| 【発明の名称】 |
家禽用飼料 |
| 【発明者】 |
【氏名】中村 修
【氏名】山本 敏昭
【氏名】田上 雅之
【氏名】水谷 武雄
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| 【要約】 |
【課題】抗生物質、生菌製剤、オリゴ糖などに代わるものとして、家禽のサルモネラ感染を予防するため、あるいはサルモネラの排泄抑制のための安全で有効な物質を見出すこと。
【解決手段】甘蔗由来のエキスを有効成分として給与すること。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 サルモネラの感染予防またはサルモネラの排泄抑制のために、甘蔗由来のエキスを添加した家禽用飼料。 【請求項2】 ニワトリ、アヒル、ウズラ、シチメンチョウから選ばれる家禽用に使用される、請求項1記載の家禽用飼料。 【請求項3】 甘蔗由来のエキスを、1日当たり家禽の体重1kg当たり、単糖類および少糖類を除く固形分として0.2〜200.0mg投与するように添加した、請求項1または2記載の家禽用飼料。 【請求項4】 甘蔗由来のエキスを、1日当たり家禽の体重1kg当たり、単糖類および少糖類を除く固形分として1.0〜200.0mg投与するように添加した、請求項1または2記載の家禽用飼料。 【請求項5】 甘蔗由来のエキスを、1日当たり家禽の体重1kg当たり、単糖類および少糖類を除く固形分として2.0〜40.0mg投与するように添加した、請求項1または2記載の家禽用飼料。 【請求項6】 サルモネラがヒトの食中毒の原因菌である請求項1〜5記載の家禽用飼料。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、サルモネラの感染予防またはサルモネラの排泄抑制のために、甘蔗由来のエキスを添加した家禽用飼料に関する。 【0002】 【従来の技術】畜産物が原因食品となるサルモネラによる食中毒の発生は、公衆衛生上問題となっており、特に近年は鶏卵に起因するサルモネラの食中毒の発生報告が多くなっている。サルモネラ食中毒は全食中毒事例の3割を越し、患者数では細菌性食中毒の総患者数の40〜45%を占めると言われている(「病原微生物検出情報」国立予防衛生研究所感染疫学部、18(3)、P.51-52、(1991)、および「鶏卵肉情報」2000年9月25日号、P.27-28)。 【0003】家禽に対する病原性が低くまたヒトの食中毒の原因となるサルモネラは、症状が出にくいため、保菌状態で経過することが多く、そのような家禽が食肉や卵を介して食中毒を起こすことが問題となっている。そのため、サルモネラ症の治療だけではなく、感染予防あるいは伝播予防の研究が行われている。畜産物に起因する食中毒の発生を防ぐために、家畜・家禽には治療あるいは予防の目的で抗生物質や合成抗菌剤などの抗菌性物質が広く使用されているが、畜産物への残留や耐性菌の出現などの問題があるため、その使用が厳しく制限されている。また、使用できる範囲であっても、近年の消費者の天然志向、自然志向から、この様な抗菌性物質の使用は望まれない傾向にある。また、抗菌性物質以外にも生菌製剤やオリゴ糖などの天然物質の利用も広まりつつあるが、有効なサルモネラ感染予防治療および食中毒発生の問題解決には至っていない。また、サルモネラ エンテリティディス(以下SEとする)の不活化ワクチンも市販されているが、その効果はニワトリ腸管におけるSEの定着の軽減であり、SEを完全に防御することはできない。 【0004】これまでに報告されている天然物由来のサルモネラ症に対する予防治療剤として、以下のものが挙げられる。特開昭62−181218号公報には、メリア・アザジラクタの樹皮の熱水抽出物から得られる中性多糖類を含有する感染防御剤が記載されている。この公報では効果の確認としてマウスを用いた感染防御試験のみを行っており、家禽での有効性は不明である。特開平1−172329号公報および特開平1−172330号公報には、ゴバイシを含有するサルモネラティフィムリウム感染症の予防治療剤が記載されている。ゴバイシは植物の虫エイであり、生薬の一つとして知られている。特開昭59−128333号公報には、特定のクロストリジウム菌体を有効成分とする家禽用発育促進かつサルモネラ感染予防治療剤が記載されている。 【0005】甘蔗由来の抽出物を家畜の排泄物の消臭等に使う発明は例えば、特開平11−155497号公報に記載されている。