トップ :: A 生活必需品 :: A21 ベイキング;生地製造または加工の機械あるいは設備;ベイキングの生地

【発明の名称】 フィリング含有パン類の製造方法
【発明者】 【氏名】中村 昭典

【氏名】小阪 満彦

【氏名】清水 俊之

【氏名】近藤 光郎

【要約】 【課題】あらかじめパン類生地中にフィリングを含有しているベーグル、またはこれに類するパン類の提供。

【解決手段】少なくとも小麦粉、イースト、食塩およびキサンタンガムならびに水からなる原料を混捏して生地を作成し、包被成形装置により該生地でフィリングを包被あるいは被覆しながら略球状または略円柱状その他の任意の形状に成形し、ホイロをとり、熱湯で茹でてから焼成することを特徴とするパン類の製造方法。前記混捏した生地でフィリングを包被または被覆しながら略球状または略円柱状に成形してから、さらにベーグル形状に成形する。前記ベーグル形状に成形するにあたりベーグル成形機により行う。前記熱湯で茹でる替わりに、蒸気で蒸す。前記の混捏した生地を醗酵させないか、または0〜30分間初期醗酵させる。前記の混捏した生地の捏ね上げ温度を15〜20℃に設定する。前記の焼成したパン類を冷凍する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも小麦粉、イースト、食塩およびキサンタンガムならびに水からなる原料を混捏して生地を作成し、包被成形装置により該生地でフィリングを包被あるいは被覆しながら略球状または略円柱状その他の任意の形状に成形し、ホイロをとり、熱湯で茹でてから焼成することを特徴とするパン類の製造方法。
【請求項2】 前記混捏した生地でフィリングを包被または被覆しながら略球状または略円柱状に成形してから、さらにベーグル形状に成形する請求項1のパン類の製造方法。
【請求項3】 前記ベーグル形状に成形するにあたりベーグル成形機により行う請求項2のパン類の製造方法。
【請求項4】 前記熱湯で茹でる替わりに、蒸気で蒸す請求項1、2または3のパン類の製造方法。
【請求項5】 前記の混捏した生地を醗酵させないか、または0〜30分間初期醗酵させる請求項1ないし4のいずれかのパン類の製造方法。
【請求項6】 前記の混捏した生地の捏ね上げ温度を15〜20℃に設定する請求項1ないし5のいずれかのパン類の製造方法。
【請求項7】 前記の焼成したパン類を冷凍する請求項1ないし6のいずれかのパン類の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフィリング含有パン類の製造方法に関するものである。本発明は、フィリング含有パン類の製造方法に関し、特にあらかじめパン類生地中にフィリングを含有しているベーグル、またはこれに類するパン類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ベーグルパンは、19世紀後半にヨーロッパからアメリカに渡り、艶のあるクラスト、しこしことした固い歯ごたえのある食感、比較的油脂分の少ないリーンな風味、そして噛めば噛むほど味わい深く、コクが生じることなどの特徴から、現在アメリカで大ブームをよんでいるパンである。その製法は、図2に示すとおり、小麦粉、イースト、食塩および水などの原料を混捏して生地を作成した後直ちにカッターなどで個々の最終製品の重量に分割してからベーグルパン専用成形機でベーグル形に成形し、ホイロをとった後、熱湯に浸してから焼成するのであり、前記の本場アメリカンベーグルパンの製造方法は、ホイロ後の生地を焼成する前に短時間熱湯に浸して茹でるという工程を介在させることを最大の特徴とし、該熱湯浸漬工程の採用により、上述したベーグルパンの特徴が達成されることになる。ベーグルパンは、混捏して分割した生地を熱湯に浸してから焼成して製造される。こうして茹でられたパン類生地はイーストがほとんど死滅し、該生地の表面部の小麦グルテンはもはや伸展・膨張しないくらいに熱変成を受けていて薄く柔らかい表皮が形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、通常、前記の本場アメリカンベーグルを食するときには、焼成後のベーグルをハンバーガーバンズのように上下二つにカットして間にハム、チーズ、野菜等を挿入したり、クリーム等を塗ったりして食することが多いため、我が国独特の甘味フィリングを含有するいわゆる菓子パンのように、あらかじめパン類生地中に餡、クリーム、ジャム等の甘味フィリングを含有しているベーグルは市場に流通しておらず、菓子パンの風味に慣れ親しんだ顧客の需要を十分満たしているとは言えなかった。
