トップ :: A 生活必需品 :: A21 ベイキング;生地製造または加工の機械あるいは設備;ベイキングの生地

【発明の名称】 焼き菓子用添加剤
【発明者】 【氏名】浜岡 はるみ

【要約】 【課題】焼き菓子にサクサクした食感、改善された口溶け感及び旨みを与え、焼き菓子の製造工程において活性のコントロールがし易く、生地の成形工程等において作業性に優れ、また一定の品質の製品を容易に得ることができる、天然素材より得られる焼き菓子用添加剤を提供すること、並びにサクサクした食感及び改善された口溶け感を有し、さらに旨みがある焼き菓子及びその製造方法を提供すること。

【解決手段】麹を含む焼き菓子用添加剤を使用して焼き菓子を製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 麹を含む焼き菓子用添加剤。
【請求項2】 麹を含む油脂組成物の形態にある、請求項1に記載の焼き菓子用添加剤。
【請求項3】 さらにイーストを含む、請求項1または2に記載の焼き菓子用添加剤。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の焼き菓子用添加剤を含むことを特徴とする焼き菓子用生地。
【請求項5】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の焼き菓子用添加剤を使用して製造された焼き菓子。
【請求項6】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の焼き菓子用添加剤を使用することを特徴とする焼き菓子の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼き菓子用添加剤、焼き菓子用生地、焼き菓子及び焼き菓子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、焼き菓子のサクサクした食感や口溶け感向上を目的として、澱粉などの素材や乳化剤などの添加物を利用することや、クラッカーの製造においてパパインなどの酵素を使用することが知られている。この酵素の使用としてはプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ等の一種または数種を混合して使用することが報告されている(特許第2761668号、特許第2761669号及び特開平10−191871号等)。しかしながら、酵素はその活性をコントロールすることが難しい。すなわち酵素を使った生地の硬さは経時的に軟化する度合いが速く、同じ生地を使っても焼くまでの時間の差異により焼いた菓子の出来上がりが異なってしまい、一定の品質を有する製品を得ることが難しいという欠点を有する。また、乳化剤や酵素を添加した焼き菓子の食感はソフトになり口溶けは良くなるが、風味があっさりしていて旨みやこくがないという欠点を有する。更に一部の酵素は、遺伝子組み替え等の技術を応用したものもあり、乳化剤とともに最近の天然志向または無添加志向といった消費動向に反するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明はサクサクした食感及び改善された口溶け感を有し、さらに旨みやこくがある焼き菓子及びその製造方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、焼き菓子にサクサクした食感、改善された口溶け感及び旨みを与えるための焼き菓子用添加剤であって、焼き菓子の製造工程において活性のコントロールがし易く、生地の成形工程等において作業性に優れ、また一定の品質の製品を容易に得ることができる、天然素材より得られる焼き菓子用添加剤を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は麹を焼き菓子に利用する事により従来の技術の問題点を克服出来る事を見出し、本発明を完成したものである。本発明は、麹を含む焼き菓子用添加剤、麹を含む焼き菓子用添加剤を含む焼き菓子用生地、麹を含む焼き菓子用添加剤を使用して製造された焼き菓子及び麹を含む焼き菓子用添加剤を使用することを特徴とする焼き菓子の製造方法を提供するものである。麹を含む焼き菓子用添加剤を用いて焼き菓子を製造すると、サクサクした食感、口溶け感及び旨みを有する焼き菓子を製造することができ、しかも、焼き菓子の製造工程において、生地を室温で長時間放置しても軟化すること無く作業性において優れている。また、麹粉末を油脂に練り込んで麹を油脂中に分散させた油脂組成物を用いると、さらにサクサクした食感の焼き菓子が得られる。また、無水の油脂中での麹は安定であり、焼き菓子の製造工程における簡便さ及び工場内汚染防止等実際の製造現場でも優れた素材として使用出来る。
