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【発明の名称】 乳類を含む飲食物の味質改善剤及び味質改善方法
【発明者】 【氏名】藤本 佳則

【氏名】小野 照美

【氏名】海野 剛裕

【氏名】住吉 秀幸

【氏名】山本 幹男

【要約】 【課題】乳類を含む飲食物のこく味を損なうことなく、味質を改善することができる味質改善剤及び味質改善方法を提供する。

【解決手段】β−グルコオリゴ糖を味質改善剤として、乳類を含む飲食物に添加することにより、その喉越しや、舌の上、喉、口に残る被膜感や、ミルク臭さなどを改善して、後味のよい飲食物を得る。β−グルコオリゴ糖としては、セロビオース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、β−D−ゲンチオオリゴシル D−グルコースから選ばれた少なくとも1種が好ましい。乳類を含む飲食物としては、牛乳、加工乳、脱脂乳、クリーム類、乳飲料、発酵乳、乳清、粉乳類、練乳類、チーズ類、及びバターからなる群より選ばれた1種が好ましい。乳類を含む飲食物へのβ−グルコオリゴ糖の添加量は、0.001〜30質量%が好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 β−グルコオリゴ糖を有効成分として含有することを特徴とする乳類を含む飲食物の味質改善剤。
【請求項2】 前記β−グルコオリゴ糖が、セロビオース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、β−D−ゲンチオオリゴシル D−グルコースから選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の乳類を含む飲食物の味質改善剤。
【請求項3】 前記乳類を含む飲食物が、牛乳、加工乳、脱脂乳、クリーム類、乳飲料、発酵乳、乳清、粉乳類、練乳類、チーズ類、及びバターからなる群より選ばれた1種である請求項1又は2記載の乳類を含む飲食物の味質改善剤。
【請求項4】 乳類を含む飲食物にβ−グルコオリゴ糖を添加することを特徴とする乳類を含む飲食物の味質改善方法。
【請求項5】 乳類を含む飲食物にβ−グルコオリゴ糖を0.001〜30質量%添加する請求項4記載の飲食物の味質改善方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乳類を含む飲食物の味質改善剤及び味質改善方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、乳類は、その味質の良さを利用するばかりでなく、物理的な特性を利用する目的で、また、まろやかで風味のあるこくを利用する目的で、多くの飲食物に用いられてきた。
【0003】しかしながら、乳類を含有する飲食物は、後味の切れが悪くなるという問題点があった。ここで、後味とは、いわゆる「喉越し」、「舌の上、喉、口に残る被膜感」、「舌の上、喉、口に残るミルク臭さ」である。
【0004】一方、乳類を含有する飲食物の後味の切れを良くするために、酸味料を添加するという技術が知られているが、pHの低下により乳性分が凝固してしまう等の理由で満足できるものは得られなかった。
【0005】更に、後味の切れを良くするために乳類の添加量を減らすと、こく味も同時に減少し、物足りない飲食物となり、風味、味等の点ですべてを同時に、十分満足のいくものにすることは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、乳類を含む飲食物のこく味を損なうことなく、味質を改善することができる味質改善剤及び味質改善方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、乳類を含有する飲食物の味質の改善について鋭意検討を進めた結果、β−グルコシド結合を有するβ−グルコオリゴ糖が、乳類を含有する飲食物の味質を効果的に改善することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】すなわち、本発明の一つは、β−グルコオリゴ糖を有効成分として含有することを特徴とする乳類を含む飲食物の味質改善剤を提供するものである。
【0009】本発明のもう一つは、乳類を含む飲食物にβ−グルコオリゴ糖を添加することを特徴とする乳類を含む飲食物の味質改善方法を提供するものである。
【0010】本発明によれば、乳類を含む飲食物にβ−グルコオリゴ糖を添加することによって、喉越しや、舌の上、喉、口に残る被膜感や、舌の上、喉、口に残るミルク臭さなどを改善して、後味のよい飲食物を提供することができる。
【0011】本発明の実施に際して、前記β−グルコオリゴ糖は、セロビオース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、β−D−ゲンチオオリゴシル D−グルコースから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
【0012】また、前記乳類を含む飲食物が、牛乳、加工乳、脱脂乳、クリーム類、乳飲料、発酵乳、乳清、粉乳類、練乳類、チーズ類、及びバターからなる群より選ばれた1種であることが好ましい。
