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【発明の名称】 ドーナッツ食品改質剤及びドーナッツ食品の改質方法
【発明者】 【氏名】増渕 隆明

【氏名】深野 英則

【要約】 【課題】ドーナッツ食品をフライする際に、生地中への油の吸収量を少なくでき、油性感のない、あっさりとした食感を有する低カロリーのドーナッツ食品を得ることのできるドーナッツ食品改質剤及びドーナッツ食品の改質方法を提供する。

【解決手段】本発明のドーナッツ食品改質剤は、ペクチンとバイタルグルテンとを含むことを特徴とし、本発明方法は、このドーナッツ食品改質剤をドーナッツ食品の生地中に、生地に使用した小麦粉重量の0.5〜5.0重量%量を配合することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ペクチンとバイタルグルテンとを含むことを特徴とするドーナッツ食品改質剤。
【請求項2】 ペクチンが、高メトキシルペクチンを50重量%以上含有する請求項1記載のドーナッツ食品改質剤。
【請求項3】 請求項1または2記載のドーナッツ食品改質剤を、ドーナッツ食品の生地中に、生地に使用した小麦粉重量の0.5〜5.0重量%量を配合することを特徴とするフライ食品の改質方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はドーナッツ食品の吸油量を抑制し、ドーナッツ食品のカロリー低減化を図ることのできるドーナッツ食品改質剤及びドーナッツ食品改質方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ドーナッツ食品は小麦粉を主体とする生地を成形して油で揚げて製造される食品で、油で揚げた独特の風味、食感を有するため消費者に好まれている食品である。
【0003】これらドーナッツ食品はフライ時に生地が油を吸い、吸油量は例えばイーストドーナッツで12%前後、ケーキドーナッツで25%前後にもなる。しかも吸油率は生地の状態、フライ調理の条件によって更に高くなる場合がある。ところで、近年、消費者の健康志向の高まりに伴う嗜好の変化により、高カロリー食品が敬遠される傾向にあり、ドーナッツ食品にも従来のものより吸油量の少ない、あっさりした食味のものが望まれるようになってきた。
【0004】ドーナッツ食品の吸油量を低減化する方法として、グルテン含有量の高い強力粉を多く配合した生地を用いる方法や、ドーナッツ食品の生地を成形した後、マンナン、プルラン、キサンタンガム等の熱不溶性ゲルでコーティングしてからフライする方法(特開平3−143346号)等が知られている。
【0005】しかしながら、グルテン含有量の高い強力粉を多く配合する方法は、生地への吸油抑制効果が十分ではなく、また成形した生地を熱不溶性ゲルでコーティングしてからフライする方法は、フライ時の生地の急激な熱膨張によって熱不溶性ゲルの被膜が破れ易く、熱不溶性ゲルの被膜が破れてしまうと生地への吸油量を抑制できなくなるという問題があった。
【0006】本発明は上記の点に鑑みなされたもので、フライ時の生地への吸油量を少なくし、油性感の少ない、あっさりとした食感を有する低カロリーのドーナッツ食品を得ることのできるドーナッツ食品改質剤及びドーナッツ食品の改質方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち本発明のドーナッツ食品改質剤は、ペクチンとバイタルグルテンとを含むことを特徴とする。本発明においてペクチンとしては、高メトキシルペクチンを50重量%以上含有するものが好ましい。また本発明のドーナッツ食品の改質方法は、上記ドーナッツ食品改質剤を、ドーナッツ食品の生地中に、生地に使用した小麦粉重量の0.5〜5.0重量%量を配合することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の態様】本発明において用いるペクチンは、柑橘類、またはリンゴからの水抽出物を精製して得られた高分子多糖類で、カルボキシル基の一部がメチルエステル化されたガラクチュロン酸の直鎖状重合体を主体とするものである。メチルエステル化度が50%以上のものは高メトキシルペクチン、メチルエステル化度が50%未満のものは低メトキシルペクチンと呼ばれている。本発明においてペクチンとしては、高メトキシルペクチンのみを用いても、低メトキシルペクチンのみを用いても、また両者の混合物を用いても良いが、全ペクチン中の高メトキシルペクチンの割合が50重量%以上であることが好ましい。
【0009】一方、バイタルグルテンは、小麦粉に水を加えてドウを作り、水洗して水溶性蛋白質、澱粉質及び糖質を洗い出し、残りを生グルテンとして分離するマーチン法により主に製造され、分離した生グルテンを噴霧乾燥(スプレードライ)、気流乾燥(フラッシュドライ)等の方法により、できるだけ熱変性を起こさせないように乾燥粉末化して得られる。
【0010】本発明のドーナッツ食品改質剤における上記ペクチンとバイタルグルテンの割合は、ペクチン1重量部あたりに対し、バイタルグルテン0.2〜1.5重量部が好ましく、特にペクチン1重量部あたりに対し、バイタルグルテン0.5〜1.0重量部が好ましい。ドーナッツ食品改質剤中のペクチン1重量部あたりに対するバイタルグルテンの割合が0.2重量部未満の場合、ペクチンとバイタルグルテンとを併用することによる相乗効果が十分に得られ難く、吸油量抑制効果が不十分となる虞れがある。逆にペクチン1重量部あたりに対するバイタルグルテンの割合が1.5重量部を超える場合、得られるドーナッツ食品の食感が必要以上に硬くなる虞れがあるとともに、吸油量抑制効果も不十分となる虞れがある。
【0011】本発明のドーナッツ食品改質剤は、小麦粉を主体とするドーナッツ食品生地を調製する際に同時に添加する。ドーナッツ食品生地の配合組成は、生地の用途によっても異なるが、例えばイーストドーナッツ生地の場合には強力粉、薄力粉等の小麦粉に、塩、砂糖、脱脂粉乳、全卵、イースト、イーストフード、水およびショートニング等の油脂を加えて混捏して調製する。本発明のドーナッツ食品改質剤は、生地を調製する際に、他の配合成分とともに添加すれば良いが、生地に使用した小麦粉重量の0.5〜5.0重量%量の本発明改質剤が生地中に配合されるようにすることが必要である。特に小麦粉重量の1.0〜3.0重量%量の本発明改質剤が生地中に配合されるように添加することが好ましい。本発明改質剤の生地中の配合量が、小麦粉重量の0.5重量%量未満の場合、生地をフライする時の生地への吸油量抑制効果が不十分となり、逆に小麦粉重量の5.0重量%量以上の量を生地に配合した場合には必要以上に生地が硬くなって、ドーナッツ食品が硬くなって食感低下をきたす。
【0012】本発明改質剤を生地に添加する際に、本発明改質剤の生地への分散性改善や、得られるドーナッツ食品の味、風味、食感等を改善する目的で、本発明改質剤を、他の穀粉、デンプン類、糖類、粉乳類、繊維質類、粉末状油脂等と混合してから生地に添加しても良い。
【0013】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1〜6強力粉80重量部、薄力粉20重量部、砂糖10重量部、食塩1.2重量部、脱脂粉乳3重量部、全卵10重量部、イースト5重量部、イーストフード0.1重量部、ドーナッツ食品改質剤、ショートニング及び水をミキサーに投入し、低速で2分、中高速で4分撹拌してドーナッツ生地を調製した。ドーナッツ食品改質剤の配合を表1に示す。またドーナッツ食品改質剤、ショートニング及び水の、強力粉、薄力粉の合計量に対する添加量の割合を表2に示す。
【0014】ついで上記のようにして調製した生地を27℃で捏上げ、湿度70%、温度27℃で40分間発酵させた後、シーターによって約1.8cmの厚さに薄く平らに延ばし、リング状抜き型で型抜きしてリング形状に成形した。成形した生地の1個当たりの重量は平均42gであった。その後、成形した生地を金網の上に載せ、更に湿度60%、温度40℃のホイロ内で30分間発酵させた後、生地表面を適度に乾燥させるために10分間室温で放置してから180℃の油で、片面1分ずつフライしてイーストドーナッツを得た。
【0015】
【表1】