【0005】本発明において使用される麹は、日本の食文化の中で古来から使われている食品素材であリ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ等を含む天然素材であるが、その用途は今まで酒、味噌、醤油等の製造に使用されているが、焼き菓子への応用例は報告されていない。麹を含む焼き菓子用添加剤の焼き菓子製造における添加効果は第一に、得られた焼き菓子の風味が酵素使用のものより複雑になり旨みも増し、食感も歯ごたえのあるサクサク感が得られ、口溶けも良好になることである。その理由としては、麹には何種類もの酵素が含まれることが考えられる。これはまた、日本の伝統食品である酒、味噌、醤油の複合的な旨みがこの麹の産物であることからも示唆されることである。本発明者等はこの様な優れた天然の食品素材を焼き菓子に使うことに着目し、本発明を完成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下本発明についてさらに詳細に説明する。
〔焼き菓子〕本発明において「焼き菓子」とは、小麦粉を例とする穀粉を原料粉として含み、その他任意に砂糖、水、牛乳、脱脂粉乳、卵、油脂、澱粉、食塩、イースト、膨張剤等を添加し混合して生地を製造し、所望の形状に成形後、加熱処理したものをいう。焼き菓子の例としては、クラッカー、パイ、プレッツェル、ビスケット等が挙げられる。
【0007】〔焼き菓子用生地〕本発明において「焼き菓子用生地」とは、原料粉、焼き菓子用添加剤及び任意の成分を混合した、焼成(加熱)前の段階の混合物をいう。生地には一定の形状に成形する前後のものが含まれる。また、一定の形状に成形する前後のものを低温で処理した冷凍生地またはチルド生地等も含む。
【0008】〔焼き菓子用添加剤〕本発明の焼き菓子用添加剤は、麹を必須成分として含み、他の成分として、油脂、イースト、モルトエキス、膨張剤等の焼き菓子において通常使用される添加剤の一種以上を任意に含む。ただし、これらの任意成分は、焼き菓子用添加剤として予め麹と混合すること無く、各々使用してもよい。すなわち、これらの任意成分は本発明の麹を含む焼き菓子用添加剤とは別に任意の焼き菓子製造工程において添加してもよい。
【0009】〔麹〕麹とは、米、麦、大豆及びその他の穀物を原料として、麹菌を培養したものをいい、日本の食文化の中で古来から使用されてきた天然の食品素材である。本発明では特に米に麹菌を増殖させた、いわゆる米麹または酒麹を使用することが好ましい。また、麹を乾燥させて粉末化した乾燥麹を使用することもでき、これは油脂と共に使用する場合において特に好ましい。麹には通常アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ等の酵素が含まれている。従来から使用されている純度の高い酵素に比べ、麹中の酵素含有量及び純度は低いために、酵素活性は緩慢であり、添加量、活性等をコントロールすることが容易である。
【0010】本発明の焼き菓子用添加剤は、焼き菓子用添加剤100質量部中、麹を0.1〜100質量部含むものである。本発明の焼き菓子用添加剤は麹の含有量に応じて、麹の添加量が原料粉100質量部に対して0.1〜5.0質量部、好ましくは、0.3〜1.5質量部となる範囲において使用することが望ましい。0.1質量部より少ないと添加効果が弱く、5.0質量部より多いと麹の風味が強くなり、焼き菓子の風味を損ねてしまうことがある。
【0011】〔油脂〕本発明において油脂とは、牛脂、豚脂、乳脂、魚油、パーム油、ナタネ油、大豆油、コーン油等の天然の動植物油脂及びこれらの硬化油、エステル交換油の1種または2種以上を組み合わせた無水の油脂を意味する。また油脂として任意にトコフェロール等の酸化防止剤を添加したものを用いてもよい。
