| 【発明の名称】 |
ストッキング |
| 【発明者】 |
【氏名】澤井 由美子
【氏名】木下 直之
【氏名】中川 正平
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| 【要約】 |
【課題】耐久性が改善されかつストッキングの生産性が向上したストッキングを提供することができる。
【解決手段】弾性繊維を芯糸としその周囲にポリアミド長繊維を巻き付けるカバリング弾性糸のみでレッグ部を編成するストッキングにおいて、ポリアミド長繊維が、(1)マグネシウム化合物を0.01〜1重量%含有し、(2)98%硫酸相対粘度が2.8〜3.5であり、(3)強伸度積が9cN/dT以上であり(ここで強伸度積=強度×(1+伸度×0.01))、(4)糸条繊度が8〜18dTであり、(5)単糸繊度が1.0〜3.0であることを特徴とするストッキングおよびさらに、ストッキングが、(6)破裂強さが45N以上であり、(7)擦過強度が4級以上であり、(8)製品を分解して得られるポリアミド繊維の強伸度積が6.5cN/dT以上であるストッキング。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 弾性繊維を芯糸としその周囲にポリアミド長繊維を巻き付けるカバリング弾性糸のみでレッグ部を編成するストッキングにおいて、ポリアミド長繊維が、(1)マグネシウム化合物を0.01〜1重量%含有し、(2)98%硫酸相対粘度が2.8〜3.5であり、(3)強伸度積が9cN/dT以上であり(ここで強伸度積=強度×(1+伸度×0.01))、(4)糸条繊度が8〜18dTであり、(5)単糸繊度が1.0〜3.0であることを特徴とするストッキング。 【請求項2】ストッキングが、(6)破裂強さが45N以上であり、(7)擦過強度が4級以上であり、(8)製品を分解して得られるポリアミド繊維の強伸度積が6.5cN/dT以上であることを特徴とする請求項1記載のストッキング。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ストッキングの改良に関するものであり、特に耐久性が改善されかつストッキングの生産性が向上したストッキングに関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、女性の生活環境の変化や、ファッション思考の高まりは、ストッキングの要求特性にも変革をもたらしている。特に最近では、サンダルやミュールが流行しストッキングのつま先部分の切り替えのないタイプが多くなってきている。しかしながら、つま先の切り替えのないタイプのストッキングはレッグ部分の糸をそのままつま先部分に用いているので、耐久性に劣る問題を抱えている。 【0003】この問題点の改善のため、ストッキングを構成するカバリング弾性糸巻糸のポリアミド繊維の繊度を太くすればよいが、ストッキングの審美性である透明性、肌触りが悪くなる。一方で、耐久性を向上させるため、ストッキングを構成するカバリング用ポリアミド長繊維を高強力化するため、糸粘度を高粘度化する方法が一般的であるが、高粘度化すると、ポリアミド長繊維の製糸性が悪くなるため、生産性が劣るという問題を抱えている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者らは、上記のような従来技術の解消についてさらに検討を続けた結果、本発明をなすに至ったものである。即ち、本発明の主たる目的は、従来のストッキングの有する審美性や機能性を損うことなく、耐久性を大幅に改善させるストッキングを提供することと、ストッキングの生産性を高めることである。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため本発明のストッキングは、次の構成を有する。すなわち、弾性繊維を芯糸としその周囲にポリアミド長繊維を巻き付けるカバリング弾性糸のみでレッグ部を編成するストッキングにおいて、ポリアミド長繊維が、(1)マグネシウム化合物を0.01〜1重量%含有し、(2)98%硫酸相対粘度が2.8〜3.5であり、(3)強伸度積が9cN/dT以上であり(ここで強伸度積=強度×(1+伸度×0.01))、(4)糸条繊度が8〜18dTであり、(5)単糸繊度が1.0〜3.0であることを特徴とするストッキングである。さらに加えて、本発明は、ストッキング編地が、(6)破裂強さが45N以上であり、(7)擦過強度が4級以上であり、(8)製品を分解して得られるポリアミド繊維の強伸度積が6.5cN/dT以上であることを特徴とするストッキングである。