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【発明の名称】 仕込水を用いないパン生地及びパン並びにそれらの製法
【発明者】 【氏名】高木隆夫

【氏名】秋山千文

【氏名】灘吉利晃

【要約】 【課題】仕込水を用いないで作ることのできるパン生地及びパン並びにそれらの製法を提供する。

【解決手段】少なくとも小麦粉,砂糖,塩,イーストが入れられ、それらの中にみじん切り等細片化した青果食材及びその汁を入れ、ビーディングし、ニーディングしてパン生地とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも小麦粉,砂糖,塩,イーストが入れられた混合材をビーディングし、且つニーディングして得られるパン生地に於いて、上記混合材中に仕込水が入れられることなく、みじん切り等細片化した青果食材及びその細片化段階の青果汁が入れられ、その細片化した青果食材及び青果汁を含む混合材をビーディングし、且つニーディングして得られたパン生地。
【請求項2】 上記青果食材は野菜であることを特徴とする請求項1記載のパン生地。
【請求項3】 上記青果食材は果実であることを特徴とする請求項1記載のパン生地。
【請求項4】 上記野菜は人参,玉ねぎ,ピーマン,ジャガイモより成るものであることを特徴とする請求項2記載のパン生地。
【請求項5】 上記果実は、りんごであることを特徴とする請求項3記載のパン生地。
【請求項6】 上記パン生地を発酵,分割,成型,発酵,焼成して得た請求項1ないし5記載のパン。
【請求項7】 少なくとも小麦粉,砂糖,塩,イーストが入っている混合材をビーディングし、次いでそれらをニーディングして作るパン生地の製法に於いて、青果食材をみじん切り等して細片化し、次いで上記小麦粉,砂糖,塩,イーストの混合材に対して仕込水を入れることなく上記細片化した青果食材及びその青果汁を入れてから、それらをビーディングし、続いてそれらをニーディングして作るパン生地の製法。
【請求項8】 少なくとも小麦粉とイーストと砂糖が含まれている材料をビーディングする第一工程と、更に加えられた小麦粉と塩を入れてニーディングする第二工程と、ショートニングを加えて更にニーディングする第三工程より成るパン生地の製法に於いて、上記第一工程のビーディングに際して仕込水を入れることなく、予めみじん切り等して細片化した青果食材及びその青果汁を入れてビーディングすることを特徴とするパン生地の製法。
【請求項9】 数種の青果をモータによって回転せしめられる金属ブレードによってみじん化等細片化し、それらを青果汁と共に小麦粉,砂糖,塩の混合材中に入れてモータによって回転せしめられる金属ブレードによって攪拌してソボロ状態化にするビーディング工程と、別種の青果をすりおろし、湯せん後イーストを加えて膨潤させる工程と、上記ビーディング工程を経たソボロ状態化材料に対して上記湯せん、イーストを加えられて膨潤せしめられた別種の青果と加えてモータによって回転せしめられる金属ブレードによっておから状態化にするニーディング工程と、上記金属ブレードに代えてモータによって回転せしめられるプラスチックブレードによって更にニーディングする工程と、更に油脂を加えてニーディングする工程によってパン生地を得ることを特徴とするパン生地の製法。
【請求項10】 上記青果食材は野菜であることを特徴とする請求項7ないし9記載のパン生地の製法。
【請求項11】 上記青果食材は果実であることを特徴とする請求項7ないし9記載のパン生地の製法。
【請求項12】 上記青果食材は、人参,玉ねぎ,ピーマン,ジャガイモより成ることを特徴とする請求項7又は8記載のパン生地の製法。
【請求項13】 上記青果食材は、りんごであることを特徴とする請求項7又は8記載のパン生地の製法。
