トップ :: A 生活必需品 :: A21 ベイキング;生地製造または加工の機械あるいは設備;ベイキングの生地

【発明の名称】 液状酵母の供給方法及び供給システム
【発明者】 【氏名】田下 泰啓

【氏名】河野 公彦

【要約】 【課題】酵母製造業者から製パン業者への液状酵母の供給において、酵母製造業者は製パン業者からの発注に頼らず液状酵母を計画的かつ安定的に製造及び出荷して製パン業者へ供給でき、製パン業者の煩雑な発注業務を軽減もしくは省くことが可能な供給方法及び供給システムを提供する。

【解決手段】液状酵母の供給者である酵母製造業者は液状酵母の使用者である製パン業者における液状酵母の貯蔵量及び/又は使用量を測定して製パン業者の液状酵母使用量実績データを取得し、それに基づき製パン業者の液状酵母の需要を予測し、この予測データに基づき液状酵母の出荷及び製造計画を作成し、これに基づき液状酵母を製造し、需要予測から製パン業者における時間別の酵母貯蔵量を予測して液状酵母の出荷時間を決定し、製パン業者へ液状酵母を出荷する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 酵母製造業者から製パン業者への液状酵母の供給方法であって、液状酵母の供給者である酵母製造業者は液状酵母の使用者である製パン業者における液状酵母の貯蔵量及び/又は使用量を測定することにより製パン業者における液状酵母使用量実績データを取得し、前記取得した液状酵母使用量実績データに基づき製パン業者における液状酵母の需要を予測し、前記需要予測データに基づき液状酵母の出荷及び製造計画を作成し、前記出荷及び製造計画に基づき液状酵母を製造するとともに、前記需要予測から製パン業者における時間別の酵母貯蔵量を予測して液状酵母の出荷時間を決定し、製パン業者へ液状酵母を出荷することを特徴とする液状酵母の供給方法。
【請求項2】 酵母製造業者は、製パン業者におけるパン生産計画データを取得し、該パン生産計画データ及び前記液状酵母使用量実績データに基づき製パン業者における液状酵母の需要を予測し、液状酵母の出荷及び製造計画を作成する請求項1記載の液状酵母の供給方法。
【請求項3】 酵母製造業者は、前記需要予測データに基づく製パン業者における時間別の酵母貯蔵量予測データと、その後に取得した製パン業者における液状酵母使用量実績データにおける酵母貯蔵量とを比較し、必要に応じて出荷時間の見直しを行ったうえで出荷する請求項1又は2に記載の液状酵母の供給方法。
【請求項4】 製パン業者の液状酵母貯蔵設備における液状酵母の貯蔵量を検出する酵母貯蔵量自動検出手段及び/又は前記液状酵母貯蔵設備からパン製造工程への液状酵母の供給量を検出する酵母使用量自動検出手段と、前記検出された製パン業者における液状酵母の貯蔵量データ及び/又は使用量データを酵母製造業者へ通知する酵母使用量実績データ通知手段と、前記通知された製パン業者における酵母使用量実績データに基づき、製パン業者における液状酵母の需要を予測する酵母需要予測手段と、前記需要予測データに基づき製パン業者への液状酵母の出荷及び製造計画を作成する酵母出荷及び製造計画作成手段と、液状酵母を製造する酵母製造手段と、液状酵母を酵母製造業者から製パン業者へ出荷するための酵母出荷手段と、を備える液状酵母の供給システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酵母製造業者から製パン業者へ、液状のパン酵母(クリームイースト)を供給する方法およびシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】パン酵母には、生酵母(生イースト)と乾燥酵母(ドライイースト)との、大きく分けて2つの形態がある。更に生酵母は、圧搾酵母と液状酵母(クリームイースト)とに分けることができる。圧搾酵母は、培養後の酵母を培養液から分離、水洗し、脱水処理し、必要に応じて成型して包装したものであり、塊状である。一方、液状酵母は、前記圧搾酵母と同様の方法で製造されるが、脱水処理と包装とが省かれており、前記脱水工程の有無が、ポンプ輸送可能な液状酵母と、ポンプ輸送が困難な塊状の圧搾酵母との違いとなっている。