【0012】本発明の焼き菓子用添加剤において、麹を予め油脂に添加して製造される麹含有油脂組成物を用いてもよい。そのような麹含有油脂組成物とは、完全に溶解した(70℃前後に加熱)油脂に乾燥麹を添加し、十分に混合した後冷却して固化せしめ、可塑化したものである。焼き菓子への麹含有油脂組成物は、その中に含まれる麹の量が、原料粉に対して0.1〜5.0質量部、好ましくは、0.3〜1.5質量部に相当する量であり、かつ油脂の量が目的の焼き菓子に合った量となるように調節して使用する。場合によっては生地に更に油脂を追加することも可能である。例えば、パイ、クラッカーにおいて麹含有油脂組成物を使用する場合には、油脂100質量部に粉末状の麹を3〜15質量部添加した麹含有油脂組成物を、原料粉100質量部に対して麹が0.1〜5.0質量部となるように用いることが望ましい。麹含有油脂組成物として添加する場合も、粉末状の麹を添加した場合と同様に、原料粉100質量部に対して麹が0.1質量部より少ないと添加効果が弱く、5.0質量部より多いと麹の風味が強くなり、焼き菓子の風味が損われてしまうことがある。
【0013】〔イースト〕本発明にいうイーストとは生イースト、ドライイースト、インスタントドライイイースト等をいう。イーストを添加することにより、本発明の麹を含む焼き菓子用添加剤の効果を損うことなく特にパイ等の浮きを改善するので好ましい。イーストの使用量は特に限定されないが、焼き菓子の原料粉100質量部に対して0〜10質量部、好ましくは0.5〜10質量部、さらに好ましくは1〜8質量である。
【0014】〔モルトエキス〕本発明にいうモルトエキスとはモルトシロップとも言い、発芽した麦芽の抽出物をいう。使用量は特に限定されないが、例えば焼き菓子の原料粉100質量部に対して0〜8質量部、好ましくは1〜8質量部である。
【0015】〔膨張剤〕本発明にいう膨張剤とは、重曹、炭酸水素アンモニウム、ベーキングパウダー等の焼き菓子を膨化し、これに多孔質の柔軟な性質を与えるために用いられる添加剤をいう。使用量は特に限定されないが、例えば焼き菓子の原料粉100質量部に対して0〜5質量部である。
【0016】〔原料粉〕本発明において焼き菓子の原料粉としては、焼き菓子に通常使用される薄力粉、強力粉等の小麦粉、大麦粉、各種澱粉、米粉、そば粉等の穀粉が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】穀粉及び上記焼き菓子用添加剤その他の必要な成分を混合し、これを0〜35℃で一定時間(例えば0〜24時間)経時後、成形し、焼成することにより、またこれらの基本工程に更に最終生成物に応じた任意工程を組み合わせた方法により、焼き菓子を製造することができる。目的の焼き菓子に応じた各工程は当業界において各種の方法が知られており、本発明の製造方法はこれらを全て含むものである。
【0018】
【実施例】以下の実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。各実施例に示す原料成分を用いて、以下の製造方法により各焼き菓子を製造した。
【0019】<使用原材料>各実施例において使用した原材料を以下に記載する。
麹:乾燥麹/アサヒ酵母株式会社製油脂:ショートニングA;綿実硬化油(融点40℃)50質量部と菜種硬化油(融点25℃)50質量部をガス量15%で急冷捏和して得られたショートニング。
折り込み用油脂:太陽油脂製パイ用シート状マーガリンイースト:スーパーカメリヤドライイースト/日清製粉株式会社製アミラーゼA:ノバミル10000BG(細菌由来のα−アミラーゼ)/ノボ・ノルディスク社製アミラーゼB:ファンガミルスーパー500BG(カビ由来のα−アミラーゼ)/ノボ・ノルディスク社製【0020】
<折りパイの製造>1)折りパイの製造方法■ ミキシング:低速攪拌3分間、中速攪拌7分間、フック使用■ 冷蔵5℃ :2時間■ 折り込み:折り込み油脂量 原料粉100質量部を使用した生地に対して50質量部を包み込む。折り込み数 4つ折り2回、3つ折り3回■ 最終生地厚み:2mm■ 成型 :ピケして型抜き 5cm×5cm■ 焼成 :上火200℃、下火160℃ 約15分間【0021】2)得られた折りパイについて以下の評価を行った。パネラー20名により5点満点で評価を行い、その平均を四捨五入した結果を評価結果として示した。なお、「浮き」とは、焼き菓子製造後の膨張の割合を目視で評価したものを意味する。

