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生鮮食材汁を用いたパン生地及びパン並びにそれらの製法 - 特開2002−335848 | j-tokkyo
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【発明の名称】 生鮮食材汁を用いたパン生地及びパン並びにそれらの製法
【発明者】 【氏名】灘吉利晃

【要約】 【課題】仕込水として主として生鮮食材の汁、従として水を用いて作ることのできるパン生地及びパン並びにそれらの製法を提供する。

【解決手段】少なくとも小麦粉,砂糖,塩,イーストが入れられ、それらの中にみじん切り等細片化した生鮮食材及びその汁を入れ、且つ補助として水を入れビーディングし、ニーディングしてパン生地とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも小麦粉,砂糖,塩,イーストに対して仕込水が入れられた混合材をビーディングし、且つニーディングして得られるパン生地に於いて、上記混合材中の必要仕込水は、みじん切り等細片化した生鮮食材の細片化段階の汁を主とし、水を従としたものより成り、その細片化した生鮮食材汁を主とした仕込水にて上記混合材をビーディングし、且つニーディングして得られたパン生地。
【請求項2】 上記生鮮食材は青果であることを特徴とする請求項1記載のパン生地。
【請求項3】 上記青果食材は果実であることを特徴とする請求項2記載のパン生地。
【請求項4】 上記青果食材は野菜であることを特徴とする請求項2記載のパン生地。
【請求項5】 上記生鮮食材は、魚介類であることを特徴とする請求項1記載のパン生地。
【請求項6】 上記パン生地を発酵,分割,成型,発酵,焼成して得た請求項1ないし5記載のパン。
【請求項7】 少なくとも小麦粉,砂糖,塩,イーストに対して仕込水を入れた混合材をビーディングし、次いでそれらをニーディングして作るパン生地の製法に於いて、生鮮食材をみじん切り等して細片化し、次いで上記小麦粉,砂糖,塩,イーストの混合材に対して上記細片化した生鮮食材を入れると共に上記細片化生鮮食材の汁を主とし、水を従とした仕込水を入れて、それらをビーディングし、続いてそれらをニーディングして作るパン生地の製法。
【請求項8】 少なくとも小麦粉とイーストと砂糖と仕込水が含まれている材料をビーディングする第一工程と、更に加えられた小麦粉と塩を入れてニーディングする第二工程と、ショートニングを加えて更にニーディングする第三工程より成るパン生地の製法に於いて、上記第一工程のビーディングに際して入れる仕込水は、予めみじん切り等して細片化した生鮮食材の汁を主とし、従として水を入れたもので、それを入れてビーディングすることを特徴とするパン生地の製法。
【請求項9】 生鮮食材をモータによって回転せしめられる金属ブレードによってみじん化等細片化し、それらの生鮮食材の汁を主とし、水を従とした仕込水を小麦粉,砂糖,塩,イーストの混合材中に入れてモータによって回転せしめられる金属ブレードによって攪拌してソボロ状態化にするビーディング工程と、更にモータによって回転せしめられる金属ブレードによっておから状態化にするニーディング工程と、上記金属ブレードに代えてモータによって回転せしめられるプラスチックブレードによって更にニーディングする工程と、更に油脂を加えてニーディングする工程によってパン生地を得ることを特徴とするパン生地の製法。
【請求項10】 上記生鮮食材は青果であることを特徴とする請求項7ないし9記載のパン生地の製法。
【請求項11】 上記青果は果実であることを特徴とする請求項10記載のパン生地の製法。
【請求項12】 上記青果は、野菜であることを特徴とする請求項10記載のパン生地の製法。
【請求項13】 上記生鮮食材は、魚介類であることを特徴とする請求項7ないし9記載のパン生地の製法。