【0003】従来、製パン業者では一般的に塊状の圧搾酵母が使用されてきた。しかし、前記のように液状酵母はポンプでの輸送が可能で取り扱いが容易であり、製パン工程での自動化を図ることができ、また包装材が不要で包装に要する費用がかからず、更に使用済みの包装材が廃棄物として廃棄されることもないという利点がある。
【0004】ところで、製パン業者で使用される酵母は、液状酵母と圧搾酵母のいずれの場合も、製パン業者からの必要量発注に応じて酵母製造業者が製造し、製パン業者へ納入している。つまり、製パン業者がパンの生産計画に基づく酵母使用量予測及び酵母貯蔵量から必要発注量を算出して酵母製造業者へ発注し、酵母製造業者は前記製パン業者からの発注に基づき酵母を製造し、製パン業者へ納入している。しかし、液状酵母の場合は、圧搾酵母に比べて保存可能な期間が短いことから、製パン業者は酵母製造業者への発注をより頻繁に行う必要があり、この発注業務が大変煩雑で手間のかかるものである。一方、酵母製造業者は、前記のように製パン業者からの発注を待って液状酵母を製造し、製パン業者へ出荷しているが、発注が不確定で変更も多く、予め出荷及び製造計画を立てて液状酵母を製造、出荷することが困難である。
【0005】上記のように、液状酵母の場合、圧搾酵母と異なりパイプ輸送が可能であることから、製パン業者の工場内では、酵母貯蔵設備からパン製造工程への酵母供給作業の自動化による作業の軽減が可能である。しかしながら、製パン業者による酵母の発注及び酵母製造業者による液状酵母の製造及び製パン業者へ出荷においては、酵母製造業者は、製パン業者からの発注を待って液状酵母を製造し、製造した液状酵母をローリー又はコンテナ等の容器に充填し、製パン業者に出荷しており、前記発注、製造及び出荷業務は、圧搾酵母の場合と変わることがなく、しかも圧搾酵母に比べて液状酵母は保存期間が短いことから、むしろ圧搾酵母の場合よりも液状酵母の発注、製造及び出荷業務をより頻繁に、かつタイムリーに行う必要があり業務が煩雑となる。このため、製パン業者における液状酵母の必要量を確実に把握でき、液状酵母を計画的かつ安定的に製造及び出荷可能な方法が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような製パン業者における液状酵母の使用及び発注状況並びに酵母製造業者における液状酵母の製造及び出荷状況等の現状に鑑み、液状酵母の供給者である酵母製造業者から使用者である製パン業者への液状酵母の供給において、酵母製造業者が製パン業者からの発注に頼らず、液状酵母を計画的かつ安定的に製造及び出荷して製パン業者へ供給でき、また製パン業者にとっては煩雑な発注業務の軽減もしくは省くことが可能な液状酵母の供給方法及び供給システムを提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明者は酵母製造業者から製パン業者への液状酵母の供給状況、製パン業者における液状酵母の使用状況を詳細に検証した結果、以下のような知見を得た。即ち、前記のような酵母の発注業務に際して必要な情報は、製パン業者の酵母貯蔵設備における液状酵母の貯蔵量と製パン工程における液状酵母の使用量であるが、液状酵母の場合には、圧搾酵母の場合とは異なり、製パン業者ではタンク、コンテナ等の貯蔵容器に貯蔵し、ここからパイプ等の配管を通じて製パン工程へ供給し使用している。