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【発明の名称】 ホットケーキ類
【発明者】 【氏名】持地 亘

【氏名】芹澤 篤

【氏名】西村篤史

【氏名】山本 晴敬

【要約】 【課題】

【解決手段】最終製品中、小麦粉に対して尿素を0.002〜0.5重量%含有するように添加してホットケーキ類を製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 最終製品中、小麦粉100重量%に対して尿素を0.002〜0.5重量%含有することを特徴とするホットケーキ類。
【請求項2】 請求項1記載のホットケーキ類を冷却又は凍結処理した冷蔵又は凍結ホットケーキ類。
【請求項3】 小麦粉100重量%に対して尿素を0.002〜0.5重量%含有することを特徴とするホットケーキ類用ミックス。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、尿素を含有することを特徴とするホットケーキ類に関する。本発明のホットケーキ類は、冷蔵又は凍結保存後、電子レンジで加熱調理しても硬くならず、また経時的な硬化が抑制されているという特徴を有する。
【0002】
【従来の技術】小麦粉を主成分とする混合物に、糖類、卵、牛乳等を加えて混合した生地を天板、ホットプレート等で円形に両面を焼成することによって得られるホットケーキは、一般に、焼きたてを皿に重ね、角切りにしたバターをのせ、シロップをかけて食すが、近年では焼成したものを冷却又は凍結処理を行って、冷蔵又は冷凍状態で市販されているものもある。消費者はこれを購入し、家庭で電子レンジ、オーブントースター等で加熱調理を行うが、電子レンジで加熱調理を行うと、ホットケーキの周辺部が硬くなったり、また、加熱調理後、冷めるに従い徐々に全体が硬化し、歯切れの悪い食感となるという問題がある。
【0003】そこで、この問題を解決するために、小麦粉、米粉等の穀類を主原料とし、油脂を副原料として水とともに混練した電子レンジ用食品において、その生地に食物繊維の粉末及び/又は乳化剤を混入することで、電子レンジで加熱しても硬化することのない食品を提供する技術(特開平3−22941号公報)、小麦粉湿熱処理物を含有させて、電子レンジで解凍しても食感の硬化が生じず、引きの抑制されたベーカリー製品を提供する技術(特開平7−147947号公報)、小麦粉を含む食品の生地原料に水溶性ヘミセルロースを添加することで、焼成後、冷蔵又は凍結した小麦粉を含む食品の電子レンジ加熱後の引きや、冷めるに従って硬くなるといった経時的な硬化を抑制する技術(特開平11−169062号公報)等が提案されている。しかしながら、いずれの技術においても電子レンジ加熱調理後の引きや経時的な硬化を十分に抑制するには至っていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、焼成後、冷蔵又は凍結保存し、喫食時に電子レンジで加熱調理しても硬くならず、また経時的な硬化の抑制されたホットケーキ類を得るべく、鋭意研究を進めていたところ、ホットケーキ類の製造時に尿素を配合することにより、焼成後、冷蔵又は凍結保存したものを電子レンジで加熱調理しても硬くならず、また経時的な硬化の抑制されたホットケーキ類が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。したがって、本発明は、焼成後、冷蔵又は凍結保存し、電子レンジで加熱調理しても硬くならず、また経時的な硬化の抑制されたホットケーキ類を提供することを課題とする。