【請求項14】 上記パン生地を発酵,分割,成型,発酵,焼成してパンとすることを特徴とする請求項7ないし13記載のパンの製法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生鮮食材を細片化した際に生ずる汁を、主たる仕込み水として用いるパン生地及びパン並びにそれらの製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知の通り、パン生地及びパン並びにそれらの製法に関しては、従来から種々の発明、考案が提案されている。その中の1つに、生地づくりの時間短縮を可能とすると共にグルーテンの円滑且つ均一な生成を可能にすることを目的とした本出願人の出願に係る特公昭60−3445号公報に記載の発明もあり、又他の1つに特開平11−42048号に記載の発明のように、主原料の小麦粉に副原料を加え練り合わせ、それに果実,野菜類を包込み整形した直後に急速冷凍し、零度前後で保管した後に氷温熟成発酵し、而る後に焼上げてフルーツパンとするものもあり、更にもう1つに特開平9−9857号公報に記載の発明のように、水分活性を0.84以下に調整した3種類以上の野菜類を含み抗酸化性を通常のパンの2倍以上にする野菜入り抗酸化パンおよびその製法としたものもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は各々特徴を有し、例えば特公昭60−3445号公報記載の発明は、グルーテン化が早くパン生地製造時間を大幅に短縮出来る為に家庭内におけるパンづくりに好適であり、特開平11−42048号公報記載の発明は、包込まれた野菜,果実が煮崩れせず、ほぼ原形を保った野菜,果実を内に有するパンとすることが出来、又特開平9−9857号公報記載の発明は、酸化的ストレスを低減することのできるパンとすることができるものである。
【0004】然しながら、これらの従来技術の何れも、パン生地を作る際には仕込水として大量の水のみを用いている。より具体的には、特公昭60−3445号公報記載の発明の場合、小麦粉の量を100とした場合、その略65%の水を仕込水として用いてビーディングしており、又特開平11−42048号公報に記載の発明は、主原料の小麦粉にイースト等副原料を加え練り合わせするとの記載から、大量の水を仕込水として用いて練り合わせすることが前提となっており、更に又特開平9−9857号公報に記載の発明は、その実施例で小麦粉1500g〜1700gに対し仕込水として水600g〜800gのみを加えてミキシング等してパン生地を作るものとしている。
【0005】ところで、近時パン製造業者による個性のあるパン製造のみならず、家庭内におけるパン作りがますます盛んになっており、且つそれにつれてそのパン作りの内容も多技となっており、常に新しいパンの作り方,新しい趣向,風味,栄養価のパンが求められているのが実情である。ところが従来技術は上記したように、パン生地の生成に際して仕込水として水のみを用いているので、パン生地及びパンの作り方が一様に定型化してしまう傾向にあり、上記新しいパン作りを求める社会的要請に十分答えることができないものであった。
【0006】
【発明の目的】従って本発明の目的とするところは、ますます盛んになりつつあるパン作りの背景下での新しいパン作りの要求に答え得るようにするものであり、より具体的には仕込水として、生鮮食材を細片化した際に生ずる汁を主として用いるパン生地及びパン並びにそれらの製法を提供するにある。加えて、生鮮食材の風味を直接的に味覚できるパン及びその製法を提供するにあり、更には生鮮食材の栄養価に富むパン及びその製法を提供するにある。特に、果実,野菜の風味を直接的に味覚でき、且つ果実,野菜の栄養価に富むパン及びその製法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決する為の手段】上記目的を達成する為に、本発明は次の技術的手段を有する。即ち本発明は、少なくとも小麦粉,砂糖,塩,イーストに対して仕込水が入れられた混合材をビーディングし、且つニーディングして得られるパン生地に於いて、上記混合材中の必要仕込水は、みじん切り等細片化した生鮮食材の細片化段階の汁を主とし、水を従としたものより成り、その細片化した生鮮食材汁を主とした仕込水にて上記混合材をビーディングし、且つニーディングして得られたパン生地又はそれを発酵,分割,成型,発酵,焼成してパンとしたものであり、主として小麦粉のたんぱく質と接触してグルーテンを生成する役割を、細片化した生鮮食材の汁の中の水分によって可能としたものである。
【0008】この場合、上記主たる仕込水は、生鮮食材を細片化して得られる汁であって水は従となる割合で配合せしめられるが、水は、生鮮食材を細片化して得られる汁に対して微量でもよく、又生鮮食材を細片化して得られる汁に対して同程度に近い量でもよい。そして水の量が多ければ多い程仕上がったパンのソフト感に富むものとなる。上記生鮮食材の代表例は野菜であり、野菜の例を示すと次の表1の通りである。尚表1に於いては野菜中の含有水分量を併せて示した。
【表1】