また、甘蔗由来のエキスを感染予防治療剤として用いる発明は、例えば特開2000−297046号公報がある。これによると、甘蔗由来の抽出物が各種細菌感染症の予防治療効果をもつことが記されている。この公報の発明の詳細な説明の中で、甘蔗由来のエキスが細菌に関する感染予防治療効果を示し、その例としてヒトのサルモネラ症(Salmonella enteritidis、S. dublin等)およびニワトリのヒナ白痢(Salmonella pullorum)があげられている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】抗生物質、生菌製剤、オリゴ糖などに代わり、家禽のサルモネラの感染を予防するための、あるいはサルモネラの排菌抑制のための、安全で、天然の、効果の高い物質は、これまで知られていなかった。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、甘蔗由来のエキスを有効成分として含有する飼料を継続的に家禽に給餌することにより、サルモネラの感染予防効果およびサルモネラの排泄抑制効果が明らかに発揮されることを見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は、サルモネラの感染予防またはサルモネラの排泄抑制を目的として、甘蔗由来のエキスを添加した家禽用飼料である。 【0008】本発明に係る甘蔗由来のエキスは、特開2000−297046号公報あるいは特開平11−155497号公報に記載される甘蔗由来のエキスであり、より詳しくは、甘蔗汁あるいは甘蔗由来の糖蜜を原料とし、固定担体として合成吸着剤あるいは陽イオン交換樹脂を用いたカラムクロマトグラフィー処理により得られる画分、およびバガスの熱水抽出物のうちいずれか、あるいはこれらを混合したものである。 【0009】また、本発明に係る甘蔗由来のエキスを飼料に添加する際のエキスの形状は特に限定されず、液状または粉末状のエキスをそのまま添加してもよく、また通常用いられる製剤用担体により公知の方法により固形製剤とすることも液体製剤とすることもできる。 【0010】液状の甘蔗由来のエキスとしては、例えばさとうきび抽出物(商品名:さとうきび抽出物MSX−1L、新三井製糖株式会社製造)、あるいは脱糖さとうきび抽出液(商品名:きびしぼりEX−L、新三井製糖株式会社製造)を用いることができる。 【0011】固形製剤とする場合、例えば、甘蔗由来のエキスにコーンスターチを混和した製剤、あるいは甘蔗由来のエキスに脱脂米糠を混和した製剤を調製することができる。この様な製剤として、例えば、コーンスターチに液状のさとうきび抽出物(商品名:さとうきび抽出物MSX−1L、新三井製糖株式会社製造)を吸着し乾燥した製剤や、脱脂米糠に脱糖さとうきび抽出液(商品名:きびしぼりEX−L、新三井製糖株式会社)を吸着し乾燥した顆粒製剤(商品名:きびしぼりEX、新三井製糖株式会社)を用いることができる。きびしぼりEXは、その1g中にきびしぼりEX−Lの単糖類および少糖類を除く固形分を200mg±20mg含有する製剤である。 【0012】甘蔗由来のエキスは、その原料、製造方法、また天然物であるため甘蔗の産地、気候などによりその分析値は一定でないが、例えば、液状のさとうきび抽出物MSX−1Lの一分析値は、以下の通りである。凍結乾燥による固形分は29.4%、糖含量は固形分当たり2.5%、その内訳はスクロース1.8%、グルコース2.3%、フラクトース0.4%、フォリン−チオカルト法によるポリフェノール測定値はカテキン換算で固形分当たり23.0%であった。また、きびしぼりEX−Lの一分析値は、以下の通りである。常圧加熱乾燥法による固形分は37.4%、ブリックスはBx.40.6、糖含量は固形分当たり9.8%、その内訳はスクロース6.8%、グルコース1.4%、フラクトース1.6%、フォリン−チオカルト法によるポリフェノール測定値はカテキン換算で固形分当たり5.0%であった。 【0013】この様な甘蔗由来のエキスは、植物由来であるため天然であり、また通常甘蔗の栽培目的である砂糖を製造する工程において必要のない成分を利用するため、低コストである。また、古来よりヒトが食してきた甘蔗や含蜜糖に含まれる成分であるため、食経験のある安全なものであると言える。 