付パワーを付与することもできる。また、本発明に係る製造方法を採用すれば、上記伸縮性編地を合理的、効率的に製造できる。
【出願人】 【識別番号】593004094
【氏名又は名称】マツモト・テキスタイル株式会社
【出願日】 平成13年5月21日(2001.5.21)
【代理人】 【識別番号】100090505
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 充
【公開番号】 特開2002−339110(P2002−339110A)
【公開日】 平成14年11月27日(2002.11.27)
【出願番号】 特願2001−151388(P2001−151388)