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【発明の名称】 大豆の水溶性栄養分を高度に含有した調味料素材及びその製造法
【発明者】 【氏名】二宮 和哉

【氏名】藤安 秀一

【氏名】菅 純教

【氏名】宮岡 求

【氏名】高木 直樹

【要約】 【課題】高熱状態で排出される大豆煮汁の熱履歴を利用して食塩、蛋白と酵素を順次添加して腐敗防止、蛋白溶解、酵素処理を行い、大豆の水溶性栄養成分を含んだ高ペプチド、アミノ酸栄養調味料素材及びその製造法を提供する【解決手段】本栄養調味料素材は、味噌、醤油、納豆等大豆使用の醸造食品製造工程から発生する煮汁成分から由来のエキス分を全エキス分中の10%含み、蛋白濃度が5%以上であることを特徴とする。また本栄養調味料素材の製造法は、高熱状態で排出される大豆煮汁の熱履歴を利用して食塩、蛋白と酵素を順次添加して腐敗防止、蛋白溶解、酵素処理を行い、大豆の水溶性栄養成分を含んだ高ペプチド、アミノ酸栄養調味料素材を製造する。

【解決手段】本栄養調味料素材は、味噌、醤油、納豆等大豆使用の醸造食品製造工程から発生する煮汁成分から由来のエキス分を全エキス分中の10%含み、蛋白濃度が5%以上であることを特徴とする。また本栄養調味料素材の製造法は、高熱状態で排出される大豆煮汁の熱履歴を利用して食塩、蛋白と酵素を順次添加して腐敗防止、蛋白溶解、酵素処理を行い、大豆の水溶性栄養成分を含んだ高ペプチド、アミノ酸栄養調味料素材を製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】味噌、醤油、納豆等大豆使用の醸造食品製造工程から発生する煮汁成分から由来のエキス分を、全エキス分中の10%以上含むことを特徴とする大豆の水溶性栄養分を高度に含有した調味料素材。
【請求項2】蛋白濃度が5%以上であることを特徴とする請求項1に記載の大豆の水溶性栄養分を高度に含有した調味料素材。
【請求項3】味噌、醤油、納豆等大豆使用の醸造食品製造工程で高温で排出される大豆煮汁に70℃以上の温度で12〜16%の食塩を溶解し、こうして得られた溶解液の温度が55〜50℃になった時点でグルタミナーゼ製剤を添加して50〜40℃の温度で蛋白質を添加、酵素処理を行い、この酵素処理液に活性炭を添加し30℃以下の温度に静置して3層に分離し、3層に分離した反応液の中間層部分を分取し、分取した中間層部分を攪拌して白色結晶を分離し、80℃以上85℃以下の温度で加熱殺菌することを特徴とする大豆の水溶性栄養分を高度に含有した調味料素材の製造法。
【請求項4】栄養調味料素材の蛋白原料中に0.5〜5%の油分を含んでいることを特徴とする請求項3に記載の製造法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大豆の水溶性栄養分を高度に含有した高ペプチド、アミノ酸栄養調味料素材及びその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】味噌、醤油、納豆等の食品製造において使用される大豆の煮汁には豊富な栄養成分が含まれているが、腐敗が激しく処理し難いこと、独特の大豆臭があること及び低窒素であることなどの理由で有効利用されず、廃棄されている。そのため味噌、醤油の製造工程で生じる大豆の煮汁は、環境汚染の防止の観点などから高負荷(BOD約20,000ppm)の活性汚泥処理されているのが実情であり、これら食品の製造コストを増加させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、味噌、醤油、納豆等の食品製造において使用される大豆の煮汁を利用して、新規有効調味素材を作ると共に、大豆の煮汁による環境汚染の問題を解決する。