■ そこで、いわゆる周知な包被成形装置を使用することによりパン類生地でフィリングを包被或いは被覆しながら略球状または略円柱状に機械的に成形し、必要に応じてベーグル形状に成形し、ホイロをとり、熱湯で茹でてから焼成してみたら、この焼成ベーグルは、前記の菓子パン様の風味は実現されたかもしれないが、以下のとおりベーグル本来の外観と食感を欠いたものになった。すなわち、■−1 包被成形装置によるパン類生地のフィリング包被成形は、パン類生地をホッパーからスクリュー移送機構を経由してフィリングを供給する内管と該内管の外側に該内管から狭い隙間を空けて設けた外管の空間を生地吐出口まで物理的に強制して移送させるため、該生地には強い物理力が加えられており、特に該生地の表面およびフィリング接触面において強い摩擦力が加えられており生地荒れが生じ、該生地の表面はザラザラとした触感をしている。このような生地からなる焼成ベーグルはクラストがベーグル本来の光沢や滑らかさを欠くため、外観が劣るものであった。
■−2 また、包被成形装置によるパン類生地のフィリング包被成形は、該生地のグルテン組織網に損傷を与えるが、このような生地からなる焼成ベーグルはグルテン気泡膜が不均一かつ雑然としており、バサバサ気味の食感であり、ベーグル本来のしこしことした歯ごたえのある食感を欠いていた。
【0004】■ さらに、包被成形装置によるパン類生地のフィリング包被成形をしてからベーグル形状に成形するにあたりベーグル成形機を使用して機械的に行うときには、包被成形装置に加えてベーグル成形機による機械的成形の工程でも二重に該生地に強い物理力が加わり、パン類生地のグルテン組織網に損傷を与え、特にその表面には強い摩擦力が加えられるため、上記■(■−1および■−2)の課題がより一層著しく現れた。
■ また、成形・ホイロ後のパン類生地を熱湯で茹でるにあたり、熱湯の容量に比較して多量の該生地を入れたり、または該生地に付着した手粉が多量に混ざったりしていくと湯温度が低くなることがあるが、該生地を茹でる湯温度が低いときには該生地の内部に湯が浸透し(あるいは、該生地が吸水し)、焼成後のベーグルは水気の多いめそめそした食感となり、やはりベーグル本来のしこしことした歯ごたえのある食感を欠いてしまった。
■ さらに、該パン類生地を焼成したパンは、冷凍して保存した後に再加熱したときには食感が非常に硬く、重く、ガサガサしたものになることがあり、冷凍保存に好適であるとは言えなかった。
【0005】本願発明は上記■(■−1および■−2)の課題を解決することを目的とする。また、上記■の課題を解決することをも目的とする。さらに、上記■の課題をも解決することを目的とする(請求項1〜3参照)。また、本願発明は、下記のとおりパン類生地を熱湯で茹でる工程に伴う課題をも解決することを目的とする(請求項4参照)。さらに、下記のとおりベーグル本来のしこしことした歯ごたえのある食感が失われないようにパン類生地の醗酵を調整することをも目的とする(請求項5および6参照)。さらには、上記■の課題をも解決することを目的とする(請求項7参照)。
【0006】
【課題を解決するための手段】(請求項1)本発明は、少なくとも小麦粉、イースト、食塩およびキサンタンガムならびに水からなる原料を混捏して生地を作成し、包被成形装置により該生地でフィリングを包被あるいは被覆しながら略球状または略円柱状その他の任意の形状に成形し、ホイロをとり、熱湯で茹でてから焼成することを特徴とするパン類の製造方法である。
(請求項2)前記混捏した生地でフィリングを包被または被覆しながら略球状または略円柱状に成形してから、さらにベーグル形状に成形する。すなわち本発明は、少なくとも小麦粉、イースト、食塩およびキサンタンガムならびに水からなる原料を混捏して生地を作成し、包被成形装置により該生地でフィリングを包被あるいは被覆しながら略球状または略円柱状に成形し、その後さらにベーグル形状に成形し、ホイロをとり、熱湯で茹でてから焼成することを特徴とするパン類の製造方法である。
