| 【発明の名称】 |
エコノミークラス症候群予防靴下 |
| 【発明者】 |
【氏名】林 均
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、飛行中の航空客室内において、着座中に装着するだけで脚の浮腫みを改善し、下肢静脈内血液の粘度増加を防止することで、エコノミークラス症候群予防のための靴下を提供すること課題とする。
【解決手段】少なくとも足の指の関節からふくらはぎまでがあたる内側を、パイル状、または毛皮や羽毛のような起毛状に編成された導電性繊維(1)をほどこしてある靴下(3)によって、皮膚に導電性繊維を接触させることで、生体と導電性繊維間に電位差を高密度に発生させて、脚部の浮腫みを改善し、脚部静脈血の粘度増加を防ぐ。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】足のつま先からふくらはぎまで、あるいはそれ以上の長さを有する靴下であって、少なくとも足の指の関節からふくらはぎまでの内側の編成部分が、導電性繊維素材で構成されており、かつその導電性繊維素材が靴下の内側でパイル状、または毛皮や羽毛のような起毛状等の形態を有する編成であることを特徴とするところの、装着時に脚の皮膚部分に高密度に導電性繊維素材が接触するように考案されたエコノミークラス症候群予防の靴下。 【請求項2】導電性繊維素材で構成されている部分が、パイル状、または毛皮や羽毛のような起毛状等の形態を有する導電性繊維で漉き込まれた不織布で構成される請求項1記載のエコノミークラス症候群予防の靴下。 【請求項3】導電性繊維素材部分が、非導電性繊維で編成されており、その非導電性繊維が、装着時に皮膚と接触する部分を導電性素材で鍍金、蒸着、染色、その他の方法でコーティングすることで、導電性を持たせた請求項1記載のエコノミークラス症候群予防の靴下。 【請求項4】導電性不織布部分が、非導電性繊維で漉き込まれた不織布で構成され、その非導電性不織布が、装着時に皮膚と接触する部分を、導電性素材で鍍金、蒸着、染色、その他の方法でコーティングすることで、導電性を持たせた請求項2記載のエコノミークラス症候群予防の靴下。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、導電性繊維と生体を接触させた時に生ずる両者間の電位差を応用して、脚部の浮腫みを改善することで、長時間の飛行中また降機後に身体に発症するエコノミークラス症候群予防の靴下に関する。 【0002】 【従来の技術】飛行中の航空客室内における長時間の着座姿勢によって、脚部の血行が阻害され、浮腫みが発生することで下肢静脈内血液の粘度増加をもたらし、それが飛行中、または降機後に肺に達し血栓となる。これがエコノミークラス症候群と言われる肺塞栓症である。 【0003】このエコノミークラス症候群の存在は、今まで専門家の一部では知られていたものの、日本では最近になって危険性が指摘され、にわかにマスコミで話題となってきたもので、本発明の予防靴下をも含めて、予防製品の存在を未だ聞かない。 【0004】このエコノミークラス症候群の予防方法としては、飛行中の航空客室内においては、血液の粘度増加を防ぐために、なるべく水分を摂取することや、脚の筋肉作用によって静脈血のポンプアップを促進するために、浮腫みを感じてきたら機内をなるべく歩く等の運動を都度行う必要があると言われている。 【0005】ところが、機内を歩き回ったり、立ち上って脚の運動をすることは、飛行中は着座して安全ベルトを締めることを奨励する航空会社の安全基準と矛盾するために、各航空会社はその対応に苦慮している。 【0006】すでに脚の浮腫みを予防する靴下としては、脚の土踏まず付近からふくらはぎ、さらには太ももにかけて段階的に高着圧から低着圧をかけて脚部の血行を維持しながら、静脈弁の変形を防ぐメディカルソックス、メディカルパンストと呼ばれるタイプのものが一般的である。 【0007】メディカルソックス、メディカルパンストは、もともと下肢静脈瘤の治療目的に考案されたもので、ある専門家によると、着用の注意点として、脚部の下から上に向かってしだいに着圧が減少し、かつ過度の圧迫でないことが前提となった場合に、長所としては静脈血の圧に対して脚部圧迫はプラスに作用し、その結果、細胞組織の老廃物を静脈側毛細血管に移動しやすくし、筋肉作用下において静脈血の流れを促進させ、浮腫みを減少させる効果がある。 【0008】一方、動脈血の圧に対して脚部圧迫はマイナスに作用し、その結果、動脈側毛細管から細胞組織へ移動する血液中の酸素や栄養が行きにくくなり、組織の機能を低下させることになると、説明されている。 【0009】このため、脚部を圧迫することは、長短の二面性があり、着圧については個々の脚にあわせて正確に調整されることが要求される。 【0010】当然、個々の脚にあわせて正確な着圧に調整されることで、脚静脈弁の良好な開閉を促すことになる。 【0011】ところが、メディカルソックス、メディカルパンストは、もともと立位姿勢を基本として考案されているため、航空客室内において着座姿勢で使用することは、搭乗する航空機内の座席の高さ、硬さ、着座の深さ等によって変化する脚の各部位における適正な着圧を、その場に応じて正確に調整することは事実上不可能である。 