【請求項14】 上記数種の青果は、皮つきジャガイモ,ピーマン,玉ねぎ,であり、上記別種の青果は皮つき人参であることを特徴とする請求項9記載のパン生地の製法。
【請求項15】 上記パン生地を発酵,分割,成型,発酵,焼成してパンとすることを特徴とする請求項7ないし14記載のパンの製法。
【請求項16】 上記青果として、水分含有率85%以上の青果の複数を用い、この数種類の青果の重量を小麦粉の重量に対して83%〜100%の範囲で用いることを特徴とする請求項7ないし14記載のパン生地の製法。
【請求項17】 上記青果として、水分含有率85%以上の青果の複数を用い、この数種類の青果の重量を小麦粉の重量に対して83%〜100%の範囲で用いることを特徴とする請求項15記載のパンの製法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は仕込水を用いないパン生地及びパン並びにそれらの製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知の通り、パン生地及びパン並びにそれらの製法に関しては、従来から種々の発明、考案が提案されている。その中の1つに、生地づくりの時間短縮を可能とすると共にグルーテンの円滑且つ均一な生成を可能にすることを目的とした本出願人の出願に係る特公昭60−3445号公報に記載の発明もあり、又他の1つに特開平11−42048号に記載の発明のように、主原料の小麦粉に副原料を加え練り合わせ、それに果実,野菜類を包込み整形した直後に急速冷凍し、零度前後で保管した後に氷温熟成発酵し、而る後に焼上げてフルーツパンとするものもあり、更にもう1つに特開平9−9857号公報に記載の発明のように、水分活性を0.84以下に調整した3種類以上の野菜類を含み抗酸化性を通常のパンの2倍以上にする野菜入り抗酸化パンおよびその製法としたものもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は各々特徴を有し、例えば特公昭60−3445号公報記載の発明は、グルーテン化が早くパン生地製造時間を大幅に短縮出来る為に家庭内におけるパンづくりに好適であり、特開平11−42048号公報記載の発明は、包込まれた野菜,果実が煮崩れせず、ほぼ原形を保った野菜,果実を内に有するパンとすることが出来、又特開平9−9857号公報記載の発明は、酸化的ストレスを低減することのできるパンとすることができるものである。
【0004】然しながら、これらの従来技術の何れも、パン生地を作る際には仕込水を用いている。例えば、特公昭60−3445号公報記載の発明の場合、小麦粉の量を100とした場合、その略65%の仕込水を用いてビーディングしており、又特開平11−42048号公報に記載の発明は、主原料の小麦粉にイースト等副原料を加え練り合わせするとの記載から、仕込水を用いて練り合わせすることが前提となっており、更に又特開平9−9857号公報に記載の発明は、その実施例で小麦粉1500g〜1700gに対し水600g〜800gを加えてミキシング等してパン生地を作るものとしている。
【0005】ところで、近時パン製造業者による個性のあるパン製造のみならず、家庭内におけるパン作りがますます盛んになっており、且つそれにつれてそのパン作りの内容も多技となっており、常に新しいパンの作り方,新しい趣向,風味,栄養価のパンが求められているのが実情である。ところが従来技術は上記したように、パン生地の生成に際して必ず仕込水を用いているので、パン生地及びパンの作り方が一様に定型化してしまう傾向にあり、上記新しいパン作りを求める社会的要請に十分答えることができないものであった。
【0006】