これらの野菜は1種又は数種を併用して用いるが、水分含有量の多いものが望ましい。以下の実施例でも明らかなように、人参,ピーマン,玉ねぎ,ジャガイモがより好適であった。しかしながら、水分含有量が少ないものでも、水分含有量の多い野菜と共に用いて、水分含有量の多い野菜の配合割合を多くすれば用いることができる。
【0009】又上記生鮮食材の他の例は果実である。その果実の例を示すと次の表2の通りである。尚表2に於いては果実中の含有水分量と併せて示した。
【表2】

この果実の場合も、1種又は数種を併用して用いるが、水分含有量の多いものが望ましい。そして以下の実施例でも明らかなように、りんご,オレンジ,いちごが好適であった。同様に、水分含有量が少ないものでも、水分含有量の多い果実と共に用い、水分含有量の多い果実の配合割合を多くすれば用いることができる。
【0010】そして、生鮮食品として上記野菜の1種又は数種以上と、果実の1種又は数種以上を配合してもよく、更には魚介類,きのこ類等でもよい。上記魚介類の例を示すと次の表3の通りである。尚、表3に於いても魚介類中の含有水分量を併せて示した。
【表3】

又、上記きのこ類の例を示すと次の表4の通りである。この表4に於いてもきのこ類中の含有水分量を併せて示した。
【表4】

これらは、要求されるパン風味,色合,栄養価の態様によって種々選択できるし、生鮮食材なので使用季節,使用地域が異なるから、それらは、季節,地域に応じて望ましいものを使用するものである。
【0011】そして本発明は上記のパン生地及びパンの製法でもある。即ち、少なくとも小麦粉,砂糖,塩,イーストに対して仕込水を入れた混合材をビーディングし、次いでそれらをニーディングして作るパン生地の製法に於いて、生鮮食材をみじん切り等して細片化し、次いで上記小麦粉,砂糖,塩,イーストの混合材に対して上記細片化した生鮮食材を入れると共に、上記細片化生鮮食材の汁を主とし、水を従とした仕込水を入れてそれらをビーディングし、続いてそれらをニーディングして作るパン生地の製法である。
【0012】又、少なくとも小麦粉とイーストと砂糖と仕込水が含まれている材料をビーディングする第一工程と、更に加えられた小麦粉と塩を入れてニーディングする第二工程と、ショートニングを加えて更にニーディングする第三工程より成るパン生地の製法に於いて、上記第一工程のビーディングに際して入れる仕込水は、予めみじん切り等して細片化した生鮮食材及びその汁を主とし、従として水を入れたもので、それを入れてビーディングすることを特徴とするパン生地の製法としてもよい。
【0013】更に、生鮮食材をモータによって回転せしめられる金属ブレードによってみじん化等細片化し、それらの生鮮食材の汁を主とし、水を従とした仕込水を小麦粉,砂糖,塩,イーストの混合材中に入れてモータによって回転せしめられる金属ブレードによって攪拌してソボロ状態化にするビーディング工程と、更にモータによって回転せしめられる金属ブレードによっておから状態化にするニーディング工程と、上記金属ブレードに代えてモータによって回転せしめられるプラスチックブレードによって更にニーディングする工程と、更に油脂を加えてニーディングする工程によってパン生地を得ることを特徴とするパン生地の製法としてもよい。