本発明者は、この製パン業者における液状酵母の貯蔵及び使用形態に着目し、前記製パン業者における液状酵母の在庫量、即ち前記タンクやコンテナ等の容器内の液状酵母の貯蔵量や、液状酵母の使用状況、即ち前記タンクやコンテナ等の容器から製パン工程への液状酵母の供給状況から製パン業者における液状酵母の使用量実績を取得することで、製パン業者における液状酵母の使用量特性を把握し、製パン業者における液状酵母の需要を予測し、この需要予測データに基づき液状酵母を製造及び出荷することで、液状酵母の計画的かつ安定的な製造及び出荷が可能になる、との知見に基づき、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明に係る液状酵母の供給方法は、酵母製造業者から製パン業者への液状酵母の供給方法であって、液状酵母の供給者である酵母製造業者は液状酵母の使用者である製パン業者における液状酵母の貯蔵量及び/又は使用量を測定することにより液状酵母使用量実績データを取得し、前記取得した液状酵母使用量実績データに基づき製パン業者における液状酵母の需要を予測し、前記需要予測データに基づき液状酵母の出荷及び製造計画を作成し、前記出荷及び製造計画に基づき液状酵母を製造するとともに、前記需要予測から製パン業者における時間別の酵母貯蔵量を予測して液状酵母の出荷時間を決定し、製パン業者へ液状酵母を出荷することを特徴としている。
【0009】前記の場合、液状酵母の供給者である酵母製造業者は、前記液状酵母の使用者である製パン業者におけるパン生産計画データを取得し、該パン生産計画データ及び前記液状酵母使用実績データに基づき製パン業者における液状酵母の需要を予測し、液状酵母の出荷及び製造計画を作成することで、より精度の高い需要予測に基づき液状酵母の製造及び出荷が可能となる。
【0010】また、前記酵母製造業者は、前記需要予測データに基づく製パン業者における時間別の酵母貯蔵量予測データを、その後に取得した製パン業者における液状酵母使用量実績データとを比較し、必要に応じて出荷時間の見直しを行ったうえで出荷することが好ましい。
【0011】また、本発明に係る液状酵母の供給システムは、製パン業者の液状酵母貯蔵設備における液状酵母の貯蔵量を検出する酵母貯蔵量自動検出手段及び/又は前記液状酵母貯蔵設備からパン製造工程への液状酵母の供給量を検出する酵母使用量自動検出手段と、前記検出された製パン業者における液状酵母の貯蔵量データ及び/又は使用量データを酵母製造業者へ通知する酵母使用量実績データ通知手段と、前記通知された製パン業者における酵母使用量実績データに基づき、製パン業者における液状酵母の需要を予測する酵母需要予測手段と、前記需要予測データに基づき製パン業者への液状酵母の出荷及び製造計画を作成する酵母出荷及び製造計画作成手段と、液状酵母を製造する酵母製造手段と、液状酵母を酵母製造業者から製パン業者へ出荷するための酵母出荷手段と、を備えるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る液状酵母の供給方法の1実施形態の概略を示すフロー図である。本発明に係る液状酵母の供給方法は、液状酵母の供給者である酵母製造業者が使用者である製パン業者における液状酵母の使用量実績データを取得し、該使用量実績データを基に製パン業者における液状酵母の需要を予測し、この需要予測データに基づき液状酵母の出荷及び製造計画を作成し、この計画に基づき液状酵母を製造し、製パン業者へ出荷するというものである。
【0013】前記製パン業者における酵母使用量実績データは、製パン業者における液状酵母の貯蔵量や使用量を測定することにより取得する。前記製パン業者における液状酵母の貯蔵量の測定は、製パン業者における液状酵母貯蔵設備内の液状酵母の貯蔵量、即ち液状酵母の在庫量を測定する。この液状酵母の貯蔵量の測定は、タンク又はコンテナ等の酵母貯蔵用容器内の液状酵母の量を液圧式液面計等のレベル計を用いて自動検出することで行うことができる。また、前記製パン業者における液状酵母の使用量の測定は、製パン業者における液状酵母貯蔵設備のタンク又はコンテナ等から製パン工程への液状酵母供給ラインにおける液状酵母の供給量を電磁流量計等で自動検出することにより行うことができる。この製パン業者における酵母使用量実績データの取得に際しては、前記貯蔵量と使用量との両方を測定することが好ましいが、いずれか一方のみであってもよい。即ち、貯蔵量のみ測定する場合でも、貯蔵量の経時変化から使用量データを得ることができる。