【0004】従って、本発明は、高熱状態で排出される大豆煮汁の熱履歴を利用して食塩、蛋白と酵素を順次添加して腐敗防止、蛋白溶解、酵素処理を行い、大豆の水溶性栄養成分を含んだ高ペプチド、アミノ酸栄養調味料素材及びその製造法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明による大豆の水溶性栄養分を高度に含有した調味料素材は、味噌、醤油、納豆等大豆使用の食品製造工程から発生する煮汁成分から由来のエキス分を全エキス分中の10%含むことを特徴としている。
【0006】好ましくは、蛋白濃度は全エキス分中の5%以上であり得る。
【0007】ペプチドとアミノ酸の含有量は、添加する食塩と蛋白と酵素処理時間で任意に調整することができる。
【0008】煮汁無添加品と比較して本発明による栄養調味料素材は、■ポリフェノール、イソフラボン、ペプチド、アミノ酸等栄養価が高い、■複雑な風味を持ち、汎用性が高い、■大豆臭は無い■淡色で褐変の少ない調味料が製造できる。
【0009】また、本発明による栄養調味料素材の製造法は、味噌、醤油、納豆等大豆使用の食品製造工程で高温で排出される大豆煮汁に70℃以上の温度で12〜16%の食塩を溶解し、こうして得られた溶解液の温度が55〜50℃になった時点でグルタミナーゼを添加して50〜40℃の温度で蛋白質を添加、酵素処理を行い、この酵素処理液に活性炭を添加し、30℃以下の温度に静置して3層に分離し、3層に分離した反応液の中間層部分を分取し、分取した中間層部分を攪拌して白色結晶を分離し、80℃以上85℃以下の温度で加熱殺菌することを特徴としている。
【0010】この調味料素材を製造する手段としては塩類と蛋白質と酵素の添加、酵素処理を決まられた順序で決まられた温度条件のもとで行い、また目的の調味料中のペプチドとアミノ酸量は食塩と蛋白温度により規制され得る。
【0011】使用する酵素は現在市販のグルタミナーゼを使用することができる。グルタミナーゼはグルタミンをグルタミン酸にする酵素であるが、グルタミナーゼは膨形剤に食塩を使用するように、強い耐塩性があり、しかもこのグルタミナーゼ製剤には大量の蛋白分解酵素が共存しているのでこの共同作用で蛋白を分解することができる。
【0012】この反応で製造する場合の蛋白質は油分を含む蛋白質である必要がある。そこで本発明においては、蛋白質が0.5%から5%の油分を含んでいるのが好ましい。蛋白原料は酵素の反応により油分、ペプチド・アミノ酸及び未反応残渣に分離される。すなわち分離された油分が上層に移行し、表面に油分と蛋白の膜を形成し、雑菌の繁殖、混入を防止し、静澄な反応液を中間層に形成する。
【0013】蛋白としては、植物蛋白や動物蛋白が可能であるが、特に望ましくは植物蛋白としてコーングルテン、大豆蛋白及び小麦グルテン、落花生蛋白を挙げることができる。動物蛋白としてはヘキサンで脱脂した牛豚肉、豚皮や湯通しした動物内蔵が好ましい。
【0014】本発明による調味料素材の製造方法では、大豆煮汁の取得以降、自然の放冷温度で反応が進行し、特に温度を加えることなく製造でき、それにより省エネルギー化が図られる。
【0015】調味料中に含有するペプチドの分子量的規制をする蛋白濃度と食塩濃度との関連については、食塩濃度は12%以上16%以下、蛋白濃度は5%以上とするのが好ましい。工業的に使用する蛋白は油分や水分、蛋白以外の共雑物を含むので、原料中の全窒素を測定して蛋白係数で補正した値で規制する。
【0016】下表に示すように、食塩濃度が12%以下では、腐敗特に乳酸菌の生育で製品に豆臭の付着と乳酸の生成等のため工業規模での生産には、無菌操作等の特殊な処理が必要である。また、蛋白濃度が5%以下では、呈味成分が弱く、特徴が十分発揮できない。
【0017】