【発明の目的】従って本発明の目的とするところは、ますます盛んになりつつあるパン作りの背景下での新しいパン作りの要求に答え得るようにするものであり、より具体的には仕込水を用いないパン生地及びパン並びにそれらの製法を提供するにある。加えて、生鮮食材の風味を直接的に味覚できるパン及びその製法を提供するにあり、更には生鮮食材の栄養価に富むパン及びその製法を提供するにある。特に、野菜の風味を直接的に味覚でき、且つ野菜の栄養価に富むパン及びその製法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決する為の手段】上記目的を達成する為に、本発明は次の技術的手段を有する。即ち本発明は、少なくとも小麦粉,砂糖,塩,イーストが入れられた混合材をビーディングし、且つニーディングして得られるパン生地に於いて、上記混合材中に仕込水が入れられることなく、みじん切り等細片化した青果食材及びその細片化段階の青果汁が入れられ、その細片化した青果食材及び青果汁を含む混合材をビーディングし、且つニーディングして得られたパン生地又はそれを発酵,分割,成型,発酵,焼成してパンとしたものであり、仕込水の代りに小麦粉のたんぱく質と接触してグルーテンを生成する役割を細片化した青果食材及びその汁の中の水分によって可能としたものである。
【0008】この場合、上記青果食材の代表例は野菜であり、野菜の例を示すと次の表1の通りである。尚表1に於いては野菜中の含有水分量を併せて示した。
【表1】

これらの野菜は1種又は数種を併用して用いるが、水分含有量の多いものが望ましい。以下の実施例でも明らかなように、人参,ピーマン,玉ねぎ,ジャガイモがより好適であった。しかしながら、水分含有量が少ないものでも、水分含有量の多い野菜と共に用いて、水分含有量の多い野菜の配合割合を多くすれば用いることができる。
【0009】又上記青果食材の他の例は果実である。その果実の例を示すと次の表2の通りである。尚表2に於いては果実中の含有水分量と併せて示した。
【表2】

この果実の場合も、1種又は数種を併用して用いるが、水分含有量の多いものが望ましい。そして以下の実施例でも明らかなように、りんご,オレンジ,いちごが好適であった。同様に、水分含有量が少ないものでも、水分含有量の多い果実と共に用い、水分含有量の多い果実の配合割合を多くすれば用いることができる。
【0010】そして、青果食品として上記野菜の1種又は数種以上と、果実の1種又は数種以上を配合してもよく、更には小麦粉のたんぱく質と接触してグルーテンを生成するに必要な細片化された青果食材及びその汁を有していれば、それらに加えて魚介類,きのこ類等を細片化したものを副材料として加えてもよい。これらは、要求されるパン風味,色合,栄養価の態様によって種々選択できるし、青果食材なので使用季節,使用地域が異なるから、それらは、季節,地域に応じて望ましいものを使用するものである。
【0011】そして本発明は上記のパン生地及びパンの製法でもある。即ち、少なくとも小麦粉,砂糖,塩,イーストが入っている混合材をビーディングし、次いでそれらをニーディングして作るパン生地の製法に於いて、青果食材をみじん切り等して細片化し、次いで上記小麦粉,砂糖,塩,イーストの混合材に対して仕込水を入れることなく上記細片化した青果食材及びその青果汁を入れてから、それらをビーディングし、続いてそれらをニーディングして作るパン生地の製法である。
【0012】又、少なくとも小麦粉とイーストと砂糖が含まれている材料をビーディングする第一工程と、更に加えられた小麦粉と塩を入れてニーディングする第二工程と、ショートニングを加えて更にニーディングする第三工程より成るパン生地の製法に於いて、上記第一工程のビーディングに際して仕込水を入れることなく、予めみじん切り等して細片化した青果食材及びその青果汁を入れてビーディングすることを特徴とするパン生地の製法としてもよい。