【0022】実施例1 乾燥麹を添加したパイ表1に記載の配合のパイを上述した製造方法に従って製造し(配合−1〜4及び比較−1)、各製品の浮き並びにサクサク感、口溶け及び旨みについて評価を行った(表1)。
〔結果〕本発明の焼き菓子は比較−1に比べ、いずれもサクサク感、口溶けが良くなり、また旨みも増し、麹の焼き菓子への添加が非常に効果的である事が確認された(配合−1〜4)。これに対し、麹を全く添加しない場合にはサクサク感、口溶け、旨み等の効果が弱かった(比較−1)。
【0023】実施例2 乾燥麹を添加したパイと麹含有油脂組成物を添加したパイとの比較次に、乾燥麹を油脂に練り込んだ麹含有油脂組成物を使ってパイを作り乾燥麹を油脂に練り込まずに単に添加したものとの比較を行なった(表1)。麹含有油脂組成物は、油脂(綿実硬化油(融点40℃)50質量部と菜種硬化油(融点25℃)50質量部)を70℃前後に加熱して完全に溶解した後、所定量の乾燥麹を添加し、十分に混合した後、ショートニング製造機(ボテーター)で冷却して固化せしめ、可塑化して製造した。
〔結果〕乾燥麹と麹含有油脂組成物使用のパイを比較した評価結果は、油脂の中に麹を練り込んだ方(配合−5)が練り込まない場合に比べて(配合−1〜4)、パイがよりサクサクしていた。しかし、パイの浮きについては乾燥麹をそのまま使用した場合も、麹含有油脂組成物として使用した場合もほとんど変化は見られなかった。
【0024】
【表1】

(注1)麹含有油脂組成物;油脂:乾燥麹=100:7【0025】実施例3 乾燥麹とドライイーストを併用したパイ実施例1及び実施例2に記載の配合−2及び配合−5に対してそれぞれドライイーストを8質量部づつ添加し、同様に折りパイを製造して評価を行った(配合−6及び配合−7)。また、比較のために比較−1の配合にドライイーストを8質量部添加してパイを製造し、評価を行った(比較−2)。結果を表2に示す。
〔結果〕イーストと麹を併用した場合(配合−6及び7)、麹を添加しない場合(比較−3)に比べて、口溶け及び旨みにおいて特に優れた効果を示した。また、イーストを添加することで浮きについて著しく改善された。
【0026】
【表2】

(注1)麹含有油脂組成物;油脂:乾燥麹=100:7【0027】実施例4 麹またはアミラーゼを含むパイ生地の比較次に、乾燥麹を油脂に練り込んだ油脂組成物、アミラーゼAを油脂に練り込んだ油脂組成物、アミラーゼBを油脂に練り込んだ油脂組成物及び無添加のショートニングを使った4種類のパイ生地の軟化の程度を比較した。配合−8の麹含有油脂組成物添加パイ生地と比較−3、比較−4及び比較−5の生地の25℃での硬度変化を比較した。生地の硬度測定は島津製作所製レオメーター(EZ−20N)を用いて下記条件下に行った。
アダプター:球 直径1cmサンプル(生地)厚さ:20mm挿入速度:30mm/分挿入深さ:15mm【0028】
【グラフ1】

【0029】
【表3】グラフ1のパイ生地の配合
(注1)麹含有油脂組成物;ショートニングA:乾燥麹=100:7(w/w)(注2)油脂アミラーゼA;ショートニングA:アミラーゼA=100:0.5(w/w)(溶解したショートニングAにアミラーゼAを上記の比率で添加し、混合後冷却固化せしめ可塑化したもの。)
(注3)油脂アミラーゼB:ショートニングA:アミラーゼB=100:0.5(w/w)(溶解したショートニングAにアミラーゼBを上記の比率で添加し、混合後冷却固化せしめ可塑化したもの。)
【0030】〔結果〕麹またはアミラーゼの生地への添加効果の比較は、目的の焼き菓子への添加量、温度、保持時間等の要因が絡み、難しい。この比較試験は、他の材料の影響が少ないパイ生地で行なった。初期の生地の硬さを無添加と同程度に揃えた場合、グラフ1から明らかなように、アミラーゼ添加の生地(比較−4及び5)の軟化の度合いは麹添加の生地(配合−8)に比べて早く、生地の硬さが経時的に軟化することが確認できた。これに対して麹添加の生地(配合−8)は軟化が緩慢で無添加のコントロール(比較−3)との差も少なく、作業性の点で非常に安定している事が確認された。
【0031】<イーストクラッカーの製造>次いでイーストクラッカーでの本発明の効果について述べる。
1)イーストクラッカーの製造方法■ グラニュー糖、脱脂粉乳、食塩、イーストを水に分散させてから重曹を入れる。