【0005】本発明において、ホットケーキ類とは、ホットケーキ、クレープ、パラチンケン、ワッフル、ドーナツ、今川焼き、どら焼き、鯛焼き、お好み焼き、たこ焼き等のことをいう。
【0006】
【課題を解決するための手段】電子レンジ加熱の特性上、冷蔵又は冷凍保存したホットケーキ類を電子レンジで加熱調理すると、加熱時にホットケーキ類中に含有される水分が蒸発されやすい。また、電子レンジ加熱では加熱が過剰となりやすく、ホットケーキ類を電子レンジで加熱調理すると、水分が過剰に蒸発し、水分が減少して硬くなるという現象が生じる。さらに、加熱調理後、ホットケーキ類をそのまま放置すると、水分の蒸発がさらに進み、経時的に硬化する。
【0007】本発明では、ホットケーキ類の製造時に最終製品中、小麦粉100重量%に対して尿素を好ましくは0.002重量%〜0.5重量%含有するように添加することにより、尿素が小麦粉中のタンパク質に作用してタンパク質の保水性が向上するのと、生地のキメが細かくなり生地から水分が蒸発しづらくなるため、冷蔵又は冷凍保存後、電子レンジで加熱調理しても硬くならず、また経時的な硬化の抑制されたホットケーキ類を得ることができる。なお、最終製品中、尿素の含有量が小麦粉100重量%に対して0.002重量%未満では、電子レンジで加熱調理すると硬くなることがあり、また経時的に硬化が生じることがあるため好ましくなく、0.5重量%を超えると、生地の粘度が低下し、焼成後の食感が悪くなることがあるため好ましくない。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のホットケーキ類の製造についてホットケーキを例に挙げて説明する。先ず、薄力粉、中力粉、強力粉等の小麦粉、ベーキングパウダー等の粉類を合わせて篩にかける。次いで、ボールにサラダ油、砂糖を混ぜ合わせ、溶いた卵、食塩、脱脂粉乳、尿素等を加えて混ぜ、さらに水、牛乳等の水分を加えてよく混ぜ合わせる。これに篩を通した粉類を加え、軽く混ぜて生地を調製する。180℃に熱したホットプレート上に、例えば、直径10cmのリング型をおき、生地50gを流し込み、片面を1分30秒間ずつ焼成する。焼成後、冷却し、常法に従って冷蔵又は凍結処理を行う。本発明において尿素は、化成品の尿素を使用してもよく、乳や乳素材をナノフィルトレーション(NF)膜や逆浸透(RO)膜で処理して透過液を回収し、必要に応じ、常法に従って濃縮又は乾燥処理を行った尿素含有組成物(特願平11−082768号)を用いてもよい。また、尿素の添加は、上述のように生地の調製時、又は調製後の生地に添加してもよく、あるいは市販のホットケーキミックスのようなものに、予め含有させてもよい。
【0009】
【実施例】以下実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1表1の配合に従い、ホットケーキを製造した。小麦粉、ベーキングパウダー等の粉類を篩にかけた。次いで、ボールにサラダ油及び砂糖を混ぜ合わせ、溶いた卵、食塩、脱脂粉乳及び尿素(和光純薬工業社製)を加えて混ぜ、さらに水を加えてよく混ぜ、篩を通した粉類を加え、軽く混ぜて生地を調製した。180℃のホットプレート上に直径10cmのリング型をおき、生地50gを流し込み、片面を1分30秒間ずつ焼成してホットケーキを製造し、本発明品1を得た。また、尿素を添加しない以外は上記と同様の方法でホットケーキを製造し、比較品1を得た。本発明品1及び比較品1を−20℃で急速凍結し、−20℃で2週間保存した。
【0010】
【表1】

