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【発明の名称】 カップ付き女性用衣類
【発明者】 【氏名】池裏 久恵

【要約】 【課題】カップ部の自己保形性に優れ、着用感の良好なカップ付き女性用衣類を提供する。

【解決手段】カップ部1の前側表面にはライン状の所定のデザイン形状を施したカップ支持部材7が設けられる。このカップ支持部材7はカップ部の前側に貼り付けられる樹脂層を基材として、その前側に繊維層を重ね合わせて形成される。肩ストラップ6は上記のカップ支持部材7と連続するように縫着されており、着用状態で肩ストラップ6とカップ支持部材7は上下方向に連続する一体のデザインとなる。また、着用状態では肩ストラップ6からの作用力はカップ支持部材7に間接的に伝わり、カップ部1の自己保形性が向上される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 左右一対のカップ部と、このカップ部の上縁部に取り付けられた左右一対の肩ストラップと、を備えるカップ付き女性用衣類において、前記カップ部の前側表面には、前記肩ストラップの取り付け位置から下方に向ってライン状に延びるカップ支持部材が設けられている、ことを特徴とするカップ付き女性用衣類。
【請求項2】 前記カップ支持部材は、前記カップ部の前側表面に貼り付けられた可撓性を有する樹脂層を基材として、この樹脂層の前側に繊維層を重ね合わせて構成されていることを特徴とする請求項1記載のカップ付き女性用衣類。
【請求項3】 前記肩ストラップと前記繊維層は、同一系統の色彩を有していることを特徴とする請求項2記載のカップ付き女性用衣類。
【請求項4】 前記カップ支持部材は、前記樹脂層を加熱して前記カップ部の前側表面に圧接することにより貼り付けられていることを特徴とする請求項2または3記載のカップ付き女性用衣類。
【請求項5】 前記カップ部は、自己保形性を有すると共にハーフカップサイズであって、その下縁湾曲部にはカップワイヤー部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のカップ付き女性用衣類。
【請求項6】 前記カップ支持部材は、前記肩ストラップの取り付け位置から前記カップ部の脇側寄りの下部位置まで延びていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載のカップ付き女性用衣類。
【請求項7】 前記カップ支持部材は、前記肩ストラップの取り付け位置から前記カップ部の脇側において下方に延び、途中で左右一対のカップ部の中間位置である前中心の方向に向かうように湾曲していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載のカップ付き女性用衣類。
【請求項8】 前記カップ支持部材は、前記肩ストラップの取り付け位置から、または、途中から複数のラインに枝分かれしていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載のカップ付き女性用衣類。
【請求項9】 前記肩ストラップは、前記カップ部の上縁部に縫着され、又は係脱可能なホックにより前記カップ部の上縁部に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載のカップ付き女性用衣類。
【請求項10】 前記カップ支持部材は、前記肩ストラップと連続した同一布を前記カップ部の前側表面に逢着あるいは接着したものであることを特徴とする請求項1記載のカップ付き女性用衣類。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラジャーのようなカップ付き女性用衣類に関する。
【0002】
【従来の技術】カップ付き女性用衣類の代表例は、ファンデーション衣類としてのブラジャーである。このようなブラジャーには、カップ布が乳房を覆う割合に応じてフルカップ、3/4カップ、ハーフカップが知られており、カップのサイズ(ボリューム)についても、最も小ぶりなAカップから標準的なCカップ、さらに大きいサイズのD、E、Fカップ等まで、様々な種類が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】例えば、乳房の上部が露出するハーフカップの場合、カップ布の上縁部には肩ストラップが縫着されるが、縫着部には乳房の荷重や運動時の乳房からの反力が加わる。このため、何度も繰り返してブラジャーを着用すると、縫着部近傍のカップ部の布地が伸びてしまったり、カップ布に皺がついてしまう問題があった。
