| 【発明の名称】 |
低糖クッキー |
| 【発明者】 |
【氏名】永井 鑑
【氏名】大野 邦子
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| 【要約】 |
【課題】少量で栄養価が高く、消化がよく、手軽に利用できる低糖クッキーを提供すること、および前記低糖クッキーの医療分野での使用を提供すること。
【解決手段】(1)栄養補助食品としての低糖クッキーであって、その成分として、小麦粉、消化態栄養剤、低カロリー甘味料、卵黄、およびバターを含む低糖クッキー、(2)前記(1)に記載の低糖クッキーであって、更に香味成分を含む低糖クッキー、(3)前記(1)または(2)に記載の低糖クッキーの、ダンピング症状を起こす可能性がある患者の食事における使用、並びに、(4)前記(1)または(2)に記載の低糖クッキーの、胃切後患者の食事における使用。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 栄養補助食品としての低糖クッキーであって、その成分として、小麦粉、消化態栄養剤、低カロリー甘味料、卵黄、およびバターを含むことを特徴とする低糖クッキー。 【請求項2】 請求項1に記載の低糖クッキーであって、更に香味成分を含むことを特徴とする低糖クッキー。 【請求項3】 請求項2に記載の低糖クッキーであって、前記香味成分が、ピーナッツ、きな粉、ココア、味噌、アーモンド、クルミ、胡麻、抹茶、および海苔から成る群より選択される一の成分であることを特徴とする低糖クッキー。 【請求項4】 請求項1ないし3の何れか1項記載の低糖クッキーの、ダンピング症状を起こす可能性がある患者の食事における使用。 【請求項5】 請求項1ないし3の何れか1項記載の低糖クッキーの、胃切後患者の食事における使用。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、栄養補助食品としての低糖クッキーに関する。本発明の低糖クッキーは、主として医療分野で利用可能であり、特に、ダンピング症状を起こす可能性がある患者(例えば、胃切除後の患者)の術後の食事として有用であるが、一般的にも利用可能である。 【0002】 【従来の技術】胃切除後の患者は、食後の高血糖によりダンピング症状を引き起こすことが知られている。その具体的症状として、発汗、紅潮、めまい、衰弱、血管運動虚脱などが挙げられる。ダンピング症状を発症する原因としては、食物が急速に胃から小腸に流入した結果、小腸の内容が高張性となり、この浸透圧効果のために血漿から水分が取り除かれ、循環血液量が急激に減少するためと考えられている。 【0003】これまで、胃切除後の患者に対して、下記表1〜表7に示す1週間分の献立が術後の食事として提供されている。この献立例は5回の分割食から成り、毎食事としてはバランス的にも量的にも理想的であるため、一般に利用されている。 【0004】 【表1】
【0005】 【表2】
【0006】 【表3】
【0007】 【表4】
【0008】 【表5】
【0009】 【表6】
【0010】 【表7】
【0011】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記表1〜表7の献立に対する胃切除後の患者の意見を実際に聞いてみると、■5回とも同じような食事ばかりで食欲がわかない、■朝、昼、夕の3食以外は、お菓子やスープのような手軽なものの方が食欲がでる、■退院後、家で5回の分割食ができないので不安になるなど、患者自身の満足度が低いことが分かった。また、上記表1〜表7に示す献立の患者の摂取量を調べても、目標とする60%に達することは少なく、平均35%であった。 【0012】本発明者らは、上記問題を本発明において新たに見出し、ダンピング症状を起こす危険のない食事であって、かつ、患者の満足度と摂取量が高い食事を提供する必要性を感じた。 【0013】このような事情により、本発明は、栄養補助食品として、少量で栄養価が高く、消化がよく、手軽に利用できる低糖クッキーを提供することを目的とする。更に本発明は、前記低糖クッキーの医療分野での使用を提供することを目的とする。 【0014】なお、本発明の低糖クッキーのような利点を有する栄養補助食品は知られていないし、このような食品が、ダンピングを起こす可能性のある患者の食事に組み込まれたこともない。