一方、使用量のみ測定する場合でも、製パン業者の酵母貯蔵設備のタンクもしくはコンテナ等の酵母貯蔵用容器での使用始まりを決めることにより、その後の使用量から貯蔵量データを得ることができる。この場合、例えば前記タンクもしくはコンテナ等の酵母貯蔵用容器での使用終了時点、即ち貯蔵量が0になる時点を測定する手段、例えば液切れ検知手段等を導入すれば、より正確に使用始まりを把握することができる。これらの製パン業者における液状酵母の貯蔵量や使用量の測定により得られる液状酵母使用量実績データが多いほど、即ち使用量実績データが蓄積されるにつれて、製パン業者における長期(例えば月単位)、中期(例えば旬単位又は週単位)、短期(例えば日単位)のそれぞれの酵母需要の予測精度が向上し、酵母製造業者から製パン業者へのよりタイムリーな液状酵母の供給が可能となる。
【0014】次に、酵母製造業者は、上記のようにして取得した製パン業者における液状酵母の使用量データ及び/又は貯蔵量データから得られる酵母使用量実績データを基に、製パン業者における液状酵母の需要予測を行う。この需要予測は、長期例えば月単位の需要を予測し、次に例えば旬単位又は週単位の中期需要を予測し、更に日単位の需要を予測するといった具合に順次予測期間範囲を狭めてゆく。この需要予測に際しては、前記製パン業者における酵母使用量実績データとともに液状酵母の種類による保存期間の長短や、季節要因、曜日、祝日等の変動要因を考慮して予測を行う。更に、この需要予測に際しては、酵母製造業者は製パン業者からパンの生産計画データを取得し、この生産計画データと前記使用量実績データとの両方のデータを基にして需要予測を行うことで、需要予測精度は更に向上するが、この製パン業者の生産計画データの取得は必ずしも必要ではない。即ち、前記のように、製パン業者における酵母使用量実績データの蓄積により、製パン業者における月単位、旬単位又は周単位、日単位での酵母使用量特性を酵母製造業者が把握することにより、製パン業者における酵母の需要の予測精度が向上し、より正確な出荷及び製造計画を作成することが可能だからである。
【0015】酵母製造業者は、上記のような製パン業者における液状酵母の需要予測データに基づき、液状酵母の出荷及び製造計画を作成する。前記出荷及び製造計画は、前記需要予測に基づいて月単位、旬単位又は週単位の計画を作成し、更に日単位での出荷及び製造計画を作成する。尚、この需要予測データに基づき作成された出荷及び製造計画は、その後に取得した製パン業者における酵母使用量実績データや製パン業者における生産計画の変更により前記需要予測データが修正された場合には、必要に応じて随時見直しが行われる。
【0016】酵母製造業者は、上記の出荷及び製造計画に基づき液状酵母を製造し、更に具体的充填及び出荷予定を作成する。この場合、液状酵母の充填及び出荷時間は、前記需要予測データにおける日別需要予測データから製パン業者における時間別の酵母貯蔵量を予測して決められる。即ち、日別需要予測データから求められる製パン業者における酵母貯蔵量が0になる時間及び輸送時間から充填及び出荷時間を決める。このとき、新たに取得された製パン業者の酵母使用量実績データがある場合には、需要予測データの修正を行うとともに、前記貯蔵量予測データと新たな貯蔵量データとを比較して両者のデータに一定の差異がある場合には、充填及び出荷時間の見直しを行ったうえで充填及び出荷時間を最終的に決定する。即ち、前記充填及び出荷時間を決める基礎となる需要予測データから得られた貯蔵量データとその後に取得した貯蔵量データとの間に一定の差異がある場合には、充填、出荷時間の見直しを行い、充填及び出荷時間の修正が必要でないと判断された場合には前記予定どおりに充填、出荷を行い、修正が必要と判断された場合には充填、出荷時間を修正して充填、出荷を行うのである。
