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【発明の名称】 電子レンジ用パンミックス及びこれを用いたパンの製造方法
【発明者】 【氏名】川村 徹

【氏名】南 咲子

【要約】 【課題】この発明は、電子レンジを介し、従来と同等以上の品質のよいパンを得ることを目的としたものである。

【解決手段】この発明は、請求項1記載のミックスの一部に温水を加えて混練し、ついで残部のミックスを入れてよく混捏した後、150g〜400gに分割して電子レンジにかけて、この生地が30℃〜45℃になるまで加温する。次に前記生地を30g〜200gに分割して成形し、電子レンジにかけて30℃〜45℃に加温した後、前記生地を200℃前後に予熱してある天板上へ載せて、所定時間焼成することを特徴とした電子レンジ用パンミックスを用いたパンの製造方法によりその目的を達成することができた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 強力小麦粉に、砂糖、食塩及び脱脂粉乳と少量の化学膨張剤又は酸化剤及び/又は還元剤を均一に混合したことを特徴とする電子レンジ用パンミックス。
【請求項2】 請求項1記載の電子レンジ用パンミックスを使用して得られた生地を、150g〜400gに分割して電子レンジにかけて、この生地が30℃〜45℃になるまで加温する。次に前記生地を30g〜200gに分割して成形し、電子レンジにかけて30℃〜45℃に加温した後、前記生地を200℃前後に予熱してある天板上へ載せて所定時間焼成することを特徴とした電子レンジ用パンミックスを用いたパンの製造方法。
【請求項3】 強力小麦粉、砂糖及び食塩を含む生地を150g〜400gに分割して電子レンジにかけて、この生地が30℃〜45℃になるまで加温する。次に前記生地を30g〜200gに分割して成形し、電子レンジにかけて30℃〜45℃に加温した後、前記生地を200℃前後に予熱してある天板上へ載せて所定時間焼成することを特徴としたパンの製造方法。
【請求項4】 所定時間は、電子レンジの高周波出力(W)と、照射時間(分)の積で表される付加熱量相当値が100〜500の範囲で、生地の一次発酵及び二次発酵を行うことを基準として選定することを特徴とした請求項2又は3記載の電子レンジ用パンミックスを用いたパンの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電子レンジを使用して、高品質のパンを家庭でも簡便かつ短時間に作ることができるようにすることを目的とした電子レンジ用パンミックス及びこれを用いたパンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来電子レンジを使用するパンの製造方法は色々と提案されている(例えば特開平4−20237)。またイーストに膨張剤を添加してパンの容積、組織を改善する方法も提案されている(例えば特開昭58−98033)。更にイーストと膨張剤を併用し、電子レンジで調理する方法も提案されている(特開平10-304817号)。
【0003】
【発明により解決しようとする課題】前記従来技術には、夫々一長一短があり、特に電子レンジ加熱の不均一性により生じるパン生地内の温度不均一による品質の不安定性があり、これを改善する為に器具の改良があげられているが家庭内で手軽に解決できない問題点がある。また生地がベタついたり、パンの膨張が悪く、内相を害するおそれがあり、食感が重く、一般家庭で入手し難い添加物を要したり、微量の正確な軽量が難しかったり、パンの種類形状の多様性から、一般家庭には不向きの場合もあって実用化する点については甚だ不安定であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、適切なミックスを用い、膨張にはイーストを基本としてこれに化学膨張剤を併用し、かつ全体の容量規制と、高周波出力(W)と照射時間(分)との積で表される付加熱量相当値を100〜500の範囲として、生地の一次発酵と二次発酵を行うことにより前記従来の問題点を悉く改善したのである。
【0005】即ちミックスの発明は強力小麦粉に、砂糖、食塩及び脱脂粉乳と少量の化学膨張剤又は酸化剤及び/又は還元剤を均一に混合したことを特徴とする電子レンジ用パンミックスである。また方法の発明は前記ミックスを使用して得られた生地を、150g〜400gに分割して電子レンジにかけて、この生地が30℃〜45℃になるまで加温する。次に前記生地を30g〜200gに分割して成形し、電子レンジにかけて30℃〜45℃に加温した後、前記生地を200℃前後に予熱してある天板上へ載せて所定時間焼成することを特徴とした電子レンジ用パンミックスを用いたパンの製造方法である。また、ミックスを使用しなくても、ミックスと同様に強力小麦粉、砂糖及び食塩を含む生地生成し、これを150g〜400gに分割して電子レンジにかけて、この生地が30℃〜45℃になるまで加温する。次に前記生地を30g〜200gに分割して成形し、電子レンジにかけて30℃〜45℃に加温した後、前記生地を200℃前後に予熱してある天板上へ載せて所定時間焼成することを特徴としたパンの製造方法である。前記における所定時間は、電子レンジの高周波出力(W)と、照射時間(分)の積で表される付加熱量相当値が100〜500の範囲で、生地の一次発酵及び二次発酵を行うことを基準として選定することを特徴としたものである。上記ミックス粉の配合比率は、小麦粉100質量部に対し、砂糖2〜25質量部、食塩0.5〜2.5質量部、脱脂粉乳0〜5.0質量部、油脂が0〜20質量部が好ましく、これにより良い製品ができる。