【0014】上記生鮮食材は青果又は魚介類である。そして、上記青果食材は野菜又は果実である。そして、上記青果食材は、人参,玉ねぎ,ピーマン,ジャガイモより成るものと、いちご又はグレープフルーツであるものが望ましい。そして、上記パン生地を発酵,分割,成型,発酵,焼成してパンとするものである。
【0015】ところで、本発明のパン生地及びパン並びにそれらの製法は、従来のパン生地製法のように水のみを仕込水とするものではなく、従として水を入れるものの、主として細片化した野菜,果実等生鮮食材とその汁を用いるのであって、これらがパン生地のビーディング,ニーディング工程に於いて小麦粉中のたんぱく質と接触し良好なグルーテン膜を生成するものであるが、この場合生鮮食材としての野菜,果実の水分含有率と、それらの小麦粉に対する混合割合が極めて重要であり、上記青果として、水分含有率85%以上の青果の複数を用い、この数種類の青果の重量を小麦粉の重量に対して83%〜100%の範囲で用いるのが望ましい。
【0016】
【実施例】次にこの発明の実施例について詳述する。
【0017】実施例1この実施例の工程は図1の通りである。以下この工程順に示す。そして第一工程のビーディングを次の材料で行なった。
小麦粉 150gイースト 6g砂 糖 30g人 参 60g玉ねぎ 30gピーマン 20gジャガイモ 130g水 30g先ず上記小麦粉,イースト,砂糖を大ボールの中で軽く混ぜ合わす。他方、上記人参,玉ねぎ,ピーマン,ジャガイモをミキサーでみじん切りにし、それらの野菜汁と共にみじん切りの野菜を他のボールに移した。そして上記小麦粉,イースト,砂糖を軽く混ぜ合わせた後に、それに対して上記みじん切りの野菜及びその汁並びに水を1度に入れ、しゃもじで5分間ビーディングした。この場合、小麦粉の量よりもみじん切りした野菜の水分の量が多いので、大ボールの中は半液状であり、このビーディングをスムースに行うことができ、且つ小麦粉の周面には野菜の水分が十分に存在しているので小麦粉の中のたんぱく質と野菜汁の水分は十分接触し、グルーテンが生成しやすくなっていた。5分間のビーディングが終了したら、次いで第二工程の1回目のニーディングを次の材料を加えて行なった。
小麦粉 150g塩 4.5gこの第二工程で加えられた小麦粉は、上記第一工程で加えられた小麦粉と比較して野菜汁の水分を接触する機会が少なくなっていると共に、この第二工程ではパン生地が粘土状の強い弾性を有しているので、上記ビーディングと異なりパン生地を手でつかんで、まな板等の上にたたきつけ、あるいは打ちつけ、次いで半分等に折り、更にたたきつけあるいは打ちつけるのを繰り返す。これを10分間位行う。これにより、第一工程での小麦粉と第二工程での小麦粉が一体的に混ざると共に、野菜汁の水分と小麦粉の結合が促進し全量が均一なグルーテン組織となる。続いて次の材料を加えて第三工程の2回目のニーディングを約10分間行なった。
ショートニング 15gこのショートニングは上記パン生地全体のグルーテン膜とグルーテン膜の間に点在せしめられ、次工程に於けるパン生地発酵時の潤滑油的機能を果し、パンを大きくふくらませる。以上までに用いた材料をまとめると次の表5の通りであった。
【表5】