【0017】上記のような本発明に係る液状酵母の供給方法によれば、液状酵母の供給者である酵母製造業者は、液状酵母の使用者である製パン業者からの発注を待つことなく、製パン業者における液状酵母の使用量及び/又は貯蔵量(在庫量)等の使用量実績データを基に液状酵母の需要予測を行い、これに基づき出荷及び製造計画を作成することで液状酵母を計画的かつ安定的に製造でき、また製パン業者へ液状酵母をタイムリーに出荷することができ、液状酵母の過剰生産や過剰在庫を防ぐことができる。一方、製パン業者においては、液状酵母の貯蔵量や製パン工程における液状酵母の使用量等の管理、酵母製造業者への発注といった煩雑な業務を必要とせず、安定的に酵母製造業者より液状酵母が供給され、必要なとき、必要な量の酵母を使用することができる。
【0018】次に図2は、本発明に係る液状酵母供給システムの概略を示すフロー図である。この液状酵母供給システムは、液状酵母の使用者である製パン業者と液状酵母の供給者である酵母製造業者との間にわたって設けている。先ず、液状酵母の使用者である製パン業者側には、製パン業者の液状酵母貯蔵設備10における液状酵母の貯蔵量を検出する酵母貯蔵量自動検出手段1と、前記酵母貯蔵設備10から酵母供給設備11によりパン製造工程へ供給される液状酵母の供給量を検出する酵母使用量自動検出手段2と、前記検出された液状酵母の貯蔵量データ及び使用量データを酵母製造業者へ通知する酵母使用量実績データ通知手段3を構成するデータ送信手段3aを設けている。更に、製パン業者にはパン生産計画管理手段8を設けてあり、このパン生産計画管理手段8の生産計画データに基づきパン製造工程でパンの製造を行うとともに、前記生産計画データは酵母製造業者にも提供される。一方、液状酵母の供給者である酵母製造業者側には、前記酵母使用量実績データ通知手段3を構成するデータ受信手段3bと、前記酵母使用量実績データ通知手段3により通知された製パン業者における液状酵母の使用量実績データに基づき、製パン業者における液状酵母の需要を予測する酵母需要予測手段4と、前記液状酵母の需要予測データに基づき液状酵母の出荷及び製造計画を作成する酵母出荷及び製造計画作成手段5を設けてある。更に、酵母製造業者は、前記製造計画に基づき液状酵母を製造する液状酵母製造手段6と、製造された液状酵母を製パン業者へ出荷するための酵母出荷手段7とを備えている。
【0019】図3は、前記液状酵母供給システムにおける製パン業者の酵母貯蔵設備10を中心とした設備の1実施例を示す概略図である。酵母貯蔵設備10は、液状酵母を貯蔵するタンク又はコンテナ等の酵母貯蔵用容器12を備えており、この酵母貯蔵用容器12には、パン製造工程のそれぞれへ液状酵母を自動供給可能とする酵母供給設備11を設けてある。この酵母供給設備11は、前記酵母貯蔵用容器12から出て再び酵母貯蔵用容器12へ戻る循環経路14を設けるとともに前記循環経路14の途中から液状酵母をパン製造工程へ供給するための分岐管15を複数設け、前記循環経路14の途中に前記酵母貯蔵用容器12中の液状酵母を供給するためのポンプ13を設けてあり、液状酵母を前記循環経路14内で循環させることで酵母貯蔵容器12内での液状酵母の沈殿を防止するとともにパン製造工程のそれぞれへ液状酵母を自動供給可能としてある。また、酵母貯蔵用容器12には、該容器12内の液状酵母を保存に適した1〜5℃程度の温度に維持するための冷却設備17及びCIP(クリーンインプレース)洗浄設備18を設けてある。尚、図示した実施例では、酵母貯蔵用容器12、循環経路14及び分岐管15からなる酵母供給設備11よりなる酵母貯蔵設備10は1系列のみであるが、2系列以上の酵母貯蔵設備10が並列に設置される場合もある。その場合には、複数系列の酵母貯蔵設備10のうちの1系列の酵母貯蔵用容器12内に保管された液状酵母を使い切った後、他系列の酵母貯蔵設備10の酵母貯蔵用容器12内の液状酵母を製パン工程へ供給している間に、前記CIP洗浄設備18により空になった酵母貯蔵設備10の酵母貯蔵用容器12内、循環経路14及び分岐管15等を洗浄したうえで空の酵母貯蔵用容器12へ酵母供給業者から供給された新たな液状酵母を充填するといった具合に、複数系列の酵母貯蔵設備10を交互に使用する。前記酵母貯蔵用容器12への新たな液状酵母の供給は、酵母供給業者が保有するローリー車又はコンテナ等の酵母出荷手段7により行われるが、コンテナ容器の場合には、酵母供給業者から供給された液状酵母が充填されたコンテナ容器を空のコンテナ容器と入れ替えて、そのまま酵母貯蔵用容器12として使用することができる。
