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【発明の名称】 香味増強素材、これを含む調理食品又は調理食品用基材
【発明者】 【氏名】小林 敦子

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 玉ねぎを除くユリ科ネギ属の可食性植物をフライ処理した後、磨砕処理してなる香味増強素材。
【請求項2】 玉ねぎを除くユリ科ネギ属の可食性植物が、らっきょう又はシャロットであることを特徴とする請求項1に記載の香味増強素材。
【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の香味増強素材を含むことを特徴とする調理食品又は調理食品用基材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、調理食品に添加することにより、当該調理食品に強い香ばしさ、甘い香り及び甘味を付与し得る香味増強素材に関する。また本発明は、焙煎玉ねぎの香味が付与された従来の調理食品よりも香味が強く、味に厚みとしまりがある調理食品に関する。さらに本発明は、上記調理食品を調製するための調理食品用基材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、カレー、シチュー等のソース状食品等の調理食品、或いは前記調理食品を作るためのルウ等の調理食品を製造する際に、焙煎玉ねぎを添加することが行なわれている。焙煎玉ねぎは、フライパンや鍋の中にみじん切りにした玉ねぎと少量の油脂を入れ、玉ねぎがきつね色になるまでじっくりと時間をかけて焙煎することにより得られるものであり、独特の甘味と香ばしさを有しており、特に上記ソース状食品の調理に欠かせない素材である。
【0003】ところで本発明者は、カレーソースの香味を強めるために、比較的多量の焙煎玉ねぎの添加を試みた。しかし、焙煎玉ねぎの量を増やした割に焙煎玉ねぎの香味を強めることはできなかった。また、焙煎玉ねぎの香味を強く感じるカレーソースを調製し得る固形ルウを製造しようとして、ルウ原料にも比較的多量の焙煎玉ねぎを添加することを試みた。ところが、焙煎玉ねぎの水分のために固形ルウの水分含量が増加し、固形ルウとして好適な物性を維持できず、保存性も低下するという問題が発生した。また、このルウを用いてカレーソースを調製して喫食したところ、焙煎玉ねぎに由来する強い香味は感じられなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、調理食品に添加することにより、従来の焙煎玉ねぎよりも強い香味を当該調理食品に付与し得る香味増強素材を提供することである。また本発明の目的は、上記香味増強素材を含む香味の強い調理食品、または上記調理食品を作るための基材を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明者が検討を重ねた結果、玉ねぎを除くユリ科ネギ属の可食性植物をフライ処理し、磨砕処理を施して得られた磨砕物を、カレーソース等の調理食品に添加することにより、この調理食品の香味を強めることができるという知見を得た。
【0006】すなわち、本発明の要旨は、玉ねぎを除くユリ科ネギ属の可食性植物をフライ処理した後、磨砕処理してなる香味増強素材である。
【0007】また、本発明の別の要旨は、上記香味増強素材において、玉ねぎを除くユリ科ネギ属の可食性植物としてらっきょう又はシャロットを用いたものであることを特徴とする香味増強素材である。
【0008】また、本発明の別の要旨は、上記香味増強素材を含むことを特徴とする調理食品、又は前記調理食品を調製するための調理食品用基材である。
【0009】
【発明の実施の態様】本発明にいう香味増強素材は、調理食品又は調理食品用基材に添加して当該調理食品又は調理食品用基材の香味を強める素材である。本発明の香味増強素材は、玉ねぎを除くユリ科ネギ属の可食性植物(以下、単にユリ科ネギ属の可食性植物)を原料とする。ユリ科ネギ属の可食性植物としては、例えば、ラッキョウ、シャロット、ワケギ、リーキ、ニンニク、ニラ等が挙げられる。本発明では、ユリ科ネギ属の可食性植物の葉部、茎部、りん茎等の各部位を用いればよい。特に、ラッキョウ、シャロット、ワケギ等のりん茎を有するものは、りん茎を用いることが好ましい。