また、ダンピングの予防を目的とした間食も市販されていないのが現状である。 【0015】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するため、下記の点に着目した。 ■ ダンピングの予防のため、高脂肪(40%エネルギー比以上)、低糖質(40%エネルギー比以下)の栄養組成とすること。 ■ 高血糖に影響しない甘味を使用すること。 ■ 全栄養組成を向上させる目的で、消化態栄養剤と小麦粉を混合して使用すること。 ■ 軽食としての位置づけとなるものであること。 【0016】上記観点に基づき、本発明は以下に記載の手段を採用する。 (1) 栄養補助食品としての低糖クッキーであって、その成分として、小麦粉、消化態栄養剤、低カロリー甘味料、卵黄、およびバターを含むことを特徴とする低糖クッキー。 (2) (1)に記載の低糖クッキーであって、更に香味成分を含むことを特徴とする低糖クッキー。 (3) (2)に記載の低糖クッキーであって、前記香味成分が、ピーナッツ、きな粉、ココア、味噌、アーモンド、クルミ、胡麻、抹茶、および海苔から成る群より選択される一の成分であることを特徴とする低糖クッキー。 (4) (1)ないし(3)の何れか一に記載の低糖クッキーの、ダンピング症状を起こす可能性がある患者の食事における使用。 (5) (1)ないし(3)の何れか一に記載の低糖クッキーの、胃切後患者の食事における使用。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。 【0018】[低糖クッキー]本発明の低糖クッキーは、材料成分として、小麦粉、消化態栄養剤、低カロリー甘味料、卵黄、およびバターを含有する。本発明の低糖クッキーは、更に、ピーナッツ、黄な粉、ココア、または味噌等の香味成分を含有していてもよい。以下、順に各材料成分について説明する。 【0019】本発明の低糖クッキーに含有される小麦粉、卵黄、バターは、一般にクッキーをつくる際に使用されるものであれば限定されず、市販のものを使用することができる。本発明の低糖クッキーは、バターを使用することにより、易消化性で風味の良いものとなる。 【0020】次いで、本発明の低糖クッキーに含有される消化態栄養剤は、一般に濃厚流動食として使用可能な栄養剤(粉体)であれば特に限定されない。例えば、市販されているカロリアン(株式会社ヤクルト)、ハイネックスR(大塚製薬株式会社)等を使用することができる。 【0021】カロリアンおよびハイネックスRの成分を以下に列挙する。カロリアンは、1袋90gあたり、エネルギー 400kcal、蛋白質 15.6g、脂質12.0g、糖質 57.4g、ナトリウム 300mg、カルシウム 180mg、リン 180mg、鉄4.8mg、カリウム 250mg、塩素 180mg、マグネシウム 27.0mg、亜鉛 0.62mg、ビタミンA 540 IU、ビタミンB1 0.32mg、ビタミンB2 0.7mg、ビタミンB6 0.8mg、ナイアシン 5.3mg、パントテン酸 3.0mg、葉酸 0.06mg、ビタミンB12 0.7μg、ビタミンC 20mg、ビタミンD 50 IU、ビタミンE 25mgを含む。 【0022】ハイネックスRは、1袋96gあたり、エネルギー 403kcal、蛋白質 13.4g、脂質 8.9g、糖質 67.3g、ナトリウム 566mg、カリウム 306mg、カルシウム 157mg、マグネシウム 60mg、クロール 866mg、リン 212mg、鉄 2.62mg、ビタミンA 447 IU、ビタミンB1 0.22mg、ビタミンB2 0.25mg、ビタミンB6 0.45mg、ビタミンB12 1.12μg、ニコチン酸アミド 3.4mg、葉酸 0.12mg、ビタミンC 11.19mg、ビタミンD 44.7 IU、ビタミンE 5mg、パントテン酸 2.24mgを含む。 【0023】本発明の低糖クッキーでは、一般のクッキーよりも小麦粉の分量を控え、それを補う量の上記消化態栄養剤を使用することを特徴とする。消化態栄養剤を加えることにより、本発明の低糖クッキーは、小麦粉単品よりも蛋白質、脂質、糖質、ビタミン類、ミネラル類などの栄養素が充実するため栄養価が高くなることが期待できる。 