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【発明の名称】 靴下とその製造方法
【発明者】 【氏名】島 栄治

【氏名】柳澤 忠

【要約】 【課題】着用感が良好であり、歩行運動を確実に補助するとともに、筋力トレーニング効果も有する靴下を提供する。

【解決手段】伸縮性を有する生地で作られ足首より上方に着用される筒状の脛部16と、足首より下方に着用される有底筒状の足先部18が設けられ、脛部16の長手方向中心線と足先部18の長手方向中心線が90°以下の角度で交差する。脛部16と足先部18は、高い伸縮性を有する生地で形成されている伸縮部12と、伸縮部12とは異なる素材を付加した構造又は素材の編み方等を換えた構成を有し、かつ伸縮部12より張力が高く伸縮性を有する生地で形成されている高張力部20とを備える。高張力部20は、脛部16の長手方向中心線と足先部18の長手方向中心線の交点の内角が小さくなる方向に付勢するように設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 伸縮性を有する生地で作られ少なくとも足首より上方に着用される筒状の脛部と、足首より下方に着用される有底筒状の足先部が設けられた靴下において、上記脛部の長手方向中心線と上記足先部の長手方向中心線が90°以下の角度で交差し、この靴下を着用したときに足先が略鉛直上方に付勢されることを特徴とする靴下。
【請求項2】 伸縮性を有する生地で作られ足首より上方に着用される筒状の脛部と足首より下方に着用される有底筒状の足先部が設けられた靴下において、高い伸縮性を有する生地で形成されている伸縮部と、上記伸縮部とは異なる構造又は構成を有しかつ上記伸縮部より張力が高く伸縮性を有する高張力部が設けられ、上記高張力部は、上記脛部の長手方向中心線と上記足先部の長手方向中心線の交点の内角が小さくなる方向に付勢するように設けられ、この靴下を着用したときに足先が略鉛直上方に付勢されることを特徴とする靴下。
【請求項3】 上記高張力部は、上記靴下を着用したときにアキレス腱付近から足の甲の両側を通過して足の裏に達する帯状に設けられていることを特徴とする請求項2記載の靴下。
【請求項4】 上記高張力部は、上記靴下を着用したときに足の甲から足の脛に達する帯状に設けられていることを特徴とする請求項2記載の靴下。
【請求項5】 伸縮性を有する生地で作られ足首より上方に着用される筒状の脛部と足首より下方に着用される有底筒状の足先部が設けられた靴下の製造方法において、この靴下に比較的大きな伸縮性を有する伸縮部を形成するとともに、上記脛部の長手方向中心線と上記足先部の長手方向中心線の交点の内角が小さくなる方向に付勢する高張力部を、熱収縮性の糸により形成し、上記靴下の形成後に加熱して上記高張力部を収縮させることを特徴とする靴下の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高齢者等、足の力が弱い人の動作や運動を補助する機能等を有した靴下とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の靴下には、種々の機能が付与されたものがある。例えば、緊締力を強めてずり落ち防止機能をもたせたものや、厚い生地で作り足を保護する機能を持たせたスポーツ用ソックス等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の靴下は、ずり落ち防止機能や保護機能を有するものはあるが、高齢者等脚力が弱い人のために歩行運動を補助したり、トレーニング機能を有するものはない。
【0004】一方、高齢者は加齢による筋力の低下により、歩行時につまずくことが多くなり、つまずいた後転倒しけがをすることもあり危険である。このつまずきの原因の一つとして、脚力の低下による爪先の挙上運動不足がある。また、脚力が低下した病人や高齢者の筋力を維持向上させる方法として、ウエイトトレーニングなどの方法がある。しかし、トレーニング用の器具のある施設へ行かなければならず、その器具の負荷も高齢者等には大きく、非日常的なものである。そしてトレーニングは時間がかかり、また単調な動作を繰り返さなければならず、継続的に行うことが困難である。
