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【発明の名称】 ロールイン用油脂組成物及び当該油脂組成物を用いた食品
【発明者】 【氏名】馬場 俊充

【氏名】上杉 滋美

【氏名】杉原 浩

【氏名】輸本 勝弘

【要約】 【課題】本発明は、食した際にボロボロ落ちにくくカリカリした独特な食感を呈するパイなどのペーストリー食品を製造することができるロールイン用油脂組成物及び当該油脂組成物を用いたペーストリー食品を提供することを目的とする。

【解決手段】本発明は、本発明は、油相が50〜70重量%、水分が25〜45重量%及びアルファ化した澱粉を含有することを特徴とする油中水型のロールイン用油脂組成物及び当該油脂組成物を用いたペーストリー食品を提供できることがわかった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】油相が50〜70重量%、水分が25〜45重量%及びアルファ化した澱粉を含有することを特徴とする油中水型のロールイン用油脂組成物。
【請求項2】澱粉が1〜4重量%含まれる、請求項1記載のロールイン用油脂組成物。
【請求項3】澱粉がウルチ米澱粉である、請求項1又は請求項2記載の油中水型のロールイン用油脂組成物。
【請求項4】請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の油中水型のロールイン用油脂組成物を使用した、ペーストリー食品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペーストリー食品に使用するロールイン用油脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ペーストリーは生地を薄く延ばし、これにロールイン用油脂組成物をのせて折りたたみ、再び薄く延ばすことを繰り返し生地を作り、成形後焼成することにより得られる層状を呈した食品である。近年、嗜好の多様化の中で新しい食感を呈するペースト類が求められている。特開平11−289980号公報では、アミロペクチンを80重量%以上含有するアルファー化澱粉を添加した、乳化物でない油脂組成物を生地に練り込むことで、ビスケットやクッキー等の食感をよりフレーキーにしようとする提案がなされている。特開平8−196198号公報では、油脂組成物に澱粉及び/又は蛋白質素材を含有させることにより、乳化剤に頼らずにパンをソフトにし、食感が向上し、口当たりのさっくりしたパンが得られる油脂組成物及びそれを用いたパンの製造方法が提案されている。また、特開平11−155482号公報では、SFC値が20℃で4〜50、30℃で3〜40及び40℃で10以下の油脂からなる油相中に加工澱粉を含有させることにより、風味の劣化が少なく、かつ水分を安定して保持できる焼菓子が得られる油中水型乳化油脂組成物、またそれを用いた焼菓子の製造方法も提案されている。
【0003】しかし、前者の油脂組成物においては練り込み用であり、ロールイン用油脂組成物ではない。後者の油脂組成物においてもロールイン用として開示されておらず、ロールイン用として使用してもボリューム、食感に対し十分な効果がない。また、従来のロールイン用油脂組成物では、ペーストリー食品の食感に対して必ずしも満足できるものはなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、食した際にボロボロ落ちにくくカリカリした独特な食感を呈するパイなどのペーストリー食品を製造することができるロールイン用油脂組成物及び当該油脂組成物を用いたペーストリー食品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、油相の割合及び水分の量を特定し並びにアルファー化した澱粉を含有してなる油中水型のロールイン用油脂組成物を使用することにより、上記課題を満足し得るとの知見を得、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、油相が50〜70重量%、水分が25〜45重量%及びアルファ化した澱粉を含有することを特徴とする油中水型のロールイン用油脂組成物及び当該油脂組成物を用いたペーストリー食品を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のロールイン用油脂組成物に使用する油脂原料としては例えば、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂並びに乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂が例示でき、上記油脂類の単独又は混合油或いはそれらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂が適する。これらの油脂を使用したロールイン用油脂の融点が15〜45℃のものが良い。油脂の融点が15℃未満の場合は、生地に油脂が融解して生地と油脂の層が形成し難くなる。油脂の融点が45℃を超える場合は、油脂を混合した生地が硬くなり展延性が悪くなる。
【0008】本発明のロールイン用油脂組成物の油相の割合は、ロールイン用油脂組成物全量に対し、50〜70重量%、好ましくは55〜70重量%の割合で配合される。下限未満であると、油中水型のロールイン用油脂組成物を得ることが困難になり、合成乳化剤を使用しない場合は更に難しくなる。一方、上限を超えるとパイなどのペーストリー食品に使用した際の食感改良効果が十分に得られなくなる。
【0009】本発明のロールイン用油脂組成物の水分の量は、ロールイン用油脂組成物全量に対し、25〜45重量%の割合で配合される。下限未満であると、カリカリとした独特の食感が得られなくなる。一方、上限を超えると、油中水型のロールイン用油脂組成物を得ることが困難になる。