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明の対象とするストッキングは、パンティストッキング、ロングストッキング、ショートストッキングで代表されるストッキング製品である。例えば、トウ部及びヒール部を有するロングストッキングの場合、レッグ部は、ヒール部のすぐ上の足首に相当する部分から上方の部分であり、そのレッグ部の上端には、通常、伸縮性ベルト部が設けられている。また、パンティストッキングの場合は、トウ部とパンティ部との間がレッグ部に相当する。 【0007】本発明のストッキングは、このようなストッキングの少なくともレッグ部の編地をカバリング弾性糸のみで編成することが必要であり、これにより、横段斑の問題を解消することができる。なお、このレッグ部編地には、他素材からなる編込み模様やワンポイントのような装飾が施されていてもよい。 【0008】カバリング弾性糸は、シングルカバリング弾性糸(SCY)であってもよいし、また、ダブルカバリング弾性糸(DCY)であってもよい。シングルカバリング弾性糸は、弾性繊維糸の周囲にカバリング用糸を一重に巻付けてなる複合弾性糸である。ダブルカバリング弾性糸は、弾性繊維糸の周囲にカバリング用糸を巻付け方向を異ならせて二重に巻付けてなる複合弾性糸である。 【0009】本発明は、弾性繊維を芯糸としその周囲にポリアミド長繊維を巻き付けるカバリング弾性糸のみでレッグ部を編成するストッキングにおいて、ポリアミド長繊維が、(1)マグネシウム化合物を0.01〜1重量%含有し、(2)98%硫酸相対粘度が2.8〜3.5であり、(3)強伸度積が9cN/dT以上であり(ここで強伸度積=強度×(1+伸度×0.01))、(4)糸条繊度が8〜18dTであり、(5)単糸繊度が1.0〜3.0であることが重要であり、さらにストッキングが、(6)破裂強さが45N以上であり、(7)擦過強度が4級以上であり、(8)製品を分解して得られるポリアミド繊維の強伸度積が6.5cN/dT以上であることが好ましい。 【0010】本発明で使用するポリアミド長繊維は、マグネシウム化合物を含有することが重要である。マグネシウム化合物を含有せしめることにより、繊維とガイドなどの接触物との摩擦抵抗を小さくすることができる。本発明のポリアミド系長繊維に含有されるマグネシウム化合物としては、マグネシウムの酸化物または塩が好ましい。具体的には酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム等であるが、これに限定されるものではない。本発明のポリアミド系フィラメント繊維に含有されるマグネシウム化合物はポリアミドに対して0.01〜1重量%でなければならない。0.01重量%未満の場合、糸ガイド類との擦過抵抗低減効果が不充分であり、毛羽、単糸切減少の効果は少なく、ポリアミド長繊維の生産性およびストッキング編成の生産性を向上させる効果が得られず、1重量%を超えると、製糸性が不安定になるとともに強度低下が発生し好ましくない。さらに好ましくは、0.01〜0.5重量%含有するこのがよい。 【0011】また、本発明で使用するポリアミド長繊維は、98%硫酸相対粘度が2.8〜3.5であることが重要である。2.8未満の場合、所望の耐久性を得ることができない。一方、3.5を越えると、製糸性が悪くなり生産上好ましくない。ここで、98%硫酸相対粘度とは、繊維25gを98硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定した値を言う。 【0012】本発明で使用するポリアミド長繊維は、強伸度積が9.0cN/dT以上である必要がある。9.0cN/dT未満の場合、所望の耐久性を得ることができない。特に9.5cN/dT以上が好ましい。ここで強伸度積とは強伸度積=強度×(1+伸度×0.01) で表される数値をいう。強度および伸度はJIS L1069のストリップ法に基づく測定値をいう。 【0013】本発明で使用するポリアミド長繊維は、糸条繊度が8〜18デシテックスのマルチフィラメント糸であることが必要である。特に10〜16デシテックスが、透明性、肌触り、耐久性をさらに向上させるために好ましい。 【0014】本発明で使用するポリアミド長繊維は、単糸繊度が1.0〜3.0デシテックスであることが必要である。