【0005】この発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、着用感が良好であり、歩行運動を確実に補助するとともに、筋力トレーニング効果も有する靴下を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の靴下は、伸縮性を有する生地で作られ足首より上方に着用される筒状の脛部と足首より下方に着用される有底筒状の足先部が設けられた靴下であり、上記脛部の長手方向中心線と上記足先部の長手方向中心線が90°以下の角度で交差し、この靴下を着用したことにより足先が略鉛直上方に付勢され、爪先の略鉛直上方へ向かう挙上運動を補助する。
【0007】また、伸縮性を有する生地で作られ足首より上方に着用される筒状の脛部と足首より下方に着用される有底筒状の足先部が設けられた靴下であり、高い伸縮性を有する生地で形成されている伸縮部と、上記伸縮部とは異なる素材を付加した構造又は素材の編み方等を換えた構成を有し、かつ上記伸縮部より張力が高く伸縮性を有する生地で形成されている高張力部が設けられている。そして、上記高張力部が設けられた方向は、上記脛部の長手方向中心線と上記足先部の長手方向中心線の交点の内角が小さくなる方向に付勢するように設けられ、この靴下を着用したときに足先が略鉛直上方に付勢され、爪先の略垂直上方へ向かう挙上運動を補助する。
【0008】上記高張力部は、上記靴下を着用したときにアキレス腱上方等のアキレス腱付近から足の甲の両側を通過して足の裏に達する環状の帯状に設けられている。または、上記高張力部は、上記靴下を着用したときに足の甲から足の脛に達する帯状に設けられている。
【0009】またこの発明は、伸縮性を有する生地で作られ足首より上方に着用される筒状の脛部と足首より下方に着用される有底筒状の足先部が設けられた靴下の製造方法であって、この靴下に比較的大きな伸縮性を有する伸縮部を形成するとともに、上記脛部の長手方向中心線と上記足先部の長手方向中心線の交点の内角が小さくなる方向に付勢する高張力部を上記靴下の所定位置に形成し、この高張力部を熱収縮性の糸により形成し、上記靴下の形成後に加熱して上記高張力部を収縮させる靴下の製造方法である。上記伸縮部及び高張力部は、一体的に編まれるものである。
【0010】この発明の靴下は、高張力部により、爪先が垂直上方へ向かう方向に引張力が働き、爪先挙上運動を補助する。これにより、脚力が弱い人でも十分に床から爪先を上げて歩行することができ、爪先が床の凹凸にぶつかって転ぶことを防ぐ。そして、爪先で床を蹴るときにはふくらはぎ後側の腓腹筋へ適度な負担がかかり、歩くだけで腓腹筋の筋力トレーニング効果を奏する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態の靴下10は、ふくらはぎの下付近から中央部程度に達する長さを有するのものである。靴下10は、足首より上方に着用される円筒状の脛部16と、足首より下方に着用される有底筒状の足先部18から成っている。そして、脛部16の長手方向中心線と、足先部18の長手方向中心線は、互いに90°以下の角度Aで交差している。
【0012】靴下10の表面で一番広い表面積を占めるのは伸縮部12であり、伸縮部12は高い伸縮性を有する生地、例えば平無地編みのニット生地である。また、靴下10には着脱用の着脱口14が設けられ、着脱口14の周縁部はゴム編みで形成されている。この着脱口14は、ゴム編み以外に収縮性のある材料で形成し、着脱部14が足下にずり落ちないようにするものであればよい。
【0013】そして、脛部16の外側側縁部16aの、着用したときアキレス腱付近に位置する部分から、足先部18の外側側縁部18aの、着用したとき足指の付け根付近に位置する部分にかけて、環状に帯状の高張力部20が設けられている。そして高張力部20は、足の甲の両脇付近では足の甲に沿ってわずかに甲の上方側に湾曲して設けられている。高張力部20は、伸縮部12に使用される平無地編みよりも緊締力の強いニット生地を、周囲の伸縮部12に伸縮可能に縫い合わせて取り付けられている。