【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態として本発明の方法による大豆煮汁の有効利用の具体例について説明する。
【0019】本実施の形態では、原料の大豆煮汁液として、白味噌製造工程で大豆1000kgを浸漬した後に0.6気圧で10分蒸煮した後に排出される煮汁を使用した。この大豆煮汁の組成はPH6.0、固形物4%の乳白色の液体である。一般の味噌製造工程では、条件や設備によって異なるが大豆原料の約2倍から2.5倍の煮汁が発生する。反応を行うには市販のグラタミナーゼ製剤のみでも十分であるが、反応の促進や収率の向上を計るためにはプロテアーゼ製剤の添加も有効である。
【0020】
【 実施例1】味噌製造工程で排出される大豆煮汁2500リッター(排出時温度、85℃)をステンレス製の撹拌機、ジャケット付きの温度調整可能なタンクに受けて、食塩400kgを素早く添加した。この食塩添加操作で品温は75℃となった。この食塩添加煮汁を自然冷却し、55℃になった時点で市販のグルタミナーゼ製剤(大和化成(株)製、グルタミナーゼダイワC-100)を2000g添加した。
【0021】この食塩、酵素添加液を自然放冷し、45℃に達した時点で市販小麦グルテン(グリコ(株)製、A−グルF)400kgを少量づつ添加し、品温40℃から45℃に調節した。
【0022】このまま、反応液を撹拌しつつ反応させた。反応液を透明なシリンダーに取り3層に分離した時点で活性炭を10kg添加し、撹拌を停止しジャケットの温水を水道水に切り替えて静置した。この反応液が30℃以下になった時点で上部の浮上固形物を避けて透明ホースを中間層の液に入れて中間層を抜き出した。反応液の約80〜85%の中間層液を抜き出した時点で液抜きを止め、タンクに5kgのセライトを添加し、ポンプにてろ過機に通した。このろ液と抜き出した中間層液を混合して80℃で30分加熱し、30℃以下にして析出する白色のアミノ酸の結晶を分離した。 その結果、T−N=1.65g/dl、食塩=15.3g/dlの透明な液を得た。アミノ化率65%よりペプチド存在率は35%であった。
【0023】
【実施例2】大豆煮汁1000リッターに食塩150kgを熱時に加えた。この食塩溶解煮汁が55℃になった時点で、グルタミナーゼ製剤(前出)1000gとプロテアーゼ製剤(アマノ製薬(株)製、アアノM)500gを添加し、反応液が45℃になった時点で脱脂牛豚肉(乾燥品、蛋白濃度78%)を150kgを添加し、撹拌しつつ40℃で反応させた。この反応液を透明シリンダーに取り静置して上層と下層と中間層の3層に分離した。中間層が透明でかつ清澄になった時点で撹拌を止めた。この反応液を1夜静置した後に上層に浮上した固形物を掬い取り、残液に活性炭とセライトを各3kg添加し、上層部からポンプでろ過機に通液しろ過した。この液を85℃で20分加熱した後に5℃の冷蔵庫中で1日放置しろ過した。その結果、T−N=1.5g/dl、食塩=14.3g/dl、ペプチド存在率=23%の濃厚な風味をもつ調味液を得た。
【0024】
【実施例3】大豆煮汁500リッターに食塩を添加し食塩濃度12g/dlの煮汁液を作り、この液が55℃になった時点でグルタミナーゼ製剤(アマノ製薬(株)製グルタミナーゼ「アマノC−100」)を500g添加し、更に市販のプロテアーゼ液(NOVO社製、フラボザイム)500ミリリッターを添加した。液温が45℃になった時点でコーングルテン40kgと落花生搾油残渣30kgと小麦グルテン10kgを添加し45℃で反応させた。この反応液の終点は100mlのファルコンチューブで5000rpmで20分遠心分離し、この遠心液がチューブ内部で3層に分離し且つ中間液が透明であり、中間液区分が最大となる時点で停止した。この反応液に活性炭を1%添加し撹拌しつつ3時間置いてから全量を均一にポンプでろ過機に送った。このろ過液を85℃達温加熱した後に、冷蔵庫中で1夜静置し、ろ過した。その結果、T−N=1.6g/dl、食塩=12g/dl、ペプチド率=25%の芳醇な香りの調味液を得た。
【0025】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明による栄養調味料素材は、ポリフェノール、イソフラボン、ペプチド、アミノ酸等栄養価が高く、また複雑な風味をもち汎用性が高く、しかも大豆臭がなく、淡色で褐変の少ないという効果が奏される。
【0026】また、本発明による栄養調味料素材の製造法は、味噌、醤油、納豆等大豆使用の食品製造工程から発生する副産物である大豆煮汁を利用しているので、材料原価が安く且つ環境汚染の問題を解決でき、また自然の放冷温度で反応が進行し、特に温度を加えることなく製造できるので、省エネルギー化が図られ、栄養調味料素材を低コストで提供できるようになる。
【出願人】 【識別番号】399067734
【氏名又は名称】藤安醸造株式会社
【識別番号】000114732
【氏名又は名称】ヤマキ株式会社
【出願日】 平成13年2月27日(2001.2.27)
【代理人】 【識別番号】100066452
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 茂 (外3名)
【公開番号】 特開2002−253166(P2002−253166A)
【公開日】 平成14年9月10日(2002.9.10)
【出願番号】 特願2001−51652(P2001−51652)