【0013】更に、数種の青果(例えば皮つきジャガイモ,ピーマン,玉ねぎ)をモータによって回転せしめられる金属ブレードによってみじん化等細片化し、それらを青果汁と共に小麦粉,砂糖,塩の混合材中に入れてモータによって回転せしめられる金属ブレードによって攪拌してソボロ状態化にするビーディング工程と、別種の青果(例えば皮つき人参)をすりおろし、湯せん後イーストを加えて膨潤させる工程と、上記ビーディング工程を経たソボロ状態化材料に対して上記湯せん、イーストを加えられて膨潤せしめられた別種の青果と加えてモータによって回転せしめられる金属ブレードによっておから状態化にするニーディング工程と、上記金属ブレードに代えてモータによって回転せしめられるプラスチックブレードによって更にニーディングする工程と、更に油脂を加えてニーディングする工程によってパン生地を得ることを特徴とするパン生地の製法としてもよい。
【0014】上記青果食材は前記した通りの野菜であり、又は、上記青果食材は果実である。そして、上記青果食材は、人参,玉ねぎ,ピーマン,ジャガイモより成るものと、上記がりんごであるものが望ましい。そして、上記パン生地を発酵,分割,成型,発酵,焼成してパンとするものである。
【0015】ところで、本発明のパン生地及びパン並びにそれらの製法は、従来のパン生地製法のように仕込水を一切用いていず、代りに細片化した野菜,果実とその汁を用いるのであって、これらがパン生地のビーディング,ニーディング工程に於いて小麦粉中のたんぱく質と接触し良好なグルーテン膜を生成するものであるが、この場合野菜,果実の水分含有率と、それらの小麦粉に対する混合割合が極めて重要であり、上記青果として、水分含有率85%以上の青果の複数を用い、この数種類の青果の重量を小麦粉の重量に対して83%〜100%の範囲で用いるのが望ましい。
【0016】
【実施例】次にこの発明の実施例について詳述する。
【0017】実施例1この実施例の工程は図1の通りである。以下この工程順に示す。そして第一工程のビーディングを次の材料で行なった。
小麦粉 150gイースト 6g砂 糖 30g人 参 60g玉ねぎ 30gピーマン 50gジャガイモ 130g先ず上記小麦粉,イースト,砂糖を大ボールの中で軽く混ぜ合わす。他方、上記人参,玉ねぎ,ピーマン,ジャガイモをミキサーでみじん切りにし、それらの野菜汁と共にみじん切りの野菜を他のボールに移した。そして上記小麦粉,イースト,砂糖を軽く混ぜ合わせた後に、それに対して上記みじん切りの野菜及びその汁を1度に入れ、しゃもじで5分間ビーディングした。この場合、小麦粉の量よりもみじん切りした野菜の水分の量が多いので、仕込水がなくても大ボールの中は半液状であり、このビーディングをスムースに行うことができ、且つ小麦粉の周面には野菜の水分が十分に存在しているので小麦粉の中のたんぱく質と野菜汁の水分は十分接触し、グルーテンが生成しやすくなっていた。5分間のニーディングが終了したら、次いで第二工程の1回目のニーディングを次の材料を加えて行なった。
小麦粉 150g塩 4.5gこの第二工程で加えられた小麦粉は、上記第一工程で加えられた小麦粉と比較して野菜汁の水分を接触する機会が少なくなっていると共に、この第二工程ではパン生地が粘土状の強い弾性を有しているので、上記ビーディングと異なりパン生地を手でつかんで、まな板等の上にたたきつけ、あるいは打ちつけ、次いで半分等に折り、更にたたきつけあるいは打ちつけるのを繰り返す。これを10分間位行う。これにより、第一工程での小麦粉と第二工程での小麦粉が一体的に混ざると共に、野菜汁の水分と小麦粉の結合が促進し全量が均一なグルーテン組織となる。続いて次の材料を加えて第三工程の2回目のニーディングを約10分間行なった。
ショートニング 15gこのショートニングは上記パン生地全体のグルーテン膜とグルーテン膜の間に点在せしめられ、次工程に於けるパン生地発酵時の潤滑油的機能を果し、パンを大きくふくらませる。以上までに用いた材料をまとめると次の表3の通りであった。
【表3】

