| 【発明の名称】 |
鮫鰭の接着方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】高橋 三郎
|
| 【要約】 |
【課題】鮫鰭食品素材の風味を損なうことなく、鮫鰭の接着面或は筋糸繊維同士を強力に接着させる。
【解決手段】鮫鰭の部位から抽出した水溶性蛋白質或は他の高分子ゼラチンからなる水溶性蛋白質の1種又は2種以上にトランスグルタミナーゼを混合して粉状又は液状の接着剤を調整し、該接着剤を使用して鮫鰭の接着面同士を接着させる鮫鰭の接着方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鮫鰭の部位から抽出した水溶性蛋白質或は他の高分子ゼラチンからなる水溶性蛋白質の1種又は2種以上にトランスグルタミナーゼを混合して粉状又は液状の接着剤を調整し、該接着剤を使用して鮫鰭の接着面同士を接着させることを特徴とする鮫鰭の接着方法。 【請求項2】 鮫鰭の接着面に粉状又は液状の接着剤を散布して該接着面同士を圧着させる請求項1記載の方法。 【請求項3】 鮫鰭に液状の接着剤を染み込ませて鮫鰭の接着面同士を圧着させる請求項1記載の方法。 【請求項4】糸状にした鮫鰭を粉状又は液状の接着剤と混合して形枠内で圧着させる請求項1記載の方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明が属する技術分野】この発明は、鮫鰭の欠陥部位或は筋糸繊維同士を接着させて例えば中華料理の姿煮として使用される馬蹄形状の原形を保持したまま加工されたもの(排翅といわれる)とするための鮫鰭の接着方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】高級中華素材として知られている鮫鰭は、鮫の尾鰭、背鰭、胸鰭から採取されるが、このうち中華料理の姿煮として珍重される排翅は尾鰭の下部或は背鰭から採取されるに過ぎず、鮫鰭の略半分を占める胸鰭は軟骨が鰭の先端付近まで伸びているため、これを包丁で除去することが極めて困難であると共に筋糸繊維までも損傷させてしまうため止むなく三枚におろして筋糸繊維をバラバラに採取して整型加工し、金翅或はそのまま加工して散翅という商品価値が低いスープ原料等に使用されている。 【0003】これに対して、鮫の皮のゼラチン化した内皮からなるシートに鮫鰭の筋糸繊維を引き揃えトランスグルタミナーゼ等の食品接着剤で接着して排翅形態にする方法(特開平9−220073号公報)或は鮫の内皮のすり身からなるシートに鮫鰭の筋糸繊維を引き揃えトランスグルタミナーゼ等の食品接着剤で接着して排翅形態にする方法(特開平9−220074号公報)が提案されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、これらにより得られた製品は鮫鰭の筋糸繊維のみで構成されたものでないため、排翅形態を成してはいるが、実際には珍重されている排翅ではない。 【0005】また、鮫の内皮或はこのすり身からなるシートに鮫鰭の筋糸繊維を引き揃えて接着させる作業も極めて手間の掛かる作業である。 【0006】これに対して、鮫鰭の筋糸繊維同士をトランスグルタミナーゼ等の食品接着剤で接着剤で接着させて排翅形態とすることも考えられるが、本願発明者の研究によればトランスグルタミナーゼ単独使用では筋糸繊維同士を充分に接着させることができない。 【0007】そこで、本願発明者は鮫鰭の接着について鋭意研究の結果、トランスグルタミナーゼを鮫鰭の部位から抽出した水溶性蛋白質に混合して調整した接着剤を使用することにより充分な接着効果が得られる見出したものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】この発明は上記知見に基づき、鮫鰭の部位から抽出した水溶性蛋白質或は他の高分子ゼラチンからなる水溶性蛋白質の1種又は2種以上にトランスグルタミナーゼを混合して粉状又は液状の接着剤を調整し、該接着剤を使用して鮫鰭の接着面同士を接着させる鮫鰭の接着方法を提案するものである。 