【0014】本発明に係る飼料とは、家禽が栄養目的で経口的に摂取するもの全てを意味し、具体的には養分含量の面から分類すると、粗飼料、濃厚飼料、無機物飼料、特殊飼料の全てを包含し、また公的規格の面から分類すると、配合飼料、混合飼料、単体飼料の全てを包含する。また、給餌方法の面から分類すると、直接給餌する飼料、他の飼料と混合して給餌する飼料、あるいは飲料水に添加し栄養分を補給するための飼料の全てを包含する。 【0015】本発明の飼料は上記のように甘蔗由来のエキス、あるいは甘蔗由来のエキス製剤、例えばきびしぼりEX−LあるいはきびしぼりEXを添加した家禽用飼料である。具体的には、例えばきびしぼりEX−Lを含有する固形飼料の場合、きびしぼりEX−Lを単糖類および少糖類を除く固形分として0.001〜0.05重量%、望ましくは0.003〜0.05重量%、さらに望ましくは0.005〜0.01重量%添加した飼料である。また、飲料水に添加する飼料の場合、飲料水に対して液重当たりきびしぼりEX−Lを0.0005〜0.025重量%、望ましくは0.0015〜0.025重量%、さらに望ましくは0.0025〜0.005重量%添加した飼料である。ニワトリの飼料給与量は、1日当たり、体重1kg当たり、雛の場合で325g、成鶏の場合で28gである。これらを基に家禽の単位体重当たりのエキス摂取量を計算すると、本発明の飼料は、具体的には甘蔗由来のエキス、例えばきびしぼりEX−Lを1日当たり、家禽の体重1kg当たり、単糖類および少糖類を除く固形分として0.2〜200.0mg、好ましくは1.0〜200.0mg、より好ましくは2.0〜40.0mg投与するように添加した、家禽用飼料である。 【0016】本発明の飼料の給餌方法は、家禽に対して連続的、または飼育開始時に経口投与することが望ましいが、飲料水に添加する飼料の場合、ある特定の時期に集中投与を行っても良い。 【0017】後述の実施例によると、本発明の飼料を給餌し、同時に人為的にサルモネラに感染させることにより、家禽のサルモネラ排泄が抑制され、また用いた家禽の盲腸便あるいは盲腸内容物のサルモネラ陽性率を測定すると、甘蔗由来のエキスを含まない通常の飼料を与えた対照区と比較して低下していた。このことは、甘蔗由来のエキスを添加した飼料は、サルモネラの排泄を抑制するだけでなく、家禽体内に入ったサルモネラが定着しにくいということができ、これはすなわち家禽へのサルモネラの感染を予防すること、および家禽体内でのサルモネラの増殖を阻害することを示す。また、糞便中のサルモネラの量が減少することにより、糞便中のサルモネラを感染源とするサルモネラ感染の伝播も防止することができる。 【0018】 【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて、より具体的に説明する。 【0019】実施例11日令の採卵鶏(ハイラインローラ)雄雛を1試験区当たり30羽使用して、各試験区とも6ケージに5羽ずつ収容した。飼料は幼雛用標準飼料SDL No.1(日本配合飼料(株)製)を用い、各試験区とも1日令から43日令までと47日令は不断給餌・不断給水とし、44日令から46日令までは絶食・絶水とした。試験区分は前述したSDL No.1のみを給餌した対照区、甘蔗由来のエキスを添加した飼料給餌区(甘蔗由来のエキス製剤投与区)として、きびしぼりEX(商品名、新三井製糖株式会社)を0.025重量%添加した0.025%区、0.05重量%添加した0.05%区、0.1重量%添加した0.1%区、および0.25重量%添加した0.25%区に分けて実施した。各試験区とも5日令にSEを1羽当たり1×105個を経口的に感染させた。SE測定用の試料は、各試験区とも13日令、27日令、34日令については各ケージの測定前日から当日までに排泄された盲腸便を全量採取したものとした。40日令と47日令については各試験区とも15羽ずつ解剖して個体ごとに盲腸内容物を全量採取したものを試料とした。SEの測定方法は、試料を10倍量の緩衝ペプトン水に接種して、37℃、20時間培養した。培養後はその1mlを10mlのハーナテトラチオン酸塩培地(以下HTTとする)に接種して、43℃、24時間培養した。さらにその1白金耳をとり、DHL寒天培地に塗抹して、37℃、24時間培養し、寒天上の黒色コロニーの性状を調べてSEであることを確認した。(ここまでを一次培養とする。) 一次培養でSEが検出されなかった試料については、24時間培養後のHTTを、さらに室温で5日間培養し、その培養菌液の0.5mlを新たなHTT4.5mlに接種し、43℃、24時間培養した。培養後その1白金耳を取りDHL寒天培地に塗抹して、SEの検出を試みて(遅延二次増菌培養)最終判定とした。供試雛は1日令の時点でサルモネラの感染は認められなかった。表1および表2にSEの検出状況を示す。 【表1】