以上により仕込水を全く用いないパン生地を得ることができた。パン生地の温度は27.6℃で、展延性に富み、ソフト感があった。以後常法に従がい発酵40分,分割と成型で20分,発酵35分,焼成200℃、30分してパンとした。このパンは外観上もソフトで、野菜の風味に富み、且つ人参,玉ねぎ,ピーマン,ジャガイモの栄養価に富むものであった。因みに、人参100g当りの栄養成分は、カルシウム39mg,鉄0.8mg,カリウム400mg,カロチン7,300μg,ビタミンB1 0.07mg,ビタミンB2 0.05mg,ビタミンC6mg,食物繊維2.4gであって、カロチンの含有量が極めて高い。従って、このパンによるとカロチンの摂取量を大きくとることができる。また、玉ねぎ100g当りでは、カルシウム15mg,鉄0.4mg,カリウム160g,カロチン0,ビタミンB1 0.04mg,ビタミンB2 0.01mg,ビタミンC7mg,食物繊維1.4gであって、栄養成分は各段と高い成分を含有しているものはないものの、風味を増す効果がある。更にピーマン100g当りでは、カルシウム10mg,鉄0.6mg,カリウム200g,カロチン270μg,ビタミンB1 0.04mg,ビタミンB20.04mg,ビタミンC80g,食物繊維2.3gであって、ビタミンCを多く含み、このパンによるとビタミンCの摂取量を多くとることができる。加えて、ジャガイモ100g当りは、カルシウム5mg,鉄0.5mg,カリウム450g,カロチン0,ビタミンB1 0.11mg,ビタミンB2 0.03mg,ビタミンC23mg,食物繊維1.1gであって、比較的カリウムの含有量が大であるから、このパンを食するとカリウムの摂取量を多くとれる。これらの栄養価は、加工工程中の温度の変化によって損なわれないものである。
【0018】実施例2この実施例2は、実施例1に比して、同じ材料を用い、同じ工程を経てパン生地及びパンを製造した例であるが、用いる材料の量、割合を表4のようにして、実施例1と比して変えた場合の例である。この場合でも仕込水を用いることなく実施例1と同様のパン生地及びパンを製造することができた。しかしながら、最終的に焼成した後、実施例1で得たパンに比して、焼色がやや濃い目であった。これは、実施例1に比して人参及びジャガイモの割合を少々少なめにした影響が出たものと考えられる。しかしながら、仕込水を用いることなく、パン生地及び十分賞味できるパンを製することができた点では実施例1と同様であった。
【表4】

【0019】実施例3第一工程のビーディングを次の材料で行なった。
小麦粉 200gケーキドーナツミックス 100g砂 糖 25g粉 乳 5gデンプン 5gバター 30gインスタントドライイースト・サフ 6gピーマン 17.5g玉ねぎ 70g人 参 43gジャガイモ 70gコーン 20g即ち小麦粉,ケーキドーナツミックス,砂糖,粉乳,デンプン,バター,イーストを混ぜ合わせ、それに対して人参,玉ねぎ,ジャガイモ,コーンのミキサーでみじん切りにしたものを、それらの野菜汁と共に混ぜ合わせ、5分間ビーディングした。次いで第二工程の1回目のニーディングを次の材料を加えて行なった。約10分間行なった。
小麦粉 250g塩 10g更に第三工程の2回目のニーディングを10分間行なった。そして、得たパン生地を発酵,分割,成型,発酵,焼成して、あんぱんとした。この例の場合、ケーキドーナツミックスや粉乳,デンプン,バターが加えられている他に、野菜の中にコーンを加えて行なったものである。このように小麦粉以下の副材料を入れても、仕込水を用いることなく、ビーディング,ニーディングにより小麦粉中のたんぱく質とみじん切りした野菜の水分の接触によりグルーテンが生成しさえすれば、良好なパン生地とすることができ、更に副材料に応じた風味豊かなパンを製造することができた。以上までに用いた材料をまとめると次の表5の通りであった。
【表5】