【0012】さらに、飛行中の航空客室内は、室温23〜25℃、湿度20〜30%という環境にあり、また飛行中の歩行回数は、通常座席とトイレの間を1〜2時間に一回ほどを往復する程度であるため、筋肉のポンプ作用はあまりはたらかず、着圧を高めた靴下の装着は、最初から脚部の血行不良を助長する。このため、このエコノミークラス症候群の予防靴下としては不適格である。 【0013】また実際の着用試験においても、着圧を高めた靴下は、航空客室内の着座状態での着用は、早い段階から脚部体温の低下が確認されている。 【0014】このため、なるべく脚部の着圧を高めずに着用できる浮腫み防止靴下が求められることになる。 【0015】別の方法として、生体に電位差を形成する方法で浮腫みが取れると言われており、一番手軽に生体と電位差を形成する方法はとしては、導電性繊維と生体の接触がある。 【0016】すでに、一部で導電性繊維は他の繊維と混紡としたり、または、編成糸の数本のなかの一本として、サポーター、靴下などに使用され、主に健康関連商品として販売されている。 【0017】通常、脚部の血液循環は、心臓から送り出される血圧とともに、歩行などに伴う脚部筋肉の緊張と弛緩による運動と、同時に血液の逆流を防ぐ静脈にある弁で構成されるポンプ作用で成り立っている。 【0018】心臓より遠く、立位時や着座時には低い位置にある脚部の血液循環は、重力の影響で、その多くを脚部筋肉のポンプ作用に依存している。 【0019】長時間の立ち仕事や着座姿勢は、良好な脚部の血液循環を阻害し、血流を停滞させ、脚部に疲労物質を蓄積させる。 【0020】疲労物質の蓄積は体内を酸性に導き、細胞の代謝を阻害し、細胞間液と血液はイオンバランスを崩すために、血管壁より血中水分が血管外に漏出して細胞間液を増やし、そのため脚部の浮腫みを起こす。同時に水分を失った静脈血は粘度増加をきたし、一部成分は血管内壁に付着する。これが成長してはがれ、のちに血栓となるといわれている。 【0021】また、血液成分の血管内壁への付着は、静脈弁の機能を低下させる。このため静脈血は逆流して、静脈はより拡張されて血流は停滞する。 【0022】このように、着座姿勢での浮腫みの原因は、血流の停滞による疲労物質の増加からくる細胞液と血液のイオンバランスの崩れである。 【0023】このイオンバランスを電位的な方法によって正常に保ち、エコノミークラス症候群の原因である浮腫みを防止する効果の有無を確認するために、導電性繊維を使用した市販品を装着して試験をおこなった。 【0024】導電性繊維を使用した製品群では、K社が靴下、サポーターの製造をしており、その他のメーカーの商品はほとんどK社の類似商品であるため、K社の導電性繊維を使用した既存の製品を、飛行中の航空客室内で靴下及びサポーターを装着しそれぞれ左右の脚で試験を1回づつおこなった。 【0025】靴下はいわゆるハイソックスと呼ばれるタイプで、つま先からふくらはぎまでを覆う長さである。導電性繊維は銅染色繊維サンダーロン(商品名)を使用しており、他に数本の通常よく使われる糸とともに編成されており、編成方法も別段特殊な方法ではない。導電性繊維の使用比率は重量比で8%程度である。 【0026】着用試験は、飛行時間約九時間の往復の航空客室内で、左右の脚について行い、飛行時間内の歩行回数は、トイレへの往復のみで5回および6回であった。 【0027】いずれも、3時間から4時間で足に浮腫みを生じ、降機時にいたっては靴を履いている状態では、足に圧迫感を感じ、脱いでから履きなおすと足が靴に入らない状態であった。同時にふくらはぎにも浮腫みを生じ、その度合いは搭乗前よりも、ふくらはぎの周囲の一番太い部分で最大2センチ5ミリ前後の膨張であった。 【0028】また導電性繊維使用サポーターの場合は、飛行時間約九時間の往復の航空客室内で、それぞれ左右の脚ついておこない、飛行時間内の歩行回数はトイレへの往復のみで、5回および6回であった。 【0029】着用サポーターは、足首用によって土踏まずから足首までを覆い、ふくらはぎ用によって、ふくらはぎを覆った。さらに足首の上に届く長さの薄手の靴下を履いて試験をおこなった。 【0030】サポーターはアクリル・コットン35%、シルク8%、アンゴラウール11%、ポリ塩化ビニール16%、導電性繊維(サンダーロン)10%、ポリウレタン16%、ポリエステル4%で編成されているものを使用した。 【0031】いずれも、4〜5時間で足に浮腫みを生じ、トイレへの歩行で改善したが、降機時には靴を履いている状態では、足に圧迫感を感じ、脱いでから履きなおすと足が靴に入にくい状態であった。ふくらはぎの浮腫みは同様の計測で1センチ9ミリ及び2センチ2ミリの膨張であった。 【0032】飛行中の航空客室内での着用試験においては、既存の導電性繊維を使用した製品では足の浮腫み抑えることができなかった。そのため、導電性繊維を脚の皮膚へ最大限に接触させることで、浮腫みを抑えることができないかと考え、新たな靴下を試作した。 【0033】試作靴下は、通常の編成方法である。ただし、導電性繊維による脚の皮膚への接触面積を最大にするために、内側に導電性繊維を、通常内側に編成されるスパンテックスが外側にくるように編成した。 【0034】使用した導電性繊維はサンダーロンである。