以上により生鮮食材としての人参,玉ねぎ,ピーマン,ジャガイモを細片化した際の汁を主とし、温水を従とするパン生地を得ることができた。パン生地の温度は27.6℃で、展延性に富み、ソフト感があった。以後常法に従がい発酵40分,分割と成型で20分,発酵35分,焼成200℃、30分してパンとした。このパンは外観上もソフトで、野菜の風味に富み、且つ人参,玉ねぎ,ピーマン,ジャガイモの栄養価に富むものであった。因みに、人参100g当りの栄養成分は、カルシウム39mg,鉄0.8mg,カリウム400mg,カロチン7,300μg,ビタミンB1 0.07mg,ビタミンB2 0.05mg,ビタミンC6mg,食物繊維2.4gであって、カロチンの含有量が極めて高い。従って、このパンによるとカロチンの摂取量を大きくとることができる。また、玉ねぎ100g当りでは、カルシウム15mg,鉄0.4mg,カリウム160g,カロチン0,ビタミンB1 0.04mg,ビタミンB2 0.01mg,ビタミンC7mg,食物繊維1.4gであって、栄養成分は各段と高い成分を含有しているものはないものの、風味を増す効果がある。更にピーマン100g当りでは、カルシウム10mg,鉄0.6mg,カリウム200g,カロチン270μg,ビタミンB1 0.04mg,ビタミンB20.04mg,ビタミンC80g,食物繊維2.3gであって、ビタミンCを多く含み、このパンによるとビタミンCの摂取量を多くとることができる。加えて、ジャガイモ100g当りは、カルシウム5mg,鉄0.5mg,カリウム450g,カロチン0,ビタミンB1 0.11mg,ビタミンB2 0.03mg,ビタミンC23mg,食物繊維1.1gであって、比較的カリウムの含有量が大であるから、このパンを食するとカリウムの摂取量を多くとれる。これらの栄養価は、加工工程中の温度の変化によって損なわれないものである。尚上記の実施例に於いては、水を30gとしたが、小麦粉の量に対して0.1%程度の微量でもよく、又逆に人参,玉ねぎ,ピーマン,ジャガイモを細片化した際の汁の量に近い量でもよい。水の量が多くなればなる程パンのソフト感が得られる。
【0018】実施例2この実施例の工程は図2の通りである。実施例1と略同じてあるが、一応以下にこの製法を工程順に示す。先ず第一工程のビーディングを次の材料で行なった。
小麦粉 150gイースト 6g砂 糖 30gいちご 165gコンデンスミルク 30g温 水 30g (この場合水として温水を用いた。)
先ず同じように上記小麦粉,イースト,砂糖を大ボールの中で軽く混ぜ合わす。他方、上記いちごをミキサーでみじん切りにし、それらの汁と共にみじん切りのいちごを他のボールに移した。そして上記小麦粉,イースト,砂糖を軽く混ぜ合わせた後に、それに対して上記みじん切りのいちご及びその汁並びに温水を1度に入れ、しゃもじで5分間ビーディングした。この場合、小麦粉の量よりもみじん切りしたいちごの水分の量が多いので、大ボールの中は半液状であり、このビーディングをスムースに行なうことができ、且つ小麦粉の周囲にはいちごの水分が十分に存在しているので小麦粉の中のたんぱく質といちごの汁の水分は十分接触し、グルーテンが生成しやすくなっていた。5分間のビーディングが終了したら、次いで第二工程の1回目のニーディングを次の材料を加えて行なった。
小麦粉 150g塩 5gこの第二工程で加えられた小麦粉は、上記第一工程で加えられた小麦粉と比較していちごの汁の水分を接触する機会が少なくなっていると共に、この第二工程ではパン生地が粘土状の強い弾性を有しているので、上記ビーディングと異なりパン生地を手でつかんで、まな板等の上にたたきつけ、あるいは打ちつけ、次いで半分等に折り、更にたたきつけあるいは打ちつけるのを繰り返す。これを10分間位行なう。これにより、第一工程での小麦粉と第二工程での小麦粉が一体的に混ざると共に、いちごの汁の水分と小麦粉の結合が促進し全量が均一なグルーテン組織となる。続いて次の材料を加えて第三工程の2回目のニーディングを約10分間行なった。
ショートニング 30gこのショートニングは上記パン生地全体のグルーテン膜とグルーテン膜の間に点在せしめられ、次工程に於けるパン生地発酵時の潤滑油的機能を果し、パンを大きくふくらませる。以上までに用いた材料をまとめると次の表6の通りであった。
【表6】