【0014】この実施形態の靴下10の作り方は、伸縮部12と高張力部20を、それぞれ所定の生地から裁断し、靴下10の形状に縫製する。
【0015】この実施形態の靴下10によれば、脛部16の長手方向中心線と、足先部18の長手方向中心線が、互いに90°以下の角度Aで交差し、爪先上がりに設計されているため、歩行時の爪先挙上運動を補助することができる。従って、高齢者等脚力が弱い人が着用して歩行したとき、容易に爪先が上がるため、爪先挙上不足によるつまずきを無くし転倒による怪我や障害を防ぐことができる。さらに高張力部20が、爪先挙上運動を補助し、つまづきを防止する。また爪先挙上と逆に、爪先で床を蹴るときにはふくらはぎ後側の腓腹筋へ適度な負担がかかり、腓腹筋の筋力トレーニング効果を有し、腓腹筋の筋力維持、筋力低下予防効果がある。また、伸縮部12、高張力部20とも伸縮性を有する生地を使用しているため、日常生活の中で違和感が無く快適に着用することができる。これにより、トレーニングのために施設へ通ったりトレーニング器具を購入する必要が無く、着用して歩行するだけで安価で手軽に筋力を維持することができる。
【0016】次にこの発明の第二実施形態について図2に基づいて説明する。ここで、上述の実施の形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略する。この実施形態の靴下は、ウエストラインから爪先までを覆うタイツ22である。タイツ22は、足首より上方に着用される円筒状の脛部26と、足首より下方に着用される有底筒状の足先部28が設けられている。そして、脛部26の長手方向中心線と、足先部28の長手方向中心線は、互いに90°以下の角度で交差している。タイツ22の表面で一番広い表面積を占めるのは伸縮部12であり、伸縮部12は高い伸縮性を有する生地、例えば平無地編みの生地である。
【0017】そしてタイツ22には、タイツ22を着用したときアキレス腱付近から足の裏で足指の付け根付近にかけて、環状に帯状の高張力部30が設けられている。高張力部30は、伸縮部12よりも緊締力が強く設定されている。
【0018】高張力部30の作り方は自由であり、例えば伸縮部12にシリコーン樹脂等の合成樹脂を所定形状に塗布または印刷して形成しても良い。この場合、合成樹脂は、スクリーン印刷等が用いられる。また、横編みや縦編み、タック編みにより形成され引張力が高い生地を所定形状に裁断し、伸縮部12に縫い合わせたり重ねて貼り合わせたりしても良い。また、高張力部30の編組織を変えて伸縮部12と一体に編んで設けても良い。
【0019】この実施形態のタイツ22によれば、上記実施形態と同様の効果を有するものである。さらに、ウエストまで身体を覆うため保温効果を有し、また高張力部30の位置ずれも起きにくいものである。
【0020】次にこの発明の第三実施形態について図3に基づいて説明する。ここで、上述の実施の形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略する。この実施形態の靴下は、膝下まで達するハイソックス32である。ハイソックス32は、足首より上方に着用される円筒状の脛部38と、足首より下方に着用される有底筒状の足先部40が設けられている。そして、脛部38の長手方向中心線と、足先部40の長手方向中心線は、互いに90°以下の角度で交差している。
【0021】ハイソックス32は、着脱用の着脱口14が設けられ、着脱口14はゴム編みで形成されている。着脱口14の反対側端部には、爪先部34が設けられている。そして着脱口14と爪先部34の中間付近に、かかとを包むヒール部36が設けられている。そしてヒール部36は、針上げ、針下げを従来の靴下より多くして、深く形成することにより外縁部36aが長く形成される。これにより、脛部38の長手方向中心線と足先部40の長手方向中心線の角度は、90度以下に保持される。
