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【発明の名称】 耐水性を有する焼成可食容器およびその製造方法
【発明者】 【氏名】福田 元

【氏名】安田 訓士

【要約】 【課題】穀粉を利用し、生分解性や可食性を有する容器については耐水性が乏しく、水分の多い食品を長期保存することは困難であった。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 穀粉とオクテニルコハク酸デンプンの合計を100質量部としたとき、穀粉を25〜75質量部、オクテニルコハク酸デンプンを75〜25質量部含有し、常温で固形である食用油脂2〜5質量部および食用ロウ1〜3質量部を添加することを特徴とする耐水性を有する焼成可食容器。
【請求項2】 穀粉、オクテニルコハク酸デンプン、常温で固形である食用油脂、および食用ロウを水で混捏し、150〜200℃で加熱成型することを特徴とする耐水性を有する焼成可食容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐水性を有する焼成可食容器の製造方法に関するものであり、食品用の容器に利用できる。
【0002】
【従来の技術】近年、食品の多様化に伴い、冷蔵・冷凍食品など様々な形態の食品が市場に流通している。また、スープ、グラタンなど水分の多い食品を流通していく上で、耐水性を有する容器は必須なものになっている。これらの容器としては、アルミニウム製、ポリエチレンやポリプロピレンまたはポリスチレンなどのプラスティック製、あるいは表面に耐水化処理を施した紙容器などが用いられている。一方、ゴミや炭酸ガスなどの増加に伴う環境問題から、穀粉などを利用した生分解性や可食性を有する容器も開発されている(特開平6−30689号公報、特開平6−46740号公報、特開平7−147883号公報、特開平11−4653号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アルミニウム製、ポリエチレンやポリプロピレンまたはポリスチレンなどのプラスティック製、あるいは表面に耐水化処理を施した紙容器については、ゴミとして長期間に渡って蓄積され、焼却の際には高温での焼却が必要である。また、穀粉を利用し、生分解性や可食性を有する容器については耐水性には乏しく、上述のような水分の多い食品を長期保存することは困難である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課題を解決するため、鋭意研究の結果、穀粉、オクテニルコハク酸デンプン、常温で固形である食用油脂、および食用ロウを含有することにより、耐水性を有する焼成可食容器の製造方法を発見し、本発明を完成した。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で用いる穀粉としては、薄力粉、中力糊、強力粉などの小麦粉、上用粉、白玉粉などの米粉、コーンフラワー、コーングリッツなどのトウモロコシ粉、そば粉などが挙げられるが、上用粉、小麦粉などが好適に用いられる。本発明で用いる穀粉の含有量については、オクテニルコハク酸デンプンとの合計を100質量部(以下、部とする)にした時、25〜75部含有していればよい。この範囲以外では耐水性が低下する。
【0006】本発明で用いるオクテニルコハク酸デンプンとしては、馬鈴薯デンプン、コーンスターチ、ワキシコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカデンプン、甘藷デンプン、サゴデンプン、米デンプンなどの原料デンプン100部を常法に従って、120〜150部の水に懸濁し、無水オクテニルコハク酸を0.1〜5部、好ましくは0.5〜3部添加し、pHを弱アルカリ、好ましくは7.0〜8.0に、温度を20℃〜50℃、好ましくは25℃〜40℃に調整しながら反応したものを反応終了後、中和、脱水、乾燥したものを用いることができる。本発明で用いるオクテニルコハク酸デンプンの含有量については、小麦粉との合計を100部にした時、25〜75部含有していればよい。この範囲以外では耐水性が低下する。
【0007】本発明で用いる常温で固形である食用油脂としては、バター、ラード等の動物性油脂、ショートニング、マーガリン等の植物性油脂等が挙げられるが、バター、ショートニングが好適に用いられる。本発明で用いる常温で固形である食用油脂の添加量については、穀粉とオクテニルコハク酸デンプンを併せた量を100部とした時、2〜5部添加すればよい。2部未満では耐水性に効果がなく、5部を越えると食味の点で好ましくない。
【0008】本発明で用いる食用ロウとしては、カルナウバロウ、米ぬかロウ、ミツロウ等が挙げられるが、米ぬかロウが好適に用いられる。本発明で用いる食用ロウの添加量については、穀粉とオクテニルコハク酸デンプンを併せた量を100部とした時、1〜3部添加すればよい。1部未満では耐水性に効果がなく、3部を越えると食味の点で好ましくない。
【0009】本発明の容器は、上述の素材以外にも糖質、乳化剤、膨張剤など通常の焼成食品に使用できる素材を使用しても耐水性には支障がない。
【0010】本発明の容器の製造方法としては、穀粉、オクテニルコハク酸デンプン、常温で固形である食用油脂、および食用ロウをドウになる量、好ましくは穀粉とオクテニルコハク酸デンプンの合計を100部としたとき、70〜90部の水と共に混捏し、150〜200℃の範囲で加熱成型する方法が挙げられる。
【0011】以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<デンプンの比較>以下に示す組成で、皿状の容器を作成し、耐水性試験を行った。上用粉50部、各種デンプン50部、ショートニング3部、米ぬかロウ2部を水78部で混捏し、ドウ10gを160℃に熱した鉄板2枚にはさんで2分間加熱した。この容器を25℃の水に静かに浮かせ、耐水性の評価として1時間後の吸水率を求めた。なお吸水率は、『(吸水後の重量―吸水前の重量)÷吸水前の重量』で求め、吸水率が1未満の場合、耐水性があると判定した。各種デンプンおよびその結果を表1に示す。
【0012】
【表1】