【0004】特に、ボリュームの大きいE,Fカップ等の場合や、着用者が体を動かすことの多いスポーツウーマンタイプである場合には、カップの布地が伸びたり摩耗したりする不具合が生じ易い。そして、このような不具合を解消すべく、カップ布の強度を高めたり補強部材を付けたりすると、着用感が低下したりデザイン性が低下する等の解決すべき課題があった。
【0005】本発明は、このような課題を解決したカップ付き女性用衣類を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、左右一対のカップ部と、このカップ部の上縁部に取り付けられた左右一対の肩ストラップと、を備えるカップ付き女性用衣類において、カップ部の前側表面には、肩ストラップの取り付け位置から下方に向ってライン状に延びるカップ支持部材が設けられている、ことを特徴とする。
【0007】本発明のカップ付き女性用衣類によれば、着用状態では肩ストラップの延長方向がライン状のカップ支持部材の延びる方向に連続するようになるので、肩ストラップの取り付け位置でカップ部に加わる乳房の荷重や反力の集中が緩和される。
【0008】カップ支持部材は、カップ部の前側表面に貼り付けられた可撓性を有する樹脂層を基材として、この樹脂層の前側に繊維層を重ね合わせた構成とすることが好ましい。樹脂層がカップ部の前側に貼り付けられるので、カップ部の前側カップ布等に無理な負荷を与えることがない。また、樹脂層の前側に繊維層を重ね合わせて構成され、かつ、着用状態で肩ストラップがカップ支持部材に連続するが故に、デザイン性が低下することもない。
【0009】本発明のカップ付き女性用衣類において、肩ストラップと前記繊維層は、同一系統の色彩を有していることを特徴としても良く、このように外観をマッチングさせることで、肩ストラップのラインがカップ部に連続するという、斬新で美しいデザイン機能を奏し得る。
【0010】本発明のカップ付き女性用衣類において、カップ部は、自己保形性を有するハーフカップサイズであって、その下縁湾曲部にはカップワイヤー部を有することを特徴としても良い。このようにすれば、不織布等が縫い込まれることで獲得されたカップ部の自己保形性が、剛性を有するカップワイヤー部と可撓性を有するカップ支持部材の協働関係により向上されるので、ハーフカップでありながら優れたバストの補整機能と着心地の良さを実現できる。
【0011】本発明のカップ付き女性用衣類において、カップ支持部材は、肩ストラップの取り付け位置からカップ部の脇側寄りの下部位置まで延びていることを特徴としても良く、このようにすれば、乳房の荷重が最も懸かりやすいカップ部の脇側寄り下部を無理なくサポートできる。
【0012】本発明のカップ付き女性用衣類において、カップ支持部材は、樹脂層を加熱してカップ部の前側表面に圧接することにより貼り付けられていることを特徴としても良い。このようにすれば、洗濯時等にカップ支持部材が剥がれ難く製造(貼り付け)工程が簡単なので、長寿命の製品をリーズナブルな価格で提供できる。
【0013】本発明のカップ付き女性用衣類において、肩ストラップは、カップ部の上縁部に縫着され、又は係脱可能なホックによりカップ部の上縁部に着脱自在に取り付けられていることを特徴としても良い。いずれの場合でも、肩ストラップの取り付け位置近傍のカップ部に懸かる荷重を緩和することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。なお、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】図1は実施形態のカップ付き女性用衣類を示す斜視図である。このカップ付き女性用衣類は、ハーフカップタイプ(乳房の上部が露出するタイプ)のブラジャーであって、カップ部1の下縁湾曲部にはたとえば金属製のカップワイヤー(図示せず)を芯材とするカップワイヤー部2を備えている。カップ部1は前側のカップ表布と肌側のカップ裏布を有し、その間にシートあるいはパッド状の芯材を挟んで構成される。芯材は不織布、発泡ポリウレタンのような一定の厚みと保形性、弾発性を有する素材で構成され、これが合成繊維や天然繊維の織布、編布等からなるカップ表布とカップ裏布とに挟まれ、縫い合わされたりすることで、カップ部1の全体が自己保形性を獲得することになる。