【0010】本発明では、ユリ科ネギ属の可食性植物の中でも、ラッキョウ又はシャロットを用いることが好ましい。ラッキョウとしては、ラクダ、玉ラッキョウ、八つ馬、九頭竜、エシャロット等の公知の品種から適宜選択して用いればよい。なお、上記エシャロットは、ラッキョウを土寄せして集約栽培し、軟白後に葉付きのまま若採りしたものであり、栽培方法が他のラッキョウと異なるものである。シャロットは、分球性を有する玉ねぎの変種である。
【0011】上述のラッキョウ又はシャロット、特にエシャロットのりん茎を用いることによって得られる香味増強素材は、次の効果を奏する。すなわち、調理食品又は調理食品用素材の香味を強め、味の厚みを付与し、味のしまりを良くすることができる。しかも、上記香味増強素材を添加して得られた調理食品又は調理食品用素材は苦味が少ない。
【0012】また、ラッキョウ又はシャロット、特にエシャロットのりん茎を用いて得られる香味増強素材は、水分含量が低い。具体的には、上記香味増強素材の水分含量は、10重量%以下、さらには6重量%以下にまで低減し得る。一方、従来の焙煎玉ねぎは、その水分含量が20重量%〜50重量%である。そのため、上記香味増強素材は、低水分含量、例えば水分含量が10重量%以下、さらには7重量%以下の調理食品用基材、例えばカレー、シチュー等のソース状食品を調製するためのルウに好適である。上記香味増強素材は焙煎玉ねぎよりも水分含量が低いため、焙煎玉ねぎよりも多量に低水分の調理食品用基材に添加することができる。
【0013】本発明では、上記玉ねぎを除くユリ科ネギ属の可食性植物にフライ処理を施すという点が重要である。これによって、調理食品又は調理食品用基材の香味を強めることができる香味増強素材が得られる。一方、フライ処理を施さない場合には、単にユリ科ネギ属の可食性植物が本来的に有している香味を調理食品又は調理食品用基材に付与するだけとなり、調理食品又は調理食品用基材の香味は強くならない。また、フライ処理とは異なる加熱処理、例えばフライパンや鍋等の加熱調理器具に少量の油脂を加えて加熱する、いわゆる焙煎処理を施した場合は、香味増強効果が不十分である。
【0014】フライ処理を行うにあたっては、ユリ科ネギ属の可食性植物をスライサー又はカッター等の細断手段により細断してもよい。フライ処理は、必要により細断したユリ科ネギ属の可食性植物を加熱した油脂中に浸漬して行う。油脂は、公知の食用油脂を用いればよい。例えば菜種油、菜種白絞油、パーム油、コーン油、大豆油、サラダ油、ひまわり油等の植物性油脂、牛脂、豚脂等の動物性油脂等が挙げられる。油脂の量は、特に制限されない。例えば、ユリ科ネギ属の可食性植物が浸漬し得る量を用いればよい。
【0015】フライ処理の条件は、油脂温度150℃〜170℃で5分間〜10分間ユリ科ネギ属の可食性植物を保持するという条件でフライ処理を施すことが好ましい。これによって、焦げ臭や苦味のない優れた香味を付与し得る香味増強素材が得られる。
【0016】ユリ科ネギ属の可食性植物にフライ処理を施した後、磨砕処理して、ペースト状の磨砕物を得る。磨砕処理は、コミトロール、コロイドミル、ピンミル、マスコロイダー等の公知の磨砕手段を用いて行えばよく、その磨砕程度は特に制限されない。また、上記香味増強素材は、ペースト状に限定されるわけではなく、利便性を考慮して、例えば粉末状、顆粒状等に加工してもよい。また、上記香味増強素材がペースト状である場合には、これを冷凍して保存或いは流通してもよい。このようにして得られる本発明の香味増強素材は、容器に充填密封し、必要に応じて加熱殺菌処理を施して、香味増強調味料として提供してもよい。また、各種調理食品あるいは当該調理食品を調製するための調理食品用基材に添加し、従来品よりも香味の強い調理食品、あるいは当該調理食品用基材として提供してもよい。
【0017】ここで、上記香味増強素材を含む調理食品と調理食品用基材について説明する。調理食品は、公知の食品素材に焼成、焙煎、フライ、煮込み、蒸し等の調理を施した食品であり、例えばカレー、シチュー、ハヤシ、デミグラスソース、ホワイトソース、トマトソース、ミートソース等のソース類、ポタージュスープ、コーンスープ等のスープ類、和風或いは中華風のたれ、ドレッシング類等が挙げられる。また、前記調理食品用基材としては、上記ソース状食品を調製するための固形状、ペースト状、液状、フレーク状、粉末状又は顆粒状等のルウ、スープの素等が挙げられる。本発明の香味増強素材は、上記調理食品、調理食品用基材の中でも、従来焙煎玉ねぎにより香味が付与されていたものに好適であり、特にカレー風味を有する調理食品、当該調理食品用の基材に添加する原料として好適である。