【0013】表1に示すように、オクテニルコハク酸デンプン以外のデンプンでは吸水率が非常に高くなってしまうが、オクテニルコハク酸デンプンを用いた場合、非常に吸水率の低いものが作成できる。
【0014】<各種添加物およびその量の決定>(実施例1〜18)
表2に示す組成で、皿状の容器を作成し、耐水性試験を行った。表2に示す処方でドウを混捏し、そのドウ10gを160℃に熱した鉄板2枚にはさんで2分間加熱した。この容器を25℃の水に静かに浮かせ、耐水性の評価として1時間後の吸水率を求めた。また、加熱成型後の試験片の食味を判定した。食味は官能試験により判定した。判定は『○:通常に食することができる。 ×:食した際に違和感がある』で示した。結果を表2に示す。
【0015】
【表2】

【0016】表2に示すように、ショートニング(常温で固形の食用油脂)および、米ぬかロウ(食用ロウ)を用いない場合は吸水率が高くなってしまう。また、穀粉とオクテニルコハク酸デンプンの合計を100部としたとき、穀粉を25〜75部、オクテニルコハク酸デンプンを75〜25部含有している範囲以外の試験片については、これらの添加物が入っていても吸水率が高いものになってしまう。一方、穀粉とオクテニルコハク酸デンプンの合計を100部としたとき、穀粉を25〜75部、オクテニルコハク酸デンプンを75〜25部含有し、ショートニング2〜5部および米ぬかロウ1〜3部を添加した場合には吸水率が非常に低くなっている。また、ショートニング5部、米ぬかロウ3部を超えた場合、吸水率は低くなるが、食味に違和感が生じてしまう。
【0017】<実施例19>上用粉75部、オクテニルコハク酸デンプン25部、ショートニング3部、米ぬかロウ2部、デキストリン5部、水67部を混捏し、ドウを160℃に熱した船形に型抜きした鉄板に挟んで加熱し、成型された容器にグラタンを乗せて冷凍保存した。その後、160℃に熱したオーブンで解凍加熱したが、グラタンが外部に漏れることはなく、グラタンを食している間も型崩れすることはなかった。また、最終的には容器も食することができた。
【0018】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれば、穀粉、オクテニルコハク酸デンプン、常温で固形である食用油脂、食用ロウを用いることにより、耐水性を有し、食味のよい焼成可食容器が製造できることがわかった。
【出願人】 【識別番号】000227272
【氏名又は名称】日澱化學株式会社
【出願日】 平成13年4月27日(2001.4.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−325542(P2002−325542A)
【公開日】 平成14年11月12日(2002.11.12)
【出願番号】 特願2001−132760(P2001−132760)