1.0デシテックス未満の場合、所望の耐久性を得ることができず、また、ポリアミド長繊維の生産性、ストッキング編成生産性が悪くなり生産上好ましくない。一方、3.0デシテックスを越えると、風合いが悪くなり好ましくない。 【0015】このポリアミド長繊維は、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維等の通常のポリアミド繊維であればよいが、なかでも、透明性や光沢感が特に優れるナイロン6繊維が、繊維自体の透明性や光沢感が特に重要となるストッキングのカバリング用糸として好ましい。また、このナイロン6繊維は、ナイロン6単位のみから構成されるポリアミドであることが好ましいが、その機械的特性や透明性等を阻害しない程度の少量、例えば3モル%以下程度であれば、他のポリマ単位、例えばナイロン66単位やナイロン610単位等が共重合されていてもよい。また同様にその機械的特性や透明性等を阻害しない程度の少量、例えば3重量%以下程度であれば、他のポリマがブレンドされていてもよい。 【0016】このポリアミド長繊維は、酸化チタンを含まないことが好ましい。酸化チタンは艶消し剤として衣料用ポリアミド繊維に一般に配合されてきたものであるが、ストッキングに用いられるカバリング用糸の場合は、酸化チタンが0.02〜0.3重量%のように少量でも含有されるとストッキングの透明性を向上させることが困難であるので、耐久性や透明性等の本発明の所期の目的を達成するためには、酸化チタンを実質的に含有させないことが好ましい。なお、酸化チタン以外の艶消し剤や顔料は、ストッキングのカバリング用糸には従来から添加されていないので、これらも従来同様に実質的に添加しないことが好ましい。 【0017】以下、本発明のポリアミド長繊維の製造方法を図面を参照して説明する。本発明で用いるポリアミド長繊維は通常の紡糸方法である溶融紡糸法により製糸される。その製糸方法は溶融紡糸、冷却、給油の後に、一旦巻き取り延伸を施す通常の方法以外に、紡糸速度1000m/分以上で引き取り、一旦巻き取ることなく延伸して巻き取る直接紡糸延伸方法によっても良いが、3000m/分以上の高速で紡糸し、延伸することなく巻き取る高速紡糸法によっても良い。 【0018】図1は本発明によるポリアミド長繊維の直接溶融紡糸延伸装置の1例を示した図であり、98%硫酸相対粘度が2.8以上、総添加剤含有量が0.001〜1.0重量%のポリアミドを溶融紡糸し、それを一旦巻き取ることなく引き続き延伸する直接紡糸延伸方法によって長繊維とする装置である。図1において、図示しない溶融紡糸機の溶融部で硫酸相対粘度ηrが2.7以上で、ポリアミドの劣化を抑制する効果を持つ添加剤を含む総添加物含有量が0.001〜1.0重量%のポリアミドを溶融したのち、それを溶融紡糸口金1からポリアミド糸条Yaとして溶融紡糸し、第1ゴデットローラ4で引き取るようにする。このように糸条をローラで引き取る間に、紡糸口金1の下方で溶融紡出糸条Yaをクーリングチムニー2から吹き出す冷風により冷却し、給油ガイド3により油剤を付与する。 【0019】第1ゴデーローラ4に引き続いて、この第1ゴデーローラ4よりも速い表面速度で回転する第2ゴデーローラ5に引き取ることにより、上記未延伸の糸条Yaを延伸して延伸糸条Ybにし、最後にスピンドル駆動もしくはタッチローラ駆動されるボビンホルダー6上のボビンに巻き上げられてパッケージPになる。パッケージPの表面にはタッチローラ7を押圧し、そのパッケージ形状が良好になるように整える。 【0020】図示の実施形態では、第1ゴデーローラ4に進入する直前、すなわち延伸工程に進入する直前の未延伸糸条Yaに、圧空交絡ノズル8によって軽い交絡を付与している。この交絡処理は必ずしも必要ではないが、この軽い交絡を与えることによって延伸を均一に行えるように助成することができる。 【0021】上記第1ゴデーローラ4と第2ゴデーローラ5は、それぞれ一つのローラから構成されている。これらのローラに対して図中では巻き付け角がほぼ180°となるよう巻き付けて送り出されるようになっている。これらのローラの表面は実質上鏡面状態に加工されている。 【0022】また、第2ゴデーローラ5の方は、表面が実質上鏡面加工されているとともに、130〜220℃の高温に加熱され、延伸糸を加熱処理するようになっている。 【0023】本発明で実施する直接紡糸延伸方法の延伸工程には第1ゴデーローラと第2ゴデーローラとが設けられ、その両ゴデーローラ間で1段延伸を行うようにする。