【0006】前記発明における電子レンジによる加熱は、使用する高周波出力と高周波の照射時間の組合せ及び照射を受ける生地量で決まり、この発明では電子レンジの高周波出力(W)と照射時間(分)の積で表される付加熱量相当値が100〜500の範囲で、生地の一次発酵及び二次発酵を行う。前記付加熱量相当値が100以下では生地の昇温が不足しイーストの活性化が不十分なため、パンの容積が小さく目も詰まり食感が重い。また付加熱量相当値が500を超えると生地の昇温が過度に進む結果、イーストが死滅したり生地の糊化や蛋白質の変性を招き、前記同様に所期の目的が達成できない。高周波出力及び高周波の照射時間の組合せは特に限定されず両者の積が上記範囲内にあればよいが、特に高周波出力が150〜200W程度が加熱の均一性等から好適であると認める。
【0007】前記において使用される化学膨張剤は加熱により分解して炭酸ガス、アンモニアガス等を発生し、生地を膨張させる作用を持つ添加物で、炭酸水素ナトリウム(重曹)、炭酸水素アンモニウム等が代表的である。通常はこれらのガス発生基剤の他に、所謂酸性剤を組み合わせて使用することが多く、代表的な酸性剤としてピロリン酸二水素二ナトリウム、グルコノデルタラクトン(GDL)、リン酸二水素カルシウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)及びその乾燥品(焼きミョウバン)、DL−酒石酸水素カリウム、フマル酸及びその塩等がある。これら酸性剤は夫々の性質に応じて適宜使い分けるが、この発明の目的には特に重曹とグルコノデルタラクトンの組合せが好適である。また前記成分の2種以上を適宜混合して製剤としたベーキングパウダーも使用できる。前記化学膨張剤は一般的に重曹換算量で小麦粉に対し0.5〜5%使用する。
【0008】また酸化剤、還元剤は生地の形成及び熟成を促進して工程を短縮できる。また生地の伸展性を増大させるとともに、べたつきを抑えて作業性を改善し、パンの容積や内相、食感等を向上させることができる。前記酸化剤、還元剤としてはL−アスコルビン酸とその塩類、L−システイン塩酸塩、グルタチオン等が代表的である。その他同様の効果を持つ成分を含む食品または天然素材も使用することができると共に、各種果汁粉末や酵母エキス粉末等を使用しうる。前記各薬剤の添加量は通常、L−アスコルビン酸及びその塩類で小麦粉に対し10〜300ppm、L−システイン塩酸塩で小麦粉に対し10〜200ppm程度が一般的である。これら酸化剤及び還元剤は夫々単独でも効果を発揮するが、両者を併用するのが特に好適である。
【0009】この発明では通常パンの製造に使用される各種の原材料、例えば小麦粉、穀類、澱粉、糖類、食塩、動物性油脂、植物性油脂、乳製品、卵等が使われ、必要に応じ更にイーストフード、乳化剤、香料、増粘安定剤、酵素類、活性グルテン等も添加しうる。またイースト発酵させた生地の乾燥粉末品、イースト発酵生成物の乾燥品等も必要に応じ添加しうる。これら各原料の配合率は通常のパンと同様に設定することができ、何ら制限を受けない。この発明ではイーストが必須成分であり、所謂生イースト、ドライイーストのいずれをも使用しうるが、通常の家庭ではドライイースト、特に予備発酵の不要なインスタントドライイーストが扱いやすい。前記イーストの使用量は、ドライイーストの場合、ミックス100質量部に対して、2〜4質量部である。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明の電子レンジ用パンミックスは、前記原材料を必要に応じて組み合わせ、均一な状態になるまで混合して得られる。混合時間は、使用する機械の型や容量、性能等によって変わるが要するに各原料が均一に分散した状態になればよい。調整したミックスは次の製造工程によりパンに加工することができる。但し、この発明はこの実施例に限定されるものではない。また電子レンジ用パンミックスを使用しない場合であっても、前記パンミックスを自ら生成し、これを使用すれば同様の操作で同様のパンを製造することができる。
【0011】(1)中型の耐熱ボウルに水または牛乳、必要に応じてバター等の油脂を入れて電子レンジで40℃程度になるまで加熱する。その後、イーストを加えてよく撹拌する。
(2)ミックスの3分の1を加えてよく混ぜる。
(3)残りのミックスを加えて捏ねる。
(4)小型の耐熱ボウルにオーブンシートを2枚敷き、上記の捏ねたパン生地をシートの上に置き、更にパン生地をオーブンシートで蓋をする。
(5)この耐熱ボウルにラップして、専用網またはそれに代わる割り箸等を載せたターンテーブルに載せ、生地温が30〜45℃程度になるまで加温する。
(6)この生地を、打ち粉をしたボードの上で平らに広げて4等分に分け、丸めて10分間放置した後に、目的の形に成型する。
(7)耐熱皿にオーブンペーパーを敷き、成型後のパン生地をのせ、その上にオーブンペーパーをふんわりかけて、電子レンジで30〜45℃程度になるまで加温する。
(8)最後に200℃前後に予熱しておいたオーブンの天板に、上記パン生地を入れ、約12分間焼く。
【0012】
【試験例1】この発明において使用するミックスは、例えば表1のような各種成分を撹拌器で均一に撹拌したものである。
【0013】
【表1】