【表2】
表1に示したように、34日令の結果を見ると、0.05%区のSE陽性数は対照区の陽性数6例に比べると4例に減少した。さらに、表2に示したように、0.05%区において、40日令では対照区の陽性数15例に対して陽性数7例、47日令でも対照区の陽性数15例に対して陽性数7例と半分以下に減少したことから、明らかにSEの排泄が抑制された。盲腸内容物からのSE検出率が低下することは、家禽体内へのSEの定着が抑制されたことも意味する。すなわち、甘蔗由来のエキスは、家禽のサルモネラの排泄を抑制し、サルモネラの感染を予防することができることが、明らかになった。 【0020】実施例21日令の採卵鶏(ハイラインローラ)雄雛を1試験区当たり20羽使用して、各試験区とも4ケージに5羽ずつ収容した。飼料は幼雛用標準飼料SDL No.1(日本配合飼料株式会社製造)を用い、各試験区とも1日令から43日令までと47日令は不断給餌・不断給水とし、44日令から46日令までは絶食・絶水とした。試験区分は前述したSDL No.1のみを給餌した対照区、甘蔗由来のエキスを添加した飼料給餌区(甘蔗由来のエキス製剤投与区)として、さとうきび抽出物MSX−1L(商品名、新三井製糖株式会社)を単糖類及び少糖類を除く固形分として製剤固形分当たり10%になるようにコーンスターチに吸着・乾燥した製剤を、0.05重量%添加した0.05%区、0.1重量%添加した0.1%区に分けて実施した。試料採取方法、SE培養方法、および判定方法は、実施例1と同様の方法で行った。表3および表4にSEの検出状況を示す。 【表3】
【表4】
表3に示したように、27日令と34日令の結果を見ると、0.1%区のSE陽性数は半数に減少した。さらに、表4に示したように、0.1%区において、40日令では対照区の陽性数10例に対して陽性数4例、47日令では対照区の陽性数9例に対して陽性数5例と、明らかにSEの排泄が抑制された。盲腸内容物からのSE検出率が低下することは、家禽体内へのSEの定着が抑制されたことも意味する。すなわち、甘蔗由来のエキスは、家禽のサルモネラの排泄を抑制し、サルモネラの感染を予防することができることが、明らかになった。 【0021】 【発明の効果】本発明によれば、甘蔗由来のエキスを添加した飼料は、家禽のサルモネラの排泄抑制効果を示した。このことにより、甘蔗由来のエキスを添加した飼料は、他の家禽への、糞便を経由するサルモネラ感染の伝播を防止することができる。また、本発明の飼料を給餌し、同時に人為的にサルモネラに感染させることによりサルモネラの排泄抑制を示すということは、本発明の飼料は家禽体内へのサルモネラの定着を抑制することができる。また以上のことから、サルモネラを原因とする食中毒の発生を減少させることができる。また、本発明の甘蔗由来のエキスは、植物由来であり、古来よりヒトが食してきた甘蔗や含蜜糖に含まれる天然物であるため、ヒトおよび動物の健康を害することもなく、安全で、低コストである。また、天然物であるにもかかわらず、サルモネラの排泄抑制効果は高く、少量で作用するため、産業上非常に有用である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591010505 【氏名又は名称】日本配合飼料株式会社 【識別番号】501190941 【氏名又は名称】新三井製糖株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年6月26日(2001.6.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066692 【弁理士】 【氏名又は名称】浅村 皓 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−325541(P2002−325541A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月12日(2002.11.12) |
| 【出願番号】 |
特願2001−192456(P2001−192456) |
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