【0007】(請求項3)前記ベーグル形状に成形するにあたりベーグル成形機により行う。すなわち本発明は、少なくとも小麦粉、イースト、食塩およびキサンタンガムならびに水からなる原料を混捏して生地を作成し、包被成形装置により該生地でフィリングを包被あるいは被覆しながら略球状または略円柱状その他の任意の形状に成形し、好ましくは略球状または略円柱状に成形しその後さらにベーグル成形機によりベーグル形状に成形し、ホイロをとり、熱湯で茹でてから焼成することを特徴とするパン類の製造方法である。
(請求項4)前記熱湯で茹でる替わりに、蒸気で蒸す。すなわち本発明は、少なくとも小麦粉、イースト、食塩およびキサンタンガムならびに水からなる原料を混捏して生地を作成し、包被成形装置により該生地でフィリングを包被あるいは被覆しながら略球状または略円柱状その他の任意の形状に成形し、好ましくは略球状または略円柱状に成形しその後さらにベーグル形状に成形し、この際に必要に応じてベーグル成形機によりベーグル成形し、ホイロをとり、蒸気で蒸してから焼成することを特徴とするパン類の製造方法である。
(請求項5)前記の混捏した生地を醗酵させないか、または0〜30分間初期醗酵させる。すなわち本発明は、少なくとも小麦粉、イースト、食塩およびキサンタンガムならびに水からなる原料を混捏して生地を作成し、該混捏した生地を醗酵させないか、または0〜30分間初期醗酵させ、包被成形装置により該生地でフィリングを包被あるいは被覆しながら略球状または略円柱状その他の任意の形状に成形し、好ましくは略球状または略円柱状に成形しその後さらにベーグル形状に成形し、この際に必要に応じてベーグル成形機によりベーグル成形し、ホイロをとり、熱湯で茹でてからまたは蒸気で蒸してから焼成することを特徴とするパン類の製造方法である。
【0008】(請求項6)前記の混捏した生地の捏ね上げ温度を15〜20℃に設定する。すなわち本発明は、少なくとも小麦粉、イースト、食塩およびキサンタンガムならびに水からなる原料を、混捏した生地の捏ね上げ温度を15〜20℃に設定し、混捏して生地を作成し、該混捏した生地を醗酵させないか、または0〜30分間初期醗酵させ、包被成形装置により該生地でフィリングを包被あるいは被覆しながら略球状または略円柱状その他の任意の形状に成形し、好ましくは略球状または略円柱状に成形しその後さらにベーグル形状に成形し、この際に必要に応じてベーグル成形機によりベーグル成形し、ホイロをとり、熱湯で茹でてからまたは蒸気で蒸してから焼成することを特徴とするパン類の製造方法である。
(請求項7)前記の焼成したパン類を冷凍する。すなわち本発明は、少なくとも小麦粉、イースト、食塩およびキサンタンガムならびに水からなる原料を混捏して生地を作成し、好ましくは混捏した生地の捏ね上げ温度を15〜20℃に設定し混捏して生地を作成し、該混捏した生地を醗酵させないか、または0〜30分間初期醗酵させ、包被成形装置により該生地でフィリングを包被あるいは被覆しながら略球状または略円柱状その他の任意の形状に成形し、好ましくは略球状または略円柱状に成形しその後さらにベーグル形状に成形し、この際に必要に応じてベーグル成形機によりベーグル成形し、ホイロをとり、熱湯で茹でてからまたは蒸気で蒸してから焼成し、焼成したパン類を冷凍することを特徴とするパン類の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、混捏して分割(本発明では包被成形装置によるフィリングの包被成形を意味する。以下同様。)した生地を熱湯に浸して茹でるか、または好ましくは蒸成すなわち蒸気で蒸してから焼成することを特徴とするいわゆるベーグルパン、またはこれに類するパン類の製造方法である。本発明において、「蒸成」と「蒸し」は同じ意味で用いており、こうして蒸されたパン類生地はイーストがほとんど死滅し、該生地の表面部の小麦グルテンはもはや伸展・膨張しないくらいに熱変成を受けていて薄く柔らかい表皮が形成されている。