【0018】調理食品、調理食品用基材を製造するにあたって香味増強素材を添加する時期は特に制限されない。また、香味増強素材の量は、本発明の実施者が訴求する香味の強さに応じて任意に設定すればよい。例えば、上述の調理食品に対しては、香味増強素材0.2重量%〜0.6重量%、また、上述の調理食品用基材に対しては、香味増強素材1重量%〜3重量%を添加すればよい。
【0019】上記香味増強素材を含む調理食品は、焙煎玉ねぎを含むものよりも強い香味を有する。また、上記香味増強素材を含む調理食品用基材を用いれば、香味の強い調理食品を簡便に作ることができる。これらの調理食品又は調理食品用基材は、包装容器に充填密封し、必要に応じて殺菌処理を施して提供すればよい。以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0020】
【実施例1】エシャロット200重量部を水洗した後細断してエシャロット片200重量部を得た。次に、あらかじめ160℃に加熱したパーム油500重量部に上記エシャロット片200重量部を投入した。この投入時点から8分間エシャロット片を保持して、エシャロット片にフライ処理を施した。次いで、パーム油からエシャロット片を取り出して油切りした。この油切り後、フライ処理済みのエシャロット片をマスコロイダーに投入し、磨砕処理を施した。これにより、エシャロットペースト520重量部を得た。
【0021】次いで、熱水650重量部に市販の固形カレールウ100重量部を加えて煮込み、カレーソース750重量部を調製した。その後、このカレーソースに上記エシャロットペースト520重量部のうちの1.5重量部を添加し、その風味を評価した。その結果、このカレーソースは、コントロール品(上記エシャロットペースト添加前のカレーソース)よりも、香味が強く、しかも甘い香りと甘味も強くなっていた。
【0022】
【比較例1】実施例1で調製したエシャロットペーストの代わりに、エシャロット片200重量部に油脂20重量部を加え、中火で焦げ付かない様に30分間かけて焙煎処理した焙煎エシャロットペーストを用いた点を除き、実施例1と同様にしてカレーソースを調製した。このカレーソースを喫食したところ、実施例1品よりも香味が弱かった。
【0023】
【比較例2】実施例1で調製したエシャロットペーストの代わりに、みじん切りにした玉ねぎ片200重量部に油脂20重量部を加え、中火で焦げ付かない様に40分間かけて焙煎処理した焙煎玉ねぎを用いた点を除き、実施例1と同様にしてカレーソースを調製した。このカレーソースを喫食したところ、実施例1品よりも香味が弱く、特に苦味が強く感じられた。
【0024】
【実施例2】焙煎小麦粉ルウ570重量部、カレー粉70重量部、食塩90重量部、砂糖70重量部及び各種調味料185重量部、及び実施例1で調製したエシャロットペースト15重量部を加熱攪拌釜に投入し、90℃〜120℃の範囲で温度を維持しながら30分間混合し、溶融状態のカレールウを得、このカレールウを成型容器に充填密封し5℃で冷却し、固形カレールウ1000重量部を得た。
【0025】次に、上記固形カレールウ100重量部を取り出して熱水650重量部の中に入れて溶かし、カレーソース750重量部を調製した。このカレーソースを喫食したところ、強い香味が感じられた。
【0026】
【比較例3】実施例2において、エシャロットペースト15重量部の代わりに比較例2で用いた焙煎玉ねぎ15重量部を添加した点を除き、全て実施例2と同様にして固形カレールウを得た。このカレールウを用い、実施例2と同様の方法でカレーソースを調製し、これを喫食したところ、実施例2品よりも香味が弱く、味に厚みがなかった。また、味のしまりもなかった。
【0027】
【発明の効果】本発明の香味増強素材は、従来の焙煎玉ねぎに代えて調理食品に添加することにより、当該調理食品の香味を強めることができる。らっきょう又はシャロット、特にエシャロットのりん茎を用いた香味増強素材は、調理食品に添加することにより、香味を強めるとともに味に厚みを付与し、味を引き締めることができる。また、らっきょう又はシャロット、特にエシャロットのりん茎を用いた香味増強素材は、ルウ等の低水分含量の調理食品基材に添加するのに好適である。
【出願人】 【識別番号】000111487
【氏名又は名称】ハウス食品株式会社
【出願日】 平成13年4月27日(2001.4.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−325550(P2002−325550A)
【公開日】 平成14年11月12日(2002.11.12)
【出願番号】 特願2001−132053(P2001−132053)