【0010】本発明で使用するアルファー化した澱粉としては、澱粉の由来はコメ、小麦、タピオカ、馬鈴薯、コーンスターチ等が例示でき、これらの澱粉の単独又は混合物が良い。好ましくはウルチ米澱粉を使用するのが望ましく、パイに使用した場合程良いカリカリ感が得られる。これらアルファー化澱粉は市販のものを購入してもよいし、また澱粉を水に分散し加熱することにより容易に得ることができる。この場合の加熱条件は澱粉の種類によっても異なるが、馬鈴薯澱粉で70℃で30分間程度、最もアルファー化の遅い小麦澱粉でも95℃にて1時間程度加熱することにより得ることができる。アルファー化した澱粉を使用することでロールイン用油脂組成物を製造するに際して、製造時の加熱時に粘度の上昇が少なく製造し易くなる。
【0011】本発明のロールイン用油脂組成物に使用するアルファー化した澱粉は、油脂組成物全量に対し、1〜4重量%の割合で配合するのが良い。少なすぎると、ペーストリー類の食感改良効果が薄れ特徴の少ないものとなり、多すぎると該澱粉の影響が大きくなりすぎ、ペーストリー類の食感が悪くなる。
【0012】本発明のロールイン用油脂組成物を製造するには、例えば、溶解した油相成分にアルファー化した澱粉を添加分散させる。次に水相成分を油相成分に混合させ乳化物を調製し、ボテーターまたはコンビネーターのような従来公知の混捏機を用いて急冷混捏することによって得ることができる。また、澱粉を油相に添加せず、水相に添加して急冷混捏することによっても同様なものが得られる。
【0013】本発明のロールイン用油脂組成物を製造するに際して、従来より使用されてきた蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよび酢酸モノグリセリド、酒石酸モノグリセリド、酢酸酒石酸混合モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、リンゴ酸モノグリセリド等各種有機酸モノグリセリドのような合成乳化剤を使用しても、使用しなくてもどちらでも良い。これらの合成乳化剤を使用した場合は、油中水型のロールイン用油脂組成物を容易に得ることができる。
【0014】本発明のペーストリー食品としては、生地を薄く延ばし、これにロールイン用油脂組成物をのせて折りたたみ、再び薄く延ばすことを繰り返し生地を作り、成形後焼成することにより得られる層状を呈した食品であり具体的にはパイが例示できる。
【0015】本発明においては、以上の他に、所望により食塩、粉乳、糖類、香料や色素等を使用することができる。
【0016】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。特に、添加剤の添加順序或いは油相を水相へ又は水相を油相へ加える等の乳化順序が以下の例示によって限定されるものではないことは言うまでもない。なお、例中、%及び部は、いずれも重量基準を意味する。
【0017】実験例1魚硬化油75.0%、米糠硬化油8.0%、菜種油17.0%からなる油脂成分60.0部に卵黄レシチン0.2部を溶解させた油相に、アルファ化したウルチ米澱粉2. 5部を分散させる。そこに、水36.3部に食塩1.0部を加えた水相を徐々に添加し、約50℃でホモミキサーにて攪拌し、ウルチ米澱粉が膨潤した状態で混合乳化させた後、コンビネーターで急冷混捏してロールイン用油脂組成物を調製した。このときの油脂成分の融点は36.5℃であった。
【0018】実験例2〜実験例6実験例1と同様の油相60.2部にアルファ化したウルチ米澱粉2.5部に替えてそれぞれのアルファー化した馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチを分散させ実験例1と同様にしてロールイン用油脂組成物を調製した。それぞれのアルファー化した澱粉から得られた油脂組成物を実験例2〜実験例6とした。
【0019】比較実験例1実験例1と同様の油相60.2部に対し、水38.8部に食塩1.0部を加えた水相を徐々に添加し、実験例1と同様にしてロールイン用油脂組成物を調製した。
【0020】比較実験例2実験例1と同様の油相成分60.2部にアルファ化していないウルチ米澱粉を2.5部分散させる。そこに、水36.3部に食塩1.0部を加え水相を徐々に添加し、実験例1と同様にしてロールイン用油脂組成物を調製した。
【0021】比較実験例3実験例1と同様の油相成分60.2部にアルファ化したウルチ米澱粉5.0部分散させる。そこに水33.8部に食塩1.0部を加えた水相を徐々に添加し、実験例1と同様にしてロールイン用油脂組成物を調製した。
【0022】比較実験例4実験例1と同様にして油相成分72.5部にアルファ化したウルチ米澱粉2.5部分散させる。そこに水24部に食塩1.0部を加えた水相を徐々に添加し、実験例1と同様にしてロールイン用油脂組成物を調製した。
【0023】比較実験例5実験例1と同様にして油相成分50.5部にアルファ化したウルチ米澱粉2.5部分散させる。そこに水46部に食塩1.0部を加えた水相を徐々に添加し、実験例1と同様にしてロールイン用油脂組成物を調製した。
【0024】次にロールイン用油脂組成物を使用し、以下の生地配合と製造方法でペーストリー食品としてパイを焼成した。なお、パイは、実験例1〜実験例6及び比較実験例1〜比較実験例4の各々のロールイン用油脂組成物を使用して評価した。
【0025】実施例1表1の実施例1の配合において、実験例1油脂組成物以外の原料を練り上げ、冷蔵庫にてリタードを行った後、実験例1油脂組成物を折り込み、リバースシーターで3つ折りと4つ折りを各1回行った。そして冷蔵庫でリタード後、3つ折りを2回行った後、成型し、180℃/15分と140℃/10分の条件にて焼成した。実施例4に係るパイを得た。評価としては、作業性は良好であった。得られたパイは内層は良好で、食した際には従来のパイのように生地がボロボロ崩れ落ちなかった。食感は程良くカリカリしていた。
【0026】実施例2〜実施例6表1の実施例2〜実施例6の配合において、実施例1と同様な処理をおこなった。
【0027】表1に実験例1〜実験例6の配合と製造方法及び評価をまとめた。
【表1】