【0024】次いで、本発明の低糖クッキーに含有される低カロリー甘味料は、熱により味が変化しない低カロリー甘味料であれば特に限定されない。本発明において、低カロリー甘味料とは、砂糖よりもカロリーが低く、砂糖と同程度の甘味を提供できる成分をいう。例えば、市販されているラカントS(99.2% エリスリトール、0.8% ラカンカエキス;サラヤ株式会社)、エリスマート(77.03% 還元麦芽糖水飴(固形分75%)、14.00% 食物繊維(固形分70%)、7.00% エリスリトール、1.40% 水、0.57% 甘味料(サッカリンナトリウム);日研化学株式会社)等を使用することができる。本発明の低糖クッキーは、砂糖を使用しないで、このような低カロリー甘味料を含むことを特徴とする。低カロリー甘味料を加えることにより、本発明の低糖クッキーは、食後の血糖値への影響が比較的少ないことが期待できる。 【0025】本発明において香味成分は、本明細書で挙げたもの以外でも、クッキーに適切な味や香りを付与するものであれば特に制限されない。 【0026】本発明の低糖クッキーは、各材料の分量として、好ましくは、4〜6重量部の小麦粉、4〜6重量部の消化態栄養剤、3〜5重量部の低カロリー甘味料、2〜4重量部の卵黄、および5〜7重量部のバターを含む。より好ましくは、5重量部の小麦粉、5重量部の消化態栄養剤、3重量部の低カロリー甘味料、2重量部の卵黄、および5〜7重量部のバターを含む。 【0027】上記分量に対して、好ましくは、1〜4重量部の香味成分、より好ましくは、0.6〜3重量部の香味成分を含んでいてもよい。 【0028】上述の材料成分を使用し、通常クッキーをつくる手法で、本発明の低糖クッキーをつくることができる。 【0029】プレーンクッキーの材料とその分量、および作り方の一例を以下で説明する。なお、本発明が以下の記載に限定されないことはいうまでもない。下記分量は、胃切後患者の術後の食事(間食)の1/2回分である。 ・材料(分量) 小麦粉(5g) カロリアン(5g) ラカントS(3g) 卵黄(2g) バター(5g) ・作り方(a)小麦粉をカロリアンと一緒にして塊がないように篩にかける。 (b)バターをホイップしながらクリーム状に溶かした所に卵黄とラカントSとを混ぜ合わせ、更に(a)で得られた成分を混ぜ合わせ、種を成形する。これを冷蔵し、分量にカットする。 (c)160度のオーブンで15分焼く。 【0030】更に香味成分を加えることにより、上記プレーンクッキー以外の種々のバリエーションの低糖クッキーを同様につくることができる。以下、香味成分の具体例を挙げ、低糖クッキーへの添加の仕方について特記すべき事項を述べる。 【0031】1)ピーナッツクッキーピーナッツは皮をむき、ミキサーにかけてパウダー状にし、上記(b)の工程で混ぜ合わせる。 2)きなこクッキー黄な粉は、塊がないように、そして均一に混ざるように(a)の工程で一緒に篩にかける。 3)ココアクッキーココアは、塊がないように、そして均一に混ざるように(a)の工程で一緒に篩にかける。 4)和風クッキー白味噌は卵黄と一緒によく混ぜる。 5)その他アーモンド、クルミ、胡麻、抹茶、海苔などを香味成分として適量用いて好みの低糖クッキーをつくることができる。 【0032】このように、低糖クッキーにバリエーションをもたせることにより、患者の食欲を喚起することができる。 【0033】本発明の低糖クッキーの栄養量を下記表に示す。 【0034】 【表8】
【0035】 【表9】
【0036】市販のクッキーの栄養比率と比較してみると、市販のクッキーのPFC(%)がそれぞれ4%、40%、56%であるのに対し、本発明の低糖クッキーは、PFC(%)がそれぞれ7%、60%、33%であり、高蛋白、高脂肪、低糖質のクッキーである。(ここでPFC(%)は、順に蛋白質エネルギー%、脂質エネルギー%、糖質エネルギー%の値を示す。) 【0037】また本発明の低糖クッキーは、蔗糖がほとんど入っていないため虫歯への影響が少ない。更に本発明の低糖クッキーは、サクサク感があり、歯につきにくいという利点も有する。 【0038】[低糖クッキーの医療分野での使用]上述の本発明の低糖クッキーは、ダンピング症状を起こす可能性のある任意の患者に対して、それを予防するための食事として使用することができる。特に、胃切後患者の術後の食事として使用することができる。本発明において胃切後患者とは、胃を一部もしくは全部除去した患者をいい、このような患者が主たる対象である。