以上により生鮮食材としてのいちごを細片化した際の汁を主とし、温水を従とする仕込水を用いてパン生地を得ることができた。以後常法に従がい発酵40分,分割と成型で20分,仕上発酵20分,焼成200℃,15分してパンとした。尚、分割後生地の中にカスタードを入れて焼成した。このパンは外観上色付きが弱いが、いちご風味は良いものであった。尚水として温水を用いたのは、イーストの膨潤を早める為であり、春の季節は略35℃,冬の季節は略40℃が望ましい。勿論常温の水でもよい。
【0019】実施例3この実施例の工程は図3の通りである。これも実施例1と略同じてあるが、一応以下にこの製法を工程順に示す。先ず第一工程のビーディングを次の材料で行なった。
小麦粉 150gイースト 6g砂 糖 30gグレープフルーツ(約1ヶ) 145gスキムミルク 6g水 20g先ず同じように上記小麦粉,イースト,砂糖を大ボールの中で軽く混ぜ合わす。他方、上記グレープフルーツをミキサーでみじん切りにし、それらの汁と共にみじん切りのグレープフルーツを他のボールに移した。そして上記小麦粉,イースト,砂糖を軽く混ぜ合わせた後に、それに対して上記みじん切りのグレープフルーツ及びその汁並びに水を1度に入れ、しゃもじで5分間ビーディングした。この場合、小麦粉の量よりもみじん切りしたグレープフルーツの水分の量が多いので、大ボールの中は半液状であり、このビーディングをスムースに行なうことができ、且つ小麦粉の周囲にはグレープフルーツの水分が十分に存在しているので小麦粉の中のたんぱく質とグレープフルーツの汁の水分は十分接触し、グルーテンが生成しやすくなっていた。5分間のビーディングが終了したら、次いで第二工程の1回目のニーディングを次の材料を加えて行なった。
小麦粉 150g塩 5gこの第二工程で加えられた小麦粉は、同じように上記第一工程で加えられた小麦粉と比較してグレープフルーツの汁の水分を接触する機会が少なくなっていると共に、この第二工程ではパン生地が粘土状の強い弾性を有しているので、上記ビーディングと異なりパン生地を手でつかんで、まな板等の上にたたきつけ、あるいは打ちつけ、次いで半分等に折り、更にたたきつけあるいは打ちつけるのを繰り返す。これを10分間位行なう。これにより、第一工程での小麦粉と第二工程での小麦粉が一体的に混ざると共に、グレープフルーツの汁の水分と小麦粉の結合が促進し全量が均一なグルーテン組織となる。続いて次の材料を加えて第三工程の2回目のニーディングを約10分間行なった。
ショートニング 30gこのショートニングは上記パン生地全体のグルーテン膜とグルーテン膜の間に点在せしめられ、次工程に於けるパン生地発酵時の潤滑油的機能を果し、パンを大きくふくらませる。以上までに用いた材料をまとめると次の表7の通りであった。
【表7】

【0020】実施例4この実施例の工程は図4に示される。この図4の工程順から明らかなように、この実施例も実施例1と略同様の工程であるので、工程の説明は省略する。この実施例4では、生鮮食材として、マッシュルーム及び魚介類のほたてを用いたもので、ソフト感があり美味なものであった。使用材料は次の表8の通りである。
【表8】

このように、主たる仕込水としてマッシュルームとほたてを細片化した際に生ずる汁を用いてパン生地及びパンを製することができた。
【0021】実施例5この実施例の工程は図5に示される。この図5の工程順から明らかなように、この実施例も実施例1と略同様の工程であるので、工程の説明は省略する。この実施例5では、生鮮食材として、マッシュルーム及び魚介類のあさりを用いたもので、色がグリーンでソフト感があり美味なものであった。使用材料は次の表9の通りである。
【表9】

このように、主たる仕込水としてマッシュルームとあさりを細片化した際に生ずる汁を用いてパン生地及びパンを製することができた。
【0022】実施例6この実施例の工程は図6に示される。この図6の工程順から明らかなように、この実施例も実施例1と略同様の工程であるので、工程の説明は省略する。この実施例6では、生鮮食材として、マッシュルーム及び魚介類のえびを用いたもので、全体に出来上がりが堅く、あまり釜伸びはしなかったが、えびの香りがあって美味であった。使用材料は次の表10の通りである。
【表10】

このように、主たる仕込水としてマッシュルームとえびを細片化した際に生ずる汁を用いてパン生地及びパンを製することができた。
【0023】実施例7この実施例の工程は図7に示される。この図7の工程順から明らかなように、この実施例も実施例1と略同様の工程であるので、工程の説明は省略する。この実施例7では、生鮮食材として、れんこん及び魚介類のいかを用いたもので、れんこんの味はほとんど感じられないが、いかの香りが強く、独特の味が得られた。使用材料は次の表11の通りである。
【表11】