【0016】左右一対のカップ部1は前中心で連結されるが、この前中心連結部3には二つのタイプがある。第1は、テープ材や布地(前中心布)を両カップ部1(又はカップワイヤー部2)の前中心側端部に縫着等することで連結するタイプ(図1のタイプ)であり、この場合には、脇部4から背後側に続くバック部5に係脱自在のホック(図示せず)が設けられる。第2は、前中心を係脱自在のホックで連結するタイプであり、このようなブラジャーはフロントホック型と一般に呼ばれている(このタイプは図3に示される)。なお、脇部4やバック部5は、伸縮性を有する織布、編布等で構成される。
【0017】肩ストラップ6は織布のような布地を紐状に成形、縫製して形成され、カップ部1とバック部5の間に掛け渡されている。すなわち、肩ストラップ6の一端はカップ部1の上縁部に縫着等で取り付けられ、他端はバック部5に縫着等で取り付けられる。ここで、肩ストラップ6の一端のカップ部1に対する縫着位置は、カップ上縁部の脇側寄りの位置であり、この位置からカップ部1の脇側下部に向ってカップ支持部材7がライン状に延び、途中および先端部(カップ部1の脇側下部)で複数に枝別れして2本は前中心方向に、残りの2本は脇側方向に屈曲するように設けられている。
【0018】カップ支持部材7はカップ表布に貼り付けられる樹脂層(図示せず)を基材とし、これに合成繊維や天然繊維の織布、編布、不織布、刺繍等の繊維層(図示せず)を重ね合わせて形成される。樹脂層は一定の厚みと可撓性を有し、素材としてはポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン等の各種の合成樹脂が利用できる。樹脂層と繊維層の重ね合わせ構造は、樹脂シートと繊維シートを接着剤で接着し、あるいは熱圧着し、あるいは樹脂シートに刺繍を施すことで獲得でき、これを所望のデザイン柄の細長い形状に切断することで、様々な形状とデザインを施したカップ支持部材7が得られる。
【0019】カップ部1の前側表面(カップ表布)に対するカップ支持部材7(樹脂層)の貼り付け方法としては、例えば接着剤を使った接着や、縫い糸で縫着することにより貼りつけることも考えられるが、製造工程の簡便さを考慮すると、熱圧着法が好ましい。すなわち、樹脂層と繊維層の重ね合わせ構造体(シート状の構造体)を所望の平面形状にカットしたカップ支持部材7を用意し、カップ表布の貼り付け位置にセットし、樹脂層の軟化温度まで加熱して押圧すると、図1に示すようなライン状に延びるカップ支持部材7が貼り付けられたブラジャーが得られる。このような製造方法によれば、洗濯時等にカップ支持部材7が剥がれ難いので、長寿命の製品をリーズナブルな価格で提供できる。
【0020】本実施形態のブラジャーによれば、着用状態では肩ストラップ6の延長方向がライン状のカップ支持部材7の延びる方向に連続するようになるので、肩ストラップ6の取り付け位置でカップ部1に加わる乳房の荷重や反力(運動時に乳房からカップ部1に加わる作用力に対する反力)の集中が緩和される。特に、カップ支持部材7は可撓性を有する樹脂層を基材として、この樹脂層がカップ部1の前側(カップ表布)に貼り付けられるので、カップ部1の一部に局所的に無理な負荷を与えて布地の伸びや皺、変形を生じさせることがない。このようなカップ支持部材7による自己保形性の強化作用は、カップ支持部材7が途中および先端部で複数に枝別れしていることにより、さらに高められる。
【0021】また、着用状態で肩ストラップ6の延長方向がカップ支持部材7の伸びる方向に連続するが故に、カップ支持部材7を設けたことでブラジャーのデザイン性が低下することもない。特に、肩ストラップ6とカップ支持部材7の繊維層に同一系統の色彩を施し、あるいは同一コンセプトのデザインを付与した場合には、外観上で両者をマッチングさせ得る。このため、肩ストラップ6のラインがカップ部1に連続するという、斬新で美しいデザイン機能を奏し得る。