【0020】前記液状酵母貯蔵設備10の酵母貯蔵用容器12には、該容器12内の液状酵母の貯蔵量(在庫量)を測定するための酵母貯蔵量自動検出手段1を設けてある。この酵母貯蔵量自動検出手段1による液状酵母量の測定手段としては、例えば、液圧式液面計等のレベル計を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0021】また、前記酵母供給設備11の各酵母供給用分岐管15の途中には、酵母貯蔵用容器12から該供給用分岐管15を通してパン製造工程へ供給される液状酵母の流量を検出して製パン業者における液状酵母の使用量を測定する酵母使用量自動検出手段2を設けてある。この酵母使用量自動検出手段2による液状酵母流量の測定手段としては、電磁流量計等を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0022】上記のような液状酵母供給システムによる液状酵母の供給方法を、図2〜図4を参照しながら説明する。先ず、パン製造工程でパンの製造が開始されると、酵母供給設備11のポンプ13が稼働して、酵母貯蔵設備10の酵母貯蔵用容器12内の液状酵母がパン製造工程へ送られる。このとき、酵母供給設備11の供給用分岐管15に設けた酵母使用量自動検出手段2が供給用分岐管15を通過してパン製造工程へ供給される液状酵母の量を検出することでパン製造工程における液状酵母の使用量を測定し、酵母使用量データとして記録する。その一方で、酵母貯蔵設備10の貯蔵用容器12内の液状酵母の量が減少するが、この液状酵母の貯蔵量の変動を酵母貯蔵量自動検出手段1が検出し、酵母貯蔵量データとして記録する。
【0023】前記酵母貯蔵量自動検出手段1からの酵母貯蔵量データ及び/又は前記酵母使用量自動検出手段2からの酵母使用量データは、酵母使用者である製パン業者における液状酵母使用量実績データとして、酵母使用量実績データ通知手段3のデータ送信手段3aにより酵母供給者である酵母製造業者のデータ受信手段3bに送られる。この酵母使用量実績データ通知手段3としては、電話回線、専用回線等の通信手段を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0024】前記酵母使用量実績データ通知手段3により通知された製パン業者における酵母使用量実績データを取得した酵母製造業者は、このデータを基に、酵母需要予測手段4により製パン業者における酵母の需要を予測する。この液状酵母の需要予測は、先ず月間予測等の長期予測をたて、次に旬間又は週間予測等の中期予測をたて、更に日別予測をたてるといった具合に順次予測範囲を狭めてゆく。前記需要予測に際しては、製パン業者における液状酵母の貯蔵量や使用量などの酵母使用量実績データのみでなく、供給する酵母の種類や季節により異なる酵母保存期間や酵母の使用量の変動等を勘案して予測がたてられる。例えば、長期需要予測や中期需要予測に際しては、パンの売り上げは夏場は少なく冬場から春にかけては増加するといった季節的要因等を考慮し、また、旬間又は週間予測や日別需要予測に際しては曜日、祝日等の要因を考慮して予測を行う。更に、この予測に際して、前記酵母使用量実績データに加えて、製パン業者のパン生産管理手段8から提供されるパン生産計画データが得られる場合には、それを加味することにより、製パン業者における液状酵母の需要の予測精度を更に高めることができる。この場合、製パン業者側のデータ送信手段3aは、パン生産計画データを管理するパン生産管理手段8に接続されていることが好ましい。