第1ゴデーローラと第2ゴデーローラとは、それぞれ一つずつのローラから構成されていることが生産設備のコストダウンの観点から好ましい。第1ゴデーローラと第2ゴデーローラからなる延伸工程においては、その第1ゴデーローラ側のローラ表面を実質上鏡面加工する必要がある。このように第1ゴデーローラ側の表面を鏡面加工することにより糸条の滑りを抑制し、第1ゴデーローラ(供給ローラ)から第2ゴデーローラ(延伸ローラ)へ送り出される未延伸糸の延伸点(ネッキングポイント)を1点に確実に固定するようにすることができる。 【0024】特に本発明が適用する高粘度のポリアミド長繊維の場合は、第1ゴデーローラの表面が梨地加工であると、糸条とローラ表面とのスリップにより、その延伸点が不安定になりやすくなるため、延伸むらを生じやすくなる。しかし、上記のように第1ゴデーローラの表面実質上を鏡面にすることによってローラへの巻き付け角が360°以下であっても糸条のスリップを抑制し、延伸点を確実に固定することができるので、破断強度を向上させるとともに破断エネルギーを向上させ、かつ延伸むらのない高品質の延伸糸条を得ることができる。 【0025】第2ゴデーローラを構成するローラは表面が実質上鏡面加工され、しかも130〜220℃の高温に加熱することが必要である。このように延伸ローラ側の第2ゴデーローラの表面温度を高温にして熱処理する作用が、糸条に第三成分が実質的に微量しか含有されず、すなわち総添加物含有量が0.001〜1.0重量%であることと、さらにポリアミド長繊維の硫酸相対粘度が2.8以上と高いこととが相まって、延伸後のマルチフィラメント糸条の破断強度を高くすることができる。ポリアミドの硫酸相対粘度が2.8よりも低かったり、或いは添加物含有量が1.0重量%よりも多かったりすると、これを第2ゴデーローラを高温にして熱処理することによりかえって破断強度が低下してしまうようになる。第2ゴデットローラの温度が150℃より低いと、ポリアミド延伸糸条に対する熱セットによる構造固定が不足し、沸騰水収縮率の増加による寸法安定性の悪化や染色処理前後での強度保持率低下を招く。逆に第2ゴデットローラ温度が220℃より高いと、ローラ上での油剤の劣化速度及び汚れ量が増加し、第2ゴデットローラとタッチローラ間での糸張力変動によるパッケージフォームの悪化や糸切れ率の増加を招き、その対策として短周期でローラ洗浄を実施しなければならず、いずれにしても操業性、生産性を低下させる。 【0026】前述したように、第1ゴデットローラ及び第2ゴデットローラの双方を実質上鏡面加工することにより、そのそれぞれのローラに対する糸条の巻き付け角が360°以下であってもローラ上での糸条のスリップを抑制し、延伸点を確実に固定することができるようになるので、破断強度を向上させるとともに破断エネルギーを向上させ、かつ延伸むらのない高品質の延伸糸条にすることができる。 【0027】かくして、本発明によって製造されたポリアミド長繊維は、(1)マグネシウム化合物を0.01〜1重量%含有し、(2)98%硫酸相対粘度が2.8〜3.5であり、(3)強伸度積が9cN/dT以上であり(ここで強伸度積=強度×(1+伸度×0.01))、(4)糸条繊度が8〜18dTであり、(5)単糸繊度が1.0〜3.0であるので、特に耐久性が改善されかつストッキングの生産性が向上したストッキングとして好適である。 【0028】また、第1ゴデットローラ及び第2ゴデットローラの双方を実質上鏡面加工することにより、そのそれぞれのローラに対する糸条の巻き付け角が360°以下であってもローラ上での糸条のスリップを抑制し、延伸点を確実に固定することができるようになるので、破断強度を向上させるとともに破断エネルギーを向上させ、かつ延伸むらのない高品質の延伸糸条をコンパクトな製糸設備で得ることができる。 【0029】かくして得られたポリアミド長繊維を用いて、弾性繊維を芯糸としてその周囲にポリアミド長繊維を巻き付けるカバリング弾性糸のみでレッグ部を編成するストッキングを製造する。 【0030】このストッキング製品は、破裂強さ45N以上であればよい。45N未満の場合、所望の耐久性を得ることができない。特に55N以上であればよい。 【0031】このストッキング製品は、擦過強度4級以上であればよい。4級未満の場合、所望の耐久性を得ることができない。このストッキングを分解して得られるポリアミド長長繊維は、強伸度積 7.0cN/dT以上であればよい。7.0cN/dT未満の場合、所望の耐久性を得ることができない。