【0028】比較例1表2の比較例1の配合において、比較実験例1油脂組成物以外の原料を練り上げ、冷蔵庫にてリタードを行った後、比較実験例1油脂組成物を折り込み、リバースシーターで3つ折りと4つ折りを各1回行った。そして冷蔵庫でリタード後、3つ折りを2回行った後、成型し、180℃/15分と140℃/10分の条件にて焼成した。比較例4に係るパイを得た。評価としては、作業性は作業中に生地がべとつき悪かった。得られたパイは内層は良好で、食した際には従来のパイのように生地がボロボロ崩れ落ちにくかった。食感は少しカリカリしていたが目的とする程度のものではなかった。
【0029】比較例2〜比較例5表2の比較例2〜比較例5の配合において、実施例1と同様な処理をおこなった。
【0030】表2に比較例1〜比較例4の配合と製造方法及び評価をまとめた。
【表2】

【0031】
【発明の効果】以上詳述した如く、本発明におけるロールイン用油脂組成物を使用したとき、カリカリ感がありボロボロ崩れ落ちにくく食べやすいパイなどのペーストリー食品を得ることができるという効果を有するのである。
【出願人】 【識別番号】000236768
【氏名又は名称】不二製油株式会社
【出願日】 平成12年9月28日(2000.9.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−101810(P2002−101810A)
【公開日】 平成14年4月9日(2002.4.9)
【出願番号】 特願2000−296239(P2000−296239)