【0009】 【発明の実施の形態】この発明において鮫鰭の部位から抽出した水溶性蛋白質とは胸鰭、尾鰭、背鰭等の鮫鰭の筋糸繊維間に存在する水溶性蛋白質等を挙げることができ、これらの蛋白質は胸鰭、尾鰭、背鰭を煮溶かすことにより筋糸繊維より分離され、更に蛋白質中の夾雑物を濾過により濾別した後、凍結乾燥等により乾燥し、100メッシュ等の粒径に粉末化して使用する。 【0010】また、尾長鮫など鮫の種類によっては鰭の部位に筋糸繊維が少ないか、或は無いものもあり、このような鰭の部位は煮溶かし、更に蛋白質中の夾雑物を濾過により濾別した後、凍結乾燥等により乾燥し、100メッシュ等の粒径に粉末化して使用する。 【0011】更に、この発明においてこの他に鮫鰭の部位以外から得られる他の高分子ゼラチンからなる水溶性蛋白質としては、上述のように粉末化したものを使用することができ、これらの粉末としては骨膜、例えば牛の骨膜より製造される高分子ゼラチンを粉末化したものを例示できるが、これらの水溶性蛋白質は鮫鰭の部位から得られるものに比べて風味が少ない。 【0012】上述のように粉末化した蛋白質には100メッシュ程度に粉末化したトランスグルタミナーゼを0.5重量%〜2重量%の割合で加えて粉末状の接着剤とする。 【0013】また、上述のように粉末化した蛋白質を5重量%〜30重量%水溶液とし、これに蛋白質換算で5重量%〜30重量%のトランスグルタミナーゼを含むトランスグルタミナーゼ水溶液を加えて混合して液状の接着剤とする。 【0014】上記のようにして調整された接着剤を使用して鮫鰭の接着面同士を接着させる方法としては、(1)鮫鰭の接着面に粉状又は液状の接着剤を散布して該接着面同士を圧着させる方法、(2)鮫鰭に液状の接着剤を染み込ませて鮫鰭の接着面同士を圧着させる方法、(3)糸状にした鮫鰭を粉状又は液状の接着剤と混合して形枠内で圧着させる方法を挙げることができる。 【0015】次に、接着条件について述べると、水分量は鮫鰭が含水できる範囲、75重量%〜85重量%の範囲が好ましく、これより水分量が多く、水滴が鮫鰭の接着面及び周辺に付着している場合には、これを取り除くとよい。 【0016】鮫鰭のpHは5.5〜9の範囲であり、本願発明者の実験によればpH8前後でトランスグルタミナーゼの最も高い活性結果が示されている。 【0017】鮫鰭接着時の温度は15 ℃〜50℃、望ましくは35℃〜45℃であり、また鮫鰭接着時には鮫鰭の接着面が外れないように鮫鰭の接着面を圧着する必要があり、この場合の圧着方法としては重し、又は真空パック等の方法を採用することにより、鮫鰭の接着面における空気の除去及び鮫鰭或は糸状にした鮫鰭同士の密着度を高めて接着効果を向上させることができる。 【0018】 【実施例】以下、この発明の実施例を示す。なお、接着剤としては実施例1〜5においては味の素株式会社製商品名アクテバTG−B(トランスグルタミナーゼを主成分とする製品)、 味の素株式会社製商品名アクテバTG−S(トランスグルタミナーゼを主成分とする製品)、牛の骨膜より製造された高分子ゼラチン粉末(宮城化学工業株式会社製)を等量混合した粉状の接着剤及び味の素株式会社製商品名アクテバTG−Sと上述のように調整した鮫鰭煮汁の乾燥粉末を等量混合した粉状の接着剤を使用した。 【0019】また、実施例6においては上述のゼラチン粉末或は鮫鰭煮汁の乾燥粉末の15重量%〜20重量%含む水溶性蛋白質粉末水溶液に、蛋白質粉末換算にして味の素株式会社製アクテバTG−Sを20重量%〜40重量%を混合した液状の接着剤を使用した。 