【0013】更に、乳類を含む飲食物にβ−グルコオリゴ糖を0.001〜30質量%添加することが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について好ましい態様を挙げて、更に詳細に説明する。本発明の味質改善剤の有効成分であるβ−グルコオリゴ糖は、その製造方法を特に限定するものではなく、例えばセルロース、ラミナラン、プスツラン等のβ−グルコシド結合よりなる多糖類の分解によって得る方法や、β−グルコシダーゼなどの縮合・糖転移反応を利用して得る方法などを採用することができる。
【0015】特に、特許第2750374号公報、特許第3020583号公報に詳細に説明されている微生物起源のβ−グルコシダーゼをグルコース及び/又はβ−グルコオリゴ糖に作用させ、β−グルコシダーゼが具備する縮合・糖転移反応を利用することにより、容易に高収率で製造する方法を採用することが好ましい。
【0016】これらの方法により、β−グルコオリゴ糖としてセロビオース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、β−D−ゲンチオオリゴシル D−グルコースなどが生成される。本発明においては、これらのβ−グルコオリゴ糖を単独、あるいは適宜組み合わせて使用することが望ましい。
【0017】なお、本発明に供するβ−グルコオリゴ糖は、重合度の異なる混合オリゴ糖を含むものであってもよく、必要に応じて所望の単一重合度を有するオリゴ糖を分離(クロマト分画、酵母等による発酵処理及び酵素処理等)して用いることもできる。β−グルコオリゴ糖の混合物としては、例えば「ゲントース#45」(商品名、日本食品化工株式会社製)などを用いることができる。
【0018】また、β−グルコオリゴ糖を有効成分とする乳又は乳製品の呈味改善剤は、シロップ状のほか、凍結乾燥状、粉末状、顆粒状等の任意の形態が採用できることはいうまでもない。
【0019】本発明で用いる乳類を含む飲食物とは、牛乳などの生乳や加工乳、乳飲料、クリーム類、発酵乳、粉乳、練乳、チーズ類などを含有する乳製品、あるいはこれらの乳製品を含む飲食物を意味する。
【0020】更に具体的には、以下に例示する各種飲食物が挙げられる。すなわち、生乳、普通牛乳、濃厚乳、低脂肪乳等の加工乳、脱脂乳、高脂肪クリーム、普通脂肪クリーム等のクリーム類、脂肪置換クリーム、コーヒー乳飲料、フルーツ乳飲料、ストロベリー乳飲料、乳糖分解乳等の乳飲料、ソフトヨーグルト、ハードヨーグルト、プレーンヨーグルト、フローズンヨーグルト、果肉入りヨーグルト等のヨーグルト類等の発酵乳、乳製品、殺菌乳製品、乳清、全粉乳、脱脂粉乳、調製粉乳等の粉乳類、無糖練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳等の練乳類、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ等のチーズ類、バター、ババロア、ショートケーキ、食パン、クロワッサン等のパン類、あんパン、クリームパン、ジャムパン、ホットケーキ等の菓子パン類、その他の調理済加工食品類等である。
【0021】これらの乳類を含有する飲食物に、健康で安全な食品素材であるβ−グルコオリゴ糖を添加・共存せしめることにより、極めて簡便に且つ効果的に乳類を含む飲食物の後味の切れを良くし、呈味を改善し、飲食物の嗜好性を向上させることができる。
【0022】本発明の乳類の味質改善剤であるβ−グルコオリゴ糖の使用方法は、乳類を含む飲食物中にβ−グルコオリゴ糖が共存する条件下であれば特に限定されるものではない。例えば、β−グルコオリゴ糖を、基礎となる飲食物素材加工中に同時に添加、あるいは基礎飲食物加工終了時に添加してもよく、各種食品の製造工程の実状に適した添加方法を用いればよい。
【0023】本発明のβ−グルコオリゴ糖を有効成分とする味質改善剤を飲食物に添加する場合には、飲食物全体中に、β−グルコオリゴ糖自体の量として、好ましくは0.001〜30質量%、より好ましくは0.01〜20質量%となるように添加することが好ましい。
【0024】β−グルコオリゴ糖の添加量が、0.001質量%未満では期待する味質改善効果が得られず、30質量%を超えると、β−グルコオリゴ糖特有の苦味が、飲食物の風味、嗜好性を損ねるので好ましくない。
【0025】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
【0026】実施例1市販の普通牛乳に、試験区はβ−グルコオリゴ糖含有シラップ(商品名:ゲントース#45:日本食品化工株式会社製)、対照区は果糖ブドウ糖液糖(商品名:フジフラクトH-100:日本食品化工株式会社製)を、それぞれ1質量%添加してサンプルを調製した。
【0027】各サンプルを用いて14名のパネラーにより、ミルクの後味の切れの良さなどについて官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】表1に示されるように、ミルクの後味の切れ、及びこくの強さに関しては、14名中12名のパネラーが対照区よりも試験区の方がよいと評価し、美味しさに関しては、14名中11名のパネラーが対照区よりも試験区の方がよいと評価した。
【0030】実施例2表2に示す処方により、常法に従ってミルクティーを作った。具体的には紅茶抽出液、砂糖、β−グルコオリゴ糖含有シラップ(商品名:ゲントース#45:日本食品化工株式会社製)、水、牛乳を混合した。なお、β−グルコオリゴ糖含有シラップ無添加のサンプルを対照区とした。
【0031】
【表2】