【0025】次に、酵母製造業者は、前記酵母需要予測手段4により予測された製パン業者における液状酵母の需要予測に基づき、酵母出荷及び製造計画作成手段5により液状酵母の出荷及び製造計画を作成する。この酵母出荷及び製造計画は、前記需要予測に対応して、長期の月間計画、中期の旬間又は週間計画、更には日単位の製造及び出荷計画を作成する。上記液状酵母の需要予測、出荷及び製造計画作成は、コンピュータシステムを用いて行うこともできる。また、この製造及び出荷計画は、新たに取得した使用量実績データやパン生産計画の変更に伴い需要予測データが修正された場合には適宜見直しが行われる。
【0026】酵母製造業者は、上記出荷及び製造計画に基づき酵母製造手段6により液状酵母の製造を行う。前記液状酵母を製造するための酵母製造手段6としては、従来から使用されている一般的な製造設備でよい。この酵母製造手段6では、原料である糖蜜を用いて培養液を調製し、大型タンクで本培養した後、遠心分離機により培養液から分離し、水洗いを繰り返して不純物を含まない液状酵母を製造する。
【0027】次に、酵母製造業者は、製造した液状酵母の具体的な充填及び出荷予定を作成する。この場合、液状酵母の充填及び出荷時間は、前記需要予測データの日別需要予測から製パン業者における時間別の液状酵母貯蔵量を予測し、この時間別貯蔵量が0となる時間及び輸送時間を考慮して決められる。このとき、新たに取得した製パン業者における酵母使用量実績データがある場合には、予測データを修正するとともに、前記需要予測データによる液状酵母の貯蔵量予測データと新たな貯蔵量データとを比較して両者の貯蔵量データに一定の差異がある場合には、充填及び出荷時間の見直しを行う。その結果、充填及び出荷時間の修正が必要でない場合には予定通りに酵母出荷手段7へ液状酵母を充填し、出荷する。一方、計画の修正が必要と認められた場合には、充填及び出荷予定を修正したうえで充填及び出荷を行う。この場合、液状酵母の出荷先である製パン業者が複数ある場合には、前記充填及び出荷予定の修正の段階で各製パン業者への液状酵母の出荷の最適化を図ることもできる。
【0028】酵母製造業者は、上記のように決定された充填及び出荷に沿って液状酵母を酵母出荷手段7に充填し製パン業者へ出荷する。前記酵母出荷手段7としては、製パン業者における液状酵母貯蔵設備1における酵母貯蔵用容器12が固定式のタンクの場合には配送用のローリー車を用い、該ローリー車から酵母貯蔵用容器12としてのタンクへ液状酵母を充填する。また、酵母貯蔵用容器12が移動式のコンテナ容器の場合には、製造した液状酵母を酵母出荷手段7としての搬送用コンテナ容器に充填して製パン業者へ出荷するとともに、空になった貯蔵用コンテナと前記搬送用コンテナと交換し回収することにより、該搬送用コンテナをそのまま貯蔵用容器12として使用する。
【0029】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、液状酵母の使用者である製パン業者は、必要なとき、必要な量の液状酵母が酵母製造業者より供給されることから、煩雑な発注業務の手間が省ける。一方、液状酵母の供給者である酵母製造業者は、製パン業者からの発注に頼らず、酵母の出荷及び製造計画を作成し、タイムリーに製パン業者へ出荷することができる。また、酵母製造業者は、製パン業者における酵母貯蔵量及び使用量などの使用量実績データからパン生産計画の変更に伴う需要の変化を迅速に把握でき、製造済みの液状酵母を他の製パン業者への出荷に振り替えるなど、液状酵母需要状況の変化に柔軟に対応できる。更に、製パン業者の酵母使用量を酵母製造業者が把握、管理することで、実際の使用量に応じた代金請求も可能となる。
【出願人】 【識別番号】000000941
【氏名又は名称】鐘淵化学工業株式会社
【出願日】 平成12年9月13日(2000.9.13)
【代理人】 【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
【公開番号】 特開2002−84963(P2002−84963A)
【公開日】 平成14年3月26日(2002.3.26)
【出願番号】 特願2000−277735(P2000−277735)