■少なくとも小麦粉、イースト、食塩およびキサンタンガムならびに水からなる原料を混捏して生地を作成し、包被成形装置により該生地でフィリングを包被或いは被覆しながら略球状または略円柱状その他の任意の形状に機械的に成形し、ホイロをとり、熱湯で茹でてから焼成することを特徴とするパン類の製造方法である。
■また、本願発明は、前記パン類の製造方法において、前記混捏した生地でフィリングを包被または被覆しながら略球状或いは略円柱状に成形してから、さらにベーグル形状に成形することを特徴とするパン類の製造方法でもある。
【0010】本発明は、包被成形装置によりキサンタンガムを添加したパン類生地でフィリングを包被或いは被覆しながら略球状または略円柱状に機械的に成形し、さらに必要に応じてベーグル形状に成形し、ホイロをとり、熱湯で茹でてから焼成することを特徴とするパン類の製造方法である。
【0011】本発明における包被成形装置は、パン類生地でフィリングを包被または被覆しながら略球状または略円柱状に自動的・機械的に成形して切断し得るものであればどのようなものでもよく、その種類を問わない。従来、このような包被成形装置は、生地用ホッパーと、該ホッパーの下部に設けたスクリュー移送機構と、フィリング用ホッパーと、該ホッパーの下部に設けたスクリュー移送機構と、フィリングを供給する内管と、該内管の外側に該内管から狭い隙間を空けて設けた生地を供給する外管と、該内管および外管の吐出口の下方に設けられた内部空間が円形または多角形の枠体と、該枠体に相互に隣接して組み合わされた複数の同一形状の包被成形切断部材と、該部材の駆動源とから構成され、該部材は、該枠体に回転可能に、または該枠体の内側面に摺動可能に組み合わされ、これによって該部材の内側に連続した棒状生地の通路となる囲み空間が形成されるとともに、該部材の回転または摺動によりその内側に形成される該囲み空間を開閉自在とするような構造となっており、そして、前記フィリングはフィリング用ホッパーからスクリュー移送機構を経由して内管に供給され、同様に前記生地は外管に供給されてそれらの吐出口から連続したフィリング包被棒状生地が吐出され、該棒状生地が前記囲み空間を通過するときに前記部材を外周方向から中心方向へ閉鎖するように移動させて連続したフィリング包被棒状生地の外周へ面押圧を加え、該押圧面を次第に生地へ食い込ませていくことによって、該生地によるフィリングの包被成形切断がなされるというもの(特公平1−42652号、特公平5−53453号、特公平5−9051号、特開平4−11844号、特公平8−4443号、特公平7−114677号、特公平8−24523号等)などが一般的な装置であったが、本願発明ではこのような従来の装置を使用することができることはもちろんである。
【0012】本発明においてキサンタンガムを添加する目的は、(a)キサンタンガムは熱と接触することにより透明な艶を出すという性質を有するため、焼成後の最終製品のクラストをより滑らかで、艶のあるものとし、(b)包被成形装置による機械的成形の工程でパン類生地のグルテン組織網に受けた損傷を修復・回復させ、(c)該水溶性増粘多糖類はパン中の水分をゲル化させて自由水を減少させ、パンを冷凍するときに氷の結晶を微小化することにより、冷凍時および冷凍保管中にパンのクラムを傷つけず、また冷凍保管中の温度変化への耐性が強化されるため、冷凍パンの組織が保護され、(d)冷凍パンを冷凍状態のままオーブンに入れて焼成しても、焼成後の最終製品は、食感が硬くなったり、ガサガサしたものになったりしないし、(e)パン類生地を茹でる湯温度が低いときにも該生地の内部に湯が浸透し(あるいは、該生地が吸水し)難くし、また(f)いわゆる撥水性を有するため、すなわち焼成時の熱と接触することにより焼成パンの表皮に柔軟性のある薄い透明な膜を形成するため、水蒸気透過性を低下させることによりベーグルパンの冷凍保存中における水分の蒸発、風味・香の消失を防止するとともに、冷凍パンを冷凍状態のままオーブンに入れて焼成しても、解凍時に生じた水分をパンが吸収することがないため、より艶のある外観とし、また焼成後の最終製品を重い食感にすることがない。
【0013】本願発明においてキサンタンガムをパン類生地に添加することにより上記■ないし■の課題を解決することができた。本願発明においてキサンタンガムを添加する量は、適宜調整して決められるが、小麦粉を基準に0.1〜0.5質量%とすることが望ましく、これにより上述した本願発明の目的をより一層達成するとともに、その添加による弊害を回避することができるようになる。