【0032】こうして得られたそれぞれのミルクティーを缶に充填して、123℃で25分間レトルト殺菌を行い、放冷したものをサンプルとした。
【0033】各サンプルを用いて10名のパネラーにより、ミルクの後味の切れの良さなどについて官能評価を行った。その結果を表3に示す。
【0034】
【表3】

【0035】表3に示されるように、ミルクの後味の切れ、及びこくの強さに関しては、10名中8名のパネラーが対照区よりも試験区の方がよいと評価し、美味しさに関しては、10名中7名のパネラーが対照区よりも試験区の方がよいと評価した。
【0036】実施例3表4に示す処方により、常法に従ってカフェオレを作った。具体的にはコーヒー抽出液、牛乳、ビートグラニュー糖、β−グルコオリゴ糖含有シラップ(商品名:ゲントース#45:日本食品化工株式会社製)、乳化剤を混合し、全体として100質量部になるように水を加えた。
【0037】次に炭酸水素ナトリウムを用いて、pH6.5に調整し、缶に充填して、123℃で25分間レトルト殺菌を行い、放冷したものをサンプルとした。
【0038】
【表4】

【0039】各サンプルを用いて14名のパネラーにより、ミルクの後味の切れの良さなどについて官能評価を行った。その結果を表5に示す。
【0040】
【表5】

【0041】表5に示されるように、ミルクの後味の切れ、及びこくの強さに関しては、14名中12名のパネラーが対照区よりも試験区の方がよいと評価し、美味しさに関しては、14名中10名のパネラーが対照区よりも試験区の方がよいと評価した。
【0042】実施例4表6に示す処方により、常法に従ってヨーグルトアイスを作った。具体的には水に麦芽糖水あめ(商品名:酵素水飴MC-55:日本食品化工株式会社製)、ブドウ糖液糖(商品名:液状ブドウ糖#9865:日本食品化工株式会社製)、β−グルコオリゴ糖含有シラップ(商品名:ゲントース#45:日本食品化工株式会社製)及び香味剤を加えて加熱しながら撹拌し、品温が約40℃になった時点で更にグラニュー糖、脱脂粉乳、乳化安定剤及び食塩を加え、品温が60℃になった時点で更に無塩バター、精製ヤシ油及びクリームチーズを加えて分散させた。品温が80℃になったらホモジナイズし、冷却エージングし、更にヨーグルト、香料及び乳酸を加えてフリージングした後、カップに充填した。
【0043】
【表6】

【0044】こうして得られたヨーグルトアイスは、ミルクの後味の切れが良い、すっきりした風味を有していた。
【0045】実施例5牛乳160mlに水150mlを加え加熱し、市販粉末ココア15g、β−グルコオリゴ糖含有シラップ(商品名:ゲントース#45:日本食品化工株式会社製)3g、市販粉末コーヒー6g、生クリーム20g、砂糖4g、適量のシナモンパウダーを混合して、カプチーノ風ココアを作った。
【0046】こうして得られたカプチーノ風ココアは、生クリームの後味の切れが良く、爽やかな風味を有していた。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、乳類を含む経口摂取可能な各種の飲食物に、β−グルコオリゴ糖を添加することにより、乳類の後味の切れを良くし、味質を改善し、嗜好性を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000231453
【氏名又は名称】日本食品化工株式会社
【出願日】 平成13年5月14日(2001.5.14)
【代理人】 【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
【公開番号】 特開2002−335903(P2002−335903A)
【公開日】 平成14年11月26日(2002.11.26)
【出願番号】 特願2001−143356(P2001−143356)