【0014】前記ミックス200gに対し、下記表2の比率で各材料を加え、普通の工程でパンを焼成した。この際一次発酵及び二次発酵ともに200Wで1.5分間行った。このようにして得られたパンで5段階による官能評価を行い平均値を得点とし表2の結果を得た。評価のとり方は次の通りである。この場合の生地量1次発酵は308g、2次発酵は60gで行った。
【0015】5:非常によい、4:よい、3:普通、2:劣る、1:非常に劣る。
【0016】
【表2】

【0017】前記表1中、実施例1乃至5は何れも採用することができるが、実施例2、3、4、5が良好であり、実施例5は最良である。
【0018】
【試験例2】試験例1の実施例5のミックスを使用し、電子レンジの高周波出力及び照射時間を変えて発酵を行い、得られたパンを評価した(表3)。仕込み配合、工程、評価方法は試験例1と同様とした。
【0019】
【表3】

【0020】上記実施例11、12は何れも比較例(従来法法)より優れている。特に実施例11が実施例12より良いのは、二次発酵出力を押さえた結果である。
【0021】
【試験例3】試験例1の実施例5のミックスを使用し、1回に供する生地量を変えて発酵を行い、得られたパンを評価した。発酵は出力200Wで行い、発酵時間は生地量に応じて調整し生地玉の中心品温が40℃に達するまでとした。仕込み配合、工程、評価方法は実施例2と同様としたが、1回の仕込みで焼成した個体間のバラツキを評価するため、均質性の評価項目を追加した(表4)。
【0022】
【表4】

【0023】前記実施例4により従来のパン製造時間と比較して約90分短縮することができた。更に焼き上がりのパンの味覚及び出来具合も、従来のパンと比較して、殆ど遜色がないパンであることが判明した。
【0024】上記によれば、実施例14が特に良好である。一次発酵時間が長く、生地量の適性の為と認められる。生地量については、少なくても(実施例13)、多くても(実施例15)、実施例14に劣るので実施例14を適正量とした。
【0025】前記における実施例1〜15及び比較例1〜9について、具体的材料添加量は記載したが、具体的操作はほぼ同一と認めたので実施例の具体的操作は省略した。
【0026】
【発明の効果】この発明は、パン用ミックスを規制し、イーストと化学膨張剤を混用すると共に、パン生地1つのボリュームを制限し、かつ電子レンジの電気量と焼成時間との積を100〜500に限定することにより、簡単な操作と電子レンジ加熱によって従来の品質良好なパンと同等以上の品質、食感のあるパンを得ることができる効果がある。
【出願人】 【識別番号】000231637
【氏名又は名称】日本製粉株式会社
【出願日】 平成13年5月30日(2001.5.30)
【代理人】 【識別番号】100059281
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正次 (外1名)
【公開番号】 特開2002−345393(P2002−345393A)
【公開日】 平成14年12月3日(2002.12.3)
【出願番号】 特願2001−162050(P2001−162050)