特に7.5cN/dT以上が好ましい。 【0032】そのポリアミドは、その透明性を損わない添加剤であれば、必要に応じて光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、染色性向上剤等が添加されていてもよい。 【0033】また、そのカバリング弾性糸の芯糸をなす弾性糸としては、ポリウレタン系弾性繊維、ポリアミド系エラストマ弾性繊維、ポリエステル系エラストマ弾性繊維、天然ゴム系繊維、合成ゴム系繊維、ブタジエン系繊維等が用いられるが、ストッキング用としてその弾性特性、熱特性、耐久性等から好ましいのは、ポリウレタン系弾性繊維及びポリアミド系エラストマ弾性繊維である。 【0034】その弾性繊維の太さは、ストッキングの用途、締め付け圧の設定により異なるが、一般に8〜60デシテックス程度であればよい。好ましいのは10〜40デシテックスである。8デシテックス未満では、糸強力が不足するのでカバリング時及び編立て時に芯糸切れ等のトラブルを生じ易く、ストッキングとしての伸縮性、耐久性が不十分となり易いので好ましくない。逆に、60デシテックスを越えると締付け力が強くなり過ぎて圧迫感が強くなり、透明感の低下や粗硬感の増加となり易く好ましくない。 【0035】このカバリング弾性糸のみからのレッグ部編地は、2口あるいは4口給糸の編機を用い、カバリング弾性糸のみを供給して編成するという通常の方法で編成すればよい。シングルカバリング弾性糸の場合は、S方向カバリングのシングルカバリング弾性糸とZ方向カバリングのシングルカバリング弾性糸とを交互に編む方法が好適である。このようにしてレッグ部編地を編成してストッキング製品とすればよい。 【0036】ストッキングの破損は、大きく大別すると、着用時に指に力が入って編地組織の破損から生じる破損と、靴と足との擦過により、カバリング原糸が劣化して弱くなって糸が破断して生じる破損がある。前者を模擬的に評価すると破裂強さ(JIS L 1018 定速伸長形法)で表され、後者を模擬的に評価すると擦過強度で表される。この擦過強度は、下記実施例で示す項目の流用で評価できる。ストッキングの耐久性は、この破裂強さと擦過強度の両面が高いほど耐久性の良いストッキングといえる。また、擦過強度が高いカバリング原糸は、ストッキング編成の折りにガイド擦過に強く、フィラメント割れ(毛羽)などの発生が減少し生産性も高くなる。 【0037】 【実施例】以下に実施例により本発明を具体的に説明する。実施例におけるストッキング製品のレッグ部の評価は次の方法によった。 破裂強さ:ストッキングを一般足型に履かせ、太股部分の編密度を保持した状態で固定し、JIS L 1018により、破裂強さ定速伸長形法に準じ測定する。 【0038】擦過強度:図1に示すような試験装置で、ナイロンタフタを擦過布、あて布とし、サンプル布を2kgの荷重、湿潤状態下で、3cmピッチの往復運動6000回擦過させた後の編地状態を5段階評価した。 【0039】着用擦過強度:20人のモニターによる着用評価により評価した。ストッキングを5日間着用後、足裏及びつま先部の編み地の状態を5段階評価した。 【0040】着用PS残存率:20人のモニターによる着用評価により評価した。ストッキングを5日間着用後、破損していないストッキングの割合を示した。 【0041】透明度: ストッキング製品を一般足型に履かせ、太股部分の編密度を保持した状態で固定し、カラースタンダード白板上に静置したときの編地のL値(Lw)、およびカラースタンダード黒板上に静置したときの編地のL値(Lb)を色差計Σ80(日本電色工業(株)製)により測定する。そして、それらL値から次の算式により透明度を求める。 透明度(%)=(Lw−Lb)/(W−B) W:カラースタンダード白板のL値B:カラースタンダード黒板のL値。 【0042】肌触り:ストッキングを人体足型に履かせ、検査者(20人)の触感によってソフト感を相対評価したものであり、その結果は、◎:極めて良好、○:良好、△: やや不良、×:不良、の基準でもって示す。 【0043】ポリアミド長繊維生産性、ストッキング(PS)編成生産性:糸切れ回数、品質などを相対評価したものであり、その結果は、○:良好、×:不良の基準でもって示す。 【0044】実施例198%硫酸相対粘度3.3で酸化チタンを含まないナイロン6に酸化マグネシウムを0.05重量%ドライチップブレンドしたものを紡糸温度280℃で溶融し、丸型の吐出孔を有する紡糸口金から吐出し、冷却、給油し、伸度が40〜45%になるように延伸し、熱処理した後、3500m/分で巻き取り、11デシテックス5フィラメントのナイロン6糸条を得た。