なお、本発明の低糖クッキーは、外科領域だけでなく、内科・小児科等の内分泌疾患に対しても広く適応可能であると考えられる。 【0039】使用方法は、本発明の低糖クッキーを野菜ポタージュと組み合わせて間食にする。具体的には、下記実施例で用いた表10〜表16に示す献立例を参照されたい。ただし、本発明の低糖クッキーの、胃切後患者の食事における使用が、上記使用方法に限定されないことはいうまでもない。 【0040】下記の献立例の1回の間食において、低糖クッキーの占めるエネルギー量を約200kcalとしたが、患者の通常摂取している量であり、かつ夕食に影響しない量である。 【0041】 【実施例】以下、本発明の実施例について記載する。 【0042】本発明の低糖クッキーを胃切後患者の術後の食事において間食として利用した。具体的には、下記表10〜表16に示す1週間分の献立のなかに組み込んだ。 【0043】 【表10】
【0044】 【表11】
【0045】 【表12】
【0046】 【表13】
【0047】 【表14】
【0048】 【表15】
【0049】 【表16】
【0050】なお、種々のバリエーションの低糖クッキーは、上記表8および表9に示す材料(分量)を用いて、上記手法によりつくった。 【0051】表10〜表16に記載の献立は、基本となる3食に加えて、15時にスープと本発明の低糖クッキーを間食として組み込んだものであるため、一般的な食事スタイルという認識で患者にも受け入れられた。また、市販のクッキーのようにダンピングの心配もなく食べられるので、患者は安心して摂取できるようになった。更に、本発明の低糖クッキーにより、1回の食事が目標としている60%を摂取できるようになり、かつ間食の摂取率と合わせると約200kcalの摂取エネルギー増加を見ることとなった。また、低糖クッキーを、夜食や早朝空腹時に摂取するなど分食をして喫食率の増加をはかる患者を散見した。 【0052】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の低糖クッキーは、少量で栄養価が高い点、消化がよい点、その上、保存、携帯が可能で手軽に利用できる点で優れている。そのため、本発明の低糖クッキーは、ダンピング症状をおこす可能性のある患者、特に胃切後患者に対する術後の食事として大変有効である。 【0053】本発明の低糖クッキーを上記患者の術後の食事として使用した場合、従来の病院での食事と比べて以下の利点を有する。まず、従来の病院食で利用されているいわゆる食事とは趣向の異なる食事を提供することができ、患者の食欲増進につながる。更に、本発明の低糖クッキーの摂取は、ダンピング症状の誘発を予防し、何よりダンピング症状を起こすことに対する患者の不安を軽減することができる。その上、本発明の低糖クッキーは、栄養面でも申し分なく、更に吸収もよいため、患者の摂取エネルギーの増加につながり、体力の回復に効果を奏する。また、患者の退院後についても、保存がきき、家庭でも作れるおやつとして、栄養摂取量の自己管理ができる点で優れている。
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| 【出願人】 |
【識別番号】391026405 【氏名又は名称】東京医科歯科大学長
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| 【出願日】 |
平成13年4月25日(2001.4.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100058479 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外5名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−320440(P2002−320440A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月5日(2002.11.5) |
| 【出願番号】 |
特願2001−127944(P2001−127944) |
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