使用繊維の構成比は重量比で、導電性繊維約90%、残りはスパンテックスである。 【0035】導電性繊維は皮膚と接触することで生体と導電性繊維間で電位差を生ずる。その電位差は通常数十ミリボルトから数百ミリボルトで、一般的なテスターで測定可能である。サンダーロン使用の靴下では200ミリボルト台の数値を示す。 【0036】着用試験は、約9時間の飛行時間を往復で、それぞれ左右の脚について行い、飛行時間内の歩行回数はトイレへの往復のみで、5回および6回であった。 【0037】いずれも、4〜5時間で足に浮腫みを生じ、トイレへの歩行で改善したが、着座時に再び浮腫みを繰り返した。降機時には靴を履いている状態では、足に圧迫感を感じた。ふくらはぎの浮腫みは、上記と同様の計測で搭乗前より1センチ3ミリ及び、1センチ4ミリの膨張であった。 【0038】上記試作靴下の着用試験では、編成した導電性繊維を最大限に脚部に接触させることで浮腫みを改善することを試みたが、上記市販製品と比較して効果の改善はみられたものの、十分な効果には至らなかった。 【0039】そこで、試作靴下装着時の編成構造をよく調べると、脚への装着時には伸びて網目が開かれて、皮膚との接触密度はより粗になり、かつ編成された糸同士が引き合って張力を増し、その断面はより強固な楕円形を形成するために、構成する導電性繊維糸との接触面で、皮膚が楕円形の断面を有する導電性繊維糸との接線を形成するような状態になり、接触面が狭くなることが確認された。 【0040】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、航空客室内において着座中に装着するだけで、脚の浮腫みを改善し、エコノミークラス症候群の予防のために、下肢静脈内血液の粘度増加を防止する靴下を提供することを課題とする。 【0041】上記試作靴下の試験結果から、靴下装着時に導電性繊維を脚部皮膚へ、より広く接触させる手段として、靴下内側の導電性繊維の編成形態を、靴下の装着時に、その張力や伸びによっても、接触面に影響を受けない、パイル状、起毛状とすることが考案された。 【0042】 【課題を解決するための手段】脚部の皮膚表面と導電性繊維が、靴下装着時の張力によって接触面積を減少させないように、靴下内側の導電性繊維をパイル状、または毛皮や羽毛のような起毛状で編成し、少なくとも足の指の関節からふくらはぎまでを密着させて覆うことで、生体と導電性繊維間に電位差を高密度に発生させる靴下によって、脚部の浮腫みを改善し、脚部静脈血の粘度増加を防ぐことで、エコノミークラス症候群の予防をする。 【0043】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の靴下は、つま先からふくらはぎまでを覆う長さで、当該靴下の内側の導電性繊維を一部パイル状に編成して、装着時に脚部の皮膚に最大限に導電性繊維部分が密着する構造とした。尚、使用した導電性繊維はフィラメント状のサンダーロン糸である。 【0044】実施例では、通常の編成方法で一部を針抜編成きして、パイル構造とした。導電性繊維で通常の編成部分とパイル状部分を交互に編成。(図4) 【0045】着用時のパイル部分(7)は引っ張られて伸びて脚の形状にそって皮膚部分と接触する。通常の編成部分(8)は張力により、構造はより堅固になり、接触面積はさほど変化しない。かえって引き合うことで、接触面は幾分減少する。(図5) 【0046】実施例のパイル部分は、導電性繊維のフィラメントの束で構成されている糸を使用しているために、装着前のパイル構成部分断面A〜A′間(図4)の糸断面(9)は、装着時に皮膚(11)との接触時に、張力によりパイル構成部分の断面B〜B′間(図5)で糸断面(10)は、皮膚(11)との接触面積を増す。 【0047】本発明靴下の着用試験は約9時間の飛行時間を往復で左右の脚について行い、飛行時間内の歩行回数はトイレへの往復のみで5回および6回であった。 【0048】 【発明の効果】いずれも、足及びふくらはぎのどちらにも浮腫みが現れず。降機時においての靴の着用も搭乗時とまったく変わりが無かった。ふくらはぎの浮腫みは上記と同様の計測方法で計測し、搭乗前より最大で5ミリ程度の膨張で無視できるものであった。 【0049】以上のように、エコノミークラス症候群の発生原因である長時間の飛行中に、脚部に発生する浮腫みを、本発明の靴下着用によりほとんど防止することができた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】501168434 【氏名又は名称】林 均
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| 【出願日】 |
平成13年3月23日(2001.3.23) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−285403(P2002−285403A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月3日(2002.10.3) |
| 【出願番号】 |
特願2001−128422(P2001−128422) |
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