このように、主たる仕込水としてれんこんといかを細片化した際に生ずる汁を用いてパン生地及びパンを製することができた。
【0024】実施例8この実施例の工程は図8に示される。この図8の工程順から明らかなように、この実施例も実施例1と略同様の工程であるので、工程の説明は省略する。この実施例8では、生鮮食材として、山芋及び魚介類のまぐろ(しょう油づけ)を用いたもので、ソフト感があり美味なものであった。使用材料は次の表12の通りである。
【表12】

このように、主たる仕込水として山芋とまぐろを細片化した際に生ずる汁を用いてパン生地及びパンを製することができた。
【0025】実施例9この実施例の工程は図9に示される。この図9の工程順から明らかなように、この実施例も実施例1と略同様の工程であるので、工程の説明は省略する。この実施例9では、生鮮食材として、キャベツ及び魚介類のたこを用いたもので、香りが出て美味なものであった。使用材料は次の表13の通りである。
【表13】

このように、主たる仕込水としてキャベツとたこを細片化した際に生ずる汁を用いてパン生地及びパンを製することができた。
【0026】実施例10以上までの実施例1〜9は、ビーディング,ニーディング工程をいわゆる手ごねにて行なった例であるが、この実施例ではパン生地製造機を用いた例を示す。先ずパン生地製造機自体を簡略的に図19に従い説明する。1はモータが収納されている機台、2はその上部にセットされているワークボール、3はそのカバーで、注入口4が形成されている。次いで5はモータによって回転せしめられる金属ブレード、6は同じくモータによって回転せしめられるプラスチックブレード、7はロング状のブレードであり、この内上記金属ブレード5は、この発明に関連した部分について説明すれば野菜,果実のみじん切りに使用し、上記プラスチックブレード6は、主としてパン生地の練りあげに用いるもので、金属ブレード5,プラスチックブレード6,ロング状のブレード7は取付交換可能となっている。次いで、8はこのパン生地製造機と共に用いるへらの一例、9はブレードのクリーナー、10はモータ軸のカバーで、パン生地の発酵時にモータ軸をカバーする為に用いる。11はオンレバーであってレバーを下に押すとモータが連続運転し、次に12は瞬時動作レバー、13は電源プラグであり、この内上記瞬時動作レバーは、レバーを下に押さえている間だけモータが動作し、この押さえを解除するとモータが停止するように設定されている。つまりこのレバーを押したり、離したりして、材料を粗いみじん切りにしたり、ワークボール2の中の混合物の状態を見ながら動作を繰り返すときに使用する。このようなパン生地製造機の一具体例として本出願人の製造に係るスーパーコスモハート(商品名)があり、以下の実施例ではこのパン生地製造機を用いて、図2に示す工程に従ってパン生地及びパンを製した。先ず、人参60gを皮つきのまますりおろし、50℃の温水で湯せんした。そして、そこにイースト6gを振り入れ4分間位膨潤させた。他方、商品名スーパーコスモハートのワークボール2に金属ブレードを装着し、ワークボール2内に皮つきジャガイモ130gとピーマン60gを収容し、オンレバー11を押し、金属ブレード5によって細かくみじん切りにした。次いでワークボール2内のみじん切り皮つきジャガイモとピーマンの中に、3〜4cm角きりにした玉ねぎを入れ、瞬時動作レバー12を2〜3回位(合計で5秒位)押下し、全体をみじん化した。その次に、小麦粉300g,砂糖30g,塩4.5g及び水30gをワークボール2中のみじん化された皮つきジャガイモ,ピーマン,玉ねぎ中に入れ、オンレバー11を押し金属ブレード5を回転させて全体をソボロ状態化した。いわゆるビーディングを行なった。続いてワークボール2のソボロ状態化の上記混合物中に、先のイーストを膨潤させた人参を入れ、再びオンレバー11を押し、約30秒位金属ブレード5によるおから状態化の為の1回目のニーディングを行なった。次に、ワークボールの中の金属ブレード5を取り、代りにプラスチックブレード6を装着し、オンレバー11を押し、1分40秒位、2回目のニーディングその1を行ない、パン生地を耳たぶのやわらかさに似た状態にした。即ち小麦粉のたんぱく質と上記野菜の水分が接触しグルーテン化が進んでいた。そして、そのワークボールの中のパン生地に対して、油脂15gを混ぜ、オンレバー11を押下してプラスチックブレード6によって2回目のニーディングしその2を約30秒位かけた。この後打ち粉を振りかけた。これにより仕込水を用いずとも、ソフトで弾力のある、而も手ごね工程を経ないでソフトで弾力のあるパン生地を得ることができた。以後このパン生地をワークボール2から取り出し、発酵,分割,成型,仕上,発酵,焼成してパンとした。以上までに用いた材料を表14にまとめると次の通りである。
【表14】