【0020】実施例4以上までの実施例では生鮮食材の中の野菜として、人参,玉ねぎ,ピーマン,ジャガイモの例をとって示したが、この実施例ではトマト,キャベツ,ほうれん草,おくら,人参,セロリを用いた例を示す。即ち、第一工程のビーディングを次の材料によって行なった。
小麦粉 150gイースト 6g砂 糖 30gトマト 50gキャベツ 50gほうれん草 50gおくら 50g人 参 50gセロリ 50gこの場合も、先ず小麦粉,イースト,砂糖を大ボールMの中で軽く混ぜ合わす。他方、トマト,キャベツ,ほうれん草,おくら,人参,セロリをミキサーを用いてみじん切りにし、それらの野菜汁と共にみじん切りの野菜を他のボールに移した。そして、上記小麦粉,イースト,砂糖と上記みじん切りの野菜を混合して、5分間ビーディングした。次いで、第二工程の1回目のニーディングの際に、残りの小麦粉150gと、塩4.5gを加えて10分間ニーディングし、第三工程の2回目のニーディングの際にショートニングを加え10分間ニーディングした。この例の場合も、仕込水を用いずとも、トマト,キャベツ,ほうれん草,おくら,人参,セロリの水分と小麦粉中のたんぱく質の接触によりグルーテンが生成し、良好なパン生地を得ることができた。そして以後、発酵,分割,成型,発酵,焼成してパンとした。パンは、トマト,キャベツ,ほうれん草,おくら,人参,セロリの野菜成分に富み、栄養価も十分であった。以上までに用いた材料を表6にまとめると次の通りである。
【表6】

【0021】実施例5次に、仕込水を用いることなく青果食材として果物を用いた。即ち、先の実施例と同様、第一工程のビーディングを次の材料によって行なった。
小麦粉 150gイースト 6g砂 糖 30gりんご 100gオレンジ 50gいちご 50gこの場合も、先ず小麦粉,イースト,砂糖を大ボールの中で軽く混ぜる。他方、りんご,皮むきオレンジ,いちごをミキサーを用いてみじん切りにし、それらの果汁と共にみじん切りの果実を他のボールに移した。因みに上記果実の水分含有率は、りんご85.8%,オレンジ86.8%,いちご90.1%であった。そして、上記小麦粉,イースト,砂糖と上記みじん切りの果実を混合して、5分間ビーディングした。仕込水が無くても、みじん切りした果実の水分が存在するので半液状であり、ビーディングは円滑に実施できた。而も小麦粉中のたんぱく質と果実の水分の接触によりグルーテンを生成できた。この後第二工程のニーディングを10分間行なった。この例の場合も、ここで残りの小麦粉150gと、塩4.5gを加えて実施した。次いで第三工程の2回目のニーディングの際にショートニングを加え10分間更にニーディングした。以後、このパン生地を発酵,分割,成型,発酵,焼成してパンとした。パンは果物の成分に富み、香り高い風味を有していた。この例に用いた材料を表7にまとめると次の通りである。
【表7】

【0022】実施例6以上までの実施例1〜5は、ビーディング,ニーディング工程をいわゆる手ごねにて行なった例であるが、この実施例ではパン生地製造機を用いた例を示す。先ずパン生地製造機自体を簡略的に図3に従い説明する。1はモータが収納されている機台、2はその上部にセットされているワークボール、3はそのカバーで、注入口4が形成されている。次いで5はモータによって回転せしめられる金属ブレード、6は同じくモータによって回転せしめられるプラスチックブレード、7はロング状のブレードであり、この内上記金属ブレード5は、この発明に関連した部分について説明すれば野菜,果実のみじん切りに使用し、上記プラスチックブレード6は、主としてパン生地の練りあげに用いるもので、金属ブレード5,プラスチックブレード6,ロング状のブレード7は取付交換可能となっている。次いで、8はこのパン生地製造機と共に用いるへらの一例、9はブレードのクリーナー、10はモータ軸のカバーで、パン生地の発酵時にモータ軸をカバーする為に用いる。