【0014】本願発明においてフィリングとは、可塑性の餡、クリーム、チーズ、クリームチーズ、ジャム、バター・マーガリン等の油脂類、ゼリー等のゲル組成物、カレーパン用具材、肉まん(豚まん)等の中華まん用具材、ピザ用トッピング材、調理済み野菜・肉卵等の惣菜、その他のこれらに類するものが含まれるが、これらのものに限定されず、包被成形装置によりパン類生地で包被或いは被覆されうることが可能なあらゆる食品素材を意味する。
【0015】ホイロとは、成形された生地を27℃〜40℃位の比較的高温多湿な発酵室に入れ、もう一度ガスを含ませ、製品容積の70〜80%位にまで膨張させる工程がホイロである。
【0016】焼成とは、混捏からホイロを経て熱湯浸漬または蒸成まで、常に発酵し、膨張してきた生地を、パン焼窯(オーブン)で焼き、最終製品の容積で形を固定するのが、この焼成工程である。
【0017】■また、本願発明は、前記パン類の製造方法において、前記ベーグル形状に成形する工程をベーグル成形機を使用して機械的に行うことを特徴とするパン類の製造方法である。
【0018】包被成形装置によるパン類生地のフィリング包被成形をしてから、さらにベーグル形状に成形することをベーグル成形機を使用して機械的に行うときには、包被成形装置に加えて、ベーグル成形機による機械的成形の工程でも二重に該生地に強い物理力が加えられ、特に搬送ベルトコンベア(Y)と中心棒(Z)に接触したその表面には強い摩擦力が加えられるため上述した包被成形装置による課題がより一層著しく現れる。しかし、本願発明においてキサンタンガムをパン類生地に添加することによりこれらの課題をも解決することができた。
【0019】ベーグル成形機として、その前後で開放されていて成形部で円筒状に形成される無端搬送ベルトコンベアー(Y)と該円筒コンベアー内に中心棒(Z)を組み合わせ、ホットドックロール形状(略円柱状)のパン生地(X)を該円筒コンベアーと中心棒の間の空間を強制的に通過させることによりリングドーナツ類似のベーグルパン形状に成形するような、通常のベーグル成形機(図3〜図5参照)を使用することができるのはもちろんのこと、その種類を問わずにこれ以外のベーグル成形機も使用することができる。図3には一のタイプのベーグル成形機(フォーミングチューブの中を無端搬送コンベアーが円筒状に形成されながら走行するタイプのベーグル成形機)を説明するための組立製作図を示している。図4には、図3のフォーミングチュウーブボックスを省略したタイプのベーグル成形機の全体斜視図を示している。図5には、フォーミングチュウーブボックスを省略したタイプのベーグル成形機におけるベーグル成形を説明するため、円筒状コンベアーと中心棒の組合せを示している。
【0020】■また、本願発明は、前記の熱湯で茹でる工程に替えて、蒸気で蒸すことを特徴とするパン類の製造方法でもある。好ましくは、蒸しボックスで蒸すことを特徴とするパン類の製造方法でもある。ところで、該熱湯浸漬工程は、通常、バッチ式ですなわちホイロを終えた生地をその都度熱湯釜に浸して茹でるという方法で行われてきた。(a)該バッチ式茹で上げ方法ではベーグルパンの大量生産は不可能であった。また、(b)分割および成形などのホイロ以前の製造工程でベーグル生地に付着した手粉で熱湯に混ざり、熱湯中の手粉が多くなれば該熱湯によるベーグル生地の均一な茹で作用に影響をあたえるようになる。(c)通常、便宜上、前にホイロを終えたベーグル生地が茹でられている熱湯中に後でホイロを終えたベーグル生地が追加的に入れられて茹でられるという方法が採られているため、必ずしも前から茹でているベーグル生地から順番に熱湯から取り出して焼成するというわけにはいかず、ベーグル生地を常に均一に茹でるということはできなかった。さらに、(d)熱湯からベーグル生地を一個一個取り出した後オーブンに入れる前にトレーなどに並べる作業は厄介であった。(e)このようにしてトレーなどに並べたベーグル生地の表面に付着した水分をオーブンに入れる前に取り去る必要があった。