上記に於いて、皮つき人参のすりおろしものを50℃で湯せんしたのは、その後に於けるパン生地の発酵を助長させるためであった。又皮つきジャガイモ,玉ねぎ,ピーマンを細かくみじん切りにし、完全にジュース状化しないのは、これら野菜の中から完全に水分が遊離してしまうとパン生地の発酵が難しいことが確認されたからである。更にこの実施例では青果の中の野菜として人参,ジャガイモ,玉ねぎ,ピーマンを用いたが、その他水分を多く含む野菜,例えばトマト等を用いてもよく、果実、例えばりんごを用いてもよい。尚パン生地製造機を用いる場合、水は常温の水でよい。その理由はブレードの回転により水温が上がり、イーストの膨潤に丁度よい温度となる為である。
【0027】実施例11〜18これらの実施例11〜18も実施例10と同じパン生地製造機を用いてパン生地を製造した例があり、図11〜18はそれらの工程を示し、図11〜18に示す通りその工程は実施例10とほぼ同じなので、工程の説明は省略する。実施例11(図11)では生鮮食材としていちごを用いた例であり、その使用材料の内訳は実施例2と同様であり、実施例12(図12)では、生鮮食材としてグレープフルーツを用いた例であり、その使用食材の内訳は実施例3と同様であり、実施例13(図13)では生鮮食材としてマッシュルームとほたてを用いた例であり、その使用材料の内訳は実施例4と同様であり、実施例14(図14)では生鮮食材としてマッシュルームとあさりを用いた例であり、その使用材料の内訳は実施例5と同様であり、実施例15(図15)では生鮮食材としてマッシュルームとえびを用いた例であり、その使用材料の内訳は実施例6と同様であり、実施例16(図16)では生鮮食材としてれんこんといかを用いた例であり、その使用材料の内訳は実施例7と同様であり、実施例17(図17)では生鮮食材として山芋とまぐろを用いた例であり、その使用材料の内訳は実施例8と同様であり、実施例18(図18)では生鮮食材としてキャベツとたこを用いた例であり、その使用材料の内訳は実施例9と同様である。上記実施例11ではいちご風味の、実施例12ではグレープフルーツ風味の、実施例13ではほたて風味の、実施例14ではあさり風味の、実施例15ではえび風味の、実施例16ではいか風味の、実施例17ではまぐろ風味の、実施例18ではたこ風味の各パン生地をパン生地製造装置を用いて製造でき、且つそれら風味のパンを得た。
【0028】
【効果】以上詳述した如く本発明によると、ますます盛んになりつつあるパン作りの背景化での新しいパン作りの要求に答える為に仕込水として、生鮮食材を細片化した際に生ずる汁を主として用い、補助として水を用いるパン生地及びパン並びにそれらの製法を提供できる。従って生鮮食材の風味を直接的に味覚できるパン及びその製法を提供でき、更には生鮮食材の栄養価に富むパン及びその製法を提供できる。特に、果実,野菜,魚介類の風味を直接的に味覚でき、且つ果実,野菜,魚介類の栄養価に富むパン及びその製法を提供できる。
【出願人】 【識別番号】594197182
【氏名又は名称】株式会社サンリッチ
【出願日】 平成13年5月22日(2001.5.22)
【代理人】 【識別番号】100076358
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 宏
【公開番号】 特開2002−335848(P2002−335848A)
【公開日】 平成14年11月26日(2002.11.26)
【出願番号】 特願2001−152318(P2001−152318)