【0020】更に、実施例7においては上述のゼラチン粉末或は鮫鰭煮汁の乾燥粉末の5重量%〜10重量%含む水溶性蛋白質粉末水溶液に、蛋白質粉末換算にして味の素株式会社製アクテバTG−Sを5重量%〜30重量%を混合した液状の接着剤を使用した。 【0021】実施例1排翅の製造尾鰭、背鰭を塩洗いで脱血し、更に天日干して完全に乾燥した鮫鰭を排翅用にカットし、蒸気詰(105℃〜115℃、15min)をして1夜流水中で水晒しし、骨、肉の除去後缶詰、冷凍品、乾燥物へと仕分けるが、この段階で繊維に沿って割れたり、繊維がばらばらになった排翅の接着面に粉状の接着剤を散布し、真空パックにて圧着し、更に鮫鰭の蛋白質を軟化させて接着状態を良好にするために45℃に加温して馬蹄形状の排翅製品とした。 【0022】実施例2胸鰭排翅の製造吉切鮫胸鰭を湯にて温め、黒皮(砂皮)を取り除き、中心に存在している軟骨を除いた三枚卸の内側の接着面に粉状の接着剤を散布し、重し(水袋、重石)を掛け、45℃に加温して接着し、接着された胸鰭を乾燥し、排翅の行程作業(蒸気詰)して真空パックし馬蹄形状の排翅製品とした。 【0023】実施例3(1)中詰散翅(ダンゴ)の製造散翅を粉状の接着剤と混合し、繊維を一方向に揃えて形枠に入れ、真空パックにて圧着後、45℃に加温し、完全接着して中詰品とする。 【0024】(2)胸鰭排翅の製造乾燥された胸鰭(素剥)を蒸気詰にした後、93℃で素剥の大きさによって1時間〜2時間煮込みを行い、三枚状に開いた中に、(1)で製造した中詰散翅の表面に粉状の接着剤を散布したものを詰め、真空パックして圧着を加え、45℃に加温して完全接着して馬蹄形状の排翅製品とした。 【0025】実施例4精選排翅の製造散翅より太く、長い筋糸繊維を精選し、この精選筋糸繊維に粉状の接着剤を混合し、形枠内で一方向に並べ、真空パックにて圧着し、45℃に加温して接着度を高めて馬蹄形状の排翅製品とした。 【0026】実施例5精選排翅の製造実施例3の(1)で製造した中詰散翅(ダンゴ)の表面に粉状の接着剤を散布し、この両面に精選筋糸繊維を排翅状に並べ、真空パックにて圧着し、更に45℃に加温して接着度を高めて馬蹄形状の排翅製品とした。 【0027】以上の実施例1〜5において使用された粉状の接着剤は鮫鰭食品素材の風味が損なわれることなく、今迄の接着剤のどれよりも強い接着力をしました。特に、水溶性蛋白質粉末として鮫鰭の煮汁粉末を用いたものは鮫鰭食品素材の風味が全く損なわれなかった。 【0028】実施例6精選排翅の製造精選筋糸繊維を形枠内に入れ、繊維を一方向に並べてから、液状の接着剤を染み込ませ、真空パックして圧着し、更に45℃に加温して馬蹄形状の排翅製品とした。 【0029】実施例7鮫鰭羊羹の製造筋糸繊維を液状の接着剤に混合し、形枠に流し込み、真空パックして圧着し、更に45℃に加温して羊羹状製品とした。 【発明の効果】以上要するに、この発明によれば鮫鰭食品素材の風味を損なうことなく、鮫鰭の接着面或は筋糸繊維同士を強力に接着させることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】501038263 【氏名又は名称】株式会社コーケンフーズ
|
| 【出願日】 |
平成13年1月29日(2001.1.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083884 【弁理士】 【氏名又は名称】田中 昭雄
|
| 【公開番号】 |
特開2002−218946(P2002−218946A) |
| 【公開日】 |
平成14年8月6日(2002.8.6) |
| 【出願番号】 |
特願2001−19954(P2001−19954) |
|