■ 小麦粉と油脂を量っておき■を加え攪拌する。 ミキシング:低速攪拌1分30秒 ビーター使用■ 醗酵:26℃ 約3時間■ 折り:3つ折り2回 9層に折りたたむ■ 最終生地の厚さ:約1mm■ 型で抜く。1枚の生地重量:約3g■ 焼成温度:上火220℃ 下火:230℃ 焼成時間:約4分【0032】2)サクサク感、口溶け、及び旨みの評価について実施例1と同様の評価基準を用いて、パネラー20名で5点満点とし、その平均を四捨五入した結果を評価結果とした。
【0033】実施例5 乾燥麹またはアミラーゼを添加したイーストクラッカー下記の配合のイーストクラッカーを上記の製造方法に従い製造し(配合−9及び比較−6〜8)、サクサク感、口溶け、及び旨みの評価を行った(表4)。
【0034】
【表4】乾燥麹またはアミラーゼを添加したイーストクラッカー
【0035】〔結果〕アミラーゼ使用のもの(比較−6及び7)に比べて麹を使用したもの(配合−9)は旨み(こく)があり非常においしいクラッカーを製造できる事が確認出来た。
【0036】実施例6 麹含有油脂組成物またはアミラーゼ含有油脂組成物を添加したイーストクラッカー次にパイと同様に、乾燥麹含有油脂組成物またはアミラーゼ含有油脂組成物を添加したイーストクラッカーを製造し、比較した。すなわち、実施例5の配合−9の配合において油脂と乾燥麹の代わりに乾燥麹含有油脂組成物(ショートニングA:乾燥麹=120:7(w/w))、比較−7の配合において油脂とアミラーゼAの代わりに油脂アミラーゼA(ショートニングA:アミラーゼA=120:0.2(w/w)(溶解した油脂にアミラーゼAを上記の比率で添加し、混合後冷却固化せしめ可塑化したもの。))を、また比較−8の配合において油脂とアミラーゼBの代わりに油脂アミラーゼB(ショートニングA:アミラーゼB=120:0.2(w/w)(溶解した油脂にアミラーゼBを上記の比率で添加し、混合後冷却固化せしめ可塑化したもの。))を用いてイーストクラッカーを製造し、比較した。
【0037】〔結果〕両方とも、粉の状態で添加した配合に比べて、油脂に練り込んだ方がサクサク感は非常に良いが、麹含有油脂組成物使用のクラッカーは、アミラーゼ含有油脂組成物使用のクラッカーに比べて、旨み(こく)の点で非常に優れており、更に歯応えのあるサクサクした食感と、口の中にいつまでも残らない口溶け感の良いものであった。
【0038】<膨張剤及びモルトエキス使用クラッカーの製造>実施例7膨張剤(炭酸水素アンモニウム)とモルトエキスを併用したクラッカーを、乾燥麹、麹含有油脂組成物、アミラーゼA若しくはBまたは油脂アミラーゼA若しくは油脂アミラーゼBを用いてイーストクラッカーと同様に製造し、それぞれ比較を行った。
〔結果〕乾燥麹、アミラーゼA及びBを用いた場合、イーストクラッカーの実施例5と全く同様な結果であったが、このタイプの方がより歯応えのあるサクサクした食感を有するクラッカーを得ることができた。また、イーストクラッカーと同様に乾燥麹を油脂に練り込んだ麹含有油脂組成物、油脂アミラーゼA及び油脂アミラーゼBを使った場合には、同様に麹含有油脂組成物を用いたクラッカーの評価が一番高い結果であった。
【0039】
【発明の効果】以上の通り、本発明は麹を含む焼き菓子用添加剤を使用する事で、従来の焼き菓子に比べ、旨み(こく)があり、歯応えのあるサクサクした食感、口溶け等が著しく改善された焼き菓子を製造することができる。また、麹を油脂中に練り込んだ油脂組成物を使用することで、さらに優れた食感の焼き菓子を製造することができる。また、アミラーゼを添加した生地に比べ、麹を添加した生地はより向上した安定性を示し、その結果より優れた生地の作業性を有し、安定した焼き菓子の最終製品を得ることが可能である。
【出願人】 【識別番号】591040144
【氏名又は名称】太陽油脂株式会社
【出願日】 平成12年10月25日(2000.10.25)
【代理人】 【識別番号】100059959
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔 (外9名)
【公開番号】 特開2002−125577(P2002−125577A)
【公開日】 平成14年5月8日(2002.5.8)
【出願番号】 特願2000−324994(P2000−324994)