【0022】そして、脛部38の、足に着用したときに身体の後側にくる部分、つまり図面上で右側と、足先部40の、身体に着用したときに足の裏にくる部分、つまり図面上で下方は、伸縮部12となっている。伸縮部12は、高い伸縮性を有する生地、例えば平無地編みで形成されている。
【0023】そして脛部38の、足首よりも上方で身体に着用したときに身体の前側にくる部分に、高張力糸部42が設けられている。高張力糸部42は、伸縮部12と同じ生地、例えば平無地編みで形成され伸縮性があるが、熱収縮性合成繊維のコアスパンヤーン(CSY 日東紡製)により編まれているため、伸縮部12よりも若干張力が高い。さらに、高張力糸部42の下方から、足先部40の、身体に着用したときに足の甲にくる部分、つまり図面上の上方に連続して、上記CSYを使ったタック編みの高張力部43が設けられている。高張力部43は、複数の糸を引っ掛けたまま編み込むもので、通常1列、2列と順番に針で編んでいくところを、1列編み立てると2〜4列目までは編まずに針に糸を引っ掛けたまま5列目で編み込み、摘んだような状態を作り出すものである。このため繊維の密度が高く、平無地編みの高張力糸部42よりも引張力が高くなる。そして、ハイソックス32は高張力部43により、身体の前側にくる部分が縮み、このことからも脛部38の長手方向中心線と足先部40の長手方向中心線の角度が90度以下に確実に保持される。
【0024】また、足先部40には、サポート部44が一周して設けられている。サポート部44は編方向に対して直角にゴムが入れられ、身体への密着性が高められている。
【0025】この実施形態のハイソックス32の作り方は、靴下用の編み機に、平編みとタック編が所定パターンに配置されるようにCSYやその他の編み糸を設定して、ハイソックス32の伸縮部12、高張力糸部42、タック編みの高張力部43を一体に編み上げる。そして編み上げた後、熱処理、例えば110℃に加熱して高張力糸部42及び高張力部43のコアスパンヤーンを熱収縮させる。これにより、確実にハイソックス32は脛部38の長手方向中心線と足先部40の長手方向中心線の角度がより小さくなる。
【0026】この実施形態のハイソックス32によれば、上記各実施形態と同様の効果を有するものである。さらに、従来の靴下と同じ製造方法で作ることができ、設備投資も掛からず好都合である。着用感も従来の靴下と同様に快適なものである。また、足先部40にサポート部44が設けられているため、ハイソックス32のずれを防ぐ。さらに、ヒール部36は深く編み込まれているため、かかとのホールド性が高く、またゆとりを有するため足先挙上運動を支障無く行うことができる。
【0027】なお、この発明の靴下は、上記実施形態に示すように、タイツやストッキング状のもの等、足にはくものを含むものである。また、生地等の素材も、上記実施形態に限定されるものではなく、平編みとタック編以外にパール編みやパール編みを応用した変化組織等を使用しても良い。また、高張力部の引張力を調節する方法は、編み方や編み糸の本数を変更する以外に、編み糸の種類を編成途中で変更しても良い。
【0028】
【発明の効果】この発明の靴下は、快適に着用することができ、着用するだけで爪先側が上げやすくなり、高齢者等足が弱い人の歩行が容易となり、つまずきによる転倒やそれに伴う負傷を防止することができる。また、床を蹴るときには逆に腓腹筋に負担がかかり、適度なトレーニング効果を有する。
【出願人】 【識別番号】500004427
【氏名又は名称】株式会社ジー・アール・ディ
【識別番号】501085016
【氏名又は名称】助野ニット株式会社
【出願日】 平成13年3月1日(2001.3.1)
【代理人】 【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
【公開番号】 特開2002−266104(P2002−266104A)
【公開日】 平成14年9月18日(2002.9.18)
【出願番号】 特願2001−56453(P2001−56453)