さらに、(f)ベーグル生地の両面を均一に茹でるためには常時熱湯中のベーグル生地を反転させながら茹でなければならないが、これを手作業で行うことは面倒な作業であり、また火傷のおそれのある危険な作業であった。(g)この手作業に替えて強火で熱湯を沸騰させるとか、熱湯中に空気を吹き込むとかして自然にベーグル生地を反転させる方法も可能であろうが火傷の危険が高いものであると言えよう。(h)そして、なによりも、このようなホイロを終えた柔らかく弱いベーグル生地を熱湯で茹でることは、ベーグル生地の表面に凹凸ができ易く、このときには、焼成ベーグルパンの外観・美観を損なうものであった。しかし、本願発明によりこれらの課題を解決することができる。すなわち、本発明の一つの特徴は、該熱湯浸漬工程を蒸成工程に、特に好ましくは蒸しボックスに入れて蒸成する工程に置き換えたことにある。それゆえ本発明における前記の蒸成は、熱湯で茹でるという加熱調理の作用にできるだけ接近した条件で蒸すことが望ましく、蒸成の温度雰囲気を適度に調整する。すなわち、90℃以上で100℃未満の温度雰囲気で蒸すことが望ましい。蒸成雰囲気温度が100℃以上になると、上述した従来技術の問題点が生じるほか、蒸気の熱量がベーグル生地の内部まで浸透し易くなり、ベーグル生地が膨張し過ぎるため、焼成製品はベーグルパン特有のしこしことした固い歯ごたえのある食感を欠いてしまい、通常のパンの食感に近いものとなり、また表皮の艶もでなくなるおそれがある。これに対し、蒸成雰囲気温度が90℃未満になると、蒸成時間を著しく延長しなければならないし、たとえ延長したとしても蒸気の熱量がベーグル生地の内部まで浸透し難くなり、焼成製品は水気が多く引きの強いものとなり、ベーグルパン本来の食感からほど遠いものとなり、ベーグルパンとしての商品価値はない。なお、蒸成の温度雰囲気または雰囲気温度とは、蒸しボックスの蒸成室内でパン類が実際に蒸される環境温度を意味しており、蒸成室内に蒸気が吹き込まれるときの蒸気温度ではない。ところで、このような課題を解決するために、従来、焼成前に100〜120℃の水蒸気でパン生地を蒸し、次いで通常の方法で焼成することからなるパンの製造方法(特開昭61−181331号公報参照)があった。しかし、該従来の技術は、(a)蒸成を100〜120℃という高温の蒸気温度で蒸すものであり、ホイロ後の生地は過度に高温の蒸気に曝されるため、生地のクラストに亀裂が生じたり、表面が荒れたり、また食感もガサガサした乾いた感じのものとなるという課題があった。また、(b)該従来の技術は、上記■および■の課題を明確に認識したうえで該課題を解決しようとして発明されたものではないため、パンの製造工程として通常の直捏法(ストレート法)を採用していることから、混捏した生地(捏上温度26.5℃)を27℃湿度80%で90分間の第一醗酵をとるため、該醗酵後の生地はグルテンが破れ易くなり、また機械的な包被成形およびベーグル成形にとって必要な生地のグルテンの強さもしくは弾力性、柔軟性および伸展性を失ってしまうため、上記■および■の課題を十分に解決することができるものではなかった。また、なによりもこのような混捏後の生地の長時間醗酵はベーグルパン本来のしこしことした固い歯ごたえのある食感などの性質を損なうものであった。また、本発明は、蒸しパン類生地、饅頭類生地等の被蒸成物たる食品素材を載置した蒸し網をラックに段取りして、バッチ式で食品素材を蒸成するようにした装置である蒸しボックスを使用する方法である。この蒸しボックスは、室温の空気が充満している蒸成室内に高温の蒸気を蒸気供給管により供給していくものであり、元々存在している該空気と新たに供給された該蒸気とが次第に混合されて蒸成室内の蒸気の比率が徐々に高くなることにより、経時的に室温から100℃位まで達する滑らかな上昇曲線を描くようにして蒸成室内の温度が上昇するものである。そして、このような温度の上昇は、蒸しボックスで蒸成する食品素材が徐々に上昇する温度下で蒸成され得ることを意味しており、急激に高温の蒸気に曝されることがないためその製品の品質は安定したものとなる。該蒸成工程により、上述した問題点が解決され、特に、好ましくは後述するとおり本発明の捏上温度、初期醗酵の各工程の採用により、手成形のときにはもちろん、ベーグル専用成形機による機械的成形のときにも外観的に綺麗に成形され、ホイロをとったベーグル生地の表面に凹凸を生じさせたりすることなく綺麗に、ベーグル生地に「熱湯で茹でる」という加熱調理の作用と似た加熱調理の作用を施すことができることになる。