11はオンレバーであってレバーを下に押すとモータが連続運転し、次に12は瞬時動作レバー、13は電源プラグであり、この内上記瞬時動作レバーは、レバーを下に押さえている間だけモータが動作し、この押さえを解除するとモータが停止するように設定されている。つまりこのレバーを押したり、離したりして、材料を粗いみじん切りにしたり、ワークボール2の中の混合物の状態を見ながら動作を繰り返すときに使用する。このようなパン生地製造機の一具体例として本出願人の製造に係るスーパーコスモハート(商品名)があり、以下の実施例ではこのパン生地製造機を用いて、図2に示す工程に従ってパン生地及びパンを製した。先ず、人参60gを皮つきのまますりおろし、50℃の温水で湯せんした。そして、そこにイースト6gを振り入れ4分間位膨潤させた。他方、商品名スーパーコスモハートのワークボール2に金属ブレードを装着し、ワークボール2内に皮つきジャガイモ130gとピーマン60gを収容し、オンレバー11を押し、金属ブレード5によって細かくみじん切りにした。次いでワークボール2内のみじん切り皮つきジャガイモとピーマンの中に、3〜4cm角きりにした玉ねぎを入れ、瞬時動作レバー12を2〜3回位(合計で5秒位)押下し、全体をみじん化した。その次に、小麦粉300g,砂糖30g,塩4.5gをワークボール2中のみじん化された皮つきジャガイモ,ピーマン,玉ねぎ中に入れ、オンレバー11を押し金属ブレード5を回転させて全体をソボロ状態化した。いわゆるビーディングを行なった。続いてワークボール2のソボロ状態化の上記混合物中に、先のイーストを膨潤させた人参を入れ、再びオンレバー11を押し、約30秒位金属ブレード5によるおから状態化の為の1回目のニーディングを行なった。次に、ワークボールの中の金属ブレード5を取り、代りにプラスチックブレード6を装着し、オンレバー11を押し、1分40秒位、2回目のニーディングその1を行ない、パン生地を耳たぶのやわらかさに似た状態にした。即ち小麦粉のたんぱく質と上記野菜の水分が接触しグルーテン化が進んでいた。そして、そのワークボールの中のパン生地に対して、油脂15gを混ぜ、オンレバー11を押下してプラスチックブレード6によって2回目のニーディングしその2を約30秒位かけた。この後打ち粉を振りかけた。これにより仕込水を用いずとも、ソフトで弾力のある、而も手ごね工程を経ないでソフトで弾力のあるパン生地を得ることができた。以後このパン生地をワークボール2から取り出し、発酵,分割,成型,仕上,発酵,焼成してパンとした。以上までに用いた材料を表8にまとめると次の通りである。
【表8】

上記に於いて、皮つき人参のすりおろしものを50℃で湯せんしたのは、その後に於けるパン生地の発酵を助長させるためであった。又皮つきジャガイモ,玉ねぎ,ピーマンを細かくみじん切りにし、完全にジュース状化しないのは、これら野菜の中から完全に水分が遊離してしまうとパン生地の発酵が難しいことが確認されたからである。更にこの実施例では青果の中の野菜として人参,ジャガイモ,玉ねぎ,ピーマンを用いたが、その他水分を多く含む野菜,例えばトマト等を用いてもよく、果実、例えばりんごを用いてもよい。
【0023】
【効果】以上詳述した如くこの発明によると、仕込水を要することのない、青果材料の栄養,香りを有し、而も従来の仕込水を用いる一定パターンのパン造りに比して仕込水を用いない新しい趣向のパン生地及びパン並びにそれらの製法を提供できる。
【出願人】 【識別番号】594197182
【氏名又は名称】株式会社サンリッチ
【出願日】 平成13年3月5日(2001.3.5)
【代理人】 【識別番号】100076358
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 宏
【公開番号】 特開2002−253109(P2002−253109A)
【公開日】 平成14年9月10日(2002.9.10)
【出願番号】 特願2001−60159(P2001−60159)