【0011】試験例1−20℃で2週間保存後の本発明品1及び比較品1を500Wの電子レンジで、一枚につき1分間加熱調理し、その後室温で10分間放置した。10分間放置後の硬さを測定し、さらに官能評価を行った。硬さの測定は、レオナー(RE−3305型、山電社製)にて、直径5mmの円柱状のプランジャーを用い、貫入速度10mm/秒で、直径10cmのホットケーキの中心から2.5cmの部分を測定した。5mm貫入時の荷重(gf)を測定し、これをホットケーキの硬さの指標とした。荷重の値が小さく、好ましくは60〜120gfであるとき、食感としてソフト感を有するものとなる。
【0012】官能評価は、30名のパネラーに本発明品1及び比較品1を食してもらい、外観、食感(ソフト感)及び風味について、次の7段階の評価点で評価してもらい、これを点数化して、その平均点で示した。
評価点;かなり良い(+3点)、やや良い(+2点)、わずかに良い(+1点)、どちらともいえない(0点)、わずかに悪い(−1点)、やや悪い(−2点)、かなり悪い(−3点)。結果を表2に示す。
【0013】
【表2】

【0014】本発明品1は比較品1に比べ、荷重の値が小さかった。電子レンジで加熱調理して10分間経過後でも硬くなりにくく、膨らみがあって外観もよく、ソフトな食感で、風味も良好であるとの評価を得た。
【0015】参考例126.0mg/100mlの割合で尿素を含んでいる脱脂乳30lについて、UF膜(Desal PW1812T,Desalination社製)を使用し、3倍濃縮を行った。なお、膜処理は操作温度50℃、圧力1.5MPaの条件で行った。このUF膜により透過液を分離、回収した後、乳糖結晶を分離した。この母液を凍結乾燥して、乳由来の尿素含有組成物粉末250gを得た。なお、この乳由来尿素含有組成物粉末の成分値は表3に示す通りであり、また、尿素濃度は2.0%であった。
【0016】
【表3】

【0017】実施例2実施例1と同様の方法でホットケーキを製造した。参考例1で得た乳由来尿素含有組成物粉末0.50重量%を尿素の代わりに添加し、過不足は水で調整してホットケーキを製造し、本発明品2を得た。また、参考例1で得た乳由来尿素含有組成物粉末2.0重量%を尿素の代わりに添加し、過不足は水で調整してホットケーキを製造し、本発明品3を得た。さらに、尿素を添加しない以外は上記と同様の方法でホットケーキを製造し、比較品2を得た。本発明品2、本発明品3及び比較品2を−20℃で急速凍結し、−20℃で2週間保存した。
【0018】試験例2−20℃で2週間保存後の本発明品2、本発明品3及び比較品2について、重量変化率を求めた。また、硬さを測定し、さらに官能評価を行った。重量変化率は、電子レンジで加熱調理する前の凍結したままの重量(加熱前重量)と、500Wの電子レンジで、一枚につき1分間加熱調理し、その後室温で1時間放置後の重量(加熱後重量)を測定し、重量変化率を下記に示す式1より求めた。
重量変化率(%)={(加熱前重量−加熱後重量)/加熱前重量}×100(式1)
硬さの測定は、500Wの電子レンジで、一枚につき1分間加熱調理し、その後室温で1時間放置したものについて、試験例1と同様の方法で行った。官能評価は、500Wの電子レンジで、一枚につき1分間加熱調理し、その後室温で1時間放置したものについて、試験例1と同様の方法で行った。なお、食感(ソフト感)は、加熱調理し、室温で1分間放置後のものについても評価を行った。重量変化率の結果を図1に、硬さの結果を図2に、官能評価の結果を表3に示す。
【0019】図1より、本発明品2及び本発明品3は、比較品2に比べ、重量変化が少なく、電子レンジ加熱による水分蒸発が抑制されていた。また、本発明品2より、尿素の含有量が多い本発明品3の方がより重量変化率が小さかった。図2より、本発明品2及び本発明品3は、比較品2よりも荷重の値が小さかった。また、本発明品2より、尿素の含有量が多い本発明品3の方がより荷重の値が小さかった。
【0020】
【表4】

【0021】1時間放置後でも本発明品2及び本発明品3は比較品2に比べ、膨らみがあって外観もよく、ソフトな食感で、風味も良好であるとの評価を得た。また、本発明品2より、尿素の含有量が多い本発明品3の方がより膨らみがあり、食感もソフトであるとの評価を得た。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、焼成し、冷蔵又は凍結保存後、電子レンジで加熱調理しても硬くならず、また経時的硬化の抑制されたホットケーキ類を提供することができる。また、本発明のホットケーキ類は、冷凍保存したホットケーキ類を自然解凍した際に生じる硬化も抑制されている。
【出願人】 【識別番号】000006699
【氏名又は名称】雪印乳業株式会社
【出願日】 平成12年9月29日(2000.9.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−101811(P2002−101811A)
【公開日】 平成14年4月9日(2002.4.9)
【出願番号】 特願2000−297952(P2000−297952)