【0021】■前記の混捏した生地を醗酵させないか、または0〜30分間初期醗酵させることを特徴とするパン類の製造方法でもある。混捏した生地を初期醗酵させるか否かは、所望するベーグルに特有なしこしことした固い歯ごたえと弾力のある食感の程度による。このような食感を強く望むのであれば初期醗酵は不要であるし、反対に、このような食感を控えめにして柔らかさをも望むのであれば初期醗酵の時間を長めにすればよい。
【0022】該混捏した生地の初期醗酵とは、混捏した生地を少し休ませて醗酵を促し、生地の硬さを緩和し、また粘着性を減少させることにより、次工程の分割、特に機械的な分割に適した生地の性状にする。ひいては、これにより、上述したベーグルパン特有のしこしことした歯ごたえを維持しながら比較的食感が柔らかくて軽く、風味も良好であり、製品間および個々の製品の部位で食感に均一性があるということが実現されるのであり、さらに、該混捏した生地の初期発酵により分割の時間的間隔がある程度あいても分割の初めと終りの生地からなる両製品間の食感が均一となるように生地に加工許容性を付与する。
【0023】本発明における該混捏した生地の初期醗酵は、中種法において生地を混捏後に通常10〜20分間休ませるフロアータイムとは異なるものである。本発明では中種を数時間醗酵させると上述したベーグルパン本来のしこしことした固い歯ごたえのある食感などの性質を実現することができなくなるため中種法は採用することができない。また、該混捏した生地の初期醗酵は、直捏法における生地混捏後の醗酵とも異なるものである。直捏法における生地混捏後の醗酵は通常約90〜120分間行うが、このような長時間の生地醗酵は前記の問題点を解決することができない。なお、常温とは、製造現場の環境温度であり、通常20〜28℃位であろう。該初期醗酵の工程により、上述したベーグルパン特有のしこしことした歯ごたえを維持しながら適当に柔らかくて軽い食感と良好な風味、製品間および製品の部位で均一な食感を実現することができる。
【0024】また、本発明は、好ましくは、前記の初期発酵させた生地を分割するにあたり、分割の開始時から分割の終了時までの時間的間隔を30分間以内とするパン類の製造方法である。上述したとおり混捏した生地の初期発酵させた生地を分割するにあたり、分割の開始時から分割の終了時までに時間的間隔が生じることがある。この時間的間隔が長すぎるときには、分割される生地は前記の初期発酵を過度に長時間行ったに等しい性状となる。従って、前記の初期発酵させた生地を分割するにあたり、分割の開始時から分割の終了時までの時間的間隔を30分間以内とすることが望ましい。また、この程度の時間的間隔であれば、上述したとおり前記の初期発酵により混捏後の生地に加工許容性が付与されているため、該時間的ズレから生じる製品間の食感のばらつきは解消され易い。
【0025】■前記の混捏した生地の捏ね上げ温度を15〜20℃に設定することを特徴とするパン類の製造方法でもある。また、本発明は、好ましくは、前記の混捏した生地の捏上温度を15〜20℃に設定するパン類の製造方法である。該捏上温度が低すぎると、分割に不適となるおそれがある。これに対し、該捏上温度が高すぎると、その後の分割工程における分割の開始時から終了時までに介在する時間でも発酵が進むため、この時間的間隔があいたときには混捏した生地の初期発酵が進み過ぎたに等しくなり、やはり上述した従来の技術における課題が生じてくる。したがって、前記の混捏した生地の捏上温度を15〜20℃に設定することが望ましい。
【0026】■前記の焼成したパン類を冷凍することを特徴とするパン類の製造方法でもある。
【0027】
【実施例】本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0028】
実施例1 ■配合 (重量%)
小麦粉(製パン用強力粉) 100.0 イースト 2.0 イーストフード(酸化剤、ミネラル類、酵素を含む) 0.1 食塩 1.5 砂糖(上白糖) 4.0 可塑性油脂 6.0 キサンタンガム 0.3 水 53.0 フラワーペースト(フィリング)