※:高メトキシルペクチン:ハーキュリーズ(株)製:GENU PAN※:低メトキシルペクチン:ハーキュリーズ(株)製:LM−84AS※:バイタルグルテン:グリコ栄養食品(株)製:A−グルG※:各成分の配合量は重量部。
※:改質剤は、各成分をロッキングミキサーにて粉体混合して得た。
【0016】
【表2】

※:表2に示す各数値は、最初にミキサーに添加した強力粉、薄力粉の合計重量に対する改質剤、ショートニング、水の重量%である。
【0017】得られたイーストドーナッツの吸油量を以下のようにして測定した。また得られたドーナッツの食感を以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
【0018】吸油量:フライ前のフライヤー中のフライ油の重量と、20個のドーナッツをフライ後のフライヤー中のフライ油の重量との差をドーナッツに吸われた油の量とし、この量からドーナッツ1個当たりの吸油量を算出した。
【0019】食感:食感は官能検査により、ドーナッツを食した時の油性感(油っぽさ)を以下の基準により評価し、評価が3以上を食感良好とする。
食感評価基準5:油性感が弱く、あっさりしている。
4:油性感が比較的弱く、比較的あっさりしている。
3:油性感を感じる。
2:やや油性感が強く、比較的食感がおもたい。
1:かなり油性感が強く、食感がおもたい。
【0020】
【表3】

【0021】比較例1実施例1で用いた改質剤の代わりに、高メトキシルペクチン50重量部と低メトキシルペクチン50重量部の混合物を、強力粉と薄力粉の合計量の1重量%相当量添加し、ショートニング及び水を強力粉と薄力粉の合計量に対して表2に示す割合に相当する量を配合した他は、実施例1と同様にしてイーストドーナッツを得た。得られたドーナッツの吸油量、食感を実施例と同様に評価した。結果を表3にあわせて示す。
【0022】比較例2実施例1で用いた改質剤の代わりに、バイタルグルテンを、強力粉と薄力粉の合計量の2重量%相当量添加し、ショートニング及び水を強力粉と薄力粉の合計量に対して表2に示す割合に相当する量を配合した他は、実施例1と同様にしてイーストドーナッツを得た。得られたドーナッツの吸油量、食感を実施例と同様に評価した。結果を表3にあわせて示す。
【0023】比較例3実施例1において改質剤を使用せず、ショートニング及び水を強力粉と薄力粉の合計量に対して表2に示す割合に相当する量を配合した他は、実施例1と同様にしてイーストドーナッツを得た。得られたドーナッツの吸油量、食感を実施例と同様に評価した。結果を表3にあわせて示す。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のドーナッツ食品改質剤はドーナッツ食品の生地に、生地に使用した小麦粉重量の0.5〜5.0重量%相当量を添加することにより、フライ時に生地への吸油量を抑制できる。このため本発明の改質剤を添加した生地を用いて得たドーナッツ食品は、油っぽさがなく、食感良好なものであるとともに、ドーナッツ食品のカロリー低減化を図ることができる効果がある。
【出願人】 【識別番号】000114318
【氏名又は名称】ミヨシ油脂株式会社
【出願日】 平成12年10月19日(2000.10.19)
【代理人】 【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
【公開番号】 特開2002−125579(P2002−125579A)
【公開日】 平成14年5月8日(2002.5.8)
【出願番号】 特願2000−319365(P2000−319365)