【0022】本発明はノンワイヤーのブラジャーにも、またフルカップや3/4カップのブラジャーにも適用可能であるが、実施形態のように自己保形性を有するハーフカップのブラジャーであって、その下縁湾曲部に剛性を持ったカップワイヤー部2を有する場合には、特に優れたバストの補整機能と着心地の良さを実現できる。すなわち、カップワイヤー部2はカップ部1の自己保形性を向上する役割を果たしているが、着用状態においては、可撓性を有するカップ支持部材7に肩ストラップ6からの作用力がカップ部1を介して間接的に伝わり、これらの協働関係によりカップ部1の自己保形性が向上されるためである。
【0023】また、実施形態のブラジャーでは、カップ支持部材7は肩ストラップ6の取り付け位置からカップ部1の脇側寄りの下部位置まで延びているので、乳房の荷重が最も懸かりやすいカップ部1の脇側寄り下部を無理なくサポートできる。
【0024】図2は、変形例に係るブラジャーの斜視図である。図1のブラジャーと異なる点は、肩ストラップ6の一端が係脱自在のホック61によってカップ部1の上縁部に取り付け可能になっており、肩ストラップ6の他端についても図示しないホックによりバック部5に取り付け可能とされていることである。また、図1に比べると、カップ支持部材7の枝別れが少なく、デザインも異なっている。このようなブラジャーにおいても、肩ストラップ6を取り付けた状態では、図1の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0025】本発明は、上記の実施形態や変形例に限らず、種々の態様が可能である。
【0026】例えば、カップ部1に貼り付けられるカップ支持部材7の形状としては、図1や図2のデザインに限らず、図3のようなデザインを施した形態にできる。いずれのブラジャーも、着用状態において肩ストラップからカップ支持部材に流れるラインで所望のデザインコンセプトを表現している。なお、図3はフロントホック型ブラジャーを示しており、前中心連結部3は左右に分割されてホック31により連結されている。
【0027】また、カップ部の上端部において、肩ストラップの取り付け位置とカップ支持部材の上端の位置との関係については、厳密に一致することを必須とするものではない。互いに「近傍に位置」していれば良く、具体的には、肩ストラップの取り付け位置とカップ支持部材の上端の位置との左右方向のズレは、肩ストラップやカップ支持部材の幅の2倍程度まで許容される。この程度を超えて取り付け位置がズレると、肩ストラップからカップ部に加わる作用力(乳房の荷重などに起因する力)を分散させる機能が不充分となる。
【0028】上記実施形態では、カップ支持部材として樹脂層と繊維層の重ね合わせ構造体を用いているが、これに代えて、樹脂テープをカップ部前側表面に接着したものを用いてもよい。この場合、肩ストラップと、樹脂テープは同色であることが好ましい。また、カップ支持部材として、織物あるいは編物からなるテープ材をカップ部前側表面に逢着したものを用いてもよく、さらに、肩ストラップと連続する同一布をカップ部前側表面に逢着したものを用いてもよい。
【0029】
【発明の効果】本発明のカップ付き女性用衣類によれば、肩ストラップからカップ部に加わる力をカップ支持部材によって分散させることで、肩ストラップの取り付け位置近傍のカップ部を変形させたり皺を生じさせたりする不具合を少なくできる。特に、カップワイヤー付きのハーフカップブラジャーにおいては、着用状態におけるカップ部の自己保形性をカップ支持部材が強める働きをするので、美麗なバストラインを創造しつつ、優れた着用感を実現することができる。また、肩ストラップからカップ支持部材に続くラインに所望の形状、模様、色彩を配することで、女性用ファンデーション衣類としてのブラジャーのデザイン性を格段に向上できる。
【出願人】 【識別番号】000139399
【氏名又は名称】株式会社ワコール
【出願日】 平成13年3月9日(2001.3.9)
【代理人】 【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹 (外2名)
【公開番号】 特開2002−266111(P2002−266111A)
【公開日】 平成14年9月18日(2002.9.18)
【出願番号】 特願2001−67035(P2001−67035)