得られた糸条をカバリング用糸に用い、18デニールのポリウレタン弾性糸“ライクラ”(登録商標、東レデュポン(株)製)を芯糸とし、ドラフト2.9倍に設定し、カバリング撚数を2200t/mでシングルカバリングして、シングルカバリング弾性糸(SCY)を得た。得られたカバリング弾性糸を針本数400本の4口給糸の靴下編機で、レッグ部をプレーン編成して得られた生地を染色し、仕上げ及び型板セットして得たストッキング製品の特性評価結果を表1に示す。 【0045】実施例2、比較例1〜698%硫酸相対粘度を表1に示すように変え、酸化マグネシウムの量、糸条繊度およびフィラメント数などを表1に示すように変更した以外は実施例1と同様に溶融、紡糸、吐出、冷却給油後、延伸し、表1に示すナイロン6糸条を得た。られた糸条をカバリング用糸に用い、18デニールのポリウレタン弾性糸“ライクラ”(登録商標、東レデュポン(株)製)を芯糸とし、ドラフト2.9倍に設定し、カバリング撚数を2200t/mでシングルカバリングして、シングルカバリング弾性糸(SCY)を得た。得られたカバリング弾性糸を針本数400本の4口給糸の靴下編機で、レッグ部をプレーン編成して得られた生地を染色し、仕上げ及び型板セットして得たストッキング製品の特性評価結果を表1に示す。得られた糸条をカバリング用糸に用い、18デニールのポリウレタン弾性糸“ライクラ”(登録商標、東レデュポン(株)製)を芯糸とし、ドラフト2.9倍に設定し、カバリング撚数を2200t/mでシングルカバリングして、シングルカバリング弾性糸(SCY)を得た。得られたカバリング弾性糸を針本数400本の4口給糸の靴下編機で、レッグ部をプレーン編成して得られた生地を染色し、仕上げ及び型板セットして得たストッキング製品の特性評価結果を表1に示す。 【0046】比較例798%硫酸相対粘度4.0で酸化チタンを含まないナイロン6に酸化マグネシウムを0.05重量%ドライチップブレンドしたものを紡糸温度280℃で溶融し、丸型の吐出孔を有する紡糸口金から吐出し、冷却、給油し、伸度が40〜45%になるように延伸し、熱処理した後、3500m/分で巻き取り、11デシテックス5フィラメントのナイロン6糸条を得ようとしたが、製造できなかった。 【0047】これら得られた糸条をカバリング用糸に用い、18デニールのポリウレタン弾性糸“ライクラ”(登録商標、東レデュポン(株)製)を芯糸とし、ドラフト2.9倍に設定し、カバリング撚数を2200t/mでシングルカバリングして、シングルカバリング弾性糸(SCY)を得た。得られたカバリング弾性糸を針本数400本の4口給糸の靴下編機で、レッグ部をプレーン編成して得られた生地を染色し、仕上げ及び型板セットして得たストッキング製品の特性評価結果を表1に示す。 【0048】 【表1】
実施例1〜2で得たストッキングは、耐久性、透明性、肌触りに優れており、また、生産性にも優れていた。比較例1で得たストッキングは、ポリアミド長繊維生産の糸切れが多く、生産性に劣っていた。また、ストッキング編立においても、フィラメント割れの不良が多く発生し、生産性に劣っていた。比較例2で得たストッキングは、耐久性に劣っていた。比較例3で得たストッキングは肌触りに劣っていた。比較例4で得たストッキングは、透明性、肌触りに劣っていた。比較例5で得たストッキングは、耐久性に劣っていた。比較例6で得たストッキングは、耐久性に劣っていた。また、ポリアミド長繊維生産の糸切れが多く、生産性に劣っていた。また、ストッキング編立においても、フィラメント割れの不良が多く発生し、生産性に劣っていた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003159 【氏名又は名称】東レ株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年9月13日(2000.9.13) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−88514(P2002−88514A) |
| 【公開日】 |
平成14年3月27日(2002.3.27) |
| 【出願番号】 |
特願2000−278958(P2000−278958) |
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