【0029】
■工程 混捏 低速5分間、高速10分間 捏上温度 17℃ 初期醗酵 0〜30分間 包被被覆成形〔レオン自動機(株)製使用〕 略円柱状(直径約5cm、長さ約1 (一部につき手作業でベーグル成形) 5cm)にフィリングを包被成形 ホイロ 約35℃、約70%、30分 湯茹 90℃前後、45秒間 焼成 250℃、15分間【0030】■結果本実施例における焼成後のパン類は、前記菓子パン様の風味を有しながら、クラストが滑らかで艶があるため外観が綺麗であり、クラムはグルテン気泡膜が均一で整然と整っており、しこしことした固い歯ごたえと弾力感のあるベーグル様の食感であった。
【0031】実施例2■配合 同上■工程 同上 。但し、包被・被覆成形(略円柱状)後に前記ベーグル成形機によりベーグル成形をしてからホイロをとった。
■結果 同上【0032】実施例3■配合 同上■工程 上掲実施例2と同様。但し、湯茹工程に替えて、市販の(公知の)蒸しボックスで蒸して(蒸気圧127,400Pa、雰囲気温度97℃前後、3分間)から焼成した。
■結果本実施例における焼成後のパン類は、菓子パン類の風味を有しながら、クラストが著しく滑らかで艶があるため外観が大変綺麗であり、特にしこしことした固い歯ごたえと弾力感のあるベーグル様の食感であった。さらに、前記の湯茹工程の諸課題も解消され、クラストには凸凹やしわがまったくなかった。
【0033】実施例4■配合 同上■工程 上掲実施例1と同様。但し、湯茹工程に替えて、市販の(公知の)蒸しボックスで蒸して(蒸気圧127,400Pa、雰囲気温度97℃前後、3分間)から焼成した。焼成後に急速冷凍(−40℃、25分間)して冷凍保管(−18℃、2カ月間)してから解凍・再加熱した。
■結果本実施例における焼成後のパン類は2月間の冷凍保存にもかかわらず、菓子パン用の風味を有しながら、クラストが著しく滑らかで艶があるため外観が綺麗であり、しこしことした固い歯ごたえと弾力感のあるベーグル様の食感であった。さらに、前記の湯茹工程の諸課題も解消され、クラストには凸凹やしわがほとんどなかった。
【0034】実施例5■配合 同上■工程 上掲実施例4と同様。但し、包被・被覆成形(略円形状)後に前記ベーグル成形機によりベーグル成形した。
■結果 上掲実施例4と同様。
【0035】実験例【表1】

評価項目 評価基準 外観 クラストの表面が滑らかで光沢(艶)があること。滑らかなほど、 また光沢(艶)があるほど良くて、これらがなくなるほど、また凹 凸やしわがあるほど悪い。
食感 ベーグル本来のしこしことした歯ごたえ感があること。ほどよい硬 さでしこしこした歯ごたえ感があるほど良くて、この食感がなくな り、めそめそした食感やバサバサした食感になるほど悪い。
冷凍 冷凍保存後に再加熱して食したときにも上記のような食感を維持し 耐性 、また香や風味があること。
ほどよい硬さでしこしこした歯ごたえ感および香や風味が良くて、 この食感がなくなり、めそめそした食感やガサガサした食感になる ほど、また香や風味がなくなるほど悪い。
評価結果 ◎ きわめて良好 〇 良好 △ 普通(良くもないが、悪くもない)
× 悪い ×× きわめて悪い【0036】
【発明の効果】クラストが滑らかで艶があり、上述したパン特有のしこしことした歯ごたえを維持しながら食感が柔らかくて軽く、風味も良好であり、包被成形装置の使用により製品間および個々の製品の部位で食感に均一性があり、冷凍保存に好適なベーグルパン、またはこれに類するパン類およびその製造方法を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000178594
【氏名又は名称】山崎製パン株式会社
【出願日】 平成12年8月31日(2000.8.31)
【代理人】 【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
【公開番号】 特開2002−136255(P2002−136255A)
【公開日】 平成14年5月14日(2002.5.14)
【出願番号】 特願2000−264135(P2000−264135)